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【咲SS:照菫】 照「…私達が…」菫「…病気?」 【後編】
『菫「…私達が…」照「…病気?」』 【後編】
<あらすじ>
現状を打開するために宮永照更正計画を始動したチーム虎姫。
だが、実際に実行してみると、
意外な結果に…?
前編はこちら。
<登場人物>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子(チーム虎姫,白糸台)
<症状>
依存(症状悪化),狂気
<その他>
※原作キャラ崩壊しています。ご注意を。
※照が人間やめてます。ご注意を。
<キーワード>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子,チーム虎姫,白糸台,SS,咲-saki-
--------------------------------------------------------
『 ■ 宮永照更正計画のお知らせ ■
宮永照の弘世菫依存症を軽減するために
チーム虎姫主導で更正計画を実施します。
実施中は混乱が予想されるため、
宮永照、弘世菫の両人から
距離を取るようにお願いします。
<計画実行期間>
○月◇日から一週間
<責任者>
渋谷尭深
<お願い事項>
・本件は部外に漏らさないようにお願いします。
・オーラ耐性が強く、計画に協力してもよい部員は
当日A指導室に集まってください。
※問題が発生する恐れがあります。
理解のある部員だけ集まってください
渋谷 尭深』
部員B「…え?何これ。大丈夫なの?」
部員C「大丈夫なわけないでしょ。
近づくなって書いてあるし」
部員D「怖い…宮永先輩怖い…」
部員A「というか、問題発生前提って」
部員E「…まぁいざとなったら
虎姫が何とかするでしょう。
あそこは魔物の巣窟だし」
--------------------------------------------------------
照「た…大変なことになった」
菫「まぁ仕方ないだろう。
実際、周りに迷惑かけていたわけだし」
照「なんで菫はそんなに落ち着いてるの…!
私達、強制的に離れ離れにされちゃうんだよ?」
菫「いやいや、離れ離れって言っても
学校にいる間だけだし、家では一緒だろう?」
照「菫は学校にいる間息を止められるの!?」
菫「…それは無理だが」
照「つまりそういうことだよ!」
菫「…じゃぁこうしよう、照。
この一週間、周りに迷惑をかけなかったら…」
照「かけなかったら?」
菫「何か一つ言う事を聞いてやる」
照「……何でも?」
菫「まぁ、私にできることであれば何でも」
照「名前とか彫っていい?」
菫「…どこに彫る気だ」
照「…腕とかは?」
菫「却下だな。見られると大騒ぎになる」
照「見られないと意味ないじゃない」
菫「それがお前のしわざだとバレたら
私たちは強制的に引き離されることになるぞ」
照「…むぅ…じゃぁ、お腹にする」
菫「まぁそれならいいだろう」
--------------------------------------------------------
淡「今日からテル更正計画かー。
大丈夫そうなの?」
尭深「…多分、ものすごい荒れると思う」
誠子「ほとんどショック療法だからなぁ。
まぁ最悪、吹っ飛ばされるくらいは
覚悟しておかないと」
尭深「…とりあえず、宮永先輩の方は
誠子ちゃんと淡ちゃんよろしくね。
弘世先輩の方は私がご一緒するから」
淡「お任せあれ!」
誠子「なんか不安になるからやめろ」
菫「照、大丈夫か?最初はたった1時間だからな」
照「うん、名前のためにも頑張る」
淡「名前って?」
菫「何、こっちの話だ」
--------------------------------------------------------
尭深「…今日は掲示板にあったように、
宮永先輩の改善計画の実施初日です」
誠子「この指導室には、比較的オーラ耐性が強く、
かつ志願してくれた人のみ集まってもらっています」
淡「皆さんご協力ありがとうございます!」
尭深「…おそらく今日は何かしら
騒動が発生すると思いますが、
宮永先輩と弘世先輩のために
どうかお力を貸してください」
淡「何かあったら即避難してくださいね!」
誠子「それでは、二部屋に分かれて
練習を開始してください!」
----------------------------
【5分経過】菫サイド
----------------------------
そわそわ
菫「なぁ、尭深。照の様子を見てきていいか?」
尭深「…まだ5分も経ってませんよ?」
そわそわ
菫「でも、ほら。前は4分で
限界だったんだぞ?」
尭深「…事前に申告済みなら多少は
大丈夫なんですよね?」
そわそわ、そわそわ
菫「だが、いつもなら一緒にいる時間に
確定で一時間会えないというのは
前代未聞だぞ」
尭深「…何か起きるとは思いますが、
ある程度は織り込んでます」
----------------------------
【5分経過】照サイド
----------------------------
照「……」
淡「テルー、大丈夫?」
照「…割と大丈夫」
淡「思ったより余裕だね!」
誠子「いやいや、油断するなよ淡。
先輩、もう目のハイライト消えてるから」
----------------------------
【10分経過】菫サイド
----------------------------
うろうろ
菫「10分か…そろそろ
見に行った方がいいだろう?」
尭深「…駄目です。我慢してください」
うろうろうろうろ
菫「だが、しかし…照が、
照が泣いてるかもしれないぞ?
