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【咲-Saki-SS:巴ハーレム】巴「そして私は、獣に堕ちる」【監禁】【共依存】【R18】
<あらすじ>
なし。リクエストをお読みください。
<登場人物>
狩宿巴,石戸霞,薄墨初美,神代小蒔,滝見春
<症状>
・共依存
・監禁
・ヤンデレ
・異常行動
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・手足の自由を失った巴さんと、
その世話をする永水メンバー。
ある人は入浴の手伝いで『当ててんのよ』したり、
ある人は添い寝で『偶然』色んな所に触れたり、
ある姫様は夕ご飯に想いを馳せたり的な。
自由を失った理由は、まぁ事故とか
他の四人に封印されてるとか
アラフォープロにロンされたとかで。
※思ったより重くなりました。
人によってはハッピーエンドとは
言えないかもしれません。
※性的な描写を露骨に含みます。
18歳未満の方は読まないでください。
--------------------------------------------------------
平日の午後。
学生ならば学校で授業を受けている時間帯に、
私は一人床に伏せっていました。
雲一つない空。晒された肌を撫でる空気に、
少しばかりの肌寒さを覚えます。
どうやら外の世界では、
秋が近づいているようでした。
何をするでもなく、ただ茫然と
縁側から見える空を眺めていたら、
不意に声をかけられました。
「巴ちゃん。小腹が空いていないかしら?
果物を切ってきましたよ」
姿を現したのは霞さん。手に持ったお皿には、
色とりどりの果物がこれでもかとばかりに
盛り付けられています。
「あ、ありがとうございます」
床に伏せったまま、首だけで
霞さんの方に向き直ります。
霞さんは慣れた手つきで私を抱き起すと、
背中に座椅子を滑り込ませました。
「最初は何がいい?」
「そうですね…あ、その梨美味しそうですね」
「ふふ、お目が高いわね。
今日手に入ったばかりの初物ですよ?」
霞さんがフォークを梨に突き刺します。
梨は既に一口サイズに刻まれていました。
そしてそのまま左手を受け皿にして、
当然のように私の口元に運びます。
「はい、あーん。
水気が多いから気を付けて」
「あ、あーん……ん、美味しいです」
「よかった。じゃあ、もう一口。
はい、あーん」
「あーん……」
親鳥から雛が餌をもらうかのように。
差し出された梨を頬張ります。
決して深い意味はないはずなのに、
なんだか恋人同士のじゃれ合いのような
むず痒さを感じてしまうのは、
私の心が曇っているからでしょうか。
「…何度やっても、このやり取りは
恥ずかしいですね……」
「ふふ。私としては、いつまでも
初々しい巴ちゃんを堪能できて嬉しいわ」
「か、からかわないでください…」
ますます頬に熱がたまっていくのを感じて頬を膨らませると、
霞さんは楽しそうにくすくすと笑いました。
--------------------------------------------------------
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事の起こりは、私がお役目中に
失態を演じてしまった事でした。
いつものように悪鬼を祓おうとして、
ほんの一瞬、気が緩んでしまったんです。
悪鬼はその隙を見逃しませんでした。
気づいた時には手遅れで。鋭利な牙が、
私の太腿に深々と突き刺さっていました。
「ぐっ…あ゛ぁあああ゛あ゛っ!?」
形成は瞬く間に逆転しました。
逃げる暇も与えられず、
抵抗する機会も与えられず。
ただ蹂躙されるだけの獲物と化した私。
もしそのままだったなら、
私は生きながら惨たらしく
喰い散らかされていたでしょう。
「巴ちゃん!!大丈夫!?」
幸い、本格的な惨劇が始まる前に
助けが来てくれたようでした。
意識は朦朧としていましたが、
私に呼びかけるハッちゃんの声と、
抱き起された時の温もりだけは
おぼろげに覚えています。
…でも。
「ぁ……ぁ……っ……」
「これはっ…そんなっ……!」
「早く医療班を!!」
霞さんに抱き起されたその頃には、
私の四肢の腱は食い千切られていて。
ただ、もぞもぞと蠢く事しかできない
芋虫に変えられてしまっていたのです。
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「…四肢が完全に切れているらしいわ」
「…もう、一生動けないって事ですかー?」
「そういうわけでもないみたい。
お祓い中だったからか、
鬼も半分霊体だったみたいで。
傷の方は神術で治せるらしいの」
「だから一生このまま…
という事はないでしょうけれど。
しばらくは手足を使えないでしょうね」
「逆に言えば、いつかは治るって事ですか?」
「そうね。それなりに
時間はかかるらしいけど」
「なら問題ない…私達で巴さんの面倒を見ればいい…」
「春の言う通りです。私達で看病しましょう。
また、巴ちゃんが元気に動けるようになる日まで」
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使い物にならなくなった私。それでも、
皆は私を見捨てようとはしませんでした。
歩くどころか指一本満足に動かせない私。
そんな人間の介護はさぞ大変な事でしょう。
なのに皆は一つの愚痴をこぼす事もなく、
笑顔で支えてくれました。
それどころか、時に介護を
楽しんでいるような印象まで受けました。
もっとも、それすらも私に対する
気遣いなのかもしれませんけど。
「巴ちゃん、車いすを持ってきました。
散歩に行きましょう」
「ひ、姫様にそんな事をしていただくなんて、
そんな恐れ多い…!」
「私がしたいからするんです。
さ、車いすに乗せますね」
「…姫様一人では無理…巴さんが落ちたら大変。
二人で慎重に運ぶ……」
後からやってきた春ちゃんも加わって、
ちょっとした重労働の始まりです。
姫様が私の背中から両脇に手を差し込みます。
春ちゃんが私の両足を腕で抱えます。
「いっせーのーでっ」
二人がゆっくり立ち上がると同時に、
私の体が持ち上げられました。
(う…あ、当たってる)
仕方ないと言えば仕方ないのですが、
二人の体が密着してきます。
背中、そして抱きかかえられた
足に伝わるやわらかな感触。
少しばかりの羨望と
抱いてはいけない欲望を覚えながらも、
私は為す術もなく身を委ねるしかありません。
「さあ行きましょう!
