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【オリジナル百合SS】「そして、一人の勇者が闇に堕ちる」【R18】【狂気】【猟奇】

<あらすじ>
管理人が夢で見たシリーズ。
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最近見た夢だと魔王と勇者の話で、
勇者を殺しちゃうと勝手に復活しちゃうので
殺さないように四肢を拘束して
徹底的に心を折って屈服させてましたね。
で、勇者ちゃんが屈服しちゃうんですが、
そしたら 新しい勇者が生まれちゃって。

↑今回はここまで
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自分は神に用無しと判断された絶望感と、
魔王の興味が新しい勇者に移る事に対する恐怖から
勇者ちゃんが病んじゃって、
魔王に縋り付きながら新しい勇者を虐殺してました。
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<登場人物>
女勇者、女魔王


<症状>
・狂気(重度)
・依存
・異常行動(重度)
・拷問


<その他>
※露骨に性的、残酷な表現を含みます。
 【18歳未満の方の閲覧を禁止】します。

※猟奇的な表現を多分に含みます。
 文中で警告しますので苦手な方はスキップを。

※(狂気的な意味で)かなり頭おかしいです。
 苦手な方は回避推奨。

※冗談抜きで私が見た夢ほぼそのままなので、
 複雑な話ではありません。
 雰囲気を楽しんでもらえれば幸いです。
 (これを夢で見るとか自分の脳内が心配)


ちょいネタでつもりだったのですが、
思った以上に長くなったので前半部分で切りました。
コメントで続きを求める声が一定数挙がったら続き書きます。
(頭おかし過ぎだから多分来ないと思うけど)



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勇者。

それは、人間にとって希望の象徴。

最初はひ弱な存在として生まれ落ちながらも、
恐るべき速度で成長し。

強大な敵に傷つき倒れながらも、
幾度となく立ち上がり。
いずれはそれを打ち倒す。

それが勇者。か弱き人間達の代弁者。
魔族にとって、最大の脅威。


「…でもねぇ」

「死んでも死んでも生き返るって…
 それって人間って呼んでいいものかしら?」

「しかも、何度殺されても気にしないって。
 正気を保ってるって言えるのかしら?」


「ねぇ。貴女って本当に人間なの?
 どっちかって言うと、
 私のお仲間なんじゃない?」


私は眼前の少女を見やる。

そこには四肢を拘束され、魔力を封じられ、
一切の抵抗を禁止された『勇者』がいた。

それでも彼女の目に絶望の色は些かもなく。
決意が『篭められた』、鋭い光が宿っている。


「…ボクは人間だよ。弱い、弱い人間だ」

「死んだら生き返るのもボクの能力じゃない。
 神様が、ボクに再起の機会を与えてくれてるだけだ」

「お前達とは、違う」

「弱い…人間ね。これだけの屍を積み重ねておいて、
 よくもまぁ弱いだなんて言えたものね」

「その分、ボクだって何度も死んだ」


私は大きくため息をつきながら、
彼女の後方に目を向ける。

死屍累々とはこの事だろう。
無残に切り刻まれた死骸。
魔法の業火に焼き尽くされ塵灰と化した死骸。
落雷を浴びて黒焦げの死骸もある。

彼女一人を捕えるために、
百の魔族と幾千の魔物が骸と化し、
七の城が瓦礫と化した。

これだけの強さを誇り、かつ殺しても生き返る。
果たして、弱者はどちらなんだろうか。


「というか、何度殺されても死なせてもらえない境遇に、
 思うところはないのかしら?」

「ない。別にボクは強制的に生かされてるんじゃない。
 諦める気さえあれば、いつだって楽になれるんだ」

「ただ、ボクが諦めたくないだけだ。
 …世界の平和を」

「……狂信者って、貴女みたいな人間の事を
 言うんでしょうね」


彼女の恐ろしいところ。

それは強さもさる事ながら、
その異常な精神性にあるだろう。

目の前の少女に家族はいない。
何しろ勇者一族だ。
両親は戦いのさなかに倒れた。
幼い彼女の目の前で。

仲間だって一人もいない。
もとい、彼女が冒険を始めたばかりの頃に、
三人居た事は把握している。
でも、途中で皆去って行った。

『勇者』の加護はその仲間にも適用される。
つまりは殺されても生き返る。
しかし、彼女の仲間は殺される苦痛に耐え切れなかった。
彼女を見捨てて使命を投げ出したのだ。


