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【咲SS:咲久】久「絶賛拘束監禁中!」【ヤンデレ】【あまあま】

<あらすじ>
咲「監禁、始めました」
久「わりかし居心地がよくて参るわー」

咲「以下の別バージョンです。
  私がチョロくなかった場合はどうなっていたか…
  というIFバージョンですね」
『チョロ咲「部長を監禁するよ!」』


<登場人物>
竹井久,宮永咲,原村和,国広一,龍門渕透華

<症状>
・ヤンデレ(弱)
・依存
・あまあま砂吐き

<その他>
※注意!のどっちがピンクじゃありません!

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部長は、性質の悪い底なし沼だと思う。


だって、私がどれだけわがままを言っても、
部長は笑って受け入れてくれるから。

手探りで底を探しながら、
私は部長の底なし沼に沈んでいく。
それは、どれだけ沈んでも底に至らなくて。
そして、気づいた時にはもう戻れないんだ。


だからこそ、私は怯えてしまう。


部長の優しさは、底がしれないけど。
それは、私だけに向けられたものじゃないから。

周りにも、部長の沼に嵌っちゃった人がたくさんいる。
そして、皆に共通しているのは、
そこから這い出そうともしないで、
底を探って奥へ奥へと沈んでいる事。


その人達と、私は何か違うのかな?
ううん、多分、違いなんてない。


部長はいつも、誰にでも優しい。
だから、私が特別扱いされるには、
他の人を部長に近づけちゃ駄目で。

部長を、外界から切り離すしかない。
私だけが、部長の底なし沼に嵌れるように。



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目を覚ますと、そこは監獄だった。


いや、実際には監獄って表現は
少しオーバーかな?

内装はシックだけど高級感の溢れる感じだったし、
生活に必要なものは一通り揃っていた。
高級ホテルの一室です、と言われても
信じることができると思う。

首につけられた首輪と、
窓につけられた格子さえなければ。


「…どういう状況?」


なんて、精神安定のために口に出してみる。

まず最初に思いついたのは、龍門渕。
こんな部屋を用意できるのは
あの人達くらいのもの。
でも、あそこは尖っているようでいて
意外に安牌だったはずなんだけど。

とすると、龍門渕が共犯で、
主犯は他にいると考えるべきか。
主犯になりうる人物は…

ある人物が脳裏に浮かんだ時、
ちょうどその人物の声が耳に聞こえてきた。


「部長、ぐっすり眠れましたか?」


声がした方に目を向けると、
そこにはまったりと本を読む咲がいた。

まあ、やっぱりあなたよね。



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事の発端は、咲ちゃんの相談。


「龍門渕の力で、部長を監禁できませんか?」


その相談は、かなり衝撃的で…
それでいて、興味を惹くものだった。
だって、ある意味ボクも同じ立場だったから。


ボクは、人身売買の形で龍門渕に連れてこられた。
そして、鎖で繋がれて。
今は、こうして透華のメイドをしているわけだけど。

一つだけ、不満なところがある。
あのお嬢様ときたら、
人のことを無理矢理買っておきながら、
一向に手を出してこないんだ。
こっちはもうずっと前から待ってるのに。


だから、もしボクと同じように。
外界から切り離された久が咲ちゃんとくっついたなら、
透華にもいい影響を与えられるんじゃないかな?


