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【咲SS:淡照菫】淡「あわてるすみれ! 2nd mission!」【ギャグ】
<あらすじ>
淡「菫先輩をあわてさせよう企画!
題してコードあわてるすみれ2ndミッション!」
照「今回は淡に死んでもらって菫をあわてさせる」
淡「何それこわい!?」
<登場人物>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子
<バックナンバー>
淡『第1話はこれなのですよ!』
<症状>
・照が軽いヤンデレ。
・尭深が驚きの黒さに。
<その他>
※ギャグです
--------------------------------------------------------
私の名前は大星淡。
人呼んでトリックスター淡。
探偵という名の何でも屋を生業(なりわい)としている。
依頼の内容は様々だ。
報酬をはずめば何だってやってやるさ。
トントントン。
神すら惚れこむ私の頭脳。
その頭脳の助けを求め、今日も哀れな子羊が、
探偵所の扉を叩く。
やれやれ、人気探偵はつらいものだ。
「どうぞ」
この間打ち付け直したばかりの扉から
顔を出したのは、いつぞや見たことのある
紫髪の女だった。
「またアンタか」
「新しい依頼を持ってきた」
「報酬は?」
「電池…単三を4本」
「死んでも完遂しろってわけだ」
「そう思ってもらって構わない」
「依頼の内容は?」
「何、今回はそんなに難しくはない」
「そう…文字通り、死んでくれればいい」
彼女はその右手に凶暴な旋風を纏わせると、
そのまま拳を突き出した。
突き出された拳はまっすぐに私の鳩尾を抉り…
私は真っ赤な血を吐き出した。
--------------------------------------------------------
こぴゅっ(喀血)
淡(血みどろ)
「ちょ、いきなりなにすんの!?
私がギャグキャラじゃなかったら死んでたよ!?」
誠子「いや、そんな便利設定ないからな?
お前今、普通に夥しい血を吐いて
普通に死にそうになってるからな?」
淡「宇宙パワーで復活!!」
誠子「宇宙すげぇ!
いやだからそれどうなってるんだよ!?」
淡「で、なんで私いきなり殺されそうになったわけ?」
照「前回は完全に失敗だった。
菫があわてるどころか、
単に不快なシーンを見せられただけだった」
淡「まあ否定はしないよ!」
照「だが、それで諦める私ではない。
そこで私は、自分で新たな案を持ってきた」
淡「ふむふむ」
照「そう、私は考えた。いくら菫であろうとも、
目の前で人が死んだら
さすがにあわてるのではないかと」
誠子「それであわてなかったら人間性を疑いますよ」
照「淡だって、菫のあわてる姿を見てみたいでしょ?」
淡「そりゃあわてるかもしれないけど、
私はその姿を見れずに
天に召されるんじゃないかな」
照「いまわの際に少しは見られる可能性がある」
淡「いやそこはがっつり見せてよ」
尭深「…というか、今の淡ちゃんを見せたら
普通にあわてるのでは?」
誠子「真っ白な制服が血に染まってるもんなぁ」
淡「そうかなあ?
前回私がテルに肉塊に変えられてる時も
普通に真顔で見てたじゃん?真顔で」
照「私もそう思う。過程を知っている場合
菫はあわてないはず」
照「というわけで、淡。
秘密裏に1か月くらい断食してほしい。
そして菫の目の前で倒れてほしい」
淡「それ、結局遠まわしに死ねって言ってるよね?」
誠子「いや、遠まわしじゃなくて
直球で死ねって言ってると思うよ?」
照「むぅ。死にたくないなら淡が代案を考えてほしい」
淡「ふむふむ。そうですなぁ」
淡「よしわかった!」
照「死ぬ覚悟はできた?」
淡「そっちじゃないよ!?」
淡「いや、ほらさ。ぶっちゃけ私って、
散々菫先輩に悪戯してるじゃん?」
誠子「そうだな」
淡「だからさ、今更私が何をしても、
オオカミ少年状態で
警戒されちゃうと思うんだよね」
照「確かに」
淡「というわけで、発想を逆転させようと思うんだ」
淡「警戒されない手段を考えるんじゃなくて、
警戒しても対処できない手段を考えよう!」
照「ふむ…例えば?」
--------------------------------------------------------
福与恒子
『すっかり夏の風物詩!
西東京地域麻雀大会、
はーじまーるよー!』
恒子『実況は私福与恒子!解説は無駄に豪華に
すこやんプロでお送りいたします!』
小鍛治健夜
『無駄に豪華って何!?
あとすこやんプロって言うのやめてよ!!』
恒子『ちなみに本日はゲスト参加として、
インターハイ全国制覇校、
白糸台高校のチーム虎姫に来てもらってます!
やっぱりアラフォーより若い子の方がいいよね!』
健夜『だから私はアラサー…って言わないよ!?
そう何度も言わないよ!?』
恒子『決勝まで残ったうえで、かつ希望される方には、
エキシビジョンとして虎姫と戦う権利が与えられます!
みなさん頑張ってくださいねー!』
健夜『自分から弄っておいてスルーしすぎだよ!!』
恒子『それでは、チーム虎姫の皆さん、どうぞ!!』
スッ…
照(冬服)「……」ドン!
スッ…
淡(冬服)「……」ドン!
スッ…
尭深(冬服)「……」ドン!