つまり彼女は天涯孤独。
なのに、誰一人として繋がりのない彼女は願う。
誰よりも強く、この世界の平安を。

それが叶ったとして、彼女に
何の利益があるのだろうか。
どうせ喜びを分かち合う人もいないのに。

あまりにも自己のない目的。
私には目の前の勇者が、
ただ神に与えられた命令を遂行する
機械人形のようにすら見えた。


「…一応聞いておこうかしら。
 私と手を組んで、
 世界の半分を手に入れる気はない?」

「断る。ボクが望むのは全世界の平和だ」

「…優等生な回答をどうも」


本当に、機械か何かじゃないのかしら?
私は肩をすくめながら、
彼女を縛り付けるための結界を張った。



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『勇者』の処遇。
それは首脳陣にとって大きな悩みの種となった。
理想は殺さず無力化する事。
でもそれすらも難しい。


「…感情論で言えば、即刻
 八つ裂きにしたいところなんですがな」

「そうもいかんじゃろう。殺しても生き返るのでは、
 単に釈放するのと何も変わりがない」

「ならばこのまま飼いますか?」

「それも厳しいのう。何しろ魔王様並の魔力を持っておる。
 抑え込むだけで城中の魔法使い全員がくたくたじゃよ」

「いっそ封印してしまってはどうかな?」

「時限爆弾を後世に押し付けるのかね?
 しかも、神に死亡扱いにされて
 新しい勇者が生まれんとも限らん」

「まったく…この状況においてもなお
 我々を苦しめるとは…腹立たしい奴ですなぁ」


いくつかの案は出たものの、
どれも決定打とはならなかった。
議会は重苦しい沈黙に包まれる。

そろそろ頃合いだろう。
私は口を開き沈黙を破る。


「いい案も出ないみたいだし、
 私に任せてもらっていいかしら?」

「…魔王様には何か策がおありなのですか?」

「ああ、うん。策って言う程でもないけれど。
 私のペットにできないかなーって」

「…具体的には?」

「徹底的に心を折って屈服させようかなと」

「…それが通用する相手ですかな?
 魔王様もご覧になったでしょう。
 捕まった時の彼奴の様子を」


何を馬鹿な、とでも言わんばかりに
大臣が肩をすくめる。

気持ちはわからないでもない。
私も初めて対峙した時は、
機械か何かかと驚いたくらいだし。


「それだけじゃない。
 軍隊蟻に生きながら食い殺されても、
 討伐をやめなかった娘ですぞ」

「え、何それ?私知らないんだけど?」

「まだ勇者がひよっ子だった時の話ですじゃ。
 軍隊蟻の群れに襲われて、
 全身を蟻にたかられて食われとりました」

「ああ…あれは監視している我々ですら
 身の毛がよだつ惨状でしたね。
 …思い出しただけで吐き気が」

「実際、仲間の三人はそれで冒険を止めましたな。
 じゃが、あの娘だけは
 それでも冒険を止めようとはせなんだ」

「あの娘が、ちょっとやそっとの説得で
 考えを改めるとは思えませんな」


「到底無理だ」と言葉を締めくくる大臣。
でもその話を聞いた私は、
逆に活路を見出した気がした。


「ふーん…それ、使えそうね」

「…魔王様?」

「ああ、こっちの話。気にしないで?」

「とにかく。そんな頭がおかしいくらい忠実な子が、
 私の従順なペットになるとしたら…
 この大戦、もらったも同然よ?」

「どうせ代案も出ない状況でしょ?
 私は私でやってみるから、
 並行で代案を考えて?」

「私が成功しそうになかったら、
 代案の方に切り替えればいいわ」


そして議会は閉会となった。
皆が覇気なくのろのろと立ち去る中、
私は意気揚々と歩き出す。

目指すはそう、勇者が捕えられている牢獄。
善は急げ。さっそく思い付きを試してみる事にしよう。



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★猟奇表現あり。
 苦手な方は次の★まで飛ばしてください






