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【咲-Saki-SS:怜竜】怜「そして私達は二人ぼっち」【共依存】

<あらすじ>
なし。概ねリクエストそのままです。


<登場人物>
園城寺怜,清水谷竜華,宮永照,花田煌,江口セーラ

<症状>
・ヤンデレ(重度)
・共依存(重度)
・異常行動
・軟禁

<その他>
以下のリクエストに対する作品です。
・少し病んでいる怜が、竜華を自分に執着させるために、
 あえて浮気するそぶりを見せ、
 竜華の嫉妬をあおる。
 最初は泣いたり縋ったりするが、
 だんだん竜華が病んできて・・・という話。

※怜の病みが少しどころじゃないかも。


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最近竜華が浮気している気がする。






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『−−』

「あはは、玄ちゃんはかわいいなぁ」

『−−』

「ないない、玄ちゃんの方が絶対やってー」


今電話で会話している松実玄もそうだし、
前は白糸台高校の大星淡とも親しそうに電話していた。

経験者ならわかると思うけど…
誰かと二人でいる時に
片方が携帯電話でしゃべりだすと、
もう片方は居心地が悪くて仕方がない。
それが恋人ならなおさらだ。

私はいらつきを隠そうともせず、
竜華の太ももを軽くつねりながら
不満を訴えた。


「りゅーか、ちょぉ長電話すぎひん?」

「いつっ、怜が焼きもち妬いとるからこの辺で〜」

『−−』

「またなー」


またな。

その3文字が私の心に暗い影を落とす。
また。また竜華は私をないがしろにして
電話するつもりなのか。


最近、こうやって竜華の愛を疑う事が多くなった。

竜華は本当に私の事が好きなんだろうか。
本当に好きなら、他の事なんて全てうっちゃって、
私だけを見ててくれるもんなんじゃないだろうか。


(このままじゃあかん…
 何とかしてりゅーかが私の事しか
 考えられへんようにせんと…)


元々竜華はモテる。そうでなくとも
今は高校三年生で、来年は大学生になる。
そうなれば、竜華に纏わりつく
悪い虫は増える一方だろう。

そうなる前に、竜華が私だけを見るように
改善する必要がある。


(考えるんや…りゅーかを私に縛り付ける方法を…)


私はいつも通り竜華の膝枕の上でゴロゴロと
寝返りを打ちながら、
状況を打開する方法はないかと思案し始めた。



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--------------------------------------------------------



「ちゅぅわけで協力してくれへん?」

「何、大した事やない。
 ただ私と仲良うメールしてくれればそれでええんよ」

『焼きもちを妬かせようという事?』

「せや!」

『…なんでそこで私なの』

「りゅーかと共通の友達やと
 あっさり嘘やってバレそうやん?」

「その点チャンピオンなら遠距離やし
 りゅーかとはそんなに交流もあらへん。
 めっちゃ適役やん」

『…正直人の心を弄ぶような行為には
 加担したくないんだけど』

「…頼むわ。仲良しがあかんなら相談でもええ。
 実はけっこうガチで参っとるんよ」

『…直接本人にそう言えばいい』

「重い思われたらいややん」

『…はぁ。状況が改善されたら
 すぐやめるから』

「!おおきに!!」



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そんなわけで私もチャンピオンと
やりとりする事にした。

竜華の前でこれみよがしにメールしたり、
時には膝の上に乗りながら電話したり…
ともかく、竜華が嫉妬するように演技した。

もっとも竜華自身もやっている事だし、
正直効果は薄いかとは思ったのだけれど…


思いのほか、竜華は敏感に反応した。


ヴーーーー、ヴーーーー


「あ、またチャンピオンからメールや」

「…最近多ない?」


じろり、と責めるような目線で
私をねめつける竜華。
お互い様やろ…と心の中で毒づきながらも
私は事もなげに返事する。


「そんな事ないと思うけどなぁ」

「毎日必ず送ってくるやん」

「仲良ぅなればそんなもんやろ」

「仲良ぅ…なあ怜、宮永さんと仲ええの?
 めっちゃ仏頂面やん?」

「あれで結構話しやすいで?
 この前もつい1時間くらい
 長電話してもーたし」

「1時間も!?」


嘘は言ってない。もっともその内容は、
ほとんど私がチャンピオンに対して
竜華への愚痴を語り続けるだけのもの
だったりするのだけれど。


「怜が…うち以外の人と長電話…怜が…」


私の言葉に絶句した竜華は、
顔面を蒼白して心ここにあらずと言った感じで。
ただ茫然と私の頭を膝に乗せるだけの台と化した。


(ええ感じや…この調子でどんどんいくで?)


