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【作品設定紹介】【咲SS:久咲】咲「あれ…気づいたら、部長がいないと生きていけなくなってる」


本ブログのSSは、無駄に長くなるので
記事の中に後書きなどは入れないようにしています。

とはいえ、作中で全ての設定や伏線を
回収しているわけではないので、
細かく知りたいという奇特な方もいるかもしれません。
何より、SSを書いている本人が
続き物の設定を忘れるという愚挙を犯す可能性があります。

というわけで、作品の記事とは別枠で
そのSSの作品紹介を掲示します。

興味のない人は退散を。

※これだけ読んでも意味不明なので
 ぜひ先に本編をお読みいただけると幸いです。
咲「あれ…気づいたら、部長がいないと生きていけなくなってる」
久「私のことだけ考えなさい」

※ここで紹介している設定はあくまで
 当ブログ作品に関する設定のため、
 原作世界とは全然関係がないのでご注意ください。

※興味のある奇特な方は、
 当ブログ内の検索で【作品設定紹介】で検索すると
 まとめて読みやすいと思います。

※かなり詳細に記述しているので
 むしろ食傷気味になる方の方が多そうですが、
 質問などがあればコメント欄に記述いただければ
 そのうち回答するかもしれません。

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テーマは黒久さんと白咲ちゃん。
リクエストにあった、「精神的に咲を縛る部長」を
書いたつもりでした。
でも、ネタ自体はリクエスト以前に練っていたので
ちょっとずれてしまった気がします。

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【作中より前の人物設定】
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以下、作中以前の時系列上の人物設定です。
咲原作から勝手に変えちゃってる点が
多分にあります。すいません。

<竹井久>
本作品における中心人物です。
性格は原作と大きく変わりはありません。
ただし、過去の両親の離婚で心に闇を抱えています。

今は一時期の絶望状態からは脱してはいますが、
思い出として昇華するには至らず、
あの時、別の選択肢があったのではないかと
今でも時折思い悩んでいる状態です。

<宮永咲>
本作品における中心人物その2です。
初期状態の性格は、
原作と大きく変わりはありません。

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【作中の解説】
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本作品では、インターハイ地区予選に向けて
各人が弱点強化を行っている場面からスタートします。


この特訓中、竹井久は宮永咲が涙を浮かべてまで
特訓にいそしむ姿に違和感を覚えます。

なぜなら宮永咲はそもそも最初
入部に乗り気ではなかったわけで、
必然的にインターハイに対してさしたる
思い入れもないはずだったからです。

何か理由があるのかもしれないと推測した竹井久は、
宮永咲が打ち込む理由を探ることにしました。

挫けそうになっていたところに、
不意に優しい言葉をかけられたことで、
宮永咲は自身の状況を竹井久に吐露します。

それは、家庭の崩壊に関することであり、
過去に両親の離婚を経験している竹井久は、
宮永咲に強い共感を覚えました。

しかしながら、この時点で竹井久は、
その計画がうまくいかないであろうことを予測します。

普通に話しかけても会話すらできないような相手に対し、
その人が打ち込んでいる分野にしゃしゃり出ていったら、
かえって火に油を注ぐだけだろうと考えたからです。

とはいえ、竹井久は宮永咲を止めようとはしませんでした。
それは、宮永咲がこの方法に縋るしかない事が
理解できたこと。そして、ほかならぬ竹井久自身が、
宮永咲の一途な想いに、強く心を打たれたからです。



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もっとも、竹井久が心を打たれたのは、
宮永咲がどれだけ宮永照のことを想っているのかを、
直接宮永咲の言動に触れて知っていたからです。

肝心の宮永照は、そんなことは全く知りません。
むしろ、自身最後のインターハイで、
長野県代表の欄に宮永咲の名前を見つけた時、
彼女が抱いた思いは、
一言で言うならば『苛立ち』でした。

