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【咲SS:優久】優「部長の命令は絶対だじぇ!」【犬】

<タイトル>
優「部長の命令は絶対だじぇ!」

<あらすじ>
部活動を通して信頼関係を深めていく竹井久と片岡優希。
健全だったはずの二人の絆は、
優希が首輪を持ち出してきた辺りから
瞬く間に歪んでいき…?

<登場人物>
竹井久,片岡優希

<症状>
・狂気
・共依存
・知能低下(優希)
・異常行動(優希)

<その他>
あまあま砂吐き共依存…のつもりですが、
人によってはホラーかも。

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部長の言う事は絶対だじぇ!

部長が黒と言ったら黒!
部長が白と言ったら白!

これは、覆りようがない絶対不滅の真理なのだ!


あ、信じてないな?


もちろん、私だって何の根拠もなく
部長のことを盲信してるわけじゃないじぇ?

そう、今や部長に絶対の忠誠を誓う私だけど、
かつては愚かにも部長のことを疑ったこともあった。


だって…


問題
「原村和の、試合中におけるミスを減らす方法を答えよ」

竹井久の解答
「エトペンのぬいぐるみを抱き、ツモ切りの練習を繰り返す」


意味不明にもほどがあるじぇ?


これにはさすがの私も
「そんなことで強くなれるのかー?」と
疑わずにはいられなかった。


…でも。


意味不明な部長の指示を真面目に実行したのどちゃんは、
前とは比べ物にならないくらい強くなった。


こんなの推理できるとか、ふつーの人間じゃ無理だじぇ?
だからこそ、やっぱり部長は絶対なんだじぇ。



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ん、まだ信用できないって?
信心の足りない奴らだな!
仕方ない、もう少しだけ実例を挙げてやるじぇ。


部長の指導で強くなったのはのどちゃんだけじゃない。
咲ちゃんも、部長の力添えでその力を開花した一人だ。
さて、ここでもう一問。


問題
「すでに魔王たる宮永咲を
 さらに強化するための練習方法を答えよ」

竹井久の解答
「ネット麻雀をする」


一見普通に見えるけど、これまたとんでも謎解答だじぇ。


そりゃ、犬みたいなシロートが場数を踏むためなら
ネット麻雀もありだろうけど。
相手は、あの咲ちゃんだじぇ?


そもそも、わざわざ玉石混合…むしろ弱い人の方が多い
ネット麻雀なんかで打たなくても、
もっとふさわしい相手がいるわけで。

全中チャンピオンののどちゃんとか、
インハイの経験もないのに何故かやたら強い部長とか…
第一知らない人と打つにしても、
染谷先輩の麻雀喫茶に行けばいいし。


なのに、なんでまたネット麻雀?


これまた私は「そんなので強くなれるのかー?」と
疑わずにはいられなかった。


でも、咲ちゃんはネット麻雀では面白いくらい負け続けた。
そして、それを乗り越えた後、
咲ちゃんも別人のように強くなった。
意味不明すぎだじぇ。


「咲にはね、普通じゃ見えないものが見えてそうだから」


というのが部長の言。
じゃぁ、それを見破れる部長には、何が見えてるんだ?
なんであの魔王の咲ちゃんがネット麻雀で
強くなるなんてわかるんだじぇ?


いやもうこれはさすがに、部長を人間扱いするのは
無理じゃないかと思うんだじぇ。
というわけで、やっぱり部長は絶対なんだじょ。



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まぁそんなわけで、部長が人間にあるまじき
超常的なお力を持っているのが証明されたわけだけれどもだ!


私が部長に忠誠を誓う一番の理由はそこじゃない。
実は部長は…私を救うために現れた救世主なのだ!



そう、それはインターハイ地区予選の決勝戦。
私が珍しくも先鋒で敗北を喫した時のことだ。


「カタキはとっちゃるけぇ」


そう言って出て行ったのに負けた染谷先輩を、
だからといって責めるつもりは毛頭ない。
素人の役満ツモあがりなんてどうしようもないじぇ。
でも、次鋒戦が終わった後の結果は、なんと69400。
それは、私よりもさらに大きな失点だった。


そしてその結果は、私の脳裏に
「敗北」の二文字をよぎらせる。
間違いなく、流れは悪い方に傾いていた。


(…わ、私のせいだじぇ…!)


