現在リクエスト消化中です。リクエスト状況はこちら。
【咲SS】【久&菫】菫「お互い、苦労するよな」久「ええ」【小ネタ】【前編】
<あらすじ>
苦労人の久さんと菫さんがだらだら傷をなめあうだけのお話。超小ネタ。
<バックナンバー>
本SSは菫相談室の番外編です。
菫相談室はこちら。
菫「第01話はこれだ」
照「第02話はこれ」
淡「第03話はこれだよ!」
尭深「…第04話はこれです」
<登場人物>
弘世菫,竹井久,宮永照,宮永咲
<症状>
※設定は菫相談室を引継ぎ。
<その他>
※まったりです。
※キャラ崩壊が激しいのでご注意
--------------------------------------------------------
久「……」
ピンポーン
菫『…合言葉は?』
久「宮永被害者同盟」
菫『痕跡は?』
久「消した」
菫『オーラは?』
久「1時間内では半径15m以内に発生してないことを確認済み」
ガチャッ…
菫「よし、入れ」
久「……」
バタンッ
久「ふー…」
菫「お疲れ様」
久「いやー、大変だったわ。咲ったら、
私のことで知らないことがあるのが
どうしても許せないみたいでさー」
久「盗聴器と発信機を全部で
11個も忍ばせてくるんだもん」
菫「10個じゃないのが憎いな」
久「キリよく探しきったつもりにさせて…ってやつね。
咲の考えそうなことだわ」
久「結局、摘出漏れが怖かったから、
デパート行って服を全部新調して
トイレで着替えて裏口から出てきたのよ」
菫「凄まじいな…
私なんかまだまだましということか」
久「いやいや、代償を払うか否かの違いでしょ?」
菫「でも、うちのメンツは扱いやすいからな。
ケーキバイキングにでも連れてってやれば
一日くらいは自由がもらえる」
久「咲もそのくらいゆるかったらなー。
咲に代償を払うとしたら、
キスマークとk」
ピンポーン
久「!?」ビクゥッ!
菫「!?」ビクゥッ!
久「え!?うそ!?バレた!?」
菫「そ、そんなバカな…隠ぺい工作は完ぺきなはず…!」
久「と、とりあえずモニターで確認しましょう…」
菫「あ、ああ…」
菫「……」
菫「…あ」
……
菫「そういえば、ピザを頼んだんだった」モキュモキュ
久「もー、脅かさないでよー」モキュモキュ
菫「しかし、ちょっと友達と二人で会うだけで、
なんでこんなに苦労しなくちゃいけないんだろうな」
菫「亦野の友達経由で企業用の貸会議室を借りて、
お互い監視の目を潜りながら秘密裏に合流…」
菫「私達はどこぞのスパイか?」
久「これはこれで面白いじゃない」
久「ま、監視されるのはヤンデレに愛された者の宿命よ…
諦めるしかないわ」
久「前にね、咲に聞いてみたのよ」
久「なんでそこまでして私を一人にしたがらないの?って」
菫「そしたら何て?」
久「『だって、一人にしたら
勝手に彼女作るじゃないですか』だってさ」
久「私、生まれてこの方誰かと
付き合ったことないんだけど?」
菫「あー…それ、『付き合う』の範疇が
私達とは違うみたいだぞ?」
菫「照曰く『誰かと話して笑ったら付き合ってる』だそうだ」
久「会話するなってこと!?」
菫「『さすがにそれだと生きていけないから、
私達がいる時はセーフにしてあげる』だそうだ」
久「あー…咲も同じこと考えてそう」
……
菫「さて、被害報告だが…そっちは何かあったか?」
久「はーい」
菫「あったのか…じゃ、報告を」
久「私、竹井久は、ファーストキス奪われてました!」
菫「なっっ!?」
久「ファーストキスどころか、
軽く100thくらいまでは奪われ済みでした!」
菫「なんで過去形なんだ…!」
久「いやー、ちょっと前の事なんだけど、
なんか夜中に寝られなかった日があってね。
朝方になってやっと眠気が襲ってきて、
夢うつつ状態でうとうとしてたのよ…」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガチャッ…
咲「部長…おはようございます…」超小声
久(…ん…さき…?)