そもそも、宮永咲は原作で
彼女自身が言っていたように、
家族麻雀を楽しんではいませんでした。

離別する末期のころには、自ら勝ちを放棄して
プラマイゼロばかりを繰り返す始末。
なので、宮永照は彼女を対局の相手として
みなしていませんでした。

そんな、麻雀を好きでもない妹が、
わざわざ自分の三連覇のタイミングで
全国大会に、しかも大将として出場してくる。

はっきり言ってそれは、
自分の邪魔をしに来たとしか映らなかったのです。



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こうして、二人は全国大会で再会することになります。
しかし、それは最悪の出会いとなりました。

直接対決したのならまだしも、
実際には二人が戦う事はなく。

結果は、先鋒で大量のリードを奪った宮永照に対して、
宮永咲がそれを奪い返して
三連覇を阻止する形となりました。
しかもそれは、宮永照が妹代わりのように
かわいがっていた大星淡を
徹底的に叩き潰した上でのことです。

この仕打ちは、宮永照を完全に激昂させました。
それでも根が温厚な宮永照は、
多くを語らずその憤りを胸中に抑え込みます。

しかしそれは逆に、会話を切望していた
宮永咲にとってはこの上ない拒絶となりました。


なお、この事態を避けるために
宮永咲が取れた唯一の方法は、
竹井久を介することでした。

宮永咲が直接宮永照にコンタクトを取っても、
過去の体験が邪魔をして、
素直に受け入れてはもらえません。

ですが、基本宮永照は温和な人物なので、
コミュニケーション力が高い竹井久を通じて、
どれだけ宮永咲が宮永照のことを想っているかを
事前に伝えることができていれば、
また別の展開になったことでしょう。

しかしながら、今回竹井久は傍観者に徹したため、
この展開が訪れることはありませんでした。



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こうして、一縷の望みすら
最悪の形で断ち切られた宮永咲は、
鬱状態になって自宅に引きこもってしまいます。

当然、個人戦は辞退してしまいました。
本来なら次の候補として
竹井久が個人戦に出るところですが、
竹井久もこれを固辞して長野に戻っています。

また、抜け殻状態になった宮永咲を見て、
竹井久も壊れてしまいました。

本編でも触れられていたように、
宮永咲を見守っているうちに、
竹井久も宮永咲に感情移入してしまっていたのです。

竹井久は、宮永咲の過去に自身の過去を重ね合わせて、
自身は叶わなかった希望を宮永咲に託し、
それが成就することを心から祈っていました。

しかしながら、宮永咲のそれが絶望によって
幕を閉じることになったため、
竹井久は、自分の過去の悲しみを穿り(ほじくり)出して
絶望を反芻(はんすうう)することになりました。

やり場のない怒りに震える竹井久は、
ふとあることに気づきます。


「そうよ、咲は私を求めればいいのよ
 あなたを拒絶したお姉さんなんかよりも、
 私の方が絶対咲を幸せにできる」


それは、お互いに家族から捨てられた自分達だったら、
きっと理想の家族を作ることができる、
という考えでした。
また、それ自体は特に問題のない考えでした。

問題があるとしたら、竹井久は完全に狂ってしまっており、
宮永咲には、狂った竹井久を拒絶するだけの
思考力が残っていなかったことでした。


なお、竹井久は抜け殻となった宮永咲をいったん残して、
インターハイの後処理に奔走しています。
聡明な読者は、
「この間に宮永咲が自殺をしたらどうするのか」
と疑問に思ったかもしれません。

しかしながら、抜け殻となった宮永咲には、
そもそも自殺をするだけの気力も
残っていませんでした。

作中で宮永咲は、自殺することを考えていますが、
実際に自殺するにはそれなりの体力が必要です。

もし、彼女がこの世を去るとしたら、
むしろ食事をとらないことに対する衰弱死の方が
可能性は高かったでしょう。

そのことを見抜いてた竹井久は、
後ろ髪引かれながらもいったん彼女の元を離れたのです。



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宮永咲の自宅を訪れた竹井久は、
宮永咲の父親である宮永界に出迎えられます。