他にも、お菓子が足りなくて
困ってるかもしれない」
尭深「…弘世先輩はお菓子持ってるんですか?」
菫「当たり前だ!いつ照が
欲しがってもいいように常備している!
だから、ほら、な?」
尭深「…もしかして、
弘世先輩の方が重症なのでは…」
----------------------------
【10分経過】照サイド
----------------------------
照「…ちょっときつくなってきた」
ずぉ
誠子「淡!相殺だ!!」
淡「うん!」
ズォッ!
淡「テルー、しっかりして!傷は浅いよ!」
照「淡…菫分が足りない」
淡「菫先輩なら50分後に戻ってくるよ!」
照「あ…あと…50分…も…?
カップラーメン16個分…!?」
淡「あー、そう言われるとなんか長いね!」
誠子「じっ、時間を考えるのはやめましょう!
そのうち必ず会えますから!」
----------------------------
【20分経過】菫サイド
----------------------------
菫「……」
尭深「……」
キィィ…ン
尭深「!?」
部員F「…ぶ…部長のオーラが…」
部員G「…あ…あったかくない…」
菫「…照が。照が寂しがっている気がする」
キィィィイー…ン
尭深「…オーラをしまってください。
宮永先輩ならまだ大丈夫です」
キィィィイー…ン
菫「…だが、しかし…あの照だぞ…?
間違いなく、もう限界が来てるに決まっている」
尭深「…宮永先輩が限界なら、
きっとこっちに来ますから。
入れ違いになったら困りますよ?」
菫「…むう…」
----------------------------
【21分経過】照サイド
----------------------------
ピクン
照「菫が私を呼んでる…」
淡「え?」
誠子「弘世先輩ならまだ指導中ですよ?」
照「ううん、呼んでる。今オーラを出してた」
淡「私は何も感じなかったよ?」
照「淡と私では年季が違う。
私が菫のオーラを感知しそこねるはずがない。
間違いなくこれは菫のオーラ」
ずぉっ
誠子「淡!」
淡「かしこまり!」
ズ
ブォオオオオオオオオオオン!!!!
淡「うわひゃぁっ!?」
誠子「竜巻…っ!」
照「菫…今行くね」
タッ
淡「ちょっ!?テルー!?
テルー、カムバーッック!!」
----------------------------
【22分経過】菫サイド
----------------------------
ガタッ!
菫「!?」
尭深「…どうしました?」
菫「…照のオーラが近づいてきている…!」
尭深「…!?」
菫「やっぱりあいつには耐えられなかったんだ!
迎えに行ってやらなければ!!」
尭深「…駄目です!」
菫「すまないが、邪魔をしないでくれないか!!」
キィィィ…キィイーーーーン!
部員H「きゃぁああっ!!」
部員G「あっ…あったかくないぃっー!!」
尭深「先輩!?…皆さん、
つらい人は避難してください!」
菫「照!今行くぞ!!」
ダッ!
尭深「…って先輩!?先輩!!
