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【咲SS:久咲】久「咲。飼う準備ができたから退学しなさい?」【ヤンデレ】
<あらすじ>
久「この作品の、私視点よ!」
(咲「部長、早く帰ってこないかな」)
<登場人物>
竹井久,宮永咲
<症状>
・異常行動
・異常性癖
・あまあま
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・飴と鞭が絶妙なドSの久に溺れる咲さん
※直球なので苦手な方はご注意を。
咲「わ、私サイドのコメントで『これ18禁だよね』という
ツッコミをもらっちゃったので
じゅ、18禁という事で…」
久「18歳未満は続きを読んじゃ駄目よ!
あ、そのうち記事自体を隔離するかもしれないわ」
--------------------------------------------------------
私は、咲のことが好きだった。
どこが?と聞かれたら、一晩中
語り続ける自信があるけど。
もし一つだけ理由を挙げるなら、
やっぱり相性がいいところかなと思う。
例えば、咲と私はどちらも本の虫で、
しかも趣味嗜好まで似かよっている。
それだけでもすごいことなのだけれど、
特筆すべきは、視点が真逆なところなのだ。
仮に、お姫様とそれを守る騎士の物語があったとする。
私たちが二人ともその物語を気に入ったとしても、
私は騎士に共感して憧れて。咲は、お姫様に憧れる。
「こんな、気高くて優しい人に、
一生守ってもらえたら幸せですよね」
なんて、うっとりしながら私を見つめる咲。
「こんな、儚くて愛らしい姫様がいたら、
命を懸けてでも守りたくなるわよね」
なんて、咲に微笑みかける私。
うん、私たち相性よすぎ。
あまりにも「相性がいい」と感じる機会が多いものだから。
もう、咲は私と結ばれるために
生まれてきたんじゃないかなって、
ついそんなことを考えてしまうくらいだった。
ちなみにぶっちゃけてしまうと、私はドSだ。
ついでに言えば、独占欲も強い。
その度合いは、自分でも割と病気レベルだと思う。
もちろん表には出さないのだけれど。
そんな私にはひとつ、こうなったらいいなと思う夢がある。
それは、咲を囲う夢。
私以外の誰の目にも触れないように、
咲を部屋に幽閉して、
ただ私のためだけに生きてもらう夢。
ま、夢と言っても、割と本気で
計画を練っていたりするんだけれど。
もし、咲が私の真逆なら。
咲はドMで、私に束縛されたいと思っているはず。
しかも、私と同じで病気レベルで。
だとすれば、私が今思い描いている夢を、
きっと咲も受け入れてくれるはず。
インターハイも終わって、夏休みも残りわずか。
私はそろそろ、夢を現実にするべく動き始めることにした。
--------------------------------------------------------
ある日、私は咲に問いかけた。
「ねえ、咲は囲い女(め)って知ってる?」
「ええ。意味なら知ってますけど」
咲はそれを知っていた。もちろんそれは、
咲が知っている前提で問いかけたのだけれど。
「その囲い女がどうしたんですか?」
「んー、今読んでた本に出てきてね?
まあ、話自体はありがちな妾の悲恋だったわけだけど」
「なんか、囲い女って雰囲気がいいなーって思ってね?」
「は、はぁ…」
「お金で買われるとか、娼婦とかは置いておいてさ。
誰か一人に自分の全てを支配されて、
何もない部屋でただ一人、
ご主人さまを待ち続けるの」
「そう言うのってなんだかゾクゾクしない?」
そう言って、私は咲の顔を覗きこむ。
もし、ここで咲が共感しなかったら、
私は計画を中止するつもりだった。
でも咲は、私の期待通りの反応を見せる。
頬を朱に染めて、どこかうっとりと
恍惚とした表情を見せた。
−ああ、やっぱり咲は私と同じだ−
そう確信できた私は、計画を実行に移す。
そう、咲を私の囲い女にする計画を。
--------------------------------------------------------
私たちは表裏一体。それはまるで磁石のように、
互いに互いを引き寄せあう。
でも、だからこそ。
計画には時間をかける必要があった。
常識に縛られず、
その枠を気軽に飛び越える私に対して。
真逆の咲は、常識に囚われて、
道を踏み外すのを恐れるから。
咲自身が、道を踏み外したことに
気づかれないように進める必要がある。
少なくとも、手遅れになるまでは。
まずは軽いところから始めて、
少しずつ染めていきましょう。
「なんで、手錠なんか持ってるんですか!?」
とりあえずは、物理的に拘束することにした。
まあ、手錠もいきなりハードな気もするけれど、
ジョークグッズで売ってるくらいだしね?