スッ…
誠子(冬服)「……」ドン!
スッ…
菫(夏服)「……」ドドン!
恒子『……』
健夜『……』
恒子『えーと…シャープシューターさん?
なんで一人だけ夏服なんですか?』
菫(夏服)「むしろ私が他の奴らに問いたい」
照(冬服)「……」ダラダラ
淡(冬服)「……」ダラダラ
尭深(冬服)「……」ダラダラ
誠子(冬服)「……」ダラダラ
菫(夏服)「このくそ暑い中、なぜあえて冬服を着ているのかを」
菫(夏服)「馬鹿なのか?」
照(冬服)「……」ダラダラ
淡(冬服)「……」ダラダラ
尭深(冬服)「……」ダラダラ
誠子(冬服)「……」ダラダラ
--------------------------------------------------------
淡「駄目だったねー」
照「メディア露出する機会で、
当日一人だけ違う格好で来てしまう…
これはいけると思ったんだけど」
尭深「…あわてるどころか冷やかかつ
憐みの目を向けてましたね」
淡「周りも失笑してたしね!」
誠子「私は反対したのに!!」
淡「ま、下手な鉄砲数うちゃ当たるだよ!
思いつく限りやってみよう!」
尭深「…ううん、数を重ねるほど耐性ができて
あわてなくなると思うよ?」
照「私もそう思う。これだという案以外は
実践に移すのはやめるべき」
淡「ふむむ。じゃあイメージトレーニングにするかー」
淡「あ、じゃあ校門で待ち伏せて、
遅刻するまでディフェンスするってのは?」
照「イメージしてみて」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『何やってるんだお前ら』
淡『ふっ…このチーム虎姫−1による鉄壁の防御!』
照『到底掻い潜れるとは思えない』
尭深『そのままそこであわてふためきながら
チャイムの音を聞くがいい』
誠子『イー!!』
菫『……』
テクテクテク
淡『よし、為す術もなく逃げた!勝利!!』
照『いや、逃げられても駄目でしょ』
尭深『…弘世先輩、戻ってきませんね』
誠子『イー!!』
……
ブーーーーー、ブーーーーー
照「あ、菫からメールだ」
『From:菫(恋人)
------------------------------------------------
さすがに放置はあんまりだから伝えておこう。
私は裏門を使ってもう教室にいる。
…遅刻するなよ? 』
照『……』
淡『……』
尭深『……』
誠子『ィー…』
キーンコーンカーンコーン
照『……』
淡『……』
尭深『……』
誠子『ィー…』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
淡「駄目でした!」
誠子「なんで私だけ戦闘員なんだよ!?」
尭深「…あ、私から一つ提案が」
照「聞こうか」
尭深「…まず、弘世先輩にこのお茶を飲ませます」
照「ふむふむ」
尭深「…実は利尿剤入りです」
淡「なんでそんなお茶自然に用意してるの!?」
尭深「…当然催してくるでしょう。
ですが、そこを宮永先輩と
淡ちゃんで拘束します」
誠子「拷問か」
尭深「…後は、決定的瞬間までそれを続けるだけで
弘世先輩のあわてる姿が見られるかと」
淡「さ、さすがタカミー、ドン引きだよ!」
照「…さすがにそれをやると関係修復が不可能になる」
誠子「私なら一生口を利きませんね」
照「後、前も言ったけど、
菫に直接危害を加えるのはなし」
照「そんなことをする人間は、
私がこの右手で脳みそを抉り出し
程よくミンチになるまで丹念にすり潰す」
誠子「こわっ!?だからなんで
いちいち表現がグロいんですか!?」
淡「えー、でも警戒されても駄目、
菫先輩に危害を加えても駄目、
それじゃぁあわてさせる方法なんt」
ガチャッ!
菫「すまん、部長会で遅くなった」
淡「うっひょひょう!!」
菫「…なんだその掛け声は」
淡「にゃ、にゃんでもないよー」
淡(び、びっくりしたー!!)
