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【咲SS:咲久】ヤンデレごっこ 【中編】

『ヤンデレごっこ』【久咲,咲久】 【中編】

前編はこちら。

<あらすじ>
罰ゲーム麻雀の罰ゲームである
ヤンデレごっこを続ける久と咲。
最初はゆるかった咲の行動は、
久の自業自得で少しずつ重さを増していって…

<登場人物>
宮永咲,竹井久,片岡優希,原村和,染谷まこ

<症状>
少しずつヤンデレ。

<その他>
※特になし。

<キーワード>
宮永咲,竹井久,染谷まこ,原村和,片岡優希,清澄,久咲,咲久,染谷まこ,SS,咲-saki-

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私はこっそりと部室を抜け出すと、
ずっと前から学生議会室に
置きっぱなしになっていた
『それ』を取って足早に戻ってくる。

そして、咲が一人になった時を見計らって…


「さーきっ、これ、プレゼント!」


にこやかに声をかけながら、
私は咲にある包みを手渡した。


「わわっ、ぶ、部長!?
 えっと…これ、なんですか?」

「開けてごらんなさい」


突然の私の登場に驚きながらも、
言われるがままに
包みを広げた中から出てきたものは、
一台の携帯電話。


「携帯でしたー」

「い、いやいや、
 こんなの受け取れませんよ!」


わたわたと咲がつき返してくる。
でも、ここで引く私じゃないわよ?


「あぁ、大丈夫よ。
 これ、プリペイド携帯だから」

「プリペイド…携帯?」

「簡単に言えば、使った分だけ
 お金を払う携帯電話ね。
 月額料金とかかからないし、
 一定期間でメールしかしないなら
 ほとんどお金もかからないわ。
 元々私が前に使って
 余らせてたやつだから
 遠慮はいらないわよ」

「で、でも…」


それでも躊躇している咲。
うーん、やっぱり使ったことがないと
尻込みしちゃうか。
よし、ここはもうひと押し!


「ねぇ、咲?」

「なんですか?」

「今日、咲から手紙もらったでしょ?
 正直に言うとね、
 私、すっごいドキドキした」

「は、はい…」


私の告白に、咲は恥ずかしそうに
目を伏せてもじもじする。
でも、まんざらでもなさそうな感じ。


「でね…もっとほしいなーって
 思っちゃったのよね。
 でも、やっぱり手紙だと大変だし、
 回数も減っちゃうじゃない?」

「そうですね…」

「だからね、これを使って、
 メールとかいっぱい送ってほしいなって。
 咲の文章、もっと読みたいの。
 …どう?」

「…ひ、一つ、
 聞いてもいいですか?」

「なぁに?」

「わ、私の告白…ドキドキしたって…
 本当ですか?」

「今日の私の様子見たならわかるでしょ?
 正直、穴があったら入りたいくらい
 動揺してた自信があるわ」

「あ、あはは…」


目を背けて、取り繕うように
苦笑しながらも、どこか咲は嬉しそう。
そして、「うん」、と気合を入れると、
私に正面から向き直った。


「わかりました!
 この携帯、一週間お借りします!」

「そう!ありがとう!
 別にもらってくれてもいいのよ?」

「そ、そこまでは逆に…
 気を遣っちゃいますから…」

「そか。じゃぁ、改めてよろしくね!」

「はい!!」


携帯電話の包みを大切そうに
ぎゅっと包み込みながら、
咲が満面の笑みを向ける。

その混じりっ気なし100%の笑顔に、
私はまたもや不覚にも
ドキッとしてしまった。

これを演技でやってるんだとしたら、
相当の役者よねぇ…
咲、おそるべし。


私はしみじみそう思いながら、
咲に携帯電話の使い方を教え始めた。



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そんなわけで、とりあえず咲に
携帯を持たせることに成功した。

言うまでもなく、これには理由がある。
それは、こちらからも攻撃を仕掛けるため。

手紙を受け取るだけだと防戦一方だし、
かといって私に咲みたいな手紙を
書くのはちょっと厳しい。

でも、メールだったら双方向だし、
手紙よりずっと気軽に送れる。
これで、砂を吐くくらい
甘ったるいメールを送って
咲を悶絶させてやるわ!