咲「いつもの、定期巡回ですよー」超小声
久(…いつもの……?)
咲「…うん、和ちゃんは来てないね」超小声
久(…のどか……?)
咲「福路さんは…あ、あそこの路地裏に隠れてそう」超小声
久(…みほこ……?)
咲「もう一回、おうちの周り回ってこよう」超小声
咲「と、その前に…」超小声
咲「いつもの、もらいますね…」超小声
咲「んっ…」
久(…なんか…やわらかいのが…くちに…)
咲「んっ…んっ…」
久(くちびる…なめられてる…?)
咲「はぁ…じゃあ部長…また後で来ますね」超小声
咲「愛してます、部長」超小声
バタンッ…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
久「…と、いうわけでねー。問い詰めたら
割と毎日やられてたみたいなのよ」
菫「……」
久「そんなわけで私の唇は
咲に奪われまくりだったわけだー」
菫「……」
菫「なんというか…すまん。
かけてやる言葉が見つからん」
久「ああ、いいのいいの。それよりも」
久「菫…朝起きたら、なぜか部屋に
照がいたってこと、ないかしら?」
菫「!?」
久「どうかしら?」
菫「……ある」
久「じゃあ、その照がやたら満足げだったことは?」
菫「……ある」
久「それって、どうして満足げだったのかしらねー?」
菫「……」
菫「…ちょっと、照と、電話してきていいか?」
久「駄目よ。ここがバレちゃうかもしれないじゃない」
菫「…だよな!くそっ!」
久「ふふっ…帰るまでせいぜい悶々としてちょうだい。
それが私に対する慰めの言葉がわりよ」
菫「くそっ!くそっ!こんな話聞かなければよかった!!」
久「さーて、菫の唇は今も純潔を守っているのでしょうか?
それとも、すでに照まみれなのでしょうか?」
菫「いやなこと言うな!というか、
お前自身はそれでいいのか!?」
久「うーん、思うところがないわけでもないんだけどねー」
久「でも、正直メリットの方が大きいっていうか」
菫「メリット?」
久「うん。私って、なんでかいろんな人に狙われるのよ」
久「私自身に好意を持ってくれるケースもあれば、
その人を好きな人に恨まれるケースもあって、
いろいろなんだけど」
久「前者なら純潔が、後者なら命が狙われるわけ」
菫「厄介すぎる!」
久「で、夜寝る時とか、けっこう怯えながら寝てたんだけど」
久「そういうのがね、ある時を境にぱったりなくなったのよ」
菫「もしかして、それが…?」
久「うん。『定期巡回』のおかげなんだろうなーって」
久「そう思ったら…まぁキスくらいなら
いいかなーってね?」
菫「いや、気持ちはわからんでもないが、
事態は何も好転してないぞ」
菫「結局複数のヤンデレが一人の
強烈なヤンデレになったっていうだけだろう」
久「まあそうなんだけどね。
でも実際のところ対応しようがないもの」
菫「それを考えるのがこの同盟の主旨だろう?」
久「確かに。じゃぁ、何かいい案はないかしら?」
菫「…信頼できる協力者に護衛を頼むとかは?」
久「じゃあ、明日からよろしくね!」
菫「信頼できる奴が誰もいないってことか!?」
久「最初はいたんだけどねー」
菫「最初は?」
久「うん。最初はね、結構皆心配してくれるのよ。
でも、気がついたらその人もヤンデレになってるか、
もしくはその人も他のヤンデレになつかれて
他人の面倒見る余裕がなくなるか」
久「結局、全幅の信頼を置けてかつ暇っていう人が、
いつの間にかいなくなっちゃうのよね」
菫「お前の周り呪われすぎだろう!?」
久「菫だって似たようなもんじゃない?」
菫「私の周りは…照と淡くらいのものだ」
久「松実宥」
菫「……」
久「ま、そんなわけでね。ヤンデレを敵として考えるよりは
味方にした方がいいと思うのよ。代償がいるけど」
菫「私は反対だ。代償がいる行為は…
そのうちエスカレートしてくる可能性が高いだろう」
久「そこが問題なのよねー」
菫「しかも、それに付き合ってるうちに
気がついたらこっちも病んでましたってことに
なりかねないぞ?」
久「あー、憧みたいに?」
菫「…憧?もしかして、新子憧のことか?」
久「ええ。あの子も最初はまともだったんだけどね」
菫「ちょっと前に、相談室に来た時は
普通にいい奴だったぞ?」
久「高鴨さんの食べたラーメンの器とか整頓してなかった?」
菫「ああ。散らかってたのがきれいに片付いていた。
というか、何で知っているんだ」
久「阿知賀とは和経由で仲良くなったからねー。
で、なんでそんなことしたんだと思う?」
菫「…高鴨のフォローをしてたんじゃないのか?