「大丈夫よ、ごっこだから。
ちゃんと解放してあげるわよ?」
(今は、ね)
手錠はジョークグッズであること、
これは『ごっこ遊び』であることを強調して、
咲を安心させてあげる。
もっとも、手錠はちょっとしたツテを借りて入手した、
強固で絶対に壊せない奴だったりするけれど。
『ごっこ』ですむのも、今のうちだけだけれど。
咲は、面白いくらいあっさりと『ごっこ』に馴染んだ。
ほんの少し誘導するだけで、
私にその唇を許してしまった。
『ごちそうさま』
熱に浮かされたように、蕩けた表情で私を見る咲。
その視線は、私の唇に注がれていて。
物欲しそうに、咲の口は少しだけ開かれていて。
私は誘われるまま、何度も咲に口づける。
夢中で何度も咲をついばむ。
どうやら私たち、こっちでも相性がいいみたい。
私は、ますます咲を独り占めしたくなった。
--------------------------------------------------------
『ごっこ』の回数を重ねるうちに、
咲は手錠に抵抗を示さなくなった。
むしろ私が手錠を取り出すと、
期待に濡れた目で私を見つめるようになった。
だから私は、手錠を首輪に切り換えた。
これにはちゃんとした理由がある。
私の最終的な目的は、咲を独り占めすること。
別に物理的に監禁したいわけじゃなくて、
咲の心を、私でがんじがらめにしたいのだ。
だからこそ、手錠という物理的な拘束から、
首輪という精神的な束縛に切り替える、
その意味は非常に大きい。
実際、首輪をかけられた咲の変わりようには目を見張った。
首輪をつける。
ただそれだけで思考力が著しく低下して、
本能に忠実になって、私に従順になった。
きっと、根っからのペット気質なんだと思う。
さすが、私の真逆なだけはある。
そのうち首輪にリードをつけて、
外に散歩にでも行ってみようかしら?
--------------------------------------------------------
でも、そんな咲でもさすがに逡巡することもあった。
そう、それは裸になることを命令した時のこと。
『咲は私に飼われてるんだから、
ペットみたいなものよね?』
『は、はい…』
『ペットが服を着てるなんておかしいわよね?
脱いじゃいましょ?』
「え、えと……」
『脱いだら…きっとすごく気持ちいいわよ?』
「で、でも…」
『あら、珍しいわね。咲が命令に逆らうなんて』
「そ、その…怖いんです…」
「…ん?私が?」
「ち、違います…」
「ぬ、脱いだら、きっと、すごく気持ちよくて。
私、おかしくなっちゃうんじゃないかなって。
でも、脱ぎたくて。
きもちよくなりたくて、でも」
咲は、なかば堕ちかけながらも、
それでも脱ぐのをためらった。
まあ普通はそうだと思う。
もっとも、抵抗する理由自体は
普通の人とは大分違っていたけれど。
咲はきっと、本能的に気づいていたのだと思う。
そう、その一歩を踏み出せば、
自分がもう引き返せないことに。
そのままずるずると堕ちていってしまうことに。
とはいえ、だからこそこれは、
私にとっても譲れない命令だった。
これは、咲に常識を捨てさせるために、
どうしても避けられない大切な儀式。
さて、どうしましょうか。
どうせ堕ちかけてるのは事実だし、
私がさっさと脱がせちゃってもいいのだけれど。
いいえ、やっぱりそれじゃあ駄目ね。
ここだけはきちんと躾けないと。
私は、咲を後ろから抱きしめて。
腰のあたりに手を回し、
掌で咲の下腹部を優しく撫でながら、
ゆったりとした口調で咲に話しかけた。
「咲。ちょっと落ち着いて、
おさらいしてみましょうか」
「お…おさらいですか?」
「うん。これから、私の言うことを
オウムみたいに繰り返してちょうだい」
「は…はぁ…」
「これは『ごっこ』。『ごっこ遊び』よ?