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十を越える階段を下り、最下層の牢獄に辿りつく。
お目当ての人間は、さらにその最奥に捕えられていた。


「というわけでこんにちは」

「…また来たんだ。魔王って意外に暇なんだね?」

「ふふっ、そんなわけないでしょう?
 貴女が魔族にとっての最重要課題ってだけよ」


四肢を拘束されるだけに留まらず、
首、腰、腿…至る所に枷を付けられながらも。
まるで意に介さないとばかりに、
彼女は敵意の籠った目を向ける。

ああ、この顔が恐怖と苦痛と恍惚に歪むと思うと、
今から楽しみで仕方がない。


「ところで、貴女って大切な人はいないの?
 例えば人質に使えるような」

「…馬鹿なのかい?それをボクが
 自分から白状するとでも?」

「あら厳しい。でも、こっちも
 ある程度目星がついてるから聞いてるのよ?」

「なおさら残念だったね。ボクは一人ぼっちだよ」

「でも途中まで仲間が居たんでしょう?」

「……心が折れて逃げた腰抜けなら居たね。
 ボクはもう仲間とは思ってないよ」


苦々しそうに彼女は吐き捨てた。
やはり、志半ばで離脱した仲間を
快く思ってはいないらしい。


「彼らには悪いけど、人質にとっても無駄だよ」

「ふむふむ。それは何よりだわ」

「…何が言いたいの?」

「こういう事」


私はパチンと指を鳴らす。
同時に、前方の空間が異質に歪み、
陽炎のように揺らぎ始める。

やがて揺らぎは映像を投射する幕となり…
そこに、ある一人の人物が浮かび上がった。


「…もちろん覚えてるわよね?
 貴女を見捨てて旅をやめた仲間の一人」

「…それがどうしたの?
 まさか彼を人質に取るとか言わないよね?
 結果なら、さっき言ったばっかりだよ?」

「ふふ、そんな無駄な事はしないわ。
 ただ現状報告をしようと思って」

「魔王退治からは逃げ出した彼だけど、
 人間基準で見ればそこそこ腕が立つ方だから。
 弱いモンスターしか出ない辺境の村で、
 用心棒として生計を立ててるみたいね」

