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【咲-Saki-SS:淡菫】淡「体育倉庫で二人きり!」【ほのぼの】【いちゃいちゃ】【ギャグ】
<あらすじ>
なし。その他のリクエストを参照してください。
<登場人物>
弘世菫,大星淡,宮永照
<症状>
・淡が軽いヤンデレ
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・淡菫
ほのぼの
体育館倉庫に閉じ込められた淡菫
※お題の都合上病み成分は少なめです。
ご容赦を。
--------------------------------------------------------
「あー、ついてないなぁ。
じゃんけんで負けて後片付けとか」
「雀士としてはちょっと考えちゃうよねー。
え、凡人に負けちゃうなんて?みたいな」
「でも体育館倉庫はちょっと好きなんだよねー。
なんていうかな、あの隠れ家感?
ちょっといいよねー」
「憧れの先輩とうっかり閉じ込められて
愛を育んじゃったりとか?
ロマンだよねー」
「お前はこんな埃っぽいところで
愛を育めるのか?」
「おぉっと人のささやかな妄想に
味気ないツッコミを入れる
シャープシューターがー」
「…って、なんで菫先輩がいるの?」
「体操服を見て察せよ。
後片付け以外に何があるっていうんだ」
「私と一緒に閉じ込められようと思って
待っていたかわいい菫先輩とか」
「残念ながら私は味気ない人間だ。
ほら、さっさと片付けるぞ」
「ちぇー」
--------------------------------------------------------
5分後。
--------------------------------------------------------
「…おい、まだなのか?」
「いや、片付け自体は終わったんだけどね?
せっかくだから宝物探しでもしようかと」
「お前は何を言っているんだ」
「いやね?始まる時にボール持ってきた子が、
1個足りないってぼやいてたんだよねー」
「多分この倉庫のどこかに
埋もれてるんじゃないかって言ってたから」
「外でなくした可能性はないのか?」
「まあそれもあるけどさ。
どっちにしてもここは
探しといて損はないじゃん?」
「…ずいぶんと殊勝な心がけだな。
いつの間にそんなに献身的になった?」
「……はぁ」
「…菫先輩って、時々ホント鈍いよね」
「私のどこが鈍いんだ」
「わからないならいいですー」
『……ガチャンッ!!』
「…ん?」
「…なんだ今の音」
「あっ、これってアレじゃない?
もしかしてアレじゃない!?」
「あれってなんだ。後何で
若干嬉しそうなんだ」
「ほら、女の子憧れの
『体育館倉庫に閉じ込められました』
って奴!!まさにさっき言ってた奴だよ!」
「悪いが私は今日日一度も
そんなシチュエーションに
憧れた事はない」
「じゃぁ菫先輩は女の子じゃないんだよ!
女ったらしの鬼畜生だよ!」
「うっわ!でもホントに起きちゃうなんて!
すごいすごい!」
「なんでそんなに喜んでるんだ…
普通ここは慌てふためくところだろう」
「まぁまぁそう言わずに!
ここも住めば都だよ!」
「誰が住むか」
「へへーん。でも弘世菫先輩もその恰好なら
携帯とか持ってきてないでしょ?
