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【咲SS:咲久】ヤンデレごっこ 【後編】

『ヤンデレごっこ』【久咲,咲久】 【後編】

<あらすじ>
一度は円満に幕を閉じたヤンデレごっこ。
でも、久がうっかり次に繋がるような発言を残したことで、
事態はさらなる進展をむかえる。

長い罰ゲームが終わるその時、いびつな二人の関係は、
見事無事に元に戻るのか…?

前編はこちら。
中編はこちら。

<登場人物>
宮永咲,竹井久,片岡優希,原村和,染谷まこ,天江衣

<症状>
ヤンデレ。

<その他>
※咲が原作と著しく異なります。キャラ崩壊注意。

<キーワード>
宮永咲,竹井久,染谷まこ,原村和,片岡優希,天江衣,清澄,久咲,咲久,SS,咲-saki-


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「あーもうっ!完敗よ、完敗!」


私は白旗を上げて卓上に突っ伏した。
あれ…?私、先週も同じようこと言ってなかったけ…?

でも、今回は前回とはわけが違う。
今回の戦いは、それこそ
自らの進退を賭すくらいの
真剣さで臨んだのだから。

それは咲も同じだったようで。
始まる前から靴下を脱いで、
入念に椅子の高さを調整して、
足をぺちぺちしながら挑んできた。

勝負は完全に私たちの一騎打ちとなり、
途中までは、一進一退の攻防を
繰り広げたのだけれど…

最後の最後で、


「ツモ!嶺上開花!…三倍満の責任払いです!」


例の反則技が飛び出した。

その目からは稲妻がほとばしり、
腕からは青白い硝煙すら漂っていて…


あなた、どんだけヤンデレしたいのよ!?


と、思わず心の中で
ツッコミせざるを得なかった。


「なんと、まさかの二連敗!!
 さぁ部長!罰ゲームボックスから
 お好みのオーダーを1枚
 引いていただくじぇー!!」


相変わらず3位だった優希が、
前回同様いそいそと罰ゲームボックスを
差し出してくる。


この中には、間違いなく咲の入れた
ジョーカーが入ってるのよね…


単なる余興にすぎない罰ゲームのはずが、
妙な緊張感を感じてしまう。


…落ち着きなさい、竹井久。


咲が書いた罰ゲームは2枚しかない。
2枚とも同じ内容だったとしても、
引く確率は5分の1…
そうそう当たるもんじゃないわ。


「えーい!ままよ!!」


意を決して手をつっこんで、
そのまま勢いよく引き抜いた紙には…






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一週間本気でヤンデレ
(被害者側。加害者は宮永咲)
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脳裏に思い描いていたイメージよりも、
より具体的な内容で絶望が記されていた。

うん、わかってた。負けた時点で、
こうなることは確定だって。

わかってたけどさぁ…
せめて、『ごっこ』の文言は
残しておいてほしかったわ…


「…何ですか、これは…!…ゆーき!?」

「こ、今回は私じゃないじぇ!?」

「…前回より明らかにひどうなっとるな」


手心が一切感じられず、
寒々しさすら伝わってくる罰ゲームに、
若干引き気味の3人。

もっとも、当の本人はどこ吹く風で。


「部長!よろしくお願いしますね!」


なんて、周囲の雰囲気なんか気にすることなく
さわやかに笑いかけてくる。
あ、これもう罰ゲーム始まってるわ。

まぁでも、負けちゃったのは事実だし、
約束しちゃった以上は、
しっかり受け入れてあげないとね…
私は気分を入れかえると、
努めて明るく咲に微笑みかける。


「うん。よろしくね、咲!」

「はい!…じゃぁさっそく、
 携帯チェックさせてください!」


あ、ごめん。いきなりくじけそう。



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「別に見ても面白くはないと思うわよ?」


言いながら、咲に携帯を手渡す。
実際、見られて困るような
やりとりはしていない。
というか、携帯を見られて困る人なんて
そうそういないんじゃないかしら?