さ、繰り返して?」
「は、はい…これは…『ごっこあそび』です…」
「『ごっこ』だから、大丈夫。
はい、これは3回くらい繰り返して?」
「…『ごっこ』だから、大丈夫…」
「…『ごっこ』だから、大丈夫…」
「…『ごっこ』だから、大丈夫…」
命令に逆らったことで、
不安に強ばっていた咲の表情が、
少しだけほころんだ。
私はゆっくり、ゆっくりと咲の身体を撫で回して、
咲の緊張をほぐしてあげる。
…隠し味に、少しだけ色を刺激するように、
敏感な部位を指先でなぞりながら。
少しずつ、咲の身体から力抜けて。
代わりに熱を帯びてきた。
「…落ち着いた?」
「はい」
「じゃあついでだから、状況も整理しましょうか」
『今、咲は囲い女で、私はご主人さま。
さ、繰り返して?』
『わ、わたしは…囲い女で、
部長は…ご主人さま…です』
私は咲の手を取って。首にはめられた首輪と、
それに繋がるリードを触らせる。
『ほら…こんな首輪までつけられちゃって、
咲は私に支配されちゃってる』
『咲はもう、私のもの。さ、これも繰り返して?』
『わ、わたしは…もう…部長の、もの、です』
リードをいとおしそうに
指で弄び(もてあそび)ながら、
咲は言葉を繰り返した。
ゆっくりと、咲は堕ちていく。
声が、興奮に少しずつ上擦っていく。
目が、とろんと惚けて(ほうけて)いく。
口が、だらしなく半開きになっていく。
『咲は、囲い女よね?だから、
ご主人さまの命令は聞かないといけない。
繰り返して?』
『わた、わたしは…かこいめだから…
ごしゅじんさまの、めいれい、
きかないとだめ…です…』
『うんうん、いい子。
いい子にはご褒美をあげないとね?』
私は咲の顔に両手を添えて、そのまま深く口づける。
にゅるりと舌を絡ませて、口内をねっとりと蹂躙する。
『…はぁっ…』
たっぷり5分は舌を絡み合わせた後、
私はようやく咲を開放した。
二人の舌が糸をひく。
咲は完全に弛緩して、私に全体重を預ける。
私の背中に両手を回し、胸に頬を摺り寄せた。
『じゃ、もう一回だけおさらいしましょうか。
今、咲はなに?』
『かこいめです』
『咲のご主人さまはだれ?』
『ぶちょうです』
『私の命令は?』
『きかないとだめです』
『うんうん、本当にいい子ね』
「でも、あなたは命令に背いた」
私は突然声を低く、冷たくして。
私に絡みつく咲の肩を掴んで、強引に引き離した。
『えっ…』
自重を支えられなかった咲は
よろよろとバランスを崩し、
そのまま倒れこんでしまう。
『ぶ、ぶちょう……?』
私は咲の呼びかけには答えず、
高みから冷ややかな目を向けながら、
咲の首輪にゆっくりと手を伸ばす。
「リードは外させてもらうわね。
これは警告よ?」
私は首輪からリード紐を外した。
それは、咲の自由を増やす行為。
同時に、私と咲の関係が薄まったことを
暗に示していた。
『あっ…ああっ…!』
咲はその意味を正確に理解した。
咲の表情が青ざめていくのを気にもせず、
私はきっぱり言い捨てる。
「次、命令に背いたら…私はあなたを捨てるわ」
「繰り返して?」
『つ、つ、つぎ、め、めいれいに、そむいたら、
わ、わたし、すて、すてられます』
咲は顔面を蒼白にして、目に涙をにじませて、
カタカタと震えながら繰り返す。
「うん。よくできました」
「じゃあ、もう一回言いましょうか」
咲の反応に私は満足げに頷いたあと、
私は、さっき拒否された命令を
もう一度笑顔で繰り返した。
『脱ぎなさい』
咲は、今度は命令に背かなかった。
咲は、一刻も早く許してもらおうと、
急いで身につけていた服を脱ぎ始める。
夏ということも手伝って、元々薄着だった咲は、
あっという間に生まれたままの姿になった。
『ぬ…ぬぎました…』
一糸纏わぬ姿は、外気がなでるのすら刺激になるのか、
咲はぞくぞくとその身を震わせていた。
『咲…よくできたわね…』
『ごほうびに、いっぱい可愛がってあげる』
私は咲を抱き締めて、いい子いい子してあげる。
恐怖に強ばっていた表情が、瞬く間にゆるんでいき、
だらしなく弛緩した。
私は咲の体を抱いたまま、咲の素肌に指を這わせる。
触れた部位が熱を持ち、咲の吐息が荒くなっていく。
『…ね?気持ちいいでしょ?』
『はだかになるの、気持ちいいでしょ?』
『は、はいっ…きもち、いいですっ……!』
『もっともっと、気持ちよくさせてあげる』
私は、ひたすら咲を愛撫した。
何度も、何度も執拗に。
咲の体がそれを覚えて、
もう二度と忘れられなくなるように。
それ以降、咲が裸になるのを拒むことは一度もなかった。
--------------------------------------------------------
一度裸になってしまってから、
咲が溺れていくのは早かった。
咲は、休みの間ほぼ毎日、
私の家を訪れるようになった。
訪問するなり首輪をつけるよう指示しても、
特に抵抗なく素直に従った。
そのうち、私の家にいる間はずっと
首輪をつけるようになり。
やがて、裸になることにも
抵抗を覚えなくなったようだった。
私は、どんどん咲から常識を削ぎ落していく。
もうすぐ学校が始まるから、
今度は舞台を学校にまで広げましょう。
「はい、これプレゼント」
「えと…これ、なんですか?」
「チョーカーだけど、知らない?」
「…はい。こういうのもあるんですね」
「これだったら、外でしてても大丈夫でしょ」
「さすがに学校では没収されるでしょうから、
部室限定になっちゃうけどね」
「さ、つけてみて?」
「…はい」
咲はためらいながらも、なれない手つきで
チョーカーを身に付ける。
これで、『ごっこ』の範囲は家の外にまで広がった。
家の中でも、外でも、街中でも、学校でも。
私は時々思い出したかのように『ごっこ』を再開して、
咲の心をとろけさせた。
「ねえ、咲…みんながチョーカー見てるわよ?」
「うぅ…」
『これが、首輪の代わりだってバレちゃったら、
あの人たちはなんて思うのかしらね?』
『あ…あ…』
「あー、駄目よもう。こんな街中で、
そんなだらしない顔してたら」
『咲が、やらしい囲い女だってバレちゃうわよ?』
『んっ…は…はいぃ…』
咲はどんどん駄目になっていった。
もう、『ごっこ』と現実の境界はなくなっていた。
いつでもどこでも、すぐ『ごっこ』に
入り込めるようになっていた。
そろそろ頃合いかしらね?