今日は絶好の散歩日和ですよ!」
そんな私の複雑な感情に気づきもせず、
姫様は満面の笑みを向けます。
春ちゃんに車いすを押されながら、
日課の散歩が始まるのでした。
--------------------------------------------------------
日々の介護の中で私を一番苦しめたもの。
それは私自身の中に巣食う浅ましい情動でした。
お手洗い、入浴、散歩、添い寝…
ほとんどの行動で何かしらの
スキンシップがあるわけで。
その度に私は戸惑い、
欲求を募らせていきました。
例えば入浴時の事です。
私は体を動かせませんから、
当然誰かのお世話になる事になります。
その日は霞さんがお風呂当番でした。
「あ、あの…霞さん。スポンジは……」
「あら。巴ちゃんは私がスポンジ
使わない派なのは知ってるでしょう?」
「で、でも…その…さすがに直で触られるのは、
ちょっと恥ずかしいというか…」
「…却下するわね?いつも素手だから
スポンジだと力加減がわからないの」
ボディソープを手に取って、それを
両手にぬるぬると馴染ませると。
霞さんはその手で私の全身を撫で回し始めました。
「んんっ…」
特別な意味はないのでしょう。
事実、霞さんは自分の体を洗う時も
そうしているのですから。
でも…その……
二人とも一糸まとわぬ姿で。
肌の熱すら伝わってしまいそうな程に密着しながら。
それでも、何も感じないというのも無理な話です。
「そ、その…霞さん。当たってます…」
「…何がかしら?」
「その…胸が……」
「ふふ。ある程度は仕方ないんじゃないかしら?」
霞さんは悪戯っぽく微笑みながら、
むしろより積極的にそれを押し当ててきます。
あまりにも大きなふくらみが、
私の肌とぶつかっていやらしく姿形を変える度に。
私はつい、浅ましい劣情を覚えて
肌を火照らせてしまいます。
「…しっかり綺麗にしましょうね」
霞さんは気にする風でもなく、
私の至るところに指を這わせました。
足の指の付け根まで丁寧に指を滑り込ませて。
「かっ…霞…さんっ……」
それはさながら、ねちっこい
愛撫のようでもありました。
しかも、蠢く手が這うその先は…
本来なら他人に触らせるのを
憚られるような場所も対象で。
足先から遡るように太腿を撫でられ、
ついにその手が足の付け根に及ぼうとした時に…
私は思わず声を張り上げてしまいました。
「か、霞さん!そこはっ……!」
「恥ずかしがらなくていいのよ?
巴ちゃんは今自分で洗えないのだから」
「で、でも…その…」
「あ、そうね。石鹸が付いたままじゃ駄目よね」
「そ、そういう事じゃなくて…」
ご丁寧にも、霞さんは指に纏わりつく石鹸を
洗い流してから『そこ』に触れました。
抵抗する事ができない私は、結局は
やすやすと霞さんの侵入を許すしかありません。
「…あら」
何かに気づいたようなその声に、
私は激しく身を強張らせました。
『そこ』が今、どんな事になってしまっているのか。
他ならぬ自分が一番よくわかっていたからです。
恥ずかしくて消えてしまいたい。
申し訳なくて死んでしまいたい。
感情がないまぜになって
目に涙を浮かべる私に、
霞さんはそっと耳元で囁きました。
「…気にしなくていいのよ?
むしろ、少し嬉しいくらい」
「えっ…」
「巴ちゃん、私にはどこか遠慮してる気がするから。
ちょっと仲良くなれた気がするわ」
「…だから、気にしなくていいの」
滑りを帯びた指を動かしながら、
霞さんはなおも囁きかけます。
「さ…私に任せて?
汚れやすい場所だから、
丁寧に洗っておかないと…ね?」
「そう…丁寧に」
「んぁっ…霞さんっ…だめっ……!」
指の腹で輪郭をなぞられる度に。
そっと這うように撫でられる度に。
はしたなく体が反応して、
反射的に腰を動かしてしまいます。
「はい、おしまい」
「っ…はひぅっ…
ありがとぅ…ございまひたぁっ…」
霞さんが『そこ』を洗い終える頃には、
もう全身が熱に浮かされてしまっていて。
私はただ、力なく熱い息を
吐き続けるしかありませんでした。
これはあくまで一例にすぎません。
この手の出来事がそれこそ
毎日のように発生し、
私の心を惑わしていきます。
そしてこうした日々を繰り返すうちに、
私は皆を、自然と欲望の対象として
見るようになってしまったんです。
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このままではいけない。そう考えた私は、
一心不乱にリハビリに打ち込みました。
六女仙や姫様に負担を強いる事自体
心苦しく思っていましたし、
何より、純粋な好意で介護してくれる皆を
いやらしい目で見てしまう自分が
嫌で仕方がなかったのです。
そんな努力が実を結んだのか、
意外にも早く回復の兆しが見え始めました。
「…あっ…う…腕が…動く……!」
動くと言っても、二の腕を少し
持ち上げられるようになった程度。
それでも希望が目に見える形で現れた事で、
ぐっと気持ちが楽になった気がしました。
食事が終わって、皆が一堂に会する時間を待って、
経過を報告する事にしました。
私にしては珍しく興奮しながら、
腕をぱたぱたと動かして
リハビリの成果をアピールします。
「腕が動かせるようになりましたよ!
ほんの少しですけど!ほら!」
…でも。
意外にも、皆が示した反応は
どこか歯切れの悪いものでした。
「そ、そうですか…よかったですね」
「この調子なら、割とすぐ元に戻りそう…」
「…うん。本当によかったわ」
「後少し頑張ろう」
皆一様に喜びの言葉を口にしながらも、
その顔にはどこか影が差しています。
どこか不自然な皆の様子は、
私に大きな不安をもたらしました。
(何か…隠し事をされている?)
(もしかして、完全に治ると思っているのは
私だけで、実際にはこれ以上治らないとか……!?)