でも、携帯を渡された咲は
真剣そのものの表情で
私の携帯をチェックし始める。


「あ、あの…咲さん?何をそんなに
 真剣にチェックしてるんですか?」

「部長の交友関係だよ」

「そんなの調べてどうするのよ」

「部長を狙っている人が
 どのくらいいるのか
 知りたいじゃないですか」

「おぉ…咲ちゃんがガチで
 ヤンデレっぽいじぇ…腕を上げたな!」

「…上がらん方がよかった腕じゃな」

「いやいや、アドレス帳に載ってる人イコール
 私を狙っている人じゃないからね?」


夢中で私の携帯の情報をあさる
咲を横目に、優希が口を挟んでくる。


「でも、ヤンデレごっこするにしても、
 明後日から合宿だじぇ?
 ヤンデレしてる時間なくないか?」


そう。今週は4校同時合宿の開催週。
さすがに罰ゲームなんて
してる場合じゃないのよね。


「まぁ、実際に罰ゲームするのは
 合宿の後になるかしらね」

「え?何言ってるんですか?
 合宿だからこそ
 やるんじゃないですか」

「合宿で何する気なのよ」

「部長に悪い虫がつかないように
 ずっと側で見張ります」


バンッ!


「そ、そんなの無理ですよ!
 天然女タラシの部長が
 耐えられるはずがありません!」


うん、前から気になってたけど
和は私のこと何だと思ってるのかしら?


「でも、部長は私がヤンデレでも
 受け入れてくれるって言ったよ」

「マジですか!?いつのまに
 二人はそんな関係になったんだじぇ!?」

「あの時…二人で同衾した時からですか…
 やはりあの時、とどめを刺しておけば…」


ぶつぶつと物騒なことをつぶやく和。
この空間、ヤンデレ二人いるんじゃない?
というか私、毎週殺害示唆されてるんだけど。


「咲の言うんは、ほんまなんか?」

「あー、うん。まぁ…もし、
 私がまた負けたら考える、
 とは言ったわ」


言ったけど…こんなに一気に
ハードルが上がるとか
ちょっと聞いてないんだけどなぁ。


「…え、えっと…?
 受け入れて、くれるん…ですよね?」


及び腰な私の態度に、
さっきまでの勢いが弱まる咲。
一転して、不安げな表情で
すがるように私を見つめてくる。

あー、この子は…
こういうところがずるいのよ…
そんな目で見られたら
断れるわけないじゃない。


「…心中とかは勘弁してね?」

「あ、はい…そこまではさすがに…」


まぁ、それならいいわ。
受け入れてあげようじゃない。
私は苦笑しながら独りごちる。



「そっか…心中以外ならいいんだ…」



ほっとしたように咲がつぶやく。
え、いやあの…別に心中以外はOK
なんて言ったつもりはないんだけど…

でも、咲があまりにも嬉しそうに
笑みをこぼすものだから、
つい、訂正するタイミングを
逃してしまった。
なんだかんだで甘いなぁ、私。


こうして、なんとも微妙な感じで
落としどころが決まったところで、
私たちのヤンデレ罰ゲームが始まる。



「えと…心中以外ってことは…
 監禁までは大丈夫なんだよね…」



…いや、本気で監禁なんてしないわよね?
信じてるわよ?



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合宿初日。


大人数の中でヤンデレと過ごすのは
想像以上に過酷だということを早くも実感した。


あー、これ、きっついわ…


ただでさえ人の数が大幅に増える上に、
同じ学校で卓を囲んでも仕方ないから、
必然的に他校の生徒との交流が増える。

そうやって私が交流の輪を広げていくたびに、
咲の目から少しずつ光が消えていく。
正直肝が冷えっぱなしだった。


「…なぁ、嶺上使い。お前は打たないのか?」


私の側にずっと寄り添って、
まったく麻雀を打つ気配がない咲に、
同卓していた天江さんがツッコミを入れる。
うんうん。言ってやってちょうだい。


「部長が一緒に打ってくれるなら打つよ」

「…せっかくの交流合宿で
 自分の学校の人と打ってどうするのよ…」

「じゃぁ側にいます」


手ごわい。とはいえ、
いくら咲が強いからと言って
全く打たないというのはさすがに困る。


…そうだ!


「咲、一局打ってきたら軽いごほうびあげるわよ?」

「行ってきます!」


とてとてとて


意外なほどにあっさりと承諾すると、
かわいらしい足音を立てながら遠ざかっていく咲。
なんだ、最初からこうすればよかったんじゃない。

…って、待った待った。
麻雀部員に麻雀を打たせるのに、
なんでアメが必要なのよ。

大きくため息をついていると、
対局しているゆみが問いを投げかける。


「…彼女は一体どうしたんだ?」

「ちょっと部内で罰ゲーム麻雀っていうのをやっててね…
 今は私が罰ゲームで咲に
 ヤンデレられるごっこを執行中なのよ」

「なるほど…それであの偏愛っぷりか」

「ヤンデレとはなんだ?」

「確か…対象の相手を病的なまでに
 深く愛する人を表現する言葉だったと思うけど…」


美穂子がヤンデレについて天江さんに説明すると、
天江さんが何やら考え込むような様子を見せた。


「ふむ…清澄の」

「何?天江さん」

「用心せよ。彼の者は孑然(けつぜん)たることを恐れ
 お前を根之堅州國(ねのかたすくに)の
 淵底(えんてい)に誘う(いざなう)やもしれん」


え、ちょっと…それって、
つまりは無理心中ってこと?


