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【咲-Saki-SS:久咲】久「悪夢と狂気で壊した私」【狂気】 【ファンタジー】【R18】
<あらすじ>
久「『咲「悪夢と狂気と壊れた私」』の私視点よ。」
<登場人物>
竹井久,宮永咲
<症状>
・ヤンデレ
・狂気
・依存
・思考力低下
・異常行動
<その他>
・これまでになく直接的な性的表現を含みます。
むしろ全編がそんな感じです。
苦手な方は回れ右。
・18歳未満の方の閲覧はおやめください。
--------------------------------------------------------
私がその能力に気づいたのは、
思春期を迎えた頃だった。
人の夢の中に入れる。その中で私は無敵。
俗にいう夢魔や淫魔といった手合いの能力。
この力を使えば、今後の人生
何も苦労せず生きていく事ができる。
とてつもなく強力な能力。
私は何の訓練をするわけでもなく、
自然にその力を扱う事ができた。
普通の人が意識せず手を動かせるように。
目で物を見る事ができるように。
それがなぜなのかは、わからないままだけど。
でも私は、この能力を使う気にはなれなかった。
それなりのお年頃になっていた私。
そんな私は、この能力が人として
決して誇れる類のものではないと知っていた。
栄養が普通にご飯から摂取できる以上、
あえてこんな能力に頼る必要もないし、頼りたくもない。
多分一生使うことなく
人生を終える事になるんだろう。
…なんて、思っていたのだけれど。
実際には意外にも早くこの力を使う事になった。
それも生きる糧を得るためではなく、
ひどく醜く、浅ましい目的を達成するために。
そう、それは…ある女の子を手に入れるためだった。
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
高3になって初めて、好きな子ができた。
気弱で、大人しくて、
可愛らしい文学少女。
同じ麻雀部部員の宮永咲。
私とは似ても似つかないタイプだったけど、
実際には意外な共通点がいくつかもあって。
同じ本を読んで感想を言いあったり、
家事の大変さを愚痴りあったり。
…家庭で背負った悲しみの傷を舐めあったり。
そう言った小さな事を積み重ねるうちに。
私の中で、咲は少しずつ
特別な存在に変わっていった。
そんな気持ちが恋心に変化したのは、
きっとあの時だったと思う。
『部長…いつもと様子が違ったから』
全国大会の2回戦。
私自身が気づいていなかった不安に、
咲はしっかり気づいていて。
それどころか、試合中の心の機微まで
正確に読み取られていた。
『でも、対局中に立ち直るなんて
さすが部長です!』
そう言って心底ほっとしたように、
安堵の笑みを見せる咲を前にして。
後輩に心配される情けなさを恥じながらも、
心のどこかで、いっそこの子に
どっぷりあまえたい気持ちが顔を出す。
『そっか…咲は見抜いてたんだ』
『じゃあ、今度から…
対局前には咲にチェックしてもらおうかな』
『…はい!任せてください!』
それでつい、こんな約束をしちゃったりして。
対局の前に必ず咲に見てもらって、
『可愛いです!』
って言ってもらうのを
楽しみにするようになった。
『おっ!可愛いかー!』
『…えへへ…そっか』
今思えば、もうこの時には完全に、
咲に恋をしていたんだと思う。
後輩に可愛いなんて言われて、
舞い上がってしまうくらいには。
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だから耐えられなかった。
咲が、私から離れていくのが。
--------------------------------------------------------
『仲直りできてよかったわね』
『部長のおかげです…ありがとうございます』
『私は何もしてないけど?』
『いいえ…あの時部長が私を
麻雀部に誘ってくれたから』
『私に勝つ喜びを教えてくれたから』
『だから、今の私があるんです』
『ありがとうございます』
『あはは。ま、素直に
どういたしましてって受け取っておくわ』
『可愛い後輩だしね。
これからもどんどん頼ってちょうだいな』
『そうですね…』
『これからは、ちょっと
会いにくくなっちゃうかもですけど…
仲良くしてもらえるとうれしいです』
『…へ?』
『ど、どういう事?』
『…実は、親の不仲も解消されそうなので
もう一度やり直そうって話が出てるんです』
『お姉ちゃんはプロになるみたいですし…
東京の方が何かとやりやすいだろうから』
『いっそ、私達も引っ越したらどうかって…』
『まだ、迷ってるんですけどね』
『そ、そっか……』
『ま、まぁ真剣に悩みなさい?
あなたはまだ1年生なんだから』
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インターハイは、咲にとって
最上の結果をもたらした。
でも代わりに、私にとっては
愛する人を失う結果となりそうだった。
元来あまり心が強くない私は、
その可能性に囚われてしまって。
もうそれしか考えられなくなった。
咲が笑顔で家族について話すたびに。
引っ越しの可能性をちらつかせるたびに。
身を引き裂くような痛みと、
身体の内側からちりちりと
焼かれるような熱に悶えた。
自分が、少しずつおかしくなっていくのを感じた。
咲の言動にいちいち過敏に反応してしまう。
咲がいなくなることを想像しただけで
涙腺が緩み、その場に崩れ落ちそうになる。
気づけば私は…
どうすればそれを阻止できるのか、
そればかりを考えるようになっていた。
そして、私が出した結論は…
咲を壊してしまう事。
心を摩耗させ、身体を支配して、
その隙につけいって…
他の人なんて目じゃないくらい、
私に依存させる事。
そのためならどんな卑怯な手でも
躊躇う事なく使おうと思った。
そして最悪な事に…
私はそれを実現できるだけの
能力を持ち合わせていた。
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『ぶ、部長…?』
『あー、違う違う。私は
あなたの知ってる部長じゃないわ』
『え、で、でも…』
『うん、最初に状況整理しておきましょうか。
ここはあなたの夢の世界。
私はそこに入り込んだ不法侵入者』
『で、私はあなたの記憶から
知ってる人の姿形を模して今に至る』
『ここまではいいかしら?』
『ええと、つまりは…
夢魔みたいなものですか?』
……
『…なんで部長を選んだんですか?』
『さらにそこ聞いちゃうかー。って、
言われなくてもわかってるんじゃないの?』
『…正直、意外なんです』
『…そっか。じゃあ教えてあげるわ。
私がこの娘を似姿として選んだ理由。
と言っても、夢魔としては
ありきたりな理由なんだけど』
『あなたが、この娘を愛しているからよ?』
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嘘だった。
いくら夢の中とはいえ、人が隠している
秘密を暴くのはそんな簡単な事じゃない。
そもそも、もし咲が本当に私を好きなら、
引っ越しなんて考えもしないんじゃないだろうか。
だから実際のところはわからない。
覗いてみたら真実だった可能性もある。
でも、その真実を垣間見る勇気なんて
私にはなかった。
だから刷り込む。咲は私の事が好きだったって。
真実なんてどうでもいい。
これから真実にしてしまえばいい。
圧倒的な快楽と共に。
私は咲を食らい尽くす事に全神経を注いだ。
服をはぎ、触れるところは全部触った。
体のいたるところに痕をつけた。
咲の感じるところを見つけ出して、
徹底的に苛め抜いた。
『やっ…やめてくださいっ……やめてっ……!』
予想よりもはるかに早く、
咲は荒い息を吐き始めた。
主張を始めた胸の先端を
指の腹で優しくこね回すと、
それだけでびくりと体が跳ねた。
みるみる声が上擦り、
艶めかしいものに変わっていく。
そっと手を足のつけ根に滑り込ませると、
そこはもう熱く滑った液体で満たされていた。
『ずいぶん敏感ね。そんなにこの娘が好き?』
気を良くした私は、さらに咲を責め立てる。
わざとらしく音を立てて熱い蜜をすすり、
くちゅくちゅと水音が響き渡るようにかき回す。
咲の声がいよいよ緊張を増していく。
身体がガクガクと小刻みにわななき、
今にも壊れてしまいそう。
『さ、イッちゃいなさい…?