宮永界はこの話において大した意味を持ちませんが、
特筆する点があるとするならば、
彼もこの時点で鬱病に侵されていることです。

宮永界は宮永咲と一緒に暮らしているため、
宮永咲が姉との仲を修復するために
頑張っていることは知っていました。

そして、インターハイの全国中継も
固唾をのんで見守っていたのです。

しかし、宮永咲は団体戦が終わった後、
個人戦に出ることもなく。
あげく、糸が切れた人形のようになって
戻ってきました。
このことから宮永界は、二人の仲が
完全に破綻したことを悟りました。

そしてこれが原因で、宮永界も
生きる気力をなくしてしまいます。

本来であれば、自分の娘が服も着替えず、
食事をとることもなく、
ずっと部屋から出てこないのであれば、
父親であれば何かしらのアクションを取ることでしょう。

しかしながら、宮永界にも行動を起こす
気力は残されていませんでした。

このため、宮永咲は帰ってきた時の
状態のまま放置されていました。



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宮永咲の部屋に入った竹井久は、
その異常な状態に一目で気づきます。

宮永咲の部屋は一応クーラーが効いています。
しかし、人間が三日間何も行動せず
静止していたら、部屋の状態がどうなるのかは
あえて説明するまでもないでしょう。

それでも、竹井久はその光景に
眉をひそめることもなく、
一直線に宮永咲の元に向かい、
汚物と化した彼女を抱きしめました。

そして、何も言わずそのまま抱き続けます。
これは作中の通り、竹井久は
宮永咲には会話をする元気もない事を、
見抜いていたためです。

こうして、沈黙状態のまま数時間が経過しました。



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やがて、竹井久の身体は空腹を訴えます。
この時、竹井久自身はそれを意に介しませんでしたが、
意外にも宮永咲がそれに反応しました。

これは、宮永咲がからっぽになる前に、
竹井久が彼女を献身的にサポートしていたことも
大きな要因でいた。

宮永咲は鬱状態ではありますが、
頭は正常に稼働していました。
このため、作中でもある通り、
彼女は自分の肉体がひどく汚れていることも
理解しています。
その汚れはちょっとどころではなく、
本能的に嘔吐を催すレベルであることも。

それでも、竹井久は何も言わず宮永咲を抱きしめました。
それが、普通の人には到底できないであろう、
深い愛情にあふれた行為であることを
宮永咲は正確に理解していたのです。

最愛の姉に拒絶され、
からっぽになって汚物と化してしまっても、
それでも変わらない献身的な竹井久の愛情に、
宮永咲は少しだけ回復することができました。

さらに竹井久は、宮永咲が一番望んでいた言葉を
見事に言ってのけました。


「あなたが死を選ぶなら、私もそうする」


竹井久のこの言葉は、宮永咲の心情を計算して
発したものではありません。

しかし、あまりにも自然に放たれたその言葉は、
宮永咲の心に深くしみわたりました。

この言葉から宮永咲は、竹井久だけは
絶対に自分の味方でいてくれると
実感することができたのです。

もっともこの竹井久の台詞は、
健常な人間なら到底
口に出すことはできないものです。

精神的に病的な状態にある二人だからこそ、
逆に事態を好転できたのだと言えるでしょう。



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それから宮永咲は、竹井久のサポートを受けて
少しずつ日常を取り戻そうとします。

