現在リクエスト消化中です。リクエスト状況はこちら。
【咲-Saki-SS:照菫】照「Confidential...」【ヤンデレあまあま】
<あらすじ>
なし。リクエストがそのままあらすじです。
<登場人物>
宮永照,弘世菫
<症状>
・ヤンデレ(かわいい)
・あまあま
<その他>
以下のリクエストに対する作品です。
・菫は誰に対してもフラットな性格で、
それはチャンピオンの照に対してもで、
照はそんな菫が好きだった。
だけど菫は誰に対してもそうだから、
菫に関すること(好み、趣味など)を
大体の人間は知っていた。
照は自分だけが知っている菫がほしいと思い、
エースと部長は代々秘密の契を交わしている、
という嘘を菫に信じ込ませ、
自分だけの菫を手に入れようとする……
≪あまあま≫
--------------------------------------------------------
私、宮永照は弘世菫の事が好きだ。
菫は、誰に対しても態度を変える事が無くて。
魔物と揶揄されて色眼鏡で見られがちな私にも、
普通の人と同じように接してくれるから。
仮入部で周りの新入生を
ひとしきりハコにした私。
そんな私に周りが後ずさって距離を取る中、
平然と再戦を挑んできた菫。
その時に言った菫の言葉は、
今でも大切な思い出として、
私の心の中にしまわれている。
「これだけ強い奴が同級生というのはありがたい。
私がお前に勝つまで練習に付き合ってもらうぞ?」
ただ、そんな菫の鷹揚さは、
私にとって忍耐を要する欠点でもあった。
だって菫は、誰にでも。
同じように、分け隔てなく接してしまうから。
その無意識の優しさで、関わる人みんなを惹きつけていく。
そして、そんな人達が菫に少しでも近づこうとして、
いろんな事を質問する。
例えば好きな食べ物。趣味。休日の過ごし方。
果ては、好きな女性のタイプまで。
半ばプライベートに踏み込みすぎた質問。
それでも、菫は事もなげに答えてしまう。
「別に、知られて困るような内容じゃないしな」
そしてそんな情報は
菫のファンクラブ間で共有されて、
いまや知らない人を探す方が
難しいほどに周知されている。
その事実は、私の心の中に薄暗い炎を灯していた。
4月25日。菫の誕生日。
菫の欲しいものは、事前にリサーチされていて。
当日、同じプレゼントを大量に手渡され、
菫が顔をひきつらせた事件はまだ記憶に新しい。
ちなみに私は、そうなる事を予見して
別のプレゼントを渡したわけだけれども。
もしかしたら…と思って用意しておいた
同じプレゼントを、ひっそりと
カバンに眠らせたのは私だけの秘密だ。
そんなわけで私は、私だけが知っている
菫の秘密がほしかった。
だから、私は画策する。
ひどく醜くて、そしてささやかな計画を。
--------------------------------------------------------
「菫、ちょっと話したい事がある」
「なんだ?」
「部内の機密情報だから、
ここで話すのは避けたい」
「機密…?よくわからないが、
まあそういう事なら個人ルームで聞こうか」
部長に就任して、今まで以上に
人に取り囲まれるようになった菫。
私は皆から菫を引き剥がしながら、
自分の個人ルームへと連れ込んだ。
「で、話ってなんだ?」
「菫が部長に就任してから一月が経った。
そろそろ、この秘密について伝えるべきだと思う」
「白糸台の、部長とエース。
その二人の間だけに取り交わされる機密事項」
私はもっともらしく頷きながら、
菫にある書類を手渡した。
--------------------------------------------------------
『 白糸台高校麻雀部
部長とエースに関する規定 NO.1 ≪機密≫
部内における個人ランキング1位の部員
(以降エースと記述する)と、
部を取りまとめる部長が同一人物ではない場合、
以下の規定に従う事とする。
本規定の目的は、部長とエースという
部を牽引する存在が複数存在する事による
部内の混乱と内紛を避ける事にある。
(1)意見の共有を密に行うため、
部長とエースは週3回以上
二人だけのミーティングを実施する事
(2)部長とエースの親睦を深めるため
月1回休日に二人で交流する事
(3)部長とエースは互いに
唯一無二の存在である事を意識し、
恋人同様に接する事
※ただし該当者に恋人が存在する場合は
例外として本事項の実施を免除する
本機密事項はその世代の
部長とエースのみで共有し、
当事者以外には口外する事を
固く禁止する。
なお、本機密事項は初代白糸台高校麻雀部の
部長とエースが考案した機密であり、
部の顧問、監督にも伝えてはならない。
世代交代により部長およびエースが
交代する場合に限り
先代の該当者が次代の該当者に
秘密裏に伝える事。
』
--------------------------------------------------------
書類を読んだ菫は、わかりやすく
眉毛をハの字にしてため息をついた。
「馬鹿らしい…何だこれは」
「何だと言われても…
白糸台に古くから伝わる秘密」
「お前が適当にでっちあげたんじゃないのか?」
「嘘だと思うなら前部長に確認してみて」
私はしれっと嘘を吐いた。
言うまでもなく、こんな機密事項は存在しない。
菫が疑うのも当然の事だろう。
「いつまでも疑心暗鬼に陥るのは好きじゃない。
最初にさっさと確認させてもらうとしよう」
そう言って、前部長に電話を掛ける菫。
もちろん、菫の性格なら
そうするだろう事も予想していた。
プルルルーッ…プルルルーッ…
ガチャッ…
『ごきげんよう。弘世さん、何か御用かしら?』
「ご足労おかけして申し訳ありません。
部の規定について一点確認したい事がありまして」
『何でしょう?私にわかる事でしたらお答えします』
「部長とエースに関する規定という
機密事項はご存知ですか?」
『ええ。その件についてなら、
宮永さんから伝えられると考えて
引継ぎからは除外しましたけど』
「…部長は、この規定通りの事を
照と実行されていたのですか?」
『もちろんですとも。もっとも、
規定事項の3番目については
宮永さんと弘世さんが恋仲という事で
例外事項として除外しましたけれど』
「……!ありがとうございました。
用件のみで申し訳ありませんが
失礼させていただきます」
プツッ…
「……」
「ね?」
渋い顔で沈黙を守る菫。菫はさらに携帯電話を操作し、
別の人物に電話を掛ける。
もちろん、その行動も予想済みだ。
先先代の部長に電話した菫は、
なおも同様の回答をされた事で
この機密を事実だと認知した。
…意外にあっさり引き下がってくれてよかった。
私が工作できたのは、
今から遡って3代目までだったから。
後で困らないように
辿れる限り口裏を合わせてもらおう。
深い、深いため息をついた菫は、
私に対してじとっとした視線を向ける。
少しだけ、頬が上気しているように見えるのは
私の期待からくる勘違いだろうか。
「お前…何しれっと、私と恋仲だとか
嘘ついてるんだ!」
「1と2はまだ許せるけど、
3は普通に嫌だったから」
「逆に、菫だったら
はいそうですかって3も飲み込める?」