戻ってください!先輩!!」
--------------------------------------------------------
照「菫っ!!」
菫「照っ!!」
ぎゅっ…!
照「菫っ…菫っ…!」
菫「…よしよし。よく頑張ったな」
淡「よく頑張ってないよ!?
無念のリタイアだよ!!」
誠子「弘世先輩もな」
尭深「…タイム、22分…大失敗ですね…」
--------------------------------------------------------
淡「……」
尭深「……」
誠子「……」
照「……」
菫「……」
尭深「…えー、では、反省会を始めます」
菫「…22分なら、初回にしては
なかなかいいタイムなんじゃないか?」
誠子「いつからタイム制の競技になったんですか」
淡「まさか菫先輩の方が先に駄目になるとはねー」
尭深「…私も、弘世先輩がここまで
重症とは思いませんでした」
菫「…すまん。正直自分でも驚いている」
誠子「というか、30分くらいなら取材とかで
普通に離れてる時ありますよね?」
菫「いや、1時間確定で会えない…
と最初から知っているとどうもな」
照「でも私はうれしい。菫の愛を再確認できた」
菫「けがの功名だな」
誠子「いやいや、そういう主旨じゃありませんから」
尭深「…まぁ、確かに今日は初日ですし…
少しずつ頑張っていきましょうか」
----------------------------
【2日目】25分
----------------------------
菫「照が呼んでいる!!」
誠子「ちょっ!?」
----------------------------
【3日目】31分
----------------------------
照「菫分が切れた」
尭深「…待ってください!」
----------------------------
【4日目】32分
----------------------------
照「そうだ、菫のとこ、行こう」
淡「京都!?」
----------------------------
【5日目】34分
----------------------------
照「もう、ゴールしてもいいよね…?」
誠子「あー、はい、
行ってきてください…」
--------------------------------------------------------
尭深「…結局、5日目で最長34分ですか…」
淡「まるで成長していない…!」
照「このままやっても埒(らち)が明かないんじゃない?」
淡「本人が言った!?」
菫「まぁ、だが…確かにな」
誠子「一応、治す気はあるんですよね?」
照「?ないけど?」
淡「言い切った!?」
尭深「…弘世先輩もですか?」
菫「いや、私は周りに迷惑をかけるのは
本意ではないんだが…
実際あの状況に置かれると、どうもな」
菫「…うん、そうだな。
確かにこのままでは申し訳ない。
皆、後は私に任せてくれないか」
尭深「…何か策があるんですか?」
菫「…まぁ、無くもない」
照「…菫?」
菫「大丈夫。お前も納得する方法だ」
淡「だってさー。たかみー、どうする?」
尭深「…まぁ、確かに今のままだと
これ以上の進展は難しそうだし…」
誠子「…じゃぁ、一度お任せしますか」
菫「ああ、任せてくれ。必ず改善してみせる」
--------------------------------------------------------
照「…菫、本当にいいの?
これ、一度やったら後から元に戻せないよ?」
菫「私はかまわない。
それとも、お前はいやか?」
照「…私は、菫がいいなら…そうしたい」
菫「…なら問題ないさ…始めよう」
ずるるるる…
照「…菫…はいるよ…?」
菫「……あぁ」
ずっ…ずずっ…ずぷりっ
菫「…あっ…ぐっ…」
照「…んっ…すみれっ…、だいじょうぶっ…?」
菫「…まだっ…だいじょう…ぶ」
ずずずずっ…ずぶっ…
菫「…てっ…てるっ…はいっ…たっ…!」
照「…すみ…れっ…いまから……
…『切る』よっ……んっ!!」
ぶちんっ!!
照「…いっっ…!!」
菫「…てっ…てるっ!…だいじょ…ぶ?」
照「…っ!…っ…!……っ!!」
菫「…てっ…てるぅっ…」
照「……だ…い……じょ、うぶっ…!」
ずるんっ……
照「…はぁ…はぁ……
……おわ…た…よ……」
菫「……て…る……
…て…る…
…わたし…の…なか…に…いる?」
照「…うん…それ……わたし…だよ…?