私の…愛する部長の目の前で』
そう耳元で囁きながら、
限界までふくれあがった突起を
きゅっとつまんだ。
刹那、咲の体は大きく弓なりにのけぞり、
声にならない悲鳴が咲の喉を抜けていく。
『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!』
ガクガクガクガクッ!!
咲は千切れんほどに四肢を震わせて、
思いっきり昇りつめて…
やがて、事切れたように動かなくなった。
私は静止した咲をそっと抱き締めながら、
頬を伝った涙を舌で念入りに舐めとった。
心の中で、何度も何度も謝罪しながら。
ごめんね でも、こうするしかないの
せめて、いっぱい気持ちよくしてあげる
私の事しか、考えられなくなるように
咲の秘部を再びやわやわと弄り始める。
咲の意識が戻った時に、
すぐに快楽の波に翻弄されるように。
私の期待通り、目を覚ました咲は
自分の体の発情ぶりに適応できず狼狽えた声をあげる。
そしてそのまま、訳もわからず
再度絶頂に押し上げられていく。
まだ処女であろう咲には強すぎる快楽。
咲は涙と涎を垂らしながら達し続ける。
やがて咲はそこから降りる事ができなくなり、
身体をびくびくと痙攣させ続けながら
悲痛な声で泣き叫んだ。
『いやっ!もうやめてっ!おかしくなるっ!!』
それでいいの。そのまま、
おかしくなってしまいなさい?
『駄目よ、咲。もっと……おかしくなって?』
私はひたすら、ひたすら
暴力的な快楽を与え続けた。
咲が、人間の言葉をしゃべれなくなって、
ただ鳴き声をあげる動物に変わり果てるまで。
--------------------------------------------------------
次の日。
咲は意外にも学校にやってきた。
しかもちゃんと部室にも顔を出してきた。
まだ余裕があったんだろうか。
いや、そんな事はなかったはず。
でも次からはもっと徹底しよう。
なんて思いながら咲の顔を覗きこむ。
「……っ」
私に見つめられた咲は、
真っ赤な顔をして目をそらした。
「んー?どったの咲。なんか私の事避けてない?」
「あ、い、いえ…別にそんな事は…」
そう言いながらも露骨に顔を背ける咲。
私は少なからず傷つきながらも、
それが嫌悪感から来る行為ではない事に気づいた。
だって咲は私の指を覗き見て、
もぞりっ…と
下半身をくねらせたから。
(…ふーん)
どうやら、昨日の調教は
しっかりと咲の身体に根付いているらしい。
私は思わずいやらしい笑みが
こぼれそうになるのを押しとどめた。
「んー…ま、事情はわからないけど…
今は無理しない方がいいと思うわ」
「ちょっとベッドで眠ったら?
少しは楽になるかもよ?」
「ふぁっ…はいぃっ……」
そっと耳に顔を寄せて、努めて優しい声音で囁く。
咲は熱に浮かされたように頷くと、
ふらふらとベッドに向かっていった。
咲は気づいただろうか。
自分の声が、ひどく熱く、
色に塗れて(まみれて)いたことに。
結局その日、咲がベッドから
出てくることはなかった。
でも咲を覆った布団が不自然にもぞもぞと
動いている辺り、きっと昨日の夜を思い浮かべて
その身を焦がしているんだろう。
それでいい。そうやって、
脳内を私で埋め尽くしていればいい。
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次の夜。咲の夢に入り込んだ私は、
そこに奇妙な物体を見つけた。
ゴムに入った白濁した液体。
ある行為の後を彷彿とさせる物体。
『あはは』
私は思わず吹き出した。
確か小説で見たことがある。
夢魔対策として枕元に牛乳を置いておくと、
夢魔が精液と勘違いして
それを持って満足して去っていく話。
馬鹿らしい。
そんなもので退散するくらいなら、
最初から女のあなたを襲ったりしないわよ。
夢の中で膝を抱えてうずくまる咲に、
私はからかうような口ぶりで感想を告げた。
『私は精液とか大っ嫌いだから。
枕元に牛乳とか置いても全く効果ないわよ?』
『まあ、そんな迷信を真面目に実行しちゃう
あなたの可愛さにはそそられるけど』
あえてけらけらと怒りを煽るように笑ってやると、
咲はあまり見せた事のない表情を見せた。
『あなた程度だったら、こんなのでも
ひっかかるかなって思ったんだよ』
明確な憎悪。
それは大人しい咲がほとんど見せなかった感情。
負の感情にも関わらず、
私は思わず悦びに体を震わせてしまった。
だってそれは、それだけ咲の心が
私で埋め尽くされている表れだから。
『ふふ…何?わざわざ
私を怒らせるような事言っちゃって。
そんなに激しく責められたいのかしら?』
『…私が何を言おうと、
どうせやる事は同じなんでしょ?
だったら怒りくらいぶつけさせてもらうよ』
『もう好きにしていいから、さっさと終わらせて』
咲は自棄になって自分から服を脱ぎ捨てる。
でも、その肌はすでに紅潮していて…
太ももは、てらてらとぬめる粘液で光っていた。
その卑猥な光が、また私から理性を奪う。
それでもなんとか余裕をもったふりをして、
私は咲の体に絡みついた。
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咲の体は、前に比べたら随分こなれていた。
最初の頃の拒絶反応じみた激しい反応は無くなって、
少なくとも体は素直に
快楽を受け入れているようだった。
『あっ…もうっ、やだっ……』
私の指の動きに呼応して、
咲の腰が艶やかにくねり始める。
無意識か否か。憎むべき私にしがみつきながら、
ぐいぐいと秘部を私の指に押しつけてくる。
『あっ…あっ…あっ、あっ、あっ』
小刻みな喘ぎ声。限界が近い証拠。
ちょっと前にも達したばかりなのに。
もうイキぐせがついてしまった咲は、
あっさり昇りつめていく。
そんな咲が、たまらなく愛おしい。
『ぶ、ぶちょうっ!わ、わたしっ!』
『さき、さき、さき』
『ぶちょうっ、ぶちょうっ!』
『さき、好きよ咲!イッて!!』
しまった。
思わず感極まって、本音が口をついて出てしまった。
内心私はうろたえながら咲の顔色を伺う。
でも咲は次の瞬間、予想外の反応を示した。
きゅうぅぅっ…!!
