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【咲SS:咲久】久「咲の観察日記をつけてみることにしたわ!」【ヤンデレ】

<タイトル>
久「咲の観察日記をつけることにしたわ!」

<あらすじ>
ある一つ突然、宮永咲を観察することを宣言した竹井久。
その内容は、ただぼーっと遠くから観察して、
気づいたことをノートに書きだすというもの。
特に害はないと判断した宮永咲は、その申し出を受け入れるが…

<説明>
※黒久さんと白咲ちゃんシリーズ。珍しく部長が真っ黒なパターン。

<登場人物>
竹井久,宮永咲,染谷まこ,原村和,片岡優希

<症状>
異常行動,狂気(久)
共依存

<その他>
※若干ホラーのつもりで書いてます
※エロっちい要素はないのです
※のどっちが若干ピンク

※いつも以上に頭がおかしいです。お口直しに以下を用意してますのであわせてどうぞ。
 「白久さんと白咲ちゃん 心理テスト編」

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久「夏休みの自由研究!私は
  咲の観察日記をつけることにしたわ!」

咲「えっ、えぇっ!?」

優希「また部長のサプライズ企画が始まったじぇ!」

和「はぁ…今度は一体何を企んでいるんですか…?」

久「やーねぇ企むって、そんな大した事じゃないわよ。
  いやね、優希は基本犬だから、
  考えてることが筒抜けじゃない?」

優希「基本犬!?」

久「和も何気に直情型だから、
  何を考えてるかはすぐわかる。
  意思疎通ができるかは別としてね」

和「どこか微妙にひっかかる表現ですね…」

久「でも…咲はこう、違うのよね…
  つかみどころがないのよ。
  ぶっちゃけよくわからないわ!」

咲「あ、あはは…私って、
  そんなにわかりにくいかなぁ…」

まこ「つかみどころがないちゅうか…
   単に引っ込み思案なだけじゃと思うが」

久「まぁ、そうなんだけどね。
  そんなわけで、観察日記を
  つけてみることにしました!
  咲のこと、もっとよく知りたいしね!」

咲「えーと…私は何をすればいいんですか?」

久「あ、何もしなくていいわよ?
  私が勝手に観察するから。
  普段通り生活してちょうだい」

久「じゃぁ、私は準備があるから、
  今日は帰るわ。後はよろしくね!」

咲「は…はぁ…」


スタスタスタ…バタン


優希「言いたいこと言って帰っちゃったじぇ」

和「いつもながら嵐みたいな人ですね…」

まこ「しかし、またあれをやるんか…
   咲もご愁傷様じゃな」

咲「またってことは…前にもやったことがあるんですか?」

まこ「あぁ…前ん時はわしがやられたんじゃがな…?
   久の奴、ガチで観察するけぇ、
   覚悟しといた方がえぇぞ?」

和「…具体的には、どんなことをされるんですか?」

優希「24時間部屋の中を盗撮するとかか?」

まこ「そがぁなん犯罪じゃろ。表面上は何もせんよ」

まこ「ただな…見とるんじゃ。
   何もせんで、あほみたいにぼーっとな」

優希「…?それって、何か問題あるのか?」

和「むしろ普段より害がないような…」

まこ「あぁ…まぁ…害はないんじゃ。害はな…
   ただ、一日が終わると、観察した結果を
   ノートに書き出しよるんじゃが…
   これがそりゃぁまた、こまいんよ」

和「具体的な例がほしいですね…例えば?」

まこ「鉛筆で文字を消す時の
   消しゴムをこする回数まで数えとった」

優希「こわっ!?」

和「そ、それはまた…すごいですね…」

まこ「まぁそんなわけで…なんちゅうか、
   丸裸にされとる感がすごうてな」

咲「うーん…でも、そんなことで何かわかるんですか?」

まこ「それがけっこうわかるみたいでな…
   観察が終わった後は、なんちゅうか、
   こっちがしてほしいと思ったことを
   ぴたりと当ててきよるんじゃ。
   ありゃぁ本当にたまげるぞ」

優希「正直眉唾だじぇ。そんなこと人間に可能なのかー?」

和「いや…部長は人間たらしのエキスパートですからね…
  むしろ悪待ちなんてオカルト発言よりは
  よほど信憑性があります」

和「というか…当然のようにやる方向に進んでますが、
  咲さんに拒否権はないんですか!?」

まこ「いや、わしん時は無理強いはせんかったぞ?」

和「あ、一応断ることはできるんですね…」

まこ「ま、好意から来る行動なのは間違いないし、
   観察が終わってからしばらくは、
   お礼のつもりか知らんが
   徹底的にその人に尽くしてくれるから、
   悪いもんでもないんじゃがな…
   いやなら断っときんしゃい?」

