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【咲SS】あわてるすみれ! 1st mission 【first part】
登場人物:宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子(チーム虎姫,白糸台,淡照菫)
症状:照が軽いヤンデレ。
私の名前は大星淡。
人呼んでトリックスター淡。
探偵という名の
何でも屋を生業(なりわい)としている。
依頼の内容は様々だ。
報酬をはずめば何だってやってやるさ。
トントントン。
神のごとき私の手腕。
その手腕に救いを求め、
今日も哀れな子羊が、
我が探偵所の扉を叩く。
やれやれ、人気探偵はつらいものだ。
「どうぞ」
オンボロの扉から出てきた顔は、
まだ年端もいかない紫髪の少女だった。
こんな場末の探偵所には
似つかわしくないそいつは、
入ってくるなり前口上も述べず
一言私にこう言った。
「依頼を一つ。
相当な高難易度だから
注意してほしい」
「報酬は?」
「お菓子…トッポを一箱」
「…相当難しい依頼のようだね」
「事によっては命をかけることになる」
「依頼の内容は?」
「ある女の鼻をあかしたい」
「ターゲットの名は?」
「弘世菫。
白糸台高校麻雀部の部長を
やっている女だ」
やれやれ…よりにもよって、
あのシャープシューターがお相手とは。
これは大変なミッションになりそうだ。
でもいいだろう。
私もあの藍色には散々
煮え湯を飲まされてきたのだから。
私は彼女を応接間という名の
ただソファーが置かれただけの一室に案内すると、
依頼の詳細を促すのであった…
--------------------------------------------------------
「何やってんだ淡」
「釣り人。
君の出番はもう少し後だから
大人しく待っててくれないかな?」
「いやいや部活始まってんだけど。
ていうか宮永先輩も
何で付き合ってあげてるんですか。
ダメですよこいつ甘やかすと
どこまでも調子に乗るんですから」
「ちょっと待って釣り人。
別にこれは芝居でも何でもない。
淡にお願いしたいことがあるのは本当」
「いや先輩まで
釣り人っていうのやめてくださいよ。
フィッシャーでいいじゃないですか。
いやフィッシャーでも
なんだよって感じですけども!」
「お茶淹れましたからどうぞ。
はい、これ釣り人さんの分」
「まさか信じてた尭深にまで裏切られるとは」
「二つ名にしてもフィッシャーはないよね!
ていうかそれってただの職業だよね!」
「いいだろう淡。その喧嘩買ってやる。
今から円状の山作るから3分待ってろ」
「釣り人の二つ名が残念なのはどうでもいい。
早く私の依頼について聞いてほしい」
「あ、はいわかりました。
ここには私の味方はいないんですね。
さっさと部長を召喚しましょう」
「菫の一番の味方は私。
貴方がその座を奪おうとするのなら
私はこの旋風を纏う右手で
貴方の頭蓋を削りその脳漿を絞り出す」
「グロすぎる!」
「でもその口ぶりだと
喧嘩した、とかいうわけではないんですね。
依頼の理由は何なんですか?」
「さすがタカミー、華麗なる軌道修正」
「そんなに大した話じゃないけど…
私は菫があわててるところを
一度も見たことがない」
「言われてみれば私もないなぁ。
驚いたり怒ったりしているところは
すっごくよく見るんだけど」
「それはお前が悪戯するからだろう。
でも、いつも一緒にいる宮永先輩まで
見たことがないというのはすごいですね」
「そう、菫はすごい。
朝から晩まで365日ずっと見てるのに、
あわてるところを
見たことが一度もないとか
むしろ人間として異常なレベル」
「さすがテルー!
息を吐くようにストーカー宣言!」
「いやお言葉ですが人間として異常なのは
はいなんでもありません
だから脳漿絞り出すのはやめてください」
「まぁそんなわけで
菫のあわてるところが見たい。
何とかしてほしい。
淡なら何とかできるはず」
「お任せあれ!」
「なぜか例えようもなく心配になるから
その決めセリフはやめてほしい」
--------------------------------------------------------
「じゃぁ早速作戦会議に入ろうか!
助手君。君はどう思うかね?」
「うーん…お茶を入れる時
部長のお茶だけ
青汁に変えておくとかどうかな?」
「あ、それダメ。
実はすでに実行済みなんだけど、
普通に飲まれて
『なんだ?今日のお茶は健康志向か?』
とか言われたよ」
「じゃぁ饅頭に激辛唐辛子を入れておいて、
かつ目の前にこれみよがしに
水のペットボトルを置いておくんだけど、
キャップの部分を
アロンアルファでべったり固定して
絶対に空かないようにしておくとかは?」
「うん、わかった!
