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【咲SS:照菫】 照「…私達が…」菫「…病気?」 【前編】
『菫「…私達が…」照「…病気?」』
<あらすじ>
ある日、弘世菫はクラスメートから一冊の本を渡される。
その本のタイトルは
『初心者にもよくわかる神経症』だった。
同級生に心の病気の本を渡される、
その意味とは何か。
<登場人物>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子(チーム虎姫,白糸台)
<症状>
軽いヤンデレ?依存。
<その他>
※原作キャラ崩壊しています。ご注意を。
<キーワード>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子,チーム虎姫,白糸台,SS,咲-saki-
--------------------------------------------------------
菫「……」
ペラッ…
菫「……」
ペラッ…
菫「……」
ペラッ…
ガチャッ!!
淡「大星淡、参上!!」
尭深「…こんにちは」
誠子「こんにちはー」
パタン
菫「ああ、こんにちは。照の奴は
今取材を受けているからもう少し遅くなる。
その後は私の番だから
まぁ三麻でもしててくれ」
淡「先輩が本を読んでるって珍しいですね?
どれどれ…
『初心者にもよくわかる神経症』?」
誠子「覗くなよ」
淡「菫先輩、腰でも痛いの?」
菫「人を勝手に腰痛持ちにするな。
神経症というのは、一種の心の病のことだ。
昔は精神病と混同されることが多かったようだな」
誠子「…何でそんな本読んでるんですか?」
菫「いや…なんだか知らないが、
クラスメートに渡されてな…
『あんたらおかしいからこれ読んで自覚しろ』
だそうだ」
淡「そりゃぁ麻雀のたびに人を射抜いてたら
おかしいと思われても仕方ないというか
殺人鬼というか!」
菫「私のはあくまでイメージだ。
そもそも麻雀のたびに
頭を海藻のごとく漂わせている
お前に言われたくない」
淡「言っちゃったね!?
私の髪の毛が織りなす
美しいウェーブを
ワカメって言っちゃったね!?」
尭深「淡ちゃんの髪の毛はともかく淡「ひどい!」
…何か自分に思いあたそうな…
病気はありましたか?」
菫「いや、特になかったな…
まったく、彼女はいったい何を思って
こんな本を渡してきたのか」
誠子「…そうですか」
ガチャッ
照「菫、取材の番回ってきたよ。一緒に行こう」
菫「ああ…というか
お前は取材終わったんだろ?
ついてきていいのか?」
照「菫と私で特集記事組むんだって。
菫個人の取材はその後」
菫「またか…
何回やれば気が済むんだその特集」
照「週刊だからネタに困ってるんじゃない?」
菫「やれやれ…じゃぁ
そういうことだから行ってくる」
淡「いってらっしゃーい」
尭深「…行ってらっしゃい」
誠子「いってらっしゃい」
ガチャッ…
誠子「……」
尭深「……」
淡「…?」
誠子「…やっぱり弘世先輩は
自覚してなかったんだなぁ」
尭深「…わかってた」
淡「なんのこと?」
誠子「さっき話に出てきた、
心の病気のことだよ」
尭深「…部内で知らない人はいないと思う」
淡「マジで!?私知らないんですけど!!」
誠子「さすがに宮永先輩と弘世先輩の前では話さないし、
お二人が一緒の時は問題ないからなぁ。
淡はいつもお二人と一緒にいるから
気づかないんだろ」
淡「ねぇねぇ、どんな病気なの!?」
誠子「うーん…部内では公然の秘密とはいえ、
口の軽い淡に話していいものか」
淡「失礼な!たまには
口堅い時もあるよ!」
誠子「たまにじゃダメだろ」
尭深「…この際、いい機会だから、
虎姫の中で話しあって、
先輩たちに自覚してもらうのはどう?」
誠子「そうだなぁ…
正直かなり支障出てきてるし」
淡「そうしましょう!
何のことかわからないけど!!」
--------------------------------------------------------
照「…私達が…」
菫「…病気?」
誠子「はい。いい加減お二人にも
ちょっと自覚していただこうと
思いまして」
菫「例の心の病気か?
