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【咲-Saki-SS:白塞】塞「シロは私が居ないと駄目だからね」【まったり】【共依存】

<あらすじ>
豊音
 「やっぱり三人は仲いいねー」

塞「幼馴染だしね。まあ胡桃とは
  大学分かれちゃったけど」

胡桃
 「心配だなぁ…この二人が一緒とか」

エイスリン
 「ドウシテ?」

胡桃
 (ダルがりで何もしないシロと
  なんだかんだ面倒見ちゃう塞…
  ろくな結末が思い浮かばない!)


<登場人物>
小瀬川白望,臼沢塞,鹿倉胡桃,姉帯豊音,エイスリンウィッシュアート

<症状>
・まったり
・共依存

<その他>
以下のリクエストに対する作品です。
・シロ塞でシリアスかギャグはどちらでもいい

※だらだらまったり共依存になりました。



--------------------------------------------------------



胡桃
 「ただいまー!
  あー、外すっごく寒かった!」

白望
 「…何で私がこんな目に」

胡桃
 「シロが言い出したんでしょ!
  負けた人が罰ゲームで買い出しとか」

白望
 「…今日は勝てる気がしたんだけどなぁ…
  今頃こたつでぬくぬくしながら
  ドベがお菓子買ってくるのを
  待つはずだったのに……」

塞「それ完全にこっちの台詞だってば。
  私はトップだったのに」

白望
 「…塞は私の飼育係だから…
  私の全行動に責任を取る必要がある…」

塞「シロみたいな手のかかるペットはお断りだってば」


豊音
 「あはは、三人ともお疲れ様ー。
  おこたあったまってるよー」

エイスリン
 「フトコロニテ、
  アッタメテオキマシタ!」


塞「…ありがと。よっこしょっと」

塞「あー、染み渡る…あ、ミカン一個もらうね」

塞「はぁ…こうしてこたつに入って
  ミカン剥いてると幸せを感じるわ」

胡桃
 「…ホント、塞ってナチュラルに
  おばーちゃんみたいな事言うよね」

塞「え、今のダメ?おばさんくさい?」

胡桃
 「おばさん通り越して
  おばーちゃんだったよ」

白望
 「…塞は生まれた時から
  おばーちゃん気質だから仕方がない……」

胡桃
 「たしかに」

塞「よしわかった。アンタ達には
  もうミカン剥いてあげない」

胡桃
 「おばーちゃんが苛める!」

白望
 「…孫をいじめるとは
  おばーちゃんにあるまじき行為…」

塞「いじめられてるのは
  どう考えても私だよね!?」

豊音
 「三人って本当に仲いいよねー」

エイスリン
 「サスガ、オササナジミ!」

塞「幼馴染ね。ま、その腐れ縁も
  さすがにこれでおしまいみたいだけど」

胡桃
 「私は卒業したら東京の大学に行くからね」

豊音
 「シロとさえは違うのー?」

塞「私は地元の大学に行くよ。
  そしてなぜかシロがついてくる。
  学科は違うけど」

白望
 「…私の人生は塞に預けた……」

塞「…っ…だ、ダルかったから
  私の進路に乗っかっただけでしょ」

豊音
 「あっ、さえ照れてるー」

エイスリン
 「カオマッカ!」

塞「だからそういうのじゃないってば…!
  あ、私ちょっとトイレ行ってくる」

白望
 「…塞、私も行きたいからおんぶして…」

塞「…エイスリン」

エイ
 「…ハイ!」(蹴っ飛ばしてる絵)

白望
 「…標識みたいに使うのやめてほしい」

塞「シロも何度も同じこと言わせないの。
  ほら行くよ?」

白望
 「…ダル」

豊音
 「でも手は引いてあげるんだねー」

塞「し、シロだけだとなんか危なっかしいし…
  ああもう、行ってくる!」


ガチャッ…パタパタ


豊音
 「あは。塞ってホント面倒見いいよねー」

エイスリン
 「サスガ、シイクガカリ!」

胡桃
 「……」

胡桃
 「んー」

豊音
 「くるみどうしたのー?
  なんか渋い顔してるけどー」

胡桃
 「…今のやり取り見てると、
  ちょっと二人の将来が心配になるなあって」

エイスリン
 「シロト、サエ?」

胡桃
 「うん。よりによって、
  あの二人が同じ大学って言うのが」

胡桃
 「シロは言うまでもなくあんなだし、
  塞もなんだかんだ言って甘やかしちゃう
  おばーちゃん系女子だから」

胡桃
 「私が居なくなった途端に、
  シロが際限なく駄目になっちゃいそうで」

豊音
 「あ、あはは…大丈夫だよー。
  シロ、意外とやることはちゃんとやるし」

エイスリン
 「シュクダイ、イツモヤッテキテタヨ?」

胡桃
 「まあそうなんだけどね」

胡桃
 「……」

胡桃
 (ただの杞憂だといいんだけど)