考えるとどんどん怖くなってきました。
ハッちゃんが添い寝を申し出てくれましたけど、
そんな気分にはとてもなれなくて。
久しぶりに一人で床に就きました。
もっとも、正体不明の恐怖に怯えて、
ほとんど寝る事はできませんでした。
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そして……
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次の日の夜。
私の四肢は、完全に機能を停止しました。
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寝静まる寝室に、突如として
鬼が襲い掛かってきました
まるでそれは、あの時の再来のように
ようやく治り始めた四肢が、
またも無惨に噛み砕かれました
何度も
何度も
何度も
何度も
鬼は執拗に私の四肢を狙いました
狂ったように泣き叫んでも
なかなか助けは来ませんでした
一体何が起きたのか
一体どうしてこうなってしまったのか
私にはなにもわかりませんでした
でも一つだけわかる事があります
もう、私の手足は……
二度と元には戻らないでしょう
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全てが終わった後、霞さんが話してくれた。
最初の鬼払いに失敗して、
四肢に牙を突き立てられた時。
鬼の瘴気が、私の体の奥深くに入り込んだ。
そして瘴気は決して消え失せる事なく、
私の体に留まり続けた。
一度は鬼界に還された鬼だったが、
その瘴気を道標に現界に舞い戻った。
あの時喰い損ねた巫女を
今度こそ確実に喰らうために。
六女仙の血を啜った鬼の力は凄まじく、
神境の結界すらも退けた。
結果後手に回った神境は、
鬼が私の枕元に立つ事を許してしまった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
私の前で霞さんが泣き崩れる。
こんなに取り乱した霞さんを見るのは初めてだった。
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今回の事件を受けて、私達の生活が
大きく変化する事はなかった。
どうせ今までも芋虫だったのだ。
ただ期間が『しばらくの間』から
『一生』に変わっただけの事だった。
ただ、敢えて言うなら一つだけ
変わった事がある。
私を除く皆で話し合った結果。
どうやら、お世話の中に『夜伽』も
含まれる事になったらしい。
その理由は、私にはよくわからなかった。
--------------------------------------------------------
常に誰かが傍に居てくれた。
して欲しい事を口にするだけで
全ての望みが叶えられた。
お腹が減ったと言えば
すぐさま食べ物が用意される。
喉が渇いたと言えば飲み物が運ばれてくる。
気分転換がしたいと言えば
車いすで外の世界にも繰り出せる。
口にするのも憚れるような欲求すら
我慢する必要がなかった。
トイレに行きたいと言えば
処理してもらえる。
体を洗ってほしいと言えば
全身を必要以上にくまなく洗ってもらえる。
そして、それは性欲すらも。
当然のように解消してもらえるようになった。
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今日の『巴ちゃん係』はハッちゃん。
私は少し喉に渇きを覚えて、
傍らで私を見つめるハッちゃんに目くばせする。
「巴ちゃん、喉乾いた?」
「…うん。ちょっとだけ」
「水と果物ジュースどっちがいい?」
「…果物ジュースかな」
「了解。ちょっと待っててね」
ハッちゃんはリンゴジュースをコップに注ぐと、
それをいくらか口に含んだ。
「いふよー」
「…うん」
ハッちゃんの唇が、私の唇に押し当てられる。
繋がった後にわずかに開いた唇から、
少しずつ、とろりとろりと液体が流れ込んでくる。
「んっ……んっ……」
こくりこくりと飲み干していく。
程なくして、果汁の代わりに
ハッちゃんの舌が差し込まれてきた。
『終わり』の合図だ。
されるがままにハッちゃんの舌を受け入れて、
しばし互いの舌を絡み合わせる。
やがて口元に滴るジュースを舐め取った後、
ハッちゃんの唇は離れていった。
「…まだいる?」
「…うん」
何度となく繰り返される口移し。
理性が少しずつ蕩けて流されていく。
コップに注がれたジュースが底を尽きる頃には、
私はすっかりできあがってしまっていた。
「…ハッちゃん」
「なに?」
「…したい」
「……わかった」
私の返事を聞いたハッちゃんが笑みを浮かべる。
いつもの無邪気さは見る影もなく、
色にまみれた艶やかな笑みだった。
そしてハッちゃんは私を貪り始める。
見かけによらず激しいハッちゃんとの情交は、
夕方になってご飯係の春が
部屋に入ってくるまで延々と続けられた。
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--------------------------------------------------------
暗闇の中、二つの影が怪しく蠢く。
霞さんのしなやかな指が私の『中』に突き立てられて、
ぐちゅぐちゅと激しい水音を掻き出している。
「かっ…かすみさんっ…わたしっ、もうっ……!」
「いいわよっ…そのままっ…そのまま、昇りつめて!」
「はぃっ…あっ、だめっ」
二本の指がひときわ強く肉壁を抉る。
その衝撃に耐えられず、私の体はわなないた。
「んんーーーっ……!!」
「っ……!っ……!」
全身を快楽がうね回り、
ガクガクと肢体を痙攣させる。
絶頂が収まる間、霞さんはずっと私を
強く抱き締めてくれていた。
「……気持ちよかった?」
「…はい」
「…ふふ。随分素直に認めてくれるようになったわね?」
嬉しそうに微笑みながら、
霞さんが私の頭を撫でる。
その心地よさに目を細めながら、
私は思ったままを口にした。
「…なんだか最近、取り繕う事が
できなくなってきてるんです」
「…そうなの?」
「…はい」
だって、そもそもそんな必要がないから。
私が何を望んでも。
皆は笑って叶えてくれる。
それがどんなに醜くて穢れた望みでも、
当然のように受け入れてくれてしまう。
だから気を遣う必要がなくて。
思ったまま口にしても大丈夫で。
そんな毎日が繰り返されるうちに…
取り繕い方を忘れてしまった。
「…みんな。どうしてこんなに
よくしてくれるんですか?」
「私なんて、もうみんなに何も返せない
ただの芋虫なのに」
「そのくせ、肉欲だけは旺盛で。
皆を厭らしい目で見てる…
巫女にあるまじき醜い生き物なのに」
「どうして、みんなは」
「ストップ」
自虐を始めた私の唇を、
霞さんの指がそっと塞いだ。
そして私の顔にまたがると…
私の目の前にさらした秘部を
自らの指で押し広げる。
「…ねえ、巴ちゃん」
「見て?」
そこは、達してしまった私と同じくらい
しとどに濡れそぼっていて…
強引に開かれたそこからは、
とろりと蜜が垂れ落ち始めた。
「……わかった?
難しく考える必要はないの」
「私達はみんな、巴ちゃんが好き。
ただそれだけ」
「巴ちゃんにとっては災難だったけど…
私は、こうなってよかったとすら思ってるの」
「だって、いつも一人で
頑張ってばかりだった巴ちゃんに、
恩返しできるんだもの」
「だから、ね?
