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【オリジナル百合SS】「どうせ死ぬなら私にちょうだい?」【共依存】【狂気】【シリアス】

<あらすじ>
何もかもに絶望し、死ぬことを決意した私。
飛び降りるために屋上に上った私は、
そこである少女と出会う。


「どうせ死ぬ気なんでしょ?
 だったらあなたの人生、私に頂戴!」


目をキラキラと輝かせながら、
少女は私にそう言った。

そして私は、彼女に飼われる。


<登場人物>
少女二人

<症状>
・ヤンデレ
・依存
・狂気

<その他>
※比較的ありがちな百合だと思うので
 肩の力を抜いて読んでいただけると。

※若干性的な要素を含みます。
 未成年の方は閲覧をお控えください。
 苦手な方はご注意を。


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生きる意義が見つからなかった。

毎日毎日両親からは虐待を受け。
逃げ込んだ先の学校でもいじめを受けて。
心が安らぐ場所なんてどこにもなかった。

人の感情を喜怒哀楽なんて言うけれど、
喜びも楽しさも私の人生にはなくて。
だとしたら、私は何のために生きるんだろう。


結論。生きる必要なし。


弱い十六歳の私が出した結論。
それは生きる事を諦めて、
あの世に逃げ場を求める事だった。



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首つり、服毒、リストカット。
教本をいろいろ読んでみた末に、
私が選んだ方法は飛び降りだった。

首つりとどっちにするか迷ったけれど。
少しだけ、空を飛ぶ感覚に
興味があったからこっちにした。

あてもなくビルを探し求める。
高くて、屋上に入れて、
落下地点に人がいない事が条件。
意外にこの条件に見合う建物は少ない。

本当は私を苦しめた学校で死にたかったけど。
校舎の高さでは失敗する率が高すぎた。


結果、私が最期に選んだのは。
とある高層マンションの屋上だった。
30階建て。この高さならまず死ねるだろう。


屋上に上り、吹きすさぶ強風にあおられながら、
私は一人物思いにふける。


これから私は、この世を去る。


思うところはいろいろあった。
やりたい事もたくさんあった。
経験したい事もたくさんあった。
でも障害が多すぎた。


駄目だ、考えれば考えるほど苦しくなっていく。
もうさっさと終わらせてしまおう。
そう考えて、私は少しずつ空の境界に近づいていく。

一歩、また一歩。
そして、安全柵に手をかけた時。


「ねえ、ホントに死ぬ気なの?」


私に問いかける声があった。



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聞こえるはずのない声に、私は思わず振り返る。

そこには、さっきまではいなかった女の子が
不敵な笑みを浮かべて佇んでいた。


「…だ、誰…?」

「このマンションの管理人の娘」

「ど…どうしてここに…?
 もしかして私を捕まえに来たんですか…?」

「あー、逆逆。あなたが来る前からここに居たの。
 そうじゃないと、
 あなたが入ってこれるわけないでしょ?」

「高層マンションの屋上なんて
 必ず鍵がかかってるものよ?
 ちなみにここに居る理由は
 単に眺めがよくて好きだから」


「で?死ぬの?」


私は答えに躊躇した。
よりによってマンションの関係者に見つかるだなんて。
管理人とすれば、自分のマンションが
自殺に使われたなんて事になれば大迷惑だろう。
馬鹿正直に答えたらこのまま
通報されて終わりに違いない。