気の利く奴だなぁと感心してたんだが」
久「…その時、唾液を回収してたとしても?」
菫「……」
久「『そういえば、久は知ってる?』」
久「『iPS細胞というので、同性の間でも
子供ができるらしいのよ!』」
菫「怖すぎだろ!?」
久「最初はあなたの言う通り、
高鴨さんの面倒を見てただけらしいんだけどね」
久「本人曰く、気づいたらなんか
ヤンデレになってたらしいわ」
久「怖いわねー」
菫「明日は我が身と思うと、まったく笑えないな…」
菫「…そうだ!」
菫「今のを聞いて思ったんだが、ヤンデレって
対象以外の人間とは割と普通に話すよな?」
久「そうね。敵対してなければ、だけど」
菫「だったら、想いの対象が自分じゃないヤンデレと
手を組むって言うのはどうだ?」
久「…なるほど!」
菫「私だったら、咲ちゃんと。
お前だったら照と淡、みたいな感じで」
菫「シャッフルすれば、割と安全に
心強い味方になると思うんだが」
久「地理上の問題が残るけど…
敵になる前に味方につけておくのは大きそうね」
菫「ああ。とりあえずその方向で考えてみるか」
久「ええ。じゃあ、今つけてるブラちょうだい!」
菫「なんでだよ!?」
久「え、だって味方につけるためには代償がいるでしょ?」
菫「結局代償が必要なんじゃないか!」
久「身体よりはましだと思わない?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「えーと、じゃぁ早速やってみますかー」
プルルルー…プルルルー…ガチャッ
照『はい、こちら宮永照です』
久「携帯だからわかるわよ…変なところで丁寧ね」
照『家電の癖が抜けなくて…で、何の用?』
久「菫のブラほしくない?」
照『…そもそもどうやって手に入れたの?』
久「あなたへのご褒美用に、菫が用意してくれたのよ。
で、乗る?乗らない?」
照『…代償はなに?』
久「話が早くて助かるわ。といっても、
別に今すぐ何かしてほしいわけじゃないの」
照『話が見えない』
久「何か問題が起きた時、私の力になってほしいのよ。
例えば長野に来た時に、私が咲から
逃げる時間をかせいでくれる、とかね?」
照『なるほど』
照『別に、咲を食べてしまってもかまわんのだろう?』
久「できるならね」
照『いいだろう。契約しよう』
久「コンゴトモヨロシク」
照『菫のブラは真空パックで送ってほしい』
久「りょーかい」
ガチャッ…
久「よし、成功!」
--------------------------------------------------------
菫「とりあえず、ストッキングをもらったが…」
菫「こんなもので、本当に釣られるのか?」
菫「まあ、とりあえず交渉してみるか…」
プルルルー…プルルルー…ガチャッ
咲『もしもし…こちら宮永家です』
菫「ああ、咲ちゃんが出たか…ちょうどいい。
私は弘世菫だ」
咲『お義姉さんでしたか。お久しぶりです』
菫「私は照と結婚してないからな!?」
咲『あはは。わかってますよ。で、
いつ挨拶にいらっしゃるんですか?』
菫「ご挨拶にも行かないからな!?」
咲『え…だと、電話してきた用事が
思いつかないんですけど…』
菫「それなんだが…咲ちゃん。
ちょっとお願いしたいことがあるんだ」
咲『部長に関わることでなければいいですよ?』
菫「…まあ、とりあえず話をさせてもらおう。
こちらのお願いとしては…
照と、淡と、松実宥に対する
抑止力になってくれないか?というものだ」
咲『なぜ、それを私に?』
菫「利害関係にない相手と協定を結んだら
うまくいくんじゃないか、と思ってな」
咲『なるほど…その場合、
私にはどんなメリットがあるんですか?』
菫「ここに、久のストッキングがある」
咲『!?』
菫「これを君にあげると言ったら…引き受けてくれるか?」
咲『…ねえ』
咲『どうしてそれを菫さんが持ってるのかな?』
菫(…急に雰囲気が…!)