素直に私達の愛を受け入れて?」
霞さんの愛の滴が、糸を引きながら
私の頬に滴り落ちる。
頬を伝い口元に垂れてきたそれを、
反射的に舌ですくって舐め取った。
「…そう。それでいいの」
「何も考えず。私達の愛に溺れて?」
そのまま霞さんは私の顔に腰を落とす。
熱を帯びて潤みきった花弁が
視界いっぱいに広がっている。
私はそれ以上何も考えず、
欲望のままにそれを貪り始めた。
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
−初美−
--------------------------------------------------------
最初は、本当にただの偶然でした。
鬼による不慮の事故。
そして始まった巴ちゃんの介護。
介護自体は大変だとは思いませんでした。
それ以上に重大だったのは…
それまで巴ちゃんが一人で担っていた役割の方。
巴ちゃんが欠けてしまっただけで、
私達は総崩れになったんです。
「草むしり疲れましたねー」
「小腹が空いた…おにぎりが食べたい」
「……巴ちゃんがいないから
おにぎりは出てきませんよー?」
それは例えば、作業後に何気なく
用意されるおにぎりであったり。
「今日のおやつは何でしょうか!」
「…ちょっと待ってね…何かあったかしら」
「大変ですー!冷蔵庫の中が空っぽですよー!」
「…おやつはいつも
巴ちゃんが管理していたから…」
「そんなっ…じゃぁ、今日はおやつ抜きですか…!?」
昼下がりに当然のように
用意されるおやつであったり。
もちろん一つ一つは大した事じゃありません。
でもそういったちょっとした事が
あまりにも多過ぎて。
普段の生活で、以下に私達が
巴ちゃんに頼りっきりだったのか
痛感せざるをえませんでした。
--------------------------------------------------------
−小蒔−
--------------------------------------------------------
私達は献身的に巴ちゃんを介護しました。
今までもらってばっかりだった事に
ようやく気づきましたから。
少しでも恩を返したいと思ったんです。
最初は純粋だったはずの愛情。
でもそれは、私達が介護そのものに
喜びを覚えてしまったあたりから、
少しずつ捻じれ始めました。
それまで気を遣ってばかりで
誰かを頼る事が少なかった巴ちゃん。
その巴ちゃんが、素直に自分達を頼ってくれる。
私達のお世話に喜んでありがとうと言ってくれる。
それが嬉しくて仕方なかったんです。
気づけば、私達の『介護』は
ごく普通の枠を超えて。
過保護なまでに、巴ちゃんを
縛りつけるようになっていました。
--------------------------------------------------------
−霞−
--------------------------------------------------------
一度歪み始めた愛情が、その姿を
さらに醜く変えたのは…
巴ちゃんが私達に性愛を覚えている事に
気づいたのがきっかけだった。
もちろん巴ちゃんは悪くない。
女性同士とはいえ、深い意味がなかったとはいえ。
互いに肌を重ねあわせて、
何も感じない方が不自然だと思う。
そして、それは私達にとっても同じ事だった。
少しずつ接触が増えていった。
不必要な密着が増えた。
その度に巴ちゃんは恥じらいながらも
抗議する事はなくて。
少しずつ、少しずつ。
行為は浅ましさを増していった。
それが明確に淫らな色を帯び始めるまでに、
それ程時間はかからなかった。
夜の添い寝当番が回ってきた時の事。
巴ちゃんの目が、妙にとろんと潤んでいた事がある。
問いただして驚いた。
お風呂当番の初美ちゃんに、
『隅々まで洗われた』結果だった。
それでも体を洗うという名目上、
最後まで行く事はできなかったのだろう。
明らかに発情しきった巴ちゃんは、
無意識か故意なのか、
悩ましげに腰をすり寄せてくる。
そんな巴ちゃんに、
私も我慢ができなくなって。
『偶然』を装いながら、巴ちゃんの体を
隅々まで弄り回した。
次の日に確認してみてさらに驚いた。
持ち回りのお風呂当番で、全員が全員、
巴ちゃんを素手で洗うようになっていた。
私達の介護は、もはや完全に
別の何かにすり替わってしまっていた。
--------------------------------------------------------
−春−
--------------------------------------------------------
私達が決定的に狂ってしまったのは
巴さんのケガに回復の兆しが見えた時だった。
嬉しそうに語る巴さんとは裏腹に、
私達の心は暗く沈んだ。
(もう、巴さんの看病ができなくなる…?)
(そしたらまた、巴さんは
私達を頼りにしなくなる…?)
(巴さんと…触れ合う事もできなくなる…?)
(そんなのは嫌だ)
そして、相談しあった私達は、ついに
許されない領域に足を踏み入れてしまった。
--------------------------------------------------------
そして、私達は巴ちゃんに鬼をけしかけた
--------------------------------------------------------
体の自由を奪われる絶望
それを二度も味わう事に、
巴ちゃんの心は耐えられなかった
今までと同じようでいて、
どこか壊れてしまっていた
そこに私達はつけこんだ
辛い事を考える必要はない
欲しいものは全て与えてあげる
いっそ快楽に溺れてしまえばいい
そうすれば、いずれ時間が傷を癒してくれる
そんな事を言いながら、
思うさま巴ちゃんを貪った
疑問を持つだけの余裕は
巴ちゃんに残されていなかった
--------------------------------------------------------
そして、私達は巴ちゃんを手に入れる
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
「本当にこれでよかったんですかねー」
「…後悔してるの?」
「霞ちゃんはしてないって言うんですかー?
私達のしでかした事は、
鬼畜にも劣る所業だと思いますよー?」
「…そうね。もしあの世があるとしたら、
私達は全員地獄に落ちるでしょうね」
「…でも。巴ちゃんをごらんなさいな」
「あんなにも幸せそう」
「私達は巴ちゃんのお世話をして幸せ。
巴ちゃんは私達にお世話されて幸せ」
「ほら。誰も困ってないでしょう?
私達はこれでいいのよ」
「…そうですね。いまさら何を言っても、
覆水盆に返らずですし」
「もういっそ割り切って、
鬼として巴ちゃんを喰らい続けますよー」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
皆が私の世話をしてくれる。
私は何もしなくても皆がしてくれる。
性欲すら抑える必要がない。
あの清らかさの象徴だった姫様ですら、
私が望めば、簡単に淫らな蜜を啜らせてくれる。
楽園。
今私が置かれている状況は、
まさに楽園なんだろう。
それでも時々考える。
(私は今…『なに』なんだろう)
自分で動く事すらできず、
ただただ皆に飼育される。
理性で自分を抑える事を放棄して、
本能が求めるままに貪る。
それを人間と呼んでもいいんだろうか。
家畜…ううん、ペット?
(まあ…どうでも、いいや)
考えたって仕方がない。
どうせ私は、もう一人で
生きていく事はできないのだから。
ペットならペットでいい。
それで皆が愛してくれるなら、
むしろ進んで身をやつしたい。
(だから。どうか。捨てないで)
なんだか無性に寂しくなって、
隣で寝ている姫様の頬を舌で舐めた。
姫様はすぐに目を覚ます。
私の望みを読み取ったのか、
私を抱き締めたまま頭を撫でてくれた。
(完)
なし。リクエストをお読みください。
<登場人物>
狩宿巴,石戸霞,薄墨初美,神代小蒔,滝見春
<症状>
・共依存
・監禁
・ヤンデレ
・異常行動
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・手足の自由を失った巴さんと、
その世話をする永水メンバー。
ある人は入浴の手伝いで『当ててんのよ』したり、
ある人は添い寝で『偶然』色んな所に触れたり、
ある姫様は夕ご飯に想いを馳せたり的な。
自由を失った理由は、まぁ事故とか
他の四人に封印されてるとか
アラフォープロにロンされたとかで。
※思ったより重くなりました。
人によってはハッピーエンドとは
言えないかもしれません。
※性的な描写を露骨に含みます。
18歳未満の方は読まないでください。
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平日の午後。
学生ならば学校で授業を受けている時間帯に、
私は一人床に伏せっていました。
雲一つない空。晒された肌を撫でる空気に、
少しばかりの肌寒さを覚えます。
どうやら外の世界では、
秋が近づいているようでした。
何をするでもなく、ただ茫然と
縁側から見える空を眺めていたら、
不意に声をかけられました。
「巴ちゃん。小腹が空いていないかしら?