ピロリロリン♪


と、言ったそばからメール着信。
送り主は…さっそく咲か。


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部長が私の言葉をいっぱい欲しいと言って
くれて、本当にうれしかったです。私も、
部長がドキドキしてくれたと聞いてすごく
ドキドキしちゃいました。これから、いっ
ぱいメール送りますね!
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…なんだか、本当に
付き合い始めのカップルみたい。

読んでいて思わず
体がぽかぽかしてきちゃうけど、
こちらもやられっぱなしのつもりはない。


カチカチカチカチ…
送信!

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よろしくね。実は私も誰かと付き合うのは
初めてだから、こういうやりとりは
新鮮で、すっごく楽しいわ。
手紙ではやられてばっかりだったけど、
今度はこっちからも送っちゃうから
覚悟しなさい!
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このメール受け取った咲は
どんな反応をするのかしら?


ピロリロリン♪


-----------------------------------------
はい!私も部長の告白メール
いっぱいほしいです!

部長が付き合うの初めてって本当ですか?
部長ってすごく素敵だから絶対に
付き合ったことがあると思ってました。
でも、私が初めてだとしたら
素直にうれしいです。
本当に私でいいのかな?って
思っちゃうくらい。
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おぉ、もう改行を覚えたか。
しかし、あいもかわらず
ムズムズさせてくれるわね…

というか、完全にカップルみたいに
なってるけど、ヤンデレ(被害者)なんだから
受け入れちゃったら
ヤンデレごっこの意味ないわよね…
まぁいいか。


カチカチカチッ。

……


ピロリロリン♪

カチカチカチッ。

……


ピロリロリン♪

カチカチカチッ。

……


ピロリロリン♪

カチカチカチッ。

……


咲のメールに、私が返して。
私のメールに、咲が返して。


なかなか終わらないメールの
キャッチボール。


「うわ、もうこんな時間!?」


気づいたころには、
時計の針が夜の1時を回っていた。


その日、私たち二人が交わしたメールは、
全部で156件。


…私達って、もしかして
けっこうヤンデレの素質あるのかしら。

そんなことを考えて苦笑しながら、
咲におやすみメールを送ると、
私はようやく遅い眠りに入った…



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次の日。




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「部長!おはようございます!
 これ、今日一通目の手紙です!」

下駄箱のところで私を待ち構えていた咲が、
当たり前のように私に手紙を手渡してきた。


「えーと…咲、これ、いつ書いたの?」

「部長とのメールのやりとりが
 終わった後ですけど」


最後のメールを送った時には
夜中の1時を軽く過ぎていたんだけど。


「…もしかして、今日も5通書いてたり?」

「はい!」


当然と言わんばかりに咲が答える。
よく見たら、咲の目にはうっすらと
クマができていた。


やっちゃったわ…


…言われてみれば、確かに
メールを始めるからといって
手紙はなしとは言ってなかった。


「え、と…どうかしましたか?」


黙り込んでしまった私に不安を感じたのか、
咲がおどおどと様子をうかがってくる。


「咲、ごめんね…無理させちゃったわね」

「え?何がですか?」

「いやだって、あんな遅くまで
 メールしてたのに、
 その上手紙まで書かせちゃって…」

「あぁ、そういうことなら
 全然問題ないですよ?
 私が好きでやったことですし」


こともなげに咲が答える。
その言葉に、どこか違和感を感じた。


私が…好きでやったこと?


「はい。もっと、
 部長に喜んでほしいですから!」


目にクマを浮かべながら、
咲はにっこりと微笑む。
その笑顔には、どこか異様な凄みがあって。
私はなぜか、ぞくりと
鳥肌が立つのを抑えられなかった。



--------------------------------------------------------



2日目にして、若干ヤンデレの様相を
呈してきた気がする。

咲が届けてきた手紙は、
なんと複数ページにまたがる大作だった。

さらに、お昼には昨日のご馳走に負けず劣らず
気合の入った弁当が渡された。

手紙とこれを作った時間を考えたら、
ほとんど徹夜状態だったんじゃない?