咲「あ、いえ…別に、何か
  されるわけでもないならいいですよ?」

和「待ってください、咲さん!
  あの部長に監視されるんですよ!?
  あの部長に!!
  どんな秘密をにぎられるか
  わかったもんじゃないですよ!」

優希「のどちゃんの中で部長は一体どんな存在なんだじぇ」

咲「え、でも…結局は普段の生活から
  思考パターンを読み取るってだけだよね…
  だったら、別に害はないんじゃないかな」

咲「むしろ…終わった後の
  ご褒美っていうのがちょっと楽しみかも」

優希「あー、確かに!私も部長に尽くされてみたいじぇ!」

まこ「それなら楽しみにしとくとええ」

咲「はい!」

和「そ、そんな…ありえません、
  咲さんがはだかに…まるはだかに…はだか…」

咲「はっ、裸にはならないよ!?」

優希「…のどちゃん方が危険人物だじぇ…」



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みやながさき かんさつにっき 1日目




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ぼーっ…

久「………」

優希「……」

和「……」

咲「……」

まこ「さっそくやっとるな…」

咲「本当に…見てるだけなんだ…」

和「でも…な、なんていうか…
  言いにくいんですが…
  あれ…頭使ってるんですか?」

優希「完全にアホづらだじぇ」

咲(言っちゃうんだ…)

久「………」

まこ「本人が言うには、他の全てを捨てて
   集中力を全部観察につぎこんどる
   ちゅうことらしいが…
   まぁ、はたから見たらあんな感じじゃ」

優希「つまり、チャンスということだな!」

和「ゆーき…?携帯をどうする気ですか?」

優希「こんなシャッターチャンスを
   逃す私じゃないじぇ!」

咲「や、やめた方がいいんじゃないかな…」

咲(すっごい報復が待ってる気がするよ…)

優希「さぁ、いざこの瞬間を
   デジタルの記憶として切り取るじぇ!覚悟!」

久「………」

優希「えーと…部長?撮るじぇ?
   そのちょっとアレな顔、撮っちゃうじぇ?」

久「………」

優希「……」

スッ

咲「やめるんだ…」

優希「…反応されないと、逆にすっごい撮りづらいじぇ…」

和「本当に、全神経を咲さんに注いでるんですね…
  忌まわしい…!!」

咲「あ、あはは…」

久「………」



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咲「ツモ…嶺上開花…500、300です」

和「また…不可解な上がりを…!」

優希「今日だけでもう5回目だじぇ…」

久「………」



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優希「このお菓子おいしいな!
   さすがのどちゃん、私の嫁!!」

まこ「マドレーヌじゃ…覚えときんしゃい…
   確かにこりゃぁうちの店で出したいくらいじゃ」

和「お口にあってよかったです。
  咲さんはどうですか?」

咲「あ、うん。おいしいよ。
  こんなの作れるなんて、すごいね和ちゃん」

和「い、いえ…そんな…あ、そうです、
  クッキーもありますよ?
  召し上がってください…」

久「………」

咲「そういえば、部長の分は?」

和「用意はしてありますが…食べるんでしょうか…?」

優希「じゃぁ、かたわらにお供えしておくじぇー」

まこ「地蔵か」

久「………」



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咲「ぶ、部長…一言もしゃべりませんね…」

優希「しかも立ちっぱ…大丈夫なのか?」

和「実は、意識を失ってるとかありませんよね…」

まこ「大丈夫…じゃとは思うが…」

久「………」



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久「…はい、ちょっと早いけど今日は終了!
  各自片付けして帰りなさい」

優希「おお!部長が生き返ったじぇ!」

咲「何かわかりました?」

久「それは、これから書き出して考えるわ!
  あ、観察結果は公開しないけど、
  咲が見たかったら見せるからね」

咲「あ、はい…」

優希「えー、私たちは駄目なのかー?」

久「だーめ。私の勝手な推測も含まれるしね」

咲「あ、じゃぁ、書き出すところ
  見ててもいいですか?」

久「いいけど…時間かかるわよ?」

咲「大丈夫です」

咲(どんな観察されてるのかすごく気になるし…)

