現在リクエスト消化中です。リクエスト状況はこちら。
欲しいものリスト公開中です。
(amazonで気軽に支援できます。ブログ継続の原動力となりますのでよろしければ。
『リスト作成の経緯はこちら』)
PixivFANBOX始めました。ブログ継続の原動力となりますのでよろしければ。
『FANBOX導入の経緯はこちら』)

【咲SS】咲「私とあなたの、愛の軌跡(簀巻き)」【小ネタ】

<あらすじ>
菫相談室の咲久の馴れ初め(?)話。超小ネタ。
(あれ?意外と文量ある。なんで?)

<バックナンバー>
本SSは菫相談室の番外編です。
菫相談室はこちら(今回の話に関連しそうなもののみ)。

菫「第01話はこれだ」
尭深「…第04話はこれです」

番外編:菫「お互い、苦労するよな」久「ええ」
久「前編はこれよ!」
菫「後半はこれだ」

番外編:竹井相談室
久「前編はこれよ!」
咲「後編はこれです」

番外編:咲「部長が外堀を埋めてきた!」
久「前編はこれよ!」
咲「後編はこれです」


※菫相談室の裏話なので、
 菫相談室を知らないと意味不明だと思います。
 菫相談室を読む気がない方はこちらの設定を把握しておくとよいかもしれません。
 【菫相談室設定】 

<登場人物>
竹井久,宮永咲,宮永照,弘世菫,その他

<症状>
・カオス
・ヤンデレ
・久だけ普通…普通?