--------------------------------------------------------
淡「あぶなかったねー」
照「菫に知られたらさらに難易度が上がるところだった」
尭深「…でも、さっきの淡ちゃんの反応が
一つヒントになったんじゃないでしょうか」
誠子「というと?」
尭深「…人は、見られたくない姿を見られたらあわてる…
それは弘世先輩でも同じでしょう」
尭深「…つまり、弘世先輩が
見られたくない現場を押さえて、
突然我々が乱入すれば…」
照「あ、その案は却下」
淡「菫先輩に危害を加えるから?」
照「違う。菫はそんな事じゃ動じないから」
誠子「そうですか?道徳的な問題はどうかとして、
悪い案ではないと思いますけど」
照「だって、私が毎日見てるから」
誠子「…へ?」
照「いやだから、見てるから」
照「菫の部屋にカメラをつけて監視してる」
淡「……」
尭深「……」
誠子「……」
照「……」
淡「ガチ犯罪じゃん!?」
尭深「…それ、弘世先輩はご存じなんですか?」
照「一度バレたから知ってる」
淡「お咎めなし?」
照「ちょっと怒られただけだった」
誠子「…あの方、ちゃんと人間としての感情
持ち合わせてるんですよね?」
淡「なんかもう、菫先輩をあわてさせるなんて
絶対無理な気がしてきたよー」
照「これ以上思いつかないなら最初の案を採用するけど、
覚悟はできた?」
淡「……」
淡「いいでしょう!」
誠子「淡!?」
尭深「淡ちゃん!?」
淡「この大星淡、菫先輩の前で
見事に倒れて見せましょう!」
照「…いいの?」
淡「うん、なんか考えるの
めんどくさくなってきたから!」
淡「それに、私が倒れてあわててくれるなら
それはそれでうれしいし!」
誠子「それだけのためにお前は死ぬのか!?」
淡「いやいや、そこまでしなくても
一日断食して徹夜でもすれば、
いい感じで倒れられるんじゃない?」
淡(そしたら…も、もしかしたら)
淡(か、介抱してもらえるかもしれないし…)
照「じゃあそれで行こう。
ちなみに、その状況を利用して菫に媚を売ったら、
ペースト状になるまですり潰すから気をつけて」
淡「読まれてた!!」
--------------------------------------------------------
…休み明け。
--------------------------------------------------------
その日、いつも通り学校に登校した私は、
前方に見慣れた後ろ姿を発見した。
ゆらゆらと海面を漂う
海藻のような髪の毛を纏う生き物…
そう、大星淡である。
元々どことなく危なっかしい彼女であるが、
その日は何やら大きくふらつきながら
左に行ったり右に行ったりしながら歩いており、
見ていて思わず不安になる佇まいであった。
「…おはよう、淡。
なんかフラフラしているが大丈夫か?」
「あ、菫先輩、おはよ〜…
大丈夫だよー…ほら見てー」
私のあいさつに振り向いた淡は、
ふにゃっとした笑顔を浮かべながら、
髪の毛をふわふわと浮かせて見せる。
だが、その顔は青ざめていて、
どう見ても大丈夫には見えない。
そもそも髪の毛が浮いたら元気という
その判断基準もよくわからない。
「…どう見ても大丈夫に見えないんだが」
「だいじょーぶだいじょーぶ…
じゃあまた、放課後会おーねー…」
もっとも当の本人はこちらの心配などどこ吹く風で、
そのままフラフラとクラゲのように漂って行った。
「…少し気に留めておいたほうがいいな」
あの様子だと下手したら
倒れてしまうかもしれない。
私は、淡を注意深く見守ることを心に留めた。
--------------------------------------------------------
テルの依頼を受けた私は、
土日を利用して断食と徹夜を敢行した。
元々三食ばっちり食べて、
8時間の睡眠に優雅なシエスタも欠かさない私は、
それだけでもうフラフラだ。
その効果は絶大で、朝菫先輩に会った時、
その顔色には心配の色がありありと浮かんでいた。
その表情を見た私は、
ちょっとした良心の呵責を感じつつも、
それを上回る期待に胸を膨らませる。
(これはいけるんじゃない!?
あわてるすみれタイム、
今度こそいけちゃうんじゃない!?)
この結果に気をよくした私は、
さらに自分を追い込むことにする。
そう、それは…この状態での体育の参加!
しかも、今日のテーマはなんとサッカー!!
…うちの学校バカだよね。
なんでわざわざ夏にサッカーやるの?
まぁ今回は許してあげるけど!
「いざゆかん!あわてる菫先輩を見るために!」
これでさらに満身創痍になって、
放課後には菫先輩の度肝を抜いちゃうよ!
そう思って駆け出した矢先のことだった。
フッ…
「あ…あれ?」
急に目の前が暗転する。
気がついたら私の顔の前に近づく地面。
ゴスッ…!!
鈍い音と共に、私の頭が地面に叩きつけられる。
うん、やりすぎちゃいました。
誰に見せることなく頭の中で舌を出しながら、
私は意識を失った。
--------------------------------------------------------
誠子「ちょ…!今淡の奴、すごい体勢で倒れなかった!?」
尭深「た、助けに行った方が…」
誠子「!?待った!なんかすごい勢いで
弘世先輩が飛び出してきた!!」
尭深「…!?行動早すぎ…監視してたのかな」
誠子「ていうか足はやっ!?何あの人体育会系!?」
尭深「…先生がオロオロしてるのに、
すごく迅速に応急処置してる…」
誠子「…あ、なんかお姫様抱っこで歩き出した」
尭深「…多分保健室に向かってる…大丈夫そう」
誠子「…こうなると、淡がファンクラブの会員に
刺されないかの方が心配になってきたな…」
尭深「…その前に宮永先輩にすり潰されると思う」
誠子「ま、まぁ…とりあえず私たちも行こう」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
淡「……」
淡「!」ハッ
淡「こ、ここは保健室!私は誰!?」
菫「地味に新しいな」
淡「はっ!あなたは菫先輩!私は誰!?」
菫「しつこいな!?お前は淡。これでいいか?」
淡「…なんで菫先輩がここに?」
菫「覚えてないのか…
お前、体育の時間に倒れたんだよ。
今はもう放課後だ」
淡「あー、地面がなんかフリーフォールみたいに
近づいてきたのは覚えてる」
菫「…まったく。なんであんな状態で
サッカーなんかやろうと思ったんだ」
菫「…ほら、こんなに大きなたんこぶが
できてしまっているじゃないか」なでなで
淡「あ、それ…気持ちいい」
菫「…で?なんであんな無理したんだ?」
淡「学生たるもの学校の授業には
参加しないといけないので!」
菫「お前この前普通にバレーサボってただろ」
淡「え、えーと…」
シャッ!!