咲の中が収縮し、ちぎれんばかりに指を締め付けてくる。
まるで、私の愛に応えるかのように。
そして、咲はひときわ大きな声で鳴いた。
今までで一番大きな声をあげて。
『ぶちょうっ、イキます、私!やっイクッ!!』
『やぁああああああっ!!!!』
咲は狂ったように嬌声をあげながら、
がむしゃらにしがみつく。
肉壁が蠕動し、まるで制御機能が壊れてしまったかのように、
咲はびゅるっ…びゅるっ…と
熱くねばった愛液を噴きだした。
『あっ…はっ……ひぁっ』
咲はなかなか降りてこれなかった。
だらしなく顔を弛緩させて、
口の端からよだれを垂らしながら
意味をなさない文字を零し続ける。
私に体を擦り付けたまま。
私はなんだか、咲に受け入れてもらえたような
都合のいい錯覚を覚えて。
思わず目に涙をにじませながら、
強く咲を抱き寄せた。
--------------------------------------------------------
繰り返していくうちに、
咲はどんどんおかしくなっていった。
夢と現実の区別がつかなくなってきている。
性欲を制御する術を失ってきている。
感情を隠すことができなくなってきている。
それは私の気のせいではなく。
明確に咲の言動から感じる事ができた。
売店に備品を買いにいく。ただそれだけなのに、
咲は当然のように私の手を握った。
それも、一本一本愛おしそうに絡みつかせて。
「……」
私もそれとなく指の腹を使って、
咲の手の甲を優しくまさぐる。
それだけで咲はとろんとあまえた表情を浮かべて、
私に体をすり寄せた。
姿勢も内股になって、もぞもぞと腰が動き始めている。
どうやらもうスイッチが入ってしまったらしい。
咲が執拗に纏わりついてくるから、
数十メートルもない売店に行くだけでも時間がかかる。
売店に着くころには、咲の目は潤みきって。
今にも始めてしまいそうな勢いだった。
さすがにこの状態のまま店員の前に
顔を出すわけにはいかない。
「到着!」
私は気つけ代わりに大きく声を出す。
咲はビクリと体を震わせると、
少しだけ正気を取り戻したようだった。
もっともそれでも、咲は私の腕にぎゅっと
身体を押し付けてきたのだけれど。
私はそれに気づかないふりをしながら、
店員に注文しつつ咲に問いかける。
「ホワイトボードのペンに付箋。
後は…あれ、何かあったと思うんだけどなぁ」
「咲、覚えてない?」
「え?えーと…何だっけ。
あ、部長消しゴム失くしてなかった?」
「あー、それだ。ありがとね。
すいません、消しゴムも3つください!」
「えへへ…」
咲の言葉遣いは元に戻っていた。
そう、夢の中で交わりながら話すあの時のように。
店員が冷やかすようにニヤニヤした目を向けるも、
咲は全く気づいていないようだった。
もう問題ない。咲は、身も心も私に溺れている。
手遅れな程に。もう、二度と戻れない程に。
そろそろ夢を現実と入れ替える時期だろう。
私は咲に、夢の終わりを告げる事にした。
--------------------------------------------------------
『あ、そう言えば気づいた?』
『何に?』
『いやさ、現実の私が、
咲の異常さに気づき始めてるわよ?』
『そ、そんな…ぶ、部長に嫌われちゃうよ』
『あ、それはないと思うわよ?』
『え?』
『いやさ、ぶっちゃけあなたがあの子の事
やらしい目で見始めたのって
もっとずっと前からなのよ』
『なのにあの子、あなたの事
避けたりしなかったでしょ?』
『後ね?実は私、あの子の夢にもお邪魔して
ちょっと探りを入れてきたのよねー』
『……もし、あなたが』
『この夢を現実にしようと思ったら…』
『それは十分実行可能だと思うわよ?』
『そ、それって…!』
私の言葉に咲はあっさりと陥落した。
私の腕に抱かれながら、咲はその目を輝かせる。
『そっか…そうだよね』
『きっと…部長だって待ってるんだよ』
『私の事』
『もし、そうじゃなかったとしても…』
『そうしちゃえばいいよね?』
咲は蕩けきった顔のまま、どこか
凄みを感じさせる笑みを浮かべる。
そのあまりの妖艶さに、今度は私がぞくぞくと
背を逆立たせる番だった。
例え相手が嫌がっていても、
無理矢理作り変えてしまえばいい。
咲が言った事はそういう事。
それは、まさに私が咲にしたそのままで。
その言葉で私は確信する。
咲は…私と同じところまで堕ちてきた。
堕ちてきてくれた。
後はただ咲に襲われればいい。
精一杯の被害者面をして。
--------------------------------------------------------
夢の中で見たのと同じとろけた顔で、咲が私に覆いかぶさる
それは夢にまで見た光景だったけど、
表向きには拒否して見せた
それでも咲はまったくやめる素振りを見せず、
そのまま私に絡みついて、強引に床に組み伏せる
「動いたらダメだよ?部長…」
なんて言いながら取り出したのは裁断ばさみ
脱がせる手間すら惜しいなんて、
ちょっとがっつきすぎじゃない?