私には特に思いあたるふしは
なかったんだが」
照「私はいたって健康体だけど」
尭深「…では、参考までに
昨日のお二人がどんな行動を取ったか
教えていただいてもいいですか?」
菫「昨日?…そうだな…昨日は…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
----------------------------
【3:30】
----------------------------
菫『ふぁあ…もう朝か。
お弁当を作らないとな。
今日の献立は…
卵焼きとウィンナーでいいか』
淡「朝じゃないよ!?真夜中だよ!!」
誠子「いきなりぶっ飛んでますね…
しかもその割には
作るものは軽めという」
菫「いやいや、これはちゃんと
理由があるんだよ」
----------------------------
【4:00】
----------------------------
菫『ふむ…後3時間か。
なんとかなりそうだな。
よし、ケーキ作りを始めよう』
淡「なんで朝からケーキ作ってるの!?」
菫「照の奴が手作りじゃないと
嫌だというからな」
照「菫のケーキはお店に出しても
恥ずかしくないレベル」
菫「お前にさんざん
駄目出しくらったからな」
尭深「…早起きの理由はこれですか」
----------------------------
【7:00】
----------------------------
菫『よし、時間通りだ。
朝ごはんを作るか…
今日はスクランブルエッグと
トースト、後はサラダにしよう』
----------------------------
【7:30】
----------------------------
菫『おい、照起きろ。
朝ごはんできたぞ』
照『んん…まだ眠い…あと5分…』
淡「序盤からツッコミどころ
多すぎだよ!?」
淡「なんでそこでテルを起こしてるの!?」
菫「照は朝の目覚めが悪いからな…
目覚ましでは絶対に起きない」
淡「ツッコんだのはそこじゃないよ!」
誠子「お二人って一緒に住んでましたっけ?」
菫「来年から大学生だろう?
一人暮らしをする予定だから
予行演習を始めたら照が住み着いた」
照「だって、私がいないんじゃ
予行演習の意味がないでしょ」
淡「どういう意味!?」
尭深「…回想するたびに
指摘してたらきりがないので
とりあえず話を進めましょう…」
----------------------------
【8:00】
----------------------------
菫『照、まだやってるのか…
そろそろ行くぞ』
照『待って、あと少し…今日こそは…』
菫『…諦めろ。そのホーンは
ブローごときで
何とかなるもんじゃない』
----------------------------
【8:25】
----------------------------
菫『照、じゃぁ、また後でな』
照『…うん』
菫『…そんな顔をするな…
またすぐ会える』
照『私1時間目終わった後は
移動教室だから』
菫『わかっているさ。
2階の渡り廊下で
10分くらいは一緒に居られるはずだ』
照『絶対に来てね…』
菫『もちろんだとも』
淡「何なのこの寸劇!?」
照「私達クラスが違うんだよ」
菫「文理で分かれてしまったんだよな…
今考えれば浅はかだった」
照「大学は学科あわせないとね」
尭深「…指摘するのは後にしますね」
----------------------------
【10:03】
----------------------------
菫『来たぞ、照』
照『…うん、待ってた』
菫『だが後11分でまた
別れないといけない』
照『言わないでよ…
これ、何とかならないのかな…』
菫『後少し辛抱すれば自由登校だ。
そしたらずっと一緒に居られるから
それまではなんとか我慢しろ』
照『もう我慢の限界なんだけど』
菫『…そうだ、ノートに
私の名前を書くとかして
気を紛らわせてみてはどうだ?』
照『…やってみる』
淡「毎回こんなやりとりしてるの!?」
照「私達にとっては死活問題」
誠子「ていうかノートに名前とか…」
尭深「…指摘は後で」
----------------------------
【11:03】
----------------------------
菫『調子はどうだ、照』
照『…うん、わりといい感じ。
ほら見て』
菫『…8ページも書いたのか。
私の名前がきれいに並んでいるな』
照『頑張ったからね。
気がついたら授業が終わってた』
菫『頑張るのはいいが、授業も聞けよ?