「…いや、言いたい事はわかるが、
何も部に実在する人物で答えなくても
よかったじゃないか」
「部外の人間とか言われても信憑性が低い」
「…というか、当事者以外誰も知らないんだったら、
そんなに律儀に守る必要なんてないだろう?」
「部の結束を高めるための最重要機密だから、
おいそれと反故にするのもためらわれた。
実際、これのおかげで私が
部長と円滑に意見交換できたのも事実」
「…わかったよ。1と2は実行する事にしよう」
「今回は3も必須」
「なんでだよ!?」
「正直、先代と先先代には私達の仲を疑われていた。
その時は、規定の関係上
部内で部長以外と親しくしすぎるのは
問題だと主張して逃げたけど」
「今、私達の世代になって、
それでもそっけなかったらあまりに不自然」
「先代が目を光らせている。
ここで不自然な行動を取ったら、
OGの部長とエースを全員敵に回す」
「……」
はぁっ……と、ため息がつきない菫。
そんなにも私と恋仲になるのが嫌なのかと、
少しだけ胸に痛みが走る。
「菫は…私とじゃ嫌?」
「お前が、というよりこんな得体の知れない規定に
いいように縛られるのが嫌なんだよ」
「なら、規定じゃなくて私に縛られたと思えばいい。
実際、私が嘘をついたから招いた事態だし」
「……それでも、駄目?」
「…グラマシーニュー○ークの
ケーキ1回驕りで手を打とう」
「断る」
「即答!?そこは飲んどけよ!?」
「要求に対して対価が見合わない。
うま○棒10本くらいで我慢してほしい」
「私の恋人になる権利は100円なのか!?」
「私の恋人になる権利と相殺して
さらに100円上乗せしてあげた。
むしろ泣いて喜ぶべきところでしょ。
大丈夫、うま○棒はおいしい」
「言いたい放題だなお前!?」
張りつめた空気が氷解して、
ようやくいつものやり取りが始まった。
よかった。どうやら菫は、
受け入れてくれたらしい。
ちなみに、一つだけ訂正しておきたい。
もし菫の恋人になる権利が売られているとしたら。
私は、何を犠牲にしてでも手に入れようとするだろう。
例えそれが、私の命と引き換えであったとしても。
でも、それを言うと逆に引かれるだろうから。
私の胸の内に留めておく事にしよう。
--------------------------------------------------------
『機密』を知った私達がまず始めにした事は、
過去に対する清算だった。
『な、なぁ、照…本当にやるのか?』
『大丈夫。抱きあって、覆いかぶさって
寸止めするだけでいい』
『そ、それでも…なぁ?』
『ほら、先代が来る。早くして』
人気のない裏庭。よく先代が散歩している裏庭。
私達はそれを利用して、証拠を見せる事にした。
先代連中に疑われているという状況は、
早めに払拭しておきたい。
…もっとも疑う先代なんて、
本当はどこにも存在しないのだけれど。
菫は意を決したように私を抱き締めて、
私の顔に自分の顔を重ねる。
お互いの吐息が顔にかかる距離。
菫の頬は朱に染まって、目はひどく潤んでいた。
『も、もういいんじゃないか?』
『駄目。今ちょうどこっちを凝視してる』
『ずっとくっついてるほうが不自然だろっ』
『ディープなら普通』
『でぃっ…!?』
私は菫の背中に腕を回して、
菫をぎゅっと抱き締めた。
菫の胸の鼓動が、早鐘のような鼓動が
私の胸に伝わってくる。
その鼓動が早すぎて。
私は、耐えきれなくなって目を閉じた。
『なっ…なんで目を閉じるんだ!』
『菫、胸の鼓動早すぎ。
こっちまで変な気持ちになる』
『し、仕方ないだろ!』
『…別に、したいならしてもいいよ』
『……お断りだ。状況に流されるなんて、
淑女のする事じゃない』
『…私は割と肉食系なので流される事にする』
『…ちょ、ちょっと待て!』
菫の制止も聞かないで、私は菫に口づける。
とはいえ、合意なしに唇を奪うのは
さすがにやりすぎだと思うから。
唇に極めて近い、口許辺りにキスを落とした。
『……このくらいなら、いいでしょ』
『…勝手にしろ』
それでも、菫の顔は真っ赤に染まって。
私を抱き締める腕に力が入る。
『ほら…まだ先代が見てる。菫からもして』
『……』
菫は無言のまま、私と同じように口づける。
唇はかすかに震えていた。
その唇の感触に、私も全身を震わせる。
ごめんね、菫。
実は、もう結構前から先代は居ないんだ。
ごちそうさま。
こうして、菫と私だけの秘密が、
新たに一つ加わった。
--------------------------------------------------------
それからも、私しか知らない菫の秘密は
どんどん、どんどん増えていった。
週に三回の秘密のミーティング。
私達は個人ルームに籠って
お茶を飲みながら語り合う。
「意見の共有か…じゃぁ、せっかくだし
魔物についての意見でも聞いてみようか」
「そういういつでもできる話はいい。
せっかく秘密の会合なんだから
秘密っぽい事を話すべき」
「…お前はいつもどんな事を話してたんだ?」
「部員の潜在能力とか悩みとかについて」
「私が言ったのと変わらないじゃないか」
「それは先代と私が『例外』だったから。
本筋は部長とエースの仲を深める事なんだから、
もっと深い内容を話すべき」
「…というわけで、
菫が隠している秘密を教えてほしい」
「別に隠しているような事は特にないが」
「じゃあ、隠してなくてもいいから
まだ公言してない事を話して。
で、私以外の人には秘密にして」
「無理難題を…あ、そうだ」
「前に、何気なくコーヒーが飲みたいって言ったら、
多方面から膨大な量のコーヒーをプレゼントされてな…
正直辟易している。
なんか高そうな奴ばっかりで気後れするし」
「消費しないと期限が来てしまうから
頑張って飲んでいるが…
今は、お茶の方がありがたいな」
「…それ、言ったら今度はお茶が大量入荷しそうだね」
「いや、もう言わないさ。
過ぎたるは猶及ばざるが如しだ」
また一つ、私だけが知っている秘密が増えた。
他の人達は、菫が迷惑がってるとも知らずに、
これからもコーヒーを贈り続けるのだろう。
私だけが、二人っきりの時にお茶を淹れてあげればいい。
「ほら、私の方は言ったぞ?
お前も何か恥ずかしい秘密を暴露しろ」
「菫のは別に恥ずかしくないじゃない」
「公言しにくいのは事実だろ、いいからほら」
「秘密…秘密か」
「あ、そうそう。この前菫としたキスは、
私のファーストキスだった」
菫が口に含んだお茶を噴き出した。
あわててハンカチで口許を拭いながら、
菫は必死に弁解する。
「あ、あ、あれは口許だろう!?
ノーカウントだ!!」
「私は気づいている。菫の唇が震えたせいで、
わずかに一瞬私の唇に触れた事を」
「ぐっ…!?ほ、本当にちょっとだけじゃないか!?
あんなのはキスの内に入らない!」
「む…人の唇を奪っておいて
ノーカウント宣言とは、
菫は淑女の風上にも置けない鬼畜生」
「いや、実際にあれはなしだろう!?
第一、原因を作ったのはお前じゃないか!」
「はぁ…菫は往生際が悪い」
私はわざとらしくため息をつくと
ソファーから立ち上がり菫の横に座り直した。
そのまま菫に覆いかぶさって菫に口づける。
今度は、しっかりと唇に。
「……っ…」
「…これでいい?