足がひとりでに、カタカタと音を立てて震え出す。
目からじわりと涙が滲んでくる。
気を抜いたら、そのまま泣き崩れてしまいそうになる。


私が、先鋒で出鼻をくじいてしまったから。
負けてはいけない先鋒で負けてしまったから。


あの時の悪夢がよみがえる。
それは、去年のインターミドル。

後に全中王者となったのどちゃんを擁した高遠原中学。
その団体戦の結果は、予選で早々に負けて退場。
それはいったい、どうしてだった?


それは…他のメンバーが『足を引っ張った』から。


このままでは…私のせいで、清澄は負けてしまう…?
また、のどちゃんの道を閉ざしてしまう?
また


「…そんなに、背負い込まないの」


突然、耳元で響いた優しい声。
それは、まるで私の心を読んだかのよう。
そして、肩の震えを鎮めるかのように、
あたたかい腕が私を包みこむ。


気づけば、私は部長に抱き締められていた。


「なるべく取り返すように努力するから…ね?」


その部長の言葉には、染谷先輩のような強さはなかった。
そのせいか私は安心しきることができず、
ついに目から涙をあふれさせてしまう。


部長は、部長は…これが、最初で最後の大会なのに!
私のせいで…!


でも、部長はなぜか笑顔だった。
ふいに、いたずらっぽく笑いながら質問してくる。


「ねぇ優希。あなたは、なんで私が中堅にいると思う?」

「…わからないじょ…」


私には答えられなかった。


「今この時、あなたを救うためだって言ったら…
 あなたは、信じるかしら?」

「……!」


そう言って、部長はニカッと笑う。


「行ってくるわ」


ひょうひょうとした顔で会場に向かう部長は、
なんだかとっても頼もしくて。

そして戻ってきた時に、持って帰った点数は…


108500。


部長は、「なるべく取り返す」どころか…
なんとトップになって帰ってきた。


部長は、本当に私を救ってくれたのだ。


今度こそ私は泣き崩れた。
部長にすがりついて、
わんわん、わんわん泣いたんだ。
ありがとう、ありがとうって。
わんわん、わんわん泣いたんだ。



私を救ってくれたあの日。
部長は私にとって、絶対の存在になったんだじぇ!



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私の中で片岡優希と言えば、自由奔放な
やんちゃっ子のイメージだった。

須賀君のことを犬扱いしてるし、
和の胸をフリーダムに揉みしだくし、
いつでもどこでもルール無用でタコス食べてるし。


そんな唯我独尊なこの子がいつの間にか、
私を前にするとやたらうれしそうに
抱きついてすりすりしてくるようになった。


ほら今も、私の顔を見るなり満面の笑みで駆け寄ってきた。


なんだか、子犬になつかれているみたい。
もし優希にしっぽがあったなら、
きっとブンブン全力で振られてるに違いない。


「まったく…須賀君のこと犬呼ばわりしてるけど、
 あなたの方がよっぽど犬じゃない」


なんて、苦笑しながらも頭をなでてあげると…
幸せそうに目を細める優希。


「部長は、私に犬になってほしいか?」

「こんなかわいい犬ならほしいかもね?」


もちろん、私には人間をペットにする趣味はなくて。
それは、ちょっとした軽い冗談にすぎなかったわけだけど。


「えへへ…じゃぁ、私、犬になるじぇ…」


なーんて、うっとりした声で快諾するもんだから。
つい、興が乗ってこんなことを言ってしまう。


「ふふっ…じゃぁ、犬らしく鳴いてごらんなさい?」

「くぅーん…くぅーん…」


これまた、とけちゃいそうなくらい
甘ったるい声で鳴く優希。
ヤバ…何この子、かわいすぎるんだけど。


ホントにこの子のこと、飼っちゃおうかしら。


なんてね?つい、
そんなことを考えてしまう私なのだった。



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私の名前は片岡優希!
本日を持って部長の犬にクラスチェンジしたじぇ!
部長が犬って言うなら私は犬なんだじぇ!


これにより、部長も救世主からご主人様に昇格だじぇ!
え、格が下がってる?
ふふん、わかってない奴らだな!
救世主よりいっぱいかまってくれるご主人様の方が
偉いに決まってるじょ?


そんなわけで、首輪もちゃんと買ってきた!
明日は、これを部長につけてもらって、
名実ともに部長の犬になるんだじぇ!