私はその効果に一人満足しながらも、
竜華に背を向けてまた携帯を
ポチポチといじり始めた。



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「ちゅうわけで大成功やったわ。
 ご協力マジありがとうございますぅ」

『じゃあ、もうやめてもいい?』

「もう少し付き合ってや。
 りゅーか、まだ松実玄との
 やり取りやめてへんねん」

『…園城寺さんの事で松実玄さんに
 相談に乗ってもらってるんじゃないの?』

「否定はせんけど、それ結局
 私の気持ちわかってへんって事やん」

『だからもう直接本人に言うべき。
 清水谷さんが嫉妬してる今なら言えるでしょ』

「…あかんて。自分から言って
 当てつけやってバレたら
 りゅーかに嫌われるかもしれん」

『…はぁ…貴方が大胆なのか臆病なのかわからない。
 わかったからできるだけ早くけりをつけてほしい』

「りょーかいや」



--------------------------------------------------------



『なぁ淡。最近そっちの宮永さんって、
 妙に何度も怜と連絡とりあってへん?』

『あー、よくメールとか電話とかしてるね。
 おかげで菫先輩の機嫌が悪くて
 私もすっごい困ってる!』

『宮永さんはどんな感じなん?楽しそうなん?』

『んー、淡々と返してる感じだけど。
 メールが来たらすぐ反応してるから
 割と楽しみにしてるんじゃないかな!』

『そ…そか…』

『何、テルに盗られないかって心配してるの?』

『…まぁな』

『だったら早く動いた方がいいよー。
 というか正直菫先輩が怖いから
 早く動いてくださいお願いします!』

『わかったわ…そっちにも迷惑かけてごめんな』



--------------------------------------------------------



私達の関係に変化が訪れた。

その日はいつも通りに私が照と
電話でやり取りしていた時の事。


「ふーん、照の方はもう
 引き継ぎ終わったんかー」

『−−』

「千里山はまだやんなー。
 今もりゅーかの膝の上で対局待ちやー」

『−−』

「あはは、んなアホな。
 大丈夫やって。んじゃまたなー」


これ見よがしに、『照』の名前を
強調して喋った後で通話を終わる。
竜華は私の期待通り、その部分に目を剥いて噛みついた。


「…なぁ怜、今チャンピオンの事照って」

「いつまでもチャンピオン呼びはやめて欲しいって
 本人から言われてな」

「宮永さんでええやん」

「りゅーかだって松実さんの事
 『玄ちゃん』って呼ぶやん」


竜華の目がすっと細くなる。
まるでゾーンにでも入った時のような
その冷たい表情に、私は背筋を粟立てる。

もっとも、それは恐怖ではなく
期待からくるものだけど。


「…うちのとはちゃうやん。
 怜のはなんか本当に浮気っぽいやん」

「それはちょっとひどない?
 私からしたらりゅーかと玄ちゃんのやり取り見て
 私も誰かと話してみよかって思ったわけやし」

「私に照と会話するのやめて欲しい言うなら
 りゅーかも松実さんと連絡とるのやめや〜」


冗談交じりに手をヘラヘラと振りながら。
でも内心はハラハラしながら。
私は竜華の次の言葉を固唾を飲んで待ちわびる。


そして竜華は、私の期待通りの返答をした。


「わかったわ」

「…へ?」

「もう玄ちゃんとは一切連絡とらん。
 メールも電話もしーひん」

「だから怜も、宮永さんと
 連絡するのやめてや?」


やった。ようやく竜華を
あいつから切り離せた。

心の中ではガッツポーズしながらも、
さも私は動揺したように
声を震わせて抗議する。


「い、いくらなんでも急すぎん?」

「うちは本気やで?」

「そないな事急に言われてもなぁ」

「なぁ、頼むわ怜…うち最近不安で夜も眠れへん…」

「怜が私以外の誰かに盗られるんやないかて…