なんて内心吹き出しながらも、
私はなおも形だけの抵抗を続けた
もっとも、ある一点だけは
どうしても演技する事ができなかったけれど
「あは…やっぱり部長も期待してたんだ」
私の秘所に手を伸ばした咲は、
嬉しそうに中指と薬指を
くぱっ…くぱっ…と広げて見せる
そのたびに、両方の指の間で私の分泌した蜜が
ぬちゅりっ…ぬちゅりっ…と糸を引いた
「だったら…遠慮なんていらないよね…?」
上擦った声で、はぁはぁと息を荒げながら咲が私に襲い掛かる
嘘おっしゃい
最初から遠慮なんてしてなかったくせに
なんて考えながらも、私もつい期待に胸を躍らせる
咲の指が、掌が、舌が、唇が、私の体を這っていく
それは全部、私が咲に教え込んだテクニック
いつかこうして、咲に可愛がられる日が来る事を期待して
教えを忠実に実行する咲を前に、
私は素直に悦び、昇りつめていく
私の『そこ』がヒクッ…ヒクッ…とひくつき、
そのたびに熱い蜜がぐちゅりと押し出される様を見て
ついに、咲がそこに指を差し入れてくる
咲はいつもと違う私の中に
違和感を感じ取ったようだった
そして、その違和感の意味に気づいた瞬間、
獣じみた笑みを浮かべて…
思い切り、指を突き刺した
「…ッッ!!」
文字通り破瓜の激痛が私の体を襲う
でも、同時にその瞬間…
私は、絶頂を迎えていた
「……っ!」
「……っ!」
痛みをはるかに上回る悦びが私を襲う
愛する人に、初めてをもらってもらえた
その幸せが、私の中を荒れ狂う激流となって駆け巡る
私はシーツをぎゅっと握りしめ、
一筋喜びの涙を流した
『ぶちょう、ぶちょう、ぶちょう、ぶちょうっ!』
そんな私の心境を知ってか知らずか、
咲はなおも狂ったように私の中をかき回す
ぐちゅりっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ
その音を立てているのは、愛液なのか血液なのか
わからないまま、私は激痛と苛烈な快感に襲われ続ける
やがて、さっき迎えたよりも
さらに大きな波が私の中でうねりだし
私は体を大きくのけぞらせた
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
波が、何度も何度も私を襲う
その度に私は脈打って、
びくんっ、びくんっと体を痙攣させた
『ぶちょう…かわいい…ぶちょう……ひささん……』
もっとも、咲はまだちっとも満足していないようで
なおも半ば意識を失った私の体を弄び続ける
それはまるで、私が初めて夢の中で
咲を散らした時の再現だった
そんなところまで咲は
しっかりと染まりきっていて、
呆れながらも愛おしくてたまらない
『も…さき…ゆるして……っ』
なんて、あえてあまったるい声で咲に懇願する
『そう言って…あの時の久さんはやめてくれたっけ?』
『むしろ…もっと激しく私を責め立てたよね?』
予想通り咲は目を輝かせて、さらに濃密に舌を這わせる
結局咲による蹂躙は、一晩たっても終わることはなく
私が解放されたのは、
陽が落ちて、また陽が昇って、
太陽が空の頂点に辿りついた頃だった
満足げな顔を浮かべて眠る咲の髪の毛を
ゆっくりと梳きながら、
満足に動かない頭でぼんやりと思う。
ひょっとしたら咲は、私以上の
淫魔になってしまったのかもしれない
(あはは。私も…精進しないとねー)
咲の欲望を一人で満たしきれるように
咲に、壊されてしまわないように
…なんて
(もう、とっくに壊れてるか…)
私は一人微笑むと、咲をぎゅっと抱き寄せて、
そのまま穏やかに意識を手放した
--------------------------------------------------------
現実で私を襲う様になってから、
咲の肉欲は少しだけ緩和されたようだった。
まあ夢と違って現実では体力にも限界があるし、
今までがずっと疑似性行為で
欲求不満だったようなものだから。
とはいえ、一度壊れた咲の頭は元には戻らなかった。
「ごめんね、お父さん。私、
部長と一緒に居たいから長野に残るよ」
実の父親の前で、私にしなだれかかりながら。
咲は悪びれもせずそう告げる。
あまりにも体面を取り繕わない咲に
若干慌てながらも、私は申し訳なさそうに頭を下げる。
「すいません…ただ、私も咲の事を真剣に愛してますし、
ちゃんと責任は取るつもりです」
「咲はまだ1年でようやく
学校に馴染んできたところですし…
私に任せてはいただけないでしょうか」
父親も色々と迷ってはいたのだろう。
逡巡する素振りを見せながらも、
最終的には首を縦に振って頷いた。
「…せっかくだから家族全員で
暮らしたいと言う気持ちもあるが…
そもそも修復してくれたのは他ならぬ咲だし、
咲を支えてくれたのは君だろう」
「そんな咲と君が、そうしたいと言うのなら…
俺はその意見を尊重するよ」
「やったぁ!!」
「…ありがとうございます」
私は咲に抱き付かれながら再び頭を下げた。
もっとも頭を下げたその顔には、
薄ら笑いが張り付いていたけれど。
--------------------------------------------------------
緊迫した家族との会談を終えて。
ようやく肩の荷が下りた私に
咲が満面の笑みで纏わりついてきた。
「あーよかった。反対されたらどうしようと思ったよ」
「ふふ、どうするつもりだったの?」
「そりゃ家出して部長のところに行くよ」
完璧な模範解答に頬をゆるめる。
ご褒美に、抱き寄せて唇を落としてあげた。
咲は幸せそうに目を細めながら
舌を絡めてくる。
咲は私の唇を貪りながら会話を続ける。
「んっ…はぁ……
そもそもそんな事になったら、
部長だって黙ってないでしょ?」
「いやいや、私を何だと思ってるのよ?」
「私を無理矢理落とした淫魔さん」
不意打ちだった。
思わず私は目を見張り、咲の顔を覗き見る。
その目は正面から私を見すえていて、
一歩も引くことはない意志が見て取れた。
「…それは、あなたの夢の中の話でしょ?」
「そうだけど。でも、あれってやっぱり部長だよね?」
「…どうしてそう思うの?」
「だって、えっちの仕方が一緒だもん」
「それは、淫魔とやらが
現実の私にあわせただけじゃない?」
「そうだけど…それでも、
私はあの人が部長だったらいいなって思うよ」
ここ最近の咲には見られなかった真剣なまなざし。
その強さに鼓動を早めながらも、
私は続きを促した。
「…どうしてそう思うの?」
「…私を愛してくれたから」
「……」
「私も部長を襲う側になったからわかるんだ。
あの人は、私を愛してくれていた」
「触り方とか、してる時の表情とか。
駄目になっちゃった今になって思い返すとわかる」
「…あの人は、本気で私を、
愛してくれてたんだって」
「もちろん、私に抱かれる今の部長も大好きだけど…
夢の中で私を抱いてくれた部長も好きなんだよ」
「だから…同一人物だと嬉しいな」
「…そっか」
なんとかそれだけ呟きながら、
私はそっと俯いた。
目尻に浮かんだ涙を見られないために。
許されない事をした事実は消えない。
それでも、どこか救われた気がした。
例えこの言葉が、私による洗脳が
もたらした結果であったとしても。
「ねえ。本当のところはどっちなの?」
「いや、それを私に聞かれても」
「でも、そうね?」
私はこっそり指で目をぬぐい、
顔をあげて微笑んだ。
もう二度と使う事はないと思っていた能力。
でも、これからは毎日使う事になるのかもしれない。
「もしかしたら…今夜」
「また、淫魔さんが復活しちゃうかもね?」
そう、貴女を悦ばせるために。
(完)
久「『咲「悪夢と狂気と壊れた私」』の私視点よ。」
<登場人物>
竹井久,宮永咲
<症状>
・ヤンデレ
・狂気
・依存
・思考力低下
・異常行動
<その他>
・これまでになく直接的な性的表現を含みます。
むしろ全編がそんな感じです。
苦手な方は回れ右。
・18歳未満の方の閲覧はおやめください。