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「というわけで、首輪を持ってきたじぇー!」


校門をくぐり、下駄箱に向かう私を見つけるなり、
ニコニコしながらかけ寄ってくる優希。
そして、差し出されたるは真っ赤な首輪。


え、何この子、私にどんなプレイを求めてるの?


「自分でつけてもよかったけど、
 やっぱり最初はご主人様につけてほしいからな!」


と、手渡された首輪は、なんだかとってもごつい奴で。
…これ、大型犬とか本当の動物に使うアレじゃないのかしら?


「部長、どうしたんだじょ?
 あ、もしかしてカラーリングがお気に召さなかったか?」


とか言って首をかしげる優希。
その目はキラキラと輝いていて、一点の曇りもない。
あちゃー…この子、真性だわ…


「…えーとね、優希。飼ってあげたいのは
 やまやまなんだけど…
 さすがに生徒議会長としては、
 生徒を犬として飼うわけにはいかないのよ」

「むむむ、そうなのか…わかったじぇ!」


苦し紛れの道徳論に、意外にもすんなりと引き下がる優希。
ほっ…助かった…


「そんなルール、私がぶっ壊してやるじょ!」


あ、助かってなかった。



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確かに私も、学生議会長の地位を利用して、
麻雀部の勧誘をしようと考えたことはある。
壇上でのあいさつ中に「麻雀部部員募集」の札を
首からかけたりするとかね?


でも、もちろん実際にやったわけじゃない。
その辺はほら、人間としての常識っていうかね?
そういうものがあるでしょう?


「私、片岡優希はここに、
 部長の犬になることを宣言するじょ!
 文句のあるやつは出てこーい!!」


だからね、まさか、かわいいかわいい後輩が、
インターハイの壮行会で自分の犬になる宣言するとか
考慮してなかったわけよ?


「清澄高校は、片岡優希さんが
 竹井久生徒議会長兼麻雀部長の
 犬になることを承認します」


さらに言えば、まさかそれがくそ真面目に
受け入れられちゃうとも思ってなかったわけ。


「部長!これで私は、名実ともに部長の犬だじぇ!!」

「あー、はいはい。わかりました…」


なんて、笑顔で首輪を差し出してくる優希。
今度こそ、私はそれを受け取らざるを得なかった。



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わたしの名前は、片岡優希!

部長の犬として日夜精進を重ねてるじぇ!


部長は、私のことを受け入れて、
私に首輪を巻いてくれた。

部長は私が飛びつくと、優しい笑顔で
私をなでなでしてくれる。

それが、とっても気持ちよくって…
部長の犬になってよかったと心から思うんだじぇ!


これからも忠犬として部長の側につかえるじょ!



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そんなわけで、今の優希は私に絶対服従の犬。
まったく、なんでこうなっちゃったんだか。


「ぶちょー、勝ったじょ!
 ご褒美のなでなでを所望するじぇ!!」

「はいはい、よくできました」

「あっ…あっ…ぶちょー…きもち…いいじょ…」

「…頭なでるだけで変な声出さないの」


部活の時間は言うに及ばず、
いつでもどこでも私にべったり。

何より厄介なのは、そんな優希がもう、
本当にかわいすぎること。

そのくりくりした大きな瞳で、
キラキラ目を輝かせて近寄ってこられると…

ちょっと撫でてあげるだけで、
その目がとろんと潤んで、
何もかも私に委ねるように、
幸せそうにゆっくりまぶたを閉じられると…


こっちまで、何も考えられなくなってしまう。


やってることが異常なのは重々承知してる。
どこかで区切りをつけてやめなくちゃとも思ってる。


思ってはいるんだけど…
気づけば私は、どんどんどんどん
深みに嵌っていく。
わかっちゃいるけど、抜け出せない。


そうこうしているうちに、いつの間にか私は…


「ぶちょー…わたし、今度はピンクの首輪がいいじぇ」

「はいはい、今のはちょっとごつすぎるものね」

「これはこれで、犬!って感じがして好きだけどな!」

「私としては、やっぱり愛犬には
 かわいいのをつけてほしいわね」

「えへへ…愛犬…えへへへ……」


いつの間にか私は、こんな狂った会話が
自然にできるくらいにはおかしくなっていた。



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とはいっても、もちろんこんな関係が
周囲に認められるわけがない。
はたから見た私たちは、完全に変態なわけで。