私のファーストキスを奪ったのは菫」
「お、お前な…これ…奪われたのは私の方だろう!」
「菫もファーストキスだったの?」
「ああ、そうだよ!悪いか!!」
顔を紅潮させながらも、菫は精一杯の虚勢を張る。
可愛い。このまま食べてしまいたい。
「というか、こんなに軽々しくキスするなよ!」
「菫がぐだぐだと弁解するのが悪い。
程度はどうあれファーストキスなんだから、
ちゃんと責任取ってほしかった」
「む…それは…す、すまない」
「わかればいい。じゃぁ責任取って」
「…今取っただろ」
「仕切り直し。菫からちゃんとして」
「はぁっ!?」
私は後ろに倒れ込みながら菫の腕をひく。
バランスを崩した菫が、今度は私に覆いかぶさる。
「…お、おい…照」
「本当は、ずっともやもやしてた」
「ちゃんと、菫から奪うまで離さない」
私は腕と、ついでに足を絡みつかせて。
菫をがっちりホールドした上で、耳元で囁いた。
菫は、いつものように頭から湯気を立てながら、
やがて観念したように、私に顔を近づけた。
--------------------------------------------------------
逆説的ではあるけれど。
私は、菫が私を愛してくれている事を確信した。
菫は意外と人にはあまい。
でも、越えられてはいけない一線は厳密に守る人間だ。
その菫が、なし崩しに唇を許した。
それは、菫が私の事を好きだという証拠に他ならない。
なら、もう私が手を緩める必要はないだろう。
私は、菫の下駄箱、机、ロッカーに至るまで、
自作のステッカーを貼りつけた。
次の日、下駄箱から上履きを取り出そうとした菫は、
一瞬その身を硬直させる。
その後…ぎ、ぎ、ぎ、と
ぎこちない動作で私の方に顔を向けた。
「……おい、照」
「…これは…何の真似だ?」
「見ての通りだけど」
-----------------------------
『菫に餌を与えないでください』
BY 宮永照
-----------------------------
「私はいつからお前の
ペットになったんだ!?」
「菫、プレゼントのもらいすぎで
困ってたから」
「馬鹿なのか!?こんなの見られたら
学校中にどんな噂が広がるか
わかったものじゃない!!」
「今更過ぎでしょ」
「…な、なんだと」
「先代にあのシーンを見られた時点で、
もはや私達の関係は周知の事実」
「どうせもう、私達は
卒業までは公認カップル」
「だったら、いっそ開き直って
快適に過ごした方がいい」
いつも通りぐっと言葉に詰まって
そのまま押し黙る菫。
でも、菫はステッカーを
剥がそうとはしなかった。
「ああもう、行くぞ!」
「いいの?剥がさなくて」
「剥がしたら剥がしたで
いらん憶測を呼ぶだろうが!
もうとっくに手遅れだ!」
そう言って一人ずんずんと
進んでいく菫。
私は一人ほくそ笑みながら、
足早にその後ろについていく。
この日を境に、菫に対する
プレゼントは激減した。
--------------------------------------------------------
こうして、私達は着々と秘密を増やしていった。
やがて、秘密の会合では、
愛を囁いて口づけを交わすのが普通になり。
週三回の会合は、いつしか毎日開催に
スケジュールが変更された。
同時に私は、着々と菫の外堀を埋めていく。
普段から、できる限り菫の傍らに寄り添うようにした。
虚偽の噂がまことしやかに流布するように促した。
月一回のデートでも、菫の指に私の指を絡めながら、
あえて人が多い雑踏を優先的に通るようにした。
そして…メディアを含む対外的な画面でも、
菫の恋人である事をにおわせる発言を繰り返した。
これらの地道な活動が、
徐々に実を結んでいって。
証拠こそないから、不純同性交友で
処罰されたりはしなかったけど。
菫と私は、もう肌を重ね合わせるような
濃厚な関係であるというのが、
世間の一般的な見解となっていた。
実際には、まだそういった関係には
至ってはいないのだけれど。
それは、菫と私だけが知っていればいい。
これならそろそろ、
最終段階に移ってもいいだろう。
--------------------------------------------------------
その日、私はすでに私の個人ルームで
私を待っていた菫に対し、一枚の紙を手渡した。
「…なんだこれは」
「先代から渡された。規定は2枚あったらしい」
「規定3に関する特記事項だったから
渡すのを忘れてたと言っていた」
「……確かに、1枚目にあった
『NO.1』の記載は気にはなっていたが…」
菫は渋い顔をしながら受け取ると、
文面に目を通し始めた。
--------------------------------------------------------
『 白糸台高校麻雀部
部長とエースに関する規定 NO.2
<(3)を実行する当事者に対する特記事項>
麻雀においては、想いの強さが
雀力に大きな影響を与える事が立証されている。
これは、インターハイにおいて
最高年次である3年生の平均聴牌スピードが
大幅に向上する点からも明らかである。
よって、規定事項(3)を実行可能な該当者は
可能な限り両者の間で契りを結ぶ事が望ましい。
契りを結んだ上で、互いをインターハイに
連れていく事を誓う事で
両者の雀力を大幅に強化する事が可能となる。
−以上− 』
--------------------------------------------------------
プリントを握る菫の手に力がこもり、
やがてぶるぶると全身が震え出した。
「なっ…なっ…なっ……!
なんだこれは!?」
「いや、私に言われても。
私も書いてある以上の事は知らない」
「ち、契りだと!?なんで麻雀部の規定ごときに
そこまで指図されないといけないんだ!?
余計なお世話だ!」
耳まで真っ赤に染めながら怒る菫。
いや、怒っているというよりは、
恥じらっているという方が正しいかもしれない。
「菫、落ち着いて。
2枚目は別に規則じゃない」
「い、いや…だが…
踏み込み過ぎな事には違いないだろう」
「菫。多分、これは
そういう風にとらえない方がいい」
「…どういう事だ」
「多分、これは純粋な善意から書かれている」
「部長とエース。何もしなくても、
普通に深い関係になる可能性が高い」
「でも、だからと言って
最後の一線を越えるには相当の勇気がいる」
「これは、その後押しをできたら…
そのくらいの思いで書かれていると思う」
「その気持ち、私にはなんとなくわかる」
私は、菫の顔をじっと見つめた。
まあ、私が書いたのだから
気持ちがわかって当然なのだけれど。
私に見つめられた菫は、
ばつが悪そうに目をそらしながら、
それでもきっぱりと言い切った。
「それでも、私はごめんだ」
「私は、最後の一線くらい、自分の意思で選びたい」
「…そう」
一気に気持ちが沈み込む。
菫は、受け入れてくれなかった。
最後の最後で私を拒んだ。
思わず悲しみがこみあげてきて、
せりあがってきた涙を必死に押しとどめる。
でも、次に菫が放った一言は、
私の想像とはずいぶん違うものだった。
「…勘違いするな。私は、
お前とそういう関係になる事自体を
拒否しているんじゃない」
「え?」
「もうわかっていると思うが…
こう見えて、私はそれなりに夢見がちなんだ」
「知ってる」
「そんな私は、この手の、大切な想いを
手段として用いるようなやり方は嫌いなんだ」
「…うん」
「だから、照。私は順番を逆にしたい」
「もし…もし、インターハイで優勝できたら…」
「そ、その時こそ…お前を、私にくれないか?」
「断る」
「即答!?なんでだよ!?
断る流れじゃなかっただろ!?」
「言ったでしょ。私はそれなりに肉食系」
「なんで受け入れOKとわかったのに、
来年のインターハイまで待たないといけないの?」
「いやだから、シチュエーションってものがあるだろ!?