成績が落ちるのは好ましくない』
淡「怖すぎだよ!?」
照「何が?」
菫「何がだ?」
誠子「わかりませんか…」
尭深「……」
----------------------------
【12:05】
----------------------------
菫『ほら、照。
今日は卵焼きとウィンナー。
後は昨日の残りだ』
照『粗食』
菫『お前がケーキなんか
要求するからだろう』
照『むしろケーキだけでいいのに』
菫『栄養が偏るから駄目だ』
照『じゃぁさっさと食べる。…菫、早く』
菫『はいはい…ほら、あーん』
照『あーん』
誠子「当然のように
一緒に食べるんですね」
菫「一緒じゃないと照が怒るからな」
尭深「…まぁ、あーんは予想してました」
淡「いいなー!あーんいいなー!!」
菫「食べさせなくても怒るからな」
照「菫は私の世話係なんだから当然」
……
菫「まぁそんなこんなで
午後も同じような感じで…」
----------------------------
【15:05】
----------------------------
菫『ふぅ…ようやく放課後だ。
これで後はずっと照と一緒だな』
照『長かった…』
部員A『部長ー、宮永先輩ー、
指導お願いしますー』
照『…でも側にはいられない』
菫『指導部屋は一緒だから大丈夫だろう』
照『…頑張る』
淡「テルと菫先輩がいつも同じ部屋なのは
こういう理由があったんだね」
誠子「部活的には、できればお二人には
別の部屋を担当して
もらいたいところなんだけどね」
照「無理」
菫「まぁ、分けない方がいい理由はすぐわかるさ」
----------------------------
【15:31】照サイド
----------------------------
照『…目を離したら菫がいない。どこにいるの?』
部員B『部長なら監督に呼ばれて監督室に…宮永先輩!?』
ずぁ
照『いない、菫がいない?どこ?菫どこ!?』
部員C『…!みんな逃げて!宮永先輩がオーラ出し始めた!!』
部員D『ひっ…光の触手が押し寄せてくる!?』
照『いない、菫いない、隣の部屋にもいない、
誰か隠してる!?菫、菫?どこ?菫?』
ずぞぞぞぞぞ…!
部員D『いっいやぁああ!!怖いぃぃ!!!』
部員B『監督室!部長は監督室です!
大丈夫です!すぐ戻ってきます!!』
部員E『無理よ!こうなったら
弘世さんが来るまで治らないわ!
竜巻が出る前に逃げましょう!』
ブォン
部員E『!!みんな、早く逃げて!!』
照『菫、菫?菫?菫!?』
ブォォォォォオオ
----------------------------
【15:35】
----------------------------
菫『…戻ってきたら照以外誰もいない』
照『…菫?菫!!』
ぎゅっ…
菫『よしよし…またオーラ全開にしてたのか…
部屋が竜巻でぐちゃぐちゃじゃないか』
照『菫が勝手にいなくなるのが悪い』
菫『…5分くらいなら大丈夫かと思ったが駄目か…
これは私のミスだな、すまなかった』
淡「これはひどい!」
誠子「まぁ…普段は弘世先輩が
目を光らせてるから
そんなに起きないんだけどね」
照「菫が勝手にいなくなるのが悪い」
----------------------------
【18:20】
----------------------------
照『ただいま』
菫『おかえり』
照『おかえり』
菫『ただいま』
照『今日は大変だった…突然いなくなるなら
ちゃんと言伝してよ』
菫『すまなかった。急に監督に呼び出されてな』
淡「そして当然のように二人で帰宅!?」
照「…?当たり前でしょ?」
----------------------------
【19:30】
----------------------------
照『今日のごはんはハンバーグ』
菫『ハンバーグはいい…
タネを冷凍しておけばすぐ作れるからな』
照『明日はスパゲッティがいい』
菫『はいはい』
淡「若干ちょーうらやましい!!」
照「いいでしょ」
誠子「もはや何も言うまい」
----------------------------
【20:30】
----------------------------
照『罰として今日は私の身体を洗うこと』
菫『それいつもだろ…
ほら、シャンプーハットつけろ』
照『別になくても問題ない』
菫『前にしみた、許さないとか言って
襲い掛かってきたのは誰だ』
照『しみらせる方が悪い』
菫『しみらせるって…
そういえば前に利きシャンプー
とかしてたらしいな?』
照『割とみんなメジャーな奴だった』
菫『私はされてないんだが』
照『私と同じなのにやる意味がない』
淡「いいなー!