照(たんこぶ)
「それは私が説明する」
淡「て、テル!?どうして隣のベッドで寝てるの!?
ていうかたんこぶすごっ!」
菫「…この馬鹿も今日倒れたからだ」
照(たんこぶ)
「お姫様抱っこの第一号は私」
淡「え、お姫様抱っこ?何それ?」
誠子「淡、グラウンドのど真ん中から
弘世先輩にお姫様抱っこで運ばれたんだよ」
尭深「…学校中の噂になってる」
淡「な、何そのご褒美!私全然知らないんだけど!?」
--------------------------------------------------------
照「…というわけで、すべては
菫をあわてさせるためにやったこと」
照「でも、いくらなんでも淡に迷惑かけ過ぎだから、
自分で実行しようと思った」
照「だから、淡には作戦中止の
メールを送ったんだけど…」
淡「ケータイ不携帯!」
照「…だと思った。電話にも出なかったし」
菫「…というか、まだ諦めてなかったのか…
で、満足したか?」
照「うん。堪能した」
淡「えぇ!?じゃぁ菫先輩あわてたの!?
私全然見てないんだけど!」
尭深「…あわてるというか…どちらかというと
ハラハラしているという感じだったけど」
誠子「でも、確かにすごく動転されてましたね。
あんな弘世先輩初めて見ました」
照「ごちそうさま」
菫「まったく…私だって人間なんだ。
そりゃ大切な人間の大事にもなれば
あわてもするさ」
菫「今後はもう、こんな事はしないでくれよ?」
照「了解」
淡「だから私まだ見れてない!」
照「大丈夫。菫のあわてる顔は
フルHD録画でしっかりと保存したから」
照「ほら、これ。この時の菫はかっこよかった。
あわてながらもきっちり仕事をこなす。
さすが私の菫」
淡「すごい!菫先輩が汗かいてる!」
菫「だからお前らは私を何だと思ってるんだ…
というか照、その携帯を貸せ」
照「お断り申し上げる」
--------------------------------------------------------
菫「…じゃぁ、私はちょっと部室に行って
淡が意識を取り戻したことを伝えてくる」
菫「馬鹿二人はもう少し安静にしてろ」
淡「はーい」
照「馬鹿ではないけど了解」
菫「亦野と尭深のどちらかは、
二人に付き添っていてやってくれ」
誠子「あ、じゃぁ私が付き添います」
尭深「…なら私は弘世先輩についていきます」
菫「そうか、じゃあ行くぞ」
尭深「…はい」
スタスタスタスタ
菫「……」
尭深「……」
尭深「……弘世先輩」
菫「なんだ?」
尭深「…あのあわて顔、本当だったんですか?」
菫「……」
菫「お前までなんだ。
言っただろう?私だって人間だと。
あわてるくらいするさ」
尭深「…少し、気になる点がありまして」
菫「…なんだ?」
尭深「そもそも、一番最初にミッションを開始した時に、
淡ちゃんはその目的をはっきりと
公言してしまったはずです」
尭深「…すべては、弘世先輩を
あわてさせるためにやったことだと」
尭深「しかもその後も間が空いたとはいえ、
継続的にチャレンジしてましたよね」
菫「…まぁそうだな」
尭深「なのに、弘世先輩ともあろうお方が
『まだ諦めてなかったのか』
と言ったのが不自然に感じました」
尭深「その後の『満足したか?』と合わせて、
作為的なものを感じます」
菫「……まぁ」
菫「どこかでこちらが折れてやらないと、
あいつらいつまでたっても続けるだろう?」
菫「さすがにあそこまでエスカレートされると、
『次』を起こさせるわけにはいかないからな」
菫「あいつらには言わないでくれよ?」
尭深「…わかりました」
--------------------------------------------------------
こうして、『あわてるすみれ 2ndミッション』は
私が意識を失っている間に、成功裏に終了した。
これを機に、私の探偵事務所は
新たなる課題に取り組むことになる。
でもとりあえず今は、
頭を撫でられた余韻に浸りながら
菫先輩のあわてるビデオを鑑賞することにしよう。
「わゎっ…!?わ、私、こんなど真ん中から
お姫様抱っこされてたの!?
校舎から丸見えじゃん!!」
「…大丈夫。意外と見られてなかったから。
私が倒れた時も淡は気づかなかったでしょ?」
「言われてみれば確かに!」
「あ、忘れてた。今回は私のせいだから
ある程度は目をつぶるけど、
さすがにお姫様抱っこは許容できないから
マイナス8」
「だからその数値何!?いったい何を
カウントダウンしてるの!?」
「そのうちわかる。わからない方が幸せだけど」
「何それこわい!!」
(続く!)
淡「菫先輩をあわてさせよう企画!