『ごっこ』を『現実』にしちゃいましょう。
--------------------------------------------------------
そして咲は、本当に私の囲い女になった。
--------------------------------------------------------
卒業後。
プロとして契約できた私は、すぐに新しく家を建てた。
もちろんそれは、咲を囲うため。
「咲。囲う準備ができたから、
学校退学してきなさい?」
「あ、はい。わかりました」
まるでちょっと買い物を頼まれたくらいの感覚で、
咲は学校を途中退学した。
新しく建てた家には、
咲の囲い女としての寝屋がある。
咲はその部屋をいたく気に入ったようだった。
「わ、わたし…ホントに、囲われちゃうんですね…」
「そうよ?まあ今までもだったけど、
これからはもう、名実ともに完全な社会不適合者ね」
「え…えへへ…わたし…
本当に、部長だけになっちゃうんだ…」
興奮に声を上ずらせながら、
咲は服を脱ぎ捨てた。
もっとも私は、別に咲をずっと
この部屋に閉じこめるつもりはなかった。
私にとって大切なことは、
咲が私以外の人間との繋がりを絶って、
私のことだけを考えていることだったから。
でも咲は、一日の大半をこの部屋で過ごした。
部屋から出るのは、家事をする時だけ。
食材や日用品はネットスーパーで事足りるから、
基本的には外には出ない。
外に出るのは、軒先に届けられた配達物を
中に運び込む時だけ。
そして炊事洗濯掃除をこなした後は、
またすぐに寝屋に戻って、
ただひたすら私を待ち続けるのだ。
私にとっては、それはまさに夢に描いた通りの生活。
だけど、咲は苦にならないのだろうか?
「ねえ、咲?別に私は外に出ることを
禁止したりはしてないのよ?」
「わかってるけど…
外に出なきゃいけない理由もないし」
「ううん、嘘」
「本当はね?私が出たくないから出ないの」
「どうして?」
「外界から隔離されて、接点は部長だけ…」
「その方が、部長に飼われてるって思えるから」
「部長に、縛られてるって、感じられるから」
咲は首輪を指でそっとなぞり、
咲は倒錯した笑みを浮かべた。
あー、そうだった。
私がどうしようもなくドSで嫉妬深いように、
咲もどうしようもなくドMで依存症なんだった。
「やっぱり、私たちって相性抜群ね」
「そうだね」
「相性がよすぎて、咲の人生壊しちゃったけどね!」
「えへへ、壊されちゃった」
「あはは」
「えへへ」
「……」
「……」
「ねえ、部長」
「なに?」
「私、もう部長以外、本当に誰もいないよ?」
「部長に捨てられたら、もう死ぬしかないよ?」
「だから、私のこと…死ぬまでずっと囲ってね?」
そう言って、咲はにっこりと微笑んだ。
「もちろんよ」
私もにっこり笑顔を返して、咲に口づけた。
そして私は、今日も咲を囲い続ける。
私たちが死ぬ、その瞬間まで。
(完)
久「この作品の、私視点よ!」
(咲「部長、早く帰ってこないかな」)
<登場人物>
竹井久,宮永咲
<症状>
・異常行動
・異常性癖
・あまあま
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・飴と鞭が絶妙なドSの久に溺れる咲さん
※直球なので苦手な方はご注意を。
咲「わ、私サイドのコメントで『これ18禁だよね』という
ツッコミをもらっちゃったので
じゅ、18禁という事で…」
久「18歳未満は続きを読んじゃ駄目よ!