同じシャンプーいいなー!」
照「いいでしょ」
淡「私も二人と一緒にお風呂に入りたい!」
誠子「淡ー、戻ってこい。
若干侵食されてるぞ」
----------------------------
【22:15】
----------------------------
照『…勉強も終わったし、そろそろ寝よう』
菫『そうか、じゃぁ先に布団に入ってろ』
照『菫はまだ寝ないの?』
菫『私は部内の牌譜に目を通してから寝るよ』
照『私も一緒に見ようか?』
菫『お前には私がピックアップした
牌譜を明日分析してもらうよ』
照『わかった…じゃぁ、おやすみ』
菫『ああ、おやすみ』
誠子「寝るのはバラバラなんですね」
菫「まぁ部活の仕事とかいろいろあるしな。
照は比較的いっぱい寝ないと
頭がはかどらないというのもある」
----------------------------
【01:30】
----------------------------
菫『ふむ…一通り見終わったな。
残念ながら新たに
能力が発現した者はいないようだ』
菫『もっと虎姫のような…
淡のような奴が出てきてくれると、
照も心を許す者が増えるんだが』
菫『…寝るか』
淡「寝るの遅っ!?」
菫「割といつもこんなものだがな」
照「菫…そんなこと考えてたんだ」
菫「まぁ、お前にはできるだけ
心穏やかに過ごしてほしいからな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫「と、まぁこんな感じだったが」
誠子「思ってたよりひどかったですね」
尭深「…淡ちゃん、判定を」
淡「完全にビョーキだね!!」
菫「ワカメに言われたくないんだが」
淡「言っちゃったね!?
私のこの金色の髪が紡ぎだす
天の川をついにワカメって
言っちゃったね!?」
尭深「淡ちゃんの髪の毛はともかく…淡「二度目!?」
やっぱり普通ではありませんよ」
誠子「というか、日中でお二人が
離れている時間って
どのくらいあるんですか?」
照「授業を除けばだいたい30分くらい?」
菫「まぁそんなもんだろう。
せいぜいトイレくらいだしな」
淡「異常だよ!!」
菫「そうか?」
誠子「異常ってレベルじゃないですね」
尭深「完全に病気のレベルです」
菫「そうは言ってもな…
離れてる時間が1時間超えると
照には耐えられないんだよ。
想定外の場合は5分でも駄目みたいだし」
照「勝手にいなくなるのは駄目。絶対に駄目」
尭深「…お名前を書いているノート、
見せていただいてもいいですか?」
照「これ?私の心の清涼剤」
淡「こわっ!?」
誠子「小さく『菫』の文字がびっちり…」
尭深「…ページ数、さらに増えてますね」
照「頑張った」
誠子「宮永先輩は弘世先輩に依存しすぎです!」
菫「ふーむ…まぁ、照はそう言われても
仕方ないかもな」
誠子「いやいや、他人事みたいに言ってますけど
弘世先輩もおかしいですからね!?」
淡「というかこれ勧めたの菫先輩じゃん!?」
菫「私は照の世話をしているだけだが」
尭深「…弘世先輩、平均睡眠時間は
どのくらいですか?」
菫「だいたい2、3時間だが」
淡「死ぬよ!?」
誠子「毎朝3時半に起きて
朝昼晩プラスおやつまで作ってあげて
離れてる時間が30分、
はフツーに異常ですよ…」
尭深「…そもそも今の宮永先輩に
平然と対応できている時点で
普通じゃありません…」
誠子「それに、弘世先輩だって、
宮永先輩がいない時は
目が虚ろで上の空になってて
正直見てて怖いですよ」
菫「目の届くところに
照がいないと心配なんだよ」
淡「あー、それはわかる!」
誠子「わかっちゃだめだよ!?」
尭深「…ともかく、部活にも支障が出てますし、
お二人にとってもよくないですから
この機会に治しましょう…
淡ちゃんまで感染し始めてますし」
照「私は別にこのままでいいんだけど」
誠子「そこを何とか…」
菫「まぁ、部活に支障をきたしているのは
確かによろしくないな。
だが、治すといってもどうするんだ?」
誠子「そうですねぇ…」
尭深「…まずは一緒にいる時間を
減らしてみましょうか」
後編に続く。
<あらすじ>
ある日、弘世菫はクラスメートから一冊の本を渡される。
その本のタイトルは
『初心者にもよくわかる神経症』だった。
同級生に心の病気の本を渡される、
その意味とは何か。
<登場人物>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子(チーム虎姫,白糸台)
<症状>
軽いヤンデレ?依存。
<その他>
※原作キャラ崩壊しています。ご注意を。
<キーワード>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子,チーム虎姫,白糸台,SS,咲-saki-
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菫「……」
ペラッ…
菫「……」
ペラッ…
菫「……」
ペラッ…
ガチャッ!!
