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【咲SS:穏憧】憧「いろんなシズ」【ヤンデレ】

<タイトル>
憧「いろんなシズ」

<あらすじ>
シズ研究家である新子憧がいろんなシズを発見します。

<登場人物>
高鴨穏乃,新子憧,鷺森灼

<症状>
依存
狂気
ヤンデレ

<その他>
※原作キャラが崩壊しています。ご注意を。

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穏乃ちゃんは、いい子だねぇ。



シズは、よく周りの人からこう褒められる。

背がちっちゃくて元気いっぱい。
それでいて目上の人には礼儀正しい穏乃は、
年上の人にとてもよくかわいがられる。
そんな時、この言葉が出てくるのだ。


でも、長年シズを研究してきた、
いわばシズ研究家の私としては、
この評価はちゃんちゃらおかしいものだったりする。


はぁ?シズがいい子!?


私から言わせてもらえば、それは単に、
シズがその人に心を許してないだけなのだ。

私はこの状態のシズを、「よそいきシズ」と呼んでいる。
まぁ、本人は無自覚なんだろうけど、
プロシズ研究家の私の目はごまかせない。
これは、周りを意識して自分をセーブしている状態だ。



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この状態からさらにシズとの信頼関係を築きあげると、
内なるシズが顔を出す。
そう、それは…「やんちゃシズ」。

このシズは非常にやっかいで。
「いい子」の顔はどこへやら、やりたい放題かましてくる。


例えば、朝4時に家にやってきて、
突然一緒に登山することを要求されるとか。

「罰ゲームで100回ゲームで勝つ」
という指令をこなすために、
「100回負けることを要求」されるとか。

突然電話してきたと思ったら、
よくわかんないこと言い出して、
冷静に諭したら突然通話をブチ切られるとか。


こんなことがしょっちゅうになる。
もっとも、この「やんちゃシズ」が出てくるのは
私といる時だけで、必然的に被害を受けるのも
私だけだったりするんだけど。
まぁこれも、シズに愛された者の宿命だから仕方がないかな。


まぁそんなわけで主に私はこの「やんちゃシズ」の
相手をさせられていたわけだけど…
実は最近、新たなるシズが誕生した。


そう、それは…「でれシズ」。



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「でれシズ」の出現条件はわかりやすい。
そう、それは自分の友達ではない誰かと
私が仲良くしている時だ。


例えばそれは、久しぶりに初瀬と再会した時。

たまたまコンビニで出くわして、
束の間の再会を喜んだのは事実。
でもその後はむしろ、
宣戦布告をしたようなものだったんだけど。

それでもシズは、その後私に
やたらべたべたくっついてきて。
まるで

「今、憧の隣にいるのは私なんだ!」

と言わんばかりに離れようとしなかった。


次に「でれシズ」が出現したのは、
対局後に江口セーラとちょっと会話した時。

これも、どっちかと言えば江口セーラから絡んできて、
なし崩しに相手しただけであって…
別に仲良しとか、そういうわけじゃないというのが
ホントのところなんだけど。

帰ってきた後、私はシズにまとわりつかれた。
それはもう熱烈に。
まるで、

「憧につけられた匂いを私ので上書きしてやる!」

とばかりにすりすりする様は、
まるで子犬のようだった。


ちなみ私はこの「でれシズ」がお気に入り。
なんというか、こう

「捨てるなよ?捨てるなよ?」

みたいな、不安に駆られたシズの顔が
たまらなくかわいくて。
もう、それだけでご飯が3杯はいけちゃうのだ。


そんなわけで、最近私はわざとシズの前で初瀬と電話したり、
セーラとメールしたりして。
強制的に「でれシズ」を出現させたりしていた。



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最近では、私がシズの前で携帯を取り出すと、
それだけでシズはくっついてくるようになった。