菫「君へのご褒美用に、久が用意してくれた」
咲『…菫さんの目の前で脱いだってこと?』
菫「そんなわけないだろう。脱いだ後で渡されただけだ」
咲『なるほど…直接受け取りはしたんだね。
つまり今日、部長の行方が分からなくなったのは…
菫さんと会ってたからなんだ』
菫(しまった…!)
咲『菫さん?さっき、利害関係にないって言ってたけど…
菫さんって、私の敵なんじゃないのかな?』
菫「それは違う!私は久のことを
そういう目では見ていない!」
咲『でも、私の追跡をかいくぐってまで、
菫さんに会いに行ったんだよね?』
咲『むしろ菫さんって、私にとって、
真っ先に始末すべき相手なんじゃないかな?』
菫(こいつ、こんなに病んでたのか!?)ゾッ…
菫「久と私が二人で会ったのは、
たまには普通の友達と会話したかっただけだ!」
菫「お前たちがそうやって縛りつけるから、
私達はこっそり会わざるを得ないんだ!」
菫「隠れられたくなかったら、
むしろ束縛を緩めたらどうだ!」
咲『…部長はけっこう楽しんでやってそうですけどね…』
咲『まあ、わかりました。私としても、
私の掌握範囲外で動かれるよりは、
菫さん経由ででも情報を手に入れられた方がいいです』
咲『だから、こちらからも条件を出します。
定期的に部長の情報を私に流してください』
菫「秘密の場所を教えろと言うのなら断る」
咲『そこまでは言いませんよ?ただ、
いつ二人で会う、くらいのことは教えてください』
菫「まあ、その程度ならいいだろう」
咲『交渉成立ですね。ただ…』
咲『そもそも菫さんが、部長に
手を出さないのが大前提ですよ?』
菫「…約束しよう」
咲『ちなみにこの会話、ボイスレコーダーで録音してます』
菫「!?」
咲『裏切ったら…絶対に後悔してもらいますからね?』
菫「…そちらが裏切らなければ問題ないさ」
ガチャッ…
菫「よし、微妙!」
--------------------------------------------------------
久『そういうわけで、首尾よくいったわ』
菫『そういうわけで、難航したよ』
久『あはは、やっぱり。あの咲が素直に
うんって言うとは思えなかったもの』
菫『お前、あんなのといつもやり取りしてるのか…
よく神経が持つな…』
久『まあ、ああいうスリルも嫌いじゃないしね。
で、結局どうなったの?』
菫『差しさわりのない情報提供と引き換えに
協力を得られることになった』
久『わお、上々じゃない』
菫『裏切ったら許さない、とも言われたがな』
久『ま、そこは裏切らなければ問題ないわ』
久『じゃ、次会う時には成果発表でもしましょうか』
菫『そうだな』
菫『次回は私がそっちに行こう』
久『お待ちしてるわ』
菫『じゃあ、また今度』
久『じゃねー』
ガチャッ…
久「さてさて…笑壺の会になるかしら?」
(続く。13〜14日から公開予定)
苦労人の久さんと菫さんがだらだら傷をなめあうだけのお話。超小ネタ。
<バックナンバー>
本SSは菫相談室の番外編です。
菫相談室はこちら。
菫「第01話はこれだ」
照「第02話はこれ」
淡「第03話はこれだよ!」
尭深「…第04話はこれです」
<登場人物>
弘世菫,竹井久,宮永照,宮永咲
<症状>
※設定は菫相談室を引継ぎ。
<その他>
※まったりです。
※キャラ崩壊が激しいのでご注意