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――新年度。






--------------------------------------------------------



塞「祝!新生活で一人暮らし!」


塞「んー、この開放感がたまらない!
  一人暮らし、ずっと憧れだったんだよねー。
  家から通えるのに許してくれた
  お父さんお母さんに感謝!」

塞「でも、逆に言えば誰も
  助けてくれないって事だもんね」

塞「心機一転!一人でもちゃんと
  生活できる様に気を引き締めて行こう!」

塞「……」

塞「……」

塞「…って言いたかったわけだけど」


白望
 「…ダル」


塞「なんでシロがいるわけ?」

白望
 「…塞が一人暮らしすると聞いて……」

白望
 「…同じ大学だし、二人で協力した方が
  いろいろはかどると思った……」

塞「協力ねぇ…私には、だらけるシロと
  溜息つきながら面倒見る私の姿しか
  想像できないんだけど」

白望
 「…否定はできない」

塞「そこは否定しときなよ」

白望
 「…ダル」

塞「まったくもう。明日から履修申告だけど
  そんな事で大丈夫?」

白望
 「…まだどれ取るか決めてない……」

塞「……」

塞「…えぇ!?」

白望
 「シラバスが分厚すぎるのが悪い…
  もうあの太さを見た瞬間、
  枕として使う事しか考えられなかった…」

白望
 「というわけで、寝た……」

白望
 「…もう、この際全部塞と同じでいいよ……」

塞「はぁぁあああ!?いやいや
  シロと私学科違うから!一緒にできないから!」

塞「危なかった…!始まる前から
  留年決定するところだったじゃん!」

塞「ほら、一緒に考えてあげるから今日は徹夜!!」

白望
 「…ダル。塞がやっといて……」


塞「シロの履修申告だからね!?」



--------------------------------------------------------






――授業開始。






--------------------------------------------------------



教授
 『というわけで、本文献によれば
  迷い家に辿りついたものは
  幸福になるとされており…』


塞「……」

白望
 「……」


教授
 『迷う事は決して悪い事ではなく、
  むしろ幸せに繋がる道であるとも…』


塞「……」

白望
 「……」

塞「…なんで私、シロの学科の
  授業受けてるんだろう」

白望
 「授業中寝るであろう私に
  後で講義の内容を解説するため……」

塞「二度手間過ぎるでしょ。
  今ここで真面目に受ければすむ話じゃん」

白望
 「…この教授の声が
  催眠音波過ぎるんだよなぁ……」

白望
 「……」スヤァ

塞「って、本当に寝ない!」

白望
 「塞がいると安心するからつい……」

塞「も、もう…仕方ないなぁ。
  ノートは取っといてあげるから、
  後でちゃんと勉強しなよ?」

塞「それに、私だって全部の授業を
  付き添えるわけじゃないんだから…
  最低限、私が見てない必修は
  自力で頑張ってよね」

白望
 「……」スヤスヤ

塞「言ってるそばから寝ない!!」



--------------------------------------------------------






――前期終了。






--------------------------------------------------------



塞「うぁー…結構ビミョーな結果。
  試験期間ほとんど
  シロにつきっきりだったもんなぁ…
  一つも落とさなかっただけましかぁ」

塞「で、シロの方はどう?」

白望
 「…いくつか追試の奴がある……」

塞「駄目じゃん。どれが追試になったの?」

塞「…って、ちょっとシロ!?これって確か
  通年必修科目じゃなかった!?」

白望
 「…そうだっけ……」

塞「ヤバいヤバいヤバいヤバい!
  これ落としたらシロ留年だって!」

白望
 「…追試があるから大丈夫……」

塞「勉強しないで試験受け直したって
  結果は変わらないでしょ!」

塞「ああもうどうすれば…!
  これ私の必修とかぶってたから
  私も全然内容知らない奴だし…!」

塞「って、そうだ!確か胡桃が
  同じような授業取ってたはず…!」



--------------------------------------------------------



塞『胡桃!確か胡桃の大学って
  ○○って授業あったよね!?
  ちょっとこれ教えてくれない!?』

胡桃
 「?でもこれ、塞の学科だと
  やらない授業じゃない?」

塞『私のじゃなくてシロの!
  この単位落としたらシロ留年しちゃう!』

胡桃
 「えぇぇえ!?ちょ、ちょっと待って!
  今ノートのコピー送るから!」