「村には戦える人なんて居ないから英雄扱い。
 可愛いお嫁さんまでもらって
 絵に描いたような幸せな暮らしを送ってるわ」

「…それをボクに伝えて、何がしたいのさ」


勇者の目が鋭くぎらついた光を放つ。

私の思惑が読めなくて苛立っているのだろう。
でも…それ以外の感情も見え隠れしていると思うのは
私の期待し過ぎだろうか。


「というわけで、幸せな彼の生活を眺めながら…」


「貴女は虫に食べられて、虫の息になりましょうね♪」


再び私は指を鳴らす。それと同時に、
蠢く黒い渦が、彼女を完全に包囲する。

…その正体は、かつて彼女を
生きながら食い殺した蟻達だった。


「…っっ!!」

「大丈夫よ?本当に殺したりはしないから。
 死ぬ直前で止めて、回復呪文をかけてあげる」

「でも、その後はまた蟻をけしかけるわ。
 何度も、何度も…貴女の心が折れるまでね?」

「さ…まずは体中蟻に這い寄ってもらいましょうか」


蟻の群れが蠢き出す。悲鳴こそ上げなかったものの、
彼女の顔はわかりやすく血の気を失っていた。

それもそうだろう。
生きながらにして食べられる。
トラウマにならない方が異常なのだから。

ちなみに、そんな彼女とは裏腹に、
映像の中の男は楽しそうに家族と団欒している。


『はっはっはっは。そこでわしがこの鉄の斧で
 魔法使いの奴をがつんと打ち倒してやったんだよ』

『いやあ、あの雄姿見せてやりたかったわい』

「……」

「ふふっ、あっちは楽しそうねー」

「しかも雄姿ですって。貴女を見捨てたくせにね。
 ねぇ、殺意が沸いてこない?」

「うるさい卑怯者!何を考えてるのか知らないけど、
 拷問なんかでボクを落とせると思ったら大間違いだ!」

「『拷問なんか』ねぇ…個人的には、
 これで落ちないならもう人間とは
 呼べないと思うけど?」

「まあその意気やよし。
 手始めに指をガジガジしましょうね♪」


彼女の小指に這い寄った無数の蟻が、
私の命令を受けて彼女の指を齧り始める。


がじりっ、がじりっ。

「ぃっ…!!」


瞬く間に彼女の指は血に染まり、
赤と黒が混じり出す。
それでも彼女は気丈にも、
声を張り上げる事はしなかった。


「…呆れた精神力ねえ。本当、人間とは思えないわ」

「…どうも」

「あ、何がしたいかって聞かれてたわね。
 端的に言うとね、貴女に人間らしい感情を
 取り戻してほしいのよ」

「……」

「その身の全てを世界平和に捧げた貴女が、
 こうして地獄の苦しみを味わってる中…」

「途中で逃げ出した男は、
 その苦労も知らずのうのうと暮らしてる」

「ねぇ、イラッとして来ない?
 『なんで私だけこんな目に』って思わない?
 『殺してやりたい』って思わない?」

「…思わない!」

「すっごーい♪そんなすごい貴女には、
 もう一齧りプレゼント♪」


パチンッ。


がじっ…がじがじっ…

「…ぅぁっ…!」


パチンッ。


「はいストップ」

「と思わせてもう一回♪」


パチンッ。


がじがじがじっ…ぶしゅっ

「…ぁっ…ぅっ…!」


「あ、これ以上は失血死しちゃうわね。
 はいやめー。ヒーリングしてから続行ね?」


パチンッ。


私が指を鳴らす度、蟻が激しく彼女を喰らう。
もう一度私が指を鳴らすと、蟻達の動きがピタリと止まる。
幾度となく繰り返す。一定の周期で、規則正しく。

少しずつ彼女の瞳が濁っていく。
彼女の視線が、私の指に吸い寄せられていくのがわかる。
いつ命令が放たれるのか。
いつ、この地獄を止めてもらえるのか。
固唾を飲んで見守っているのがわかる。


恐怖が、心を支配し始めている証拠だ。


「そんなに見つめないで?恥ずかしいから」


私は不意に指を振る。指を見つめる彼女の目の端に、
蟻の大顎(おおあご)がにじり寄った。
視界に顎を見て取った彼女が、
初めて恐怖の悲鳴を上げる。


「いやぁっ!」

「ああうん、そりゃ嫌でしょうね。
 あ、これで貴女は失明しちゃうから、
 最後にお仲間の幸せな団欒を
 しっかり目に焼き付けて置くといいわよ?」


パチンッ。


指が鳴るのを見た瞬間、
彼女はとっさに瞼を閉じた。
私のアドバイスなど耳に貸さず。

もっとも、たった数ミリ程度の脆弱な膜が、
軍隊蟻の大顎から眼球を守る事など
できるはずもなく。


刹那、絶叫が部屋中に響き渡った。


「っあぁぁあああっ!!!」

『はっはっはぁ!そいつは面白い!!』


その絶叫は、裏切り者の場違いな
笑い声と合わさって、一種異様な雰囲気を作り出す。

声は彼女の耳にも届いたのだろう。
鮮血が飛び散る目から表情は伺えない。
けれど、血が出る程に食いしばられた唇が、
彼女の憤りを物語っていた。


(ふふ、ずいぶん感情が
 剥き出しになってきたじゃない?)