いくらあがいても私たちはここで
アダムとイヴとして
生きていくしかしかないんだよ!」
「残念ながら私がここに来ることは
照の奴も知っている。
戻ってこなければすぐに様子を見に来るさ」
「ふふーん。それはどうかなー?」ピコピコピコ
--------------------------------------------------------
「…む、淡から電波だ」ピコ
「…携帯か何かですか?」
「いや、文字通り電波だけど…何々?」ピコピコ
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
『スミレ先輩 ト たいいく 倉庫 DE
デート 中』
『今日 ブカツ やすむ』
『邪魔 シたら ダメ』
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
「…ふむ。了解」
「いや一体何があったんですか?」
「菫と淡は、今日部活を休むらしい」
「いやだから一体何が」
--------------------------------------------------------
30分後。
--------------------------------------------------------
「なんで照の奴は来ないんだ…!」
「テルには私から連絡しといたから来ないよー」
「なんでだよ!電波使ったなら
むしろレスキューするところだろ!」
「まぁまぁ、せっかくの機会だし
後輩と親睦を深めようよ!」
「体育館倉庫に二人きりなんて
そうそうないよ?」
「そりゃそうかもしれないが、
別にあえてやる必要もないだろ」
「二人きりになりたいなら、
麻雀部でも寮でも個室を
割り当てられているんだから、
素直にそっちを使えばいいじゃないか」
「わかってないなぁ。
非日常感って奴だよ。非日常感」
「……」
「例えばさ…ほら。
この、薄暗い部屋の光とか」
「自分の力では出る事ができない密室状態とか」
「生きるために必要なものが何もない寒々しさとか」
「そんな、世界と切り離された空間に二人っきり」
「そう考えたら、ちょっとだけ…」
「人肌恋しくならない?」
「……」
「…別に」
「そっかぁ。でも…」
「私はなってるんだよねー」
ぴとっ。
「…くっつくな。暑い」
「うーそ。ひんやりしてるよ?菫先輩」
「汗をかいたからそう感じるだけだ」
「あはは、つまり体冷えてるって事じゃん。
だったらあっためないと」
「…お前の方こそ冷えてるじゃないか」
「うん。だから、あっためて?」
「やれやれ…少しだけだぞ。
気がすんだら救援を呼んでもらうからな」
「はーい」ぎゅっ
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
「…しまった…いつの間にか
眠ってしまっていたのか」
「今何時だ…?外が暗いから
夜なのは間違いないみたいだが…」
「んみゅ…」すー…すー…
「おい淡起きろ」ゆさゆさ
「んぅ…?なんで菫先輩がいるの…?」
「まぁいいやー…」
「んー」ぎゅぅっ
「目を覚ませ」ぺしっ
「あいた!?何するの!?」
「目が覚めたか?」
「…あ、そっか。私達体育倉庫に
閉じ込められてたんだっけ」
「そういう事だ。もういい時間っぽいから
いい加減迎えを呼んでくれ」
「んー…」
「……」
「やだ」
「…なんでだよ」
「えー。だってここなら…」
「菫先輩を独り占めできるもん」
「…いきなり何言ってるんだお前は」
「…はぁ、菫先輩ってほんっとーに鈍いなぁ」
「…どういう事だ」
「仕方ないなぁ。残念な先輩に
優秀な後輩が少しだけ助言してあげるよ」
「射抜くぞ」
「……」
「菫先輩はさ…自分の人気に無頓着すぎなんだよ」
「ファンクラブができちゃうくらいなのに、
バカ正直に一人一人相手しちゃってさ」
「ま、そこが菫先輩のいいところなんだけど。
それって、すっごい危険だと思うよ?」
「……声を掛けられた子はきっと、
みんなこう思ってる」
「ああ、菫様に声を掛けられた。うれしい」
「でも、菫様は皆に優しい」
「他の人になんて声を掛けないでほしい。
自分一人だけを見てほしい」
「いっそ、菫様が他の人の目に晒されないように。
どこかに閉じ込めてしまえたら」
「………なんてね」
「…そうか」
「例えばさ。そうやって、特に気もない癖に
声をかけてあげた女生徒Aが」
「菫先輩の事をどうしようもなく
好きになっちゃって。どうしても、
自分だけのものにしたいって思って」
「あげく、菫先輩を拉致っちゃうとか…」
「そうなっちゃう可能性、考えた事ある?」
「……」
「ないな。少なくとも、今この瞬間まではなかった」
「そっか。今度から気を付けた方がいいと思うよ?」
「そうだな」
「ところで、例え話で出てきた女生徒Aに
質問したい事があるんだが」
「なに?」
「そんな事したところで、
本当に長続きすると思っているのか?」
「まだまだわかってないなぁ。
こーゆーのは理屈じゃないんだよ」
「いい悪いとか、現実的かどうかとか。
そんなのは、恋の前には関係ないんだってば」
「そうか。すごいな女生徒Aは」
「でしょ」
「いや本当に感服する。私の記憶では、
確か女生徒Aは、普段2時間に1回は
お手洗いに席を立っていたはずだが」
「…へ?」
「恋の前には生理現象すら
問題にならないんだな?」
「…あ」
「ちょ、ちょっとやめてよ!