「…い、いえ。私も、その、眺めを」

「嘘」

「…ど、どうして、そう思うんですか」

「前来た時も見てたけど。
 あなた、全然景色見てなかったから。
 ずっと下ばっかり確認してたでしょ」

「死ねる高さかどうか…確認してたんじゃない?」

「そ、そんな事は」

「いいよいいよ、嘘つかなくて。
 別に咎めてるわけじゃないからさ」

「ただ。もし本当に死ぬ気だったなら…
 ちょっと交渉したいなって思っただけ」

「…交渉?」

「うん。で、どうなの?死ぬ気なの?」


ニコニコと微笑みながら、
目の前の少女が問う。

真意が読めなかった。
警察に突き出すというわけでもなければ何なのだろう。

死ぬところが見たい?
それならそのまま放置していれば見れたはず。

逆に止めたい?
それこそ警察に通報すればいい。

そこまで考えてなんだか空しくなった。
何で私は、死ぬ直前までこんなに
慌てなければいけないんだろう。


「…死ぬ気です」


もうどうでもいい。
半ば捨て鉢に私は吐き捨てる。

でも、その私の回答を聞いた彼女の目は、
瞬く間にキラキラと輝き始めた。


「そっか…死ぬ気なんだ!」

「だ、だったらどうするんですか?」

「さっきも言ったけど交渉したいな!」

「…何を?」

「どうせ死ぬ気なんでしょ?
 だったらあなたの人生、私に頂戴!」


予想外の提案だった。



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お金持ちの家に生まれた。
頭脳も明晰、身体能力にも恵まれていて、
何より容姿も文句なし。
そんな最強の女子高校生、それが私。

『自分用のマンションが欲しい』なんて
おねだりすればあっさりもらえちゃう私は、
それでも現状に満足はしていなかった。


だって、愛に飢えていたから。


両親は私を可愛がってくれてると思う。
友達だって一杯いる。
恋人だっていた事はある。
でもこう、なんていうか、どれも。


狂気が足りない。


例えば、私の家が突然破産して貧乏になったとしよう。
病気で頭が悪くなったとしよう。
自分では動けなくなったとしよう。
体も醜く変形しちゃったとしよう。

今私の周りにいる人たちは、
それでも私を愛してくれるだろうか。


答えは否。多分、皆離れていく。
そうでなくても、
『どうしてこうなった』と嘆くだろう。

仕方ない事だとは思う。
人間ってそういうものだから。

でも、なんていうのかな。
ちょっと違うんだ。むしろ
『やった、これで競争相手が減った』
って喜ぶくらい、私に狂っていてほしいんだ。
まあ、そんな人そうそういないだろうけど。


そんな事を考えていた時に、
あの子が屋上に上ってきた。
まるで生気のない顔で。
すべての望みを失ったような顔で。


ピンときた。この子は死に場所を求めてる。
人生に絶望して死に救いを求めている。


この子を救って調教したら…
私好みになってくれるんじゃないかな?



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「ふーん。両親からの虐待と、学校でのいじめかぁ」

「はい」

「そんな事で死んじゃうの?」

「…一般的に見たら『そんな事』かもしれません。
 でも、私からしたら全てです」

「ふーん。その苦しみ、
 私なら割とあっさり取り除いてあげられるけど」

「そしたら、私のモノになってくれる?」

「…意味が分かりません。
 何で私にそこまでするんですか」

「私に、そんな価値はありません」

「そっかな?死のうって思って
 本当に実行できちゃう人を手に入れる機会なんて
 なかなかないと思うけど」

「自分の意志で命すら断てる。
 その思いの強さは魅力的だよ」

「…勘違いですよ。弱いから死ぬんです。
 耐えられないから。逃げたいから死ぬんです」

「そっか。でもね?死ぬのって
 すごいエネルギーがいるんだよ?」

「そのエネルギー、私にくれない?」

「あなたはその思いの強さを大した事ないと思ってる。
 私もね?あなたを今の環境から救い出すのなんて、
 大した事ないと思ってる」

「お互いに大した事ない事で、
 自分にとっては欲しくて仕方ないものが手に入る。
 すっごくお買い得だと思うけど?」

「…考えさせてもらっていいですか」

「駄目。今ここで答えを出して」

「ど、どうして」

「だって帰ったらあなた殴られるんでしょ?
 先延ばしにしてもいい事何もないじゃない」

「私は今の境遇からあなたを救う。
 あなたは代わりに、誰よりも深く私を愛する」

「イエス?それとも、ノー?」

「……」



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世界が一変した。私がした事は、
彼女の提案にただ頷いただけ。
ただそれだけで、私の環境は一新された。