そんなわけで、ボクは二つ返事で請け負った。


「うん、多分できると思うよ。
 ボクから透華に掛け合ってあげるよ」


ちなみに、ボクからの相談を受けた透華も、
二つ返事で引き受けた。


「竹井さんですか…元々私も目をつけていましたし、
 特に問題ありませんわ!」


こうして、かるーいノリで監禁計画は進み、
あっさりと久は捕まった。



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竹井久、17歳。現在絶賛監禁中。

確かにインターハイも無事終わって、
今はちょっと時間的な余裕があるわけだけど。

だからと言って、さすがに理由もわからず
監禁を受け入れるほど、私は達観してないわけで。
私は、咲に説明を要求した。


「えーと、咲?状況を説明してもらえない?」

「説明、いりますか?」

「あ、うん。一応ね?」

「インターハイも終わったわけですけど…
 部長、浮気し放題でしたよね?」

「はぁ」

「で、あの調子で口説いてると、
 きっと全国から部長を狙う泥棒猫達が
 押し寄せてくると思うんですよ」

「はぁ」

「なので、安全のために隔離しました」


うん。よくわからない。
インターハイは麻雀に打ち込んだ
覚えしかないんだけど?


「あのね、咲?まず私は、
 インターハイで誰かを口説いた覚えがな」

「天然人たらし」

「…いんだけど…後、
 浮気って、私そもそも誰かと付きあtt」

「これから私と付きあいますよね?」

「…ってないと思うんだけど、うんわかった。
 この件について話し合いは無理そうね?」

「質問を変えるわ。私はここに
 いつまで監禁される予定なわけ?」

「夏休み中は居てもらいます」


淡々と答える咲。
なるほど、流石に一生とか言われたら、
本気で抵抗せざるを得なかったけど…
ある程度譲歩はしてるのね。
とはいえ、夏休みの残り丸々全部かぁ…


「一応私、学生議会長とか
 いろいろ仕事あるんだけど?」

「お仕事なら、ここでもできますよね?」

「いやいや、議会とかあるでしょ」

「今の時代、TV会議で大体事足りますよ?」

「むむ、確かに」

「えーと、後ね?一応高校最後の夏休みだから、
 思い出作りとかしたいなーってね?」

「もう十分作りましたよね?」

「あ、じゃぁほら、海とか行かない?
 麻雀部のみんなとかでさ?」

「…そうですね…まあ、そのくらいなら…」

「だめですね。部長の事だから、
 『どうせなら他校の部員も呼びましょう!』
 とか言って、また浮気し出すでしょうから」


むむむ…手ごわい。
なんだかお小遣いアップをせがむ
サラリーマンのお父さんみたいな
気分になってきたわ。


よーし、それなら。
押しても駄目なら引いてみろよ!


「わかったわ、咲。そこまで言うなら、
 あなたが満足するまで付き合ってあげる!」

「ど、どうしたんですか?急に」

「その代わり、満足したら
 解放してもらうからね!」


そう、要は徹底的に咲にご奉仕して、
前倒しで満足してもらう作戦。
私のご奉仕魂を見せてやるわ!!