あ、そのうち記事自体を隔離するかもしれないわ」
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私は、咲のことが好きだった。
どこが?と聞かれたら、一晩中
語り続ける自信があるけど。
もし一つだけ理由を挙げるなら、
やっぱり相性がいいところかなと思う。
例えば、咲と私はどちらも本の虫で、
しかも趣味嗜好まで似かよっている。
それだけでもすごいことなのだけれど、
特筆すべきは、視点が真逆なところなのだ。
仮に、お姫様とそれを守る騎士の物語があったとする。
私たちが二人ともその物語を気に入ったとしても、
私は騎士に共感して憧れて。咲は、お姫様に憧れる。
「こんな、気高くて優しい人に、
一生守ってもらえたら幸せですよね」
なんて、うっとりしながら私を見つめる咲。
「こんな、儚くて愛らしい姫様がいたら、
命を懸けてでも守りたくなるわよね」
なんて、咲に微笑みかける私。
うん、私たち相性よすぎ。
あまりにも「相性がいい」と感じる機会が多いものだから。
もう、咲は私と結ばれるために
生まれてきたんじゃないかなって、
ついそんなことを考えてしまうくらいだった。
ちなみにぶっちゃけてしまうと、私はドSだ。
ついでに言えば、独占欲も強い。
その度合いは、自分でも割と病気レベルだと思う。
もちろん表には出さないのだけれど。
そんな私にはひとつ、こうなったらいいなと思う夢がある。
それは、咲を囲う夢。
私以外の誰の目にも触れないように、
咲を部屋に幽閉して、
ただ私のためだけに生きてもらう夢。
ま、夢と言っても、割と本気で
計画を練っていたりするんだけれど。
もし、咲が私の真逆なら。
咲はドMで、私に束縛されたいと思っているはず。
しかも、私と同じで病気レベルで。
だとすれば、私が今思い描いている夢を、
きっと咲も受け入れてくれるはず。
インターハイも終わって、夏休みも残りわずか。
私はそろそろ、夢を現実にするべく動き始めることにした。
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ある日、私は咲に問いかけた。
「ねえ、咲は囲い女(め)って知ってる?」
「ええ。意味なら知ってますけど」
咲はそれを知っていた。もちろんそれは、
咲が知っている前提で問いかけたのだけれど。
「その囲い女がどうしたんですか?」
「んー、今読んでた本に出てきてね?
まあ、話自体はありがちな妾の悲恋だったわけだけど」
「なんか、囲い女って雰囲気がいいなーって思ってね?」
「は、はぁ…」
「お金で買われるとか、娼婦とかは置いておいてさ。
誰か一人に自分の全てを支配されて、
何もない部屋でただ一人、
ご主人さまを待ち続けるの」
「そう言うのってなんだかゾクゾクしない?」
そう言って、私は咲の顔を覗きこむ。
もし、ここで咲が共感しなかったら、
私は計画を中止するつもりだった。
でも咲は、私の期待通りの反応を見せる。
頬を朱に染めて、どこかうっとりと
恍惚とした表情を見せた。
−ああ、やっぱり咲は私と同じだ−
そう確信できた私は、計画を実行に移す。
そう、咲を私の囲い女にする計画を。
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私たちは表裏一体。それはまるで磁石のように、
互いに互いを引き寄せあう。
でも、だからこそ。
計画には時間をかける必要があった。
常識に縛られず、
その枠を気軽に飛び越える私に対して。
真逆の咲は、常識に囚われて、
道を踏み外すのを恐れるから。
咲自身が、道を踏み外したことに
気づかれないように進める必要がある。
少なくとも、手遅れになるまでは。
まずは軽いところから始めて、
少しずつ染めていきましょう。
「なんで、手錠なんか持ってるんですか!?」
とりあえずは、物理的に拘束することにした。
まあ、手錠もいきなりハードな気もするけれど、
ジョークグッズで売ってるくらいだしね?