<その他>
※以下のリクエストに対する作品です。
・簀巻き咲久の馴れ初め(?)的な0話みたいな話≪ギャグ、咲久≫

※ギャグです。

--------------------------------------------------------



菫「そう言えば、前から気になっていたんだが…
  お前、なんで咲ちゃんにここまで
  病的に愛されてるんだ?」

照「私も聞きたい。尭深からの報告では、
  咲を手玉に取って調教したと聞いてるけど」

久(簀巻き)
 「ノーウェイノーウェイ。
  私はノーマルだってば」

咲「部長、お願いですからノーマルなんて
  基礎単語くらい正しく使ってください。
  ノーマルが泣き崩れますよ?」

久(簀巻き)
 「なんで私そこまで言われなきゃいけないの!?」

菫「とはいえ、凡人的な対応をしていたら
  咲ちゃんに愛されるとも思えないしな…
  何かやったんだろ?」

久(簀巻き)
 「うーん、と言っても本当に身に覚えがないんだけど…
  気がついたら簀巻きにされるようになってたし」

咲「まあ、部長はそういう人ですよね。
  あれだけのことしておいて、
  『覚えてない』なんて言っちゃえるんですから」

照「あれだけのことについて詳しく」

久(簀巻き)
 「あー、この際だから私も聞いておくわ。
  一体私の何が咲を狂わせたのかは知りたいし」

咲「わかりました…仕方ないから
  健忘気味の部長にもわかるように説明してあげますよ」

久(簀巻き)
 「いちいちひどい!」

咲「あれは、まだ私が清澄に入学したばかりのことでした…」

久(簀巻き)
 「スルー!?」


……


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



咲『…寂しいな』

咲『新しい学校、新しい教室。新しいクラスメート』

咲『でも、私には関係ない。
  中学校と同じ。私なんていないのと同じ』

咲『今だってほら、私が教室を抜け出しても、
  誰一人私がいないことを問題にしない』

咲『……』ぐすっ

咲『…本でも読もう。本だけは、
  私を世界の仲間に入れてくれるから』


……


久『こーら、新入生にしてもうサボり?
  しかもそこ、私の特等席なんだけど』

咲『えっ…あ、ごめんなさい…って、生徒会長!?』

久『この学校では学生議会長よ?…しかも不正解。
  今の私は、授業をサボって休みに来た、
  ただの不良の竹井久よ』

咲『…は、はぁ』

久『……』

久『あら、あなた面白い本読んでるわね。
  ちなみにその小説の結末なんだけど、
  根本の問題はアウトブレイクじゃなくて実は』

咲『ちょ、ちょっとやめてくださいよ!?
  読み始めたばっかりなんですから!』

咲『…って、本当にこの本知ってるんですか?
  母国でもかなりマイナーなミステリー作家のはずですけど』

久『私も本の虫だからねー。海外ミステリーとか大好物!』

咲『そうなんだ…』

久『……』

久『…本っていいわよね。読みたい時に読めるし、
  現実ではあり得ないことも思いのままだし、
  何より、いやな現実を忘れられるもの』

咲『…そうですね』

久『でもね、勘違いしちゃだめよ?
  本は、あなたを仲間に入れてはくれない。
  あなたは、本の世界を外から眺めているだけなの』

咲『……!?』

久『あなたの世界は、あなたが作るしかないの。
  始まりは大切。こんな重要な時期にエスケープしてたら、
  あなた3年間ずっと今のままよ?』

咲『……わかってます』

咲『でも、どうしようもないんです。
  会話が続かないんです』

久『私とは話せてるじゃない』

咲『それは、会長から話しかけてくれたからです。
  クラスでは、誰も話しかけてくれません』

咲『あそこには、私の居場所なんてないんです』

久『あっはっは』

咲『…何か、おかしなこと言いましたか?』

久『言ったわよ?居場所がないとか。
  そんなの、都合よく用意されてるわけないじゃない。
  中学校じゃないんだから』

咲『……』

久『…居場所はね?作るしかないの。
  なかったらね、作るしかないの。
  私だって、そうしてきたわ』

咲『…会長も独りだったんですか?』

久『クラスでは最初から人気者だったわ!』

咲『…私を、馬鹿にして楽しんでるんですか…!?』