 怖くて怖くて仕方あらへん」


気づけば竜華の目には大粒の涙が浮かんでいて。
ぽたり、ぽたりと私の顔に
その滴が注がれる。


「りゅーか…」

「わかったわかった。
 私も照とは縁切るわ」


私は頬に落ちる竜華の涙を
その舌で掬い取りながら。

湧き上がる興奮をなんとか堪えつつ、
テキトーに竜華をいなした。



--------------------------------------------------------



「やっとりゅーかが松実玄と縁切ったで!!」

『…園城寺さん。前から言っている事だけど
 やっぱり貴方は少しおかしい』

『取り返しのつかない事になる前に、
 二人でちゃんと話しあって関係を修復した方がいい』

『このままじゃ、大変な事になる』

「…私にとって一番大変な事は、
 りゅーかが私から離れる事や」

「りゅーかが私だけのもんになったと
 確信するまではやめへんよ?」

『…正直こちらの私生活にも影響が出ている。
 悪いけど私はもう降りさせてもらう』

「…そか。まぁどうせ話の流れ的に
 照とは縁切らんといかんしな」

「今まで本当にありがとな。助かったわ」

『…貴方の相談に乗った事、
 私は本当に後悔している』

『もう一度言う。このままじゃ貴方たちは破滅する』

『どうか正気を取り戻して』

「…まあ考えてみるわ」


プツッ…


「正気…正気かぁ…はは」

「お断りや」

「私がちょいおかしいんはわかっとる。やったら…」

「りゅーかにも
 おかしなってもらうしかないやろ?」

「後少しや…あと少しで
 りゅーかもおかしなる」

「…たのしみやなぁ」



--------------------------------------------------------



あくる日。携帯をポチポチといじる私に対して、
竜華が抑揚のない低い声を投げつけてきた。


「なぁとき。この前言うたやん?」

「何を?」

「もうメールとか電話とかせえへんって」


竜華のそのよどんだ瞳は、
真っ直ぐ私の携帯に注がれている。

まるで親の仇でも見るようなその鋭さ。
私はぞくぞくと喜びに体を震わせながらも、
なんて事ない風を装って、
努めてそっけない返事を返した。


「だから照とは縁切ったやん」

「なら今メール打っとる相手は誰や」

「花田やけど」

「そう言う事ちゃうんよ!」


突然竜華が大声を張り上げる。
最近、竜華は感情のぶれが激しくなった。
すぐ泣いたり怒ったりする。

それでも、膝の上に乗せた私の頭が
落ちないように手で守っている辺りは
流石だと感心するけれど。


「なんでわかってくれへんの!?
 相手が違うとかそういう話やないやん!
 うちはときが他の誰かと
 仲良ぅするんがいやなんよ!」

「もううち以外の誰かと連絡とらんといて!」


(…私もや。りゅーかには
 私以外の誰とも関わってほしない)


なんて心の中で同意しながらも、
私はいかにも「何言うてんのこいつ」とばかりに
呆れ果てた声で言葉を返す。


「いやいや、無茶言いやな」

「なんで?話したいことがあるなら
 うちに話せばええやん」

「してほしいことがあるなら
 うちに頼めばええやん!」

「他の人に頼る必要なんか全然ないやん!!」


ここだ。と思った。
竜華と他の人間の関係を断ち切るチャンス。
私はすかさず、ずっと準備してきた言葉を
竜華に投げかける。


「…んな事言われても…
 じゃありゅーかは、私以外の全員と
 綺麗さっぱり縁切れるん?」


竜華は間髪入れず模範解答を口にした。


「ときがそれで、うちの事だけ
 見てくれるんなら喜んで切るわ」

「んー…まぁそれなら考えたるわ。
 ただ本当かあやしいから
 有言実行したら教えてやー」

「…わかった」


竜華は私の頭に手を添えて
優しく私を膝枕から降ろすと…
そのままどこぞへと去って行った。


(やった…)


