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【咲-Saki-SS:玄灼】玄「やっぱり私達ってお似合いだね」【ヤンデレ】【監禁】
<あらすじ>
なし。その他のリクエストを参照してください。
<登場人物>
松実玄,鷺森灼,赤土晴絵,高鴨穏乃,新子憧,松実宥
<症状>
・シリアス
・監禁
・狂気
・洗脳
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・灼に想いを寄せている玄がIHが終わったのに
晴江にひっついている灼を我慢できなくなって
監禁する、的な玄灼。
ギャグ、シリアスはお任せ。
※ギャグ要素が多少入りますが
基本的にはカオス&狂気&シリアスです。
苦手な方はご注意を
※理不尽に晴絵を貶めてはいないつもりですが、
話の都合上晴灼好きな人は回避推奨です。
--------------------------------------------------------
灼「んっ……」パチッ
灼「ここは…どこ?」
灼(薄暗いけど…間違いなく私の部屋じゃない)
灼(自分の部屋で寝てたはずなのに)
灼「…わけがわからな…どういう事?」
玄「やっと目が覚めたみたいだね」
灼「玄…どうしてここに?」
玄「拉致してきちゃった」
灼「…は?」
玄「だから、無理矢理奪ってきちゃったんだよ」
灼「奪う…?一体、誰から…?」
玄「そりゃ、赤土先生からだよ?」
灼「話が見えな…どうしてそんな事を?」
玄「灼ちゃんがいつまでたっても
赤土先生に囚われてるからだよ」
玄「インターハイも終わって、
先生もプロ入りを決めて出ていっちゃったのに、
ずっとハルちゃんハルちゃんって」
玄「こりゃあもう、荒療治するしかないなって」
灼「……」
灼「…それで、わざわざ拉致して
ここに連れてきたって事…?」
玄「うん」
灼「…はぁ」
灼「荒療治が必要なのは玄の方だと思…」
灼「それだけの理由で、人を一人拉致監禁とか…
まともな精神状態とは思えな…」
玄「私の行動が普通じゃないのはわかってるよ。
でも、危ないのは灼ちゃんの方なんだよ?」
灼「…どういう事?」
玄「こんな事、私一人でできるわけないよね?
言っちゃえば、共犯者がいるんだよ」
玄「それはつまり、今回の行動は
私以外の人も仕方ないって思ってるって事」
玄「みんな、私が相談したら快く手伝ってくれたよ」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
穏乃
『灼さんを監禁する!?』
玄『…うん。最近の灼ちゃんは見るに堪えないよ』
憧『確かに。死んだような目をして
何もない虚空を見つめてると思ったら、
突然笑い出して
《ふふっ…ハルちゃん…》とか言ってるしね』
穏乃
『私この前部室の隅でネクタイを
ペロペロ舐めてるの見ちゃった…』
玄『現実を見せなきゃダメなんだよ。
もう赤土先生はいないんだって』
玄『そのためには、ちょっと
強引な方法でも仕方ないと思うんだ』
穏乃
『そ、それはわからなくもないですけど…』
宥『…具体的にはどうするの?』
玄『松実館の地下を使うよ。あの地下牢なら、
まず誰にも見つからないし』
穏乃
『えぇ!?そんなのあるんですか!?』
宥『昔からある旅館だから…政治的な関係で
いろいろあったみたい』
憧『…今も誰か捕まってるとかはないよね?』
宥『……』
宥『ふふ、さすがに今はいないよ?』
玄『あそこなら洗脳設備もバッチリだから、
灼ちゃんも立派に矯正できるはずだよ!』
憧『なんか松実館もガチ犯罪のにおいがして
気になるけど…
毒をもって毒を制するのはありね』
穏乃
『…私は賛成。灼さんがまともになるなら
この際手段は選んでられないよ』
宥『うん。そうだね…私たちも手伝うよ』
玄『みんな、ありがとう!
私、絶対に灼ちゃんを
真人間に戻してみせるよ!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
玄「…というわけだよ」
灼「…私、そんなにおかしかった?」
玄「というか、ネクタイをペロペロして
おかしくないとか思ってる時点で
思いっきりアウトだよ?」
灼「…そうなんだ」
玄「やっぱり本気で気づいてなかったんだね。
穏乃ちゃんなんか
割と本気でおびえてるからね?」
灼「ぅっ…それは普通に申し訳な…
わかった。やり方はちょっと強引だけど、
玄の言う通りリハビリしてみる事にする…」
玄「その意気だよ灼ちゃん!
頑張って真人間を目指そうね!」
灼「……」コクン
灼(頷いては見たものの…
よりによって玄に言われるの、
ものすごく釈然としな…)
--------------------------------------------------------
灼「でも、リハビリって言っても一体何するの…?」
玄「んー、ここにいてくれるだけでも
赤土先生断ちはできるから
ある程度意味はあると思うけど」
玄「せっかくいろいろ設備もあるし
色々やってみる事にしました!」
灼「…というかなんでそんな設備があるの…」
玄「そこはこの際気にしない!
というわけでヘッドフォンかぶせるね」
玄「…あ、と。始める前にちょっと拘束するね。
これ聞いたら暴れ出しちゃうかもしれないし」縛り縛り
灼「こわ…一体何を聞かせる気なの」
玄「…普通の人にとっては普通の言葉だけど、
灼ちゃんにとっては劇薬だろうから」縛り縛り
玄「うん、それじゃあスイッチスタート」カチッ
晴絵
『今まで本当にありがとう。
これからは少し距離は遠くなっちゃうけど
皆ならきっと大丈夫!』
灼「ごふっ」こぴゅっ
玄「うわぁっ!?灼ちゃん大丈夫!?」
玄「まさか喀血(かっけつ)まで
するとは思わなかったよ!」
灼「ハルちゃんっ…見捨てないでっ…!