久『…まさか。そこまで趣味悪くないわよ。
  さ、ついてきなさいな。
  見せてあげるわ、私の≪居場所≫を』


……


咲『ここは…』

久『麻雀部。現在部員はたった2名。
  人数不足で団体戦にも出られない。
  このままだと来年には廃部になるでしょうね』

久『私が入学した時は、部員は誰もいなかったわ。
  私は一人、この部室で誰かが来るのを待ち続けた』

久『だからね、一人のつらさはわかってるつもり。
  今、感極まってあなたを抱き締めちゃいたいくらいには』

久『でもね、諦めずに頑張っていれば、
  いつかは報われる日が来ると思う。
  私はそう信じてる』

咲『……』

咲『…私にも、報われる日は来ますか?』

久『もちろん。もう、報われてるじゃない』

咲『…え?』

久『あなたの世界に、私という登場人物が増えた。
  それは、あなたが勇気を出して私についてきたからよ』

咲『……っ』

久『大丈夫。あなたはもう一人じゃないわ。
  最初の一歩を踏み出せたの』

咲『……』ポロッ…

咲『…わたし…わたしっ……!』ポロポロ

久『…好きなだけ泣きなさい』

久『さみしくなったら、いらっしゃい』

久『いつだって、私は歓迎してあげるから』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……


咲「馴れ初めはこんな感じでした、と」

菫「…普通に、いい話じゃないか…
  今のお前達の関係からは
  まったく想像できない点を除けば」

久(簀巻き)
 「うーむ。さすが咲」

照「…どうしたの?」

久(簀巻き)
 「いや、よくもまあここまで嘘偽りを並べられるなぁと」

咲「即興にしてはいい出来だと思いませんか?」

久(簀巻き)
 「うん、吟遊詩人とか向いてるかもね?」

菫「創作かよ!?」

久(簀巻き)
 「うーん、元ネタもあるっちゃあるんだけど、
  むしろ今の話の180度真逆の展開だったわね」

照「それはそれで聞いてみたい」

久(簀巻き)
 「ならタネ明かししましょうか。
  本当はこんな感じだったのよ?」



……


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



咲『いいところ見つけちゃった。
  日当たりいいし、読書にはもってこいだよ』

咲『足跡の状態からみて、入ってくる人も
  ほとんどいないみたいだし、
  サボっててもバレなさそう』

咲『今日は、ずっとここで過ごそうかな』

久『こーら、新入生にしてもうサボり?
  しかもそこ、私の特等席なんだけど』

咲『…いきなり邪魔が入っちゃったよ…
  って、生徒会長!?』

久『この学校では学生議会長よ?…しかも不正解。
  今の私は、授業をサボって休みに来た、
  ただの不良の竹井久よ』

咲『なんだ、見回りかと思いました。
  同じ不良なら問題ないですね。
  今日ここは私の特等席です』

久『あはは。さすがはこんな
  早い段階でサボるだけはあるわね。
  いい度胸してるわ』

久『でも、私も今日はここで思いっきり
  読書に没頭するつもりだったのよ。
  ちょっとだけでいいから、
  横にずれてもらえないかしら?』

咲『ここじゃなくても周りは
  空いてるじゃないですか。
  そこら辺に座るくらいなら
  許容してあげますよ?』

久『日陰だもん。ピンポイントに木漏れ日が指すのは
  あなたが座ってるところだけなのよね。
  ちょっと妥協して、二人で寄り添って座らない?』

咲『私、そうやって懇願してくる人のお願いを
  無慈悲に断るのが大好きなんです。
  機会を作ってくれて本当にありがとうございます』

久『あっはっは!面白い!
  あなたホントいい性格してるわ!』

久『……』

久『大量の死者が出た理由はアウトブレイクじゃない。
  実は、軍による非公式の生物実験によるものよ』

咲『…?いきなり何を…』

咲『まさか!?』

久『とはいえ、その事実で
  発病後の症状が変わるわけじゃないから、
  調査過程で作成されたワクチンは普通に効くわ。
  そこからは、対伝染病ではなく対軍の戦いになる』

咲『やめて!!』

久『最終的に軍の研究所内で細菌カプセルが暴発。
  敵関係者全員死に至るわ。
  でも残念、主人公はヒロインに最後のワクチンを使って
  自分は巻き添えになっちゃった』