まこ「じゃぁ、わしらは先に帰るけぇの。
   ほれ、和、優希、行くぞ」

和「うぅ…気になりますが、仕方ありませんね…
  お疲れ様でした…」

優希「おつかれだじぇー」

久「はいはい、また明日ね」

咲「お疲れ様でした」



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カリカリカリカリ


久「……」

咲「……」

久「今日、見られててどう思った?」

咲「えーと、そうですね…
  最初は気になりましたけど…最後の方は特に」

久「気にならなかった?」

咲「はい。置物みたいでしたし」

久「それならよかった。
  まぁ、あんまり動きがなかったら、
  あえて変なことして反応を見るかもしれないけどね」

咲「あ、あはは…お手柔らかにお願いしますね…」

久「よし、できた!初日はこんなところね」

咲「見てもいいですか?」

久「もちろん」



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『みやながさき かんさつにっき 1日目

 01.優希との会話×108
  →突然話を振られてあわてる×27
   →突拍子もないネタ振りは苦手
  →生返事×31
   →困った時は無難であいまいな返事を返す?
 ……

 02.和との会話×117
  →時々無視する×13
   →興味なし?
   →無視しても許してくれることへの安心感の表れ?
  →胸に関する話題にむっとする
   →コンプレックス?
 ……

 03.まことの会話×72
  →応対は普通
   →普通の受け答えはよどみない(←No.1と対照的)
    →論理的思考?
    →変化は苦手?
 ……

 07.おかし
  →マドレーヌ 平均咀嚼時間17秒 回数14回
  →クッキー  平均咀嚼時間20秒 回数27回
   →クッキーの方が比較的笑顔
    (口角が1cmくらい上がる)
    →クッキーの方が好き?
     →好きなものは味わうタイプ?
 ……

 08.お茶
  →紅茶 飲むのにかかる時間14分 口に運ぶ回数8回
  →冷ましてから飲む
   →猫舌?
  →砂糖×1.5杯
  →おかしと一緒には飲まない
   →味が混ざるのが嫌い?
 ……

 12.嶺上開花8回
  →牌を確認しないで和了宣言×6
   →ツモを確信している可能性大
   →うち5回目線が左上に動く
    →何か物思いにふける時の行動
     →嶺上開花に特別な意味あり?
      →家族との思い出?
 ……


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ゾクッ

咲(ほ、ホントに細かかったよ…!)

咲「な、なんというか…すごい量ですね」

久「見たものをそのまま書いてるからねー。
  …怖い?」

咲「…ちょっと普通じゃないとは思いますけど…
  …すごいな、って気持ちの方が強いですね…」

久「そか」

咲「この回数のカウントとかには
  意味はあるんですか?」

久「ものによるかな?ただ、後で気になる行動があった時
  普段の時との違いを見るくらいはするわね」

咲「…もう一つ、聞いてもいいですか?」

久「どうぞ」

咲「嶺上開花の部分…なんで、
  家族が関係してると思ったんです?」

久「そこは今日手に入った情報じゃないけど…
  咲、家族麻雀しか打ったことなかったんでしょ?
  それで何か物思いにふけるなら
  家族がらみかなって単純に思っただけだけど」

咲「そっか…言われてみればそうですね」

久「…いやだったら、そこはもう触れないけど?」

咲「…いえ…かまいません」

咲(けど…このままやったら…
  どこまでわかっちゃうのかな…)



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みやながさき かんさつにっき 2日目




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ぼーっ…

久「………」

優希「今日もやってるじぇ」

和「あれってどのくらいやるんですか?」

まこ「わしの時は一週間やっとったな」

優希「そんなに!?」

和「でも、人を一人観察する期間と考えたら
  長いとは言えないかもしれませんね」

優希「そういえば、昨日の観察結果はどうだったんだ?」

咲「あ、うん…染谷先輩の言うとおりだったよ…
  すごい細かく見られてた」

和「た…例えば?」

咲「マドレーヌとクッキーを噛む回数と速さと表情から
  どっちが好きか分析されてた…」

優希「…そ、それ…当たってたのか?」

咲「…うん」

和「も、もう、やめた方がいいんじゃないでしょうか…
  言い方は悪いですが…不気味です」

咲「うーん…でも、怖いもの見たさっていうか…
  逆にどこまでわかっちゃうのか楽しみ、
  って言うところもあるかも」

優希「確かに!ある意味マジックみたいなもんだじぇ」

久「………」



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久「はーい、今日の観察結果、できたわよー」

咲「あ、はい…拝見します」



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『みやながさき かんさつにっき 2日目

 ……

 37.位置関係(近さ)
    和 (平均47cm)
    優希(平均63cm)
    まこ(平均75cm)
  →近づくのは相手から
  →離れられたら自分から近づく
   →ただし上記の距離以上は近づかない
    →さみしがり屋
     →でも人と距離を取る
      →なぜ?(●重点観察)
 ……