ファーストキスがあんなだったんだから
初体験くらい夢を見させてくれよ!」
「はぁ…菫は夢見すぎ。
シャープシューターの名を返上して
魔法少女に転職するべき」
「そもそもシューターを名乗った覚えはない!!」
菫が私に食ってかかる。
私はそっぽを向きながら適当にいなす。
そう、今はこれでいい。
菫には、最終的には私と結ばれる意思がある。
今は、それがわかっただけでいい。
それだけでも目頭は緩んで、
視界がぼやけ始めている。
それは、私だけの秘密でいい。
「とりあえず、インターハイは先が長すぎだから、
次の秋季大会で優勝したらにしよう」
「菫が部長になって初めての大会だから、
思い出としてもちょうどいいでしょ?」
私はあくまで背を向けたまま、
そっけないふりを保ちつつそう告げる。
菫は頬を赤らめながら頷いた。
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
『秋季選抜全国大会もついに最終局面!
現在は、インターハイ覇者の白糸台高校が
一位を独走しています!』
『白糸台高校は先鋒が調子を掴む事ができず
序盤は最下位からスタートしましたが、
次鋒、中堅と進むにつれて、
じわじわと追い上げてきました!』
『そして、副将の部長である弘世選手が
トップを徹底的に狙い打ってついに逆転!』
『トップでバトンを受け取った宮永選手は、
他者を圧倒する闘牌で二位以下の追従を許しません!』
『しかしながら、まだどの学校も
宮永選手に役満を直撃する事で、
逆転する事は可能です!』
『このまま、白糸台が逃げ切るのか!
それとも、他校がまさかの大逆転劇を見せるのか!?』
『泣いても笑っても、これがオーラス!
最終局のサイコロが今回されました!!』
私は配牌を確認し、自身の勝利を確信した。
配牌一向聴。しかも特急券の中が2枚ある。
「ポン」
これで聴牌。中のみのゴミ手だけど、
頭を好きに変えられる。
私は北の単騎に待ちを変えた。
「…私、これで優勝したら…
菫に初めてをもらってもらうんだ」
なんて、比較的大きな声で呟きながら。
--------------------------------------------------------
『…私、これで優勝したら、
菫に初めてをもらってもらうんだ』
『なっ、なっ、なっ…なんとー!!
宮永選手、絶好の待ちに変えた上で、
満を持して爆弾発言を投下したー!!』
『やっぱりあの二人、付き合ってたんだ…!』
『しかし、ちまたで流れている情報によると、
すでに二人は濃厚な関係であるとの
見解が一般的でしたが!
どう思いますか小鍛治プロ!羨ましいよね?』
『羨ましいよ!!って、こんな話題振らないでよ!
って違うよ!?まだ対局終わってないんだから
麻雀に専念しようよ!!』
『えー?いやだってこれ、
もう絶対宮永選手が上がるじゃん。
おあつらえ向きに他家の北が浮いてるし』
『ロン、中のみ』
『ほら終わった!宮永選手
ご結婚おめでとうございます!!』
『結婚までは言ってないよ!?』
『えー、放送席、放送席。
こちら通りすがりのキャットチェインバー。
控室をダッシュで逃走しようとしていた
シャープシューターを捕まえたぜぃ』
『さっすが咏さん、なんでいるの?
まあいっか!そっちにカメラ回しますから
やっちゃってください!』
『おっけー。というわけでこちら、
見事コークスクリューちゃんの初めてをゲットした
シャープシューターちゃんでーす。
はいどアップー。今の気持ちを一言どうぞー』
『黙秘権を行使する!!』
『あっちゃー、やっちまったねぃシャープシューター。
まだ≪初めては初めてでも膝枕の事だ!≫とか
ごまかせば何とかなったのにさぁ』
『……!?』
『≪黙秘≫なんてしちゃったらさぁ…
逆に、言い逃れできないぜ?』
『菫…責任取ってね?』
『あ、ごっめーん。あんま関係なかったねぃ。
どうせうまく切り抜けても
コークスクリューちゃんが全開だったわー』
『お前ら全員大嫌いだ!!』
--------------------------------------------------------
こうして、世間を騒がせた私の爆弾発言は、
私の『結婚を前提とした清い交際』発言で
何とか処罰される事なく収束した。
もっともそれは、期せずして私達の結婚を
決定づけてしまったのだけれど、
こればかりは仕方がないだろう。
そして今、私達はテレビ局の
『ご迷惑をおかけした』との謝罪と共に、
高級ホテルのペアチケットを
プレゼントされて今に至る。
「菫…ごちそうさま」
「だから、そういう事を言うな!」
全身を羞恥に染めながら、
シーツで顔を覆った菫が怒鳴る。
藍色の長い髪と、透き通るような肌。
そして真っ白なシーツが、
鮮やかなコントラストを生んでいる。
「そうそう、菫には一つ
話しておかないといけない事がある」
「なんだ?」
「部長とエースに関する規定だけど…
あれ、私の捏造だから」
「…はぁっ!?」
菫が驚いた声をあげて、
シーツから顔を覗かせた。
「いやだから、あれは私の捏造」
「それはそれでおかしいだろ!?
あの後、私は10世代前くらいまで
遡って確認したぞ!?」
「先手を打って遡れる限りは遡った。
私の恋のために協力してほしいって言ったら、
皆面白がって快く話を聞いてくれた」
「お前という奴は…!!」
菫は両手で頭を抱えながら俯いた。
まあ、気持ちはわかる。
「…だが、なんでそれを今告白する?
別に、それならそれで隠しておけばよかっただろう」
「…もう、必要ないから」
「今更何が起きようと、
菫は私から逃げられないし」
「菫だって、よくわからない規定のせいで
私達が結ばれたって思うより、
私の策略にはめられたっていう方が
すっきりするでしょ?」
「いや、今ものすごいモヤモヤしてるんだが」
「…だったら、そのモヤモヤ、
私を使って解消してもらって構わない」
「私は、菫のためならなんだってできるから」
私は菫の前に向き直って、
わざとらしくシーツをはだけた。
菫はゴクリと息をのみ、少しだけ後ずさる。
「なんでそこで後ずさるの?