「徹底的にあまやかしてあげるから…
 覚悟なさい!」



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そんなわけで、監禁生活始めました。

ちなみにここは予想通り
龍門渕の管轄している屋敷だったらしく、
食事はメイド姿の一が運んできた。


「久もご愁傷様だね」

「まったくよ…というか、私から見たら
 あなたも共犯なんだけど?」

「仕方ないよ…ボクはしがないメイドなんだから。
 ご主人様の命令には逆らえないよ」


そう言いながら屈託のない笑みを浮かべる一。
嘘おっしゃい。あなたは絶対そそのかす側でしょうに。


「で、諦めて素直に監禁されるの?」

「んー、それでもいいんだけどねー。
 ただ捕まってるのもつまんないし、
 いっそ咲に尽くしてあげようかなって」

「そしたら、意外に早く釈放されるかもしれないし?」

「あはは、やっぱり久って面白いなあ。
 普通、いきなり監禁されておいて
 その発想は出てこないよ?」

「まあ、なんだかんだで
 咲にはいろいろ感謝してるしねー」

「そっか。それなら、役に立ちそうな
 情報をプレゼントするよ」

「なになに?」

「咲ちゃんが、してほしそうなこと」


そういって、一は私にあることを教えてくれた。
なるほどなるほど。
ジャブとしてはちょうどよさそうね。



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「というわけで、咲。カモン!」

「な、何がですか?」

「察しが悪いわねぇ…添い寝よ、そーいーね!」


私は布団を持ち上げて、ポンポンと中に入ることを促す。
一曰く、龍門渕さんに寝かしつけられている
天江さんを見て、咲が羨ましそうにしていたらしい。


「え、えと…何を企んでいるんですか?」

「ん?別に企んでなんかいないけど?」

「私を寝かしつけた後で、脱出するつもりですか?」

「そんなことしないわよ。
 あなたを満足させないまま逃げたって、
 どうせいたちごっこじゃない」

「さあさあ、ほら早く」

「わ、わかりましたよ。
 もう、強引なんだから…」


しぶしぶ、という感じで
咲がベッドに上がり込んでくる。
もっとも、若干顔がにやけているあたり、
それは多分ポーズだろう。


「さらに、抱き枕サービス入りまーす」

「んっ…」


その手で咲を包み込んで、ぎゅっとホールド。
咲は戸惑いながらも抵抗することはなく、
大人しく私の腕の中に納まった。


「…ホントにどうしたんですか?」

「言ったでしょ。あまやかしてあげるって」

「…ここから、早く出たいから、ですか?」

「んー、その思惑もなくはないんだけどねー。
 ただ、いい機会だとも思うのよね」

「いい機会?」

「そ。この夏、私は咲に返しきれないくらい
 たくさんのものをもらったからねー」

「だから、ちょっとくらいは返しておきたいなってね」

「それに、ただ監禁されるだけっていうのも
 つまらないじゃない?」

「…監禁されて『つまらない』とか言えるのなんて、
 部長くらいのものですよ…」


クスリと笑いながら、私の胸に顔をすり寄せる咲。
頭を撫でてあげると、気持ちよさそうに目を細める。
そうしているうちに、私にもだんだん眠気がやってきて。

私達はそのまま、くっついて眠った。
うん、たまにはこういうのもいいかもね。



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「咲さんと部長…大丈夫でしょうか…」


私は、本日何度目かのため息をつきながら、
そう独りごちました。


「のどちゃんは心配性だじぇ。
 あの二人ならきっと問題ないじょ?」

「でも、もう一週間も消息がわからないんですよ?」

「親御さんが気にしてなかったんだじょ?
 あのサプライズ部長の事だから
 きっとどこかで遊んでるだけだじぇ」


全く気にしてない、と言わんばかりに
ゆーきがゆるい返事を返しました。


咲さんのお父さん曰く、咲さんは部長と一緒に
遠くに旅行に出かけたとのこと。

確かに、咲さんのお父様が心配をしていない辺り、
問題のない事態なのかもしれません。


でも、よりによって部長と一緒ということ。
しかも、肝心の二人とは一切連絡が取れないこと。
その二点は、私の心に不安の影を落としていました。


「ああ、心配です…」

「んー、むしろのどちゃんは
 何がそんなに心配なんだじょ?」

「そんなの、決まってるじゃないですか…」


「二人の『病気』が、悪化することですよ」



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咲さんと部長。

二人の組み合わせは、
どこか危ういところがあるのです。


一見大人しくて問題を起こしそうにない咲さんですが、
意外にも無自覚に常軌を逸した行動を取ることがあります。

そして部長は、そんな咲さんの異常行動に
苦笑しながらも、最終的には受け入れてしまうのです。


例えば、前に二人が同じ本を読んだ時の
感想を話していたことがあります。
それ自体は和気あいあいとしたもので、
特に問題のない行動でした。

…そう、その行為が数時間に及ぶものでなければ。

夏休み、午前から始まったその感想会は、
気づけば空が夕暮れに染まる時間になっても
終わることはなく。
結局、二人は部長の家に場所を移し、
その日は夜通し語り合ったそうです。