そんなわけで、周りからの私の評価はというと…


「あ、衣さん。一緒に遊ばない?」

「あっ…清澄の悪待ちだー」トタタタ

 ガシッ
 
「い、いけませんわ衣!あの方に近づいたら、
 貴方も飼いならされてしまいますわ!」

「…いや、麻雀打ちたいだけなんだけど…」


……


「ゆみー、一局お願いしたいんだけど…」

「ああ、かまわな」

 ゆらぁっ…

「一頭じゃ足りないって言うつもりっすか…!?
 先輩には指一本触れさせないっす!」

「…ゆみはペットってタマじゃないでしょ…」


……


「美穂子ー、一緒に打ってくれない?」

「ええ、こちらこ」

 フシャー!!

「キャプテンに近寄るな!
 キャプテンはブリーダー側だし!」

「…あなたは美穂子に飼われてるの?」


こんな感じ。こっちはただ麻雀を打ちたいだけなのに、
意中の相手に近づくことすらできない。
ていうか最後のは特に納得がいかないんだけど。


でも、もっと深刻なのは優希の方で。


「ちょっとお茶摘みに行ってくるわー」

「ワハハー」

「じょ…?ぶちょーはどこだじょ…?」

「ワハハー、聞こえてなかったのかー?
 竹井さんならお手洗いだぞー?」

「ほら、ツモれよ一年。この華菜ちゃんが
 直々にお前を鍛えなおしてやるし!」

「ぶちょーはどこだじょ?ぶちょー?」

「お、おい…片岡?」

「ぶちょーがいないじぇ。
 どうすればいいかわからないじぇ…」

「ワハハー…と、とりあえず、ツモらないかー?」

「ぐすっ…ぶちょー…どこだじょ?…ぶちょー」

「ただいまー」

「あっ…ぶちょー!!」

ぎゅっ

「よしよし。さて、場はどうなったかしら?」

「…竹井さんがいなくなってから一巡もしてないし」


こんな調子で、ふいに私がいなくなると
一気に思考を停止してしまうせいで、
少しずつ…でも確実に、周りから孤立し始めていた。



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まぁそんなわけで、周囲の状況も問題ではあるのだけれど。
実はもう一つ、それ以上に深刻な問題がある。
なんだか最近、優希の知能が著しく
低下しているような気がするのだ。


「ぶちょー、どうしたじょ?」

「優希…一種類の数字牌で染める手役のことをなんて言うかしら?」

「チンイツだじぇ?」


なんとなく若干舌ったらずになっている気がするけど、
一応はよどみなく答える優希。
でも、問題はこの後。


「はい、よくできましたー。なでなでー」

「ふぁぁ…きもちーじぇ…」

「じゃぁ、今年は平成で言うと何年?」

すりすり

「ふぁあ…?ぶちょー…なでなで…
 もっと…ほしいじぇ…」

「答えたらいっぱい撫でてあげるわよ?」

「あ…ぅ…えと…へーせー…へーせー…」

「…ゆっくりでいいからね」

「あ…へーせー!27ねんだじぇ?」

「残念、26年よ。西暦の下2桁+12って覚えなさい?」

「あう…なでなで…だめ…?」

「でも、よく頑張ったわね…はい、なでなで」

「えへ…えへへ…なでなで…」


こんな感じ。いったんあまえ始めた優希は、
ちょっと尋常じゃないくらい頭の回転が鈍くなる。
そして、一度あまえモードに入っちゃうと、
もう当分戻ってこない。

最近は…私といる時の6割くらいは、
ずっとこのあまえモード。
その比率は…日に日に、大きくなってきている。


ちょっと考えにくいことだけど、
このまま優希をあまやかし続けていたら…
あまえモード10割になっちゃったら…


優希は…人間に戻れなくなっちゃうんじゃないかしら?