淡「大星淡、参上!!」
尭深「…こんにちは」
誠子「こんにちはー」
パタン
菫「ああ、こんにちは。照の奴は
今取材を受けているからもう少し遅くなる。
その後は私の番だから
まぁ三麻でもしててくれ」
淡「先輩が本を読んでるって珍しいですね?
どれどれ…
『初心者にもよくわかる神経症』?」
誠子「覗くなよ」
淡「菫先輩、腰でも痛いの?」
菫「人を勝手に腰痛持ちにするな。
神経症というのは、一種の心の病のことだ。
昔は精神病と混同されることが多かったようだな」
誠子「…何でそんな本読んでるんですか?」
菫「いや…なんだか知らないが、
クラスメートに渡されてな…
『あんたらおかしいからこれ読んで自覚しろ』
だそうだ」
淡「そりゃぁ麻雀のたびに人を射抜いてたら
おかしいと思われても仕方ないというか
殺人鬼というか!」
菫「私のはあくまでイメージだ。
そもそも麻雀のたびに
頭を海藻のごとく漂わせている
お前に言われたくない」
淡「言っちゃったね!?
私の髪の毛が織りなす
美しいウェーブを
ワカメって言っちゃったね!?」
尭深「淡ちゃんの髪の毛はともかく淡「ひどい!」
…何か自分に思いあたそうな…
病気はありましたか?」
菫「いや、特になかったな…
まったく、彼女はいったい何を思って
こんな本を渡してきたのか」
誠子「…そうですか」
ガチャッ
照「菫、取材の番回ってきたよ。一緒に行こう」
菫「ああ…というか
お前は取材終わったんだろ?
ついてきていいのか?」
照「菫と私で特集記事組むんだって。
菫個人の取材はその後」
菫「またか…
何回やれば気が済むんだその特集」
照「週刊だからネタに困ってるんじゃない?」
菫「やれやれ…じゃぁ
そういうことだから行ってくる」
淡「いってらっしゃーい」
尭深「…行ってらっしゃい」
誠子「いってらっしゃい」
ガチャッ…
誠子「……」
尭深「……」
淡「…?」
誠子「…やっぱり弘世先輩は
自覚してなかったんだなぁ」
尭深「…わかってた」
淡「なんのこと?」
誠子「さっき話に出てきた、
心の病気のことだよ」
尭深「…部内で知らない人はいないと思う」
淡「マジで!?私知らないんですけど!!」
誠子「さすがに宮永先輩と弘世先輩の前では話さないし、
お二人が一緒の時は問題ないからなぁ。
淡はいつもお二人と一緒にいるから
気づかないんだろ」
淡「ねぇねぇ、どんな病気なの!?」
誠子「うーん…部内では公然の秘密とはいえ、
口の軽い淡に話していいものか」
淡「失礼な!たまには
口堅い時もあるよ!」
誠子「たまにじゃダメだろ」
尭深「…この際、いい機会だから、
虎姫の中で話しあって、
先輩たちに自覚してもらうのはどう?」
誠子「そうだなぁ…
正直かなり支障出てきてるし」
淡「そうしましょう!
何のことかわからないけど!!」
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照「…私達が…」
菫「…病気?」
誠子「はい。いい加減お二人にも
ちょっと自覚していただこうと
思いまして」
菫「例の心の病気か?