「お、脅かさないでよ…
 大丈夫、ただのごっこ遊びなんだから」


お願い、そう信じさせてちょうだい。


「私も同感だ。あれは単なる『ごっこ』で
 済ませられる雰囲気じゃないぞ。
 モモに通じるものを感じる」

「あなたは東横さんのことを何だと思ってるのよ」

「純然たるヤンデレだと思っている」

「それはそれでどうなの

「ニャーーーーッッッ!!!」

「いっ、池田ァアアアア!!?」


天江さんとゆみから脅されていると、
ふいに後ろの方から断末魔のような叫び声が上がった。
え、何事!?


とてとてとて


叫び声が聞こえた卓からは、
咲が一仕事終えたと言わんばかりに
晴れやかな笑顔を浮かべながら、
足早に歩みを進めてくる。


「部長、一局終わらせてきました!」

「えーと…本当に?」

「東一局四暗刻直撃で終了です」


あー、うん、そうね…
あなたならそのくらいするわよね…


私は再び頭を抱える。
うーん…咲に対抗できそうな相手というと…
龍門渕さんは…残念、あったかそう。
後は、美穂子に、ゆみに、天江さん…
駄目だ、今私が独占してるメンバーじゃない。


「よーし、咲。オーラス以外上がっちゃダメ。
 で、オーラスで1位をまくれたら膝枕してあげるわ!」

「いやです。リスクとリターンが釣り合いません」

「リスクって何よ」

「私が離れている間に、部長が誰かに盗られることです」

「あぁ、そう…」


くっ…和だったら、これでもがっつり食いついてくるのに…!
咲は妙に冷静だからやりづらいったらありゃしない。


「とりあえず、先ほどの一局のご褒美として
 膝枕をいただきますね?」


当然のように、私の膝に頭を乗せて上目遣いを見せる咲。
仕方ないので、空いてるほうの手で頭をなでなでしてやる。


「あ、それ気持ちいいです…」

「はいはい」


うっとりと頬をゆるめる咲。
こうしてれば、文句なしに可愛いんだけどなぁ…
結局、そのまま咲が離れることはなかった。


「清澄の」

「ん?」


そんな私たちを横目で見ながら、
どこか諦めたようにつぶやいた天江さんの言葉が、
なんだか妙に耳に残った。



「衣は、警告したからな」



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合宿2日目。とりあえず真打ちである
夢乃さんを咲にぶつけてみる。


「マホ、がんばります!!」

「頑張りすぎず、頑張ってください…」

「カラカラ回らないようにな!」


彼女は、県予選を終えてフワフワしている咲に
きっつい釘をさすためと、今後の清澄を担う選手としての
青田買いの意味を込めて呼んだわけだけど…


「……」


咲の夢乃さんを見る目つきが異常に鋭い。
え、何?なんでそんなに
この子のことを敵視しているの?


「マホちゃん…って言ったよね。
 どうしてこの合宿に参加してるのかな?」

「竹井さんにいきなり呼ばれたんです!
 マホ、とっても舞い上がっちゃいました!」

「そっか…部長のアドレスに入ってたもんね…」

「……っ」


ぼそっと、咲が小声で何かを呟いた。


「…咲さん?」

「何でもないよ…始めよっか」

「はい!マホ、がんばります!」

「それさっきも言ったじぇ」


アハハハハ…


一見、ほのぼのとした雰囲気で対局が開始される。
でも、最近ずっと咲の側にいた私にはわかる。
咲の目は、もう光を宿していない。

…誰よ、咲がフワフワしてるって言ったの…
あれ、完全に敵を蹂躙しようとする目じゃない…


「嶺上開花…マホちゃんの責任払いだよ」

「すっ…すごいです!!」


「ロン…マホちゃん、5200」

「はっ、はい!」


「ロン…清一色。マホちゃん、12000」

「はい…」


「嶺上開花…マホちゃんの責任払いだよ…
 これでトビだね…」

「うっ…ぐすっ……はいっ…」


結局、夢乃さんは咲の領域を脅かすことはできず。
逆に徹底的に叩き潰されて、泣きながら帰っていった…


ごめんね、夢乃さん…私のせいだわ…



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…最終日前夜。うだる暑さも手伝って、
私は眠れない夜を過ごしていた。