題してコードあわてるすみれ2ndミッション!」
照「今回は淡に死んでもらって菫をあわてさせる」
淡「何それこわい!?」
<登場人物>
宮永照,弘世菫,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子
<バックナンバー>
淡『第1話はこれなのですよ!』
<症状>
・照が軽いヤンデレ。
・尭深が驚きの黒さに。
<その他>
※ギャグです
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私の名前は大星淡。
人呼んでトリックスター淡。
探偵という名の何でも屋を生業(なりわい)としている。
依頼の内容は様々だ。
報酬をはずめば何だってやってやるさ。
トントントン。
神すら惚れこむ私の頭脳。
その頭脳の助けを求め、今日も哀れな子羊が、
探偵所の扉を叩く。
やれやれ、人気探偵はつらいものだ。
「どうぞ」
この間打ち付け直したばかりの扉から
顔を出したのは、いつぞや見たことのある
紫髪の女だった。
「またアンタか」
「新しい依頼を持ってきた」
「報酬は?」
「電池…単三を4本」
「死んでも完遂しろってわけだ」
「そう思ってもらって構わない」
「依頼の内容は?」
「何、今回はそんなに難しくはない」
「そう…文字通り、死んでくれればいい」
彼女はその右手に凶暴な旋風を纏わせると、
そのまま拳を突き出した。
突き出された拳はまっすぐに私の鳩尾を抉り…
私は真っ赤な血を吐き出した。
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こぴゅっ(喀血)
淡(血みどろ)
「ちょ、いきなりなにすんの!?
私がギャグキャラじゃなかったら死んでたよ!?」
誠子「いや、そんな便利設定ないからな?
お前今、普通に夥しい血を吐いて
普通に死にそうになってるからな?」
淡「宇宙パワーで復活!!」
誠子「宇宙すげぇ!
いやだからそれどうなってるんだよ!?」
淡「で、なんで私いきなり殺されそうになったわけ?」
照「前回は完全に失敗だった。
菫があわてるどころか、
単に不快なシーンを見せられただけだった」
淡「まあ否定はしないよ!」
照「だが、それで諦める私ではない。
そこで私は、自分で新たな案を持ってきた」
淡「ふむふむ」
照「そう、私は考えた。いくら菫であろうとも、
目の前で人が死んだら
さすがにあわてるのではないかと」
誠子「それであわてなかったら人間性を疑いますよ」
照「淡だって、菫のあわてる姿を見てみたいでしょ?」
淡「そりゃあわてるかもしれないけど、
私はその姿を見れずに
天に召されるんじゃないかな」
照「いまわの際に少しは見られる可能性がある」
淡「いやそこはがっつり見せてよ」
尭深「…というか、今の淡ちゃんを見せたら
普通にあわてるのでは?」
誠子「真っ白な制服が血に染まってるもんなぁ」
淡「そうかなあ?
前回私がテルに肉塊に変えられてる時も
普通に真顔で見てたじゃん?真顔で」
照「私もそう思う。過程を知っている場合
菫はあわてないはず」
照「というわけで、淡。
秘密裏に1か月くらい断食してほしい。
そして菫の目の前で倒れてほしい」
淡「それ、結局遠まわしに死ねって言ってるよね?」
誠子「いや、遠まわしじゃなくて
直球で死ねって言ってると思うよ?」
照「むぅ。死にたくないなら淡が代案を考えてほしい」
淡「ふむふむ。そうですなぁ」
淡「よしわかった!」
照「死ぬ覚悟はできた?」
淡「そっちじゃないよ!?」
淡「いや、ほらさ。ぶっちゃけ私って、
散々菫先輩に悪戯してるじゃん?」
誠子「そうだな」
淡「だからさ、今更私が何をしても、
オオカミ少年状態で
警戒されちゃうと思うんだよね」
照「確かに」
淡「というわけで、発想を逆転させようと思うんだ」
淡「警戒されない手段を考えるんじゃなくて、
警戒しても対処できない手段を考えよう!」
照「ふむ…例えば?」
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福与恒子
『すっかり夏の風物詩!
西東京地域麻雀大会、
はーじまーるよー!』
恒子『実況は私福与恒子!解説は無駄に豪華に
すこやんプロでお送りいたします!』
小鍛治健夜
『無駄に豪華って何!?
あとすこやんプロって言うのやめてよ!!』
恒子『ちなみに本日はゲスト参加として、
インターハイ全国制覇校、
白糸台高校のチーム虎姫に来てもらってます!
やっぱりアラフォーより若い子の方がいいよね!』
健夜『だから私はアラサー…って言わないよ!?
そう何度も言わないよ!?』
恒子『決勝まで残ったうえで、かつ希望される方には、
エキシビジョンとして虎姫と戦う権利が与えられます!
みなさん頑張ってくださいねー!』
健夜『自分から弄っておいてスルーしすぎだよ!!』
恒子『それでは、チーム虎姫の皆さん、どうぞ!!』
スッ…
照(冬服)「……」ドン!
スッ…
淡(冬服)「……」ドン!
スッ…
尭深(冬服)「……」ドン!
スッ…
誠子(冬服)「……」ドン!
スッ…
菫(夏服)「……」ドドン!
恒子『……』
健夜『……』
恒子『えーと…シャープシューターさん?