もし竜華が冷静だったなら。
最後の私の声が、喜びに上擦っている事に
気づけただろう。


(…やったで……)


もっとも、本格的に壊れ始めた竜華に、
そんな余裕はなく。
きっと竜華は、これから本当に
片っ端から人間関係を切り始めるのだろう。

そう考えると、私はついに
喜びを抑えきれなくなり…


「やったで!!」


誰もいなくなった部室に
大きな声を響かせながら、
私は拳を高々と突き上げた。



--------------------------------------------------------



「ちゅうわけでりゅーかが
 かなり私好みになってきたわ!!」

『…すばらくない!』

『宮永さんもおっしゃっていたようですが…
 私が貴方と連絡を取っているのは、
 決して悪戯に清水谷さんを
 苦しめるためではありません!』

『貴方の行動を何とかして諌めたいと思って
 苦言を呈しているんですよ!』

「わかっとるわかっとる」

「…もう少しや。あと少しで
 理想の形になる。そしたらやめるわ」

『…お二人でこの世から
 姿を消すとかいう事ではありませんよね』

「はは」

『…否定しないんですね』

「心配せんでも、私はちゃんと
 自分が幸せになる事を考えてるで?」

「もちろん、りゅーかの幸せもな」

『その方向が、ひどくねじ曲がっている事に
 気づいてください…!』



--------------------------------------------------------



『…突然のお電話失礼いたします。
 非常に憂慮すべき事態なので
 僭越ながらお伝えさせていただこうかと』

「……」

『…というわけで、このままでは
 大変な事態になってしまうかと思いまして…』

「…ありがとな。でも、ちょい遅かったわ」

『…え?』

「竜華の奴、もう麻雀部やめてもうた」

『…そんな!』

「別に今やめんでもなぁ…
 どうせ後少しで引退やん」

「そりゃ竜華にとって怜は一番やろけど…
 せやかてこんなあっさり切られるほど
 俺らってどうでもよかったんかなぁ…」

『……っ!』

『…申し訳ありません!
 私が…私がもっと早くお伝えしていれば…!』

「…花田さんのせいやあらへん。
 近くにいたのにあいつらの異常に
 気づけんかった俺らの問題や」

『…どうか、あまりご自身を責め過ぎないように』

「ははっ…花田さんが言うんか…でも」


「…すまん。それ無理や…」



--------------------------------------------------------



数日後。


放課後を向けていつも通りに
部室に向かおうとする私の前に、
竜華がすっと立ちはだかった。

竜華の瞳に光はなく。
その目は、ただただ、吸い込まれそうな黒で
塗り潰されている。

その感情が読めない表情と同じように、
これまた感情のない無機質な声で
竜華は私に一言告げた。


「切ってきたで」

「へ?」

「だから、人間関係切ってきたわ」

「部活も、委員会も、クラスの友達も」

「全部」

「ぜーんぶ切ってきた」


そう言って竜華は何かを取り出して見せる。
その手の中にあったのは携帯電話。
ただし、液晶は粉々に割れて、
もはやそれが機能しないだろう事は
一目でわかった。


「だから」

「ときも切ってや?」

「私以外の繋がり」

「ぜーんぶ」

「りゅ、りゅーか」

「『これ』ももういらへんな?」

「あっ…」

「これからはときはずーっと
 うちといっしょにおるんやから」

「携帯なんて、いらへんよなぁ?」


竜華が私の携帯を取り上げる。
そして、そのままその手を高々と掲げて…


そっと、頭上で手放した。



ゴッッッ…



鈍い音とともに携帯が床に叩きつけられる。
液晶画面には蜘蛛の巣のように
細かい亀裂が入り…

それはただの重厚な文鎮と変り果てる。
竜華のそれと同じように。

ご丁寧に電源が入らなくなった事を確認し、
それでもさらに何度も何度も
床に叩きつけた後。

ようやく竜華は少し安心したように
言葉を続けた。


「さ、行こか」


穏やかな声音で語りながら、
竜華が私に笑顔を向けて手を差し伸べる。

思わずその手を取りそうになりながらも、
私は最後まで油断する事はなく。


もうひと押しするために、
私は竜華に背を向けて逃げ出した。


もっとも、病弱な私と健康優良児の竜華では
そもそも勝負になんかならず。

私はあっさりと竜華に捕まって、
その腕の中に包み込まれる。

「…っは、はなしてや」

「…なあとき、なんで逃げるん?」

「とき言うたやん?うちが全部捨てたら、
 ときも捨ててくれるて」

「なんでわかってくれへんの?」

「なぁとき?とき?とき?とき?とき?」

「は…はなして…」

「いーやはなさへん。もう絶対はなさへん」

「もう、ずーっとはなさへんよ?」


「そう…もう、いっしょう…はなさへん…」


そう言って竜華は乱暴に私の唇を塞ぐ。

私は全身を駆け巡る電撃のような快感に
翻弄されながらも、
自分の計画が完全に結実した事を悟った。


(へへ…)

(へへへ…)

(りゅーか、それこっちの台詞やで…?)

(これで…りゅーかは私のもんや…)



(もう…絶対に…離したらんからな…?)