「憧ー、携帯ばっかいじってないで私にかまってよー!」


私の腰に手を回してまとわりついてくるシズ。
私は「はいはい」なんて軽くあしらいながらも、
シズの感触を堪能する。


といっても、私も別にシズをデレさせるためだけに
携帯を持っているのではないわけで。
その日は本当に、初瀬に連絡を取る必要があった。


「シズ、ちょっと初瀬に連絡するから大人しくしててね」


なんて言いながら、アドレス帳から初瀬を探し出す。
そして通話ボタンを押して、
呼び出しコールを聞いていたら…


バシッ…


シズに、携帯を叩き落された。


「わ、私がいるのに、なんで
 別の子に電話してるんだよ!?」


なんて、まるで泣きそうな顔をしながら怒鳴るシズ。


「私といる時は、他の奴と話すなよっ…!!」


そう言って、ぐりぐりと私の身体に顔を押し付けて、
ついには本当に泣き出してしまう。


ちなみに私は、床に転がった携帯を呆然と眺めながら…
これは「何シズ」だろうか、
なんて場違いなことを考えていた。


そうだ、このシズは「やきもちシズ」と名付けよう。
やきもち妬きシズ、略してやきもちシズ。
うん、これはこれでかわいい。



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そんな感じで、鮮烈デビューをかざった
「やきもちシズ」は、その後頻繁に出現するようになった。

何しろ、いまや「やきもちシズ」は
私が携帯を触ってるだけで出現する。
「でれシズ」よりも出現条件がゆるいのだ。

ちなみに、「やきもちシズ」が出てきた後に、
シズをあまやかしてかわいがってやると、
そのまま「でれシズ」に移行することにも気づいた。

ちょっとだけSっ気がある私は、
そんな「やきデレ」コンボについハマっちゃったりして。
つい、携帯をちらつかせてしまうのだ。


私が携帯を取り出すと、シズは目を見開いて、
真っ先にそれを叩き落そうとする。
で、無事叩き落した後は私に怒鳴る。


「なんで、なんでわかんないんだよ!!」


なんて、顔を真っ赤にして涙を浮かべて怒鳴るのだ。
それがまた、ぞくぞくと私の何かを刺激する。


「ごめんね、シズ…うっかりしてた」


なんて白々しいことを言いながら、
シズを抱きしめて頭を撫でて…
次は「でれシズ」を堪能する。
あーもうヤバい。これ、幸せすぎ…。


視界の隅に、ケースにひびが入った携帯がちらりと見えた。

…次はもっと頑丈なケースにしないとね…



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いつの間にか、シズはほとんど私にべったり状態になった。
まず朝起きると、布団がやけに
こんもりしていることに気づく。
布団をめくってみると、そこには
丸まって寝ているシズの姿が。

幼馴染ということもあって、
うちの中ではシズはフリーパス状態だ。
それも、合い鍵まで持っているから本当の意味で。

私の朝一番の仕事は、この寝入ったシズを
起こすことから始まる。
寝起きのシズはぼんやりしていて
それはそれは愛くるしい。


で、朝ごはんを食べて一緒に学校に行って…
まぁ授業中はしかたないにしても
お昼、部活動は一緒だから…
起きている時間はシズがいないことの方が少ない。


「…なんで穏乃は、そんなに憧にべったりなの…?」


呆れた顔をしながら灼さんが質問する。
やれやれ、やっぱり灼さんは、
まだまだ修行が足りないわね。

そんなのは、鍛え上げられた
一流のシズ研究家の私からしたら、
愚問も愚問なんだけど。
一応答え合わせはしておこう。
シズ、答えてあげなさい。


「そりゃ、憧のやつはほおっておくと
 私以外の奴と勝手に仲良くするからですよ!」


はい、大正解。


私たちが、いつも一緒に居た頃。
あの頃、私たちの交友関係はまったく同じだった。
でも、中学で私たちの道はいったん分かれて。
私たちは、それぞれ別のコミュニティーを形成した。