私には特に思いあたるふしは
なかったんだが」
照「私はいたって健康体だけど」
尭深「…では、参考までに
昨日のお二人がどんな行動を取ったか
教えていただいてもいいですか?」
菫「昨日?…そうだな…昨日は…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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【3:30】
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菫『ふぁあ…もう朝か。
お弁当を作らないとな。
今日の献立は…
卵焼きとウィンナーでいいか』
淡「朝じゃないよ!?真夜中だよ!!」
誠子「いきなりぶっ飛んでますね…
しかもその割には
作るものは軽めという」
菫「いやいや、これはちゃんと
理由があるんだよ」
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【4:00】
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菫『ふむ…後3時間か。
なんとかなりそうだな。
よし、ケーキ作りを始めよう』
淡「なんで朝からケーキ作ってるの!?」
菫「照の奴が手作りじゃないと
嫌だというからな」
照「菫のケーキはお店に出しても
恥ずかしくないレベル」
菫「お前にさんざん
駄目出しくらったからな」
尭深「…早起きの理由はこれですか」
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【7:00】
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菫『よし、時間通りだ。
朝ごはんを作るか…
今日はスクランブルエッグと
トースト、後はサラダにしよう』
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【7:30】
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菫『おい、照起きろ。
朝ごはんできたぞ』
照『んん…まだ眠い…あと5分…』
淡「序盤からツッコミどころ
多すぎだよ!?」
淡「なんでそこでテルを起こしてるの!?」
菫「照は朝の目覚めが悪いからな…
目覚ましでは絶対に起きない」
淡「ツッコんだのはそこじゃないよ!」
誠子「お二人って一緒に住んでましたっけ?」
菫「来年から大学生だろう?
一人暮らしをする予定だから
予行演習を始めたら照が住み着いた」
照「だって、私がいないんじゃ
予行演習の意味がないでしょ」
淡「どういう意味!?」
尭深「…回想するたびに
指摘してたらきりがないので
とりあえず話を進めましょう…」
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【8:00】
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菫『照、まだやってるのか…
そろそろ行くぞ』
照『待って、あと少し…今日こそは…』
菫『…諦めろ。そのホーンは
ブローごときで
何とかなるもんじゃない』
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【8:25】
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菫『照、じゃぁ、また後でな』
照『…うん』
菫『…そんな顔をするな…
またすぐ会える』
照『私1時間目終わった後は
移動教室だから』
菫『わかっているさ。
2階の渡り廊下で
10分くらいは一緒に居られるはずだ』
照『絶対に来てね…』
菫『もちろんだとも』
淡「何なのこの寸劇!?」
照「私達クラスが違うんだよ」
菫「文理で分かれてしまったんだよな…
今考えれば浅はかだった」
照「大学は学科あわせないとね」
尭深「…指摘するのは後にしますね」
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【10:03】
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菫『来たぞ、照』
照『…うん、待ってた』
菫『だが後11分でまた
別れないといけない』
照『言わないでよ…
これ、何とかならないのかな…』
菫『後少し辛抱すれば自由登校だ。
そしたらずっと一緒に居られるから
それまではなんとか我慢しろ』
照『もう我慢の限界なんだけど』
菫『…そうだ、ノートに
私の名前を書くとかして
気を紛らわせてみてはどうだ?』
照『…やってみる』
淡「毎回こんなやりとりしてるの!?」
照「私達にとっては死活問題」
誠子「ていうかノートに名前とか…」
尭深「…指摘は後で」
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【11:03】
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菫『調子はどうだ、照』
照『…うん、わりといい感じ。
ほら見て』
菫『…8ページも書いたのか。
私の名前がきれいに並んでいるな』
照『頑張ったからね。
気がついたら授業が終わってた』
菫『頑張るのはいいが、授業も聞けよ?