タカミーは絶対敵に回さないようにするよ」
「というか直接的に
危害を加えるような手段は駄目。
私は菫を傷つけたいわけじゃない」
「でもあわてるところは見たいんですか…」
「恋人のことなら
何でも知りたいと思うのは当然。
亦…ふぃっ……
釣り人も恋人ができたらわかる」
「最初のでよかったんですよ?
とはいえ、そうなると相当難しいような」
「ひらめきました!」
「おお、さすがトリックスター淡。
早速案を聞かせてほしい」
「私が菫先輩に告白し「さようなら淡。貴方のことは忘れない」
「こっ…かひゅっ」
「ちょっ、宮永先輩!極まってます!
本当に極まってますから!!」
「こひゅっ…くひゅー…ふひゅー…
ふぅー、ふぅー……ふぅ。
ひどいよテルー!
最後まで聞いてくれてもいいじゃん!」
「わかった。早く辞世の句を詠んで」
「結局殺す気じゃん!」
「まぁまぁ先輩。
とりあえず聞いてみませんか?
淡ちゃんも命は惜しいでしょうし
そんな変な提案はしないはずですよ」
「む…渋谷がそう言うのなら」
「まったくもう…じゃぁ説明するけど、
テルーは普段の生活で
菫先輩があわてるところは
見たことがないんだよね?」
「ない」
「でもって、私はけっこう
菫先輩に悪戯をしてるわけだけど、
驚いたり怒ったりしたことはあっても、
あわてたところは見たことがない」
「あまり度が過ぎると
本気で四肢切断するからよろしく」
「あっ、はい」
「まぁ、そんなわけで、
今更普通に悪戯とかやっても
効果はないと思うんだよね。
となると、ここは当然搦め手で
攻めるしかないないわけですよ!」
「一理ある」
「先に言っておくね。
菫先輩はテルーのものだから、
私が告白しても間違いなく振られる。
もう一回言うよ?
私が告白しても間違いなく振られる」
「うん。そうだろうね」
「でも、菫先輩は色恋沙汰は
あまり得意そうじゃない。
私を振る前に、
けっこうあわてると思うんだ。
そこを狙うわけですよ!」
「なるほど」
「そうかなぁ…私の中では部長って
滅茶苦茶モテる印象なんだけど…
むしろ当たり障りなく断るのなんて
慣れてるんじゃないか?」
「ちっちっち!
ま…フィッ…えーと、
釣り人はわかってないなぁ。
この大星淡をそこら辺の
にわかファンと
一緒にしてもらったら困っちゃうよ!」
「いい加減名前ひっぱるのやめろ」
「でもそこは淡ちゃんの言うとおりかも。
たくさんいるファンの一人を振るのと、
チーム虎姫の一人を振るのとでは
重さが全然違うと思うし」
「ふむ…作戦はわかった。
悪くないかもれない」
「いやいや先輩、いいんですか?
うっかり流しちゃってましたけど、
これって悪戯のレベルを
十分超えてると思いますが」
「大丈夫。
淡以外の人がやったら問題だけど、
淡がやっても菫はまず
『また悪戯か?』って疑うだろうから。
悪戯だと確定するまでは
あわてる可能性があるから
そこだけ見られればいい」
「なるほど…」
「じゃぁ、大星淡。作戦を受領する。
直ちに行動を開始して」
「ラジャー!
ミッション『あわてるすみれ』、
始動します!」
「まんまだな」
「ちっちっち!
これまたわかってないなぁ!
この作戦名には『淡照菫』という
重要人物の名前がすべて入っているという
実は超ハイセンスな
作戦名なのですよさすが私」
「お前の名前、
約34%コストカットされてるぞ」
--------------------------------------------------------
こうして、ミッション
『あわてるすみれ』は発動された。
まぁ、と言ってもぶっちゃけ
ミッションと呼べるほど
難しいものでもなかったりするわけで。
菫先輩の下駄箱にラブレターを入れて、
放課後になったら屋上に行って
告白するだけの簡単なお仕事です。
後は私の演技力にかかってるね!
ちょっと問題があるとすれば
菫先輩の言動によっては
私の命が危ういことだけど、
そこはまぁあの朴念仁の
あわてる顔が見られる代償と考えれば
悪くないトレードと言えるでしょう。
あ、ウソ。
若干リスクが大きすぎる気がしてきた。
死にたくない!
そんなわけで今私は屋上にいます。
テルー達は屋上の階段に繋がる部屋の裏に
隠れています。
さぁ来い、菫先輩!!