果物を切ってきましたよ」
姿を現したのは霞さん。手に持ったお皿には、
色とりどりの果物がこれでもかとばかりに
盛り付けられています。
「あ、ありがとうございます」
床に伏せったまま、首だけで
霞さんの方に向き直ります。
霞さんは慣れた手つきで私を抱き起すと、
背中に座椅子を滑り込ませました。
「最初は何がいい?」
「そうですね…あ、その梨美味しそうですね」
「ふふ、お目が高いわね。
今日手に入ったばかりの初物ですよ?」
霞さんがフォークを梨に突き刺します。
梨は既に一口サイズに刻まれていました。
そしてそのまま左手を受け皿にして、
当然のように私の口元に運びます。
「はい、あーん。
水気が多いから気を付けて」
「あ、あーん……ん、美味しいです」
「よかった。じゃあ、もう一口。
はい、あーん」
「あーん……」
親鳥から雛が餌をもらうかのように。
差し出された梨を頬張ります。
決して深い意味はないはずなのに、
なんだか恋人同士のじゃれ合いのような
むず痒さを感じてしまうのは、
私の心が曇っているからでしょうか。
「…何度やっても、このやり取りは
恥ずかしいですね……」
「ふふ。私としては、いつまでも
初々しい巴ちゃんを堪能できて嬉しいわ」
「か、からかわないでください…」
ますます頬に熱がたまっていくのを感じて頬を膨らませると、
霞さんは楽しそうにくすくすと笑いました。
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事の起こりは、私がお役目中に
失態を演じてしまった事でした。
いつものように悪鬼を祓おうとして、
ほんの一瞬、気が緩んでしまったんです。
悪鬼はその隙を見逃しませんでした。
気づいた時には手遅れで。鋭利な牙が、
私の太腿に深々と突き刺さっていました。
「ぐっ…あ゛ぁあああ゛あ゛っ!?」
形成は瞬く間に逆転しました。
逃げる暇も与えられず、
抵抗する機会も与えられず。
ただ蹂躙されるだけの獲物と化した私。
もしそのままだったなら、
私は生きながら惨たらしく
喰い散らかされていたでしょう。
「巴ちゃん!!大丈夫!?」
幸い、本格的な惨劇が始まる前に
助けが来てくれたようでした。
意識は朦朧としていましたが、
私に呼びかけるハッちゃんの声と、
抱き起された時の温もりだけは
おぼろげに覚えています。
…でも。
「ぁ……ぁ……っ……」
「これはっ…そんなっ……!」
「早く医療班を!!」
霞さんに抱き起されたその頃には、
私の四肢の腱は食い千切られていて。
ただ、もぞもぞと蠢く事しかできない
芋虫に変えられてしまっていたのです。
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「…四肢が完全に切れているらしいわ」
「…もう、一生動けないって事ですかー?」
「そういうわけでもないみたい。
お祓い中だったからか、
鬼も半分霊体だったみたいで。
傷の方は神術で治せるらしいの」
「だから一生このまま…
という事はないでしょうけれど。
しばらくは手足を使えないでしょうね」
「逆に言えば、いつかは治るって事ですか?」
「そうね。それなりに
時間はかかるらしいけど」
「なら問題ない…私達で巴さんの面倒を見ればいい…」
「春の言う通りです。私達で看病しましょう。
また、巴ちゃんが元気に動けるようになる日まで」
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使い物にならなくなった私。それでも、
皆は私を見捨てようとはしませんでした。
歩くどころか指一本満足に動かせない私。
そんな人間の介護はさぞ大変な事でしょう。
なのに皆は一つの愚痴をこぼす事もなく、
笑顔で支えてくれました。
それどころか、時に介護を
楽しんでいるような印象まで受けました。
もっとも、それすらも私に対する
気遣いなのかもしれませんけど。
「巴ちゃん、車いすを持ってきました。
散歩に行きましょう」
「ひ、姫様にそんな事をしていただくなんて、
そんな恐れ多い…!」
「私がしたいからするんです。
さ、車いすに乗せますね」
「…姫様一人では無理…巴さんが落ちたら大変。
二人で慎重に運ぶ……」
後からやってきた春ちゃんも加わって、
ちょっとした重労働の始まりです。
姫様が私の背中から両脇に手を差し込みます。
春ちゃんが私の両足を腕で抱えます。
「いっせーのーでっ」
二人がゆっくり立ち上がると同時に、
私の体が持ち上げられました。
(う…あ、当たってる)
仕方ないと言えば仕方ないのですが、
二人の体が密着してきます。
背中、そして抱きかかえられた
足に伝わるやわらかな感触。
少しばかりの羨望と
抱いてはいけない欲望を覚えながらも、
私は為す術もなく身を委ねるしかありません。
「さあ行きましょう!