塞『助かる!後、電話でもみっちり
  教えてくれると助かる!』

胡桃
 「わかった!とりあえず
  ノート探すからいったん切るね?」


プツッ……

胡桃
 「……」

胡桃
 「……」

胡桃
 「やっぱり心配した通りだったよ!」



--------------------------------------------------------



塞「…どうだった?」

白望
 「…おかげで何とかなりそうだけど、
  電話でものすごい説教された…」

白望
 「『めっ!』って50回は言ってた気がする……」

塞「そりゃそうでしょ…ていうか私まで
  『めっ!』されちゃったじゃん」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
胡桃
 『塞は塞で甘やかし過ぎ!
  シロがだらけるのは想定内なんだから、
  それもコミでリードしなきゃ駄目でしょ!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


塞「ってさ」

白望
 「…面目ない」

塞「これにこりたら後期は真面目に勉強してよ?」

白望
 「……善処する方向で前向きに
  検討することを今度折りを見て
  着実に考えていきたい……」

塞「政治家か!ああ、これやっぱり
  私が頑張らないと駄目だ…!」


塞「今まで以上に、しっかり
  シロの面倒を見てあげないと!」



--------------------------------------------------------






――後期開始。






--------------------------------------------------------



塞「とりあえず、後期はできるだけ
  シロの必修と私の必修が
  かぶらないようにした」

塞「シロの必修は私もできるだけ授業に出る。
  カバーしきれない授業は
  友人からノートをもらって対処する」

塞「というわけでよろしくね!」

友人
「「「「任せて!」」」」

白望
 「…なんで私の学科なのに塞の方が友達多いの……」

塞「自分の胸に手を当てて考えて見なさい」



--------------------------------------------------------



塞「よし完璧!今回は何とかシロも
  単位落とさずに済んだ」

白望
 「…頑張った……」

塞「いや頑張ったのは私だけどね?」

白望
 「うん…私が今こうしていられるのは塞のおかげ」

白望
 「…本当にありがとう」

塞「……!」

塞「ま、まぁね!シロは
  私がいないと本当に駄目だからね!」


塞「私が面倒見てあげないと!」



--------------------------------------------------------






――1年後。






--------------------------------------------------------



塞「はい、シロ。履修科目決めといたから。
  この通りに受けてね」

白望
 「…ありがと」


……


塞「はい、シロ。次はここで授業だから。
  私は別の講義室行くけど、
  終わったら迎えに行くからそのまま待ってて。
  勝手に動いちゃ駄目だからね?」

白望
 「…わかった」


……


塞「お待たせ、シロ。次は私休みにしてあるから
  シロの講義付き合うよ」

白望
 「うん」


……


塞「あー、終わった終わった!帰ろっか!
  シロは今日何が食べたい?」

白望
 「…豚の角煮……」

塞「ま、また作るのがめんどくさいものを…
  まあでもいいよ。頑張ってみる」


……


塞「うん、初めて作った割には美味しくできた!
  あ、シロおかわりいる?」

白望
 「…お願い」

塞「はいどうぞ。って
  ほっぺたにご飯粒ついてるよ?」

白望
 「…取って」

塞「はいはい」



--------------------------------------------------------













--------------------------------------------------------



塞「まったくもう、シロは本当に
  大学でも私生活でも
  ダメダメなんだから…」

塞「…わ、私が居なかったら、
  シロ生きていけないんじゃない?」

白望
 「…うん。私には塞が居ないと困る……」

白望
 「…塞が居ない生活なんて考えられない……」


塞「…も、もう…本当にシロは仕方ないなぁ…
  こりゃ、私がずっと面倒見るしかないかな!」



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--------------------------------------------------------