そーゆーのずるいってば!
言われたらなんか意識してきちゃったじゃん!!」
「馬鹿か。遅かれ早かれだろう。
生きるために必要なものが何もないって
言ったのはお前じゃないか」
「喜劇的な結末を迎えたくなかったら
さっさと助けを呼ぶんだな」
「あーもう!菫先輩のばか!!」ピコピコピコ
--------------------------------------------------------
「……」ぺらっ…
「……」ぺらっ…ピコ
「…む、淡から電波だ」ピコピコ
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
『へるプみー』
『お花摘ミ』
『あ、ちょ、ダめ。刺激しなイで』
『あっ あっ あっ』
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
「……」
「…き、緊急事態」ダッ!
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
「…はぁ、助かったぁぁ…」
「策士策に溺れるというか…
計画を練った時に気が付かなかったのか?
このくらいの事は想定しておけよ」
「いやいや、閉じ込められたのは
本当にたまたまだってば。
ていうかこんなのどうしようもないじゃん」
「…女生徒Aの話はなんだったんだ」ごそごそ
「だから例え話だって言ったでしょ?
ま、ラッキーだとは思ったけどさ」
「……」ごそごそ
「あー、やんなっちゃうなー。
せっかくいつもならちょっと話しにくいことも
話せそうな雰囲気だったのに」
「そうだな」ごそごそ
「せめて一晩くらいいられればなー…
って、さっきから何ごそごそしてるの?」
「何って準備だが」ごそごそ
「なんの?」
「馬鹿に付き合うための準備だ」
「ほら、お前の分の携帯食と毛布だ。
自分の分くらい自分で持て」
「……?」
「ほら、もう一回体育館倉庫に行くぞ。
さすがに監禁は承服しかねるが、
お望み通り一晩くらいは付き合ってやる」
「……っ」
「やったーっ!!菫先輩大好きっ!!」
「ひっつくな。重い」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
「んみゅー…んみゅー…」すやすや
「…寝たか。まったく、手がかかる奴め」
「……」
『…菫先輩って、時々ホント鈍いよね』
「……」
「…鈍いのはお互い様だろう?」つん
「誰が好きでもない奴に、
素直に閉じ込められてやって、
抱き合って眠ったりするんだ」つんつん
「誰にでもここまでしてやるほど、
私は博愛主義者なんかじゃない」つんつんつん
「気づけよ、馬鹿」
「ま、少なくともインターハイが終わるまでは…
打ち明けてやらないがな」
「…私も寝るか」
「おやすみ、淡」ぎゅっ…
--------------------------------------------------------
翌日。
--------------------------------------------------------
『 しらいと通信 号外!!
麻雀部部長と期待のルーキー、
秘密の体育館倉庫プレイ!?
○月◇日、朝の点検を行っていた用務員が、
体育館倉庫で仲よく眠る
麻雀部部員2名を発見した。
二人は周到にも食べ物や毛布を
持参しており、二人より添って
恋人つなぎで手を繋いでいたとのこと。
発見した用務員が
ネコミミの方に声をかけたところ、ネコミミは
「違うんです!これは親睦を深めるための
一種のオリエンテーションのようなもので!」
などと意味不明な供述を行った。
なお、もう一人の金髪の少女は
はにかんだ顔で
「『ほら行くぞ』って言われて…
とても断れませんでした…」
と、頬を染めながらうっとりした表情で
コメントを残した。
しらいと通信諜報部は現在
二人が恋仲にあるのか、
なぜ寮生である二人が
暇人にもわざわざ体育館倉庫プレイに及んだのか、
二人の性癖を含めて調査中である。
記者 T.S』
(完)
なし。その他のリクエストを参照してください。
<登場人物>
弘世菫,大星淡,宮永照
<症状>
・淡が軽いヤンデレ
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・淡菫
ほのぼの
体育館倉庫に閉じ込められた淡菫
※お題の都合上病み成分は少なめです。
ご容赦を。
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「あー、ついてないなぁ。
じゃんけんで負けて後片付けとか」
「雀士としてはちょっと考えちゃうよねー。
え、凡人に負けちゃうなんて?みたいな」
「でも体育館倉庫はちょっと好きなんだよねー。
なんていうかな、あの隠れ家感?