ハルちゃんっ…!!!」じたばた
玄「頑張って灼ちゃん!これを乗り越えないと
真人間に戻れないんだよ!」カチッ
晴絵
『これが今生の別れってわけじゃないさ。
お前たちが麻雀を打っていたら、
きっといつか、またどこかで出会うよ』
灼「別れたくない!ずっと別れたくない!」
灼「片時も!一分一秒別れたくない!!」
玄「…次の行くね?」カチッ
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
灼「はるちゃぁあああああああっ!!」ごぱぁっ
玄「…乗り越えてね、灼ちゃん」
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--------------------------------------------------------
憧「灼の調子はどう?」
玄「んー、芳しくないかなぁ」
穏乃
「ぐ、具体的にどんな感じなんですか?」
玄「例のネクタイは持ってこなかったんだけど…
なんかエアネクタイをペロペロしてる」
穏乃
「……」ゾクッ
宥「重症だね…」
玄「まあ10年越しの想いだもんね。
気長にリハビリしていけばいいかなって思ってるよ」
穏乃
「玄さん優しいなぁ…
私だったらちょっと無理だよ」
憧「そうね。ホント、玄は優しいわ」
憧(……何も裏がなければね)
玄「というわけで今日も
灼ちゃんについていたいから
早めに帰るね?」
穏乃
「お疲れ様です!頑張ってください!」
玄「うん!」
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--------------------------------------------------------
灼「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
玄「…気分はどう?灼ちゃん」
灼「玄…ハルちゃんに会わせてほし…!」
玄「灼ちゃん…それは無理な注文だよ?」
灼「だったら、せめて…ネクタイ、返して…」
玄「ネクタイは灼ちゃんの家に
置いてあるだけだよ?」
灼「今…!今必要…!今…!!今…!!」
玄「…はい」
灼「あっ、ネクタイ!ネクタイペロペッ…!!」
灼「……」
灼「これ、違…」
玄「灼ちゃん本当におかしいね。
なんでわかっちゃうのかなぁ」
玄「ほつれ具合とかもほとんど
一緒にしたはずなんだけど」
灼「あのネクタイは、昔のハルちゃんの
においが染みついてる…」
灼「これは、今のハルちゃんの
においはするけど偽物…」
灼「何より、私のネクタイはこんなに
玄のにおいは染みついてな…」
玄「……」
玄「うん。そのネクタイは私のだよ。
赤土先生に頼んで、
私のネクタイに頬ずりしてもらったんだ」
灼「なんでそんな真似を…」
玄「そりゃ、赤土先生を克服するためだよ」
玄「少しずつ赤土先生臭を減らしていけば、
無理なくリハビリできるかなって」
灼「…そんな簡単にいくわけな…」
玄「じゃあ、そのネクタイ返して?」
灼「……」
灼「…これはこれで今の
ハルちゃんの味がするからもらっておく…」ペロペロ
玄(…案外うまくいくんじゃないかな?)
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--------------------------------------------------------
玄「…というわけで、一定の効果が出てきたよ」
穏乃
「え、でもそれって…最終的に、
依存の対象が玄さんに代わるだけじゃないですか?」
玄「うん…でも、少なくとも赤土先生がいた頃の
灼ちゃんには戻ると思うから」
玄「そこから真人間にしていくのは、
気長にやっていけたらいいなって思ってるよ」
穏乃
「で、でも!それじゃ、玄さんが犠牲に…!」
玄「…私は、待つの慣れてるから…」
玄「大丈夫。きっと、いつか私たちの
大好きな灼ちゃんに戻ってくれるはずだよ…!」
穏乃
「玄さん…!」
憧「……」
憧(いやいや、最初から
元に戻すつもりなんてないでしょ?)
憧(やっぱこれ、玄もどこか狂ってるわね。
でも、なんで玄が灼を…?)
憧(ま、どうでもいっか。
シズにさえ危害が及ばないなら)
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灼「……」ペロペロ
灼「……」ペロペロ
玄「灼ちゃん、調子はどう?」
灼「…悪くな……」
玄「へぇ!それ、赤土先生には
1回握ってもらっただけで、
ほとんど私成分なんだけど」
灼「…これはこれでありって気がしてきた」
玄「嬉しいな!じゃあ、いつもの奴やろうね!」カチッ
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
灼「……」じわっ
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
玄『…いくらでもペロペロしていいよ?
私は、そんな灼ちゃんも大好きだから』
灼「……っ!!」
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
玄『…いくらでもペロペロしていいよ?
私は、そんな灼ちゃんも大好きだから』
玄『…いくらでもペロペロしていいよ?
私は、そんな灼ちゃんも大好きだから』
玄『…いくらでもペロペロしていいよ?
私は、そんな灼ちゃんも大好きだから』
灼「……」
灼「……」ペロ…ペロ…
玄「……」
……
灼「」ペロペロペロペロペロペロ
玄「3時間経ったね。今日は
このくらいにしておこっか」
灼「…玄」
玄「ん?なに?」
灼「…玄は、本当に、私の事、捨てない…?」
灼「もし、私が依存したら…」
灼「ずっと、一緒にいてくれる…?」
玄「……」
玄「もちろんだよ?」にっこり
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--------------------------------------------------------
憧「灼の調子はどう?」
玄「順調だよ。最近はもう私100%の
ネクタイをずっとしゃぶってるし」
玄「赤土先生の絶望ボイスでも吐血しないし、
私の愛の告白ボイスの方をせがむようになったし」
玄「この調子なら赤土先生中毒を
克服できる日も近いんじゃないかな?」
憧「…それで、今度は玄中毒になるってわけ?」
玄「うん!実はもうなりかけてるけどね」
憧「私にはごまかさないんだ?」
玄「だって憧ちゃんは最初から勘付いてたでしょ?