一度、シズが玄を連れて、
うちの学校に来たことがあるらしい。
その時、知らない人と私が
仲好さそうに笑うのを見て、
シズはこれまでにない衝撃を受けたそうだ。

そして、自分がまるで私に捨てられたような
錯覚すら覚えたと。


だから、シズは私にくっつく。
一緒にくっついてれば、シズの知らない友達は
これ以上増えないから。


そんな穏乃の回答を聞いた灼さんは、
若干引きながらこうこぼした。


「で、でも…さすがに、
 いつも一緒っていうのは無理だと思…」


その言葉に、シズの目がすっと細くなった。
もちろん私はそれを見逃さなかったけど、
見なかったふりをした。


実は、そんな灼さんの指摘は、
近いうちに見事に的中することになる。

私はそれを知っていたのだ。



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初瀬を含む中学校の友達と、
久しぶりに遊ぶ約束をしていた。

約束自体は、シズが「でれシズ」になるよりも
ずっと前にしたもので…
義理堅い私は、迷いながらも約束を守ることにした。


そうなれば、当然シズとケンカになる。
約束をほごにして自分と一緒にいることを主張するシズ。
それをひたすら諭す私。
すると、今度は


「だったら、せめて私を連れてけよ!!」


そう主張するシズ。
無理、今のシズを連れていけるはずがない。

叩き落された携帯を初瀬に置き換えてみれば、
その危険性がわかろうというもので。

結局。


「今回はずっと前から予約してあったんだから
 絶対に行く!シズも連れて行かない!!」


いい加減しびれを切らした私が
一方的に話を打ち切った。


その時のシズの表情は、今でも忘れられない。
愕然(がくぜん)とした表情が、
すーっと無表情になっていき、
目から輝きは失われ、
最後には、何もかも飲み込むような黒だけが残された。


あ、これは…新種のシズが生まれる予感。


「わかった」


シズは、一応承諾した。
でも一流のシズ研究家である私は、
これは、今までになく危険だな…と察した。


そして、この後どうなるかも。
なんとなく予想はついていた。



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私は、約束の日を思いっきり楽しんだ。
直感的に、これが初瀬たちと遊ぶ
最後の日になると思ったからだ。


遊び終わって帰ると、帰り道にはシズがいた。
目はあの時のまま、暗い闇に閉ざされていた。
無表情のまま、シズは私にこう告げる。


「予約する」

「…何を?」

「これからの憧の予定、全部私が予約する!」


あー、やっぱりそうくるか。


まぁ、私くらいのシズ研究家にもなれば、
この答えは容易に想像できた。


「予約したから、つきあってよ」


そういって、私の腕をつかむシズ。
半ば引きずられるように歩きながら、
私はこの新種のシズの名前を考えていた。

「闇シズ」…は、ちょっとファンタジーすぎるかな…。
うん、そうだ。
「黒シズ」と名付けよう。
目が真っ黒に落ち込んだシズだから、「黒シズ」。
ちょっと安直かな?



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「黒シズ」は私にシズを除く全てのアドレスを
携帯から抹消することを要求した。

私は素直にそれに従った。
これを拒否したら、次どんなシズが生まれるのか
わかったもんじゃないから。

いやー、それにしてもヤバい。「黒シズ」はヤバい。
基本は「やきもちシズ」の進化形なんだけど、
とにかく行動が徹底してる。

今まではノーガードだった休み時間はもちろん、
トイレすら一緒についてくる。
家に帰った後もひっきりなしにメールや電話が飛んできて、
何もすることができない。

ただ、そんな「黒シズ」に振り回されながらも、
その重さに心地よさを感じている私もいて。

どんなシズでも受け入れられてしまう自分に、
我ながらちょっと病気かも、なんて苦笑してしまう。


ちなみに実は一つだけ、
手っ取り早く「黒シズ」状態を解除する方法がある。
それは…生まれたままの姿になって、
シズと抱き合って眠ること。

この時だけは、「黒シズ」もなりをひそめて
「でれシズ」に戻ってくれる。
もっとも、起きたらすぐ「黒シズ」に戻るんだけど。


理由はまだ明確ではないけれど…
一切何も身につけず、他のことを何もしないことで、
完全にシズだけに没頭していると
実感できるからではないかと推理したりしてみる。


そんなわけで、最近は「黒シズ」と「でれシズ」を
行ったり来たりする毎日。


これが、シズの最終形かな?