数日とはいえ完全な断食をした上に、
精神的にも不安定だった彼女は、
一時的に不眠症や拒食症の症状を
発症していました。

しかしながら、竹井久の過剰すぎる愛情のおかげで、
みるみる快方に向かっていきます。

また、竹井久は元々知的好奇心が強く
物を調べる癖がついていたため、
誰かが鬱病を発症した場合に周りが取るべき
行動についても、当然徹底的に学習しています。

このため、彼女は今の宮永咲がしてほしいと思う事を、
的確に実行することができました。


問題があったとすれば、
竹井久は宮永咲を幸せにしたいと思いながらも、
別に健常者に戻そうと考えてはいなかった点です。

竹井久は自身の病的なまでの愛情によって
宮永咲が自分に依存してしまうことも理解していましたが、
むしろそれを助長するように動いてしまいます。

そして結果、竹井久の期待通り、
宮永咲はどっぷりと竹井久に依存してしまいました。

このため、症状の改善はあくまで
竹井久が一緒にいる時だけで、
竹井久のいない時の症状はあまり改善していません。

なお、この頃には二人の関係は、
先輩後輩の仲から少しずつ上位のものに
シフトしています。

恋人つなぎの描写からもうかがえるように、
二人の行動の間には、少しずつ恋愛感情が
見え隠れするようになりました。



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そうこうしていうちに、
宮永咲は条件付きではありますが、
学校に通う事ができるようになるまで回復します。

しかしながらその条件は『竹井久の監視付きであること』
という非常にハードルが高いものでした。

竹井久としてはあえて宮永咲を
学校に行かせたいとは考えていませんし、
宮永咲としても竹井久と離れるのは
不安だったのですが、ここで宮永界が反対します。

もっともそれは、娘である宮永咲のためではなく、
三年生で受験目前という、
竹井久の将来を案じたものでした。

宮永界の中では、
竹井久は無名の麻雀部を全国優勝まで導いた上、
学生議会長をも兼任し、
さらには娘の宮永咲のことを
献身的に世話してくれるという、
人間離れした聖人のような存在でした。

そんな彼女が、自身の家庭の問題で
将来を闇に閉ざしてしまう…
鬱状態とはいえ本来はまともな人間である
宮永界にとって、それは看過できないことだったのです。

無論それは宮永界視点での話であり、
すでに完全に狂っている竹井久にとっては
余計なお世話だったのですが。


かくして、宮永咲と離れざるを得なくなった竹井久は、
携帯電話とノートを用意します。

それはどちらも、いついかなる状態でも
宮永咲を竹井久と結び付けておくためのものでした。

携帯電話を使うことで、
今までは二人が連絡を取れなかった時間も、
連絡を取ることができるようになりました。
二人は切れ間なく連絡を取り合うようになり、
宮永咲はより竹井久に依存していくことになります。

ノートについては、
自分の名前を書かせるという単純作業に没頭させることで、
宮永咲の不安を解消し、
かつ他の事を考えさせないようにする目的がありました。

ただ一つ、竹井久にとって誤算だったのは、
宮永咲が名前を書くという行為に
難色を示したことです。

宮永咲は竹井久による愛情を受けて
依存症になってはいました。
また、少しずつ正気を失ってはいました。
しかしながら、この時点では完全に
狂ってしまったわけでもありませんでした。

ただひたすら名前を書き続けるという
異常な行為を客観的に見せつけられることで、
宮永咲は竹井久の中に狂気を見出し、
自身もそれに侵されていることに気づき
本能的な恐怖を覚えます。

しかしながら宮永咲は、竹井久の病的な愛情によって
自分が救われたことを理解していますし、
何より竹井久を愛していました。
このため、竹井久の狂気を
拒絶することはできませんでした。

結局、宮永咲は竹井久の狂気に対して、
見て見ないふりをして今の関係を続けます。
そしてそれは、消極的とはいえ竹井久の狂気を
受け入れることを意味していました。
結果、この時からは彼女自身の狂気も
これまで以上のスピードで
進行していくことになりました。



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この頃、竹井久は宮永咲に対して
様々な手を尽くしています。

一つは、麻雀部に連れて行ったこと。
これは、決して麻雀部の仲間との絆を
修復することが目的ではなく、
宮永咲の中に巣食う宮永照の存在を
消し去るためのものでした。