久『悲しい物語だったわね…はい、終了。
  もうあなたが読書する必要はなくなったから、
  どいてくれるわよね?』

咲『……』

咲『……ふ』

咲『…ふ…ふふ…やってくれますね…!』

咲『せっかくネタバレを避けて、
  マイナーな海外のミステリー作家の作品を
  持ってきたのに…!』

咲『知ってる人がいたのも驚きですけど、
  まさかここまで端的かつ
  無慈悲にネタバレされるとは思いませんでした…!』

久『ふっふっふ!
  目には目を!歯には歯を!
  私は悪には容赦しないわ!!』
  
久『ねえ、どんな気持ち?
  楽しみにしてた本を完全にネタバレされて
  どんな気持ち?』

咲『…いいでしょう。どんな気持ちか、
  同じことをして教えてあげますよ』

久『ブックカバーバリアー!!』

咲『…さすが学生議会長、卑怯ですね。
  まさか表紙を隠しているとは』

久『いや、別にこのためにつけてるわけじゃないけどね?』

咲『でも、無駄ですよ。本の分厚さ、
  はみ出てるしおりから十分推測可能です』

咲『それ…≪ダヴィンチコ○ド≫ですね?』

久『…!…やるわね、あなた…!』

咲『教えてあげますよ。その本の結末は…』

久『知ってる』

咲『…え?』

久『いやだから知ってるってば。
  私この本読むの3回目だもの』

咲『……』

久『……』

久『プッ』

久『なに?あなた一度読んだ本は二度と読まないタイプ?
  残念、私は何度も味わうタイプなのよ』

久『さぁ、教えてちょうだい!
  ネタバレされたらどんな気持ちなのか!
  もっとも私はこの本の内容知ってるから
  その気持ちは多分わからないけど!』

咲『…いいでしょう。宣戦布告と受け取ります』

咲『…お望み通り、無残な姿に変えてあげますよ』

久『ふっ…この竹井久を舐めてもらったら困るわ…』
  
久『私は、ドッジボールで
  めんどくさがって逃げ続けた挙句、
  なぜか最後の一人まで残っちゃって
  涙目になった女!』

久『かかってらっしゃい!!』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……


久(簀巻き)
 「…とまあ、こんな感じよ」

菫「ああ、こっちなら確かに納得だ。…というか、
  お前ら高度に大人げないな!?」

照「ミステリーをネタバレ、万死に値する…!」

久(簀巻き)
 「いやー、なんか同好の士なんだとわかったら、
  嬉しくてついねー」

咲「つい、でネタバレしないでくださいよ」

菫「というか、結局これどうなったんだ?」

久(簀巻き)
 「咲が仕掛けてたトラップに私がひっかかって
  簀巻きになったわ」

咲「初簀巻きですね」

菫「初対面から簀巻きだったのかよ!?」

久(簀巻き)
 「トラップ的にはね。何もないところで
  簀巻きにされるようになったきっかけは
  本当にわからないけど」

照「なんでこの竜攘虎搏(りゅうじょうこはく)状態から
  今の関係になるのかがさっぱりわからない」

久(簀巻き)
 「同感ね」

菫「なんで当事者がわからないんだよ!?」

久(簀巻き)
 「いやだから私も知らないんだってば」

咲「…部長、本当に覚えてないんですか?」

久(簀巻き)
 「覚えてないんじゃなくて知らないのよ」

咲「……」


しゅるんっ
しゅるんっ
しゅるんっ


久(正体不明の球状の物体)
 「むー!むー!!」

照「…ずいぶんとご立腹」

菫「まあでも、自分がその人を好きになるような
  思い出を忘れられてたら、
  さすがに怒りたくなるのも当然だと思うぞ」

咲「いえ…部長は多分、本当に知らないんでしょう」

咲「正確には、部長にとっては当たり前すぎて
  それが私の心に響いたってことに
  気づかなかったんだと思います」

咲「…そんなだから、天然人間タラシって