ちょっといいよねー」
「憧れの先輩とうっかり閉じ込められて
愛を育んじゃったりとか?
ロマンだよねー」
「お前はこんな埃っぽいところで
愛を育めるのか?」
「おぉっと人のささやかな妄想に
味気ないツッコミを入れる
シャープシューターがー」
「…って、なんで菫先輩がいるの?」
「体操服を見て察せよ。
後片付け以外に何があるっていうんだ」
「私と一緒に閉じ込められようと思って
待っていたかわいい菫先輩とか」
「残念ながら私は味気ない人間だ。
ほら、さっさと片付けるぞ」
「ちぇー」
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5分後。
--------------------------------------------------------
「…おい、まだなのか?」
「いや、片付け自体は終わったんだけどね?
せっかくだから宝物探しでもしようかと」
「お前は何を言っているんだ」
「いやね?始まる時にボール持ってきた子が、
1個足りないってぼやいてたんだよねー」
「多分この倉庫のどこかに
埋もれてるんじゃないかって言ってたから」
「外でなくした可能性はないのか?」
「まあそれもあるけどさ。
どっちにしてもここは
探しといて損はないじゃん?」
「…ずいぶんと殊勝な心がけだな。
いつの間にそんなに献身的になった?」
「……はぁ」
「…菫先輩って、時々ホント鈍いよね」
「私のどこが鈍いんだ」
「わからないならいいですー」
『……ガチャンッ!!』
「…ん?」
「…なんだ今の音」
「あっ、これってアレじゃない?
もしかしてアレじゃない!?」
「あれってなんだ。後何で
若干嬉しそうなんだ」
「ほら、女の子憧れの
『体育館倉庫に閉じ込められました』
って奴!!まさにさっき言ってた奴だよ!」
「悪いが私は今日日一度も
そんなシチュエーションに
憧れた事はない」
「じゃぁ菫先輩は女の子じゃないんだよ!
女ったらしの鬼畜生だよ!」
「うっわ!でもホントに起きちゃうなんて!
すごいすごい!」
「なんでそんなに喜んでるんだ…
普通ここは慌てふためくところだろう」
「まぁまぁそう言わずに!
ここも住めば都だよ!」
「誰が住むか」
「へへーん。でも弘世菫先輩もその恰好なら
携帯とか持ってきてないでしょ?
いくらあがいても私たちはここで
アダムとイヴとして
生きていくしかしかないんだよ!」
「残念ながら私がここに来ることは
照の奴も知っている。
戻ってこなければすぐに様子を見に来るさ」
「ふふーん。それはどうかなー?」ピコピコピコ
--------------------------------------------------------
「…む、淡から電波だ」ピコ
「…携帯か何かですか?」
「いや、文字通り電波だけど…何々?」ピコピコ
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
『スミレ先輩 ト たいいく 倉庫 DE
デート 中』
『今日 ブカツ やすむ』
『邪魔 シたら ダメ』
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
「…ふむ。了解」
「いや一体何があったんですか?」
「菫と淡は、今日部活を休むらしい」
「いやだから一体何が」
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30分後。
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「なんで照の奴は来ないんだ…!」
「テルには私から連絡しといたから来ないよー」
「なんでだよ!電波使ったなら
むしろレスキューするところだろ!」
「まぁまぁ、せっかくの機会だし
後輩と親睦を深めようよ!」
「体育館倉庫に二人きりなんて
そうそうないよ?」