成績が落ちるのは好ましくない』
淡「怖すぎだよ!?」
照「何が?」
菫「何がだ?」
誠子「わかりませんか…」
尭深「……」
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【12:05】
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菫『ほら、照。
今日は卵焼きとウィンナー。
後は昨日の残りだ』
照『粗食』
菫『お前がケーキなんか
要求するからだろう』
照『むしろケーキだけでいいのに』
菫『栄養が偏るから駄目だ』
照『じゃぁさっさと食べる。…菫、早く』
菫『はいはい…ほら、あーん』
照『あーん』
誠子「当然のように
一緒に食べるんですね」
菫「一緒じゃないと照が怒るからな」
尭深「…まぁ、あーんは予想してました」
淡「いいなー!あーんいいなー!!」
菫「食べさせなくても怒るからな」
照「菫は私の世話係なんだから当然」
……
菫「まぁそんなこんなで
午後も同じような感じで…」
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【15:05】
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菫『ふぅ…ようやく放課後だ。
これで後はずっと照と一緒だな』
照『長かった…』
部員A『部長ー、宮永先輩ー、
指導お願いしますー』
照『…でも側にはいられない』
菫『指導部屋は一緒だから大丈夫だろう』
照『…頑張る』
淡「テルと菫先輩がいつも同じ部屋なのは
こういう理由があったんだね」
誠子「部活的には、できればお二人には
別の部屋を担当して
もらいたいところなんだけどね」
照「無理」
菫「まぁ、分けない方がいい理由はすぐわかるさ」
----------------------------
【15:31】照サイド
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照『…目を離したら菫がいない。どこにいるの?』
部員B『部長なら監督に呼ばれて監督室に…宮永先輩!?』
ずぁ
照『いない、菫がいない?どこ?菫どこ!?』
部員C『…!みんな逃げて!宮永先輩がオーラ出し始めた!!』
部員D『ひっ…光の触手が押し寄せてくる!?』
照『いない、菫いない、隣の部屋にもいない、
誰か隠してる!?菫、菫?どこ?菫?』
ずぞぞぞぞぞ…!
部員D『いっいやぁああ!!怖いぃぃ!!!』
部員B『監督室!部長は監督室です!
大丈夫です!すぐ戻ってきます!!』
部員E『無理よ!こうなったら
弘世さんが来るまで治らないわ!
竜巻が出る前に逃げましょう!』
ブォン
部員E『!!みんな、早く逃げて!!』
照『菫、菫?菫?菫!?』
ブォォォォォオオ
----------------------------
【15:35】
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菫『…戻ってきたら照以外誰もいない』
照『…菫?菫!!』
ぎゅっ…
菫『よしよし…またオーラ全開にしてたのか…
部屋が竜巻でぐちゃぐちゃじゃないか』
照『菫が勝手にいなくなるのが悪い』
菫『…5分くらいなら大丈夫かと思ったが駄目か…
これは私のミスだな、すまなかった』
淡「これはひどい!」
誠子「まぁ…普段は弘世先輩が
目を光らせてるから
そんなに起きないんだけどね」
照「菫が勝手にいなくなるのが悪い」
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【18:20】
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照『ただいま』
菫『おかえり』
照『おかえり』
菫『ただいま』
照『今日は大変だった…突然いなくなるなら
ちゃんと言伝してよ』
菫『すまなかった。急に監督に呼び出されてな』
淡「そして当然のように二人で帰宅!?」
照「…?当たり前でしょ?」
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【19:30】
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照『今日のごはんはハンバーグ』
菫『ハンバーグはいい…
タネを冷凍しておけばすぐ作れるからな』
照『明日はスパゲッティがいい』
菫『はいはい』
淡「若干ちょーうらやましい!!」
照「いいでしょ」
誠子「もはや何も言うまい」
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【20:30】
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照『罰として今日は私の身体を洗うこと』
菫『それいつもだろ…
ほら、シャンプーハットつけろ』
照『別になくても問題ない』
菫『前にしみた、許さないとか言って
襲い掛かってきたのは誰だ』
照『しみらせる方が悪い』
菫『しみらせるって…
そういえば前に利きシャンプー
とかしてたらしいな?』
照『割とみんなメジャーな奴だった』
菫『私はされてないんだが』
照『私と同じなのにやる意味がない』
淡「いいなー!