今更言い繕っても仕方ないもん」
憧「…ま、私はシズにちょっかい出さないなら
気にしないけどね」
憧「むしろアンタと灼がくっついてくれるなら
その方がありがたいわ」
玄「…私が終わったら、憧ちゃんもやる?」
憧「……」
憧「いやいや、松実姉妹と一緒にしないでよ。
私はシズを変な虫から守りたいだけ」
憧「覚えておきなよ?
自分達が異常だって事くらいは」
玄「あはは、ちゃんとわかってるよ」
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--------------------------------------------------------
灼「……」ぼーっ
灼「……」ペロペロ
灼「……っ!玄のにおい…」きょろきょろ
玄「灼ちゃーん」
灼「玄っ…」がばっ
玄「ただいまー…って、うわぁっ!」
灼「玄…玄……」ぺろぺろ
玄「あはは、灼ちゃんくすぐったいよ…んっ」
灼「玄…寂しかった…」すりすり
玄「ごめんね?これでもできるだけ
灼ちゃんを優先するようにしてるんだけど」なでなで
灼「…優先じゃなくて、私だけに専念してほし…」
玄「…それを求めるなら、灼ちゃんも
私だけを見るようにしてほしいな?」
灼「…私はもう、十分玄だけ見てると思…」
玄「じゃあ、灼ちゃんの家にある、
赤土さんのネクタイ燃やして捨てていい?」
灼「…!?そ、それは……」
玄「……」
玄「あはは、本当に捨てたりはしないよ?
赤土先生は私にとっても大切な人だもん」
玄「…でも、まだ駄目みたいだね」
玄「…もっと、私に溺れてね?」しゅるんっ…
玄「溺れて、溺れて」
玄「…私以外、見えなくなるくらいに」
灼「くっ…くろっ……」
玄「ふふ、赤土さんにも、
こんな事された事ないよね?」
灼「あっ…当たり前……でしょ」
玄「灼ちゃんの初恋はもらい損ねちゃったけど」
玄「それ以外は、ぜーんぶ私がもらっちゃうからね?」
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--------------------------------------------------------
宥「…玄ちゃん。今どんな感じ?」
玄「うん。ほとんど終わったかな」
宥「…じゃあ、間に合いそう?」
玄「うん。たぶん大丈夫」
玄「式までには、なんとか間に合わせてみせるよ」
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--------------------------------------------------------
灼「くろっ…くろっ……!」
玄「あらたちゃんっ、あらたちゃんっっ…あぁぁっ!!」
灼「はぁ…はぁっ」
玄「はぁっ…んっ……」
灼「……」
玄「……」
灼「…玄…もう一回…」
玄「うん…いいよ…でも、今日はその前に
一つ話しておく事があるんだ…」
灼「…何?」
玄「実はね?もうすぐ
赤土先生の結婚式があるんだよ」
灼「!?」
玄「あー…やっぱりまだ
思い出せてなかったんだね」
灼「…思い出すも何も…!
私はそんなの知らな…!」
玄「ううん、灼ちゃんは知ってるんだよ?」
玄「思い出して?あの日の事を」
玄「そもそも、灼ちゃんがおかしくなった理由」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
晴絵
『というわけで、プロになる事にしたんだ。
だから、麻雀部の顧問は引退する事になる』
灼『そんなっ…まだ私達1年あるのに、なんで…!』
晴絵
『それを言うなら2年だろ?
憧や穏乃の代まで終わる事を考えたら』
晴絵
『そうやって続けていったら、
結局はどこかの世代で
半端に打ち切らないといけなくなる。
なら、私はここで幕を閉じようと思う』
晴絵
『私を救ってくれた、今の世代で』
灼『そんなの勝手すぎる……!
私達を…私を、置いていかないで…!』
晴絵
『……』
晴絵
『…灼には本当に感謝してる。
でも、そろそろ灼も旅立つ時だと思うよ』
晴絵
『いつまでも、私の背中ばっかり追ってちゃだめだ』
灼『いや!私は、ずっとハルちゃんのそばにいたい!』
灼『私は…ハルちゃんの事が好きなの!』
晴絵
『……』
晴絵
『…悪いけど、私は灼の事を
そういう目で見た事はない』
灼『……えっ…』
晴絵
『いや、実際一回り近く年違うし…
正直、妹みたいに思ってた』
灼『そん…な…』
晴絵
『……』
晴絵
『実は、さ…私、結構前から
望と付き合ってたんだよね』
灼『!?』
晴絵
『今度結婚する。ずっと言わなくちゃと
思ってたけど言えなかった。
関係が壊れるのが怖くて』
晴絵
『でも、もうそれじゃ駄目だと思った。
灼も私も、いい加減お互いの道を進むべきだ』
灼『…なんで…』
灼『…なんで…なんで…
私の方が…ハルちゃんを愛してるのに…
ハルちゃんを幸せにできるのに……』
晴絵
『ごめん。気持ちはうれしいけど
賛同はできない。
私を誰が一番幸せにできるかは、
他でもない私が決める』
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
灼『……』
灼『…っ』
灼『あぁぁあぁあぁああああああぁっ!!!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
灼「……」
玄「…思い出した?」
灼「…うん」
玄「赤土先生は、灼ちゃんの想いの重さを
深刻だと感じて、あえて阿知賀から離れた」
玄「言い方は悪いけど…捨てられた灼ちゃんは
それに耐えられなかった」
玄「記憶を封印して…思い出の品にすがって…
時を止めちゃったんだ」
玄「今、灼ちゃんはようやく戻ってきたんだよ」
灼「……」
灼「…どうして、玄はそこまでしてくれたの?」
灼「私は…正直玄の好みじゃないと思…
その…おもちじゃないし…」
玄「えー、それ結構ショックだよ…
いくら私でも、好きな人をおもちだけで
選んだりしないよ?」
玄「……」
玄「それに」
玄「灼ちゃんと私って…相性ピッタリだと思うんだ」
灼「相性…?」
玄「うん、相性」
玄「……」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
玄『灼ちゃんっ!!』
灼『ハルちゃん…ハルちゃんっ…』カタカタカタ
玄『灼ちゃんっ、しっかりして!』
灼『ハルちゃん…ハル、ちゃん……』
灼『……』がくんっ
玄『……』
玄『…こんなのっ…』
玄『こんなのってないよ…!』
玄『ずっと、ずっと好きだったのに!』
玄『ずっと、赤土先生の事…待ってたのに!!』
玄『なんで、なんで灼ちゃんが、
こんな思いをしなくちゃいけないの!?』
玄『ひどすぎる…ひどすぎるよぉ…っ!』
玄『待ってる側だって…!