あとは……ねてるうちに……
なじむ……はずだから…
ゆっくり、やすも……」
菫「…うん……よろ…しく…てる…」
照「…こちら…こ…そ」
--------------------------------------------------------
…次の日。
--------------------------------------------------------
菫「みんな、特打ちするよ。
理論系の打ち筋の者はA指導室に来てくれ!」
照「能力系の人は私が教える。C指導室に来て」
--------------------------------------------------------
菫「よし!今日の部活は終了だ!
各自、牌譜を提出して帰っていいよ。お疲れ様」
照「お疲れ様」
部員「お疲れ様でした!!」
バタン
部員B「今日はお二人とも暴れなかったね!」
部員C「うん、指導も今までより
ずっと細かく見てもらえたし…
これからはいつもこうだといいな!」
部員E「でも…なんか違和感を感じたわね…
特に…弘世さんの方に…」
部員B「あ、先輩も感じました?
何か、言葉遣いとか
いつもと違いましたよね?」
部員D「……」
部員A「どうしたの?さっきから
ずっと震えてるけど」
部員D「…どうしてっ……」
部員A「ん?」
部員D「…どうしてっ…
あんなことができるのっ…!?」
部員E「…何のこと?」
部員D「おかしいよっ…あの人たち…
あんなの、おかしい…!」
部員D「狂ってるっ…!!」
--------------------------------------------------------
菫「どうだ?やればできるでしょ?」
照「できるでしょ?」
淡「あ、いや…確かに劇的に改善されてるんだけど…」
誠子「えーっと…」
尭深「…一体、何をしてしまったら…
『そう』、なるんですか…?」
照「私のオーラの一部を切り離して菫の中に注入した」
淡「えぇっ!?」
誠子「そんなこと、できるもんなんですか!?」
照「私はほら、宮永家だから」
菫「まぁそういうわけで、今は私の中で照が息づいている」
照「もう、私たちは離れていても一人じゃない」
菫「私の中の照と意識を共有できるから」
照「だから、距離が離れるくらい大丈夫」
淡「……」
誠子「……」
尭深「……」
菫「どうした?」
淡「えと…それって…その…
デメリットは、ないの?」
照「正直いっぱいある」
淡「あるの!?」
尭深「…もしかして…
オーラって、魂みたいなものだから…」
菫「うん。ちょっと、自分が照なのか
菫なのか時々わからなくなる時があるかも」
照「私の方はオーラを欠損したから
体力が著しく落ちた」
誠子「どっちも大事じゃないですか!?」
菫「後は、私が交通事故とかで死ぬと
照も一緒に死んでしまうことになるな」
照「まぁでもそこは、どのみち
菫が逝ったら私も後を追うから、
別にデメリットにはならないよ」
淡「テルー…!」
尭深「…なんてことを…!」
誠子「すいませんっ…!私たちが…私たちが、
余計なことをしたばっかりに…!!」
照「…?」
菫「…あ、いや…何か深刻な
雰囲気になっているところ悪いんだけど…」
菫「これ…そんな騒ぎ立てるほどのことか?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
『ヒーローインタビュー!!
今日は、大将で起用されて、大逆転で見事チームを
勝利に導いた弘世菫選手にお越しいただきました!』
いやー弘世選手、今日は大活躍でしたね!!』
『ありがとうございます!』
『弘世選手というと、いつもは
まるでスナイパーのように
相手を狙い打つ打ち筋が印象的ですが、
今日は違いましたね!』
『そうですね…今日は圧倒的火力が必要だったので、
少し照の力を借りました』
『そうそう!今日は確かに、
「まるで宮永選手そのもの」でしたね!
弘世選手は時折宮永選手のような打ち筋を見せますが…
一体どうしたらそんなことが可能なんですか?』
『…ああ、あれはけっこう簡単ですよ?』
『…ただ……私の中の照に任せるんです』
--------------------------------------------------------
『…ただ……私の中の照に任せるんです』
誠子「宮永先輩も…弘世先輩も…
結局治らなかったな」
尭深「うん…むしろ、
悪化しちゃってる気がする」
淡「…いいんじゃない?
