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【咲-Saki-SS:怜竜】怜「竜華…傷、舐めてや…?」【倒錯】【依存】

<あらすじ>
麗らかな秋の日差しに誘われて、
竜華と私は散歩に繰り出す事にした。

意気揚々と歩き出したはいいものの、
日頃の運動不足が祟ったのか。
足がもつれて転んでしまう。

膝に鈍い痛み。目を向けると
そこには血が滲んでいて。

心配そうに私を見る竜華に微笑むと。
私は足を差し出した。


「……舐めてや?」


<登場人物>
園城寺怜,清水谷竜華

<症状>
・ヤンデレ
・共依存
・異常行動


<その他>
ある方への誕生日プレゼント代わり。
お題は以下。
・ロリ怜竜でやり過ぎない程度に
 依存ヤンデレ倒錯

※お題の都合上、千里山女の三人組は
 幼馴染の想定です。



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その日は朝から爽やかだった。

季節は晩秋に差し掛かり。
身震いするほどに寒い日が続く中、
気まぐれに訪れた麗らかな日。


「せっかくだから散歩しようや」


なんて竜華に誘われて。
二人して、優雅な散策と洒落込んだ。


「なんや久しぶりな感じするな」

「ここんところ寒かったしなぁ」

「家から出る気せぇへんかったわ」

「ちょっとは運動せんとブタさんになるで?」

「わかっとる。今日は数日分の運動を取り返すでー」

「運動ってそういうもんちゃうからな?」


とりとめない会話を交わしつつ、
勢い込んで一歩を踏み出したはいいものの。
日頃の運動不足が祟って、
ものの数分もせず私の息は上がってしまう。


「あかん、ギブや」

「まだ全然歩いてへんよ!?」

「ここは私に任せて先に行け」

「いやかっこいい台詞言われても!?
 別に敵とか立ちふさがってへんから!」

「…私はここまでみたいや…
 私の事は、置いて、竜華だけでも、先に……!」

「怜ぃぃいいいっ!!!」


地べたにしゃがみこんで小芝居を一つ。
とは言えこんなところで休むわけにもいかず、
結局はため息をつきながら体を起こす。


「ふぅ。リハビリ再開や」

「その意気や怜!もう公園も見えとるし、
 後少しの辛抱やで!」


竜華の激励に後押しされて、
重い足を引き摺るように歩みを進める。
何とか公園まで辿り着いて、
さぁベンチは目の前だ、といったところで…


足がもつれて転んでしまった。


「あたっ……」


鋭い衝撃が電撃のように体を通り抜ける。
それが終わると、じんじんと
鈍い痛みがこみあげてくる。

痛みの先に目を向ける。
膝には擦り傷ができていて、
傷口から血が滲みだしていた。

ああ、すりむいてしもた。
竜華が泣きそうな顔をして
酷く悲痛な声をあげる。


「怜ぃぃっっ!」

「…心配しすぎや。こんなん舐めときゃ治るわ」


呆れながらそう口にして、妙な懐かしさに襲われる。
ああそうか。『あの事件』の時の言葉そのままなのか。


私が、竜華に心を奪われるきっかけを作った事件。


「…と、とき?」


急に黙り込んだ私。心配そうに
竜華が覗き込んでいる。

私は地べたに座り込んだまま、
竜華の方に向き直ると。
傷ついた足を竜華の前に差し出した。


そして、上目遣いで一言。


「……舐めてや?」


竜華の喉がごくりと鳴った。



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時は過去に遡る。

そう、それは私が小学生だった頃。
まだ死と隣り合わせだった頃。


世界は酷く狭かった。


学校だとか、遊びだとか。
普通の子供達にとって当たり前のそれは、
私にとっては本の世界のファンタジーに等しくて。

清潔感と死の匂いが同居する病室と、
竜華とセーラだけが全てだった。


そんな、いつこの世を去るか
わからない日々を過ごす中。
私は一度、無茶をしてみた事がある。


『散歩』をしてみようとしたのだ。


確か、多分テレビか何かで、
『今日は絶好の散歩日和です』なんて
ありきたりな台詞が流れてきたのが
きっかけだったと思う。

私は竜華に問いかけた。


『なぁりゅーか。お散歩って、気持ちええん?』

『そうやなぁ。うちは好きやで?』

『ぽかぽか陽気に誘われてー、
 目的もなくうろつくんや。