「そりゃそうかもしれないが、
別にあえてやる必要もないだろ」
「二人きりになりたいなら、
麻雀部でも寮でも個室を
割り当てられているんだから、
素直にそっちを使えばいいじゃないか」
「わかってないなぁ。
非日常感って奴だよ。非日常感」
「……」
「例えばさ…ほら。
この、薄暗い部屋の光とか」
「自分の力では出る事ができない密室状態とか」
「生きるために必要なものが何もない寒々しさとか」
「そんな、世界と切り離された空間に二人っきり」
「そう考えたら、ちょっとだけ…」
「人肌恋しくならない?」
「……」
「…別に」
「そっかぁ。でも…」
「私はなってるんだよねー」
ぴとっ。
「…くっつくな。暑い」
「うーそ。ひんやりしてるよ?菫先輩」
「汗をかいたからそう感じるだけだ」
「あはは、つまり体冷えてるって事じゃん。
だったらあっためないと」
「…お前の方こそ冷えてるじゃないか」
「うん。だから、あっためて?」
「やれやれ…少しだけだぞ。
気がすんだら救援を呼んでもらうからな」
「はーい」ぎゅっ
--------------------------------------------------------
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「…しまった…いつの間にか
眠ってしまっていたのか」
「今何時だ…?外が暗いから
夜なのは間違いないみたいだが…」
「んみゅ…」すー…すー…
「おい淡起きろ」ゆさゆさ
「んぅ…?なんで菫先輩がいるの…?」
「まぁいいやー…」
「んー」ぎゅぅっ
「目を覚ませ」ぺしっ
「あいた!?何するの!?」
「目が覚めたか?」
「…あ、そっか。私達体育倉庫に
閉じ込められてたんだっけ」
「そういう事だ。もういい時間っぽいから
いい加減迎えを呼んでくれ」
「んー…」
「……」
「やだ」
「…なんでだよ」
「えー。だってここなら…」
「菫先輩を独り占めできるもん」
「…いきなり何言ってるんだお前は」
「…はぁ、菫先輩ってほんっとーに鈍いなぁ」
「…どういう事だ」
「仕方ないなぁ。残念な先輩に
優秀な後輩が少しだけ助言してあげるよ」
「射抜くぞ」
「……」
「菫先輩はさ…自分の人気に無頓着すぎなんだよ」
「ファンクラブができちゃうくらいなのに、
バカ正直に一人一人相手しちゃってさ」
「ま、そこが菫先輩のいいところなんだけど。
それって、すっごい危険だと思うよ?」
「……声を掛けられた子はきっと、
みんなこう思ってる」
「ああ、菫様に声を掛けられた。うれしい」
「でも、菫様は皆に優しい」
「他の人になんて声を掛けないでほしい。
自分一人だけを見てほしい」
「いっそ、菫様が他の人の目に晒されないように。
どこかに閉じ込めてしまえたら」
「………なんてね」
「…そうか」
「例えばさ。そうやって、特に気もない癖に
声をかけてあげた女生徒Aが」
「菫先輩の事をどうしようもなく
好きになっちゃって。どうしても、
自分だけのものにしたいって思って」
「あげく、菫先輩を拉致っちゃうとか…」
「そうなっちゃう可能性、考えた事ある?」
「……」
「ないな。少なくとも、今この瞬間まではなかった」
「そっか。今度から気を付けた方がいいと思うよ?」
「そうだな」
「ところで、例え話で出てきた女生徒Aに
質問したい事があるんだが」
「なに?」
「そんな事したところで、
本当に長続きすると思っているのか?」
「まだまだわかってないなぁ。
こーゆーのは理屈じゃないんだよ」
「いい悪いとか、現実的かどうかとか。
そんなのは、恋の前には関係ないんだってば」
「そうか。すごいな女生徒Aは」
「でしょ」
「いや本当に感服する。私の記憶では、
確か女生徒Aは、普段2時間に1回は
お手洗いに席を立っていたはずだが」
「…へ?」
「恋の前には生理現象すら
問題にならないんだな?」
「…あ」
「ちょ、ちょっとやめてよ!
そーゆーのずるいってば!