今日は絶好の散歩日和ですよ!」
そんな私の複雑な感情に気づきもせず、
姫様は満面の笑みを向けます。
春ちゃんに車いすを押されながら、
日課の散歩が始まるのでした。
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日々の介護の中で私を一番苦しめたもの。
それは私自身の中に巣食う浅ましい情動でした。
お手洗い、入浴、散歩、添い寝…
ほとんどの行動で何かしらの
スキンシップがあるわけで。
その度に私は戸惑い、
欲求を募らせていきました。
例えば入浴時の事です。
私は体を動かせませんから、
当然誰かのお世話になる事になります。
その日は霞さんがお風呂当番でした。
「あ、あの…霞さん。スポンジは……」
「あら。巴ちゃんは私がスポンジ
使わない派なのは知ってるでしょう?」
「で、でも…その…さすがに直で触られるのは、
ちょっと恥ずかしいというか…」
「…却下するわね?いつも素手だから
スポンジだと力加減がわからないの」
ボディソープを手に取って、それを
両手にぬるぬると馴染ませると。
霞さんはその手で私の全身を撫で回し始めました。
「んんっ…」
特別な意味はないのでしょう。
事実、霞さんは自分の体を洗う時も
そうしているのですから。
でも…その……
二人とも一糸まとわぬ姿で。
肌の熱すら伝わってしまいそうな程に密着しながら。
それでも、何も感じないというのも無理な話です。
「そ、その…霞さん。当たってます…」
「…何がかしら?」
「その…胸が……」
「ふふ。ある程度は仕方ないんじゃないかしら?」
霞さんは悪戯っぽく微笑みながら、
むしろより積極的にそれを押し当ててきます。
あまりにも大きなふくらみが、
私の肌とぶつかっていやらしく姿形を変える度に。
私はつい、浅ましい劣情を覚えて
肌を火照らせてしまいます。
「…しっかり綺麗にしましょうね」
霞さんは気にする風でもなく、
私の至るところに指を這わせました。
足の指の付け根まで丁寧に指を滑り込ませて。
「かっ…霞…さんっ……」
それはさながら、ねちっこい
愛撫のようでもありました。
しかも、蠢く手が這うその先は…
本来なら他人に触らせるのを
憚られるような場所も対象で。
足先から遡るように太腿を撫でられ、
ついにその手が足の付け根に及ぼうとした時に…
私は思わず声を張り上げてしまいました。
「か、霞さん!そこはっ……!」
「恥ずかしがらなくていいのよ?
巴ちゃんは今自分で洗えないのだから」
「で、でも…その…」
「あ、そうね。石鹸が付いたままじゃ駄目よね」
「そ、そういう事じゃなくて…」
ご丁寧にも、霞さんは指に纏わりつく石鹸を
洗い流してから『そこ』に触れました。
抵抗する事ができない私は、結局は
やすやすと霞さんの侵入を許すしかありません。
「…あら」
何かに気づいたようなその声に、
私は激しく身を強張らせました。
『そこ』が今、どんな事になってしまっているのか。
他ならぬ自分が一番よくわかっていたからです。
恥ずかしくて消えてしまいたい。
申し訳なくて死んでしまいたい。
感情がないまぜになって
目に涙を浮かべる私に、
霞さんはそっと耳元で囁きました。
「…気にしなくていいのよ?
むしろ、少し嬉しいくらい」
「えっ…」
「巴ちゃん、私にはどこか遠慮してる気がするから。
ちょっと仲良くなれた気がするわ」
「…だから、気にしなくていいの」
滑りを帯びた指を動かしながら、
霞さんはなおも囁きかけます。
「さ…私に任せて?
汚れやすい場所だから、
丁寧に洗っておかないと…ね?」
「そう…丁寧に」
「んぁっ…霞さんっ…だめっ……!」
指の腹で輪郭をなぞられる度に。
そっと這うように撫でられる度に。
はしたなく体が反応して、
反射的に腰を動かしてしまいます。
「はい、おしまい」
「っ…はひぅっ…
ありがとぅ…ございまひたぁっ…」
霞さんが『そこ』を洗い終える頃には、
もう全身が熱に浮かされてしまっていて。
私はただ、力なく熱い息を
吐き続けるしかありませんでした。
これはあくまで一例にすぎません。
この手の出来事がそれこそ
毎日のように発生し、
私の心を惑わしていきます。
そしてこうした日々を繰り返すうちに、
私は皆を、自然と欲望の対象として
見るようになってしまったんです。
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このままではいけない。そう考えた私は、
一心不乱にリハビリに打ち込みました。
六女仙や姫様に負担を強いる事自体
心苦しく思っていましたし、
何より、純粋な好意で介護してくれる皆を
いやらしい目で見てしまう自分が
嫌で仕方がなかったのです。
そんな努力が実を結んだのか、
意外にも早く回復の兆しが見え始めました。
「…あっ…う…腕が…動く……!」
動くと言っても、二の腕を少し
持ち上げられるようになった程度。
それでも希望が目に見える形で現れた事で、
ぐっと気持ちが楽になった気がしました。
食事が終わって、皆が一堂に会する時間を待って、
経過を報告する事にしました。
私にしては珍しく興奮しながら、
腕をぱたぱたと動かして
リハビリの成果をアピールします。
「腕が動かせるようになりましたよ!
ほんの少しですけど!ほら!」
…でも。
意外にも、皆が示した反応は
どこか歯切れの悪いものでした。
「そ、そうですか…よかったですね」
「この調子なら、割とすぐ元に戻りそう…」
「…うん。本当によかったわ」
「後少し頑張ろう」
皆一様に喜びの言葉を口にしながらも、
その顔にはどこか影が差しています。
どこか不自然な皆の様子は、
私に大きな不安をもたらしました。
(何か…隠し事をされている?)
(もしかして、完全に治ると思っているのは
私だけで、実際にはこれ以上治らないとか……!?)