パチンッ。


「はいやめ。とりあえず
 このくらいにしておきましょうか」


私の言葉を聞いた彼女が、
知らず知らずのうちにほっと安堵の息を吐く。
もはや虚勢を張る気力もないらしい。


「ちょっと私も優雅にお茶してくるわ。
 続きは一時間後ね?後言っとくけど、
 ここまではただの小手調べよ?」

「次は、こんなお遊びじゃ
 済まさないから覚悟なさい」


一度は緩んだその顔が、今度は
はっきりと恐怖に歪んだのを、
私は見逃さなかった。


「…嫌なら選びなさい。
 このまま拷問を受け続けるか。
 私と一緒に、あの男を殺すか」

「…え?」

「言ったでしょう?この拷問の目的は、
 貴女に人間らしい感情を取り戻す事だって」

「……」

「もう一度聞くわよ?
 貴女が眼球を食い破られていた間、
 何も知らずに談笑していたあいつ…」


「本当に、殺したくない?」


「……っ」


「はい、目も治してあげたわ。
 ごらんなさい、あの幸せそうな顔。
 腹立たない?」

「……」


彼女は肯定しなかった。
それでも、否定はしなかった。


「まあ、そうは言っても
 いきなり仲間を殺すって言うのは難しいわよね?
 大丈夫。そこまでは求めないわ」

「貴女がちょっとだけ、気を緩めてくれたら…
 私が貴女の体を乗っ取って、
 貴女の代わりに殺してあげる」

「ちょっとだけ、気を抜くだけでいいの。
 これだけの拷問を受けてるんだもの。
 少しくらい弱気になっても仕方ないわ。
 …もう、楽になっていいのよ?」

「…そんな…事…!」

「…ま、今すぐじゃなくていいわ。
 時間なら『死にたくなるくらい』たっぷりある。
 ゆっくり考えて頂戴」


「…拷問を受けながら、ね」


私はあざとく彼女に微笑みかける。
彼女の瞳は、出会った時の強さが見る影もなく。
酷く危うげに揺らぎ続けていた。



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何回も何回も、何日も何日も繰り返した。


さすがは勇者と讃えるべきか。
それとも狂人めと罵るべきか。
彼女は危うい境界で自身を保ち続けた。


それでも、いつかは終わりが訪れる。


睡眠も、食事もろくに与えられず。
ただ苦痛だけを絶え間なく与え続けられ。
流石に彼女の心にも、
ほんの小さな綻びが生まれた。

それが衰弱から来るものなのか。それとも、
彼女の心が折れた事を示すのかはわからない。

でも、私はその瞬間を見逃さなかった。
ぬるりと彼女の意識に入り込み、
同調し、体の支配権を奪い取る。


「同調成功ー」

『…ぼ、ボクの体を返せ!』

「いやねぇ返せだなんて。
 貴女が私を受け入れたんでしょう?」

『ち、違う』

「口で何を言っても結果の前には無力よ?」


軽く詠唱を二言三言。
開錠の呪文を前に、捕縛していた枷が
音を立てて床に落ちていく。

予想していた通りだ。
勇者としての力は封じられているけれど、
私の魔法はそのまま使えるようだった。


「じゃあ、あいつを殺しに行きましょうか♪」


壁に立てかけてあった剣を手に取り、
再び呟くように詠唱をぽそり。
瞬時に体は宙を舞い、辺境の村に私達を誘った(いざなった)。


「はい到着。ほら、想い人も目の前よ」


言葉の通り、対象は探すまでもなくそこに居た。
まあ、そういう呪文だから当たり前なのだけれど。


「なっ…勇者…殿…!?一体、何が…?」


突然の出来事に理解が追い付かないのか。
男はぽっかりと口を開けて、
でくの坊のように突っ立っている。


「じゃあ、手始めに何回か斬りましょうか!」


問答する暇を与えず、剣で二、三回斬り払う。
あえて致命傷にならない斬り方で。


「うぎゃぁぁああっ!!?」


なのにたったそれだけで、
男は絶叫をあげながらのたうち回る。


「あはは。どう?すっきりした?すっきりした?」