 39.ホラー系の会話
  →まばたきの平均回数増加(13回)
  →指先を隠す(隠す前に微小な震えあり)
   →話自体は怖い
    →でも話には参加する
     →怖いもの見たさの傾向あり
 ……

 45.まこの雀荘の話
  →家族経営の話で表情変化(頬の筋肉が強張る)
   →その後髪の毛を触る回数増加(8回)
    →不安、寂しさを示すしぐさ
     →家庭環境に問題あり?
      →No.12とは対照的
       →昔はうまくいっていて、今は…?
 ……

 48.私への対応
  →時々ちらちらこちらをみる×15
   →気になっている
  →視界からは隠れない
  →警戒行動(腕を抱く、足に力が入る)などは無し
   →不安視しながらも興味?
    →No.39と一致
 ……



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ゾクッ

咲(昨日よりずっと深いところまで知られてる…)

咲「部長って…何か特殊な教育でも受けてるんですか?」

久「ん?いやいや、こんなのシロートが
  思いついたことをテキトーに書きなぐってるだけよ?」

咲「その割には…ちょっと…」

久「当たりすぎちゃってる?」

咲「…はい」

久「まぁ、咲はけっこうわかりやすい方だからねー」

咲(…え?)

咲「よくわからないから…
  観察してるんじゃないんですか?」

久「ああ、あれ?ウソ」

咲「ウソ!?じゃぁ、なんで観察してるんですか?」

久「あぁ、それは最初に言った通り、
  咲のことをもっと知りたいからよ」

咲「…どうして、私なんですか?」

久「ふふふー。どうしてかしらねー?」

咲「うぅ…なんだか、私だけ尋問されてる気分です」

久「フェアじゃないって?」

咲「えと…まぁ、その…はい」

久「ふむ、確かに私が一方的に観察してるだけだしね。
  じゃぁ特別に、私に関するとっておきの情報を教えちゃおうかな」

咲「とっておきですか…
  期待しちゃっていいんですか?」

久「ええ!これは、なんと
  まこも知らないトップシークレットよ!」

咲「そ、それは…確かにとっておきですね…」

久「うん。私、実はね…」

咲「じ…実は…?」







久「実は私…病気なの!」




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みやながさき かんさつにっき 3日目




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ぼーっ…

久「………」

優希「せいがでるじぇー」

和「あの無表情の奥で、今も高速に
  情報が処理されていると思うと、
  ちょっと怖くなってきますね…」

咲(和ちゃんは人のこと言えないと思うけど…
  ちょっと、その気持ちはわかるかも…)

咲(私も…怖くなってきちゃったよ)

咲「…染谷先輩は、怖いとか思わなかったんですか?」

まこ「ん?咲は、怖いと思うとるのか?」

咲「…えーと…はい…ん、いいえ」

優希「どっちだじぇ」

咲「え、えと…どっちもかな…?」

まこ「わしん時はそうでもなかったがのぅ。
   別に秘密が暴かれるわけでもなし、
   気にせんとけばええ」

咲「…そうですか…」

咲(きっと染谷先輩は…結果も無難だったんだろうなぁ)

咲(…しかも染谷先輩は、
  部長の病気のこと、知らないんだよね…
  何で部長は、私には話したんだろう…)

咲(…今の私、部長にはどう映ってんるんだろう…)

久「………」



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ぶ、部長が病気って…どういうことですか?

ん?そのまんまの意味だけど?
コレ、正直ちょっと頭おかしいでしょ?

まぁ、普通じゃないとは思いますけど…
でも、病気っていうのは言い過ぎっていうか…


…私ね、中学校の時、家族に捨てられてるの

!?


まぁ、別にそんな珍しい話でもないわ

単に、両親の仲が悪くて離婚したってだけの話

両親は二人とも私を引き取るのを嫌がった

子供連れだと再婚しにくいし、
単純に私に対してそんなに愛情もなかったんでしょうね

だから今、私は安アパートで独り暮らししてる



でもね、私って、こう見えてさみしがり屋なの

両親は私を愛してなかったけど、
私は両親を愛してた

だから、捨てられた時…私は何もかも信じられなくなった

だって、私はあんなに両親のことを愛していたのに
あの人たちは、私のことを
何とも思っていなかったんだもの
つくづく、自分のバカさ加減に涙が出たわ


人を観察するようになったのは、それから


その人がどんな人なのかを徹底的に観察するの

何が好きで、何が嫌いか
何をすると喜んで、何をすると嫌がるか

徹底的に、徹底的に観察するの


そういった全てを把握して、
この人は最終的に私を捨てる人か、
それとも一緒にいてくれる人なのかを考えるの

もう二度と、本気になってから捨てられたくないから



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久「はい、できたわよー、3日目の日記」

咲「…拝見します…」



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『みやながさき かんさつにっき 3日目


 ……

 55.私への対応(48の続き)
  →こちらを頻繁に見る×23
   →気になっている
    →眼球の動きあり
     →不安
  →私をぼーっと見つめる×8
   →私の思考を想像している?
  →部活終了後真っ先に私の方にくる
   →興味もあり