考えるとどんどん怖くなってきました。
ハッちゃんが添い寝を申し出てくれましたけど、
そんな気分にはとてもなれなくて。
久しぶりに一人で床に就きました。
もっとも、正体不明の恐怖に怯えて、
ほとんど寝る事はできませんでした。
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そして……
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次の日の夜。
私の四肢は、完全に機能を停止しました。
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寝静まる寝室に、突如として
鬼が襲い掛かってきました
まるでそれは、あの時の再来のように
ようやく治り始めた四肢が、
またも無惨に噛み砕かれました
何度も
何度も
何度も
何度も
鬼は執拗に私の四肢を狙いました
狂ったように泣き叫んでも
なかなか助けは来ませんでした
一体何が起きたのか
一体どうしてこうなってしまったのか
私にはなにもわかりませんでした
でも一つだけわかる事があります
もう、私の手足は……
二度と元には戻らないでしょう
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全てが終わった後、霞さんが話してくれた。
最初の鬼払いに失敗して、
四肢に牙を突き立てられた時。
鬼の瘴気が、私の体の奥深くに入り込んだ。
そして瘴気は決して消え失せる事なく、
私の体に留まり続けた。
一度は鬼界に還された鬼だったが、
その瘴気を道標に現界に舞い戻った。
あの時喰い損ねた巫女を
今度こそ確実に喰らうために。
六女仙の血を啜った鬼の力は凄まじく、
神境の結界すらも退けた。
結果後手に回った神境は、
鬼が私の枕元に立つ事を許してしまった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
私の前で霞さんが泣き崩れる。
こんなに取り乱した霞さんを見るのは初めてだった。
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今回の事件を受けて、私達の生活が
大きく変化する事はなかった。
どうせ今までも芋虫だったのだ。
ただ期間が『しばらくの間』から
『一生』に変わっただけの事だった。
ただ、敢えて言うなら一つだけ
変わった事がある。
私を除く皆で話し合った結果。
どうやら、お世話の中に『夜伽』も
含まれる事になったらしい。
その理由は、私にはよくわからなかった。
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常に誰かが傍に居てくれた。
して欲しい事を口にするだけで
全ての望みが叶えられた。
お腹が減ったと言えば
すぐさま食べ物が用意される。
喉が渇いたと言えば飲み物が運ばれてくる。
気分転換がしたいと言えば
車いすで外の世界にも繰り出せる。
口にするのも憚れるような欲求すら
我慢する必要がなかった。
トイレに行きたいと言えば
処理してもらえる。
体を洗ってほしいと言えば
全身を必要以上にくまなく洗ってもらえる。
そして、それは性欲すらも。
当然のように解消してもらえるようになった。
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今日の『巴ちゃん係』はハッちゃん。
私は少し喉に渇きを覚えて、
傍らで私を見つめるハッちゃんに目くばせする。
「巴ちゃん、喉乾いた?」
「…うん。ちょっとだけ」
「水と果物ジュースどっちがいい?」
「…果物ジュースかな」
「了解。ちょっと待っててね」
ハッちゃんはリンゴジュースをコップに注ぐと、
それをいくらか口に含んだ。
「いふよー」
「…うん」
ハッちゃんの唇が、私の唇に押し当てられる。
繋がった後にわずかに開いた唇から、
少しずつ、とろりとろりと液体が流れ込んでくる。
「んっ……んっ……」
こくりこくりと飲み干していく。
程なくして、果汁の代わりに
ハッちゃんの舌が差し込まれてきた。
『終わり』の合図だ。
されるがままにハッちゃんの舌を受け入れて、
しばし互いの舌を絡み合わせる。
やがて口元に滴るジュースを舐め取った後、
ハッちゃんの唇は離れていった。
「…まだいる?」
「…うん」
何度となく繰り返される口移し。
理性が少しずつ蕩けて流されていく。
コップに注がれたジュースが底を尽きる頃には、
私はすっかりできあがってしまっていた。
「…ハッちゃん」
「なに?」
「…したい」
「……わかった」
私の返事を聞いたハッちゃんが笑みを浮かべる。
いつもの無邪気さは見る影もなく、
色にまみれた艶やかな笑みだった。
そしてハッちゃんは私を貪り始める。
見かけによらず激しいハッちゃんとの情交は、
夕方になってご飯係の春が
部屋に入ってくるまで延々と続けられた。
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暗闇の中、二つの影が怪しく蠢く。
霞さんのしなやかな指が私の『中』に突き立てられて、
ぐちゅぐちゅと激しい水音を掻き出している。
「かっ…かすみさんっ…わたしっ、もうっ……!」
「いいわよっ…そのままっ…そのまま、昇りつめて!」
「はぃっ…あっ、だめっ」
二本の指がひときわ強く肉壁を抉る。
その衝撃に耐えられず、私の体はわなないた。
「んんーーーっ……!!」
「っ……!っ……!」
全身を快楽がうね回り、
ガクガクと肢体を痙攣させる。
絶頂が収まる間、霞さんはずっと私を
強く抱き締めてくれていた。
「……気持ちよかった?」
「…はい」
「…ふふ。随分素直に認めてくれるようになったわね?」
嬉しそうに微笑みながら、
霞さんが私の頭を撫でる。
その心地よさに目を細めながら、
私は思ったままを口にした。
「…なんだか最近、取り繕う事が
できなくなってきてるんです」
「…そうなの?」
「…はい」
だって、そもそもそんな必要がないから。
私が何を望んでも。
皆は笑って叶えてくれる。
それがどんなに醜くて穢れた望みでも、
当然のように受け入れてくれてしまう。
だから気を遣う必要がなくて。
思ったまま口にしても大丈夫で。
そんな毎日が繰り返されるうちに…
取り繕い方を忘れてしまった。
「…みんな。どうしてこんなに
よくしてくれるんですか?」
「私なんて、もうみんなに何も返せない
ただの芋虫なのに」
「そのくせ、肉欲だけは旺盛で。
皆を厭らしい目で見てる…
巫女にあるまじき醜い生き物なのに」
「どうして、みんなは」
「ストップ」
自虐を始めた私の唇を、
霞さんの指がそっと塞いだ。
そして私の顔にまたがると…
私の目の前にさらした秘部を
自らの指で押し広げる。
「…ねえ、巴ちゃん」
「見て?」
そこは、達してしまった私と同じくらい
しとどに濡れそぼっていて…
強引に開かれたそこからは、
とろりと蜜が垂れ落ち始めた。
「……わかった?
難しく考える必要はないの」
「私達はみんな、巴ちゃんが好き。
ただそれだけ」
「巴ちゃんにとっては災難だったけど…
私は、こうなってよかったとすら思ってるの」
「だって、いつも一人で
頑張ってばかりだった巴ちゃんに、
恩返しできるんだもの」
「だから、ね?