不満をぶつけていいって言ってるのに」
「う、うるさい!!わ、私はお前みたいに
肉食系じゃないんだよ!」
なんて、顔を半分シーツで隠して恥じらう菫。
「……」
ああ、どうやらまた、
私達だけの秘密が増えそうだ。
今日新たに加わった二人の秘密。
それは…
菫は実は、誘い受け。
「いただきます」
「だからそういう事言うなってば!!」
(完)
なし。リクエストがそのままあらすじです。
<登場人物>
宮永照,弘世菫
<症状>
・ヤンデレ(かわいい)
・あまあま
<その他>
以下のリクエストに対する作品です。
・菫は誰に対してもフラットな性格で、
それはチャンピオンの照に対してもで、
照はそんな菫が好きだった。
だけど菫は誰に対してもそうだから、
菫に関すること(好み、趣味など)を
大体の人間は知っていた。
照は自分だけが知っている菫がほしいと思い、
エースと部長は代々秘密の契を交わしている、
という嘘を菫に信じ込ませ、
自分だけの菫を手に入れようとする……
≪あまあま≫
--------------------------------------------------------
私、宮永照は弘世菫の事が好きだ。
菫は、誰に対しても態度を変える事が無くて。
魔物と揶揄されて色眼鏡で見られがちな私にも、
普通の人と同じように接してくれるから。
仮入部で周りの新入生を
ひとしきりハコにした私。
そんな私に周りが後ずさって距離を取る中、
平然と再戦を挑んできた菫。
その時に言った菫の言葉は、
今でも大切な思い出として、
私の心の中にしまわれている。
「これだけ強い奴が同級生というのはありがたい。
私がお前に勝つまで練習に付き合ってもらうぞ?」
ただ、そんな菫の鷹揚さは、
私にとって忍耐を要する欠点でもあった。
だって菫は、誰にでも。
同じように、分け隔てなく接してしまうから。
その無意識の優しさで、関わる人みんなを惹きつけていく。
そして、そんな人達が菫に少しでも近づこうとして、
いろんな事を質問する。
例えば好きな食べ物。趣味。休日の過ごし方。
果ては、好きな女性のタイプまで。
半ばプライベートに踏み込みすぎた質問。
それでも、菫は事もなげに答えてしまう。
「別に、知られて困るような内容じゃないしな」
そしてそんな情報は
菫のファンクラブ間で共有されて、
いまや知らない人を探す方が
難しいほどに周知されている。
その事実は、私の心の中に薄暗い炎を灯していた。
4月25日。菫の誕生日。
菫の欲しいものは、事前にリサーチされていて。
当日、同じプレゼントを大量に手渡され、
菫が顔をひきつらせた事件はまだ記憶に新しい。
ちなみに私は、そうなる事を予見して
別のプレゼントを渡したわけだけれども。
もしかしたら…と思って用意しておいた
同じプレゼントを、ひっそりと
カバンに眠らせたのは私だけの秘密だ。
そんなわけで私は、私だけが知っている
菫の秘密がほしかった。
だから、私は画策する。
ひどく醜くて、そしてささやかな計画を。
--------------------------------------------------------
「菫、ちょっと話したい事がある」
「なんだ?」
「部内の機密情報だから、
ここで話すのは避けたい」
「機密…?よくわからないが、
まあそういう事なら個人ルームで聞こうか」
部長に就任して、今まで以上に
人に取り囲まれるようになった菫。
私は皆から菫を引き剥がしながら、
自分の個人ルームへと連れ込んだ。
「で、話ってなんだ?」
「菫が部長に就任してから一月が経った。
そろそろ、この秘密について伝えるべきだと思う」
「白糸台の、部長とエース。
その二人の間だけに取り交わされる機密事項」
私はもっともらしく頷きながら、
菫にある書類を手渡した。
--------------------------------------------------------
『 白糸台高校麻雀部
部長とエースに関する規定 NO.1 ≪機密≫
部内における個人ランキング1位の部員
(以降エースと記述する)と、
部を取りまとめる部長が同一人物ではない場合、
以下の規定に従う事とする。
本規定の目的は、部長とエースという
部を牽引する存在が複数存在する事による
部内の混乱と内紛を避ける事にある。
(1)意見の共有を密に行うため、
部長とエースは週3回以上
二人だけのミーティングを実施する事
(2)部長とエースの親睦を深めるため
月1回休日に二人で交流する事
(3)部長とエースは互いに
唯一無二の存在である事を意識し、
恋人同様に接する事
※ただし該当者に恋人が存在する場合は
例外として本事項の実施を免除する
本機密事項はその世代の
部長とエースのみで共有し、
当事者以外には口外する事を
固く禁止する。
なお、本機密事項は初代白糸台高校麻雀部の
部長とエースが考案した機密であり、
部の顧問、監督にも伝えてはならない。
世代交代により部長およびエースが
交代する場合に限り
先代の該当者が次代の該当者に
秘密裏に伝える事。
』
--------------------------------------------------------
書類を読んだ菫は、わかりやすく
眉毛をハの字にしてため息をついた。
「馬鹿らしい…何だこれは」
「何だと言われても…
白糸台に古くから伝わる秘密」
「お前が適当にでっちあげたんじゃないのか?」
「嘘だと思うなら前部長に確認してみて」
私はしれっと嘘を吐いた。
言うまでもなく、こんな機密事項は存在しない。
菫が疑うのも当然の事だろう。
「いつまでも疑心暗鬼に陥るのは好きじゃない。
最初にさっさと確認させてもらうとしよう」
そう言って、前部長に電話を掛ける菫。
もちろん、菫の性格なら
そうするだろう事も予想していた。
プルルルーッ…プルルルーッ…
ガチャッ…
『ごきげんよう。弘世さん、何か御用かしら?』
「ご足労おかけして申し訳ありません。
部の規定について一点確認したい事がありまして」
『何でしょう?私にわかる事でしたらお答えします』
「部長とエースに関する規定という
機密事項はご存知ですか?」
『ええ。その件についてなら、
宮永さんから伝えられると考えて
引継ぎからは除外しましたけど』
「…部長は、この規定通りの事を
照と実行されていたのですか?」
『もちろんですとも。もっとも、
規定事項の3番目については
宮永さんと弘世さんが恋仲という事で
例外事項として除外しましたけれど』
「……!ありがとうございました。
用件のみで申し訳ありませんが
失礼させていただきます」
プツッ…
「……」
「ね?」
渋い顔で沈黙を守る菫。菫はさらに携帯電話を操作し、
別の人物に電話を掛ける。
もちろん、その行動も予想済みだ。
先先代の部長に電話した菫は、
なおも同様の回答をされた事で
この機密を事実だと認知した。
…意外にあっさり引き下がってくれてよかった。
私が工作できたのは、
今から遡って3代目までだったから。
後で困らないように
辿れる限り口裏を合わせてもらおう。
深い、深いため息をついた菫は、
私に対してじとっとした視線を向ける。
少しだけ、頬が上気しているように見えるのは
私の期待からくる勘違いだろうか。
「お前…何しれっと、私と恋仲だとか
嘘ついてるんだ!」
「1と2はまだ許せるけど、