  言われるんだよ…」はぁ

咲「というわけで、解散です。
  私はこれから、部長を再教育しないといけないので」

照「了解。私も菫を再教育する」

菫「…まぁ、今回ばかりは仕方ないな…
  というか照、どさくさに紛れて私を巻き込むな」



--------------------------------------------------------



咲「……」

久(正体不明の球状の物体)
 「むーっ!!」もぞもぞ

咲「…まだ余裕ありそうだね」

しゅるんっ

久(正体不明の球体)
 「ーっ…!ーっ…!」

咲「これでよし」

咲「……」

咲「…ホントに、覚えてないのかな」


……


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



久『あ、咲。せっかく立ったなら3巻取ってー』

咲『はいはい、3巻ですね…これですか?』

久『うん』


パサッ


咲『あれ、何か落ちましたよ?…写真?』

久『ん?あー、そんなところにあったのね。
  それ、私の離婚した両親の写真』

咲『…すいませんでした』

久『ん?なんで謝るの?』

咲『嫌なこと、思い出させちゃいましたよね』

久『意外だわ…!あなたみたいなアレでも、
  そんな空気読むスキルを持ち合わせてるのね』

咲『私を何だと思ってるんですか』

久『魔王』

咲『簀巻きますよ?』

久『いや、この時期は普通に汗だくになるから勘弁して』

咲『もう。私にだって、人を気遣う気持ちくらいありますよ』

久『あはは、ごめんごめん。
  まあでも、ホントに気にしなくていいのよ。
  だって、≪両親≫は私が自分で作った絆じゃないもの』

咲『絆…ですか』

久『うん。あの二人の婚姻関係は、
  あの二人が作った絆。
  そこに、私の意思は存在しない。
  だから、ぶっちゃけどうでもいいわ』

咲『ずいぶんドライなんですね』

久『自分の意思が絡んでないからよ。
  自分から作った関係だったら話は別よ?』

咲『じゃあ、もし麻雀部が廃部したら?』

久『思いっきり泣くわ。立ち直れないかもしれない』

咲『…もし、私が退部しようとしたら?』

久『泣いてすがると思う』

咲『……!』

咲『…そ、それでも、退部してしまったら?』

久『ごめん、多分諦めきれずに付き纏うわ』

咲『…そうですか…』

久『…咲?』

咲『…なんですか?』

久『…いなく…なっちゃう気なの?』

咲『……!』

咲『っ』

咲『私に泣いてすがる部長も、
  見てみたい気はしますけど』

咲『まだまだ、お借りした本を読み終わりそうにないですから』

咲『読み終わるまでは、一緒にいてあげますよ』

久『……』ぱぁっ

久『…そっか!じゃあ、もっとたくさん
  本を買わないとね!部費で!!』

咲『そこは自腹を切ってくださいよ』

久『咲がいるかどうかは、部の死活問題でしょ?
  あなたがいなくなったら、
  私はもちろん、麻雀部も終わっちゃうわ』

咲『…まぁ、人数が足りなくなりますからね』

久『そういう問題じゃないの。
  あなたがいない麻雀部は、
  もう私が大好きな麻雀部じゃないわ』

久『あなたがいない時点で、
  私の麻雀部は廃部なのよ』

久『だから、勝手に私の側を離れないでね?
  そんなことしたら本気で泣くから』

咲『……!』

咲(本当に…この人は…!)

咲『部長こそ、そういう発言…
  私以外にはしないでくださいね?
  絶対、勘違いされますから』

久『へ?何が?』

咲『…わかってないならいいです』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……


咲(…普通に、告白だと思うんだけどなぁ)

咲(あれ、本当にそういう意味じゃなかったのかな)

咲(…あれとかも)