--------------------------------------------------------



そして私達は二人ぼっちになった。

今日も薄暗闇の中、私は竜華の
優しい声で目を覚ます。


「…とき、朝やで?」

「…ふぁぁあ…窓がないからわからんなぁ」

「いらんやろ?ときはうちだけ見とればええんやし」


私達の世界はこの、窓ひとつない
牢獄のような小部屋だけ。
まあ、確かにそれで必要十分だ。


「ほら、朝ごはんやで」


そう言って竜華が取り出したのは
一昔前の宇宙食のようなチューブ状の物体だった。


「…たまには固形のもんが食いたいなぁ」

「あかんあかん。そんなん食べたら
 ときが私以外の事に興味持ってまうやん」

「健康の事はちゃんと考えてあるから安心してや」


壊れた竜華は私以上に徹底していた。
自分以外からは何一つ喜びを与えまいとする。
食事も、睡眠も、性欲すらも。
私の何もかもが竜華の管理下にあった。


「なぁりゅーか、学校とか行かんでええの?」

「は?言ったやん。全部縁切ったって」

「学校なんてとっくに退学済みやで?
 もちろんときも」

「…どうやって生きてくん?」

「うちの家の事は知っとるやろ?
 無駄遣いもせん小娘二人、
 一生部屋に閉じ込めるくらいわけないわ」

「…そか」


自信たっぷりに語る竜華。
事実上の「一生あなたを監禁します」宣言に
私も思わず頬を綻ばせる。


「じゃあもう、本当にこれからはずっと
 りゅーかだけなんやなぁ…」

「せやで?」

「そっかぁ…」


全身を包む多幸感にうっとりと浸りながら、
私は竜華の肢体に絡みつき、
その胸に自分の顔を擦り付けた。


「…どしたん?今日は随分と甘えんぼやん」

「や、ようやっと安心して甘えられるっちゅうか…
 まあそんな感じや」

「……?」

「りゅーか、実は謝らないかん事があるんよ」

「なに?」


もう種明かししても大丈夫だろう。
私は自分の醜い計画を
竜華に全て打ち明ける事にした。


「私な…りゅーかをひとりじめしたくて、
 わざとりゅーかをくるしめとったんや」

「…そうなん!?」

「せや。だってりゅーか、
 私と一緒におるのに、
 松実やら大星やらと
 連絡とりあっとったやん?」

「あれがどうにも辛抱ならんかったんよ」

「だから壊した」

「りゅーかの事、壊したった」


にへら、と竜華に笑いかける。
竜華は怒るでもなく、泣くでもなく。
申し訳なさそうに眉を歪めて、
私の頭をそっと撫でる。


「…今ならわかるわ。
 うち、ときにすごいひどい事しとった」

「ごめんな」

「ええよ。うちもやり返したし、
 最後にはりゅーかは
 うちの理想をかなえてくれたしな」

「じゃぁ…もううちから逃げたりせえへん?」

「せえへん。というか、多分逆やで?」

「りゅーかが捕まえとったんちゃう。
 うちがりゅーかを捕まえとったんや」


竜華が私から逃げないように。
竜華が一人で生きていけないように。

捕まえて壊したのは私の方だ。

もっとも、壊れてしまった竜華は
それを咎める事はなく。
心底安心したとばかりに、
深く深く安堵のため息をついた。


「なんやのそれ…もっとはよ言ってや…」

「それ照にも言われt」

「とき」

「今なんて言うたん?」


安堵の表情から一転、
竜華の顔から表情が消える。

理由は簡単。私が竜華以外の
人間の存在を仄めかしたから。


「うち以外の事考えたらあかんよ?」


幼い子を諭すように。
でも決して否定を許さない口調で、
淡々と竜華が語り掛ける。

普通の人間なら思わず口をつぐむその迫力に、
でも私は反抗する。


「てる、てる、てるー♪」

「…とき」

「へへ…わかっとるよ?でもなぁ…
 うち欲張りなんよ」