3は普通に嫌だったから」
「逆に、菫だったら
はいそうですかって3も飲み込める?」
「…いや、言いたい事はわかるが、
何も部に実在する人物で答えなくても
よかったじゃないか」
「部外の人間とか言われても信憑性が低い」
「…というか、当事者以外誰も知らないんだったら、
そんなに律儀に守る必要なんてないだろう?」
「部の結束を高めるための最重要機密だから、
おいそれと反故にするのもためらわれた。
実際、これのおかげで私が
部長と円滑に意見交換できたのも事実」
「…わかったよ。1と2は実行する事にしよう」
「今回は3も必須」
「なんでだよ!?」
「正直、先代と先先代には私達の仲を疑われていた。
その時は、規定の関係上
部内で部長以外と親しくしすぎるのは
問題だと主張して逃げたけど」
「今、私達の世代になって、
それでもそっけなかったらあまりに不自然」
「先代が目を光らせている。
ここで不自然な行動を取ったら、
OGの部長とエースを全員敵に回す」
「……」
はぁっ……と、ため息がつきない菫。
そんなにも私と恋仲になるのが嫌なのかと、
少しだけ胸に痛みが走る。
「菫は…私とじゃ嫌?」
「お前が、というよりこんな得体の知れない規定に
いいように縛られるのが嫌なんだよ」
「なら、規定じゃなくて私に縛られたと思えばいい。
実際、私が嘘をついたから招いた事態だし」
「……それでも、駄目?」
「…グラマシーニュー○ークの
ケーキ1回驕りで手を打とう」
「断る」
「即答!?そこは飲んどけよ!?」
「要求に対して対価が見合わない。
うま○棒10本くらいで我慢してほしい」
「私の恋人になる権利は100円なのか!?」
「私の恋人になる権利と相殺して
さらに100円上乗せしてあげた。
むしろ泣いて喜ぶべきところでしょ。
大丈夫、うま○棒はおいしい」
「言いたい放題だなお前!?」
張りつめた空気が氷解して、
ようやくいつものやり取りが始まった。
よかった。どうやら菫は、
受け入れてくれたらしい。
ちなみに、一つだけ訂正しておきたい。
もし菫の恋人になる権利が売られているとしたら。
私は、何を犠牲にしてでも手に入れようとするだろう。
例えそれが、私の命と引き換えであったとしても。
でも、それを言うと逆に引かれるだろうから。
私の胸の内に留めておく事にしよう。
--------------------------------------------------------
『機密』を知った私達がまず始めにした事は、
過去に対する清算だった。
『な、なぁ、照…本当にやるのか?』
『大丈夫。抱きあって、覆いかぶさって
寸止めするだけでいい』
『そ、それでも…なぁ?』
『ほら、先代が来る。早くして』
人気のない裏庭。よく先代が散歩している裏庭。
私達はそれを利用して、証拠を見せる事にした。
先代連中に疑われているという状況は、
早めに払拭しておきたい。
…もっとも疑う先代なんて、
本当はどこにも存在しないのだけれど。
菫は意を決したように私を抱き締めて、
私の顔に自分の顔を重ねる。
お互いの吐息が顔にかかる距離。
菫の頬は朱に染まって、目はひどく潤んでいた。
『も、もういいんじゃないか?』
『駄目。今ちょうどこっちを凝視してる』
『ずっとくっついてるほうが不自然だろっ』
『ディープなら普通』
『でぃっ…!?』
私は菫の背中に腕を回して、
菫をぎゅっと抱き締めた。
菫の胸の鼓動が、早鐘のような鼓動が
私の胸に伝わってくる。
その鼓動が早すぎて。
私は、耐えきれなくなって目を閉じた。
『なっ…なんで目を閉じるんだ!』
『菫、胸の鼓動早すぎ。
こっちまで変な気持ちになる』
『し、仕方ないだろ!』
『…別に、したいならしてもいいよ』
『……お断りだ。状況に流されるなんて、
淑女のする事じゃない』
『…私は割と肉食系なので流される事にする』
『…ちょ、ちょっと待て!』
菫の制止も聞かないで、私は菫に口づける。
とはいえ、合意なしに唇を奪うのは
さすがにやりすぎだと思うから。
唇に極めて近い、口許辺りにキスを落とした。
『……このくらいなら、いいでしょ』
『…勝手にしろ』
それでも、菫の顔は真っ赤に染まって。
私を抱き締める腕に力が入る。
『ほら…まだ先代が見てる。菫からもして』
『……』
菫は無言のまま、私と同じように口づける。
唇はかすかに震えていた。
その唇の感触に、私も全身を震わせる。
ごめんね、菫。
実は、もう結構前から先代は居ないんだ。
ごちそうさま。
こうして、菫と私だけの秘密が、
新たに一つ加わった。
--------------------------------------------------------
それからも、私しか知らない菫の秘密は
どんどん、どんどん増えていった。
週に三回の秘密のミーティング。
私達は個人ルームに籠って
お茶を飲みながら語り合う。
「意見の共有か…じゃぁ、せっかくだし
魔物についての意見でも聞いてみようか」
「そういういつでもできる話はいい。
せっかく秘密の会合なんだから
秘密っぽい事を話すべき」
「…お前はいつもどんな事を話してたんだ?」
「部員の潜在能力とか悩みとかについて」
「私が言ったのと変わらないじゃないか」
「それは先代と私が『例外』だったから。
本筋は部長とエースの仲を深める事なんだから、
もっと深い内容を話すべき」
「…というわけで、
菫が隠している秘密を教えてほしい」
「別に隠しているような事は特にないが」
「じゃあ、隠してなくてもいいから
まだ公言してない事を話して。
で、私以外の人には秘密にして」
「無理難題を…あ、そうだ」
「前に、何気なくコーヒーが飲みたいって言ったら、
多方面から膨大な量のコーヒーをプレゼントされてな…
正直辟易している。
なんか高そうな奴ばっかりで気後れするし」
「消費しないと期限が来てしまうから
頑張って飲んでいるが…
今は、お茶の方がありがたいな」
「…それ、言ったら今度はお茶が大量入荷しそうだね」
「いや、もう言わないさ。
過ぎたるは猶及ばざるが如しだ」
また一つ、私だけが知っている秘密が増えた。
他の人達は、菫が迷惑がってるとも知らずに、
これからもコーヒーを贈り続けるのだろう。
私だけが、二人っきりの時にお茶を淹れてあげればいい。
「ほら、私の方は言ったぞ?
お前も何か恥ずかしい秘密を暴露しろ」
「菫のは別に恥ずかしくないじゃない」
「公言しにくいのは事実だろ、いいからほら」
「秘密…秘密か」
「あ、そうそう。この前菫としたキスは、
私のファーストキスだった」
菫が口に含んだお茶を噴き出した。
あわててハンカチで口許を拭いながら、
菫は必死に弁解する。
「あ、あ、あれは口許だろう!?
ノーカウントだ!!」
「私は気づいている。菫の唇が震えたせいで、
わずかに一瞬私の唇に触れた事を」
「ぐっ…!?ほ、本当にちょっとだけじゃないか!?
あんなのはキスの内に入らない!」
「む…人の唇を奪っておいて
ノーカウント宣言とは、
菫は淑女の風上にも置けない鬼畜生」
「いや、実際にあれはなしだろう!?
第一、原因を作ったのはお前じゃないか!」
「はぁ…菫は往生際が悪い」
私はわざとらしくため息をつくと
ソファーから立ち上がり菫の横に座り直した。
そのまま菫に覆いかぶさって菫に口づける。
今度は、しっかりと唇に。
「……っ…」
「…これでいい?