「住むところはこのマンションでいいよね?
 どうせ部屋はガラ空きだし」

「お金?あー、いらないいらない。
 全部私が出してあげる。
 ご飯も、お小遣いも全部ね?」

「明日は服買おっか。ん?
 服を買いに行くための服がない?
 ああ大丈夫、業者に来てもらうから」


……


「どうですかお医者様」

「…間違いなく虐待だと断言できるレベルの傷です。
 罪に問う事は容易でしょう」

「ありがとうございました。
 じゃぁ次は親権喪失請求だね」

「あ、心配しなくていいよ?親権停止になったとしても
 あの手この手でいたぶって手放させるから」


……


「あ、学校の方は退学届出しといたよ。
 別に義務教育でもないんだし、
 死ぬほど苦しんでまで行く必要ないよね?」

「行きたいなら私の高校にくればいいよ。
 いじめとかあったら全力で守ってあげるから」

「報復もしたいなら言って?
 少なくともいじめた犯人くらいは
 破滅させてあげるよ」


……


「でもさ、正直あなたがいじめられてるのって
 それなりに理由があるよね」

「ぶっちゃけて言うと臭い。
 虐待のせいだからあなたのせいじゃないけど」

「まずは傷をしっかり治そう。
 で、目一杯お洒落しよう」


世界は一変した。たった一人の、同い年の
女の子の手によって。

正直私には…それが、
夢か幻にしか思えなかった。



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どれもこれも造作のない事だった。
ぶっちゃけ親の財力さえあれば事足りた。

ううん。もっと言えば抵抗する意志さえあれば
あの子自身の力でもどうにかなったと思う。

児童虐待なんてありふれたものだ。
だから児童相談ダイヤルなんてものも存在するし、
そうでなくても警察に駆け込めばいい。
傷を見せただけで警察が動く程度には、
あの子の体は痛めつけられている。

学校も同じ。嫌なら行かなければいいし、
相応の場所にタレこめば勝手にネタにして
騒いでくれるだろう。


でもあの子はそれをしなかった。


馬鹿だから?違う。
生まれつきの環境が、
あの子をそういう風に育ててしまった。
抵抗できない盲目な子に。
他人に牙をむく事ができない人間に。


でも、その盲目さこそが愛おしい。


あなたの痛みは全て取り除いてあげた。
これからは喜びも与えてあげる。
だから、私だけを見て?
盲目的に私を愛して?

それが、私があなたに求める対価。



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正直私は戸惑った。『愛せ』とただ言われても、
一体何をすればいいのだろう。

受けた恩が大きすぎる。私の全てをもってしても
その恩には到底釣り合わない。

愛の言葉をささやく?
全然足りない。

体を捧げる?
こんな汚い体では、
むしろこっちがお金を払って
引き取ってもらうレベルだ。

何をすれば私は、
この人の恩に見合うほどの愛を
捧げる事ができるんだろう。

なんて考えていたら、あの人は
私にあるものを差し出した。


「はい、首輪。巻いていい?」


それは私が、あの人の所有物になる証。


「別にいいですけど…
 意味があるようには思えません」


だってそんな証で主張しなくても。
この人の庇護がなければ、
私は生きていく事もできないのだから。
むしろ捨てないでと縋り付くのが妥当だろう。


「私にとっては意味があるんだよ。
 あなたが嫌じゃないなら、
 これ、巻かせてちょうだい」

「…はい」


それでもあの人が引き下がる事はなく。
結局私はその首輪を受け入れた。

首に巻かれた所有の証。私はこの首輪に
ふさわしい人間になれるだろうか。



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あの子は予想通りの反応を示した。
死を決意する程の苦しみをあっさり取り払った私を、
まるで神か仏かのように崇め奉った。