幸せになったっていいじゃない……っ!』
玄『私が、灼ちゃんの想い人だったらっ…
絶対に…絶対に灼ちゃんを
捨てたりなんかしないのにっ……!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
玄(…灼ちゃん、おかしくなっちゃった)
玄(…ずっと、このままなのかな)
玄(ずっと、もういない赤土さんの事を追い続けて…
このまま、一人ぼっちで死んじゃうのかな)
玄(…多分、そうなんだろな)
玄(だって、私もそうだったもん)
玄(…私は、たまたま救われた)
玄(穏乃ちゃんの思いつきのおかげで。
憧ちゃんも戻ってきてくれた)
玄(でもそれはただの偶然。
二人が私の事を想ったからじゃない)
玄(だってあの時。私は人数に数えられてなかった)
『二人揃って和の前に立てるでしょー』
玄(わかってる。大した意味はないんだって)
玄(3人は同い年で仲が良かったから、
つい口をついて出ちゃっただけ。
別に、私を意図的に弾いたわけじゃないって)
玄(わかってる)
玄(でも)
玄(私を一番に考えてたら、その言葉は出てこないよね…)
玄(……)
玄(……)
玄(灼ちゃんが、私を見てくれたらいいのに)
玄(私だったら、あれだけ愛してくれたら、
絶対に離さないよ?)
玄(灼ちゃんが望むなら、なんだってしてあげるのに)
玄(灼ちゃん…)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
玄「…実は私もね。ちょっと病的なところがあるんだ」
玄「だからね。灼ちゃんの愛情、全部受け止められるよ」
玄「ネクタイだってペロペロしていい」
玄「四六時中ずっと離れなくてもいい」
玄「灼ちゃん以外の人との繋がりを全部断ってもいい」
玄「だから…私だけを見て?」
灼「……」
灼「…私はもう、十分玄だけ見てると思…」
玄「……」
玄「あはは、それ二度目だよね?
じゃあ、あの時と同じ言葉を繰り返すね?」
玄「……」
玄「灼ちゃんの家にある、
赤土さんのネクタイ」
玄「燃やして捨てていい?」
灼「……」
灼「……」
灼「……」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
「「「「「赤土先生、おめでとうございまーす!!」」」」」
晴絵
「みんな…本当にありがとう…!」
晴絵
「…灼も、来てくれたんだね…」
灼「…恩師の晴れ舞台に出席するのは、
当然の事だと思…」
晴絵
「…ごめんな」
灼「…ハルちゃんは悪くないよ。
私が、一方的に想いを押し付けてただけ」
灼「一緒に過ごした時間も、思い出も…
きっと、望さんにはかなわない」
灼「…大丈夫。もうふっきれたから」
灼「幸せになって」
晴絵
「……っ」
晴絵
「ありがと。なら、もう言わないよ。
私は私で、思いっきり幸せになる」
晴絵
「灼も、どうか幸せになって…!」
灼「…うん、それでいい」
灼「大丈夫。私もきっと、幸せになれる」
灼(そう。だって、私には)
灼(…私には、もう玄がいるから)
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
玄「赤土先生、綺麗だったね」
灼「うん」
玄「…大丈夫だった?」
灼「…私は玄と一緒になるって決めた。
今更、ちょっと会ったくらいで
心変わりなんてしな…」
玄「うん。灼ちゃんはそういう人だよね」
玄「でも、私は駄目なんだ」
玄「灼ちゃんが、あの人と話をするだけで不安になる。
一緒にいるだけで不安になる」
玄「捨てられるんじゃないかって、
そう思っちゃうんだ」
玄「灼ちゃん、私の事捨てたりしないでね?」
灼「…それこそこっちの台詞だと思…」
灼「私だって、玄がいないと
もう一日も正気でいられない」
灼「私の事、捨てないで欲し…」
玄「あはは…やっぱり私達ってお似合いだね」
玄「重すぎて、弱すぎて、依存して、ぴったり」
玄「ずっと、ずっと一緒にいようね」
灼「うん」
灼「ずっと、死ぬまで、片時も離れずに、一緒に」
灼「愛してる、玄。私を捨てないで」
玄「私も、灼ちゃんが大好き。捨てないでね?」
玄「あはは」
灼「…くすっ」
(完)
なし。その他のリクエストを参照してください。
<登場人物>
松実玄,鷺森灼,赤土晴絵,高鴨穏乃,新子憧,松実宥
<症状>
・シリアス
・監禁
・狂気
・洗脳
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・灼に想いを寄せている玄がIHが終わったのに
晴江にひっついている灼を我慢できなくなって
監禁する、的な玄灼。
ギャグ、シリアスはお任せ。
※ギャグ要素が多少入りますが
基本的にはカオス&狂気&シリアスです。
苦手な方はご注意を
※理不尽に晴絵を貶めてはいないつもりですが、
話の都合上晴灼好きな人は回避推奨です。
--------------------------------------------------------
灼「んっ……」パチッ
灼「ここは…どこ?」
灼(薄暗いけど…間違いなく私の部屋じゃない)
灼(自分の部屋で寝てたはずなのに)
灼「…わけがわからな…どういう事?」
玄「やっと目が覚めたみたいだね」
灼「玄…どうしてここに?」
玄「拉致してきちゃった」
灼「…は?」
玄「だから、無理矢理奪ってきちゃったんだよ」
灼「奪う…?一体、誰から…?」
玄「そりゃ、赤土先生からだよ?」
灼「話が見えな…どうしてそんな事を?」
玄「灼ちゃんがいつまでたっても
赤土先生に囚われてるからだよ」
玄「インターハイも終わって、
先生もプロ入りを決めて出ていっちゃったのに、
ずっとハルちゃんハルちゃんって」
玄「こりゃあもう、荒療治するしかないなって」
灼「……」
灼「…それで、わざわざ拉致して
ここに連れてきたって事…?」
玄「うん」
灼「…はぁ」
灼「荒療治が必要なのは玄の方だと思…」
灼「それだけの理由で、人を一人拉致監禁とか…
まともな精神状態とは思えな…」
玄「私の行動が普通じゃないのはわかってるよ。
でも、危ないのは灼ちゃんの方なんだよ?」
灼「…どういう事?」
玄「こんな事、私一人でできるわけないよね?