なんで一人だけ夏服なんですか?』
菫(夏服)「むしろ私が他の奴らに問いたい」
照(冬服)「……」ダラダラ
淡(冬服)「……」ダラダラ
尭深(冬服)「……」ダラダラ
誠子(冬服)「……」ダラダラ
菫(夏服)「このくそ暑い中、なぜあえて冬服を着ているのかを」
菫(夏服)「馬鹿なのか?」
照(冬服)「……」ダラダラ
淡(冬服)「……」ダラダラ
尭深(冬服)「……」ダラダラ
誠子(冬服)「……」ダラダラ
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淡「駄目だったねー」
照「メディア露出する機会で、
当日一人だけ違う格好で来てしまう…
これはいけると思ったんだけど」
尭深「…あわてるどころか冷やかかつ
憐みの目を向けてましたね」
淡「周りも失笑してたしね!」
誠子「私は反対したのに!!」
淡「ま、下手な鉄砲数うちゃ当たるだよ!
思いつく限りやってみよう!」
尭深「…ううん、数を重ねるほど耐性ができて
あわてなくなると思うよ?」
照「私もそう思う。これだという案以外は
実践に移すのはやめるべき」
淡「ふむむ。じゃあイメージトレーニングにするかー」
淡「あ、じゃあ校門で待ち伏せて、
遅刻するまでディフェンスするってのは?」
照「イメージしてみて」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『何やってるんだお前ら』
淡『ふっ…このチーム虎姫−1による鉄壁の防御!』
照『到底掻い潜れるとは思えない』
尭深『そのままそこであわてふためきながら
チャイムの音を聞くがいい』
誠子『イー!!』
菫『……』
テクテクテク
淡『よし、為す術もなく逃げた!勝利!!』
照『いや、逃げられても駄目でしょ』
尭深『…弘世先輩、戻ってきませんね』
誠子『イー!!』
……
ブーーーーー、ブーーーーー
照「あ、菫からメールだ」
『From:菫(恋人)
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さすがに放置はあんまりだから伝えておこう。
私は裏門を使ってもう教室にいる。
…遅刻するなよ? 』
照『……』
淡『……』
尭深『……』
誠子『ィー…』
キーンコーンカーンコーン
照『……』
淡『……』
尭深『……』
誠子『ィー…』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
淡「駄目でした!」
誠子「なんで私だけ戦闘員なんだよ!?」
尭深「…あ、私から一つ提案が」
照「聞こうか」
尭深「…まず、弘世先輩にこのお茶を飲ませます」
照「ふむふむ」
尭深「…実は利尿剤入りです」
淡「なんでそんなお茶自然に用意してるの!?」
尭深「…当然催してくるでしょう。
ですが、そこを宮永先輩と
淡ちゃんで拘束します」
誠子「拷問か」
尭深「…後は、決定的瞬間までそれを続けるだけで
弘世先輩のあわてる姿が見られるかと」
淡「さ、さすがタカミー、ドン引きだよ!」
照「…さすがにそれをやると関係修復が不可能になる」
誠子「私なら一生口を利きませんね」
照「後、前も言ったけど、
菫に直接危害を加えるのはなし」
照「そんなことをする人間は、
私がこの右手で脳みそを抉り出し
程よくミンチになるまで丹念にすり潰す」
誠子「こわっ!?だからなんで
いちいち表現がグロいんですか!?」
淡「えー、でも警戒されても駄目、
菫先輩に危害を加えても駄目、
それじゃぁあわてさせる方法なんt」
ガチャッ!
菫「すまん、部長会で遅くなった」
淡「うっひょひょう!!」
菫「…なんだその掛け声は」
淡「にゃ、にゃんでもないよー」
淡(び、びっくりしたー!!)
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淡「あぶなかったねー」
照「菫に知られたらさらに難易度が上がるところだった」
尭深「…でも、さっきの淡ちゃんの反応が
一つヒントになったんじゃないでしょうか」
誠子「というと?」
尭深「…人は、見られたくない姿を見られたらあわてる…
それは弘世先輩でも同じでしょう」
尭深「…つまり、弘世先輩が
見られたくない現場を押さえて、
突然我々が乱入すれば…」
照「あ、その案は却下」
淡「菫先輩に危害を加えるから?」
照「違う。菫はそんな事じゃ動じないから」
誠子「そうですか?道徳的な問題はどうかとして、
悪い案ではないと思いますけど」
照「だって、私が毎日見てるから」
誠子「…へ?」
照「いやだから、見てるから」
照「菫の部屋にカメラをつけて監視してる」
淡「……」
尭深「……」
誠子「……」
照「……」
淡「ガチ犯罪じゃん!?」
尭深「…それ、弘世先輩はご存じなんですか?」
照「一度バレたから知ってる」
淡「お咎めなし?」
照「ちょっと怒られただけだった」
誠子「…あの方、ちゃんと人間としての感情
持ち合わせてるんですよね?」
淡「なんかもう、菫先輩をあわてさせるなんて
絶対無理な気がしてきたよー」
照「これ以上思いつかないなら最初の案を採用するけど、
覚悟はできた?」
淡「……」
淡「いいでしょう!」
誠子「淡!?」
尭深「淡ちゃん!?」
淡「この大星淡、菫先輩の前で
見事に倒れて見せましょう!」
照「…いいの?」
淡「うん、なんか考えるの
めんどくさくなってきたから!」
淡「それに、私が倒れてあわててくれるなら
それはそれでうれしいし!」
誠子「それだけのためにお前は死ぬのか!?」
淡「いやいや、そこまでしなくても
一日断食して徹夜でもすれば、
いい感じで倒れられるんじゃない?」
淡(そしたら…も、もしかしたら)
淡(か、介抱してもらえるかもしれないし…)
照「じゃあそれで行こう。
ちなみに、その状況を利用して菫に媚を売ったら、