同じシャンプーいいなー!」
照「いいでしょ」
淡「私も二人と一緒にお風呂に入りたい!」
誠子「淡ー、戻ってこい。
若干侵食されてるぞ」
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【22:15】
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照『…勉強も終わったし、そろそろ寝よう』
菫『そうか、じゃぁ先に布団に入ってろ』
照『菫はまだ寝ないの?』
菫『私は部内の牌譜に目を通してから寝るよ』
照『私も一緒に見ようか?』
菫『お前には私がピックアップした
牌譜を明日分析してもらうよ』
照『わかった…じゃぁ、おやすみ』
菫『ああ、おやすみ』
誠子「寝るのはバラバラなんですね」
菫「まぁ部活の仕事とかいろいろあるしな。
照は比較的いっぱい寝ないと
頭がはかどらないというのもある」
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【01:30】
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菫『ふむ…一通り見終わったな。
残念ながら新たに
能力が発現した者はいないようだ』
菫『もっと虎姫のような…
淡のような奴が出てきてくれると、
照も心を許す者が増えるんだが』
菫『…寝るか』
淡「寝るの遅っ!?」
菫「割といつもこんなものだがな」
照「菫…そんなこと考えてたんだ」
菫「まぁ、お前にはできるだけ
心穏やかに過ごしてほしいからな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫「と、まぁこんな感じだったが」
誠子「思ってたよりひどかったですね」
尭深「…淡ちゃん、判定を」
淡「完全にビョーキだね!!」
菫「ワカメに言われたくないんだが」
淡「言っちゃったね!?
私のこの金色の髪が紡ぎだす
天の川をついにワカメって
言っちゃったね!?」
尭深「淡ちゃんの髪の毛はともかく…淡「二度目!?」
やっぱり普通ではありませんよ」
誠子「というか、日中でお二人が
離れている時間って
どのくらいあるんですか?」
照「授業を除けばだいたい30分くらい?」
菫「まぁそんなもんだろう。
せいぜいトイレくらいだしな」
淡「異常だよ!!」
菫「そうか?」
誠子「異常ってレベルじゃないですね」
尭深「完全に病気のレベルです」
菫「そうは言ってもな…
離れてる時間が1時間超えると
照には耐えられないんだよ。
想定外の場合は5分でも駄目みたいだし」
照「勝手にいなくなるのは駄目。絶対に駄目」
尭深「…お名前を書いているノート、
見せていただいてもいいですか?」
照「これ?私の心の清涼剤」
淡「こわっ!?」
誠子「小さく『菫』の文字がびっちり…」
尭深「…ページ数、さらに増えてますね」
照「頑張った」
誠子「宮永先輩は弘世先輩に依存しすぎです!」
菫「ふーむ…まぁ、照はそう言われても
仕方ないかもな」
誠子「いやいや、他人事みたいに言ってますけど
弘世先輩もおかしいですからね!?」
淡「というかこれ勧めたの菫先輩じゃん!?」
菫「私は照の世話をしているだけだが」
尭深「…弘世先輩、平均睡眠時間は
どのくらいですか?」
菫「だいたい2、3時間だが」
淡「死ぬよ!?」
誠子「毎朝3時半に起きて
朝昼晩プラスおやつまで作ってあげて
離れてる時間が30分、
はフツーに異常ですよ…」
尭深「…そもそも今の宮永先輩に
平然と対応できている時点で
普通じゃありません…」
誠子「それに、弘世先輩だって、
宮永先輩がいない時は
目が虚ろで上の空になってて
正直見てて怖いですよ」
菫「目の届くところに
照がいないと心配なんだよ」
淡「あー、それはわかる!」
誠子「わかっちゃだめだよ!?」
尭深「…ともかく、部活にも支障が出てますし、
お二人にとってもよくないですから
この機会に治しましょう…
淡ちゃんまで感染し始めてますし」
照「私は別にこのままでいいんだけど」
誠子「そこを何とか…」
菫「まぁ、部活に支障をきたしているのは
確かによろしくないな。
だが、治すといってもどうするんだ?」
誠子「そうですねぇ…」
尭深「…まずは一緒にいる時間を
減らしてみましょうか」
後編に続く。
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〉淡「マジで!?私知らないんですけど!!」
これ病気なのは淡ってオチじゃないですか!?
何故そう思うのかと言うと、私も神経症っぽいんですが、照菫より淡に親近感覚えるからです。
>chemisさん
作品によりますが、うちの淡はどれも若干病気よりです。おっしゃる通り、淡が気づかないのは淡も二人にべったりだからです。
>上上さん
原作だとそうでもないのかもしれませんが、
管理人の中ではすでに固定化されてるので
今後もこんな感じかと思います。
ご期待に添えれば幸いです!