言っちゃえば、共犯者がいるんだよ」
玄「それはつまり、今回の行動は
私以外の人も仕方ないって思ってるって事」
玄「みんな、私が相談したら快く手伝ってくれたよ」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
穏乃
『灼さんを監禁する!?』
玄『…うん。最近の灼ちゃんは見るに堪えないよ』
憧『確かに。死んだような目をして
何もない虚空を見つめてると思ったら、
突然笑い出して
《ふふっ…ハルちゃん…》とか言ってるしね』
穏乃
『私この前部室の隅でネクタイを
ペロペロ舐めてるの見ちゃった…』
玄『現実を見せなきゃダメなんだよ。
もう赤土先生はいないんだって』
玄『そのためには、ちょっと
強引な方法でも仕方ないと思うんだ』
穏乃
『そ、それはわからなくもないですけど…』
宥『…具体的にはどうするの?』
玄『松実館の地下を使うよ。あの地下牢なら、
まず誰にも見つからないし』
穏乃
『えぇ!?そんなのあるんですか!?』
宥『昔からある旅館だから…政治的な関係で
いろいろあったみたい』
憧『…今も誰か捕まってるとかはないよね?』
宥『……』
宥『ふふ、さすがに今はいないよ?』
玄『あそこなら洗脳設備もバッチリだから、
灼ちゃんも立派に矯正できるはずだよ!』
憧『なんか松実館もガチ犯罪のにおいがして
気になるけど…
毒をもって毒を制するのはありね』
穏乃
『…私は賛成。灼さんがまともになるなら
この際手段は選んでられないよ』
宥『うん。そうだね…私たちも手伝うよ』
玄『みんな、ありがとう!
私、絶対に灼ちゃんを
真人間に戻してみせるよ!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
玄「…というわけだよ」
灼「…私、そんなにおかしかった?」
玄「というか、ネクタイをペロペロして
おかしくないとか思ってる時点で
思いっきりアウトだよ?」
灼「…そうなんだ」
玄「やっぱり本気で気づいてなかったんだね。
穏乃ちゃんなんか
割と本気でおびえてるからね?」
灼「ぅっ…それは普通に申し訳な…
わかった。やり方はちょっと強引だけど、
玄の言う通りリハビリしてみる事にする…」
玄「その意気だよ灼ちゃん!
頑張って真人間を目指そうね!」
灼「……」コクン
灼(頷いては見たものの…
よりによって玄に言われるの、
ものすごく釈然としな…)
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灼「でも、リハビリって言っても一体何するの…?」
玄「んー、ここにいてくれるだけでも
赤土先生断ちはできるから
ある程度意味はあると思うけど」
玄「せっかくいろいろ設備もあるし
色々やってみる事にしました!」
灼「…というかなんでそんな設備があるの…」
玄「そこはこの際気にしない!
というわけでヘッドフォンかぶせるね」
玄「…あ、と。始める前にちょっと拘束するね。
これ聞いたら暴れ出しちゃうかもしれないし」縛り縛り
灼「こわ…一体何を聞かせる気なの」
玄「…普通の人にとっては普通の言葉だけど、
灼ちゃんにとっては劇薬だろうから」縛り縛り
玄「うん、それじゃあスイッチスタート」カチッ
晴絵
『今まで本当にありがとう。
これからは少し距離は遠くなっちゃうけど
皆ならきっと大丈夫!』
灼「ごふっ」こぴゅっ
玄「うわぁっ!?灼ちゃん大丈夫!?」
玄「まさか喀血(かっけつ)まで
するとは思わなかったよ!」
灼「ハルちゃんっ…見捨てないでっ…!