『…そ、そんなわけないじゃないか!
 もうやめて!!』

「あはは、嘘ばっかり」


意識が同調しているからわかる。
彼女の感情は、私にも流れ込んでくるのだ。
その逆もまた然りだけど。

やめてほしいと思っているのは本心だろう。
でも、それだけじゃない。

後ろ暗い、勇者としては致命的などす黒い喜びが、
彼女を襲っているはずだ。
そう、あえて言葉に表すなら…
こんなところだろうか。


『ざまぁ見ろ。私の苦しみ、少しは思い知ったか』


彼女の悦びが伝わってくる。
ゾクゾクと快感が肌を撫でる。
思わず体が熱くなってくる。


「いいわよ、その調子!
 こっちまで気持ちよくなってくるわ!!」


つい堪らなくなって、
一心不乱に斬りつける。
何度も、何度も、何度も、何度も。


「ねぇ!気持ちいいしょう!?
 スカッとするでしょう!?」

「嘘ついても駄目よ!?わかるんだからぁ!
 ほら、すっごく気持ちいいでしょぉっ!?」

『う…そ…ボクッ…こんなぁっ…!』


鼓動がどんどん早くなる。
全身が火照って熱くなる。
体の奥の奥がジンジン疼いて、
じゅわりと何かが滲み出る。


間違いない。私は今、欲情している。

そして、もちろん彼女も。


もっとも、その欲情の内訳は、
九割方は私によるもので。
彼女はただ同調してそれを
感じているだけだろう。

でも、そんな事を彼女が知るはずもなく。
ただ、魂を揺さぶる狂気の衝動に
翻弄されるしかない。


「あはっ…!あははっ…はぁっ…!」


昂ぶる感情は収まらない。
もはや事切れて声を発さなくなった肉塊を、
それでもまだ斬りつける。


『やめてっ…こんなのっ…も…やだぁぁっ……!!』


際限なく昂ぶっていく獣欲に、
ついに耐えきれなくなったのか
私の中で彼女が懇願し始める。


ひどく色の籠った声で。


「ええー?せっかく気分が乗ってきたのに」

『まあでもわかったわ。はい』


私は特に抗いもせず、体の制御を明け渡した。
唐突に明け渡された体の自由に、
彼女は情けない声をあげる。


「…いやぁっ……え?」

『一回だけでいいから切り捨てなさい?
 そしたら終わりにしてあげるわ』

『ほら。一回だけでいいの。
 斬っちゃいなさい。ううん、斬りたいでしょ?』


私の言葉を受けて、
彼女の目が肉塊に釘付けになる。
どうしようもなく火照る体。
手には剣。狂おしい程の衝動。


斬りたい、斬りたい、斬りたい、斬りたい


「えぅ…あぁ…あっ」

『ほらほら斬っちゃえ。すっごく気持ちいいから』

「斬……る…ボク…き…ル…」


喘ぐように声を漏らしながら。
促されるままに、反射的に彼女が振りかぶる

そして

両手でしっかり握られた剣は
まっすぐに肉塊に振り下ろされて…


−−−ッ


かつて仲間だったモノを、一刀両断にした


綺麗に真っ二つになった肉塊を目の前にして、
彼女は声を震わせる



『すごっ…真っ二つっ…気持ちいっ……!』

「あぁっ…あっ…ぼ、ボク、なんて、ことっ」


「なのにっ、やだっなんでっ、ボクっ、うそっ!?」

『あっ、くるっ、すごいの、くるっ、あはっ、キちゃうっ』


『「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」』


刹那、暴力的なうねりが全身を駆け巡り、
私達の意識を蹂躙する

荒れ狂う快楽に体がガクガクと小刻みに痙攣する

私達は血に塗れた剣に縋り付きながら、
ただひたすら波が過ぎ去るのを待つしかなかった


『「…っあ!!…ふぁっ!!」』


…やがて、少しずつ体の痙攣が
緩やかなヒクつきに変わり
全身が心地よいけだるさに包まれる


…なんて、心の方は俄然昂ぶったままなのだけれど


『…もう一回っ」


さりげなく体を奪い返して、
そっとその手を秘部に這わせる


ぐちゅりっ


『そこ』は、まるで漏らしてしまったかのように、