そんな不安が、現実的な予感として
頭に浮かぶようになってきた。

しかも…恐ろしいのは、
それはそれで、さぞかわいいんだろうなぁなんて
妄想しちゃう自分がいることで。
つい、それを実行してしまいたくなる。


(このままじゃ駄目…まだ引き返せるうちに、
 なんとか関係を修復しないと)


私はようやく、優希との関係に終止符を打つ決意をした。



--------------------------------------------------------



「ということでね、優希…これからは、
 あまり人前で私の犬として
 振る舞わない方がいいと思うのよ」

「え…ぶ、ぶちょー…わ、わたしのこと、すてるのか!?」

「いやいや、どうしてそうなるのよ」

「だ、だって…それって、
 わたしに、いぬをやめてほしいってことだじぇ!?」

「つまり、もうわたしなんか、いらないってことだじぇ!」

「そんなわけないでしょ!?」

「で、でも…こまってるん…だじょ?」

「困ってるっていうか…
 このままじゃ、本当にいけないのよ」

「わっ…わかったじぇ…っ…
 わたし…やめるじぇ…ぐすっ…ぶちょーの…いぬ…」


まるで人生に絶望したかのような表情で、
大粒の涙を目に浮かべる優希。
それでも。


「ぶちょーが…っ…こまるのはっ…
 …いやっ…だじぇっ」


涙が止まらないくらい悲しいのに。
カタカタ肩を震わせるぐらい怖がっているのに。


それでも、この子は私のために自分が退く道を選ぶ。
ああ、もう…こんな時まで健気なんだから。


正直二人の将来のことを考えれば、
ここで素直に関係を終わらせておくのが最善手。
優希にとっても、私にとっても。
だからこそ、私は別れを切り出した。


…でも。

それでも。


優希の涙が、私をまた一歩狂わせる。
そしてその一歩は…
あまりにも大きかった。


「ねえ、優希…一つ、教えてちょうだい」

「…すんっ…すんっ…なんだじぇ…?」

「もし、あなたがね…このまま私の犬で居続けるとしたら…
 あなたは、いろんなものを諦めないといけないわ」

「……」

「世間体とか、安定した未来とか…
 そういう、人として大切なものを、全部捨てないといけなくなる」

「……」

「それだけじゃないわ…最近のあなた、
 頭の中まで犬になってきちゃってる」

「……」

「これ以上続けたら…あなた、多分人間に戻れなくなるわ」

「……」

「それでも…私の犬でいたい?」

「……ぶ、ぶちょーは」

「私じゃなくて、優希がどうしたいのかを教えて?」

「わ、わたしは…」

「…うん」

「わたしは…」


「ずっと…ぶちょーの、いぬでいたいじぇ…!
 ほかには…なにも…いらないじぇ…!」

「そっか」


うん、決定。
私、人としての道を踏み外すわ!


「だったら、もう言わないわ!
 あなたはもう、死ぬまでずっと私の犬よ!」

「わたし…いぬで…いいの?」

「今さらやめたいってのはなしよ?
 私、もうあなたのこと逃がす気ないから」

「にげないじぇ!ずっとぶちょーのそばにいるじぇ!!
 ぶちょー!」


私は優希を抱き締める。
優希は、私にすり寄ってほっぺたを舐める。
それは、私たち二人がまっとうな人生を捨てて、
狂った獣道を歩みだした瞬間だった。



--------------------------------------------------------



それからの私は、自らの欲望に忠実に
ひたすら優希のことをかわいがり続けた。

いつでもどこでもおかまいなし。
なでなですりすりもふもふペロペロ。

私の予想通り、優希はどんどん駄目になっていった。
今ではもう、人語は数えるくらいしか話せない。

進学?就職?できるわけないじゃない。

でも、全然問題ない。
なーに、私が麻雀でプロになってしまえば、
優希一頭を飼うくらいは余裕で稼げるわ!


世間体とか何かそういうものもあるけれど、
今更そんなものに囚われて優希を泣かせるくらいなら、
私は喜んで畜生の道を選ぶ。


さぁ、今日も対局から帰れば私の愛犬が待っている。


2時間もおあずけさせちゃったから、
たっぷり可愛がってあげないとね!



--------------------------------------------------------



わたし、ゆーき!


ごしゅじんさま、ぶちょー!


なでなで、いっぱい、ほしいじょ!


ずっと、ずっと、いっしょだじょ!


ぶちょー、だいすき!!



(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2014年08月17日 | Comment(4) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
来たか……!!! 優希の従順っぷり可愛い。
部長はヤンデレの受けが似合う似合う。多分キャップのせい。
Posted by at 2014年08月17日 21:30
部長の包容力は異常
Posted by at 2014年08月17日 23:17
思ったよりもずっと犬だった…!
受け止める部長すごくよいです
Posted by at 2014年08月18日 23:31
コメントありがとうございます!

部長は包容力もある上に
時々ヘタレかわいい、ヤンデレにはたまらない存在だと思います(妄想)!
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年08月21日 21:59
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