ハルちゃんっ…!!!」じたばた
玄「頑張って灼ちゃん!これを乗り越えないと
真人間に戻れないんだよ!」カチッ
晴絵
『これが今生の別れってわけじゃないさ。
お前たちが麻雀を打っていたら、
きっといつか、またどこかで出会うよ』
灼「別れたくない!ずっと別れたくない!」
灼「片時も!一分一秒別れたくない!!」
玄「…次の行くね?」カチッ
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
灼「はるちゃぁあああああああっ!!」ごぱぁっ
玄「…乗り越えてね、灼ちゃん」
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憧「灼の調子はどう?」
玄「んー、芳しくないかなぁ」
穏乃
「ぐ、具体的にどんな感じなんですか?」
玄「例のネクタイは持ってこなかったんだけど…
なんかエアネクタイをペロペロしてる」
穏乃
「……」ゾクッ
宥「重症だね…」
玄「まあ10年越しの想いだもんね。
気長にリハビリしていけばいいかなって思ってるよ」
穏乃
「玄さん優しいなぁ…
私だったらちょっと無理だよ」
憧「そうね。ホント、玄は優しいわ」
憧(……何も裏がなければね)
玄「というわけで今日も
灼ちゃんについていたいから
早めに帰るね?」
穏乃
「お疲れ様です!頑張ってください!」
玄「うん!」
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灼「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
玄「…気分はどう?灼ちゃん」
灼「玄…ハルちゃんに会わせてほし…!」
玄「灼ちゃん…それは無理な注文だよ?」
灼「だったら、せめて…ネクタイ、返して…」
玄「ネクタイは灼ちゃんの家に
置いてあるだけだよ?」
灼「今…!今必要…!今…!!今…!!」
玄「…はい」
灼「あっ、ネクタイ!ネクタイペロペッ…!!」
灼「……」
灼「これ、違…」
玄「灼ちゃん本当におかしいね。
なんでわかっちゃうのかなぁ」
玄「ほつれ具合とかもほとんど
一緒にしたはずなんだけど」
灼「あのネクタイは、昔のハルちゃんの
においが染みついてる…」
灼「これは、今のハルちゃんの
においはするけど偽物…」
灼「何より、私のネクタイはこんなに
玄のにおいは染みついてな…」
玄「……」
玄「うん。そのネクタイは私のだよ。
赤土先生に頼んで、
私のネクタイに頬ずりしてもらったんだ」
灼「なんでそんな真似を…」
玄「そりゃ、赤土先生を克服するためだよ」
玄「少しずつ赤土先生臭を減らしていけば、
無理なくリハビリできるかなって」
灼「…そんな簡単にいくわけな…」
玄「じゃあ、そのネクタイ返して?」
灼「……」
灼「…これはこれで今の
ハルちゃんの味がするからもらっておく…」ペロペロ
玄(…案外うまくいくんじゃないかな?)
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玄「…というわけで、一定の効果が出てきたよ」
穏乃
「え、でもそれって…最終的に、
依存の対象が玄さんに代わるだけじゃないですか?」
玄「うん…でも、少なくとも赤土先生がいた頃の
灼ちゃんには戻ると思うから」
玄「そこから真人間にしていくのは、
気長にやっていけたらいいなって思ってるよ」
穏乃
「で、でも!それじゃ、玄さんが犠牲に…!」
玄「…私は、待つの慣れてるから…」
玄「大丈夫。きっと、いつか私たちの
大好きな灼ちゃんに戻ってくれるはずだよ…!」
穏乃
「玄さん…!」
憧「……」
憧(いやいや、最初から
元に戻すつもりなんてないでしょ?)
憧(やっぱこれ、玄もどこか狂ってるわね。
でも、なんで玄が灼を…?)
憧(ま、どうでもいっか。
シズにさえ危害が及ばないなら)
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灼「……」ペロペロ
灼「……」ペロペロ
玄「灼ちゃん、調子はどう?」
灼「…悪くな……」
玄「へぇ!それ、赤土先生には
1回握ってもらっただけで、
ほとんど私成分なんだけど」
灼「…これはこれでありって気がしてきた」
玄「嬉しいな!じゃあ、いつもの奴やろうね!」カチッ
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
灼「……」じわっ
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
玄『…いくらでもペロペロしていいよ?
私は、そんな灼ちゃんも大好きだから』
灼「……っ!!」
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
玄『…いくらでもペロペロしていいよ?
私は、そんな灼ちゃんも大好きだから』
玄『…いくらでもペロペロしていいよ?
私は、そんな灼ちゃんも大好きだから』
玄『…いくらでもペロペロしていいよ?
私は、そんな灼ちゃんも大好きだから』
灼「……」
灼「……」ペロ…ペロ…
玄「……」
……
灼「」ペロペロペロペロペロペロ
玄「3時間経ったね。今日は
このくらいにしておこっか」
灼「…玄」
玄「ん?なに?」
灼「…玄は、本当に、私の事、捨てない…?」
灼「もし、私が依存したら…」
灼「ずっと、一緒にいてくれる…?」
玄「……」
玄「もちろんだよ?」にっこり
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憧「灼の調子はどう?」
玄「順調だよ。最近はもう私100%の
ネクタイをずっとしゃぶってるし」
玄「赤土先生の絶望ボイスでも吐血しないし、
私の愛の告白ボイスの方をせがむようになったし」
玄「この調子なら赤土先生中毒を
克服できる日も近いんじゃないかな?」
憧「…それで、今度は玄中毒になるってわけ?」
玄「うん!実はもうなりかけてるけどね」
憧「私にはごまかさないんだ?」
玄「だって憧ちゃんは最初から勘付いてたでしょ?
今更言い繕っても仕方ないもん」
憧「…ま、私はシズにちょっかい出さないなら
気にしないけどね」
憧「むしろアンタと灼がくっついてくれるなら
その方がありがたいわ」
玄「…私が終わったら、憧ちゃんもやる?」
憧「……」
憧「いやいや、松実姉妹と一緒にしないでよ。
私はシズを変な虫から守りたいだけ」
憧「覚えておきなよ?
自分達が異常だって事くらいは」
玄「あはは、ちゃんとわかってるよ」
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灼「……」ぼーっ
灼「……」ペロペロ
灼「……っ!玄のにおい…」きょろきょろ
玄「灼ちゃーん」
灼「玄っ…」がばっ
玄「ただいまー…って、うわぁっ!」
灼「玄…玄……」ぺろぺろ
玄「あはは、灼ちゃんくすぐったいよ…んっ」
灼「玄…寂しかった…」すりすり
玄「ごめんね?これでもできるだけ
灼ちゃんを優先するようにしてるんだけど」なでなで
灼「…優先じゃなくて、私だけに専念してほし…」
玄「…それを求めるなら、灼ちゃんも
私だけを見るようにしてほしいな?」
灼「…私はもう、十分玄だけ見てると思…」
玄「じゃあ、灼ちゃんの家にある、
赤土さんのネクタイ燃やして捨てていい?」
灼「…!?そ、それは……」
玄「……」
玄「あはは、本当に捨てたりはしないよ?