その後も、咲のヤンデレっぷりは
留まる事を知らなかった。
本当に四六時中私から離れないし、
私に近づくものに対して一切の容赦がなかった。
夢乃さんには本当に悪いことをしちゃった…

今も、こうしている私の側で、
咲は可愛い寝息を立てている。

そんな咲の愛情を、
一身に受けている私の心境は…


正直に言っちゃうと、ものすごく怖い。


今のところ、私自身はそこまで
被害をこうむってはいない。

咲は私にひっついてはくるものの、
それ以上を求めてくるわけではないし、
行動を著しく制限されているというわけでもない。

でも、なんというかこう…
真綿で首を絞められているような、
息苦しさを感じる。
そう、息が詰まるのよね。


でも、何より一番怖いのは。


そんな咲の重たさに、少しずつ
慣れてきている自分がいること。


私が咲の願望を受け入れきれなくなった時は、
咲は私をどうするんだろう?
その時、私は一体、何を思うんだろう?

そんな妄想の中にリアルな恐怖を感じながらも、
どこか、怖いもの見たさで
そんな展開を見てみたいと
感じている自分がいるような気がする。


「用心せよ」


天江さんの警告が脳裏をよぎる。
もしかして、あれは、
こういうことだったんだろうか。


気分を一新するためにかぶりを振る。


考えすぎね…しょせんは
後少しで終わっちゃう
期間限定の罰ゲームじゃない。

そもそも、よくよく思い起こせば、
最初のヤンデレごっこの時も、
咲が本気なんじゃないかって悩んでたわけで。
今回もきっと、咲の名演技に決まってる。


明日になれば、合宿も終了。
それから2日もすれば、全部元通りよ。


私はそう結論づけて、眠たくない目を閉じて
無理矢理眠ることにした…



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…ヤンデレ最終日。





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「あー…うん。まさか、
 本当にやるとは思ってなかったわ…」


全く予想してなかったと言えばうそになる。
でも、実現できるとは思っていなかった。


目を覚ました私の視界に映ったのは、
ちょっと記憶にない景色。

ゆっくりと辺りを見渡してみると、
そこが小さな部屋であることがわかった。


ジャラッ…


ふと動かした手に違和感を感じて、
手錠がはめられていることに気づく。
うん、ちゃんと足枷もついてるわね…
完璧な拉致監禁だわ。感心感心。


って。


「いくらなんでも、ちょっと話が
 飛躍しすぎなんじゃないかしら?」

「そうですか?」


当然のように横にいた咲が答える。


「だって、今日で罰ゲーム
 終わっちゃうじゃないですか」

「だからって、別に心中以外の全てを
 コンプリートする必要はないのよ?」

「別に、そういうわけじゃないんですけど…」


人を一人拉致しておきながら、
あまりにも自然な感じで会話が進む。
いや、普通に受け答えする私も私なんだけど。
ここまで現実味がないと
逆に冷静に対処できるものなのね…