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私がその能力に気づいたのは、
思春期を迎えた頃だった。
人の夢の中に入れる。その中で私は無敵。
俗にいう夢魔や淫魔といった手合いの能力。
この力を使えば、今後の人生
何も苦労せず生きていく事ができる。
とてつもなく強力な能力。
私は何の訓練をするわけでもなく、
自然にその力を扱う事ができた。
普通の人が意識せず手を動かせるように。
目で物を見る事ができるように。
それがなぜなのかは、わからないままだけど。
でも私は、この能力を使う気にはなれなかった。
それなりのお年頃になっていた私。
そんな私は、この能力が人として
決して誇れる類のものではないと知っていた。
栄養が普通にご飯から摂取できる以上、
あえてこんな能力に頼る必要もないし、頼りたくもない。
多分一生使うことなく
人生を終える事になるんだろう。
…なんて、思っていたのだけれど。
実際には意外にも早くこの力を使う事になった。
それも生きる糧を得るためではなく、
ひどく醜く、浅ましい目的を達成するために。
そう、それは…ある女の子を手に入れるためだった。
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高3になって初めて、好きな子ができた。
気弱で、大人しくて、
可愛らしい文学少女。
同じ麻雀部部員の宮永咲。
私とは似ても似つかないタイプだったけど、
実際には意外な共通点がいくつかもあって。
同じ本を読んで感想を言いあったり、
家事の大変さを愚痴りあったり。
…家庭で背負った悲しみの傷を舐めあったり。
そう言った小さな事を積み重ねるうちに。
私の中で、咲は少しずつ
特別な存在に変わっていった。
そんな気持ちが恋心に変化したのは、
きっとあの時だったと思う。
『部長…いつもと様子が違ったから』
全国大会の2回戦。
私自身が気づいていなかった不安に、
咲はしっかり気づいていて。
それどころか、試合中の心の機微まで
正確に読み取られていた。
『でも、対局中に立ち直るなんて
さすが部長です!』
そう言って心底ほっとしたように、
安堵の笑みを見せる咲を前にして。
後輩に心配される情けなさを恥じながらも、
心のどこかで、いっそこの子に
どっぷりあまえたい気持ちが顔を出す。
『そっか…咲は見抜いてたんだ』
『じゃあ、今度から…
対局前には咲にチェックしてもらおうかな』
『…はい!任せてください!』
それでつい、こんな約束をしちゃったりして。
対局の前に必ず咲に見てもらって、
『可愛いです!』
って言ってもらうのを
楽しみにするようになった。
『おっ!可愛いかー!』
『…えへへ…そっか』
今思えば、もうこの時には完全に、
咲に恋をしていたんだと思う。
後輩に可愛いなんて言われて、
舞い上がってしまうくらいには。
--------------------------------------------------------
だから耐えられなかった。
咲が、私から離れていくのが。
--------------------------------------------------------
『仲直りできてよかったわね』
『部長のおかげです…ありがとうございます』
『私は何もしてないけど?』
『いいえ…あの時部長が私を
麻雀部に誘ってくれたから』
『私に勝つ喜びを教えてくれたから』
『だから、今の私があるんです』
『ありがとうございます』
『あはは。ま、素直に
どういたしましてって受け取っておくわ』
『可愛い後輩だしね。
これからもどんどん頼ってちょうだいな』
『そうですね…』
『これからは、ちょっと
会いにくくなっちゃうかもですけど…
仲良くしてもらえるとうれしいです』
『…へ?』
『ど、どういう事?』
『…実は、親の不仲も解消されそうなので
もう一度やり直そうって話が出てるんです』
『お姉ちゃんはプロになるみたいですし…
東京の方が何かとやりやすいだろうから』
『いっそ、私達も引っ越したらどうかって…』
『まだ、迷ってるんですけどね』
『そ、そっか……』
『ま、まぁ真剣に悩みなさい?
あなたはまだ1年生なんだから』
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インターハイは、咲にとって
最上の結果をもたらした。
でも代わりに、私にとっては
愛する人を失う結果となりそうだった。
元来あまり心が強くない私は、
その可能性に囚われてしまって。
もうそれしか考えられなくなった。
咲が笑顔で家族について話すたびに。
引っ越しの可能性をちらつかせるたびに。
身を引き裂くような痛みと、
身体の内側からちりちりと
焼かれるような熱に悶えた。
自分が、少しずつおかしくなっていくのを感じた。
咲の言動にいちいち過敏に反応してしまう。
咲がいなくなることを想像しただけで
涙腺が緩み、その場に崩れ落ちそうになる。
気づけば私は…
どうすればそれを阻止できるのか、
そればかりを考えるようになっていた。
そして、私が出した結論は…
咲を壊してしまう事。
心を摩耗させ、身体を支配して、
その隙につけいって…
他の人なんて目じゃないくらい、
私に依存させる事。
そのためならどんな卑怯な手でも
躊躇う事なく使おうと思った。
そして最悪な事に…
私はそれを実現できるだけの
能力を持ち合わせていた。
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『ぶ、部長…?』
『あー、違う違う。私は
あなたの知ってる部長じゃないわ』
『え、で、でも…』
『うん、最初に状況整理しておきましょうか。
ここはあなたの夢の世界。
私はそこに入り込んだ不法侵入者』
『で、私はあなたの記憶から
知ってる人の姿形を模して今に至る』
『ここまではいいかしら?』
『ええと、つまりは…
夢魔みたいなものですか?』
……
『…なんで部長を選んだんですか?』
『さらにそこ聞いちゃうかー。って、
言われなくてもわかってるんじゃないの?』
『…正直、意外なんです』
『…そっか。じゃあ教えてあげるわ。
私がこの娘を似姿として選んだ理由。
と言っても、夢魔としては
ありきたりな理由なんだけど』
『あなたが、この娘を愛しているからよ?』
--------------------------------------------------------
嘘だった。
いくら夢の中とはいえ、人が隠している
秘密を暴くのはそんな簡単な事じゃない。
そもそも、もし咲が本当に私を好きなら、
引っ越しなんて考えもしないんじゃないだろうか。
だから実際のところはわからない。
覗いてみたら真実だった可能性もある。
でも、その真実を垣間見る勇気なんて
私にはなかった。
だから刷り込む。咲は私の事が好きだったって。
真実なんてどうでもいい。
これから真実にしてしまえばいい。
圧倒的な快楽と共に。
私は咲を食らい尽くす事に全神経を注いだ。
服をはぎ、触れるところは全部触った。
体のいたるところに痕をつけた。
咲の感じるところを見つけ出して、
徹底的に苛め抜いた。
『やっ…やめてくださいっ……やめてっ……!』
予想よりもはるかに早く、
咲は荒い息を吐き始めた。
主張を始めた胸の先端を
指の腹で優しくこね回すと、
それだけでびくりと体が跳ねた。
みるみる声が上擦り、
艶めかしいものに変わっていく。
そっと手を足のつけ根に滑り込ませると、
そこはもう熱く滑った液体で満たされていた。
『ずいぶん敏感ね。そんなにこの娘が好き?』
気を良くした私は、さらに咲を責め立てる。
わざとらしく音を立てて熱い蜜をすすり、
くちゅくちゅと水音が響き渡るようにかき回す。
咲の声がいよいよ緊張を増していく。
身体がガクガクと小刻みにわななき、
今にも壊れてしまいそう。
『さ、イッちゃいなさい…?