--------------------------------------------------------
久「……」
ピンポーン
菫『…合言葉は?』
久「宮永被害者同盟」
菫『痕跡は?』
久「消した」
菫『オーラは?』
久「1時間内では半径15m以内に発生してないことを確認済み」
ガチャッ…
菫「よし、入れ」
久「……」
バタンッ
久「ふー…」
菫「お疲れ様」
久「いやー、大変だったわ。咲ったら、
私のことで知らないことがあるのが
どうしても許せないみたいでさー」
久「盗聴器と発信機を全部で
11個も忍ばせてくるんだもん」
菫「10個じゃないのが憎いな」
久「キリよく探しきったつもりにさせて…ってやつね。
咲の考えそうなことだわ」
久「結局、摘出漏れが怖かったから、
デパート行って服を全部新調して
トイレで着替えて裏口から出てきたのよ」
菫「凄まじいな…
私なんかまだまだましということか」
久「いやいや、代償を払うか否かの違いでしょ?」
菫「でも、うちのメンツは扱いやすいからな。
ケーキバイキングにでも連れてってやれば
一日くらいは自由がもらえる」
久「咲もそのくらいゆるかったらなー。
咲に代償を払うとしたら、
キスマークとk」
ピンポーン
久「!?」ビクゥッ!
菫「!?」ビクゥッ!
久「え!?うそ!?バレた!?」
菫「そ、そんなバカな…隠ぺい工作は完ぺきなはず…!」
久「と、とりあえずモニターで確認しましょう…」
菫「あ、ああ…」
菫「……」
菫「…あ」
……
菫「そういえば、ピザを頼んだんだった」モキュモキュ
久「もー、脅かさないでよー」モキュモキュ
菫「しかし、ちょっと友達と二人で会うだけで、
なんでこんなに苦労しなくちゃいけないんだろうな」
菫「亦野の友達経由で企業用の貸会議室を借りて、
お互い監視の目を潜りながら秘密裏に合流…」
菫「私達はどこぞのスパイか?」
久「これはこれで面白いじゃない」
久「ま、監視されるのはヤンデレに愛された者の宿命よ…
諦めるしかないわ」
久「前にね、咲に聞いてみたのよ」
久「なんでそこまでして私を一人にしたがらないの?って」
菫「そしたら何て?」
久「『だって、一人にしたら
勝手に彼女作るじゃないですか』だってさ」
久「私、生まれてこの方誰かと
付き合ったことないんだけど?」
菫「あー…それ、『付き合う』の範疇が
私達とは違うみたいだぞ?」
菫「照曰く『誰かと話して笑ったら付き合ってる』だそうだ」
久「会話するなってこと!?」
菫「『さすがにそれだと生きていけないから、
私達がいる時はセーフにしてあげる』だそうだ」
久「あー…咲も同じこと考えてそう」
……
菫「さて、被害報告だが…そっちは何かあったか?」
久「はーい」
菫「あったのか…じゃ、報告を」
久「私、竹井久は、ファーストキス奪われてました!」
菫「なっっ!?」
久「ファーストキスどころか、
軽く100thくらいまでは奪われ済みでした!」
菫「なんで過去形なんだ…!」
久「いやー、ちょっと前の事なんだけど、
なんか夜中に寝られなかった日があってね。
朝方になってやっと眠気が襲ってきて、
夢うつつ状態でうとうとしてたのよ…」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガチャッ…
咲「部長…おはようございます…」超小声
久(…ん…さき…?)
咲「いつもの、定期巡回ですよー」超小声
久(…いつもの……?)