赤土先生は私にとっても大切な人だもん」
玄「…でも、まだ駄目みたいだね」
玄「…もっと、私に溺れてね?」しゅるんっ…
玄「溺れて、溺れて」
玄「…私以外、見えなくなるくらいに」
灼「くっ…くろっ……」
玄「ふふ、赤土さんにも、
こんな事された事ないよね?」
灼「あっ…当たり前……でしょ」
玄「灼ちゃんの初恋はもらい損ねちゃったけど」
玄「それ以外は、ぜーんぶ私がもらっちゃうからね?」
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宥「…玄ちゃん。今どんな感じ?」
玄「うん。ほとんど終わったかな」
宥「…じゃあ、間に合いそう?」
玄「うん。たぶん大丈夫」
玄「式までには、なんとか間に合わせてみせるよ」
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灼「くろっ…くろっ……!」
玄「あらたちゃんっ、あらたちゃんっっ…あぁぁっ!!」
灼「はぁ…はぁっ」
玄「はぁっ…んっ……」
灼「……」
玄「……」
灼「…玄…もう一回…」
玄「うん…いいよ…でも、今日はその前に
一つ話しておく事があるんだ…」
灼「…何?」
玄「実はね?もうすぐ
赤土先生の結婚式があるんだよ」
灼「!?」
玄「あー…やっぱりまだ
思い出せてなかったんだね」
灼「…思い出すも何も…!
私はそんなの知らな…!」
玄「ううん、灼ちゃんは知ってるんだよ?」
玄「思い出して?あの日の事を」
玄「そもそも、灼ちゃんがおかしくなった理由」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
晴絵
『というわけで、プロになる事にしたんだ。
だから、麻雀部の顧問は引退する事になる』
灼『そんなっ…まだ私達1年あるのに、なんで…!』
晴絵
『それを言うなら2年だろ?
憧や穏乃の代まで終わる事を考えたら』
晴絵
『そうやって続けていったら、
結局はどこかの世代で
半端に打ち切らないといけなくなる。
なら、私はここで幕を閉じようと思う』
晴絵
『私を救ってくれた、今の世代で』
灼『そんなの勝手すぎる……!
私達を…私を、置いていかないで…!』
晴絵
『……』
晴絵
『…灼には本当に感謝してる。
でも、そろそろ灼も旅立つ時だと思うよ』
晴絵
『いつまでも、私の背中ばっかり追ってちゃだめだ』
灼『いや!私は、ずっとハルちゃんのそばにいたい!』
灼『私は…ハルちゃんの事が好きなの!』
晴絵
『……』
晴絵
『…悪いけど、私は灼の事を
そういう目で見た事はない』
灼『……えっ…』
晴絵
『いや、実際一回り近く年違うし…
正直、妹みたいに思ってた』
灼『そん…な…』
晴絵
『……』
晴絵
『実は、さ…私、結構前から
望と付き合ってたんだよね』
灼『!?』
晴絵
『今度結婚する。ずっと言わなくちゃと
思ってたけど言えなかった。
関係が壊れるのが怖くて』
晴絵
『でも、もうそれじゃ駄目だと思った。
灼も私も、いい加減お互いの道を進むべきだ』
灼『…なんで…』
灼『…なんで…なんで…
私の方が…ハルちゃんを愛してるのに…
ハルちゃんを幸せにできるのに……』
晴絵
『ごめん。気持ちはうれしいけど
賛同はできない。
私を誰が一番幸せにできるかは、
他でもない私が決める』
晴絵
『…ていうかぶっちゃけ、
ネクタイペロペロはちょっと……』
灼『……』
灼『…っ』
灼『あぁぁあぁあぁああああああぁっ!!!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
灼「……」
玄「…思い出した?」
灼「…うん」
玄「赤土先生は、灼ちゃんの想いの重さを
深刻だと感じて、あえて阿知賀から離れた」
玄「言い方は悪いけど…捨てられた灼ちゃんは
それに耐えられなかった」
玄「記憶を封印して…思い出の品にすがって…
時を止めちゃったんだ」
玄「今、灼ちゃんはようやく戻ってきたんだよ」
灼「……」
灼「…どうして、玄はそこまでしてくれたの?」
灼「私は…正直玄の好みじゃないと思…
その…おもちじゃないし…」
玄「えー、それ結構ショックだよ…
いくら私でも、好きな人をおもちだけで
選んだりしないよ?」
玄「……」
玄「それに」
玄「灼ちゃんと私って…相性ピッタリだと思うんだ」
灼「相性…?」
玄「うん、相性」
玄「……」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
玄『灼ちゃんっ!!』
灼『ハルちゃん…ハルちゃんっ…』カタカタカタ
玄『灼ちゃんっ、しっかりして!』
灼『ハルちゃん…ハル、ちゃん……』
灼『……』がくんっ
玄『……』
玄『…こんなのっ…』
玄『こんなのってないよ…!』
玄『ずっと、ずっと好きだったのに!』
玄『ずっと、赤土先生の事…待ってたのに!!』
玄『なんで、なんで灼ちゃんが、
こんな思いをしなくちゃいけないの!?』
玄『ひどすぎる…ひどすぎるよぉ…っ!』
玄『待ってる側だって…!