ペースト状になるまですり潰すから気をつけて」
淡「読まれてた!!」
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…休み明け。
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その日、いつも通り学校に登校した私は、
前方に見慣れた後ろ姿を発見した。
ゆらゆらと海面を漂う
海藻のような髪の毛を纏う生き物…
そう、大星淡である。
元々どことなく危なっかしい彼女であるが、
その日は何やら大きくふらつきながら
左に行ったり右に行ったりしながら歩いており、
見ていて思わず不安になる佇まいであった。
「…おはよう、淡。
なんかフラフラしているが大丈夫か?」
「あ、菫先輩、おはよ〜…
大丈夫だよー…ほら見てー」
私のあいさつに振り向いた淡は、
ふにゃっとした笑顔を浮かべながら、
髪の毛をふわふわと浮かせて見せる。
だが、その顔は青ざめていて、
どう見ても大丈夫には見えない。
そもそも髪の毛が浮いたら元気という
その判断基準もよくわからない。
「…どう見ても大丈夫に見えないんだが」
「だいじょーぶだいじょーぶ…
じゃあまた、放課後会おーねー…」
もっとも当の本人はこちらの心配などどこ吹く風で、
そのままフラフラとクラゲのように漂って行った。
「…少し気に留めておいたほうがいいな」
あの様子だと下手したら
倒れてしまうかもしれない。
私は、淡を注意深く見守ることを心に留めた。
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テルの依頼を受けた私は、
土日を利用して断食と徹夜を敢行した。
元々三食ばっちり食べて、
8時間の睡眠に優雅なシエスタも欠かさない私は、
それだけでもうフラフラだ。
その効果は絶大で、朝菫先輩に会った時、
その顔色には心配の色がありありと浮かんでいた。
その表情を見た私は、
ちょっとした良心の呵責を感じつつも、
それを上回る期待に胸を膨らませる。
(これはいけるんじゃない!?
あわてるすみれタイム、
今度こそいけちゃうんじゃない!?)
この結果に気をよくした私は、
さらに自分を追い込むことにする。
そう、それは…この状態での体育の参加!
しかも、今日のテーマはなんとサッカー!!
…うちの学校バカだよね。
なんでわざわざ夏にサッカーやるの?
まぁ今回は許してあげるけど!
「いざゆかん!あわてる菫先輩を見るために!」
これでさらに満身創痍になって、
放課後には菫先輩の度肝を抜いちゃうよ!
そう思って駆け出した矢先のことだった。
フッ…
「あ…あれ?」
急に目の前が暗転する。
気がついたら私の顔の前に近づく地面。
ゴスッ…!!
鈍い音と共に、私の頭が地面に叩きつけられる。
うん、やりすぎちゃいました。
誰に見せることなく頭の中で舌を出しながら、
私は意識を失った。
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誠子「ちょ…!今淡の奴、すごい体勢で倒れなかった!?」
尭深「た、助けに行った方が…」
誠子「!?待った!なんかすごい勢いで
弘世先輩が飛び出してきた!!」
尭深「…!?行動早すぎ…監視してたのかな」
誠子「ていうか足はやっ!?何あの人体育会系!?」
尭深「…先生がオロオロしてるのに、
すごく迅速に応急処置してる…」
誠子「…あ、なんかお姫様抱っこで歩き出した」
尭深「…多分保健室に向かってる…大丈夫そう」
誠子「…こうなると、淡がファンクラブの会員に
刺されないかの方が心配になってきたな…」
尭深「…その前に宮永先輩にすり潰されると思う」
誠子「ま、まぁ…とりあえず私たちも行こう」
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淡「……」
淡「!」ハッ
淡「こ、ここは保健室!私は誰!?」
菫「地味に新しいな」
淡「はっ!あなたは菫先輩!私は誰!?」
菫「しつこいな!?お前は淡。これでいいか?」
淡「…なんで菫先輩がここに?」
菫「覚えてないのか…
お前、体育の時間に倒れたんだよ。
今はもう放課後だ」
淡「あー、地面がなんかフリーフォールみたいに
近づいてきたのは覚えてる」
菫「…まったく。なんであんな状態で
サッカーなんかやろうと思ったんだ」
菫「…ほら、こんなに大きなたんこぶが
できてしまっているじゃないか」なでなで
淡「あ、それ…気持ちいい」
菫「…で?なんであんな無理したんだ?」
淡「学生たるもの学校の授業には
参加しないといけないので!」
菫「お前この前普通にバレーサボってただろ」
淡「え、えーと…」
シャッ!!
照(たんこぶ)
「それは私が説明する」
淡「て、テル!?どうして隣のベッドで寝てるの!?
ていうかたんこぶすごっ!」
菫「…この馬鹿も今日倒れたからだ」
照(たんこぶ)
「お姫様抱っこの第一号は私」
淡「え、お姫様抱っこ?何それ?」
誠子「淡、グラウンドのど真ん中から
弘世先輩にお姫様抱っこで運ばれたんだよ」
尭深「…学校中の噂になってる」
淡「な、何そのご褒美!私全然知らないんだけど!?」
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照「…というわけで、すべては
菫をあわてさせるためにやったこと」
照「でも、いくらなんでも淡に迷惑かけ過ぎだから、
自分で実行しようと思った」
照「だから、淡には作戦中止の
メールを送ったんだけど…」
淡「ケータイ不携帯!」
照「…だと思った。電話にも出なかったし」
菫「…というか、まだ諦めてなかったのか…
で、満足したか?」
照「うん。堪能した」
淡「えぇ!?じゃぁ菫先輩あわてたの!?