首輪を巻かれる事にも一切抵抗する事はなかった。
むしろ、首輪をつけてもなお
今の境遇が信じられず、
自ら命令を希う程だった。


「何かする事はありませんか?」

「別に何も。ただ私を愛してくれれば」

「望まれれば何でもします
 でもどうすればいいかわからないんです」

「そう。じゃあ、今日からずっと。
 私の事を想ってオナニーして?」

「お、おなっ…」

「私の名前を呼びながら、自らを貪って。
 何度も何度も、私を求めて」

「私の事だけを考えて。私の事を欲しいと思って。
 私に食べられたいと思って。
 私を食べたいと思って」

「恩返しはいらないの。
 私が欲しいのはあなたの愛情。
 狂気と言える程の愛情が欲しいの」


目と鼻の先で囁きながら、
私は彼女の瞳を覗き込む。
その目は明らかに動揺していた。


「…できないっぽい?」

「え、あの、いや、そうじゃなくて。
 私、そういうの経験なくてっ…!」

「あ、そうなんだ?
 …んー、どうしようかなー」


「じゃ、初回は私が教えよっか」


私は彼女を押し倒した。
彼女はひどく狼狽えながらも、
抵抗はしなかった。



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初めての事だった。
こんなに人に優しく触れられるのは。

知らなかった。
私の体が、こんな反応をするなんて。


あの人の手が、指が、舌が触れるたび。
私の体は、まるで魔法でも
かけられたのように狂っていく。

手でそっと肌を撫でられるたびに。
気持ち悪い程甘ったるい声が
自分の口から漏れていく。

舌で優しく捏ね回されるたびに。
後から後から、ぬめった蜜が
とろとろと零れ落ちていく。

指で激しくかき回されるたびに。
私の体はひくひくと痙攣し、
やがて大きくのけぞってしまう。


何度となくはしたない声をあげ、
体がどろどろに溶けて
境界が分からなくなってきた頃に。

あの人は私を抱き締めて問いかける。


「どう?自分でできそう?」

「う…うまくできるかはわかりませんけど…」

「あなたを求めるのは…できそうです」

「そっか」


私のその返事を聞いて、
あの人は満足そうに頷いた。



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その日からあの子は、
ひたすら色に溺れていった。

うわ言のように私の名前を呼びながら、
何度も何度も体をひくつかせる。
他にする事もないから、一日中そうしていた。

その痴態を眺めるのも楽しかったけど、
私は別に色狂いの娼婦がほしいわけじゃない。
その辺は間違えないように、
ちゃんと軌道を修正していく。


「はぁっ…!はぁっ……!」

「気持ちよさそうで何よりだけど、
 私の事を忘れちゃ駄目だよ?」

「わ、忘れてませんっ…」

「ホント?でもさっきイク時に
 最後私の名前呼ばなかったよね?」

「悲しいなー。一番大切な時に
 忘れられちゃうなんて」

「ち、ちがっ…ちゃんと、頭の中では、
 あなただけを…考えて…」

「だーめ。それじゃ私には確認しようがないもの。
 呼んでくれないなら、私も
 もうあなたの名前呼ばないようにしようかな?」

「いっ、いやです…!そんなのいやです…!
 もう、もう絶対に同じ過ちは犯しませんから…!」


……


「ごめんね。今日は学校に行ってくる」

「ちなみに帰宅は15時30分。
 つまり、8時間くらいあなたと離れる事になるね」

「っ…そ、そうですか…」

「その間、私はどんどんあなた以外の事に触れる。
 もしかしたら、あなたに関心なくなっちゃうかもね?」

「……っ!」

「そういうわけだから…戻ってきた時は
 頑張って私の気をひいてね?
 …戻ってこないかもしれないけど」

「あっ…あぁっ…!いやっ……!!
 行かないでっ…!!」


……


「ただいまー」

「ぁっああっ…捨てないでぇぇっ!!!」

「お願いですっ、私なんでもしますから!!」

「そばに居させてください!お願いします!!」

「あはは、熱烈歓迎ありがと」

「じゃぁそのまま気をやって?
 私の事を考えて、そのまま。ね?」

「はいっ!イキますっ!!!だからっ!!
 捨てないでっ!!捨てないでっ!!捨てないでっ!!!」


……


やり過ぎないように、
でも気をゆるませないように。
彼女の調教を続けていった。

私以外見えなくなるように。
私の事以外考えられなくなるように。

そしてその日は、
そう遠くなさそうだった。



--------------------------------------------------------



少しずつわかってきた。
彼女の言っている事が。彼女の求めている事が。

彼女は私を壊したいんだ。
私を壊して狂わせて、自分の事しか
考えられないようにしたいんだ。

その気になれば何でも手に入る彼女だから。
生半可な愛なら彼女は手に入れているから。
だから、それこそ命を懸ける程に。
気が違っていると言われる程の愛が欲しいんだ。