――そして1年後。






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豊音・胡桃
 「お邪魔しまーす!」

エイスリン
 「オタクハイケン!」

塞「どうぞどうぞ」

白望
 「…何もないところだけど……」

塞「居候がそれを言うか」

胡桃
 「でも大人数で押しかけちゃって
  よかったの?」

塞「うん。まあ5人で寝るには
  ちょっと狭いけど何とかなるでしょ」

豊音
 「本当に二人暮らししてるんだねー。
  こういうのうらやましいなー」

エイスリン
 「ルームシェア!」

豊音
 「あっ、洗面所に
  二人の歯ブラシが並んでるよー!」

エイスリン
 「シンコン!」

豊音
 「わわわっ…お、お布団が
  一組しか敷いてないよー///」

エイスリン
 「マクラハフタツ!」

胡桃
 「…いつの間にそういう関係になったの?」

塞「い、いやいや違うよ!?
  シロがめんどくさがって
  布団敷かないだけだから!」

白望
 「…塞と寝るのが気持ちよすぎるんだよなぁ……」

豊音
 「気持ちいっ…!?」

エイスリン
 「OH…」

塞「ちがっ…!?だから
  そういうのじゃないってば!
  シロ寒がりの癖にエアコン
  ガンガンにつけるからっ…!」

白望
 「…少し肌寒い中、裸になって
  塞を抱きしめて寝るのが気持ちいい……」

胡桃
 「…何も違ってないよね」

豊音
 「…ルームシェアって言うより同棲だったよー」

エイスリン
 「アイノス…」

塞「あ、あははは……」



--------------------------------------------------------



豊音
 「それにしても随分久しぶりになっちゃったねー。
  全員で集まるのは3年ぶりだっけ?」

胡桃
 「皆で集まるのはエイちゃんが
  来た時にしたかったからね!」

エイスリン
 「ジカンカカッテ、モウシワケナイ!」

塞「いやいや海外だもん、仕方ないよ」

胡桃
 「でもみんなあんまり変わってないね。
  …一部の二人を除いて」

白望
 「……」

塞「誰の事かな?」

胡桃
 「あえて明言は避けるね?」

豊音
 (当然のようにシロを膝枕してるんだよねー。
  仲良くなり過ぎだよー)

エイスリン
 (バカップル!)

胡桃
 「…そういえば、あれからは
  ヘルプの電話来なくなったけど。
  シロはちゃんと卒業できそうなの?
  留年してない?」

シロ
 「全然問題ない…むしろ成績優秀者……」

胡桃
 「塞、本当に?」


塞「ああうん、問題ないよ。私が
  シロの学科に転科したからね」


胡桃
 「…え?」

豊音
 「ど、どういう事ー?」

塞「最初は別々の科で頑張って
  シロの面倒見てたんだけどさ。
  さすがに体力的に無理が出てきちゃって」

塞「これいっそ、シロと同じ学科に
  なっちゃえば楽になるよね、って」

胡桃
 「そ、そんな理由で転科しちゃったの!?
  理系から文系だよね!?」

豊音
 「いくらなんでもやり過ぎだよー!?」

塞「だって仕方ないじゃん。
  そうでもしないとシロ留年しちゃうもん」

白望
 「塞……」

塞「あーはいはい、魚の骨ね?
  今取り除くから待ってて」

胡桃
 「……」

エイスリン
 「……」

豊音
 「……」

胡桃
 「さ、塞…いくらなんでもちょっと
  甘やかし過ぎじゃないかな?」

塞「え、でもシロ何にもできないし、
  私がやってあげないと」

白望
 「…塞……」

塞「なに?あ、顔がケチャップで汚れてるのか。
  今拭いてあげるから」

白望
 「…ん」

豊音
 「し、シロもちょっと甘え過ぎだよー?」

胡桃
 「そうだよ!ずっと塞と
  一緒にいられるわけじゃないんだよ!?」

塞「え?いやずっと一緒にいるけど」

塞「シロが一人で
  生きていけるわけないじゃん。
  ねー、シロ」

白望
 「…間違いない」コクン

塞「ほら。シロは私が居ないと駄目なんだから」


豊音
 (…な、何か…ちょっと危ない感じがするよー…)

エイスリン
 (フタリノセカイ…!)

胡桃
 (…さすがにこれはほおっておけない…!)