私全然見てないんだけど!」
尭深「…あわてるというか…どちらかというと
ハラハラしているという感じだったけど」
誠子「でも、確かにすごく動転されてましたね。
あんな弘世先輩初めて見ました」
照「ごちそうさま」
菫「まったく…私だって人間なんだ。
そりゃ大切な人間の大事にもなれば
あわてもするさ」
菫「今後はもう、こんな事はしないでくれよ?」
照「了解」
淡「だから私まだ見れてない!」
照「大丈夫。菫のあわてる顔は
フルHD録画でしっかりと保存したから」
照「ほら、これ。この時の菫はかっこよかった。
あわてながらもきっちり仕事をこなす。
さすが私の菫」
淡「すごい!菫先輩が汗かいてる!」
菫「だからお前らは私を何だと思ってるんだ…
というか照、その携帯を貸せ」
照「お断り申し上げる」
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菫「…じゃぁ、私はちょっと部室に行って
淡が意識を取り戻したことを伝えてくる」
菫「馬鹿二人はもう少し安静にしてろ」
淡「はーい」
照「馬鹿ではないけど了解」
菫「亦野と尭深のどちらかは、
二人に付き添っていてやってくれ」
誠子「あ、じゃぁ私が付き添います」
尭深「…なら私は弘世先輩についていきます」
菫「そうか、じゃあ行くぞ」
尭深「…はい」
スタスタスタスタ
菫「……」
尭深「……」
尭深「……弘世先輩」
菫「なんだ?」
尭深「…あのあわて顔、本当だったんですか?」
菫「……」
菫「お前までなんだ。
言っただろう?私だって人間だと。
あわてるくらいするさ」
尭深「…少し、気になる点がありまして」
菫「…なんだ?」
尭深「そもそも、一番最初にミッションを開始した時に、
淡ちゃんはその目的をはっきりと
公言してしまったはずです」
尭深「…すべては、弘世先輩を
あわてさせるためにやったことだと」
尭深「しかもその後も間が空いたとはいえ、
継続的にチャレンジしてましたよね」
菫「…まぁそうだな」
尭深「なのに、弘世先輩ともあろうお方が
『まだ諦めてなかったのか』
と言ったのが不自然に感じました」
尭深「その後の『満足したか?』と合わせて、
作為的なものを感じます」
菫「……まぁ」
菫「どこかでこちらが折れてやらないと、
あいつらいつまでたっても続けるだろう?」
菫「さすがにあそこまでエスカレートされると、
『次』を起こさせるわけにはいかないからな」
菫「あいつらには言わないでくれよ?」
尭深「…わかりました」
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こうして、『あわてるすみれ 2ndミッション』は
私が意識を失っている間に、成功裏に終了した。
これを機に、私の探偵事務所は
新たなる課題に取り組むことになる。
でもとりあえず今は、
頭を撫でられた余韻に浸りながら
菫先輩のあわてるビデオを鑑賞することにしよう。
「わゎっ…!?わ、私、こんなど真ん中から
お姫様抱っこされてたの!?
校舎から丸見えじゃん!!」
「…大丈夫。意外と見られてなかったから。
私が倒れた時も淡は気づかなかったでしょ?」
「言われてみれば確かに!」
「あ、忘れてた。今回は私のせいだから
ある程度は目をつぶるけど、
さすがにお姫様抱っこは許容できないから
マイナス8」
「だからその数値何!?いったい何を
カウントダウンしてるの!?」
「そのうちわかる。わからない方が幸せだけど」
「何それこわい!!」
(続く!)
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そろそろ菫相談室の本編も見たいなー的な(チラッチラッ
もう一度読み直した『1st mission』もやっぱりおもしろかったです。
菫相談室もお願いします。
菫さん万歳!
この流れるようなノリ、面白くて好きです。それと保健室の「私は誰」の下りは卑怯。あれは笑う
菫相談室>
照「実はもう書き終わってる。更新してないだけ」
菫「そのまま寝かせておいていいんだぞ?」
戦闘員亦野>
淡「ナチュラルに戦闘員だったよー」
誠子「お前の中で私はどんな扱いなんだ」
淡「いや、だから」
亦野は後輩の鑑>
菫「私が引退した後の最後の良心としては
もう少し頑張ってほしかったところだ」
誠子「私板挟み!?」
軽いヤンデレ>
菫「これって軽いのか?一体今までに
何人の淡を殺したことか」
照「宇宙パワーで復活するから0」
淡「私は誰!は鉄板!」
人間の感情>
菫「いやだからちゃんと持ってるからな?」
照「じゃぁ泣きじゃくってみて」
菫「それ別に私じゃなくても見せないだろ」
続編>
照「『あわてる』とかつけたら
異常にネタが使いにくかった」
淡「このミッションは今回クリアしたし、
次は意外と早く出るかもね!」
続編希望!