なんて私の問いかけに対して、咲は


「…ちょっと、張り切っちゃって」


なんて、はにかみながら答えたのだった。
…これ、ちょっとっていうレベルじゃないんだけど…


あれ?咲ってもしかして、
けっこう素でヤンデレ気質だったりする?



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…放課後。




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若干の寝不足のために、
ぼーっとしながら廊下を歩いていると、
前方にふらふらと歩く咲を見つけた。

咲は私以上に重症で、足元すらおぼつかない感じ。
あっちにこっちに、壁にぶつかりそうになりながら、
かろうじて進んでいるっていう感じだった。


「…咲?」

「あ、部長、こんにちは」


私の声に、振り向いた咲の顔は真っ青で。
明らかに血が足りてない感じ。


「やっぱり無理してたのね…」

「あはは…ちょっと、
 寝不足なのは確かですね…」


お昼に一緒にいた時は
そこまででもなかった気がしたんだけど。
一気に疲れが押し寄せてきたんだろうか。

見てるこっちが心配になるくらいなのに、
それでも、咲はふにゃりと笑顔を見せて。


「…あ、部長。これ、今日最後の手紙です」


なんて、ふらふらしながら手紙を渡してくる。
うん、駄目だこの子。
自分の体調のことわかってない。


「咲、レフェリーストップ」

「え?何がですか…
 って、わっ、部長!?」


有無を言わさず咲をお姫様抱っこする。
うっ、睡眠不足にこの重たさはきつ…
きつくない!頑張れ私!


「さ、行くわよ」

「部長、な、なんで急に…!?
 は、恥ずかしいですよっ」

「だってあなた、もう歩くのも限界でしょ?」

「そ、そんなことないですよ!
 ちゃんと自分で歩けます!」

「はいウソ。さっきも真っ直ぐ
 歩けてなかったじゃない」


抗議する咲を華麗に無視。
だって、もうこれ以上
今の咲に頑張らせるわけにはいかないもの。

よたよたと部室まで抱っこを続けると、
そのまままっすぐベッドに向かって…
シーツの上に「とすん」と咲を優しくおろす。


「じゃぁ、おやすみなさい」

「ぶ、部長…?」

「いーから寝なさい。もう限界なんでしょ?」


そう言いながら、
私は布団をかけてあげようとする。
したんだけど…


「…待ってくださいっ…!」


気がつけば、その手は
咲の小さな手に引っ張られていた。

不意打ちをくらった私は、
そのまま咲が寝るベッドに倒れ込んでしまう。


「ちょ、ちょっと、咲?」

「…だって…寝不足なのは、部長もですよね…?」

「ま、まぁそうだけど…」

「だったら…私と一緒に眠ってくれませんか?」


なんて言いながら、
至近距離で私を見つめる咲。

そんなとろんとした瞳で見つめられると
なんだか変に誘惑されている気分になってしまう。


「一人で寝るのも、味気ないですし…
 …駄目ですか?」


あーもう、今週はこの子に
調子狂わされっぱなしだわ…


「しかたないわね…襲っちゃ駄目よ?」


なんて茶化しながら、咲のことを抱き寄せて、
頭をやさしく撫でてあげる。


「これ、襲ってるの、
 部長の方じゃないですか…」


咲はそう言って微笑みながら、私の中で目を閉じる。
咲の体から、ゆっくりと力が抜けていくのがわかる。

…あぁ、私もどうやら限界みたい。
 すっごく眠くなってきた。


「…おやすみ、咲」

「…おやすみなさい、部長…」


ほどなくして、腕の中から
咲のかわいい寝息が聞こえてくる。

その寝息に安らぎを感じながら、
私もひと時の眠りについた。



……


……



「こ、これはどういうことですか!?」

「部長と咲ちゃんが一夜の過ちを犯してるじぇ!?」



なんて、憤りに肩を震わせるピンクの物体と、
なんかタコス臭い物体に起こされるまで。


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結局、ヤンデレごっこは留まる事を知らず、
少しずつエスカレートしていった。