「で、これって今日終わったら
 解放してもらえるの?」

「しませんよ?」

「えっと…罰ゲーム、じゃないの?」

「今はまだ、罰ゲームです」


えーと、つまり、どういうこと…?
どうにも咲の考えが読めない私に、
咲が淡々と独白を始める。


「私、昔からちょっと変な子だったんです」

「別にそんな感じはしなかったけど」

「頑張って抑えてましたから…」


「一人の人を、深く愛しすぎちゃうんです。
 その人以外、見えなくなってしまうんです」

「幼心(おさなごころ)に、それは
 異常なことなんだって気づいてました。
 だから、今までは隠してきました」

「でも。ヤンデレっていう言葉を知って…
 これって意外と珍しくないんだなってわかったんです」

「しかも、部長はヤンデレの私でも、
 受け入れてくれるって言いました」

「あぁ、なら、お言葉に甘えようと思って」


無邪気な笑みを浮かべる咲。
うん、状況が状況でなければ、
愛くるしいことこの上ないんだけど。


「でも、部長と一緒にいて、わかったんです」

「部長は、みんなに愛されてる。
 普通に生活していたら、
 独り占めなんてできるような人じゃないって」

「だから、思い切って監禁しちゃいました…
 心中以外なら、いいんですよね?」


そう言って、咲はにっこりと笑った。
うん、まぁ、確かに受け入れるとは言ったけど…


「…期間限定の罰ゲームという前提の話よ?」


「わかってます。でも…」



「期間限定でも…『ゲームオーバー』はありですよね」



ここに来て初めて、私は全身に鳥肌が立つのを感じた。
今、私は間違いなく人生の岐路に立たされている。

これを受け入れてしまったら、
私の今までの人生は
本当にゲームオーバーになってしまう。

さすがにこればっかりは
容認するわけにはいかないわ。


「…私が本気で抵抗したら、どうするの?」

「…部長は抵抗しませんよ?
 これまでもしなかったじゃないですか…」

「さすがに人生がかかってるなら抵抗するわよ?」

「その時は諦めます」

「え、本当に?」

「ええ、私の人生を諦めます」


きっぱりと断言する咲。
えーっと、それってつまり、
私が諦めたら私の人生が終了で、
私が抵抗したら咲の人生が終了ってこと?


え、なんでそうなるの?


「部長みたいに、いつも
 人に囲まれている人には
 わからないかもしれませんね」

「私は、人一倍人恋しい人間なのに、
 そのせいで人から距離を置いてたんです」

「その距離を、部長は
 強引に取っ払っちゃったんですよ」

「今さら、元の距離に戻せとか
 言われても無理です」

「一度、手に入れちゃったものを
 手放すのはすごくつらいんです」

「だから、もし部長が私を
 受け入れてくれないなら…
 私は全部諦めます」



「…どうしますか?」



咲が、私の目を覗きこむ。
いきなり、そんなこと言われても。


そんなこと、言われても…




そんなの、答えなんて一つしかないじゃない。




--------------------------------------------------------







……






--------------------------------------------------------



「宮永さん。久の様子はどう?」

「あ、はい。いつも通り飄々としてますよ。
 ただ、運動不足なのはやっぱりきついみたいです」

「…せめて足枷は外してあげたら?」

「うーん…別に逃げたりはしないでしょうけど…
 部長、好奇心旺盛だから
 いろいろ見て回っちゃうでしょうから…
 そしたらまた誰かと接点が
 できちゃうかもしれないですよね?」

「…そのくらいは許してあげなよ…」

「駄目ですよ…今だって、ほら、
 国広さん、部長のこと、
 『久』って呼んだよね」

「……ごめん」

「…いつの間に仲良くなっちゃったのかな…
 やっぱり、あの部屋には
 私以外入れないようにしないと…」



--------------------------------------------------------



結局、私は咲に『飼われる』道を選んだ。


だって、かわいいかわいい後輩の、
大切な人生を引き合いに出されちゃったら…
そんなの、先輩が折れるしかないじゃない。


世間では、私は家出したうえで失踪、
という扱いになっているらしい。
まぁ、龍門渕が絡んでいるなら
私一人消すくらいたやすいことだろう。


こうして、軽いヤンデレごっこから
始まったこの物語は、
本物のヤンデレに被害者が
監禁されておしまい、
という結末で幕を閉じた。




「……やはりこうなったか…清澄の」




同じ境遇だったという天江さんが、
離れに囲われた私の姿をとらえると、
どこか寂しそうにつぶやいた。



「だから、衣は言ったんだ」



「用心せよ、と」



……


…いやいや、こんな結末、
 考慮できるわけないじゃない。





(完)


(…解説編【咲視点】に続く)
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posted by ぷちどろっぷ at 2014年08月10日 | Comment(8) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
待ってました!
お疲れ様です。
次回も楽しみにしてます♪(´ε` )
Posted by at 2014年08月10日 17:38
ぷりーずこんてぃにゅー
Posted by at 2014年08月10日 18:02
これまでの、けなげで甘々なヤンデレに慣れていたせいか・・・すごく重いです。
だがそれもまたいい!
Posted by at 2014年08月10日 18:24
コメントありがとうございます!

残念ながら、コンティニューはできません。

一転して重たい理由は…
解説編をお読みいただければ!
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年08月10日 20:08
監禁って何処と無くエロス
Posted by at 2014年08月10日 21:17
うえのさんどこにいったんですかうえのさんうえのさんわたしさびしいですうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんさびしいさびしいさびしいうえのさんうえのさん
























見つけた
Posted by ふくしみふこ at 2014年08月10日 23:41
キャップは病院戻るし! ほら、このお薬を飲んで休めば、 また上埜さんに会えるし…

あ、監禁はエロくないし!
うちは全年齢向けだし…
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年08月11日 14:06
キャップが、大変なことになってる
だいじょうぶなのかこれ…
Posted by at 2014年08月12日 17:57
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