--------------------------------------------------------


胡桃
 「というわけで第一回シロ塞
  ダメニンゲン対策会議を始めます」

豊音
 「ホントに胡桃の言った通りだったねー…
  私もビックリしちゃったよー」

エイスリン
 「シロ、ナニモシテナカッタ!」

胡桃
 「塞も塞で、頼られたら頼られただけ
  やっちゃうからなぁ」

豊音
 「もう当然のようにお世話してたもんねー。
  しかもちょっと嬉しそうだったし」

エイスリン
 「アイノ、ナセルワザ!」

胡桃
 「いやいやそんな可愛い話じゃないよあれ。
  明らかに依存しあっちゃってるから」

胡桃
 「まぁでも、何とかすべきは
  やっぱりシロの方だよね。
  とりあえず私が今度シロを捕まえて
  説教してみるよ…」



--------------------------------------------------------



シロ
 「…話は何?」

胡桃
 「言わなくてもわからないかな?」

シロ
 「…塞との事?」

胡桃
 「そうだよ。正直、シロが
  ここまで駄目だとは思わなかった」

胡桃
 「ねぇシロ。シロは、本当に
  このままでいいと思ってるの?」

胡桃
 「自分だけ何もしないでだらだらして。
  面倒事は全部、塞に押しつけちゃって」

胡桃
 「塞のやさしさに甘えて、
  塞の人生無駄にしちゃってるんだよ?」

胡桃
 「…本当に、このままでいいと思ってる?」

白望
 「……」

胡桃
 「…シロ」

白望
 「…もう、逆なんだよなぁ……」

胡桃
 「…逆?何が?」

白望
 「…私が、塞にあまえてるんじゃなくて……」


白望
 「塞が、私を飼いたがってるんだよ」


胡桃
 「…なっ…」


塞「シロ!どこにいるの!?
  勝手に私から離れたら駄目じゃない!!」


胡桃
 「!?」

胡桃
 「さ、塞…どうしてここがわかったの!?」

塞「わからいでか!シロが迷子になった時用に
  シロにはGPSがつけてあるんだよ!」

塞「そんな事よりシロ!
  駄目でしょ私から離れたら!」

塞「シロは私が居ないと
  何もできないんだから!」

白望
 「…ほらね」

胡桃
 「…ど、どういう事なの…?」

白望
 「……」


 「何の話?」

白望
 「…塞が私を飼いたくて、
  私が塞に飼われたがってるって話」

塞「あー……」



--------------------------------------------------------













--------------------------------------------------------



白望
 (…きっかけ作ったのは確かに私だった)


白望
 (進路希望で、胡桃の希望する大学が
  私達と違うって知った時。
  私は少なからずショックを受けた)

白望
 (ずっと一緒に居られる、根拠もなく思ってた。
  でもそんな事はなかった)

白望
 (別れはいつか訪れる)

白望
 (…本当は、頭ではわかってた。
  人生って言うのはそういうもんだって。
  まだ塞とは一緒だけど、
  いつかは塞からも離れて一人になるって)

白望
 (でも離れたくなかった。
  塞とだけは、どうしても。
  それに、塞も呆れた顔をしながらも
  満更でもなさそうだった)


白望
 (だから私は試してみる事にした)


白望
 (いっそ迷惑なくらいにあまえてみよう。
  それで、塞が私を見放すなら
  心を入れ替えようと)

白望
 (でも、もし塞が…それでもずっと、
  私の事を甘やかし続けるなら…)

白望
 (……)

白望
 (結局どれだけ迷惑をかけても、
  塞が私を捨てる事はなかった)

白望
 (それどころか塞は……私を縛り始めた)


白望
 (…それが…嬉しくて仕方ない)



--------------------------------------------------------



塞(確かに最初はしぶしぶだった)


塞(私がシロの面倒を見てあげないと、
  シロは駄目になっちゃうから仕方なく)

塞(でも、毎日毎日シロの面倒を見て。
  その度にシロがありがとうって言ってくれて)

塞(それが、なんだかすごく嬉しかった)

塞(そんなやり取りを繰り返すうちに、
  私は自分からシロの世話を焼くようになってて)

塞(気づいた時には、シロの面倒を見ていないと
  落ち着かなくなってた)


塞(本当はわかってた。こんなの、
  シロのためにもよくないって)


塞(…大学生活の間。シロは
  何も学ぶことなく、
  何も頑張ることなく、
  何も積み上げる事もなかった)

塞(人脈も作れず。
  コミュニケーションも放棄して)

塞(バイトもしないで。
  就職活動もしなかった)