 64.私の病気の話について
  →手を握り締める(警戒行動)
  →瞬き回数の増加(緊張)
  →腕を触る(不安)
   →強い恐怖、不安、緊張を感じている
  →眼球を動かす
  →2cm弱身を乗り出す
   →恐怖だけではなく興味もある
    →No.39と一致
  
 65.両親の離婚の話について
  →私の目をじっと見つめる×5
   →同情、憐憫
    →共感も含む?
  →物思いにふけるしぐさ
  →眼球が左上に移動
   →自身の経験と重ねる?
  →肩を抱くしぐさ
   →私の過去に強い恐怖
    →No.12とNo.45から、家族に問題あり
     →もしかして咲も捨てられた?


  ★暫定評価:恐怖と興味が複雑に入り混じった状態。
        でも、受け入れてくれる可能性あり


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ゾクッ…

咲(う…受け入れてくれる、可能性あり…)

咲「ひ、一つ…聞いてもいいですか?」

久「どうぞ」

咲「部長が人を観察する理由って…
  その人が一緒にいてくれるかを判断するためなんですよね…」

久「そうよ」

咲「…観察した結果、その人が、一緒にいてくれない人だと思ったら…
  どうするんですか?」

久「別にどうもしないわよ?
  ただ、捨てられても悲しくないように、
  深く付き合わないようにするだけ」

咲「…じゃぁ…観察した結果、
  一緒にいてくれる人だと思ったら…どうするんですか?」

久「…どうすると思う?」

咲「…ぜ、絶対に…離れないとか?」

久「ピンポーン」

咲(……!)

ゾクッ…!

咲「…私は…どっちですか?」

久「書いてあるでしょ?」

咲「えーっと…わ、私…怖がりですよ?」

久「知ってるわ」

咲「しょ、正直…今の部長のこと、こ、怖いと思ってます」

久「知ってるわ」

咲「な、なのに…う、受け入れるかもって…思うんですか?」

久「咲は、私につきまとわれるのはいや?」

咲「……」

咲「わ、わかりません…けど…」

咲(受け入れちゃったら…私も、病気だよね…?)



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みやながさき かんさつにっき 4日目




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久「さ、部活を始めましょうか」

優希「あれ?今日は観察しないのか?」

久「いやぁさすがにイベントもなく3日もやってると、
  得られる情報もなくなってくるでしょ」

和「まぁ、そうですね…むしろ3日もやったのが驚きです」

咲(よかった…終わるんだ…)

久「そんなわけで、今日は普通に過ごすわよー!
  咲、カモン!」

咲「…え?えっと…?」

久「ひーざーまーくーらっ」

咲「えっ…えぇっ!?」

咲(全然普通じゃないよぉ!?)



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久「はい、4日目の日記」

咲「うぇえっ!?観察やめたんじゃなかったんですか!?」

久「あれ?言ったでしょ?変化がなかったら
  変なことして反応を見るって」

久「まぁ、ひたすら観察してる時と比べると、
  どうしても情報量は少なくなるけどね…で、見る?」

咲「…はい…み、見ます…」



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『みやながさき かんさつにっき 4日目


 ……
 
 71.甘やかしに対する反応
  →抱き付き
   →恥ずかしそうに顔を背ける
    →拒絶はしてない
     →昨日恐怖してたのに?
      →恐怖より甘えたい感情の方が強い?
  →なでると反応が薄くなる
  →会話の速度が遅くなる
   →意識が遠くなる?
    →抱き付きよりはるかに効果的
     →何らかの儀式的意味がある?
 
 72.離れた時の反応
  →No.71の甘やかし状態から急に離れた場合
   →瞳孔が開いた後まばたきの増加
    →突然の喪失に恐怖を感じている?
     →家族の話の時と同じ表情(No.45,No.65)
      →家族との離別(ほぼ確定)
  →自分からはおねだりしない
   →甘え下手
    →唇を少し噛む
    →私を見つめる
     →本当は甘えたい
      →諦めるまでの時間が長い(13分)
       →愛情に飢えている?