咲「…うん、和ちゃんは来てないね」超小声
久(…のどか……?)
咲「福路さんは…あ、あそこの路地裏に隠れてそう」超小声
久(…みほこ……?)
咲「もう一回、おうちの周り回ってこよう」超小声
咲「と、その前に…」超小声
咲「いつもの、もらいますね…」超小声
咲「んっ…」
久(…なんか…やわらかいのが…くちに…)
咲「んっ…んっ…」
久(くちびる…なめられてる…?)
咲「はぁ…じゃあ部長…また後で来ますね」超小声
咲「愛してます、部長」超小声
バタンッ…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
久「…と、いうわけでねー。問い詰めたら
割と毎日やられてたみたいなのよ」
菫「……」
久「そんなわけで私の唇は
咲に奪われまくりだったわけだー」
菫「……」
菫「なんというか…すまん。
かけてやる言葉が見つからん」
久「ああ、いいのいいの。それよりも」
久「菫…朝起きたら、なぜか部屋に
照がいたってこと、ないかしら?」
菫「!?」
久「どうかしら?」
菫「……ある」
久「じゃあ、その照がやたら満足げだったことは?」
菫「……ある」
久「それって、どうして満足げだったのかしらねー?」
菫「……」
菫「…ちょっと、照と、電話してきていいか?」
久「駄目よ。ここがバレちゃうかもしれないじゃない」
菫「…だよな!くそっ!」
久「ふふっ…帰るまでせいぜい悶々としてちょうだい。
それが私に対する慰めの言葉がわりよ」
菫「くそっ!くそっ!こんな話聞かなければよかった!!」
久「さーて、菫の唇は今も純潔を守っているのでしょうか?
それとも、すでに照まみれなのでしょうか?」
菫「いやなこと言うな!というか、
お前自身はそれでいいのか!?」
久「うーん、思うところがないわけでもないんだけどねー」
久「でも、正直メリットの方が大きいっていうか」
菫「メリット?」
久「うん。私って、なんでかいろんな人に狙われるのよ」
久「私自身に好意を持ってくれるケースもあれば、
その人を好きな人に恨まれるケースもあって、
いろいろなんだけど」
久「前者なら純潔が、後者なら命が狙われるわけ」
菫「厄介すぎる!」
久「で、夜寝る時とか、けっこう怯えながら寝てたんだけど」
久「そういうのがね、ある時を境にぱったりなくなったのよ」
菫「もしかして、それが…?」
久「うん。『定期巡回』のおかげなんだろうなーって」
久「そう思ったら…まぁキスくらいなら
いいかなーってね?」
菫「いや、気持ちはわからんでもないが、
事態は何も好転してないぞ」
菫「結局複数のヤンデレが一人の
強烈なヤンデレになったっていうだけだろう」
久「まあそうなんだけどね。
でも実際のところ対応しようがないもの」
菫「それを考えるのがこの同盟の主旨だろう?」
久「確かに。じゃぁ、何かいい案はないかしら?」
菫「…信頼できる協力者に護衛を頼むとかは?」
久「じゃあ、明日からよろしくね!」
菫「信頼できる奴が誰もいないってことか!?」
久「最初はいたんだけどねー」
菫「最初は?」
久「うん。最初はね、結構皆心配してくれるのよ。
でも、気がついたらその人もヤンデレになってるか、
もしくはその人も他のヤンデレになつかれて
他人の面倒見る余裕がなくなるか」
久「結局、全幅の信頼を置けてかつ暇っていう人が、
いつの間にかいなくなっちゃうのよね」
菫「お前の周り呪われすぎだろう!?」
久「菫だって似たようなもんじゃない?」
菫「私の周りは…照と淡くらいのものだ」
久「松実宥」
菫「……」
久「ま、そんなわけでね。ヤンデレを敵として考えるよりは
味方にした方がいいと思うのよ。代償がいるけど」
菫「私は反対だ。代償がいる行為は…
そのうちエスカレートしてくる可能性が高いだろう」
久「そこが問題なのよねー」
菫「しかも、それに付き合ってるうちに
気がついたらこっちも病んでましたってことに
なりかねないぞ?」
久「あー、憧みたいに?」
菫「…憧?もしかして、新子憧のことか?」
久「ええ。あの子も最初はまともだったんだけどね」
菫「ちょっと前に、相談室に来た時は
普通にいい奴だったぞ?」
久「高鴨さんの食べたラーメンの器とか整頓してなかった?」
菫「ああ。散らかってたのがきれいに片付いていた。
というか、何で知っているんだ」
久「阿知賀とは和経由で仲良くなったからねー。
で、なんでそんなことしたんだと思う?」
菫「…高鴨のフォローをしてたんじゃないのか?