(後編へ続くよ!)
症状:照が軽いヤンデレ。
私の名前は大星淡。
人呼んでトリックスター淡。
探偵という名の
何でも屋を生業(なりわい)としている。
依頼の内容は様々だ。
報酬をはずめば何だってやってやるさ。
トントントン。
神のごとき私の手腕。
その手腕に救いを求め、
今日も哀れな子羊が、
我が探偵所の扉を叩く。
やれやれ、人気探偵はつらいものだ。
「どうぞ」
オンボロの扉から出てきた顔は、
まだ年端もいかない紫髪の少女だった。
こんな場末の探偵所には
似つかわしくないそいつは、
入ってくるなり前口上も述べず
一言私にこう言った。
「依頼を一つ。
相当な高難易度だから
注意してほしい」
「報酬は?」
「お菓子…トッポを一箱」
「…相当難しい依頼のようだね」
「事によっては命をかけることになる」
「依頼の内容は?」
「ある女の鼻をあかしたい」
「ターゲットの名は?」
「弘世菫。
白糸台高校麻雀部の部長を
やっている女だ」
やれやれ…よりにもよって、
あのシャープシューターがお相手とは。
これは大変なミッションになりそうだ。
でもいいだろう。
私もあの藍色には散々
煮え湯を飲まされてきたのだから。
私は彼女を応接間という名の
ただソファーが置かれただけの一室に案内すると、
依頼の詳細を促すのであった…
--------------------------------------------------------
「何やってんだ淡」
「釣り人。
君の出番はもう少し後だから
大人しく待っててくれないかな?」
「いやいや部活始まってんだけど。
ていうか宮永先輩も
何で付き合ってあげてるんですか。
ダメですよこいつ甘やかすと
どこまでも調子に乗るんですから」
「ちょっと待って釣り人。
別にこれは芝居でも何でもない。
淡にお願いしたいことがあるのは本当」
「いや先輩まで
釣り人っていうのやめてくださいよ。
フィッシャーでいいじゃないですか。
いやフィッシャーでも
なんだよって感じですけども!」
「お茶淹れましたからどうぞ。
はい、これ釣り人さんの分」
「まさか信じてた尭深にまで裏切られるとは」
「二つ名にしてもフィッシャーはないよね!
ていうかそれってただの職業だよね!」
「いいだろう淡。その喧嘩買ってやる。
今から円状の山作るから3分待ってろ」
「釣り人の二つ名が残念なのはどうでもいい。
早く私の依頼について聞いてほしい」
「あ、はいわかりました。
ここには私の味方はいないんですね。
さっさと部長を召喚しましょう」
「菫の一番の味方は私。
貴方がその座を奪おうとするのなら
私はこの旋風を纏う右手で
貴方の頭蓋を削りその脳漿を絞り出す」
「グロすぎる!」
「でもその口ぶりだと
喧嘩した、とかいうわけではないんですね。
依頼の理由は何なんですか?」
「さすがタカミー、華麗なる軌道修正」
「そんなに大した話じゃないけど…
私は菫があわててるところを
一度も見たことがない」
「言われてみれば私もないなぁ。
驚いたり怒ったりしているところは
すっごくよく見るんだけど」
「それはお前が悪戯するからだろう。
でも、いつも一緒にいる宮永先輩まで
見たことがないというのはすごいですね」
「そう、菫はすごい。
朝から晩まで365日ずっと見てるのに、
あわてるところを
見たことが一度もないとか
むしろ人間として異常なレベル」
「さすがテルー!
息を吐くようにストーカー宣言!」
「いやお言葉ですが人間として異常なのは
はいなんでもありません
だから脳漿絞り出すのはやめてください」
「まぁそんなわけで
菫のあわてるところが見たい。
何とかしてほしい。
淡なら何とかできるはず」
「お任せあれ!」
「なぜか例えようもなく心配になるから
その決めセリフはやめてほしい」
--------------------------------------------------------
「じゃぁ早速作戦会議に入ろうか!
助手君。君はどう思うかね?」
「うーん…お茶を入れる時
部長のお茶だけ
青汁に変えておくとかどうかな?」
「あ、それダメ。
実はすでに実行済みなんだけど、
普通に飲まれて
『なんだ?今日のお茶は健康志向か?』
とか言われたよ」
「じゃぁ饅頭に激辛唐辛子を入れておいて、
かつ目の前にこれみよがしに
水のペットボトルを置いておくんだけど、
キャップの部分を
アロンアルファでべったり固定して
絶対に空かないようにしておくとかは?」
「うん、わかった!