  ★評価:寂しがり屋であまえたがり
      咲も家族に捨てられた可能性大
      トラウマがある?


      咲には病気をうつせそう



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みやながさき かんさつにっき 5日目




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優希「あれ?部長がいないじぇ?」

まこ「あぁ…なんか、咲が休んだらしいけえ
   見舞いに行くそうじゃ」

優希「なんと!こりゃ私たちも行くしかないな!」

まこ「騒がしゅうなるから来るな、だそうじゃ」

優希「ひどい!」



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久「やっほー、咲!お見舞いに来たわよー?」

咲「…ぶ、部長…」

久「んじゃ、お邪魔しますっと…
  やっぱり仮病だったみたいね?」

咲「…け、仮病だと思いますか…?」

久「少なくとも身体的な不調ではないでしょ?」

咲「…心の不調は、休む理由になりませんか…!?」

久「なるわよ?」

咲「……」

久「……」

咲「私が休んだ理由…今の部長なら、わかりますよね…!」

久「うん」

咲「…か、帰ってもらえませんか…?」

久「やーよ」

咲「ど、どうして…」

久「だって、ここで帰ったら、咲は私を捨てるもの」

咲「だ、だったら私は、捨てる側の人間だったんですよ!」

久「んーん、咲は一緒にいてくれる側の人間よ。
  端的に言えば、病気持ち。
  今日で、それを確信したわ」

久「だって、休んだってことは…
  図星だったってことでしょ?」

咲「……!」

久「あなた…さみしがり屋よね。しかも相当重度の」

久「でも、近寄りすぎると捨てられた時が怖いから…
  人と一定の距離を保とうとする。
  過去の経験がトラウマになってるのかしら?」

咲「だ、だからって…
  そ、それのどこが病気なんですか!?」

久「あー、うん。まだ病気ってレベルではないわね」

咲「なら!」

久「でも、これからなるわ」

咲「!?」

久「私が、あなたを病気にしてあげる」

咲「もう帰ってください!帰ってよ!!」

久「だーめ」

ぎゅっ…!

咲「はっ…離してくださいっ!」

久「なんで?こんなにあったかくて気持ちいいのに」

咲「私は嫌なんです…っ!離してっ…!!」

久「うーん…どうしよっかなー?
  離しても私にはメリットないしなー?
  あ、そうだ。じゃぁ、ゲームしましょうか」

咲「げ、ゲーム?」

久「そ。これから1時間だけ、私にちょうだい。
  私は咲にくっついて、耳元でささやくだけ。
  1時間後、私を引きはがせたら、咲の勝ち。
  私はもう金輪際必要以上にあなたに近寄らないわ」

咲「わ、私が…引きはがせなかったら…?」

久「それ、聞く必要ある?
  あなたは私を捨てる気なんでしょ?」

咲「……!」

咲「本当に、それ以外何もしないんですね…?」

久「うん」

咲(なら…聞かなければいいんだ…
  心を無にして…じっと我慢すれば…)