私の…愛する部長の目の前で』
そう耳元で囁きながら、
限界までふくれあがった突起を
きゅっとつまんだ。
刹那、咲の体は大きく弓なりにのけぞり、
声にならない悲鳴が咲の喉を抜けていく。
『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!』
ガクガクガクガクッ!!
咲は千切れんほどに四肢を震わせて、
思いっきり昇りつめて…
やがて、事切れたように動かなくなった。
私は静止した咲をそっと抱き締めながら、
頬を伝った涙を舌で念入りに舐めとった。
心の中で、何度も何度も謝罪しながら。
ごめんね でも、こうするしかないの
せめて、いっぱい気持ちよくしてあげる
私の事しか、考えられなくなるように
咲の秘部を再びやわやわと弄り始める。
咲の意識が戻った時に、
すぐに快楽の波に翻弄されるように。
私の期待通り、目を覚ました咲は
自分の体の発情ぶりに適応できず狼狽えた声をあげる。
そしてそのまま、訳もわからず
再度絶頂に押し上げられていく。
まだ処女であろう咲には強すぎる快楽。
咲は涙と涎を垂らしながら達し続ける。
やがて咲はそこから降りる事ができなくなり、
身体をびくびくと痙攣させ続けながら
悲痛な声で泣き叫んだ。
『いやっ!もうやめてっ!おかしくなるっ!!』
それでいいの。そのまま、
おかしくなってしまいなさい?
『駄目よ、咲。もっと……おかしくなって?』
私はひたすら、ひたすら
暴力的な快楽を与え続けた。
咲が、人間の言葉をしゃべれなくなって、
ただ鳴き声をあげる動物に変わり果てるまで。
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次の日。
咲は意外にも学校にやってきた。
しかもちゃんと部室にも顔を出してきた。
まだ余裕があったんだろうか。
いや、そんな事はなかったはず。
でも次からはもっと徹底しよう。
なんて思いながら咲の顔を覗きこむ。
「……っ」
私に見つめられた咲は、
真っ赤な顔をして目をそらした。
「んー?どったの咲。なんか私の事避けてない?」
「あ、い、いえ…別にそんな事は…」
そう言いながらも露骨に顔を背ける咲。
私は少なからず傷つきながらも、
それが嫌悪感から来る行為ではない事に気づいた。
だって咲は私の指を覗き見て、
もぞりっ…と
下半身をくねらせたから。
(…ふーん)
どうやら、昨日の調教は
しっかりと咲の身体に根付いているらしい。
私は思わずいやらしい笑みが
こぼれそうになるのを押しとどめた。
「んー…ま、事情はわからないけど…
今は無理しない方がいいと思うわ」
「ちょっとベッドで眠ったら?
少しは楽になるかもよ?」
「ふぁっ…はいぃっ……」
そっと耳に顔を寄せて、努めて優しい声音で囁く。
咲は熱に浮かされたように頷くと、
ふらふらとベッドに向かっていった。
咲は気づいただろうか。
自分の声が、ひどく熱く、
色に塗れて(まみれて)いたことに。
結局その日、咲がベッドから
出てくることはなかった。
でも咲を覆った布団が不自然にもぞもぞと
動いている辺り、きっと昨日の夜を思い浮かべて
その身を焦がしているんだろう。
それでいい。そうやって、
脳内を私で埋め尽くしていればいい。
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次の夜。咲の夢に入り込んだ私は、
そこに奇妙な物体を見つけた。
ゴムに入った白濁した液体。
ある行為の後を彷彿とさせる物体。
『あはは』
私は思わず吹き出した。
確か小説で見たことがある。
夢魔対策として枕元に牛乳を置いておくと、
夢魔が精液と勘違いして
それを持って満足して去っていく話。
馬鹿らしい。
そんなもので退散するくらいなら、
最初から女のあなたを襲ったりしないわよ。
夢の中で膝を抱えてうずくまる咲に、
私はからかうような口ぶりで感想を告げた。
『私は精液とか大っ嫌いだから。
枕元に牛乳とか置いても全く効果ないわよ?』
『まあ、そんな迷信を真面目に実行しちゃう
あなたの可愛さにはそそられるけど』
あえてけらけらと怒りを煽るように笑ってやると、
咲はあまり見せた事のない表情を見せた。
『あなた程度だったら、こんなのでも
ひっかかるかなって思ったんだよ』
明確な憎悪。
それは大人しい咲がほとんど見せなかった感情。
負の感情にも関わらず、
私は思わず悦びに体を震わせてしまった。
だってそれは、それだけ咲の心が
私で埋め尽くされている表れだから。
『ふふ…何?わざわざ
私を怒らせるような事言っちゃって。
そんなに激しく責められたいのかしら?』
『…私が何を言おうと、
どうせやる事は同じなんでしょ?
だったら怒りくらいぶつけさせてもらうよ』
『もう好きにしていいから、さっさと終わらせて』
咲は自棄になって自分から服を脱ぎ捨てる。
でも、その肌はすでに紅潮していて…
太ももは、てらてらとぬめる粘液で光っていた。
その卑猥な光が、また私から理性を奪う。
それでもなんとか余裕をもったふりをして、
私は咲の体に絡みついた。
--------------------------------------------------------
咲の体は、前に比べたら随分こなれていた。
最初の頃の拒絶反応じみた激しい反応は無くなって、
少なくとも体は素直に
快楽を受け入れているようだった。
『あっ…もうっ、やだっ……』
私の指の動きに呼応して、
咲の腰が艶やかにくねり始める。
無意識か否か。憎むべき私にしがみつきながら、
ぐいぐいと秘部を私の指に押しつけてくる。
『あっ…あっ…あっ、あっ、あっ』
小刻みな喘ぎ声。限界が近い証拠。
ちょっと前にも達したばかりなのに。
もうイキぐせがついてしまった咲は、
あっさり昇りつめていく。
そんな咲が、たまらなく愛おしい。
『ぶ、ぶちょうっ!わ、わたしっ!』
『さき、さき、さき』
『ぶちょうっ、ぶちょうっ!』
『さき、好きよ咲!イッて!!』
しまった。
思わず感極まって、本音が口をついて出てしまった。
内心私はうろたえながら咲の顔色を伺う。
でも咲は次の瞬間、予想外の反応を示した。
きゅうぅぅっ…!!