タカミーは絶対敵に回さないようにするよ」
「というか直接的に
危害を加えるような手段は駄目。
私は菫を傷つけたいわけじゃない」
「でもあわてるところは見たいんですか…」
「恋人のことなら
何でも知りたいと思うのは当然。
亦…ふぃっ……
釣り人も恋人ができたらわかる」
「最初のでよかったんですよ?
とはいえ、そうなると相当難しいような」
「ひらめきました!」
「おお、さすがトリックスター淡。
早速案を聞かせてほしい」
「私が菫先輩に告白し「さようなら淡。貴方のことは忘れない」
「こっ…かひゅっ」
「ちょっ、宮永先輩!極まってます!
本当に極まってますから!!」
「こひゅっ…くひゅー…ふひゅー…
ふぅー、ふぅー……ふぅ。
ひどいよテルー!
最後まで聞いてくれてもいいじゃん!」
「わかった。早く辞世の句を詠んで」
「結局殺す気じゃん!」
「まぁまぁ先輩。
とりあえず聞いてみませんか?
淡ちゃんも命は惜しいでしょうし
そんな変な提案はしないはずですよ」
「む…渋谷がそう言うのなら」
「まったくもう…じゃぁ説明するけど、
テルーは普段の生活で
菫先輩があわてるところは
見たことがないんだよね?」
「ない」
「でもって、私はけっこう
菫先輩に悪戯をしてるわけだけど、
驚いたり怒ったりしたことはあっても、
あわてたところは見たことがない」
「あまり度が過ぎると
本気で四肢切断するからよろしく」
「あっ、はい」
「まぁ、そんなわけで、
今更普通に悪戯とかやっても
効果はないと思うんだよね。
となると、ここは当然搦め手で
攻めるしかないないわけですよ!」
「一理ある」
「先に言っておくね。
菫先輩はテルーのものだから、
私が告白しても間違いなく振られる。
もう一回言うよ?
私が告白しても間違いなく振られる」
「うん。そうだろうね」
「でも、菫先輩は色恋沙汰は
あまり得意そうじゃない。
私を振る前に、
けっこうあわてると思うんだ。
そこを狙うわけですよ!」
「なるほど」
「そうかなぁ…私の中では部長って
滅茶苦茶モテる印象なんだけど…
むしろ当たり障りなく断るのなんて
慣れてるんじゃないか?」
「ちっちっち!
ま…フィッ…えーと、
釣り人はわかってないなぁ。
この大星淡をそこら辺の
にわかファンと
一緒にしてもらったら困っちゃうよ!」
「いい加減名前ひっぱるのやめろ」
「でもそこは淡ちゃんの言うとおりかも。
たくさんいるファンの一人を振るのと、
チーム虎姫の一人を振るのとでは
重さが全然違うと思うし」
「ふむ…作戦はわかった。
悪くないかもれない」
「いやいや先輩、いいんですか?
うっかり流しちゃってましたけど、
これって悪戯のレベルを
十分超えてると思いますが」
「大丈夫。
淡以外の人がやったら問題だけど、
淡がやっても菫はまず
『また悪戯か?』って疑うだろうから。
悪戯だと確定するまでは
あわてる可能性があるから
そこだけ見られればいい」
「なるほど…」
「じゃぁ、大星淡。作戦を受領する。
直ちに行動を開始して」
「ラジャー!
ミッション『あわてるすみれ』、
始動します!」
「まんまだな」
「ちっちっち!
これまたわかってないなぁ!
この作戦名には『淡照菫』という
重要人物の名前がすべて入っているという
実は超ハイセンスな
作戦名なのですよさすが私」
「お前の名前、
約34%コストカットされてるぞ」
--------------------------------------------------------
こうして、ミッション
『あわてるすみれ』は発動された。
まぁ、と言ってもぶっちゃけ
ミッションと呼べるほど
難しいものでもなかったりするわけで。
菫先輩の下駄箱にラブレターを入れて、
放課後になったら屋上に行って
告白するだけの簡単なお仕事です。
後は私の演技力にかかってるね!
ちょっと問題があるとすれば
菫先輩の言動によっては
私の命が危ういことだけど、
そこはまぁあの朴念仁の
あわてる顔が見られる代償と考えれば
悪くないトレードと言えるでしょう。
あ、ウソ。
若干リスクが大きすぎる気がしてきた。
死にたくない!
そんなわけで今私は屋上にいます。
テルー達は屋上の階段に繋がる部屋の裏に
隠れています。
さぁ来い、菫先輩!!
(後編へ続くよ!)
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