素直に私達の愛を受け入れて?」
霞さんの愛の滴が、糸を引きながら
私の頬に滴り落ちる。
頬を伝い口元に垂れてきたそれを、
反射的に舌ですくって舐め取った。
「…そう。それでいいの」
「何も考えず。私達の愛に溺れて?」
そのまま霞さんは私の顔に腰を落とす。
熱を帯びて潤みきった花弁が
視界いっぱいに広がっている。
私はそれ以上何も考えず、
欲望のままにそれを貪り始めた。
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--------------------------------------------------------
−初美−
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最初は、本当にただの偶然でした。
鬼による不慮の事故。
そして始まった巴ちゃんの介護。
介護自体は大変だとは思いませんでした。
それ以上に重大だったのは…
それまで巴ちゃんが一人で担っていた役割の方。
巴ちゃんが欠けてしまっただけで、
私達は総崩れになったんです。
「草むしり疲れましたねー」
「小腹が空いた…おにぎりが食べたい」
「……巴ちゃんがいないから
おにぎりは出てきませんよー?」
それは例えば、作業後に何気なく
用意されるおにぎりであったり。
「今日のおやつは何でしょうか!」
「…ちょっと待ってね…何かあったかしら」
「大変ですー!冷蔵庫の中が空っぽですよー!」
「…おやつはいつも
巴ちゃんが管理していたから…」
「そんなっ…じゃぁ、今日はおやつ抜きですか…!?」
昼下がりに当然のように
用意されるおやつであったり。
もちろん一つ一つは大した事じゃありません。
でもそういったちょっとした事が
あまりにも多過ぎて。
普段の生活で、以下に私達が
巴ちゃんに頼りっきりだったのか
痛感せざるをえませんでした。
--------------------------------------------------------
−小蒔−
--------------------------------------------------------
私達は献身的に巴ちゃんを介護しました。
今までもらってばっかりだった事に
ようやく気づきましたから。
少しでも恩を返したいと思ったんです。
最初は純粋だったはずの愛情。
でもそれは、私達が介護そのものに
喜びを覚えてしまったあたりから、
少しずつ捻じれ始めました。
それまで気を遣ってばかりで
誰かを頼る事が少なかった巴ちゃん。
その巴ちゃんが、素直に自分達を頼ってくれる。
私達のお世話に喜んでありがとうと言ってくれる。
それが嬉しくて仕方なかったんです。
気づけば、私達の『介護』は
ごく普通の枠を超えて。
過保護なまでに、巴ちゃんを
縛りつけるようになっていました。
--------------------------------------------------------
−霞−
--------------------------------------------------------
一度歪み始めた愛情が、その姿を
さらに醜く変えたのは…
巴ちゃんが私達に性愛を覚えている事に
気づいたのがきっかけだった。
もちろん巴ちゃんは悪くない。
女性同士とはいえ、深い意味がなかったとはいえ。
互いに肌を重ねあわせて、
何も感じない方が不自然だと思う。
そして、それは私達にとっても同じ事だった。
少しずつ接触が増えていった。
不必要な密着が増えた。
その度に巴ちゃんは恥じらいながらも
抗議する事はなくて。
少しずつ、少しずつ。
行為は浅ましさを増していった。
それが明確に淫らな色を帯び始めるまでに、
それ程時間はかからなかった。
夜の添い寝当番が回ってきた時の事。
巴ちゃんの目が、妙にとろんと潤んでいた事がある。
問いただして驚いた。
お風呂当番の初美ちゃんに、
『隅々まで洗われた』結果だった。
それでも体を洗うという名目上、
最後まで行く事はできなかったのだろう。
明らかに発情しきった巴ちゃんは、
無意識か故意なのか、
悩ましげに腰をすり寄せてくる。
そんな巴ちゃんに、
私も我慢ができなくなって。
『偶然』を装いながら、巴ちゃんの体を
隅々まで弄り回した。
次の日に確認してみてさらに驚いた。
持ち回りのお風呂当番で、全員が全員、
巴ちゃんを素手で洗うようになっていた。
私達の介護は、もはや完全に
別の何かにすり替わってしまっていた。
--------------------------------------------------------
−春−
--------------------------------------------------------
私達が決定的に狂ってしまったのは
巴さんのケガに回復の兆しが見えた時だった。
嬉しそうに語る巴さんとは裏腹に、
私達の心は暗く沈んだ。
(もう、巴さんの看病ができなくなる…?)
(そしたらまた、巴さんは
私達を頼りにしなくなる…?)
(巴さんと…触れ合う事もできなくなる…?)
(そんなのは嫌だ)
そして、相談しあった私達は、ついに
許されない領域に足を踏み入れてしまった。
--------------------------------------------------------
そして、私達は巴ちゃんに鬼をけしかけた
--------------------------------------------------------
体の自由を奪われる絶望
それを二度も味わう事に、
巴ちゃんの心は耐えられなかった
今までと同じようでいて、
どこか壊れてしまっていた
そこに私達はつけこんだ
辛い事を考える必要はない
欲しいものは全て与えてあげる
いっそ快楽に溺れてしまえばいい
そうすれば、いずれ時間が傷を癒してくれる
そんな事を言いながら、
思うさま巴ちゃんを貪った
疑問を持つだけの余裕は
巴ちゃんに残されていなかった
--------------------------------------------------------
そして、私達は巴ちゃんを手に入れる
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
「本当にこれでよかったんですかねー」
「…後悔してるの?」
「霞ちゃんはしてないって言うんですかー?
私達のしでかした事は、
鬼畜にも劣る所業だと思いますよー?」
「…そうね。もしあの世があるとしたら、
私達は全員地獄に落ちるでしょうね」
「…でも。巴ちゃんをごらんなさいな」
「あんなにも幸せそう」
「私達は巴ちゃんのお世話をして幸せ。
巴ちゃんは私達にお世話されて幸せ」
「ほら。誰も困ってないでしょう?
私達はこれでいいのよ」
「…そうですね。いまさら何を言っても、
覆水盆に返らずですし」
「もういっそ割り切って、
鬼として巴ちゃんを喰らい続けますよー」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
皆が私の世話をしてくれる。
私は何もしなくても皆がしてくれる。
性欲すら抑える必要がない。
あの清らかさの象徴だった姫様ですら、
私が望めば、簡単に淫らな蜜を啜らせてくれる。
楽園。
今私が置かれている状況は、
まさに楽園なんだろう。
それでも時々考える。
(私は今…『なに』なんだろう)
自分で動く事すらできず、
ただただ皆に飼育される。
理性で自分を抑える事を放棄して、
本能が求めるままに貪る。
それを人間と呼んでもいいんだろうか。
家畜…ううん、ペット?
(まあ…どうでも、いいや)
考えたって仕方がない。
どうせ私は、もう一人で
生きていく事はできないのだから。
ペットならペットでいい。
それで皆が愛してくれるなら、
むしろ進んで身をやつしたい。
(だから。どうか。捨てないで)
なんだか無性に寂しくなって、
隣で寝ている姫様の頬を舌で舐めた。
姫様はすぐに目を覚ます。
私の望みを読み取ったのか、
私を抱き締めたまま頭を撫でてくれた。
(完)
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こういうのが見たかったんですよ……!! わざわざ書かなくても、触れ合いにドギマギして欲情して『自己嫌悪する巴さん』を書いてくれるとか流石ぷちさんやでぇ……
言いたい事があり過ぎるので抜粋しますが、素手で自分の身体を洗う霞さんはきっと物凄いのだろうなと思いました。
この5人を六女仙の中学生組はどう見てるんだろう
なんか巴さんが主役回の時誰かが身体的に重傷負うこと多い気が…笑
左手もがれたり祓うたびに怪我を負ったり…
霞「むしろ勝手に攻めちゃったから
リクエストに応えられてるか心配だったわ」
巴「喜んでもらえて何よりです」
六女仙の中学生組>
霞「描写してないだけであの子たちも
ある程度混ざってるわ」
初美「ハーレムですからねー」
巴さんでハーレムっていうのが>
霞「熱狂的な巴ちゃんファンがいるからなのか
ちょくちょく巴ちゃん要求が来るのよね」
巴「私の時…というか全体的に
永水の時は流血多いですね」
初美「ファンタジー枠ですからねー」
誰かを染めたい願望があったり>
霞「あくまでリクエストですからね?」
初美「ノリノリで書いてましたけどねー」