「無理してるんじゃなくて、
 私が好きで手紙を書きたいんです」


メールだけでいいって言った私に対して、
咲は、手紙も続けることを主張して。


「メール、楽しいです!
 いつも部長と一緒にいるみたいです!」


メールの件数は、増加の一途をたどる一方で。


「これ、今日のお弁当です。
 今日はちょっと張り切っちゃいました!」


お弁当の豪華さは、さらにグレードを増していった。


そんな咲の攻勢に、正直ちょっと
ゾクリと背筋が粟立つこともあったけど。
この際だから、もう割り切って楽しむことにした。

そのせいか、咲との距離は
前よりずっと近くなった気がする。


「はい部長、今日の手紙です!」

「ありがと。後で読ませてもらうわね」

「今、読んでもらえませんか?」

「…え?」

「部長が喜ぶところ、見たいですから…」

「そ、そっか…でも、読んでるとこ見られるの、
 正直恥ずかしいんだけど…」

「…恥ずかしがる部長も見たいです」


以前はどこか私に気を遣うように
話していた咲が、気を許して
積極的な姿を見せてくれるようになった。

…ちょっと積極的すぎるような気もするけど。


そんな咲の様子を目の当たりにしていると、
最初感じていた疑惑が再度頭をもたげてくる。



…ねぇ、咲。

これって…『ごっこ』なのよね?



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ヤンデレごっこ最終日。
咲と私は、一緒に私の家でまったりとくつろいでいた。


「せっかく土日一緒なんて縛りがあるんだから、
 どこか遊びに行こうか?」


って誘った私に対して、咲が、


「じゃぁ、部長のおうちに行きたいです」


なんて答えるから。
私たちは特に何をするでもなく
二人でだらだらと一日を過ごしている。


「今日で、ヤンデレごっこも終わりですね」

「そうねぇ、終わってみると、
 けっこうあっという間だったわね」


照れくさかったり、恥ずかしかったり。
ドキドキしたり、ゾクゾクしたり。
いつもよりずっと短い一週間だった。

この一週間を思い起こしていると、
ふと咲がつぶやくように一言。


「…もう少しヤンデレっぽくしても
 よかったかもですね」

「えーと…十分ヤンデレしてたと思うけど?」


それは、いきなりの爆弾発言。
…この子は一体何を言い出すのかしら。


「えーと…実は、その…」

「その?」

「ちょっと、物足りなかったかな、って…」


わーお。

咲さんのさらなる爆弾発言。
あれだけヤンデレったのに、
まだ物足りないと申しますか。
これにはさすがに絶句するしかない。
それでも咲は止まらない。


「…もし私が、もっとヤンデレっぽくなったら、
 部長は、受け入れてくれますか?」


う、うーん…


正直、今回のごっこでも
ドキリとさせられることが結構あった。
これ以上…と言われると…
本気で怖くなっちゃうかも。


でも…でも。


ぞくりと全身を走る悪寒に、恐怖以外の何かを
感じている私がいるのも事実で。

つい、私は余計な一言をこぼしてしまう。


「…もし私がまた負けて、
 かつ同じ罰ゲームを引いたら、考えてあげるわ」

「楽しみにしておきますね?」

「…言っとくけど、私だって
 もう負けるつもりはないわよ?」

「…楽しみに、しておきますね?」


私の顔を正面から見据えながら、
咲がにっこりと微笑んだ。
その笑顔は、否定を決して許さない
強さを持っていて。
私は、こう思わざるをえなかった。


あぁ、私は。

とんだ過ちを犯してしまったのかもしれない。




(…続く)
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posted by ぷちどろっぷ at 2014年08月08日 | Comment(5) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
待ってました!
この後の展開は咲さん無双ですね(笑)
Posted by at 2014年08月08日 17:59
いいゾ…
Posted by at 2014年08月08日 19:57
ハラショーでした
Posted by at 2014年08月08日 20:20
続きが気になります!
Posted by at 2014年08月09日 12:57
ありがとうございます。
明日には最終編がアップできるのです。
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年08月09日 23:55
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