ぐっしょりと蜜に濡れていた


「あはっ…こんなになっちゃってるっ…!」

『なっ…なに…を…っ』

「コーフンが収まらないからぁ…
 このまま、自分でしちゃおっかなって」

『うそっ…やめっ…んんっ!!』

「あはは、だめだめ……んっ…
 貴女もサカってるの、
 わかってるんだからね…あっ」


形だけの抵抗を無視して、構わず秘部を弄び続ける

ほとんど触った事もなかったんだろう
自分の体とは違う初々しい『固さ』を感じ
思わず体を震わせる


「んっ…なんかっ、すごい新鮮なっ…感じっ…」

『ぁっ…んぁぁっ…ふっ…やぁっ』

「あはは、喘いでばっかりね?
 それにしてもあなた、仲間殺していきなりイッちゃうとかぁ…
 私達、案外すぐ仲よくなれるんじゃない?」

『ちがっ…ボクッ、ひぅっ…なんでぇっ…!!』


否定するその声も、甘く甘く蕩けていて
脳内に響き渡る彼女の嬌声が、
私をより燃え上がらせる


「ふふ…仲よく、仲良くしましょうね…」


私は彼女に囁きながら、
ひたすら彼女の体をいじくり回す


それは、私達二人が力尽きて眠るまで
飽く事なく繰り返された



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自分を見捨てた相手とは言え、
かつての仲間をその手で真っ二つにして。

しかも恐ろしい事に、
その行為で絶頂に達してしまい。

あげく、殺した仲間の眼前で、
浅ましく自慰に耽ってしまった。


それらの事実は、
彼女を狂わせるには十分過ぎた。


もちろん、主な要因は私との同調なんだけれど。
その事実を教えてあげる程
私はめでたい性格はしていない。


「…確か、まだ居たわよね。貴女の仲間」

「…また、同じ事をする気なの」

「もちろん。すっごく気持ちよかったし。
 貴女だって、気持ちよかったでしょう?」

「…ボク…は……」


一度壊れた心は、そう簡単には戻らない。

私は彼女の瞳に、隠しきれない
劣情の炎が燻っているのを見て取った。


それから話は早かった。


最後の一人を殺る頃には、
彼女はもはや何の躊躇いもなく。
嬉々としてかつての仲間を嬲り殺した。

血塗れ(まみれ)の剣に
しなだれかかりながら、
上擦った声で彼女は零す。


「ははっ…あははははっ…ころしちゃった」

「ぼく、ぜんいんっ、ぜんいんころしちゃったぁ」

「ひとごろしだよ、しかもっ、なかまぁ!」

『でも…気持ちよかったでしょ?』

「うんっ…すっごいっ、よかった」

「びくびくって、全身が、雷走ったみたいになってぇ…」

「すっごく、すっごく…きもちよかったぁっ…」

『私も…ねぇ、いつもみたいに、しちゃいましょ?』

「うんっ…ボクもっ…ガマン、できないっ…」


蕩けきった声で荒い息を吐きながら。
もどかしそうに胸をはだけ、
彼女は自らを慰め始める。

股の付け根に手を伸ばすと、
そこはいつものように決壊してしまっていた。

くちゅり。

彼女は指の腹で愛液を掬い取ると、
それを突起に塗り付けてリズミカルに捏ね回し始める。


『んっ…うまく、なった…わねっ』

「教えたのっ…キミじゃないっ…あっ、あっ」


そう、その指使いは私が教えたもの。

あれから、何度となく体を乗っ取って、
色の悦びを体に覚えこませてあげた。

あらゆる才能に秀でた彼女は、
こっちの覚えも驚く程早く。

一度達してしまっている体は、
瞬く間にまた押し上げられていく。


(ホント…別人みたい…!)

(そろそろ…ちゃんと食べちゃってもいいかもね?)


与えられる快感にうっとりと身をゆだねながら、
私は彼女を煽るように
脳内で浅ましく鳴き声をあげた。



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「で、これからどうするのかしら?
 最初に戻って、平和について語ってみちゃう?」