二人とも幸せそうだし。
二人にはあれが正解だったんだよ」
淡「…だって、ほら」
淡「テルも菫先輩も、
あんなに笑顔なんだもん」
(完)
<あらすじ>
現状を打開するために宮永照更正計画を始動したチーム虎姫。
だが、実際に実行してみると、
意外な結果に…?
前編はこちら。
<登場人物>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子(チーム虎姫,白糸台)
<症状>
依存(症状悪化),狂気
<その他>
※原作キャラ崩壊しています。ご注意を。
※照が人間やめてます。ご注意を。
<キーワード>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子,チーム虎姫,白糸台,SS,咲-saki-
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『 ■ 宮永照更正計画のお知らせ ■
宮永照の弘世菫依存症を軽減するために
チーム虎姫主導で更正計画を実施します。
実施中は混乱が予想されるため、
宮永照、弘世菫の両人から
距離を取るようにお願いします。
<計画実行期間>
○月◇日から一週間
<責任者>
渋谷尭深
<お願い事項>
・本件は部外に漏らさないようにお願いします。
・オーラ耐性が強く、計画に協力してもよい部員は
当日A指導室に集まってください。
※問題が発生する恐れがあります。
理解のある部員だけ集まってください
渋谷 尭深』
部員B「…え?何これ。大丈夫なの?」
部員C「大丈夫なわけないでしょ。
近づくなって書いてあるし」
部員D「怖い…宮永先輩怖い…」
部員A「というか、問題発生前提って」
部員E「…まぁいざとなったら
虎姫が何とかするでしょう。
あそこは魔物の巣窟だし」
--------------------------------------------------------
照「た…大変なことになった」
菫「まぁ仕方ないだろう。
実際、周りに迷惑かけていたわけだし」
照「なんで菫はそんなに落ち着いてるの…!
私達、強制的に離れ離れにされちゃうんだよ?」
菫「いやいや、離れ離れって言っても
学校にいる間だけだし、家では一緒だろう?」
照「菫は学校にいる間息を止められるの!?」
菫「…それは無理だが」
照「つまりそういうことだよ!」
菫「…じゃぁこうしよう、照。
この一週間、周りに迷惑をかけなかったら…」
照「かけなかったら?」
菫「何か一つ言う事を聞いてやる」
照「……何でも?」
菫「まぁ、私にできることであれば何でも」
照「名前とか彫っていい?」
菫「…どこに彫る気だ」
照「…腕とかは?」
菫「却下だな。見られると大騒ぎになる」
照「見られないと意味ないじゃない」
菫「それがお前のしわざだとバレたら
私たちは強制的に引き離されることになるぞ」
照「…むぅ…じゃぁ、お腹にする」
菫「まぁそれならいいだろう」
--------------------------------------------------------
淡「今日からテル更正計画かー。
大丈夫そうなの?」
尭深「…多分、ものすごい荒れると思う」
誠子「ほとんどショック療法だからなぁ。
まぁ最悪、吹っ飛ばされるくらいは
覚悟しておかないと」
尭深「…とりあえず、宮永先輩の方は
誠子ちゃんと淡ちゃんよろしくね。
弘世先輩の方は私がご一緒するから」
淡「お任せあれ!」
誠子「なんか不安になるからやめろ」
菫「照、大丈夫か?最初はたった1時間だからな」
照「うん、名前のためにも頑張る」
淡「名前って?」
菫「何、こっちの話だ」
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尭深「…今日は掲示板にあったように、
宮永先輩の改善計画の実施初日です」
誠子「この指導室には、比較的オーラ耐性が強く、
かつ志願してくれた人のみ集まってもらっています」
淡「皆さんご協力ありがとうございます!」
尭深「…おそらく今日は何かしら
騒動が発生すると思いますが、
宮永先輩と弘世先輩のために
どうかお力を貸してください」
淡「何かあったら即避難してくださいね!」
誠子「それでは、二部屋に分かれて
練習を開始してください!」
----------------------------
【5分経過】菫サイド
----------------------------
そわそわ
菫「なぁ、尭深。照の様子を見てきていいか?」
尭深「…まだ5分も経ってませんよ?」
そわそわ
菫「でも、ほら。前は4分で
限界だったんだぞ?」
尭深「…事前に申告済みなら多少は
大丈夫なんですよね?」
そわそわ、そわそわ
菫「だが、いつもなら一緒にいる時間に
確定で一時間会えないというのは
前代未聞だぞ」
尭深「…何か起きるとは思いますが、
ある程度は織り込んでます」
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【5分経過】照サイド
----------------------------
照「……」
淡「テルー、大丈夫?」
照「…割と大丈夫」
淡「思ったより余裕だね!」
誠子「いやいや、油断するなよ淡。
先輩、もう目のハイライト消えてるから」
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【10分経過】菫サイド
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うろうろ
菫「10分か…そろそろ
見に行った方がいいだろう?」
尭深「…駄目です。我慢してください」
うろうろうろうろ
菫「だが、しかし…照が、
照が泣いてるかもしれないぞ?