なんて思った私だったけど。

実際には、さらに進化形があることを、
私は次の日知ることになった。



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ばったり。


部活帰りに立ち寄ったコンビニで、
私たちは初瀬と遭遇してしまった。

一応過去にも同じことがあったわけだから、
あんまりこのコンビニは
使わないようにはしてたんだけど。

その日はけっこう遅かったので、
まぁこの時間なら大丈夫かー、
と油断したのがまずかった。


「憧!なんでメールも電話も返事くれなかったんだよ!?」


ずいぶんとお怒りの初瀬。まぁそりゃそうだ。
いきなり友達から完全無視を決め込まれたら
怒りたくもなるだろう。


ちなみに、私はそんなお怒りの初瀬を、
無視してだまって通り過ぎようとする。
いやだって、ここで反応したら
シズが何するかわかんないし。


「憧!!聞いてるの!?」


通り過ぎようとしたところで、初瀬に腕をつかまれる。
うかつだった。
そりゃ、友達にひたすら無視されたら
こうなるのは当然だろう。
思った以上に私もテンパっていたみたい。


(ヤバい)


でも、次の私の行動は早かった。


振りかぶられたシズの腕をとっさにつかむ。
シズの手は、固く握りしめられていた。
いやいやあんた、それを女子高生に振るったら
完全にアウトでお縄ちょうだいだから。


そのままシズの手を取って走り出す。
このまま初瀬とシズを一緒にしておいたら、
とんでもないことになる。
私はシズを犯罪者にはしたくない。


「ちょっ、ちょっと!
 待ってよ憧!待てってば!!」


聞く耳持たず。
私は今、あんたの命を助けるために
こうしてるんだからね!


わき目もふらず全力疾走。
やがて、初瀬の叫び声は聞こえなくなった。
それでも私は、走り続けた。



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どのくらい走っただろうか。
初瀬が追いかけてこないことを確認すると、
私は足を止めてへたりこむ。


ちょっと見るのが怖かったけど…
ここに来てようやく私は、
引っ張ってきたシズに目を向ける。


そして、私は息をのんだ。


ただでさえ光のなかった目が、
どろりと濁りを帯びている。
それだけじゃない。シズの身体から、
霧のようにどす黒い何かが
湧き出しているように見えた。


わーお…


これは、「黒シズ」でも表現し足りないわ…
そう、これは「病みシズ」…!さらなる新種の発見だ。
自他ともに認めるシズ研究家の権威である私でも、
このシズにはさすがに身震いせざるをえない。
…ちょっとかっこいいかも、とか思わなくもないけど。
やだ、私って実はMっ気もある?