 風がこうぶわっと吹いて、
 木がざわざわーってするのが
 聞こえてきたりなー』

『…そうか』


竜華が話してくれた感想は。
やはり『ファンタジー』の世界だった。

基本いつも寝たきりで。
院内の移動すら車椅子を押されていた私にとって。
その冒険は、あまりにも難易度が高過ぎた。


『そんなんできたら…楽しいんやろなぁ』


気づかないうちに諦観を
表に出してしまっていたのだろう。
私の呟きを聞いた竜華は、
目じりにじわりと涙を浮かべ。
痛みに耐える様に唇を噛みしめる。

でも次の瞬間、何かを心に決めたように。
努めて明るい顔で笑いかけてきた。


『ならしようや!散歩!』

『…へ?』

『今日は怜も体調ええんやろ?
 中庭まで車椅子で連れてったるから、
 そこからちょっとだけ歩こうや!』


――な!なんて、今すぐ出発しようとばかりに
私の手を握る竜華。
私は逡巡しながらも、結局は
竜華の誘いに応じる事にした。

やっぱり歩いてみたかったから。
例えそれで体調が悪くなって、
寿命が縮んでしまうとしても。
歩いてみたかったから。


車椅子を押され、院内の中庭にやってきた。
成程キャスターが言うだけあって、
お天道様が気持ちいい。
この時点で、既に私は一定の満足感を得た。


でも今日はここで終わらない。
私は、これから新たな冒険に踏み出す。


『…肩、貸すで?』

『や、ええわ。一人で歩いてみたいから』


介助を申し出る竜華を止めて、
私は一人立ち上がる。
もちろんその方が安全だろうけど、
普通に散歩してみたかった。

誰かに肩を担がれて、なんて、
それこそいかにも病人みたいだから。


『い、行くで……』


恐る恐る一歩を踏み出して。
自分の足で大地を踏みしめる。

全体重が足に圧し掛かるのを感じる。
膝からがくんと崩れ落ちそうになる。
その加重が逆に、自分が今歩いている事を
実感させてくれる。


『……』


一歩。二歩。三歩と散歩。

竜華が言っていたような、
自然を満喫する余裕はない。
それでも気分は高揚した。


ああ、私は今。人並みの行動を取れている。


なんだか妙に嬉しくなって。
幸せに浸りながら青空を見上げる。


それがいけなかった。


暖かな陽気。麗らかな陽の光。
それすらも、脆弱な私にとっては脅威の一つ。

眩しさに眩暈を覚え。ふらふらとよろめいて。
一気にバランスを崩し。受け身を取る事もできず。
私はそのまま、不格好に倒れ込んだ。


刹那、膝に痛みがはしる。


『とき!!』


慌てて駆け寄ってきた竜華が私を抱き起こす。
膝に傷ができていた。
それは、小さな、小さな傷。
でも虚弱な私にとって、下手をすれば死に至る傷。
全身から血の気が引いていくのを感じた。

私の動揺を目の当たりにして、
竜華も事態の大きさに気づいたのだろう。
激しく目を泳がせると、
でも虚勢を張るかのように、
無理矢理笑顔を作り出す。


『こ、こんなん舐めときゃ治るわ!』


なんて言いながら、足元に跪いて…
私の傷口に舌を這わせ始めた。


『……っ』


傷口を這う舌の感触に、びくりと身を震わせる。
次に、ぼろぼろと涙がこぼれてきた。


――例えようもなく、嬉しかった。


だって。ちょっと外でやんちゃして。
擦り傷を作って、舐めただけで終わらせる。
ああ。それって。なんだか。まるで。


普通の子みたいや。


『ご、ごめん!痛かった!?』


突然泣き出した私を前に、
竜華は狼狽えながら聞いてくる。

違う。違うんよ竜華。
逆なんや。嬉しくて仕方ないんや。


もう、このまま死んでしまってもいいと思えるほどに。


もっとも、私は想いをうまく言葉に変える事ができず。
ただ一言『嬉しい』とだけ告げて。
その後はただただしゃくりあげながら
竜華に縋り付くしかできなかった。


結局その日をきっかけに、
私は数日間集中治療室に籠る事になった。
勝手に私を連れ出した竜華は、
各方面にこっぴどく叱られたらしい。

その後、竜華がこの思い出に触れる事はなかった。
きっと苦い思い出になってしまったのだろう。

でも私にとっては。竜華を、
好きで、好きで、好きで、好きで、
本当に好きで仕方なくなった、
大切な思い出の一つになった。



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思い出に浸って呆けているうちに、
気づけば竜華が傍に寄り添っていた。