他にも、お菓子が足りなくて
困ってるかもしれない」
尭深「…弘世先輩はお菓子持ってるんですか?」
菫「当たり前だ!いつ照が
欲しがってもいいように常備している!
だから、ほら、な?」
尭深「…もしかして、
弘世先輩の方が重症なのでは…」
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【10分経過】照サイド
----------------------------
照「…ちょっときつくなってきた」
ずぉ
誠子「淡!相殺だ!!」
淡「うん!」
ズォッ!
淡「テルー、しっかりして!傷は浅いよ!」
照「淡…菫分が足りない」
淡「菫先輩なら50分後に戻ってくるよ!」
照「あ…あと…50分…も…?
カップラーメン16個分…!?」
淡「あー、そう言われるとなんか長いね!」
誠子「じっ、時間を考えるのはやめましょう!
そのうち必ず会えますから!」
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【20分経過】菫サイド
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菫「……」
尭深「……」
キィィ…ン
尭深「!?」
部員F「…ぶ…部長のオーラが…」
部員G「…あ…あったかくない…」
菫「…照が。照が寂しがっている気がする」
キィィィイー…ン
尭深「…オーラをしまってください。
宮永先輩ならまだ大丈夫です」
キィィィイー…ン
菫「…だが、しかし…あの照だぞ…?
間違いなく、もう限界が来てるに決まっている」
尭深「…宮永先輩が限界なら、
きっとこっちに来ますから。
入れ違いになったら困りますよ?」
菫「…むう…」
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【21分経過】照サイド
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ピクン
照「菫が私を呼んでる…」
淡「え?」
誠子「弘世先輩ならまだ指導中ですよ?」
照「ううん、呼んでる。今オーラを出してた」
淡「私は何も感じなかったよ?」
照「淡と私では年季が違う。
私が菫のオーラを感知しそこねるはずがない。
間違いなくこれは菫のオーラ」
ずぉっ
誠子「淡!」
淡「かしこまり!」
ズ
ブォオオオオオオオオオオン!!!!
淡「うわひゃぁっ!?」
誠子「竜巻…っ!」
照「菫…今行くね」
タッ
淡「ちょっ!?テルー!?
テルー、カムバーッック!!」
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【22分経過】菫サイド
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ガタッ!
菫「!?」
尭深「…どうしました?」
菫「…照のオーラが近づいてきている…!」
尭深「…!?」
菫「やっぱりあいつには耐えられなかったんだ!
迎えに行ってやらなければ!!」
尭深「…駄目です!」
菫「すまないが、邪魔をしないでくれないか!!」
キィィィ…キィイーーーーン!
部員H「きゃぁああっ!!」
部員G「あっ…あったかくないぃっー!!」
尭深「先輩!?…皆さん、
つらい人は避難してください!」
菫「照!今行くぞ!!」
ダッ!
尭深「…って先輩!?先輩!!
戻ってください!先輩!!」
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照「菫っ!!」
菫「照っ!!」
ぎゅっ…!