「大丈夫よ、ごっこだから。
ちゃんと解放してあげるわよ?」
(今は、ね)
手錠はジョークグッズであること、
これは『ごっこ遊び』であることを強調して、
咲を安心させてあげる。
もっとも、手錠はちょっとしたツテを借りて入手した、
強固で絶対に壊せない奴だったりするけれど。
『ごっこ』ですむのも、今のうちだけだけれど。
咲は、面白いくらいあっさりと『ごっこ』に馴染んだ。
ほんの少し誘導するだけで、
私にその唇を許してしまった。
『ごちそうさま』
熱に浮かされたように、蕩けた表情で私を見る咲。
その視線は、私の唇に注がれていて。
物欲しそうに、咲の口は少しだけ開かれていて。
私は誘われるまま、何度も咲に口づける。
夢中で何度も咲をついばむ。
どうやら私たち、こっちでも相性がいいみたい。
私は、ますます咲を独り占めしたくなった。
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『ごっこ』の回数を重ねるうちに、
咲は手錠に抵抗を示さなくなった。
むしろ私が手錠を取り出すと、
期待に濡れた目で私を見つめるようになった。
だから私は、手錠を首輪に切り換えた。
これにはちゃんとした理由がある。
私の最終的な目的は、咲を独り占めすること。
別に物理的に監禁したいわけじゃなくて、
咲の心を、私でがんじがらめにしたいのだ。
だからこそ、手錠という物理的な拘束から、
首輪という精神的な束縛に切り替える、
その意味は非常に大きい。
実際、首輪をかけられた咲の変わりようには目を見張った。
首輪をつける。
ただそれだけで思考力が著しく低下して、
本能に忠実になって、私に従順になった。
きっと、根っからのペット気質なんだと思う。
さすが、私の真逆なだけはある。
そのうち首輪にリードをつけて、
外に散歩にでも行ってみようかしら?
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でも、そんな咲でもさすがに逡巡することもあった。
そう、それは裸になることを命令した時のこと。
『咲は私に飼われてるんだから、
ペットみたいなものよね?』
『は、はい…』
『ペットが服を着てるなんておかしいわよね?
脱いじゃいましょ?』
「え、えと……」
『脱いだら…きっとすごく気持ちいいわよ?』
「で、でも…」
『あら、珍しいわね。咲が命令に逆らうなんて』
「そ、その…怖いんです…」
「…ん?私が?」
「ち、違います…」
「ぬ、脱いだら、きっと、すごく気持ちよくて。
私、おかしくなっちゃうんじゃないかなって。
でも、脱ぎたくて。
きもちよくなりたくて、でも」
咲は、なかば堕ちかけながらも、
それでも脱ぐのをためらった。
まあ普通はそうだと思う。
もっとも、抵抗する理由自体は
普通の人とは大分違っていたけれど。
咲はきっと、本能的に気づいていたのだと思う。
そう、その一歩を踏み出せば、
自分がもう引き返せないことに。
そのままずるずると堕ちていってしまうことに。
とはいえ、だからこそこれは、
私にとっても譲れない命令だった。
これは、咲に常識を捨てさせるために、
どうしても避けられない大切な儀式。
さて、どうしましょうか。
どうせ堕ちかけてるのは事実だし、
私がさっさと脱がせちゃってもいいのだけれど。
いいえ、やっぱりそれじゃあ駄目ね。
ここだけはきちんと躾けないと。
私は、咲を後ろから抱きしめて。
腰のあたりに手を回し、
掌で咲の下腹部を優しく撫でながら、
ゆったりとした口調で咲に話しかけた。
「咲。ちょっと落ち着いて、
おさらいしてみましょうか」
「お…おさらいですか?」
「うん。これから、私の言うことを
オウムみたいに繰り返してちょうだい」
「は…はぁ…」
「これは『ごっこ』。『ごっこ遊び』よ?
さ、繰り返して?」
「は、はい…これは…『ごっこあそび』です…」
「『ごっこ』だから、大丈夫。
はい、これは3回くらい繰り返して?」
「…『ごっこ』だから、大丈夫…」
「…『ごっこ』だから、大丈夫…」
「…『ごっこ』だから、大丈夫…」
命令に逆らったことで、
不安に強ばっていた咲の表情が、
少しだけほころんだ。
私はゆっくり、ゆっくりと咲の身体を撫で回して、
咲の緊張をほぐしてあげる。
…隠し味に、少しだけ色を刺激するように、
敏感な部位を指先でなぞりながら。
少しずつ、咲の身体から力抜けて。
代わりに熱を帯びてきた。
「…落ち着いた?」
「はい」
「じゃあついでだから、状況も整理しましょうか」
『今、咲は囲い女で、私はご主人さま。
さ、繰り返して?』
『わ、わたしは…囲い女で、
部長は…ご主人さま…です』
私は咲の手を取って。首にはめられた首輪と、
それに繋がるリードを触らせる。
『ほら…こんな首輪までつけられちゃって、
咲は私に支配されちゃってる』
『咲はもう、私のもの。さ、これも繰り返して?』
『わ、わたしは…もう…部長の、もの、です』
リードをいとおしそうに
指で弄び(もてあそび)ながら、
咲は言葉を繰り返した。
ゆっくりと、咲は堕ちていく。