「…今のボクにそんな資格ないよ」


にやにやと笑いながら問いかける私に対して、
彼女はそっと俯いた。

もはや彼女は自分自身を、
完全に見限ってしまったようだった。


「じゃあ、このまま
 私のものになってくれないかしら?」

「…キミのものに?」

「そ。どうせ私以外いないでしょ?
 貴女と知り合いで、
 貴女の事を愛してくれる相手なんて」

「…うん」

「ついでに言っとくと、今更
 勇者業を続けようとしても無理よ?
 貴女がかつての仲間を虐殺した事は、
 もう全世界に伝わってるから」

「でも、私のものになれば、
 もう苦しむ必要なんてないの。
 苦しみは私が取り除いてあげる。
 悦びは私が与えてあげる」

「諦めて、私のものになっちゃいなさい?」

「…キミの…ものに…」


うわ言のように呟く彼女。
私は思わず苦笑して、
そのまま彼女を押し倒した。


「わわっ」

「ま、今すぐにとは言わないわ。
 今からたっぷり可愛がってあげるから、
 ゆっくり考えてみて」

「か、可愛がるって…なにをっ…んんっ」


喋り出そうとする口に蓋をする。
そのまま唇を優しくついばみ、
舌を這わせて…
やがて、ぬるりと舌を滑り込ませた。


「んっ…んむっ…」


彼女は私を追い出そうとはしなかった。
それに私は気をよくして、彼女の舌を絡め取ると、
思うさま咥内を蹂躙する。


ぬちゃり、くちゅり。


はしたない水音だけが、
静かな部屋に木霊する。


「はぁっ……」


ひとしきり堪能した後で
そっと彼女から舌を引き抜く。

でも、物欲しそうに彼女の舌が追いかけてきて…
私達の間に、とろりと透明な糸の橋が架かった。


「…ふふ。この調子なら、
 いい返事が聞けそうね?」


舌舐め擦りしながら微笑む私。

彼女は恥ずかしそうに目を伏せながら。
それでも、否定する事はしなかった。



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どんよりと曇った日の事だった。

とある辺境の村。一人の村人の頭上めがけて、
暗雲を切り裂く一条の光が降り注ぐ。

突然の出来事に男は慄きながらも、
それが死に至る類の光ではないと直感する。

やがて、光の柱は糸のように収束していき…
全ての光が、男の中に吸い込まれていった。


驚き戸惑う男の脳内で、荘厳な声が響き渡る


『我が子よ、心して聞きなさい』


『先代の勇者は、悪の手に落ちました』


『このままでは、ほどなくして
 世界は闇に包まれるでしょう』


『旅立ちなさい。そして悪を打つのです』


『次代を担う勇者として』


しばし呆けていた男だったが、やがて
はっと我に返り、自らの拳を握り締める。


その瞳には、先までの彼からは
想像もつかない程の、
強い意志が『籠められて』いた。


こうして、新たなる『勇者』が
また地上に姿を現す。



それはすなわち…

『彼女』が神に、見限られた事を意味していた。



戦いは、まだ終わらない。



(続く。2015/10/17:21時以降公開)
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posted by ぷちどろっぷ at 2015年09月12日 | Comment(9) | TrackBack(0) | オリジナル百合SS
この記事へのコメント
すばらです! こういう狂気もの良いですね!是非とも後編もお願いします!
Posted by NAHARA at 2015年09月12日 21:38
仲間を切り壊れてからのヤンデレがいいです。続きをお願いします。
Posted by at 2015年09月12日 22:03
『 ★猟奇描写あり。
苦手な方は次の★まで飛ばしてください 』

ガチなヤツだと思いました。
何はともあらず続編、とても楽しみにしてます!
Posted by at 2015年09月12日 22:15
実はこのtwitterの発言から、巴さんの四肢不自由ハーレムを見たくなったという。

拷問の文字がある辺り、取っ捕まったスパイ咲ちゃんと拷問官久さんも可能……?
Posted by at 2015年09月12日 22:53
凄く良かったです!
続きお願いします!!
Posted by at 2015年09月13日 19:36
ゾクッとしました(いい意味で)
続き楽しみにしてます!
Posted by at 2015年09月14日 11:20
続編お願いいたします
とても良かったです
Posted by at 2015年09月26日 04:26
続きが来ないという事はコメントが足りなかったのかな?
ということで自分も続きが見たいのでコメントさせていただきます
Posted by at 2015年10月06日 02:57
続編期待してます。
Posted by うおおおおお at 2015年10月18日 00:38
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