照「菫っ…菫っ…!」
菫「…よしよし。よく頑張ったな」
淡「よく頑張ってないよ!?
無念のリタイアだよ!!」
誠子「弘世先輩もな」
尭深「…タイム、22分…大失敗ですね…」
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淡「……」
尭深「……」
誠子「……」
照「……」
菫「……」
尭深「…えー、では、反省会を始めます」
菫「…22分なら、初回にしては
なかなかいいタイムなんじゃないか?」
誠子「いつからタイム制の競技になったんですか」
淡「まさか菫先輩の方が先に駄目になるとはねー」
尭深「…私も、弘世先輩がここまで
重症とは思いませんでした」
菫「…すまん。正直自分でも驚いている」
誠子「というか、30分くらいなら取材とかで
普通に離れてる時ありますよね?」
菫「いや、1時間確定で会えない…
と最初から知っているとどうもな」
照「でも私はうれしい。菫の愛を再確認できた」
菫「けがの功名だな」
誠子「いやいや、そういう主旨じゃありませんから」
尭深「…まぁ、確かに今日は初日ですし…
少しずつ頑張っていきましょうか」
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【2日目】25分
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菫「照が呼んでいる!!」
誠子「ちょっ!?」
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【3日目】31分
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照「菫分が切れた」
尭深「…待ってください!」
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【4日目】32分
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照「そうだ、菫のとこ、行こう」
淡「京都!?」
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【5日目】34分
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照「もう、ゴールしてもいいよね…?」
誠子「あー、はい、
行ってきてください…」
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尭深「…結局、5日目で最長34分ですか…」
淡「まるで成長していない…!」
照「このままやっても埒(らち)が明かないんじゃない?」
淡「本人が言った!?」
菫「まぁ、だが…確かにな」
誠子「一応、治す気はあるんですよね?」
照「?ないけど?」
淡「言い切った!?」
尭深「…弘世先輩もですか?」
菫「いや、私は周りに迷惑をかけるのは
本意ではないんだが…
実際あの状況に置かれると、どうもな」
菫「…うん、そうだな。
確かにこのままでは申し訳ない。
皆、後は私に任せてくれないか」
尭深「…何か策があるんですか?」
菫「…まぁ、無くもない」
照「…菫?」
菫「大丈夫。お前も納得する方法だ」
淡「だってさー。たかみー、どうする?」
尭深「…まぁ、確かに今のままだと
これ以上の進展は難しそうだし…」
誠子「…じゃぁ、一度お任せしますか」
菫「ああ、任せてくれ。必ず改善してみせる」
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照「…菫、本当にいいの?
これ、一度やったら後から元に戻せないよ?」
菫「私はかまわない。
それとも、お前はいやか?」
照「…私は、菫がいいなら…そうしたい」
菫「…なら問題ないさ…始めよう」
ずるるるる…
照「…菫…はいるよ…?」
菫「……あぁ」
ずっ…ずずっ…ずぷりっ
菫「…あっ…ぐっ…」
照「…んっ…すみれっ…、だいじょうぶっ…?」
菫「…まだっ…だいじょう…ぶ」
ずずずずっ…ずぶっ…
菫「…てっ…てるっ…はいっ…たっ…!」
照「…すみ…れっ…いまから……
…『切る』よっ……んっ!!」
ぶちんっ!!
照「…いっっ…!!」
菫「…てっ…てるっ!…だいじょ…ぶ?」
照「…っ!…っ…!……っ!!」
菫「…てっ…てるぅっ…」
照「……だ…い……じょ、うぶっ…!」
ずるんっ……
照「…はぁ…はぁ……
……おわ…た…よ……」
菫「……て…る……
…て…る…
…わたし…の…なか…に…いる?」
照「…うん…それ……わたし…だよ…?
あとは……ねてるうちに……
なじむ……はずだから…
ゆっくり、やすも……」
菫「…うん……よろ…しく…てる…」
照「…こちら…こ…そ」
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…次の日。
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菫「みんな、特打ちするよ。
理論系の打ち筋の者はA指導室に来てくれ!」
照「能力系の人は私が教える。C指導室に来て」
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菫「よし!今日の部活は終了だ!