咲「わかりました…それでいいです…
  そのかわり、1時間でしっかり帰ってくださいね」

久「りょーかい!」



--------------------------------------------------------



ぎゅぅぅっ…

久「さーきっ…」

咲「…すりすりしないでください」

久「ねぇ…どうしてそんなに、私を拒むの?」

咲「どうしてって…部長、おかしいじゃないですか…」

久「うん、病気ね。異常だわ」

咲「そんな人、受け入れられません…!」

久「普通の人なら、そうかもね」

咲「私は普通です!」

久「くすっ…」

咲「なっ…何がおかしいんですか」

久「今から質問を出すから、どっちがいいか、
  考えてみてちょうだい」

咲「い、いきなり何を」

久「世間体を取り繕って、健全だけどさみしい人生を送るのと、
  病んでるけどずっとあなたを愛してくれる人に溺れて過ごすの…
  どっちがいい?」

咲「……っ!」

久「甘えるのを我慢して一人ぼっちでいるのと、
  我慢するのをやめてただひたすら甘えるの…
  どっちがいーい?」

咲「それは…!」

久「泣いてすがっても、どれだけ追いかけても離れていっちゃう人と、
  何があってもずーっと離れない人、
  どっちがいーい?」

咲「もう…やめてっ…!」

久「さきは、ぜーんぶ、後者よね?」

久「私なら、ぜーんぶ、かなえてあげる」

久「我慢する必要なんか、ないのよ?」

咲「ささやくのっ…やめてっ…
  こんなの…おかしくなるっ…」

久「だーめ、さきは、おかしくなっちゃうの」

久「びょうきになっちゃうの」

久「それで…わたしを受け入れちゃうの」

久「ねっ…さき?がまん、やめちゃお?」

久「ほら…なっちゃいましょ…?
  びょうき…らくになるわよ?」

咲「おかしなことばっかり…みみもとで…
  いわないでよぉっ…!」

久「さーき」

咲「…よばないでよぉ…」

久「だーめ。もっとあたまの中、わたしでいっぱいにして?」

咲「すりすりも…やぁっ…」

久「…ね?さーきっ…」

久「すきよ…さき…」

咲「あ…あぁっ…」

久「ほら…はいってくるでしょ?
  わたしのことば…もっともっと、
  あたまのなか、いっぱいにして?」

咲「やぁっ、もう、はいってこないで、
  わたしのなか、はいってこないでよぉ!」

久「ふふ…そういって…あなた…
  じぶんからくっついてきてるわよ?」

咲「えっ!?…ちっちがっ…うそっ……」

久「ふふ…すりすりして、かわいい…
  ほら、もっと、すりすりして…?」

ぎゅうぅっ…

久「さき……」

久「さき……さき…♪」

咲「あ…ぁ……だ…め……」










パッ

久「はい、おしまい」










咲「ゃぁ……えっ?」

久「ん、どしたの?」

咲「ぇ…ぁっ……どう…して…?」

久「え?どうしてって…咲が拒絶したんでしょ?」

久「私に甘えるより、一人でさみしい方がいいのよね?
  仕方ないから、諦めるわ」

咲「あっ…うっ…」

久「あーあ、残念。多分私みたいに、
  病的にあなたのことを愛してくれる人なんて、
  もう一生現れないのになー」

咲「…そんなっ…」

久「咲は、これからも当たり障りなく
  人と距離を置いて暮らしていくのね?
  まぁ、もう私には関係ないけど」

咲「…やだっ…」




久「じゃぁね?一生一人でさみしく生きなさい」





咲「〜〜〜〜〜〜っ!」




(…プツンッ…)