「りゅーかが私の事だけ
 考えてくれてるのはわかった」

「なら今度は…私をりゅーかいろに染めてや?」

「もう、本当にりゅーかの事以外
 考えられへんくらいに」


それが最後に残された竜華の仕事。
今度は、私の中から竜華以外の存在を
取り払ってほしい。

竜華が無茶苦茶に私を貪ってくれれば、
きっとそれは叶うはず。


「…死なんといてな?」

「死んだらちゃんと責任取ってな?」

「それはモチやけど…」

「ならええわ…さぁ」



「私をりゅーかだけのモノにして」



身体を火照らせる獣欲に抗う事もせず、
私ははしたなく声を上擦らせながら
竜華の耳元で囁いた。

それを聞いた竜華が狂ったように
私の唇を貪って…
私の世界が真っ白に染まる。


ああ、この調子なら。

竜華以外が、私の世界から消えるのも早そうだ。


悦びの嬌声をあげながら、
私は竜華の背中に手を回し、
ぎゅっと強く抱き寄せた。


竜華が、私から逃げて行かないように。


(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2015年04月11日 | Comment(11) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
竜華の家ってお金持ちか極道なイメージが。

この二人はどっちが嫉妬してても似合いますね。可愛い。
Posted by at 2015年04月11日 11:29
やっぱ怜って狂ってるイメージめっちゃ合う。怜のただ狂ってるだけじゃない、普通は見えてないはずの何かを目指してる辺りの怖さが見れてホクホクしてます。ありがたや。
Posted by at 2015年04月11日 12:12
重たすぎる愛最高ですね
策士怜に乾杯
Posted by at 2015年04月12日 08:54
とても良い怜竜でした。

怜は竜華と違って狂っても計画的に行動できそうなのが良いです。

この調子で千里山増やしていって下さい。
狂った怜視点の泉竜かセーラ視点の狂った怜竜を次はお願いします。
Posted by ホーネット at 2015年04月12日 10:56
いいもの見せてもらいました。
やっぱ共依存っていいですね。
Posted by at 2015年04月12日 23:39
怜の病みはガチすぎなんで怖い。
あと竜華と淡のコンビってなんか好き
Posted by at 2015年04月13日 07:52
怜の病み方が凄い好みでした。竜華に依存させられた後はどんな感じなのでしょう(・ω・)?照がいいキャラしてました。菫さん病んでる・・・?
Posted by at 2015年04月13日 19:26
久々の怜竜すばらです!
もっと増やして欲しいです!
Posted by at 2015年04月13日 20:01
今まで見た怜竜ヤンデレssの中で
一番好きです!!!!!!

なかでも怜の冷静に病んでるのがたまらんですw

あと、竜華の怜のためだったらなんでも捨てる覚悟
があるところに怜への深い愛情が見えてすごく
良かったです。
Posted by 怜竜&久咲好き at 2015年04月16日 01:46
すばらすぎる竜怜でした。
誰からの忠告にも耳を貸さない怜の意思の固さと、怜のことを愛しすぎた故にすべてを投げ打った竜華の狂愛に満ちたやりとりが……。
怜の策士っぽい感じと竜華の純粋でありまっすぐすぎる感じがすごくよく表れていて良かったです。
ありがとうございました!
Posted by オリ at 2015年04月18日 22:44
これすごい好きです
Posted by at 2019年02月07日 21:23
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