気の利く奴だなぁと感心してたんだが」
久「…その時、唾液を回収してたとしても?」
菫「……」
久「『そういえば、久は知ってる?』」
久「『iPS細胞というので、同性の間でも
子供ができるらしいのよ!』」
菫「怖すぎだろ!?」
久「最初はあなたの言う通り、
高鴨さんの面倒を見てただけらしいんだけどね」
久「本人曰く、気づいたらなんか
ヤンデレになってたらしいわ」
久「怖いわねー」
菫「明日は我が身と思うと、まったく笑えないな…」
菫「…そうだ!」
菫「今のを聞いて思ったんだが、ヤンデレって
対象以外の人間とは割と普通に話すよな?」
久「そうね。敵対してなければ、だけど」
菫「だったら、想いの対象が自分じゃないヤンデレと
手を組むって言うのはどうだ?」
久「…なるほど!」
菫「私だったら、咲ちゃんと。
お前だったら照と淡、みたいな感じで」
菫「シャッフルすれば、割と安全に
心強い味方になると思うんだが」
久「地理上の問題が残るけど…
敵になる前に味方につけておくのは大きそうね」
菫「ああ。とりあえずその方向で考えてみるか」
久「ええ。じゃあ、今つけてるブラちょうだい!」
菫「なんでだよ!?」
久「え、だって味方につけるためには代償がいるでしょ?」
菫「結局代償が必要なんじゃないか!」
久「身体よりはましだと思わない?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「えーと、じゃぁ早速やってみますかー」
プルルルー…プルルルー…ガチャッ
照『はい、こちら宮永照です』
久「携帯だからわかるわよ…変なところで丁寧ね」
照『家電の癖が抜けなくて…で、何の用?』
久「菫のブラほしくない?」
照『…そもそもどうやって手に入れたの?』
久「あなたへのご褒美用に、菫が用意してくれたのよ。
で、乗る?乗らない?」
照『…代償はなに?』
久「話が早くて助かるわ。といっても、
別に今すぐ何かしてほしいわけじゃないの」
照『話が見えない』
久「何か問題が起きた時、私の力になってほしいのよ。
例えば長野に来た時に、私が咲から
逃げる時間をかせいでくれる、とかね?」
照『なるほど』
照『別に、咲を食べてしまってもかまわんのだろう?』
久「できるならね」
照『いいだろう。契約しよう』
久「コンゴトモヨロシク」
照『菫のブラは真空パックで送ってほしい』
久「りょーかい」
ガチャッ…
久「よし、成功!」
--------------------------------------------------------
菫「とりあえず、ストッキングをもらったが…」
菫「こんなもので、本当に釣られるのか?」
菫「まあ、とりあえず交渉してみるか…」
プルルルー…プルルルー…ガチャッ
咲『もしもし…こちら宮永家です』
菫「ああ、咲ちゃんが出たか…ちょうどいい。
私は弘世菫だ」
咲『お義姉さんでしたか。お久しぶりです』
菫「私は照と結婚してないからな!?」
咲『あはは。わかってますよ。で、
いつ挨拶にいらっしゃるんですか?』
菫「ご挨拶にも行かないからな!?」
咲『え…だと、電話してきた用事が
思いつかないんですけど…』
菫「それなんだが…咲ちゃん。
ちょっとお願いしたいことがあるんだ」
咲『部長に関わることでなければいいですよ?』
菫「…まあ、とりあえず話をさせてもらおう。
こちらのお願いとしては…
照と、淡と、松実宥に対する
抑止力になってくれないか?というものだ」
咲『なぜ、それを私に?』
菫「利害関係にない相手と協定を結んだら
うまくいくんじゃないか、と思ってな」
咲『なるほど…その場合、
私にはどんなメリットがあるんですか?』
菫「ここに、久のストッキングがある」
咲『!?』
菫「これを君にあげると言ったら…引き受けてくれるか?」
咲『…ねえ』
咲『どうしてそれを菫さんが持ってるのかな?』
菫(…急に雰囲気が…!)