よほどその本が気に入ったのでしょうか。
私は内容に興味がわいて、
次の日咲さんに問いかけました。


「あの本、そんなに面白かったんですか?」

「え?ああ、別にそんなに面白くなかったよ?」

「ええ!?それなのに、あんなに話し込んでたんですか!?」

「う、うん…えと、なんかおかしかったかな?」


さらに詳しく聞いてみれば、132ページの、
4行目の文章が違和感あって感情移入できなかっただとか、
68ページ13行目の表現は綺麗でよかっただとか、
それはもう細かくて。
正直、少しだけ、
普通ではないなと思ってしまいました。

なので私は、つき合わされた部長に少し同情したのですが…
部長は、目にクマを浮かべながら、
事もなげにこう言い放ったのです。


「え、あのくらい、本の虫なら普通なんじゃない?」



他にもあります。以前部長が風邪をひいて、
学校を欠席したことがあって。
なんと、その期間は10日間におよびました。

時を同じくして咲さんも学校を欠席したのですが、
こちらも同じく10日間。

これは、もしかして風邪というのは口実で、
二人でどこかに遊びにでも行っているのでは…
などという憶測が飛び交う中。

二人は揃って部活に戻ってきました。


「いやー、ごめんね。風邪が全然治らなくて」

「…本当に風邪だったんですか?」

「これが本当なのよねー。咲とピンポンしちゃったから」

「…は?」

「ん?だから、私がまず風邪をひくでしょ?
 で、咲が看病に来てくれたんだけど、
 それで私の風邪がうつっちゃって。
 私の風邪は治ったけど、咲が風邪だから看病するでしょ?
 そしたら私が再発する…後はその繰り返し」

「気がついたら一週間経っててねー、
 あ、こりゃ駄目だって思って離れたら、すぐ治ったわ」

「い、いや…最初にうつした時点で気づいてくださいよ…」

「いやはや、まったくもって!」


そう言いながら、ケラケラと笑う部長。
私は、呆れて物が言えませんでした。

しかし、そもそも部活の先輩が病欠したからといって、
学校を休んでまで看病しに行くでしょうか?
そして、いくら風邪をうつしたからと言って、
同じく看病するでしょうか?
しかも、それを一週間も続けるなんて…


他にも例をあげれば、枚挙にいとまがありません。
『迷子になりたくないから、
 ずっと部長と手を繋いでます』事件とか…


ちなみに、そんな咲さんの取った行動の中には、
警察のお世話になるようなものも含まれていました。
ただ、対象となった部長が、持ち前のゆるさで
受け入れたから問題とならなかっただけで。

そういった点では、咲さんも部長も、
少し病気だと言ってもおかしくないと思います。

そんな二人が、揃って長期間失踪しているのです。


しかもここ最近、咲さんは神経質になっていました。
『部長が浮気をしている』と、
何度も何度も口にしていました。


もし、思い余った咲さんが、
部長のことを監禁して…
そして、部長がそれをいつもの通り
受け入れてしまったとしたら。

私達は、今まで通りの関係を
継続できるのでしょうか?

私は、この懸念が杞憂であることを
祈らずにはいられませんでした。



--------------------------------------------------------



今日も私は、咲と二人で目を覚ました。


目を覚ますと感じる、咲のぬくもり。

それはまるでぬるま湯のように、
優しい心地よさを私に与えてくれて。
このまま、いくらでも眠っていられそう。


「んっ…ぶちょぉ…おはよぅ、ございます…」

「はい、おはよう。まだ眠い?」

「…ちょっとだけ…」

「じゃあ、もう少しこうしてましょうか」

「はぃ…えへへ…ぶちょう…」

「ふふっ…咲はあまえんぼうねえ」


まだ寝ぼけまなこの咲が、
私にくっついてすり寄ってくる。

寝顔の咲も可愛いけれど、
何よりも、起きたばっかりのぼんやりした状態で、
とろんとした声を出して
あまえてくるのがたまらない。


(うーむ…悪くないわね、この生活)