最初から言葉では言われていた事だけど。
ようやく心で理解できるようになってきた。
多分、私が壊れてきたからだと思う。


気づいてしまえば簡単だ。


彼女に狂えばいい。我儘になればいい。
彼女の事だけ考えればいい。
ひたすら彼女を求めればいい。


それだけで、彼女は私を所有してくれる。



--------------------------------------------------------



少しずつあの子が変わってきた。
目の光が失われていった。
代わりに表情に笑顔が増えた。

だんだん立場が逆転していった。
肌を重ねる時も、上に乗られる事が多くなった。

私はそれを止めなかった。
だからあの子はどんどんどんどん
重くなっていって。


やがて、私が求めた通りの愛を
私にくれるようになった。

今ではもう学校に向かう時も、
そう簡単には離してくれない。


「ね?わかるでしょ?
 学校に行かないといけないの」

「いやです。あなたなら学校に行かなくても
 どうにでもなるじゃないですか」

「一秒も離れたくないんです。
 ここにずっと居てください」

「あはは。嬉しいけど、さすがに
 学校休み続けると
 お父さんにバレちゃうからねー」

「バレてもいいじゃないですか」

「あなたが原因ってわかったら
 引き離されちゃうよ?」

「引き離される前に
 死ねばいいじゃないですか。二人で」

「あーもう可愛過ぎる事言うのやめて?
 ちょっと本気で考えちゃうから」

「私は本気です。あなたとなら死んでも構いません」

「んっ…嬉しいけど、私幸せは
 できるだけ長く享受したい派なのよねー」

「というわけでごめんね?スイッチオン」


バチィッ!!!!


「…っっっ!」

「持っててよかったスタンガン。
 じゃあ、行ってくるねー」


この通り。最近では、引きはがそうと思ったら
武力行使が必要になる。
あの子の愛は、
完全に病気のレベルに達している。


ああもう、本当に可愛い。


私が生活に支障をきたしたら、
自分の生活だって立ち行かなくなるのに。
後先考え無くなって、
本当にもう私の事しか見えてない。

そんな愛情を注がれ続けたら…

そりゃ私の方だって、
おかしくなっちゃっても仕方ないよね?



