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【咲SS】あわてるすみれ! 1st mission 【second part】

登場人物:宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子(チーム虎姫,白糸台,淡照菫)
症状:照が軽いヤンデレ。

前編はこれだよ!
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下駄箱に一通の手紙が
入っているのを見つけた時、
私は直感的に妙な胸騒ぎを覚えた。

手紙の宛名を見やると、
そこには案の定厄介ごとを匂わせる
3つの忌まわしい文字が刻まれていた。


『 あ わ い 』


やれやれとかぶりを振る。
まず間違いなく悪戯の類だろう。
とはいえ付き合ってやらないと
次に何をされるかわからない。

丁寧に手紙を押し潰し、
罠になり得る物体が
混入していないことを確認してから、
私は慎重に封を切った。



『 今日の放課後、屋上で待ってます  』



中身自体はごく普通の内容だったが、
私はさらに顔をしかめるしかなかった。
なるほど…
易々と情報を与えるつもりはない、
ということか…

差出人が淡でさえなければ、
まず間違いなく告白が待っているのだろうが…
あの淡のことだ。
十中八九何らかのトラップを
仕掛けて待っているのだろう。
朝から一気に気が重くなったが、
いっそ発想を逆転させることにした。


いいだろう、この際だから
渦中に飛び込んで
こっぴどく返り討ちにしてやろう。


私は念のため手紙をブラックライトで照らし、
さらにはマッチで炙り出して
何も情報が増えないことを確認すると、
一応手紙をかばんに入れて、
下駄箱を後にした。



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放課後。

屋上に至る階段を上る私は
上りきる前にこれが
予想通りのものであることを確信した。

なぜなら、屋上に覚えのあるオーラを
複数感知したからだ。
一つは、当事者である淡のもの。
これは若干反応が小さい。
おそらく屋上の遠い位置にいる。

後の三つは固まって、私のすぐそばにある。
照、渋谷、亦野のものだろう。
どうやら屋上の階段室の裏手に
見つからないように
隠れているといった感じだ。
本日何度目かのため息を一つ。


チーム虎姫がそろいもそろって
練習をさぼって何をしているんだ…


とはいえ、これが淡の単独行動ではなく、
虎姫が関与している点には興味がわいた。

まぁ、どのみち今回は
目にものを見せてやるつもりだったから
大して問題はない。

いっそ、奴らが仕掛けてくる罠に
大げさに驚いてやるのも悪くない。

私は何も気づいていない体を装いながら、
それでいて最新の注意を払いつつ
勢いよく屋上の扉を開けた。


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菫先輩が屋上にやってきた。
私が思っていた通り、
何らかの悪戯を警戒しながら
慎重に私の前に歩みを進めてくる。

その様子にすでに
吹き出しそうになったけど、
ガマンガマン。
今、私は物語のヒロインで、
菫先輩はヒーローで。
劇はまさにクライマックスなのだ。

私は努めてしおらしく、
不安げな表情を装って声をかけた。


「菫先輩…来てくれたんだね」


「まぁ、呼び出されたからにはな」


「よかった…悪戯かと思われたら
 さすがに泣いちゃうところだったよ」


いや、実際悪戯なんですけどね。
私のハリウッド真っ青の好演技に
いつもと雰囲気が違うのを察知したのか、
菫先輩が若干動揺したように見えた。
はい、早くも
『あわてるすみれタイム』入りました!
いける、これはいけるよ!


「まるで…告白でもするような口ぶりだな」


「私が告白したら…おかしいかな?」


「おかしくはないが…脈絡がないだろう?
 私を好きになる理由がない」


「そうかな?私からしたら、
 どれだけ悪戯をしても
 なんだかんだでかまってくれて、
 しっかり感情をぶつけてくれる人って
 相当ポイント高いんだけど」


「そうか…」


ちなみにこれは本当だ。
テルーは大好きだけど、
悪戯をする気にはなれないし。

タカミーは何かこう、
取り返しがつかない報復が待ってそうだし。

亦野先輩は…
ノリがいいから逆に悪戯のし甲斐がない。

適度に頭が固くて、
がっつり悪戯に驚いて怒ってくれる、
そんな菫先輩が大好きなのだ。
うん、自分でもなんだけど
相当タチわるいなぁ。


「もし照にバレたら、
 お前はどんな目にあうかわからないぞ」


「かまわないよ。
 テルーが菫先輩のことを好きなのは知ってる。
 でも、それで引くなら、
 それは私の愛がテルーに劣るってことだから、
 引く気はないよ」


「そうか…」


私を見つめる菫先輩の表情は、やけに真剣で。
まっすぐに私の目をとらえて離さない。


あれ?何か雲行きが怪しくない?