各自、牌譜を提出して帰っていいよ。お疲れ様」
照「お疲れ様」
部員「お疲れ様でした!!」
バタン
部員B「今日はお二人とも暴れなかったね!」
部員C「うん、指導も今までより
ずっと細かく見てもらえたし…
これからはいつもこうだといいな!」
部員E「でも…なんか違和感を感じたわね…
特に…弘世さんの方に…」
部員B「あ、先輩も感じました?
何か、言葉遣いとか
いつもと違いましたよね?」
部員D「……」
部員A「どうしたの?さっきから
ずっと震えてるけど」
部員D「…どうしてっ……」
部員A「ん?」
部員D「…どうしてっ…
あんなことができるのっ…!?」
部員E「…何のこと?」
部員D「おかしいよっ…あの人たち…
あんなの、おかしい…!」
部員D「狂ってるっ…!!」
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菫「どうだ?やればできるでしょ?」
照「できるでしょ?」
淡「あ、いや…確かに劇的に改善されてるんだけど…」
誠子「えーっと…」
尭深「…一体、何をしてしまったら…
『そう』、なるんですか…?」
照「私のオーラの一部を切り離して菫の中に注入した」
淡「えぇっ!?」
誠子「そんなこと、できるもんなんですか!?」
照「私はほら、宮永家だから」
菫「まぁそういうわけで、今は私の中で照が息づいている」
照「もう、私たちは離れていても一人じゃない」
菫「私の中の照と意識を共有できるから」
照「だから、距離が離れるくらい大丈夫」
淡「……」
誠子「……」
尭深「……」
菫「どうした?」
淡「えと…それって…その…
デメリットは、ないの?」
照「正直いっぱいある」
淡「あるの!?」
尭深「…もしかして…
オーラって、魂みたいなものだから…」
菫「うん。ちょっと、自分が照なのか
菫なのか時々わからなくなる時があるかも」
照「私の方はオーラを欠損したから
体力が著しく落ちた」
誠子「どっちも大事じゃないですか!?」
菫「後は、私が交通事故とかで死ぬと
照も一緒に死んでしまうことになるな」
照「まぁでもそこは、どのみち
菫が逝ったら私も後を追うから、
別にデメリットにはならないよ」
淡「テルー…!」
尭深「…なんてことを…!」
誠子「すいませんっ…!私たちが…私たちが、
余計なことをしたばっかりに…!!」
照「…?」
菫「…あ、いや…何か深刻な
雰囲気になっているところ悪いんだけど…」
菫「これ…そんな騒ぎ立てるほどのことか?」
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『ヒーローインタビュー!!
今日は、大将で起用されて、大逆転で見事チームを
勝利に導いた弘世菫選手にお越しいただきました!』
いやー弘世選手、今日は大活躍でしたね!!』
『ありがとうございます!』
『弘世選手というと、いつもは
まるでスナイパーのように
相手を狙い打つ打ち筋が印象的ですが、
今日は違いましたね!』
『そうですね…今日は圧倒的火力が必要だったので、
少し照の力を借りました』
『そうそう!今日は確かに、
「まるで宮永選手そのもの」でしたね!
弘世選手は時折宮永選手のような打ち筋を見せますが…
一体どうしたらそんなことが可能なんですか?』
『…ああ、あれはけっこう簡単ですよ?』
『…ただ……私の中の照に任せるんです』
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『…ただ……私の中の照に任せるんです』
誠子「宮永先輩も…弘世先輩も…
結局治らなかったな」
尭深「うん…むしろ、
悪化しちゃってる気がする」
淡「…いいんじゃない?
二人とも幸せそうだし。
二人にはあれが正解だったんだよ」
淡「…だって、ほら」
淡「テルも菫先輩も、
あんなに笑顔なんだもん」
(完)
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と思ってしまいました。
>chemisさん
原作の怜竜がすごすぎるのです(苦笑)
あれも普通なら十分ツッコミ対象だと思います。