咲の中が収縮し、ちぎれんばかりに指を締め付けてくる。
まるで、私の愛に応えるかのように。
そして、咲はひときわ大きな声で鳴いた。
今までで一番大きな声をあげて。
『ぶちょうっ、イキます、私!やっイクッ!!』
『やぁああああああっ!!!!』
咲は狂ったように嬌声をあげながら、
がむしゃらにしがみつく。
肉壁が蠕動し、まるで制御機能が壊れてしまったかのように、
咲はびゅるっ…びゅるっ…と
熱くねばった愛液を噴きだした。
『あっ…はっ……ひぁっ』
咲はなかなか降りてこれなかった。
だらしなく顔を弛緩させて、
口の端からよだれを垂らしながら
意味をなさない文字を零し続ける。
私に体を擦り付けたまま。
私はなんだか、咲に受け入れてもらえたような
都合のいい錯覚を覚えて。
思わず目に涙をにじませながら、
強く咲を抱き寄せた。
--------------------------------------------------------
繰り返していくうちに、
咲はどんどんおかしくなっていった。
夢と現実の区別がつかなくなってきている。
性欲を制御する術を失ってきている。
感情を隠すことができなくなってきている。
それは私の気のせいではなく。
明確に咲の言動から感じる事ができた。
売店に備品を買いにいく。ただそれだけなのに、
咲は当然のように私の手を握った。
それも、一本一本愛おしそうに絡みつかせて。
「……」
私もそれとなく指の腹を使って、
咲の手の甲を優しくまさぐる。
それだけで咲はとろんとあまえた表情を浮かべて、
私に体をすり寄せた。
姿勢も内股になって、もぞもぞと腰が動き始めている。
どうやらもうスイッチが入ってしまったらしい。
咲が執拗に纏わりついてくるから、
数十メートルもない売店に行くだけでも時間がかかる。
売店に着くころには、咲の目は潤みきって。
今にも始めてしまいそうな勢いだった。
さすがにこの状態のまま店員の前に
顔を出すわけにはいかない。
「到着!」
私は気つけ代わりに大きく声を出す。
咲はビクリと体を震わせると、
少しだけ正気を取り戻したようだった。
もっともそれでも、咲は私の腕にぎゅっと
身体を押し付けてきたのだけれど。
私はそれに気づかないふりをしながら、
店員に注文しつつ咲に問いかける。
「ホワイトボードのペンに付箋。
後は…あれ、何かあったと思うんだけどなぁ」
「咲、覚えてない?」
「え?えーと…何だっけ。
あ、部長消しゴム失くしてなかった?」
「あー、それだ。ありがとね。
すいません、消しゴムも3つください!」
「えへへ…」
咲の言葉遣いは元に戻っていた。
そう、夢の中で交わりながら話すあの時のように。
店員が冷やかすようにニヤニヤした目を向けるも、
咲は全く気づいていないようだった。
もう問題ない。咲は、身も心も私に溺れている。
手遅れな程に。もう、二度と戻れない程に。
そろそろ夢を現実と入れ替える時期だろう。
私は咲に、夢の終わりを告げる事にした。
--------------------------------------------------------
『あ、そう言えば気づいた?』
『何に?』
『いやさ、現実の私が、
咲の異常さに気づき始めてるわよ?』
『そ、そんな…ぶ、部長に嫌われちゃうよ』
『あ、それはないと思うわよ?』
『え?』
『いやさ、ぶっちゃけあなたがあの子の事
やらしい目で見始めたのって
もっとずっと前からなのよ』
『なのにあの子、あなたの事
避けたりしなかったでしょ?』
『後ね?実は私、あの子の夢にもお邪魔して
ちょっと探りを入れてきたのよねー』
『……もし、あなたが』
『この夢を現実にしようと思ったら…』
『それは十分実行可能だと思うわよ?』
『そ、それって…!』
私の言葉に咲はあっさりと陥落した。
私の腕に抱かれながら、咲はその目を輝かせる。
『そっか…そうだよね』
『きっと…部長だって待ってるんだよ』
『私の事』
『もし、そうじゃなかったとしても…』
『そうしちゃえばいいよね?』
咲は蕩けきった顔のまま、どこか
凄みを感じさせる笑みを浮かべる。
そのあまりの妖艶さに、今度は私がぞくぞくと
背を逆立たせる番だった。
例え相手が嫌がっていても、
無理矢理作り変えてしまえばいい。
咲が言った事はそういう事。
それは、まさに私が咲にしたそのままで。
その言葉で私は確信する。
咲は…私と同じところまで堕ちてきた。
堕ちてきてくれた。
後はただ咲に襲われればいい。
精一杯の被害者面をして。
--------------------------------------------------------
夢の中で見たのと同じとろけた顔で、咲が私に覆いかぶさる
それは夢にまで見た光景だったけど、
表向きには拒否して見せた
それでも咲はまったくやめる素振りを見せず、
そのまま私に絡みついて、強引に床に組み伏せる
「動いたらダメだよ?部長…」
なんて言いながら取り出したのは裁断ばさみ
脱がせる手間すら惜しいなんて、
ちょっとがっつきすぎじゃない?