なんて、私は一人満足気に頷いた。

強制的に始まった監禁ではあったけど、
外に出られない以外は特に困ることもなく。

むしろ、龍門渕家のメイドが甲斐甲斐しく
世話を焼いてくれるものだから、
自宅よりも快適とすら言えそうだった。

発端となった咲も、この通り。
ちょっとあまやかしてあげただけで
すぐふにゃふにゃになって、
ただ私にくっつくだけのあまえんぼうと化した。


最初は、咲をあまやかすだけあまやかして、
満足したら釈放してもらう事も考えていたんだけど。
いっそこのまま、まるっと夏休み
過ごしちゃうのもいいかもしれない。



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「あ、あの二人の様子はどうですの?」


まったりとした昼下がり。興味津々とばかりのお嬢様に、
ボクは包み隠さず現状を報告した。


「あ、うん。ちょっと口に出すのを
 躊躇うくらいの関係にはなってるかな?」

「そ、そこまで進んでいますの!?」


ちなみに、別にこれはボクの妄言じゃない。
実際二人は、初日から一緒にお風呂に入り、
数日後には、裸のまま同じベッドで眠るようになった。

しかも、そのまま抱きあって密着してたりするから…
もう、ひょっとしたら一線も
越えちゃってるかもしれないね?


「で、でも…た、竹井さんが捕まってから、
 まだ数日しか経ってないじゃありませんの!?」

「ボクにそう言われても…
 まあ、監禁されても受け入れちゃうくらいだから、
 元々両想いだったんじゃない?」

「も、元々、両想い…!」

「あ、ついでに一つ言うとするなら」

「?」

「実はボク達も…あの二人と同じ立場だってこと、
 忘れないでね?」


ビクンッ!とアンテナを尖らせて、
ボッと頬を朱に染める透華。
うんうん、効いてる効いてる。

こりゃ、あの二人にはもっと頑張ってもらわないとね。



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一線、越えちゃいました。

いやだってね?毎日毎日一緒にお風呂に入って、
生まれたままの姿で抱きあって一夜を共にしてるのよ?

しかも、咲は咲で、なんかやたら
熱っぽい視線を私にぶつけてきて。
身体を艶めかしく絡みつかせながら、
甘ったるい声で囁いてくるのよ?


「ぶちょう…好きです…」


てさぁ?そりゃ、
おかしくなっちゃっても仕方ないんじゃない?
食べちゃっても仕方ないんじゃない?


んで、一度そういう関係になっちゃうと、
もう歯止めが効かなくて。

私達はどっちも限度ってものを知らないタイプだから、
それこそ四六時中そればっかりになっちゃった。


最初はね?ただただあまやかして、
咲が満足したら解放してもらおうと思ってたのよ?

でも、なんか咲は全然満足しないし、
なんだかこの生活も悪くないなって思い始めて。

そして、今は…もう、このまま…
一生、このままでもいいのかな?
って思い始めちゃった。


だって、監禁しちゃうくらい求められるって、
それはそれで素敵じゃない?



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残念ながら、私の悪い予感は当たってしまいました。
結局、咲さんと部長は戻ってこなかったのです。