言われたらなんか意識してきちゃったじゃん!!」
「馬鹿か。遅かれ早かれだろう。
生きるために必要なものが何もないって
言ったのはお前じゃないか」
「喜劇的な結末を迎えたくなかったら
さっさと助けを呼ぶんだな」
「あーもう!菫先輩のばか!!」ピコピコピコ
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「……」ぺらっ…
「……」ぺらっ…ピコ
「…む、淡から電波だ」ピコピコ
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
『へるプみー』
『お花摘ミ』
『あ、ちょ、ダめ。刺激しなイで』
『あっ あっ あっ』
ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ
「……」
「…き、緊急事態」ダッ!
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「…はぁ、助かったぁぁ…」
「策士策に溺れるというか…
計画を練った時に気が付かなかったのか?
このくらいの事は想定しておけよ」
「いやいや、閉じ込められたのは
本当にたまたまだってば。
ていうかこんなのどうしようもないじゃん」
「…女生徒Aの話はなんだったんだ」ごそごそ
「だから例え話だって言ったでしょ?
ま、ラッキーだとは思ったけどさ」
「……」ごそごそ
「あー、やんなっちゃうなー。
せっかくいつもならちょっと話しにくいことも
話せそうな雰囲気だったのに」
「そうだな」ごそごそ
「せめて一晩くらいいられればなー…
って、さっきから何ごそごそしてるの?」
「何って準備だが」ごそごそ
「なんの?」
「馬鹿に付き合うための準備だ」
「ほら、お前の分の携帯食と毛布だ。
自分の分くらい自分で持て」
「……?」
「ほら、もう一回体育館倉庫に行くぞ。
さすがに監禁は承服しかねるが、
お望み通り一晩くらいは付き合ってやる」
「……っ」
「やったーっ!!菫先輩大好きっ!!」
「ひっつくな。重い」
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「んみゅー…んみゅー…」すやすや
「…寝たか。まったく、手がかかる奴め」
「……」
『…菫先輩って、時々ホント鈍いよね』
「……」
「…鈍いのはお互い様だろう?」つん
「誰が好きでもない奴に、
素直に閉じ込められてやって、
抱き合って眠ったりするんだ」つんつん
「誰にでもここまでしてやるほど、
私は博愛主義者なんかじゃない」つんつんつん
「気づけよ、馬鹿」
「ま、少なくともインターハイが終わるまでは…
打ち明けてやらないがな」
「…私も寝るか」
「おやすみ、淡」ぎゅっ…
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翌日。
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『 しらいと通信 号外!!
麻雀部部長と期待のルーキー、
秘密の体育館倉庫プレイ!?
○月◇日、朝の点検を行っていた用務員が、
体育館倉庫で仲よく眠る
麻雀部部員2名を発見した。
二人は周到にも食べ物や毛布を
持参しており、二人より添って
恋人つなぎで手を繋いでいたとのこと。
発見した用務員が
ネコミミの方に声をかけたところ、ネコミミは
「違うんです!これは親睦を深めるための
一種のオリエンテーションのようなもので!」
などと意味不明な供述を行った。
なお、もう一人の金髪の少女は
はにかんだ顔で
「『ほら行くぞ』って言われて…
とても断れませんでした…」
と、頬を染めながらうっとりした表情で
コメントを残した。
しらいと通信諜報部は現在
二人が恋仲にあるのか、
なぜ寮生である二人が
暇人にもわざわざ体育館倉庫プレイに及んだのか、
二人の性癖を含めて調査中である。
記者 T.S』
(完)
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この後の二人の関係がどうなるのか...w
すばらな記者ですね!
照「くっつくんじゃないかな。普通に」
誠子「気づいてないの二人だけですよね…」
>シャープシューター
淡「マジシャープシューター!」
菫「射抜くぞ」
>記者T.S一体何者なんだ
??「正体は誰も知りません…」
淡「いやバレバレでしょ」
>あわすみわっほい
淡「わっほい!」
菫「わ…わっほい」
>高校生がなにをしているんだ
??「むしろ中高生らしくないですか?」
淡「中二病!」