なんて内心吹き出しながらも、
私はなおも形だけの抵抗を続けた
もっとも、ある一点だけは
どうしても演技する事ができなかったけれど
「あは…やっぱり部長も期待してたんだ」
私の秘所に手を伸ばした咲は、
嬉しそうに中指と薬指を
くぱっ…くぱっ…と広げて見せる
そのたびに、両方の指の間で私の分泌した蜜が
ぬちゅりっ…ぬちゅりっ…と糸を引いた
「だったら…遠慮なんていらないよね…?」
上擦った声で、はぁはぁと息を荒げながら咲が私に襲い掛かる
嘘おっしゃい
最初から遠慮なんてしてなかったくせに
なんて考えながらも、私もつい期待に胸を躍らせる
咲の指が、掌が、舌が、唇が、私の体を這っていく
それは全部、私が咲に教え込んだテクニック
いつかこうして、咲に可愛がられる日が来る事を期待して
教えを忠実に実行する咲を前に、
私は素直に悦び、昇りつめていく
私の『そこ』がヒクッ…ヒクッ…とひくつき、
そのたびに熱い蜜がぐちゅりと押し出される様を見て
ついに、咲がそこに指を差し入れてくる
咲はいつもと違う私の中に
違和感を感じ取ったようだった
そして、その違和感の意味に気づいた瞬間、
獣じみた笑みを浮かべて…
思い切り、指を突き刺した
「…ッッ!!」
文字通り破瓜の激痛が私の体を襲う
でも、同時にその瞬間…
私は、絶頂を迎えていた
「……っ!」
「……っ!」
痛みをはるかに上回る悦びが私を襲う
愛する人に、初めてをもらってもらえた
その幸せが、私の中を荒れ狂う激流となって駆け巡る
私はシーツをぎゅっと握りしめ、
一筋喜びの涙を流した
『ぶちょう、ぶちょう、ぶちょう、ぶちょうっ!』
そんな私の心境を知ってか知らずか、
咲はなおも狂ったように私の中をかき回す
ぐちゅりっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ
その音を立てているのは、愛液なのか血液なのか
わからないまま、私は激痛と苛烈な快感に襲われ続ける
やがて、さっき迎えたよりも
さらに大きな波が私の中でうねりだし
私は体を大きくのけぞらせた
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
波が、何度も何度も私を襲う
その度に私は脈打って、
びくんっ、びくんっと体を痙攣させた
『ぶちょう…かわいい…ぶちょう……ひささん……』
もっとも、咲はまだちっとも満足していないようで
なおも半ば意識を失った私の体を弄び続ける
それはまるで、私が初めて夢の中で
咲を散らした時の再現だった
そんなところまで咲は
しっかりと染まりきっていて、
呆れながらも愛おしくてたまらない
『も…さき…ゆるして……っ』
なんて、あえてあまったるい声で咲に懇願する
『そう言って…あの時の久さんはやめてくれたっけ?』
『むしろ…もっと激しく私を責め立てたよね?』
予想通り咲は目を輝かせて、さらに濃密に舌を這わせる
結局咲による蹂躙は、一晩たっても終わることはなく
私が解放されたのは、
陽が落ちて、また陽が昇って、
太陽が空の頂点に辿りついた頃だった
満足げな顔を浮かべて眠る咲の髪の毛を
ゆっくりと梳きながら、
満足に動かない頭でぼんやりと思う。
ひょっとしたら咲は、私以上の
淫魔になってしまったのかもしれない
(あはは。私も…精進しないとねー)
咲の欲望を一人で満たしきれるように
咲に、壊されてしまわないように
…なんて
(もう、とっくに壊れてるか…)
私は一人微笑むと、咲をぎゅっと抱き寄せて、
そのまま穏やかに意識を手放した
--------------------------------------------------------
現実で私を襲う様になってから、
咲の肉欲は少しだけ緩和されたようだった。
まあ夢と違って現実では体力にも限界があるし、
今までがずっと疑似性行為で
欲求不満だったようなものだから。
とはいえ、一度壊れた咲の頭は元には戻らなかった。
「ごめんね、お父さん。私、
部長と一緒に居たいから長野に残るよ」
実の父親の前で、私にしなだれかかりながら。
咲は悪びれもせずそう告げる。
あまりにも体面を取り繕わない咲に
若干慌てながらも、私は申し訳なさそうに頭を下げる。
「すいません…ただ、私も咲の事を真剣に愛してますし、
ちゃんと責任は取るつもりです」
「咲はまだ1年でようやく
学校に馴染んできたところですし…
私に任せてはいただけないでしょうか」
父親も色々と迷ってはいたのだろう。
逡巡する素振りを見せながらも、
最終的には首を縦に振って頷いた。
「…せっかくだから家族全員で
暮らしたいと言う気持ちもあるが…
そもそも修復してくれたのは他ならぬ咲だし、
咲を支えてくれたのは君だろう」
「そんな咲と君が、そうしたいと言うのなら…
俺はその意見を尊重するよ」
「やったぁ!!」
「…ありがとうございます」
私は咲に抱き付かれながら再び頭を下げた。
もっとも頭を下げたその顔には、
薄ら笑いが張り付いていたけれど。
--------------------------------------------------------
緊迫した家族との会談を終えて。
ようやく肩の荷が下りた私に
咲が満面の笑みで纏わりついてきた。
「あーよかった。反対されたらどうしようと思ったよ」
「ふふ、どうするつもりだったの?」
「そりゃ家出して部長のところに行くよ」
完璧な模範解答に頬をゆるめる。
ご褒美に、抱き寄せて唇を落としてあげた。
咲は幸せそうに目を細めながら
舌を絡めてくる。
咲は私の唇を貪りながら会話を続ける。
「んっ…はぁ……
そもそもそんな事になったら、
部長だって黙ってないでしょ?」
「いやいや、私を何だと思ってるのよ?」
「私を無理矢理落とした淫魔さん」
不意打ちだった。
思わず私は目を見張り、咲の顔を覗き見る。
その目は正面から私を見すえていて、
一歩も引くことはない意志が見て取れた。
「…それは、あなたの夢の中の話でしょ?」
「そうだけど。でも、あれってやっぱり部長だよね?」
「…どうしてそう思うの?」
「だって、えっちの仕方が一緒だもん」
「それは、淫魔とやらが
現実の私にあわせただけじゃない?」
「そうだけど…それでも、
私はあの人が部長だったらいいなって思うよ」
ここ最近の咲には見られなかった真剣なまなざし。
その強さに鼓動を早めながらも、
私は続きを促した。
「…どうしてそう思うの?」
「…私を愛してくれたから」
「……」
「私も部長を襲う側になったからわかるんだ。
あの人は、私を愛してくれていた」
「触り方とか、してる時の表情とか。
駄目になっちゃった今になって思い返すとわかる」
「…あの人は、本気で私を、
愛してくれてたんだって」
「もちろん、私に抱かれる今の部長も大好きだけど…
夢の中で私を抱いてくれた部長も好きなんだよ」
「だから…同一人物だと嬉しいな」
「…そっか」
なんとかそれだけ呟きながら、
私はそっと俯いた。
目尻に浮かんだ涙を見られないために。
許されない事をした事実は消えない。
それでも、どこか救われた気がした。
例えこの言葉が、私による洗脳が
もたらした結果であったとしても。
「ねえ。本当のところはどっちなの?」
「いや、それを私に聞かれても」
「でも、そうね?」
私はこっそり指で目をぬぐい、
顔をあげて微笑んだ。
もう二度と使う事はないと思っていた能力。
でも、これからは毎日使う事になるのかもしれない。
「もしかしたら…今夜」
「また、淫魔さんが復活しちゃうかもね?」
そう、貴女を悦ばせるために。
(完)
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初恋が高三だと言う事はそれまでお付き合いの経験は無いっぽい。それであのテクニック。
自家発電で培ったのかイメージトレーニングなのか……どっちでもいける!
久咲も咲久も最高ですね!
これからも楽しみにしてます!
更新頑張ってください^ ^!
でも何だかんだで最後かっこ良いとかね
溺れて尽くすとかどちらかと言うと負なイメージなのに部長だとかっこ良くなちゃうのは部長ゆえにですね
内容も好き