「し、シズ…言っとくけど、あれは不可抗力だからね?」

「べ、別に、初瀬も、悪くないからね?」


ぞくぞくと背中を粟立たせながら、
聞かれてもいないのに弁解してしまう。
でも、シズは意外にも淡々とそれを受け入れた。


「…そうだね。憧は悪くないよ」

「不可抗力だよね」


もちろん、これで「よかった納得してもらえた!」
なんて思うほど、私はおめでたい頭はしていない。
私には、逆に受け入れられたことに違和感を覚えた。


「憧は、悪くないよ」

「悪いのは、あいつなんだ」

「ちょっと道を歩いてるだけで、こんな風に出くわすなんて」

「どうすれば…どうすればいい…?」

「どうすれば、憧をあいつから引き離せる…?」


「病みシズ」が考え込みながらブツブツと独りごちる。
あ、ヤバ。この流れはヤバい。
次が容易に想像できちゃう。


「そっか…憧を、閉じ込めちゃえばいいんだ」


ほらー、やっぱりね。


次の瞬間、シズは私に襲い掛かってきた。



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まぁ、そんなわけで、今私がどうしているのかというと。


山奥の小屋で、シズに監禁されていたりする。
小さい頃、二人で見つけた秘密の隠れ家。
まさかそれが、私を閉じ込める檻になるとは思わなかった。


そんな私は今、あることを必死で考えている。


どうすればここから逃げられるか?
もちろんそんなことじゃない。


考えているのは…これからのシズとの将来だ。


愛ゆえの行動とはいえ、シズはちょっとやりすぎた。
この監禁行為が明るみに出てしまえば、
シズのお先は真っ暗闇になってしまう。
なんとしてもやめさせないといけない。
私自身こんなことでシズと離れ離れにはなりたくない。

とはいえ、今のシズは、ちょっとやそっとじゃ
私の言うことを聞いてはくれないだろう。
シズを納得させるだけの打開策が必要だ。


今ならまだ間に合う。監禁されてまだ2日。
今なら、まだ家出とかでごまかせる。


「病みシズ」を満足させて、
かつシズの将来を閉ざさない方法…
そんな方法、あるのだろうか。


うーん…とうなりながら、ふと、
小さな窓から外を見る。
目に映ったのは、うっそうと茂った木々たち。


あ、一つ思いついた。



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「ねぇシズ、聞いて。いい方法を思いついたわ」

「…何の?」

「その前に、一つ聞かせて?
 シズは、これがずっと続くと思ってる?」

「……」

「まぁ、無理よね。このままじゃ
 いずれシズは捕まって、私たちは引き離される」

「…隠し通してみせる」

「いやいや無理だから。自暴自棄になりなさんなって。
 まぁ聞きなさい。私達が引き離されず、
 それでいてあんたが私を独占できる方法…
 そっちを考えた方が得策じゃない?
 私はそれを思いついたのよ」

「…どんな?」

「ねぇシズ…あんた、木から落ちた時に
 器用に足だけ壊せる落ち方って知ってる?」

「…知ってる」


知ってるんだ。


「じゃぁ、それでいきましょう。
 私は山で遊んでいて、
 調子に乗って木に登ってたら木から落ちた。
 で、足を壊した。そこをあんたに見つけられて、
 助けられた。でも、残念私は半身不随。
 誰かに面倒を見てもらえないと生きられない。
 私はあんたに面倒を見てもらう。
 どう?」

「どうって…憧は、それでいいの?」

「よくなかったら提案しないわよ」

「…動けなくなっちゃうんだよ?」

「その責任は取ってよね?その場合、
 私、あんたに見捨てられたら死ぬしかないから」

「取るよ!責任取る!!
 私が憧を見捨てるわけないだろ!?」

「そっか…」

「じゃぁ、いっちょ壊れちゃいますか!」

「…というわけで、私を一度家に帰して」

「…は?なんで!?」

「あんたが監禁なんかするからでしょうが…
 今の状態で私が足壊してたら、間違いなく
 あんたに疑いがかかるわよ?」

「ほとぼりが冷めるまでしばらく時間を置く。
 それから、さっきのプランを実行する。
 OK?」

「…逃げたりしない?」

「私があんたを置いて逃げたりしたことあった?」

「…わかった」



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「ああああああああああああっ!!!!!」

「いたいっ!!いたいいたいいたいいたい!!!」

「いたい、いたい、いたい、いたいよぉおおお!!!」

「ぃっ!!…うっっ!!」

「…うああああぁぁああぁあ!!!!」





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…とまぁ、そんなわけで、
私は人生で最大級の激痛とともに、身体の自由を失った。