咲「いやぁあああああああぁああぁあああっっっっ!!!」

咲「いかないでよぉおおおおっっっ!!」

咲「なんでっ、なんでっ…なんでっ!!」

咲「さっきまで、あまえ、あまえさせてっ」

咲「なんでっ!!」

咲「きゅうにっ!!!」

咲「やだっ!!やだ!!!やだぁあ!!!」

咲「こんなのやだあああああっっっ!!!」



ぎゅっ…



久「もう、しかたないわねぇ…じゃぁ、
  もう一回だけチャンスをあげる」

久「私と…一緒に病気になるか…
  一生一人でさみしい人生を送るか…」

久「選びなさい?」

咲「やぁっ!なるっ!なるからぁ!!」

咲「びょうきでも、なんでもなるからぁ!!」

咲「いっしょに、いっしょにいてよぉ!!!」

咲「もう、はなれるのやだぁあ!!!」


くすっ…


久「ごめんね、おどかして。
  だいじょうぶよ、ずっと、
  ずーっといっしょにいてあげる」

咲「っ…っ…ほんとっ…!?」

久「えぇ…そのかわり…」




久「もう、いやだっていっても、はなしてあげないから」




--------------------------------------------------------







……







--------------------------------------------------------



咲「こんにちはー」

優希「さっ咲ちゃん!もう大丈夫なのか!?」

和「さっ、咲さん!大丈夫だったんですか!?」

咲「わわっ、二人とも、どうしたの?」

和「どうかしたのは咲さんですよ!?
  いきなり一週間も部活を休むなんて…!
  しかも部長も来ないですし…!」

咲「あ、あはは…ちょっと、病気になっちゃって…」

まこ「入院でもしとったんか?」

優希「言ってくれればお見舞い言ったのに、水臭いじぇ!」

咲「あ、いや…そういうわけじゃないんですけど…」

久「こんにちはー」

和「あ、部長!!部長もいったいどこに行ってたんですか!?」

久「連絡したでしょ?咲の看病してたんだってば」

和「咲さんのお宅に伺っても留守だったじゃないですか!?」

久「うちで看病してたからね」

和「病気になって一週間部長の家で看病って、
  一体どういう病気ですか!?」

久「企業秘密です」

和「そんな!」

久「それとも…和も、かかってみる?
  …それなら、教えてあげてもいいわよ?」

咲「部長?近すぎだよ?和ちゃんから離れて。今すぐ!!」

久「はいはい…やっぱり咲も同類だったわね」

咲「無理矢理引きずり込んだくせによく言うよ…」

優希「さ、咲ちゃんが部長にタメ口使ってるじぇ!?」

和「も、もしかして…咲さんの病気って…!」

久「ふふ…ご想像にお任せします」

和「そんな…咲さんが…恋の病…!そんな…!!」

優希「のどちゃん!しっかりするじぇ!!のどちゃん!?」



--------------------------------------------------------



咲「…恋の病かぁ…そう言われたら、
  そんなに重い病気でもないのかな?」

久「そんなかわいい話で済むんだったら、
  私だってあそこまで脅さないわよ?」

咲「…でも、正直あまり実感ないんですよね…」

久「そっか。咲はあんまり自覚がないタイプなのね」

ぱっ

咲「えっ、なんで急に手はなすの?なんで!?
  やだ、つないでよ!はやくっ!はやく!!」

ぎゅっ

久「はいはい…これで自覚できた?」

咲「…それだけのために、
  こういうことするの、やめてくださいよ…!
  本当にこわいんですから…」

久「ふふっ…ごめんね。
  泣いてすがる咲があんまりかわいいものだから…」

咲「……」

咲「…部長、一つ聞いてもいいですか?」

久「なに?」

咲「染谷先輩にも…同じことしたんですよね?」

久「同じことっていうのがどこまで指すのかによるけど」

咲「観察日記です」

久「あぁ、やったわね。結果は残念だったけど」

咲「…どう残念だったんですか?」

久「咲とは真逆で、完全な真人間。
  私が依存しても、きっと健常者に戻そうとして
  やっきになってたと思うわ」

咲「…私には最後までやったのは、
  私に病気の気(け)があったからですか?」

久「そうよ」

咲「それって、病気なら
  私じゃなくてもよかったんですか?」

久「そんなわけないじゃない」

咲「でも…」

久「言っとくけどね。
  単に病気をうつせそうっていうだけなら、
  和や優希も対象になるわよ?
  あの子たちもけっこう脆いところあるから」

久「でもね…私がもし、本当に駄目になっちゃって、
  誰かにすがりたいって思った時…
  一番最初に浮かんだのが、咲だったのよね…
  そういった意味でも、まこはちょっと違ったわ」

久「だから私、咲に見捨てられたら、
  何するかわからないわよ?
  むしろ、誰かに乗り換えてくれるかも、
  なんて甘い考え持たないでね?」

咲「…それ、こっちの台詞ですよ」

久「じゃ、そろそろ寝ましょっか。
  ほら、手、しばるわよ?」

咲「はい…あ、もっとぐるぐるにしてください。
  昨日、夜中に外れててすごい怖かったですから」

久「はいはい」





(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2014年08月22日 | Comment(13) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント

すばらです!
Posted by at 2014年08月22日 16:51
こいつぁいいもんだじぇ
他のキャラでもやってほしいけど適役が思い付かないんだよなあ
Posted by at 2014年08月22日 19:54

黒久ちゃんもっとください!
Posted by at 2014年08月22日 20:19
オールラウンダー久
Posted by at 2014年08月22日 21:39
うえのさんかんさつにっきはまだですか
Posted by at 2014年08月23日 01:12
イチャイチャ見せ続けられて
和も病みそう
Posted by at 2014年08月23日 20:32
コメントありがとうございます!

部長は黒白どっちもいけるステキな存在ですね。

>他キャラ
観察ネタはもう結構やっちゃったので
自発的には書かない気がしますが
リクエストがあればできるだけ頑張ってみます。

>キャップ
華菜「キャップは病院に戻るし!そのうち私が書いてあげるし…」

>和
和「最初からピンクだから大丈夫です」

Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年08月24日 15:47
哩姫で姫子が観察側にまわったらどうなるかな
Posted by at 2014年12月17日 00:25
観察側にまわったら>
姫子「あままあになるとですよ?」
哩「そいぎ、互いに観察すっとよ」
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年12月19日 22:33
素晴らしい、その一言につきますね
部長より咲の方が無自覚ってのは凄くしっくりきますし、逆に咲が部長や優希を絡め取るようなパターンが特に見たいですね
Posted by at 2015年02月08日 08:21
逆に咲が部長や優希を絡め取る>
咲「その発想はありませんでした」
久「簀巻き咲なら標準パターンだけどね」
咲「ここにあると忘れそうなので
  リクエスト回に投げてみてください」
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2015年02月08日 10:34
最高ですね
Posted by at 2016年01月25日 06:08
自称人型オブジェクトのわたしの好みにド直球でした
お二人ともお幸せに…
Posted by at 2020年08月05日 02:20
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