本来なら、もうあわあわしながら
「冗談はやめろ!」とか言って
『ハイパーあわてるすみれタイム』に
入ってる予定なんだけど。


「淡…」


菫先輩は、私の名前をつぶやく。
それは熱のこもった声で。
ゆっくりと少しずつ…
でもまっすぐ迷わず私に近づいてくる。


少しずつ、頬に熱が
集まってくるのを感じる。
胸の動悸が止まらなくなってきた。
え、何。これ、もしかして。


私が自分の変化に戸惑っているうちに、
気がつけば菫先輩はもう
私の目の前にたどり着いていた。


「菫…先輩?」


「スミレ、と呼んでくれないか?」


そのたった一言だけで、
体温が一気に跳ね上がった気がした。
そこに来てようやく、
私は事態の深刻さに気付く。

ヤバい、ヤバい、ヤバい!
これ本気モードだ!
まさかのあわあわ大逆転だ!
というかこれ、私がヤバい!
このままじゃ…このままじゃ、
本当にホントになっちゃうよ!


「…淡?…呼んでくれないのか?」


「す、す…スミレ………せんぱい」


いまいち勇気を出しきれない私の返事。
先輩は苦笑しながらも
とっても優しい笑顔を見せる。
私、こんな菫先輩の顔、見たことない。
菫先輩のきれいな手が、
私の肩にかけられる。



「淡…目を閉じてくれないか?」



そのままゆっくりと、
ゆっくりと菫先輩の顔が近づいてくる。

そ、そそそ、それってまさか…
まさか…
そういうことですか!?

どうすればいいのかわからない!
頭が真っ白になった私は、
引き離すこともできず、
種明かしをすることできず…


つい、ぎゅっと目を閉じてしまった。


菫先輩の体温がゆっくりと
近づいてくるのを感じる。
目と鼻の先に、
先輩の息遣いを感じる。

10センチ、
5センチ、
3センチ、
2センチ、
1センチ。



そして…







「照のアレが、
 お前に襲い掛かって来てるぞ」





耳元で、死の宣告が聞こえた。




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「まったく…やりすぎだ照。
 これからインターハイだというのに
 牌が握れなくなったらどうするんだ」


「やりすぎなのは菫の方。
 あのまま行っていたら、
 間違いなく淡は落とされていた。
 そしたら私は淡を
 処分しなければいけないところだった」


「いやいやお二人とも
 冷静すぎでしょう!?
 淡の奴、ピクリとも
 動かないんですが!?」


「宇宙パワーで復活!!」
「宇宙すげぇ!?」


「というか、今回は私も
 見事に騙されました…
 一体いつ演技だって
 気づいたんですか?」


「…尭深らしくもないな。
 屋上に着く前からお前たちのオーラで
 すでにネタばれ状態だったんだが」


「オーラ…そういえばそうだった」


「ていうか、アレ本当に演技だったの!?
 もうなんかやたら熱い視線を感じたし、
 すっごい近くまで近づかれたし、
 絶対本気だと思ったよ!」


「本気だと思ったのに
 最後ぎゅっと目を
 つぶっちゃった淡ちゃん、
 一言コメントをどうぞ」


「ぎゃー!そこツッコミ入れないで!
 違うんだよテルー!
 あれはそういうのじゃなくて、
 こう、危機的状況に
 頭が回らなかっただけで!」


「淡、マイナス4」

「え、何テルー!?
 今何の数値減らしたの!?
 それって後どれだけあるの!?」

「秘密」


「何それ恐い!」


「ま、私をあわてさせたいんだったら、
 今度は本当に
 しおらしくなってみるんだな。
 そしたら私は存分にうろたえて
 『淡、何かまずいものでも食べたのか?』
 って言ってやるから」


「くそう!くそう!!
 次は絶対にあわてさせてやるー!!」

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こうして、『あわてるすみれ 1stミッション』は
残念ながら失敗で幕を閉じた。


だが、覚えておいていてほしい。

私がまだ生きている限り、
私が戦意を喪失しない限り、
『あわてるすみれ 2ndミッション』が
始動する可能性が高いということを…



(続く!)
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posted by ぷちどろっぷ at 2014年07月23日 | Comment(2) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
続きお願いします。
Posted by ホーネット at 2014年12月04日 21:37
おもしろかったです!
あわてるすみれっ!
Posted by けんけN at 2016年06月06日 03:41
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