声が、興奮に少しずつ上擦っていく。
目が、とろんと惚けて(ほうけて)いく。
口が、だらしなく半開きになっていく。
『咲は、囲い女よね?だから、
ご主人さまの命令は聞かないといけない。
繰り返して?』
『わた、わたしは…かこいめだから…
ごしゅじんさまの、めいれい、
きかないとだめ…です…』
『うんうん、いい子。
いい子にはご褒美をあげないとね?』
私は咲の顔に両手を添えて、そのまま深く口づける。
にゅるりと舌を絡ませて、口内をねっとりと蹂躙する。
『…はぁっ…』
たっぷり5分は舌を絡み合わせた後、
私はようやく咲を開放した。
二人の舌が糸をひく。
咲は完全に弛緩して、私に全体重を預ける。
私の背中に両手を回し、胸に頬を摺り寄せた。
『じゃ、もう一回だけおさらいしましょうか。
今、咲はなに?』
『かこいめです』
『咲のご主人さまはだれ?』
『ぶちょうです』
『私の命令は?』
『きかないとだめです』
『うんうん、本当にいい子ね』
「でも、あなたは命令に背いた」
私は突然声を低く、冷たくして。
私に絡みつく咲の肩を掴んで、強引に引き離した。
『えっ…』
自重を支えられなかった咲は
よろよろとバランスを崩し、
そのまま倒れこんでしまう。
『ぶ、ぶちょう……?』
私は咲の呼びかけには答えず、
高みから冷ややかな目を向けながら、
咲の首輪にゆっくりと手を伸ばす。
「リードは外させてもらうわね。
これは警告よ?」
私は首輪からリード紐を外した。
それは、咲の自由を増やす行為。
同時に、私と咲の関係が薄まったことを
暗に示していた。
『あっ…ああっ…!』
咲はその意味を正確に理解した。
咲の表情が青ざめていくのを気にもせず、
私はきっぱり言い捨てる。
「次、命令に背いたら…私はあなたを捨てるわ」
「繰り返して?」
『つ、つ、つぎ、め、めいれいに、そむいたら、
わ、わたし、すて、すてられます』
咲は顔面を蒼白にして、目に涙をにじませて、
カタカタと震えながら繰り返す。
「うん。よくできました」
「じゃあ、もう一回言いましょうか」
咲の反応に私は満足げに頷いたあと、
私は、さっき拒否された命令を
もう一度笑顔で繰り返した。
『脱ぎなさい』
咲は、今度は命令に背かなかった。
咲は、一刻も早く許してもらおうと、
急いで身につけていた服を脱ぎ始める。
夏ということも手伝って、元々薄着だった咲は、
あっという間に生まれたままの姿になった。
『ぬ…ぬぎました…』
一糸纏わぬ姿は、外気がなでるのすら刺激になるのか、
咲はぞくぞくとその身を震わせていた。
『咲…よくできたわね…』
『ごほうびに、いっぱい可愛がってあげる』
私は咲を抱き締めて、いい子いい子してあげる。
恐怖に強ばっていた表情が、瞬く間にゆるんでいき、
だらしなく弛緩した。
私は咲の体を抱いたまま、咲の素肌に指を這わせる。
触れた部位が熱を持ち、咲の吐息が荒くなっていく。
『…ね?気持ちいいでしょ?』
『はだかになるの、気持ちいいでしょ?』
『は、はいっ…きもち、いいですっ……!』
『もっともっと、気持ちよくさせてあげる』
私は、ひたすら咲を愛撫した。
何度も、何度も執拗に。
咲の体がそれを覚えて、
もう二度と忘れられなくなるように。
それ以降、咲が裸になるのを拒むことは一度もなかった。
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一度裸になってしまってから、
咲が溺れていくのは早かった。
咲は、休みの間ほぼ毎日、
私の家を訪れるようになった。
訪問するなり首輪をつけるよう指示しても、
特に抵抗なく素直に従った。
そのうち、私の家にいる間はずっと
首輪をつけるようになり。
やがて、裸になることにも
抵抗を覚えなくなったようだった。
私は、どんどん咲から常識を削ぎ落していく。
もうすぐ学校が始まるから、
今度は舞台を学校にまで広げましょう。
「はい、これプレゼント」
「えと…これ、なんですか?」
「チョーカーだけど、知らない?」
「…はい。こういうのもあるんですね」
「これだったら、外でしてても大丈夫でしょ」
「さすがに学校では没収されるでしょうから、
部室限定になっちゃうけどね」
「さ、つけてみて?」
「…はい」
咲はためらいながらも、なれない手つきで
チョーカーを身に付ける。
これで、『ごっこ』の範囲は家の外にまで広がった。
家の中でも、外でも、街中でも、学校でも。
私は時々思い出したかのように『ごっこ』を再開して、
咲の心をとろけさせた。
「ねえ、咲…みんながチョーカー見てるわよ?」
「うぅ…」
『これが、首輪の代わりだってバレちゃったら、
あの人たちはなんて思うのかしらね?』
『あ…あ…』
「あー、駄目よもう。こんな街中で、
そんなだらしない顔してたら」
『咲が、やらしい囲い女だってバレちゃうわよ?』
『んっ…は…はいぃ…』
咲はどんどん駄目になっていった。
もう、『ごっこ』と現実の境界はなくなっていた。
いつでもどこでも、すぐ『ごっこ』に
入り込めるようになっていた。
そろそろ頃合いかしらね?