幸いにして、居場所については
突き止めることができました。
そう、そこは龍門渕家。

でも、そこに居た部長は、
いつもの通りマイペースな笑顔で
とんでもないことを口にしたのです。


「いやー、ごめんね!私、
 咲と朽ち果てることにしたわ!」

「く、朽ち果てるって…!どういうことですか!?」

「具体的には、このまま龍門渕で飼われて過ごすわ!」

「そ、そんな…学校はどうするんですか!?」

「どうせ、後半年で卒業だし?」

「む、無責任すぎます!
 咲さんはどうなるんですか!?」

「いやいや、そもそも私を
 ここに監禁したのは咲だからね?
 私、一応被害者なのよ?」


ほれほれ、と言わんばかりに、自身の首を指さす部長。
そこには確かに、『みやながさき』の名前が刻まれた
首輪がつけられていました。


「龍門渕家は…それを許容しているんですか?」

「許容も何も…あの子達も咲の共犯なんだけど?
 むしろ、向こうから申し出てきたわよ?」

「『貴方達のおかげで、私達も結ばれることができましたわ!
  どうかこのまま、一緒に暮らしてくださいまし!』って」

「……」


私はもう、絶句するしかありませんでした。
なぜなら、登場人物全員が狂っているのです。

そもそも、皆が狂っていて、
それでいて皆が幸せなら…
特に問題はないのではないでしょうか?

そう思ったら、何も言えなくなってしまいました。

もっとも、そんな風に思えてきた辺り、
私も少しずつ、毒されてきて
しまったのかもしれません。



--------------------------------------------------------



部長は、本当に性質の悪い底なし沼だと思う。


今回もそう。監禁されたにも関わらず、
悲壮感の欠片も見せずに、のほほんと笑っていた。

一緒にお風呂に入りたいって言っても、
嫌な顔一つ見せないで付きあってくれて。

そのまま、一緒に寝たいと言ったら、
さすがに驚いた顔になったけど、
結局は私を抱き寄せてくれた。


そして今…私達は一糸纏わぬ姿のままで、
互いに抱きあって、閨を共にしている。


確かに、あまやかしてくれるとは言ったけど。
この人は、どこまであまやかしてくれるんだろう。
この人の底は、どこまで深いんだろう。


「部長…一つ聞いてもいいですか?」

「ん?何?」

「私の事…どこまであまやかしてくれるんですか?」

「できる範囲でならなんでも!」

「むしろ、できない範囲が知りたいです」


だって、もうほとんど思いつかないから。
キスも、抱擁も、純潔さえも。
部長は、全部許してくれちゃったから。


「そうねえ…『心中して』とかはアウトかな?」

「さすがに命までは取りませんよ…
 じゃあ、一生私だけを愛してください、
 とかはどうですか?」

「ああ、そのくらいなら余裕でセーフよ?」


そう言って、部長は優しく私にキスをした。


…なんだ。最初から、怯える必要なんてなかったんだ。
だって、部長の優しさには、底なんかなかったんだから。

私はただただ、部長の底なし沼に
沈んでいけばいい。


「じゃあ、安心して沈んじゃいますね?」

「ん?沈むって、何が?」

「こっちの話です」


私はくつくつ笑いながら、
部長にキスのお返しをした。


そして今日も私は沈む。
部長という名の底なし沼に。



(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2014年10月18日 | Comment(4) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
良かった。透一編も見たいですなぁ。

後、わざとダメな子のふりして意中の相手に『あの子は私が居ないとダメなんだから』と思わせて、自分に縛りつける系とか…
Posted by at 2014年10月18日 19:02
咲さん可愛い!!
ちなみにのどっちがピンクじゃないのは注意が必要な事なのか…?(いつも逆にピンクであることの注意があったのに…?)そう思う前に読み始めた私も同罪^ ^
Posted by at 2014年10月19日 02:10
これは一線越えても仕方ない
あまあま久咲ごちそうさまです
Posted by at 2014年10月19日 14:45
コメントありがとうございます!

透一編>
一「ボクたちの需要もあるみたいだから別の話を
  考えてみるよ」
透華「もう一つのリクエストもたまわりましたわ!
    対象が誰になるかはわかりませんけど!」

ピンク>
久「このブログで和がピンクじゃないのは、
  もはや異常事態だと思うのよ」
和「私を何だと思ってるんですか…」
久「ピンク」

一線>
久「仕方ないわよね!」
咲「仕方ありませんね」
一「仕方ないよ」
透華「仕方ありませんわ!」
和「自重してください」
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年10月24日 19:51
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