携帯電話に竹井久以外の名前を入れないというのも
その一つです。それは宮永咲にとって、最初は

「部長との連絡用で借りたのだから、
 部長以外のアドレスを入れないという
 ルールも別段不思議ではない」

という程度の認識でした。
しかし、竹井久による刷り込みを続けられた結果、
いつの間にかそれは

「この携帯には部長以外のアドレスは入れてはいけない。
 部長が決めたルールは絶対だから、
 何があっても破ってはいけないのだ」

という意味に変化していました。
このため、原村和にアドレス交換を求められた時に
宮永咲はそれを断ります。
そして、宮永咲はなぜ原村和が狼狽しているのか、
本気で理解できませんでした。
この時の彼女にとって、竹井久はそれくらい
絶対の存在になっていたのです。



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こうして、四六時中竹井久の狂った愛情に
晒され続けた宮永咲は、
自分でも気づかないうちに
重症化してしまいました。

竹井久はその現状にある程度満足していましたが、
それでもなお飽き足らず、次の手を打つことにしました。

彼女は、嘘のスケジュールを立てて
故意に宮永咲と離れることで、
宮永咲をより狂わせることを計画します。


なお、すでにこの頃には、
宮永咲が竹井久以外のことを忘れる時間帯は、
睡眠中だけとなっていました。

会えない時間はひたすら携帯で連絡を取っていますし、
それも許されない時にはひたすらノートに
名前を書き続けていました。

宮永咲は1日1ページを破ることこそありませんでしたが、
初期と末期とでは、文字のサイズが違います。
1ページを使い切ってしまう事を恐れた彼女は、
末期には2mm程度の大きさで
名前を刻むようになっていました。

そのような状況下において、
竹井久はいきなり宮永咲との連絡を一切遮断したのです。


竹井久との連絡を絶たれた宮永咲は、
学校にも行かず、自宅でひたすらメールを打ち続けます。

今までは学校に行く時も竹井久が迎えに来て
手を引いてくれていたので、
竹井久が来なかったその日は、
学校に行くという考えに思い至りませんでした。

竹井久がメールを見ないだろうということは
宮永咲も理解はしていますが、
それでも手を止めることはできず、
彼女が送信したメールは優に200件を超えていました。

それでも返事が来ないことに、
さらに宮永咲は追い詰められます。

ここで宮永咲は行動の対象をノートに移します。

内容を考えて打つ必要があるメールでは、
余計なことを考えてしまうためです。
ただひたすら名前を書くという行為であれば、
頭を使わず没頭することができます。

いつもなら2mmという病的な細かさで
名前を書く宮永咲でしたが、
精神的に追い詰められた状態では
さすがに無理な芸当です。
むしろノートの線に沿って
文字を羅列することすらできず、
ノートはすぐに埋まってしまいました。

ここに来て混乱の頂点に達した宮永咲は、
泣きながら至る所に竹井久の名前を書き殴り始めます。

作中では触れていませんが、
この行為を始めてから竹井久がやってくるまでは、
実際には3時間ほどありました。
結果、竹井久が到着する頃には、
宮永咲の部屋は、至る所が
竹井久の名前で埋め尽くされていました。


この結果に、竹井久は大いに満足します。
また、宮永咲も竹井久が来たことで
いったん正気を取り戻しますが、
自らが作り出した狂気の部屋を見て
自分がもう取り返しのつかないレベルまで
狂っていることを知りました。

それでいて竹井久がそれを
あっさりと肯定してしまったため、
彼女はもう抗うことをやめてしまいます。

こうして、宮永咲は完全に竹井久と同じ
狂人となってしまいました。



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自身が狂ってしまったことを認めた宮永咲は、
もはや竹井久から離れることはありませんでした。