幸せになったっていいじゃない……っ!』
玄『私が、灼ちゃんの想い人だったらっ…
絶対に…絶対に灼ちゃんを
捨てたりなんかしないのにっ……!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
玄(…灼ちゃん、おかしくなっちゃった)
玄(…ずっと、このままなのかな)
玄(ずっと、もういない赤土さんの事を追い続けて…
このまま、一人ぼっちで死んじゃうのかな)
玄(…多分、そうなんだろな)
玄(だって、私もそうだったもん)
玄(…私は、たまたま救われた)
玄(穏乃ちゃんの思いつきのおかげで。
憧ちゃんも戻ってきてくれた)
玄(でもそれはただの偶然。
二人が私の事を想ったからじゃない)
玄(だってあの時。私は人数に数えられてなかった)
『二人揃って和の前に立てるでしょー』
玄(わかってる。大した意味はないんだって)
玄(3人は同い年で仲が良かったから、
つい口をついて出ちゃっただけ。
別に、私を意図的に弾いたわけじゃないって)
玄(わかってる)
玄(でも)
玄(私を一番に考えてたら、その言葉は出てこないよね…)
玄(……)
玄(……)
玄(灼ちゃんが、私を見てくれたらいいのに)
玄(私だったら、あれだけ愛してくれたら、
絶対に離さないよ?)
玄(灼ちゃんが望むなら、なんだってしてあげるのに)
玄(灼ちゃん…)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
玄「…実は私もね。ちょっと病的なところがあるんだ」
玄「だからね。灼ちゃんの愛情、全部受け止められるよ」
玄「ネクタイだってペロペロしていい」
玄「四六時中ずっと離れなくてもいい」
玄「灼ちゃん以外の人との繋がりを全部断ってもいい」
玄「だから…私だけを見て?」
灼「……」
灼「…私はもう、十分玄だけ見てると思…」
玄「……」
玄「あはは、それ二度目だよね?
じゃあ、あの時と同じ言葉を繰り返すね?」
玄「……」
玄「灼ちゃんの家にある、
赤土さんのネクタイ」
玄「燃やして捨てていい?」
灼「……」
灼「……」
灼「……」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
「「「「「赤土先生、おめでとうございまーす!!」」」」」
晴絵
「みんな…本当にありがとう…!」
晴絵
「…灼も、来てくれたんだね…」
灼「…恩師の晴れ舞台に出席するのは、
当然の事だと思…」
晴絵
「…ごめんな」
灼「…ハルちゃんは悪くないよ。
私が、一方的に想いを押し付けてただけ」
灼「一緒に過ごした時間も、思い出も…
きっと、望さんにはかなわない」
灼「…大丈夫。もうふっきれたから」
灼「幸せになって」
晴絵
「……っ」
晴絵
「ありがと。なら、もう言わないよ。
私は私で、思いっきり幸せになる」
晴絵
「灼も、どうか幸せになって…!」
灼「…うん、それでいい」
灼「大丈夫。私もきっと、幸せになれる」
灼(そう。だって、私には)
灼(…私には、もう玄がいるから)
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--------------------------------------------------------
玄「赤土先生、綺麗だったね」
灼「うん」
玄「…大丈夫だった?」
灼「…私は玄と一緒になるって決めた。
今更、ちょっと会ったくらいで
心変わりなんてしな…」
玄「うん。灼ちゃんはそういう人だよね」
玄「でも、私は駄目なんだ」
玄「灼ちゃんが、あの人と話をするだけで不安になる。
一緒にいるだけで不安になる」
玄「捨てられるんじゃないかって、
そう思っちゃうんだ」
玄「灼ちゃん、私の事捨てたりしないでね?」
灼「…それこそこっちの台詞だと思…」
灼「私だって、玄がいないと
もう一日も正気でいられない」
灼「私の事、捨てないで欲し…」
玄「あはは…やっぱり私達ってお似合いだね」
玄「重すぎて、弱すぎて、依存して、ぴったり」
玄「ずっと、ずっと一緒にいようね」
灼「うん」
灼「ずっと、死ぬまで、片時も離れずに、一緒に」
灼「愛してる、玄。私を捨てないで」
玄「私も、灼ちゃんが大好き。捨てないでね?」
玄「あはは」
灼「…くすっ」
(完)
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思ったよりもギャグ要素多くて楽しいヤンデレでした!!
ネクタイペロペロは反則。笑
他にも人はいるのか、白い糸の高校の人が無事なのか気になる
灼ちゃんを堕とす為に『ペロペロしても良いよ』と録音する様を想像するとちょっと笑えて凄く可愛い。
予想以上の玄灼でした。
ギャグ・シリアスをお任せしたらまさか両方やってくれるとは……
>>憧『…今も誰か捕まってるとかはないよね?』
宥『……』
宥『ふふ、さすがに今はいないよ?』
これはもう菫さん確定ですわ
ともかく良い玄灼でした
聖母様か>
憧「言うほど聖母だっけ…ネクタイペロペロよ?」
灼「十分頭おかしいと思…」
ギャグ要素多くて楽しいヤンデレ>
玄「最初は全力ギャグにするはずだったんだよね」
灼「なぜかシリアス要素が混入した…」
阿知賀の面々>
宥「実は私以外みんなちょっと危ういよね…」
憧「宥姉も体質的にちょっと」
松実館は家族まとめてヤンデレ?>
菫「松実には近づくな」
宥「出てきたら駄目だよ?」
『ペロペロしても良いよ』>
玄「最初はギャグだったからねー」
灼「玄が私を好きな理由も
『大きいおもちに飽きて自分で育成したい』
とかいう最悪な理由だった…」
まさか両方>
玄「両方やっちゃったので逆に不安でした!」
灼「受け入れてもらえたようでうれし…」
性格に重たい>
憧「正直不思議なくらいよね。この二人、
私やシズよりよっぽどおかしいでしょ」
灼「幼稚園以来の恋…」
えげつないのになぜかほっこり>
玄「基本灼ちゃんが受け入れてるからね」
灼「正直やってる事は完全な犯罪…」
玄ちゃんは元が天使だからか>
憧「玄は尽くす系だからねー。
実際病んでも自滅するんじゃないかしら」
玄「3年間掃除当番続けてただけで
ひどい言われようだよ…!」