私のファーストキスを奪ったのは菫」
「お、お前な…これ…奪われたのは私の方だろう!」
「菫もファーストキスだったの?」
「ああ、そうだよ!悪いか!!」
顔を紅潮させながらも、菫は精一杯の虚勢を張る。
可愛い。このまま食べてしまいたい。
「というか、こんなに軽々しくキスするなよ!」
「菫がぐだぐだと弁解するのが悪い。
程度はどうあれファーストキスなんだから、
ちゃんと責任取ってほしかった」
「む…それは…す、すまない」
「わかればいい。じゃぁ責任取って」
「…今取っただろ」
「仕切り直し。菫からちゃんとして」
「はぁっ!?」
私は後ろに倒れ込みながら菫の腕をひく。
バランスを崩した菫が、今度は私に覆いかぶさる。
「…お、おい…照」
「本当は、ずっともやもやしてた」
「ちゃんと、菫から奪うまで離さない」
私は腕と、ついでに足を絡みつかせて。
菫をがっちりホールドした上で、耳元で囁いた。
菫は、いつものように頭から湯気を立てながら、
やがて観念したように、私に顔を近づけた。
--------------------------------------------------------
逆説的ではあるけれど。
私は、菫が私を愛してくれている事を確信した。
菫は意外と人にはあまい。
でも、越えられてはいけない一線は厳密に守る人間だ。
その菫が、なし崩しに唇を許した。
それは、菫が私の事を好きだという証拠に他ならない。
なら、もう私が手を緩める必要はないだろう。
私は、菫の下駄箱、机、ロッカーに至るまで、
自作のステッカーを貼りつけた。
次の日、下駄箱から上履きを取り出そうとした菫は、
一瞬その身を硬直させる。
その後…ぎ、ぎ、ぎ、と
ぎこちない動作で私の方に顔を向けた。
「……おい、照」
「…これは…何の真似だ?」
「見ての通りだけど」
-----------------------------
『菫に餌を与えないでください』
BY 宮永照
-----------------------------
「私はいつからお前の
ペットになったんだ!?」
「菫、プレゼントのもらいすぎで
困ってたから」
「馬鹿なのか!?こんなの見られたら
学校中にどんな噂が広がるか
わかったものじゃない!!」
「今更過ぎでしょ」
「…な、なんだと」
「先代にあのシーンを見られた時点で、
もはや私達の関係は周知の事実」
「どうせもう、私達は
卒業までは公認カップル」
「だったら、いっそ開き直って
快適に過ごした方がいい」
いつも通りぐっと言葉に詰まって
そのまま押し黙る菫。
でも、菫はステッカーを
剥がそうとはしなかった。
「ああもう、行くぞ!」
「いいの?剥がさなくて」
「剥がしたら剥がしたで
いらん憶測を呼ぶだろうが!
もうとっくに手遅れだ!」
そう言って一人ずんずんと
進んでいく菫。
私は一人ほくそ笑みながら、
足早にその後ろについていく。
この日を境に、菫に対する
プレゼントは激減した。
--------------------------------------------------------
こうして、私達は着々と秘密を増やしていった。
やがて、秘密の会合では、
愛を囁いて口づけを交わすのが普通になり。
週三回の会合は、いつしか毎日開催に
スケジュールが変更された。
同時に私は、着々と菫の外堀を埋めていく。
普段から、できる限り菫の傍らに寄り添うようにした。
虚偽の噂がまことしやかに流布するように促した。
月一回のデートでも、菫の指に私の指を絡めながら、
あえて人が多い雑踏を優先的に通るようにした。
そして…メディアを含む対外的な画面でも、
菫の恋人である事をにおわせる発言を繰り返した。
これらの地道な活動が、
徐々に実を結んでいって。
証拠こそないから、不純同性交友で
処罰されたりはしなかったけど。
菫と私は、もう肌を重ね合わせるような
濃厚な関係であるというのが、
世間の一般的な見解となっていた。
実際には、まだそういった関係には
至ってはいないのだけれど。
それは、菫と私だけが知っていればいい。
これならそろそろ、
最終段階に移ってもいいだろう。
--------------------------------------------------------
その日、私はすでに私の個人ルームで
私を待っていた菫に対し、一枚の紙を手渡した。
「…なんだこれは」
「先代から渡された。規定は2枚あったらしい」
「規定3に関する特記事項だったから
渡すのを忘れてたと言っていた」
「……確かに、1枚目にあった
『NO.1』の記載は気にはなっていたが…」
菫は渋い顔をしながら受け取ると、
文面に目を通し始めた。
--------------------------------------------------------
『 白糸台高校麻雀部
部長とエースに関する規定 NO.2
<(3)を実行する当事者に対する特記事項>
麻雀においては、想いの強さが
雀力に大きな影響を与える事が立証されている。
これは、インターハイにおいて
最高年次である3年生の平均聴牌スピードが
大幅に向上する点からも明らかである。
よって、規定事項(3)を実行可能な該当者は
可能な限り両者の間で契りを結ぶ事が望ましい。
契りを結んだ上で、互いをインターハイに
連れていく事を誓う事で
両者の雀力を大幅に強化する事が可能となる。
−以上− 』
--------------------------------------------------------
プリントを握る菫の手に力がこもり、
やがてぶるぶると全身が震え出した。
「なっ…なっ…なっ……!
なんだこれは!?」
「いや、私に言われても。
私も書いてある以上の事は知らない」
「ち、契りだと!?なんで麻雀部の規定ごときに
そこまで指図されないといけないんだ!?
余計なお世話だ!」
耳まで真っ赤に染めながら怒る菫。
いや、怒っているというよりは、
恥じらっているという方が正しいかもしれない。
「菫、落ち着いて。
2枚目は別に規則じゃない」
「い、いや…だが…
踏み込み過ぎな事には違いないだろう」
「菫。多分、これは
そういう風にとらえない方がいい」
「…どういう事だ」
「多分、これは純粋な善意から書かれている」
「部長とエース。何もしなくても、
普通に深い関係になる可能性が高い」
「でも、だからと言って
最後の一線を越えるには相当の勇気がいる」
「これは、その後押しをできたら…
そのくらいの思いで書かれていると思う」
「その気持ち、私にはなんとなくわかる」
私は、菫の顔をじっと見つめた。
まあ、私が書いたのだから
気持ちがわかって当然なのだけれど。
私に見つめられた菫は、
ばつが悪そうに目をそらしながら、
それでもきっぱりと言い切った。
「それでも、私はごめんだ」
「私は、最後の一線くらい、自分の意思で選びたい」
「…そう」
一気に気持ちが沈み込む。
菫は、受け入れてくれなかった。
最後の最後で私を拒んだ。
思わず悲しみがこみあげてきて、
せりあがってきた涙を必死に押しとどめる。
でも、次に菫が放った一言は、
私の想像とはずいぶん違うものだった。
「…勘違いするな。私は、
お前とそういう関係になる事自体を
拒否しているんじゃない」
「え?」
「もうわかっていると思うが…
こう見えて、私はそれなりに夢見がちなんだ」
「知ってる」
「そんな私は、この手の、大切な想いを
手段として用いるようなやり方は嫌いなんだ」
「…うん」
「だから、照。私は順番を逆にしたい」
「もし…もし、インターハイで優勝できたら…」
「そ、その時こそ…お前を、私にくれないか?」
「断る」
「即答!?なんでだよ!?
断る流れじゃなかっただろ!?」
「言ったでしょ。私はそれなりに肉食系」
「なんで受け入れOKとわかったのに、
来年のインターハイまで待たないといけないの?」
「いやだから、シチュエーションってものがあるだろ!?
ファーストキスがあんなだったんだから
初体験くらい夢を見させてくれよ!」
「はぁ…菫は夢見すぎ。
シャープシューターの名を返上して
魔法少女に転職するべき」
「そもそもシューターを名乗った覚えはない!!」
菫が私に食ってかかる。
私はそっぽを向きながら適当にいなす。
そう、今はこれでいい。
菫には、最終的には私と結ばれる意思がある。
今は、それがわかっただけでいい。
それだけでも目頭は緩んで、
視界がぼやけ始めている。
それは、私だけの秘密でいい。
「とりあえず、インターハイは先が長すぎだから、
次の秋季大会で優勝したらにしよう」
「菫が部長になって初めての大会だから、
思い出としてもちょうどいいでしょ?」
私はあくまで背を向けたまま、
そっけないふりを保ちつつそう告げる。
菫は頬を赤らめながら頷いた。
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
『秋季選抜全国大会もついに最終局面!