『ごっこ』を『現実』にしちゃいましょう。
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そして咲は、本当に私の囲い女になった。
--------------------------------------------------------
卒業後。
プロとして契約できた私は、すぐに新しく家を建てた。
もちろんそれは、咲を囲うため。
「咲。囲う準備ができたから、
学校退学してきなさい?」
「あ、はい。わかりました」
まるでちょっと買い物を頼まれたくらいの感覚で、
咲は学校を途中退学した。
新しく建てた家には、
咲の囲い女としての寝屋がある。
咲はその部屋をいたく気に入ったようだった。
「わ、わたし…ホントに、囲われちゃうんですね…」
「そうよ?まあ今までもだったけど、
これからはもう、名実ともに完全な社会不適合者ね」
「え…えへへ…わたし…
本当に、部長だけになっちゃうんだ…」
興奮に声を上ずらせながら、
咲は服を脱ぎ捨てた。
もっとも私は、別に咲をずっと
この部屋に閉じこめるつもりはなかった。
私にとって大切なことは、
咲が私以外の人間との繋がりを絶って、
私のことだけを考えていることだったから。
でも咲は、一日の大半をこの部屋で過ごした。
部屋から出るのは、家事をする時だけ。
食材や日用品はネットスーパーで事足りるから、
基本的には外には出ない。
外に出るのは、軒先に届けられた配達物を
中に運び込む時だけ。
そして炊事洗濯掃除をこなした後は、
またすぐに寝屋に戻って、
ただひたすら私を待ち続けるのだ。
私にとっては、それはまさに夢に描いた通りの生活。
だけど、咲は苦にならないのだろうか?
「ねえ、咲?別に私は外に出ることを
禁止したりはしてないのよ?」
「わかってるけど…
外に出なきゃいけない理由もないし」
「ううん、嘘」
「本当はね?私が出たくないから出ないの」
「どうして?」
「外界から隔離されて、接点は部長だけ…」
「その方が、部長に飼われてるって思えるから」
「部長に、縛られてるって、感じられるから」
咲は首輪を指でそっとなぞり、
咲は倒錯した笑みを浮かべた。
あー、そうだった。
私がどうしようもなくドSで嫉妬深いように、
咲もどうしようもなくドMで依存症なんだった。
「やっぱり、私たちって相性抜群ね」
「そうだね」
「相性がよすぎて、咲の人生壊しちゃったけどね!」
「えへへ、壊されちゃった」
「あはは」
「えへへ」
「……」
「……」
「ねえ、部長」
「なに?」
「私、もう部長以外、本当に誰もいないよ?」
「部長に捨てられたら、もう死ぬしかないよ?」
「だから、私のこと…死ぬまでずっと囲ってね?」
そう言って、咲はにっこりと微笑んだ。
「もちろんよ」
私もにっこり笑顔を返して、咲に口づけた。
そして私は、今日も咲を囲い続ける。
私たちが死ぬ、その瞬間まで。
(完)
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これで遠慮なく18禁書き放題ですよ(ゲス顔)
………(最高)
もしかして俺たちも調教されてるのか…?
18禁も解禁にするのなら、これからは18禁(エロいという意味ではなく)で、ヤンデレな記事を見れるのでしょうか?
ヘビーなのお願いします!
咲さんがチョーカーとか迫力が増しt
分離するならこれからも期待しちゃっていいんですよね(咲さんスマイル)
最後の「死ぬまでずっと囲ってね」がなんか怖かった。
まあ部長だと一生咲さんを受け止め続けちゃいそうだけど
18禁>
久「この溢れる18禁要求」
咲「別記事でも書きましたが、
ちょっと考え中です。
注意事項記載で解禁するかもしれません」
久「でも別に本格的にエロいのが
書きたいわけじゃないからたぶん
ハードなのは書かないわ…ごめんね?」
咲さんがチョーカーとか>
咲「咲さんかわいいって言ったら許します」
死ぬまでずっと囲ってね>
咲「そうさせたのは部長なので」
久「まぁヤンデレブログだから多少は
怖さがないとね!」
2人ともほんとかわいいなー