……


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



久(簀巻き)
 『いい天気ねえ』ダラダラ

咲『そうですね』

久(簀巻き)
 『こんな暑い日は、プールで気持ちよく
  水浴びでもしたいわねえ…
  せっかく目の前にあるんだし』ダラダラ

咲『その格好で入ったら溺れ死にますよ?』

久(簀巻き)
 『まさに今、私は熱中症で
  死にそうになってるんだけど?』ダラダラ

咲『布団の上で大往生とは幸せな人生でしたね』

久(簀巻き)
 『さすが咲。人が一人
  命のともしびを消そうとしている
  目の前でそれを言えるとは…』ダラダラ

咲『もう、忍耐力なさすぎですよ…
  もう少し我慢してからプールに入ったら、
  きっとすごく気持ちいいですよ?
  後7時間14分我慢してください』

久(簀巻き)
 『きっちりプール閉館時間ね』ダラダラ

咲『部長が悪いんですよ。
  あれだけ釘を刺しておいたのに、
  なんで福路さんにあんなこと言っちゃうんですか』

久(簀巻き)
 『だってあの子、苦しんでたんだもの。
  せっかく、あんな綺麗な瞳してるのに』ダラダラ

咲『もっと言い方があるじゃないですか。
  宝石みたいとか、あれじゃ
  口説いてると思われても仕方ないです』

久(簀巻き)
 『そんなつもりはなかったんだけど』ダラダラ

咲『だったら余計に性質が悪いです。
  あの人は、ヤンデレの可能性大ですよ?』

久(簀巻き)
 『マジかー…でも、やっぱり
  見逃せなかったしなぁ』ダラダラ

咲『…なんで、そんなに人の世話を焼くんですか?
  聖人なんですか?激しく似合わないので
  転職をお勧めしますよ?』

久『ほめたいのか貶めたいのかどっちなのよ』ダラダラ

咲『貶めたいです』

久『うん、わかってた』ダラダラ

咲『で、なんで聖人になろうとしてるんですか?』

久(簀巻き)
 『いや、なる気ないってば。
  誰でもってわけじゃないのよ?
  ただ、ああやって独りぼっち系の気配を
  出されるとちょっとねー…』ダラダラ

咲『風越のキャプテンがどうして
  独りぼっちなんて話になるんですか』

久(簀巻き)
 『現実と本人の感じ方が一致してるとは限らないわ。
  あなただってそうだったじゃない』ダラダラ

咲『!?』

久(簀巻き)
 『あれ?気づいてなかった?』ダラダラ

咲『…どういうことですか』

久(簀巻き)
 『お姉ちゃんを求めて三千里。
  自分にはお姉ちゃんしかいない、
  なんて思っちゃって』ダラダラ

久(簀巻き)
 『別に麻雀好きでもなかったくせに、
  それで全国まで目指しちゃってさ』ダラダラ

久(簀巻き)
 『ちょっと横を見れば、
  あなたに笑いかけてくれる人なんて
  他にも普通にいるでしょうに』ダラダラ

久(簀巻き)
 『福路さん、ちょっと前のあなたにそっくりだったわ。
  だから、つい声をかけちゃったのよ』ダラダラ

咲『…私と、似ていたから?』

久(簀巻き)
 『うん』ダラダラ

久(簀巻き)
 『ま、今のあなたはわかってると思うけどね?』ダラダラ

久(簀巻き)
 『横を見れば、すぐそばで
  私が笑いかけてるってことはさ』にっこり

咲『……っ』

咲『……っ』じわっ

咲『……』ぐしぐし

久(簀巻き)
 『どした?感動しちゃった?』ダラダラダラ

咲『あの、簀巻きの姿でちょいちょい
  いい話を挟んでくるのやめてくれませんか?
  笑っていいのか判断に迷うので』

久(簀巻き)
 『私は別に自分から
  簀巻きになったんじゃないんだけど!?』ダラダラダラ

久(簀巻き)
 『というか、本当に危なくなってきたから
  そろそろほどいてもらえない!?』ダラダラダラダラ

咲『…わかりましたよ…』

咲『…今のいい話に免じて、
  6時間に短縮してあげます』

久『どっちにしろ死ぬってば!?』ダラダラダラダラ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……


咲(…これも、普通に告白だと思うんだけどなぁ)

咲(他にも、例をあげたら枚挙にいとまがないんだけど)