現在は、インターハイ覇者の白糸台高校が
一位を独走しています!』
『白糸台高校は先鋒が調子を掴む事ができず
序盤は最下位からスタートしましたが、
次鋒、中堅と進むにつれて、
じわじわと追い上げてきました!』
『そして、副将の部長である弘世選手が
トップを徹底的に狙い打ってついに逆転!』
『トップでバトンを受け取った宮永選手は、
他者を圧倒する闘牌で二位以下の追従を許しません!』
『しかしながら、まだどの学校も
宮永選手に役満を直撃する事で、
逆転する事は可能です!』
『このまま、白糸台が逃げ切るのか!
それとも、他校がまさかの大逆転劇を見せるのか!?』
『泣いても笑っても、これがオーラス!
最終局のサイコロが今回されました!!』
私は配牌を確認し、自身の勝利を確信した。
配牌一向聴。しかも特急券の中が2枚ある。
「ポン」
これで聴牌。中のみのゴミ手だけど、
頭を好きに変えられる。
私は北の単騎に待ちを変えた。
「…私、これで優勝したら…
菫に初めてをもらってもらうんだ」
なんて、比較的大きな声で呟きながら。
--------------------------------------------------------
『…私、これで優勝したら、
菫に初めてをもらってもらうんだ』
『なっ、なっ、なっ…なんとー!!
宮永選手、絶好の待ちに変えた上で、
満を持して爆弾発言を投下したー!!』
『やっぱりあの二人、付き合ってたんだ…!』
『しかし、ちまたで流れている情報によると、
すでに二人は濃厚な関係であるとの
見解が一般的でしたが!
どう思いますか小鍛治プロ!羨ましいよね?』
『羨ましいよ!!って、こんな話題振らないでよ!
って違うよ!?まだ対局終わってないんだから
麻雀に専念しようよ!!』
『えー?いやだってこれ、
もう絶対宮永選手が上がるじゃん。
おあつらえ向きに他家の北が浮いてるし』
『ロン、中のみ』
『ほら終わった!宮永選手
ご結婚おめでとうございます!!』
『結婚までは言ってないよ!?』
『えー、放送席、放送席。
こちら通りすがりのキャットチェインバー。
控室をダッシュで逃走しようとしていた
シャープシューターを捕まえたぜぃ』
『さっすが咏さん、なんでいるの?
まあいっか!そっちにカメラ回しますから
やっちゃってください!』
『おっけー。というわけでこちら、
見事コークスクリューちゃんの初めてをゲットした
シャープシューターちゃんでーす。
はいどアップー。今の気持ちを一言どうぞー』
『黙秘権を行使する!!』
『あっちゃー、やっちまったねぃシャープシューター。
まだ≪初めては初めてでも膝枕の事だ!≫とか
ごまかせば何とかなったのにさぁ』
『……!?』
『≪黙秘≫なんてしちゃったらさぁ…
逆に、言い逃れできないぜ?』
『菫…責任取ってね?』
『あ、ごっめーん。あんま関係なかったねぃ。
どうせうまく切り抜けても
コークスクリューちゃんが全開だったわー』
『お前ら全員大嫌いだ!!』
--------------------------------------------------------
こうして、世間を騒がせた私の爆弾発言は、
私の『結婚を前提とした清い交際』発言で
何とか処罰される事なく収束した。
もっともそれは、期せずして私達の結婚を
決定づけてしまったのだけれど、
こればかりは仕方がないだろう。
そして今、私達はテレビ局の
『ご迷惑をおかけした』との謝罪と共に、
高級ホテルのペアチケットを
プレゼントされて今に至る。
「菫…ごちそうさま」
「だから、そういう事を言うな!」
全身を羞恥に染めながら、
シーツで顔を覆った菫が怒鳴る。
藍色の長い髪と、透き通るような肌。
そして真っ白なシーツが、
鮮やかなコントラストを生んでいる。
「そうそう、菫には一つ
話しておかないといけない事がある」
「なんだ?」
「部長とエースに関する規定だけど…
あれ、私の捏造だから」
「…はぁっ!?」
菫が驚いた声をあげて、
シーツから顔を覗かせた。
「いやだから、あれは私の捏造」
「それはそれでおかしいだろ!?
あの後、私は10世代前くらいまで
遡って確認したぞ!?」
「先手を打って遡れる限りは遡った。
私の恋のために協力してほしいって言ったら、
皆面白がって快く話を聞いてくれた」
「お前という奴は…!!」
菫は両手で頭を抱えながら俯いた。
まあ、気持ちはわかる。
「…だが、なんでそれを今告白する?
別に、それならそれで隠しておけばよかっただろう」
「…もう、必要ないから」
「今更何が起きようと、
菫は私から逃げられないし」
「菫だって、よくわからない規定のせいで
私達が結ばれたって思うより、
私の策略にはめられたっていう方が
すっきりするでしょ?」
「いや、今ものすごいモヤモヤしてるんだが」
「…だったら、そのモヤモヤ、
私を使って解消してもらって構わない」
「私は、菫のためならなんだってできるから」
私は菫の前に向き直って、
わざとらしくシーツをはだけた。
菫はゴクリと息をのみ、少しだけ後ずさる。
「なんでそこで後ずさるの?
不満をぶつけていいって言ってるのに」
「う、うるさい!!わ、私はお前みたいに
肉食系じゃないんだよ!」
なんて、顔を半分シーツで隠して恥じらう菫。
「……」
ああ、どうやらまた、
私達だけの秘密が増えそうだ。
今日新たに加わった二人の秘密。
それは…
菫は実は、誘い受け。
「いただきます」
「だからそういう事言うなってば!!」
(完)
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/109126661
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/109126661
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
てるーの策略に見事にハマっていく姿はチョロインの鏡
淡が来る前からてるーが全力出したらこうなるってよくわかりました(震え声)
今回の照は明るい感じに病んでいて、菫さんも怯えているとかが無くて、すごく甘々でした。照の根回しや周りに対する言動がギャグのように感じたので余計に明るい話に見えました。
ハッピーエンド最高ーー!
リクエストに応えていただきありがとうございます!
照の根回し活動が地道なようでめっちゃ大胆で、それだけ菫のことが好きなんだなあと、照が言ってたように命を捨ててでも菫を手に入れるというのを、かっちり実行してるのがさすが照さん淑女の鑑と思いました。
部長とエースの特別な関係って素晴らしいものですね。この年の瀬最高にニヤニヤさせてもらいました!
照「私にかかれば菫なんてチョロイン」
菫「いや、ここまでされたら仕方ないだろう?」
淡「せめて私が出てくるまで持ちこたえてよ!」
すごく甘々>
照「実際そのつもりで書いた。
喜んでいただけて幸い」
菫「実際にはけっこうきわどい事してるけどな」
若人の恋路>
恒子「皆が皆すこやんみたいに
行き遅れてないんだよ!」
健夜「別に私行き遅れてないし
応援するよ!?」
ごちそうさまでした>
照「お粗末さまでした」
菫「…私に言ってるんじゃないよな?」
淑女の鑑>
菫「こんな淑女いてたまるか!
真っ黒じゃないか!」
照「最終的にハッピーエンドだからいいじゃない」