あの時と同じように、竜華が足元に跪く。
そして私の足を取ると。
そっと、唇を押し当ててくる。

ぬめる粘膜が私の傷をなぞる。
どことなく背徳的な官能に体が疼く。

なんとなくばつが悪くなって、
ごまかすように軽口を叩いた。


「なんや…こうしてると、
 竜華を支配しとるみたいやな」


竜華の体がびくりと震える。
舌の動きがぴたりと止まる。

竜華がゆっくりと顔をあげる。
その唇には、血がべっとりと付着している。
上目がちに向けられた視線は、
どこかとろんと蕩けていた。


「な、なんやその反応」


あまりにも予想外の反応に、
返す言葉が震えてしまう。


「…なぁ、怜。覚えとる?
 ちっちゃい頃にも、こういう事あったよな」

「…せやな」

「…あん時な。うち、
 おかしくなってしまったんよ」

「…?」

「目の前で怜が倒れて。足には血が滴っとる。
 怖くてわけがわからんくなって、
 つい、傷口舐めてしもた」

「よぉ考えたらちょっと異常やんな?
 友達とはいえ、血が滲んでる傷口舐めるとか」

「…そうかもな」

「でもな…それで怜が泣き出して。
 ぼろぼろ涙をこぼしながら、
 『嬉しい』って言ってくれた」

「その時から、うちはおかしくなった。
 そして、あの時からうちは…」


「怜に支配されて、縛られとる」


そこで竜華は言葉を切ると。
また俯いて足を舐め始める。


「んんっ…!」


ねっとりと絡みつくような舐め方だった。
今度こそ、私は内に湧き上がる
情欲をごまかしきれず、
吐息と声を漏らしてしまう。


言われてみればそうだったかもしれない。
あの日以来、竜華は酷く過保護になった。

てっきり、無理をさせて病状を悪化させた
罪償いかと思っていたけれど…


それは違った。あの日、
溺れてしまったのは、私だけじゃなくて。


「そっか。竜華も。あの日。
 私に狂ったんやなぁ……」


なんだか妙に嬉しくなって、
私は竜華の頭を撫でる。
竜華への想いが溢れ出てきて、
思わずここで襲われてしまいたくなる。


「…なぁ竜華。帰ろうや」

「へ…?でもせっかく来たんやし、
 怜もへたばっとるやろ。
 少しは休んでった方がええんちゃう?」

「そこは竜華がおんぶしてや。
 どの道この傷で歩きたないし」

「…それに……」


「なんか今…無性に、
 竜華に食べられたい気分なんや……」


竜華の目をじっと覗き込んで、
囁くように息を吐く。
途端、竜華の顔が朱に染まって。
その目がさらにどろりと濁っていく。


「…そういう事なら、しゃぁないな」


竜華が私に背を向ける。
その背に全体重を委ねると、
耳元でそっと囁いた。


「さ…はよ帰ろ…?」

「帰ったら、今日は、私の事…」


「めちゃくちゃにしてもええよ…?」


竜華が跳ねるように駆け出した。
私の重さなど意にも介さないとばかりに、
全力疾走で我が家を目指す。


こうしてこの日、私達の散歩は終わりを告げた。
予定していた運動量にはまるで届かなかった。

でも問題ないだろう。別の方法で、
数日分の運動量は軽く稼げるだろうから。


「帰ったら…また、傷舐めてな?」


私は竜華に抱き付きながら。
血が滲んでいるであろう足を、
そっと竜華に擦り付けた。


(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2015年10月28日 | Comment(2) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
膝を怪我したという事は、怜ちゃんは膝を出した服装という訳ですな? ふむ、これは中々……
Posted by at 2015年10月28日 21:28
素晴らしい怜竜でした。もっと怜竜パワー下さい。
Posted by at 2015年11月12日 01:39
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