咲「…あ」

咲「…部長が生まれそう。
  これでも抜けるなんてすごいなぁ」


久(正体不明の球体)
 「……っ!……っ!」もぞもぞ

久(簀巻き)
 「…ぷはっ!」

久(簀巻き)
 「…んしょ、んしょ!」もぞもぞ

久「…脱出!!あーもう!巻きすぎでしょ!?
  普通に窒息して死ぬわよこれ!!」ぜーぜー


咲「生還おめでとうございます」

咲「というか、この部長よくあの状態から
  抜け出せましたね…
  もはや生還は絶望的かと思われましたが」

久「なんで他人事口調なの!?
  ていうか本当に殺す気だったの!?」

咲「部長が全然わかってなさそうだから
  お仕置きしたまでです」

咲「覚えてないならまだしも、
  知らない、というのは論外です。
  無責任すぎますよ」

久「いや、そう言われても」

咲「……」

咲「…本当に、覚えてないんですか?」

咲「…私にどんな言葉をかけたのかも、
  それで、私がどんな反応をしたのかも」

咲「本当に、忘れちゃったんですか?」

久「えー…だって、咲って割と最初の頃から
  私のこと好きだったじゃない」

咲「…え?」

久「一番古い例をあげたら、それこそ初対面の時から
  割とそれっぽかった気がするし」

咲「…そ、そうでしたっけ」

久「初めて会った時だって、仲良く喧嘩した後は
  普通に私の家まで来て一緒に本読んでたじゃない」

久「一番それっぽいのはプールで簀巻きにされたことだけど、
  その時には咲はもうヤンデレになってたでしょ?」

咲「……!」

久「だから、あなたが私を好きになった瞬間なんて、
  私にはわからないわよ?」

咲「…なるほど」

咲「……」

咲「だとしたら、そういうことなんでしょうね」

久「どういうことよ」

咲「何か、心を強く動かすイベントがあったとかじゃなくて」

咲「単純に、部長という存在そのものが私にぴったりだった」

咲「それだけということです」

久「…厄介ね、それ」

咲「そうですね。すごく厄介です」

咲「でも、そういうことなら…
  部長以上に私にぴったりな人が出てきたら、
  あっさり心変わりするかもしれませんよ?」

久「…私にぴったりな人だったら、
  一度好きになったら絶対に相手を変えないと思うわ」

咲「そうですね。じゃあ諦めて
  結婚するしかありませんね」

久「問題は、私がノーマルということなんだけどね?」

咲「部長はもうノーマルって言葉使ったら駄目ですよ?
  あまりにもノーマルに失礼すぎます。
  ノーマルさんもいい加減我慢の限界ですよ?」

久「さっきより辛辣!?」

咲「大丈夫ですよ…部長を一人にはしませんから。
  仕方ないので私もノーマルをやめてあげます」

久「あなたこそノーマルさんに謝りなさいよ!?」

咲「ノーマルさんごめんなさい。
  この人が本当にすいません」

久「私!?」

咲「そんなわけで、お互いの愛も再確認できましたし、
  改めて婚姻届けにサインしましょうか」

久「話聞いてた!?だから私はノーマ咲「禁止」」

咲「ほら、今なら夫と妻、
  好きな方を選ばせてあげますから」

久「……」

久「脱出!!」ダッ


ダダダダッ


咲「追いかけっこですか…まあいいですよ。
  私もなんか青春っぽく走り出したい気分ですし」


ダダダダッ


咲「…あれ?戻ってくる」


久「咲、助けて!美穂子が!和が!!」

美穂子「上埜さん!婚姻届け持ってきました!
    後はサインするだけです!」

和「部長!刀持ってきました!
  後は切腹するだけです!!」

久「たーすーけーてー!!」


咲「……」

咲「……」クスッ


咲「本当に仕方ないなぁ」

咲「ほら、部長は私の後ろに隠れてください。
  守ってあげますから」

咲(命に代えても、ね)


(完)
 Yahoo!ブックマーク
posted by ぷちどろっぷ at 2014年12月03日 | Comment(5) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
すばら!…しいですね。

なんだかんだで部長も咲のこと好きじゃないですかー
お似合いだと思います!
Posted by 部長かわいい at 2014年12月03日 20:17
自ら手を下さず、部長本人に切腹させようとするのどっち…無用なところで冷静ですな。
Posted by at 2014年12月03日 20:31
蛇足のようなリクなのに書いてもらってありがとうございます。
しかしコレは久さんが悪いです咲さんを惑わした責任をとって結婚しないと(笑)
Posted by at 2014年12月04日 23:19
良かったです!

頭おかしいけど、なんだかんだお互い距離感をしっかり保ってるのかなぁ。僕にはそんな風に見えてすごく良いなぁと思いました。
 
Posted by at 2014年12月05日 22:40
コメントありがとうございます!

部長も咲のこと好き>
咲「誰にでもそう見せるところが
  この部長のタチの悪いところなんです」
久「そういうつもりはないんだけどなぁ」

のどっち>
和「ちっ…気づかれましたか…侮れませんね」
久「いや、そもそも切腹しないからね?」

コレは久さんが悪いです>
咲「まったくもって同意です。
  責任取って結婚してください」
久「謹んでお断り申し上げます」

なんだかんだお互い距離感>
久「まぁなんだかんだで
  一応特別だとは思ってるわ」
咲「その後一歩がもどかしいんですよ…」
和「周りから見たら
  バカップルにしか見えないので
  部長は切腹してもらえませんか?」
久「なんで私!?」
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2014年12月07日 17:35
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/106145669
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
 なんかブログランキング参加してみました。
 押してもらえると喜びます(一日一回まで)。
 
人気ブログランキング