--------------------------------------------------------



「お父さん。私、学校をやめてもいい?」

「やめてどうするつもりだい?」

「一人の女性を愛したいの」

「それは私の庇護なしに可能な事かい?」

「無理ね。思いっきりすねをかじるわ。死ぬまで」

「だとしたら承服しかねるが…
 私が反対したらどうする?」

「死ぬわ。しかもお父さんに虐待を受けたとか
 ある事ない事まき散らして死ぬ」

「恨みつらみを録音したり
 自分で作った傷を撮影したDVDが
 大量に作ってあるよ。
 OKしてくれないならバラまいちゃうね?」

「完全にお父さんいじめじゃないか」

「ごめんね!」

「お前には私の後を
 継いでもらうつもりだったんだけど、
 どうしてくれるんだい?」

「家から出なくてもできる仕事なら
 いくらでもするよ?」

「仕方がない…その辺で手を打とうか。
 まったく、どこで育て方間違えたんだか」

「んー、そうだなぁ。あえて言うなら…」


「私を幸せにし過ぎたところかな!」



--------------------------------------------------------



私はこっそり計画を立てていた。
今度あの人が帰ってきたら、
不意をついて懐に飛び込んで。
そのまま手に持った剃刀で足の腱を切る。

そうすればあの人は動けなくなって、
ずっと私と一緒にいてくれるはずだから。

大丈夫。あの人が動けなくなっても私が面倒を見る。
トイレだって、体を洗うのだって
私が全部やればいい。


「たっだいまー」


なんて事を考えていたら、
玄関の方からガチャリと鍵を開ける音がした。
私は思わず身を強張らせながらも、
一瞬の隙も逃すまいと精神を集中させる。


もっとも、そんな考えも
見破られていたけれど。


「あー、何か企んでるでしょ」

「…どうしてそう思うんです?」

「異常なくらい目がギラギラしてるもん。
 それに、手に何か隠し持ってるよね?
 一瞬キラッて光ったよ?」

「…なら、私が考えてる事も
 わかるんじゃないですか?」

「うん。でね、その問題解決してきた」

「…どういう事ですか?」

「具体的には学校やめてきて、
 ここであなたと暮らす事を
 お父さんに認めさせてきた」

「明日から私はもうどこにも行かない。
 ずっと、あなたのそばにいる」

「これで、満足してくれる?」

「…念のため、足の腱切ってもいいですか?」

「嫌よ。そんな事したら足であなたを愛せないでしょ」

「その分私があなたを愛します」

「だーめ。その代わりこれで我慢して?」

「これは…」


そう言って彼女が私に手渡したもの。
それは…


私がつけているのと同じ首輪。


「それを、私の首に巻いて?」

「…私、あなたの所有物ですけど」

「そうだね。でも、
 私もあなたの物になりたいの」

「…どうして」

「いい加減わかるでしょ。
 私ホントは飼われる側なんだってば」

「愛されたい。求めてほしい。
 もっと言っちゃえば支配されたい」

「だから…ね?お互いにお互いを飼うの」

「…ダメ?」

「だったら足を切らせてくれても
 いいじゃないですか」

「機能を欠損するのはダメ。後で
 その部位が欲しくなったらどうするの」

「手錠とか、足枷とか。
 そういうのだったらいくらでも
 つけてあげるから…ね?」


彼女が私にしなだれかかる。
私は渋々剃刀を手から放しながら、
甘えてくる彼女を抱き締めた。



--------------------------------------------------------



そんなわけで私達は今。
完全に二人だけの世界にいる。

いやもちろん、この世界を
支えてくれる人はいるけれど。
視界に入るのは私達だけ。


「んっ…ねぇ、ちょっと、休ませてっ!」

「いやです…もっと、もっと声を聞かせてください」

「聞きたいなら休ませてっ…
 私、もう失神寸前だからっ…!」


朝起きてえっち。
朝ご飯食べてえっち。
お昼ご飯食べてえっち。時々お昼寝。
夕飯食べてえっち。
お風呂入ってえっち。
最後にどちらかが
力尽きるまでえっちして…就寝。


「まったくもう…私、別に
 娼婦が欲しいわけじゃないんだけど?」

「私だって別に快感が欲しいわけじゃないです。
 ただ、あなたが一番余計な事を考えない時が
 してる時だというだけです」

「余計な事って何さ」

「私以外の事です」

「別にしてない時でも
 あなたの事しか考えてないってば」

「信じてないわけじゃないですけど…
 思いの純度が違う気がしますから」


もうこの子は完全に狂っていて。
私が、この子の事以外を考える事を許さない。

最初は私の言葉を理解できてなかったくせに、
今じゃ私みたいな事を言う。
思えばずいぶん変わったもんだ。


「昔とは別人みたいだね」

「あなたに作り変えられましたから」

「もう、死にたいとは思わない?」

「いつでも思ってますよ?」

「ありゃ、そうなんだ」

「幸せすぎて怖いんです。
 いつこの幸せが奪われるのかと思うと」

「いっそ、幸せなうちに二人で逝けたらって
 いつも考えてます」

「いやいや勝手に死なないでよ?
 私はまだまだ幸せを満喫するつもりなんだから」


ともすればそのまま私の首を絞めかねない手。
それを背中の方に押しやると、私は耳元で囁いた。


「もっと。もっと私の事を愛して?」

「愛してますよ。気が狂うくらいに」

「嘘。まだ愛せるよ。
 幸せなうちに死にたいとか、
 余計な事を考えてる暇があったら
 私の事を考えて」


「もっと、もっと、もっと、もっと」


私はふとももを彼女の秘部に摺り寄せて。
行為の続きを催促した。
お休みはもう十分。
さあ、また限界まで愛し合いましょう?


「今度は、やめてっていってもやめませんから」


私の唇をついばみながら、
彼女は狂った笑顔を私に見せた。



(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2015年08月23日 | Comment(6) | TrackBack(0) | オリジナル百合SS
この記事へのコメント
実はご主人側が受け身だったとは。腰痛とか大変そう。
Posted by at 2015年08月23日 21:07
いつも素敵なSSありがとうございます!!
Posted by at 2015年08月23日 22:25
安定の狂気。(言葉おかしい
そして、お父さん。ドンマイです。自慢の娘だったろうに…。
Posted by at 2015年08月24日 15:30
リアルに想像してしまうので、こういう話を読むとぞっとすることの方が多いです。
願わくばこのまま関係がこじれないまま、二人の中で閉じたままで終わりを迎えてほしいものです。
Posted by at 2015年08月24日 21:19
素晴らしい百合でした! この二人の絡みがまた見てみたいです
Posted by at 2015年08月28日 23:57
コメントありがとうございます!

腰痛とか大変そう>
「割と本気で痛い」
「別に無理に腰を振らなくてもいいですよ?
 私がその分可愛がりますから」

ありがとうございます>
「こちらこそありがとうございます!」

お父さん。ドンマイ>
「幸せにし過ぎたから駄目とか言われてもなぁ」
「まぁお父さんは悪くないよ」

二人の中で閉じたままで>
「一生二人で幸せに暮らしましたとさ!」
「それはそれで病んでますけどね」

この二人の絡みがまた見てみたい>
「名無しなのにそう言ってもらえてうれしい!」
「冥利に尽きます」
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2015年09月02日 17:01
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