代わりに、シズの介護を手に入れた。



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「憧、おまたせー。ご飯の時間だよ」

「ん、ありがと」

「はい、あーん」

「別に手は使えるんだけど?」

「私がやりたいの!はい、あーん!」

「はいはい、あーん」

ぱくり

「…うん、おいしい」

「練習したからね!」


あの日以来、私はシズのおうちにお世話になっている。
私の家じゃないのは、神職よりは
和菓子屋の方が時間の融通がきくからで
特に大した意味はない。
ちなみに、シズの両親には事の真相を話してあるから、
私が家にいることには一切文句を言ってこない。


「あ、シズ。トイレ」

「りょーかい」


シズに教えられたとおりの方法を実践した私は、
見事に足が使えなくなった。

まぁ車椅子を使えばある程度は
なんとかなっちゃうんだけど、
シズに抱っこされる方が早いので
基本的に出番はない。


「憧ー。今日はどこか行きたいところある?」

「んー、特にない。家でゴロゴロしてるわ」

「りょーかい」


私が動けなくなったのを見届けて、初めて
シズは「病みシズ」じゃなくなった。
目の輝きもようやく戻って、
今はかいがいしく私の世話をしてくれる。

そんなシズをかわいいなぁと思う反面、
ちょっとだけ、物足りないなぁと
思ってしまう私もいたりして。


「ねぇ、シズ。もし私が携帯ほしいって言ったら、どうする?」

「許さない」


シズの顔が一気に無表情になる。
その目がどろりと濁りだし、黒い何かが滲み出て。
あたりが一気に薄暗くなる。

出た出た、「病みシズ」。
やっぱり一日一回は「病みシズ」も見ておきたい。
慣れてしまうと、このシズはかっこよくて
ゾクゾクして、病みつきになってしまうのだ。


「ねぇ憧、憧には私がいればいいよね?」

「なんで、携帯がいるの?」

「いらないよね?」

「憧には、私以外、何もいらないよね?」


黒い闇が、シズと私を包み込む。
シズは私を抱き寄せながら、耳元で何度も囁いてくる。
これが最近シズの覚えた必殺技。


「…うん、そうね、間違ってた」

「私には、シズ以外いらない」


効果はてきめんだ。
あー、頭がぼーっとしてきた。
実はこれが楽しみで、
「病みシズ」を出現させてたりする私。


「そうだよ。憧には、私以外いらないんだ」

「私のことだけ考えてよ」

「憧、あこ、あこ…」

「シズ、シズ、シズ…」


あぁ、頭の中がシズで埋め尽くされていく。
しあわせ…

私は、シズをぎゅーっと抱き締めた。



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今まで、いろんなシズを見てきた。

「よそいきシズ」

「やんちゃシズ」

「でれシズ」

「やきもちシズ」

「黒シズ」


そして…「病みシズ」


どのシズもみんなかわいくって、
どのシズもみんな捨てがたい。


もう出尽くした感はあるけれど、
これからもシズと一緒に居たら、
新たなシズが現れたりするんだろうか?


もっともっと、いろんなシズを見てみたいな。


私はこれからもシズの研究を続けていく。




(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2014年08月23日 | Comment(5) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント


最高です!
センス抜群っすね!!
Posted by at 2014年08月23日 17:52
穏憧待ってました!
ぷちどろっぷさんのヤンデレは一方的じゃなくて相手がしっかり受け止めるから好き。
Posted by 上上 at 2014年08月23日 18:06
シズがヤンデレは意外だと思ってたら、やっぱり憧も病んでた。
Posted by at 2014年08月23日 19:36
病みシズのいいとこは受け手の憧がやたら安定感あるとこだな。つか更新速くてオラ嬉しいぞぉ〜
Posted by at 2014年08月23日 21:29
コメントありがとうございます!

センスがあるかは微妙ですが楽しんでいただけたなら何よりです(テレ)!

>安定の憧&受け止め

個人的には、投げっぱなし
(一方的にヤンデレが被害を加える)のも
好きなのですが、書いてるとどうしても
ハッピーエンド?になっちゃうんですよね…

そうすると受け側も病んでしまう、と。
最初は憧も病まないはずだったのですが。
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年08月24日 15:51
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