塞(今、私がシロを見放したら…
  シロは本当におしまい)


塞(でも、それが…嬉しくて仕方ない)



--------------------------------------------------------













--------------------------------------------------------



塞「…というわけで心配ご無用。
  私達はお互いに納得した上で
  今の関係を続けてるから」

胡桃
 「……」

胡桃
 「……はぁ」

胡桃
 「結局、心配した通りになっちゃったよ」

胡桃
 「昔っから二人とも
  どこかおかしいと思ってたんだよね。
  シロはだらけ過ぎだし
  塞は世話焼き過ぎ。
  普通じゃないとは思ってたよ」

胡桃
 「でも」

胡桃
 「本当に、こんな関係が
  ずっと続けられると思ってるの?」

塞「もちろん。というより、
  絶対に続けて見せる」

塞「シロは、私を信じて
  堕落してくれたんだから」

塞「シロの分まで私は頑張る。
  そして、全力でシロを甘やかす」

白望
 「私も塞にあまえ続ける…
  もし甘えられなくなったら、その時は……」

白望
 「塞と一緒に、この世から
  いなくなる覚悟もできてる……」

塞「それが、私達の信頼関係なんだよ」

胡桃
 「…そっか。なら、もう何も言わないよ」

胡桃
 「でも、大口をたたいた以上は
  絶対不幸にならないでよね!」

胡桃
 「数年後、二人で天に召されてるとか
  絶対に許さないから!」



--------------------------------------------------------



胡桃
 「…という事で押し切られたよ…!」

豊音
 「さえ、かっこいいよー!」

エイスリン
 「オンナノ ナカノ オンナ!」

胡桃
 「いやかっこよくはないし
  人としては駄目だからね!?」

胡桃
 「でも、一つ学んだよ。
  ああいう愛の形もあるんだなーって」

胡桃
 「…明らかに病んでるんだけどさ。
  それで二人が幸せだって言うなら、
  もう何も言わないよ」



--------------------------------------------------------






――数年後。






--------------------------------------------------------



塞「…ほらシロ起きて。ご飯できたよ?」

白望
 「んん…もうそんな時間かぁ」

塞「食っちゃ寝してばっかりだからね。
  このままだとちょっと心配だし、
  今度ウォーキングでも始めようか」

白望
 「…謹んでお断り申し上げる」

塞「だーめ。シロの事は
  私が全部管理するんだからね」

白望
 「…ねえ、塞。本当によかったの?」

塞「何が?」

白望
 「…結局、大学通ったの無意味になっちゃったし。
  塞なら、ちゃんと就職できたはずなのに」

塞「あはは、今更過ぎるでしょ。
  それに、私がシロと離れたくないだけだから」

塞「むしろごめん。私の我儘に巻きこんじゃって」

白望
 「…いい。きっかけ作ったのは私だから」

白望
 「……」

白望
 「塞。あの時言った言葉、もう一度繰り返す」

塞「なに?」


白望
 「私の人生は…塞に預けた」


塞「……」

塞「……」

塞「うん。シロの人生、任されました」クスッ


塞「シロは…私が居ないと駄目だからね!!」


(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2015年10月22日 | Comment(5) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
塞さん煮物とか得意そう。こう、お世話する系の依存って素敵。
Posted by at 2015年10月23日 05:39
まったり…?
SSが出るたびにどんどんダークになってる気がする…?
Posted by at 2015年10月23日 15:15
すばらです!
こういうのも、優しい世界の一つだと思いますね〜
Posted by at 2015年10月24日 09:43
シロが登場するssはどれも最高です
Posted by at 2015年10月24日 13:18
コメントありがとうございます!

お世話する系の依存って素敵>
白望
 「病んでる割に、愛されてるって
  感じがしていいんだよなぁ…」
塞「まぁ実際誰も傷つかないしね」

どんどんダークになってる気がする>
塞「え…今回のまったり過ぎるから
  『ノーマル注意』にしようかと
  思ってたんだけど…」
白望
 「…塞の闇は深い」

優しい世界>
塞「優し過ぎてこのブログとして
  どうかなーって思ったんだけどね」
胡桃
 「狂人は自分が狂ってる事に
  気づかないんだね!」

シロが登場するssはどれも最高>
白望
 「…つまり私が最高のエッセンス…」
塞「最近は割とシロも病気側だよね」
Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2015年10月25日 19:42
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