この時の宮永咲は、竹井久と距離を置くどころか、
つないだ手を放すことすらできませんでした。
こうなれば、学校に行くことなど不可能です。

ここに来て、竹井久は宮永界に二者択一を迫ります。
それは、娘を手放すか、娘を精神病院に隔離するかの
二択でした。

竹井久は、努めて理知的に、悲壮感を漂わせながら、
宮永咲の部屋を宮永界に公開します。
それは、言うまでもなく
竹井久の名前で埋め尽くされたあの部屋です。

「私が、半日離れただけでこうなりました」

「咲は、もう私がいないと生きていけないようです」

「私が余計な世話を焼いたせいで…
 本当に申し訳ありませんっ…」

そう言って、声を震わせて深く頭を下げながら、
宮永界に前述の二択を迫ったのです。

宮永界はこの出来事に狼狽します。
そして、竹井久に対する罪悪感に苛まれた彼は、
少しでも負担を軽くするために、
竹井久を自宅に招こうとします。

それはあくまで、竹井久のことを案じてのものでしたが、
竹井久はそれを丁重に辞退しました。



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最終的に、竹井久と宮永咲は、
そろって学校をやめて二人暮らしを始めます。

この突然の出来事に、理解が追い付かない周囲は
当然説明を求めますが、
竹井久はそもそも会話の場に
出てくることはありませんでした。


宮永咲は竹井久に、二人の将来について尋ねます。
この生活が破たんした時、どうするのかと。

竹井久はこの質問を適当に受け流しますが、
最後に、重大な問いかけを投げ返します。


「もしもの話だけどね?
 このまま、行けるところまで行ってみて、
 維持できなくなる時が来て…
 私にもどうにもできなかったとしたら」

「その時は、二人で逝くってことでいいかしら?」


それは、もし「生きること」と
「竹井久と一緒に死ぬこと」の二択を迫られた時、
宮永咲はどちらを選ぶのか?という問いかけでした。

これに対して、宮永咲は躊躇せず竹井久を選びました。
竹井久はこの回答に満足し、
笑顔で宮永咲を抱き寄せました。


もっとも、実際にはこの想定が
現実となることはありません。

現在の二人は、竹井久の両親と
宮永界の両方から二重援助を受けている状態です。
かつ、全く散財をしない生活スタイルのため、
このままの生活を続けても
かなりの年齢まで生き続けることが可能です。

何より、竹井久自身が
人間関係のエキスパートである上、
宮永咲のためならどんなハードワークでも
平気でこなせるような人間です。
彼女にかかれば、インターネットさえあれば
仕事などいくらでもあるのです。


かくして、二人は二人ぼっちのまま、
幸せに暮らします。



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最後に改めて注記しておきたいことは、
竹井久の一連の行動は、
全て宮永咲のことを想っての行動であるという事です。

自分だけを見るようにしたことも、
自分から離れられなくなるようにしたことも、
全ては宮永咲のために行われたことです。


自分以外の人間は、咲を裏切る可能性がある

そしたら咲は、また絶望を味わってしまう

だから、咲は私だけを見ていなければいけない

私は、絶対に咲を裏切らないのだから

私だけを見ることが、咲が一番幸せになる方法なの

そして、咲が幸せになることが、私の一番の幸せなの


これが竹井久の行動原理です。


狂ってしまった竹井久の行動は、
世間一般からは到底受け入れられるものではないでしょう。
ですが、それは確かに愛にあふれており、
宮永咲は、幸せになることができました。


だから、この物語はハッピーエンドなのです。


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posted by ぷちどろっぷ at 2014年09月09日 | Comment(5) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
途中『ヤバくね?』と思っても、最後はハッピーエンドに着地する安心感よ
Posted by at 2014年09月09日 20:08


ふんふむ
Posted by at 2014年09月10日 10:54
>ハッピーエンド
本当はバッドも書いてみたいのです!
途中で自分がつらくなって書けませんけど!

>ふんふむ
ふんふむ。
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年09月13日 21:07
毎回楽しく読ませてもらっています。いまさらですが、照サイドの話は無いのでしょうか?もしあったら読んでみたいです。
Posted by まき at 2014年10月27日 09:08
照サイド>
照「この話での私は普通の健常者」
淡「病むとしたら私だねー」
照「そんなわけでこの話の私サイドはなくて
  申し訳ないけれど、
  これからも気軽にリクエストしてほしい」
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年11月09日 21:42
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