菫「君へのご褒美用に、久が用意してくれた」
咲『…菫さんの目の前で脱いだってこと?』
菫「そんなわけないだろう。脱いだ後で渡されただけだ」
咲『なるほど…直接受け取りはしたんだね。
つまり今日、部長の行方が分からなくなったのは…
菫さんと会ってたからなんだ』
菫(しまった…!)
咲『菫さん?さっき、利害関係にないって言ってたけど…
菫さんって、私の敵なんじゃないのかな?』
菫「それは違う!私は久のことを
そういう目では見ていない!」
咲『でも、私の追跡をかいくぐってまで、
菫さんに会いに行ったんだよね?』
咲『むしろ菫さんって、私にとって、
真っ先に始末すべき相手なんじゃないかな?』
菫(こいつ、こんなに病んでたのか!?)ゾッ…
菫「久と私が二人で会ったのは、
たまには普通の友達と会話したかっただけだ!」
菫「お前たちがそうやって縛りつけるから、
私達はこっそり会わざるを得ないんだ!」
菫「隠れられたくなかったら、
むしろ束縛を緩めたらどうだ!」
咲『…部長はけっこう楽しんでやってそうですけどね…』
咲『まあ、わかりました。私としても、
私の掌握範囲外で動かれるよりは、
菫さん経由ででも情報を手に入れられた方がいいです』
咲『だから、こちらからも条件を出します。
定期的に部長の情報を私に流してください』
菫「秘密の場所を教えろと言うのなら断る」
咲『そこまでは言いませんよ?ただ、
いつ二人で会う、くらいのことは教えてください』
菫「まあ、その程度ならいいだろう」
咲『交渉成立ですね。ただ…』
咲『そもそも菫さんが、部長に
手を出さないのが大前提ですよ?』
菫「…約束しよう」
咲『ちなみにこの会話、ボイスレコーダーで録音してます』
菫「!?」
咲『裏切ったら…絶対に後悔してもらいますからね?』
菫「…そちらが裏切らなければ問題ないさ」
ガチャッ…
菫「よし、微妙!」
--------------------------------------------------------
久『そういうわけで、首尾よくいったわ』
菫『そういうわけで、難航したよ』
久『あはは、やっぱり。あの咲が素直に
うんって言うとは思えなかったもの』
菫『お前、あんなのといつもやり取りしてるのか…
よく神経が持つな…』
久『まあ、ああいうスリルも嫌いじゃないしね。
で、結局どうなったの?』
菫『差しさわりのない情報提供と引き換えに
協力を得られることになった』
久『わお、上々じゃない』
菫『裏切ったら許さない、とも言われたがな』
久『ま、そこは裏切らなければ問題ないわ』
久『じゃ、次会う時には成果発表でもしましょうか』
菫『そうだな』
菫『次回は私がそっちに行こう』
久『お待ちしてるわ』
菫『じゃあ、また今度』
久『じゃねー』
ガチャッ…
久「さてさて…笑壺の会になるかしら?」
(続く。13〜14日から公開予定)
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/103496384
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/103496384
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
ぜひ続きもお願いしますー
ヤンデレは人を幸せにするね(白目
うん(ほっこり)
淡はともかく、照は頭はいいのです。
ただ、ちょっとお花畑なだけで。
咲さんはガチ。
久菫か…確かに若干その気配もありますね。
リクエストがあったら書くかもしれません。