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【咲-Saki-SS:久咲】 久「ね、咲。名前を呼んで?」【あまあま砂吐き】
<あらすじ>
罰ゲームで部長に一週間タメ口で
話さないといけなくなった咲。
面白がった部長がやたら咲に話をふるせいで、
咲も少しずつそれに慣れてきて、
二人の距離が一気に縮まっていく。
<登場人物>
竹井久,宮永咲
<症状>
・あまあま砂吐き
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・ただただ楽しくかわいい久咲
※白久白咲です。病み成分なしなのでご注意を。
--------------------------------------------------------
久「はい、というわけで今日の罰ゲームは
見事オーラスでまくられた咲です!」
咲「うぅ…まさかあそこで部長に
槍槓されるとは思わなかったよ…!」
久「やー、ゆみのアレを見てから
一度やってみたいなーって
ずっと思ってたのよねー」
久「はい、という事でお題ボックス!
中から一枚引いて書かれたお題を
完璧に遂行してもらいます!」
優希
「何気に咲ちゃんが引くのって珍しいじょ」
和「咲さんはブレなく強いですからね」
咲「変なのが当たりませんように、
変なのが当たりませんように……」
咲「えいっ」
咲「え、えぇ……」
優希
「お、苦虫潰したみたいな顔。
どんなの引いたんだじょ?」
----------------------------------------------
『罰ゲーム!!
普段丁寧語で話してる人(誰か一人)に
一週間タメ口だじょ!! 』
----------------------------------------------
優希
「あ、私が入れた罰ゲームだじぇ」
咲「優希ちゃぁぁああんっ!!
なんでこんな酷いの入れちゃったのぉぉ!?」
優希
「ついノリで☆」
和「しかも、ゆーきならそんなに痛くない罰ゲームですね。
よく考えられた陰湿な罰ゲームだと思います」
優希
「何気にのどちゃんが酷いじょ」
久「はい、はいはい!!その罰ゲーム、
私がターゲットでお願い!」
咲「よりによって部長ですか!?」
優希
「ものすごい食い付き方だじょ」
まこ
「ま、こん中じゃ久かわししかおらんけえ、
久でええんじゃないか?」
久「だって咲が私にタメ口聞いてくるのよ?
考えただけでも笑え…いや、可愛いじゃない!」
咲「笑わないで下さいよ!?」
久「じゃあ可愛い可愛い」
咲「もっ…頭撫でないでくださいっ…」
久「……違うでしょ?」
咲「へ?」
久「タメ口」
咲「え、もう、始めるんですか!?」
久「むしろまだ始めないの?
こっちは待ちくたびれてるんだけど?」
咲「もう!?え、えーと…わ、わかりまし、
じゃなくて、わ、わかったよ」
久「あはは、咲が私にタメ口聞いてる!」ピッ
久「さ、もっと喋り掛けて?」
優希
「すごい自然な手つきで
ボイスレコーダーアプリを起動してるじょ」
咲「なんでそんなの持ってるの!?」
久「学生議会長だもの。会議とかの議事録作る時に
普通に使うのよ」
久「ねえねえ咲。ほら、せっかくだから名前呼んで?」
咲「え、ぶ、部長?」
久「…違うでしょ?そこは愛情たっぷりに
『ひさ』って呼ぶところだってば」
咲「そこまでやるんですか!?」
久「もち!むしろタメ口聞いてるのに
呼ぶときはいつも通り『部長』とか、
片手落ちもいいところじゃない」
久「ほらほら。早く名前を呼んで?」
咲「ちょ、そんなにくっつかないでくだ…
くっつかないでよ」
久「呼んでくれないといつまでも
くっつき続けるわよー?
さらに密着度合いも上がっていっちゃう」
久「ほらほら、いいの?もう
息が掛かっちゃうくらい密着してるけど」
咲「わ、わわっ」
久「ありゃ、意外に逃げないわね。満更でもない?
もしかしてこのままキスしても
受け入れちゃったり?」
咲「だ、駄目に決まってるよ!?」
久「だったらほら、呼んで?私の名前」
咲「うぅ……ひ」
久「ひ?」
咲「ひ…ひさ……」
久「っ……!」
久「…も、もう一回」
咲「……ひさ」
久「うっわ…っ!ヤッバいこれ…
脳からなんか出ちゃいそうっ…!」
久「もっと、もっと呼んで?咲」
咲「く、くっつき過ぎだよ…離れて、久」
久「やだ、無理」
咲「はーなーれーてー」
久「むーりーでーすーー」
イチャイチャイチャイチャ
京太郎
「…えーと。これ、一週間も続けるのか?」
優希
「もうこの時点で既に砂を吐きそうだじょ」
和「部長が変なスイッチ入ってますし…
どんどんエスカレートしていきそうですね…」
まこ
「ご愁傷様、としか言えんな」
--------------------------------------------------------
…次の日。
--------------------------------------------------------
咲「いってきまーす」
ガチャッ
久「遅い!」
咲「えぇ!?なんで部長が居るんですか!」
久「はいミス2」
咲「えぇっ!?何ですかそのカウント!?」
久「はいミス1」
咲「あっ…!」
咲「と、とりあえず、おはよう…ひ、ひさ」
久「はい、おはよう」
咲「で、その……何で、ここに居るの?」
久「罰ゲームの期間はたった一週間しかないのよ?
目いっぱい楽しまないと損じゃない」
久「と言うわけで、罰ゲーム期間中は
できるだけ咲に密着する事にしたの」
咲「か、勘弁してください!」
久「ミス1」
咲「だからさっきからそのカウント何!?」
久「タメ口および呼び捨てしなかったミス回数。
数えておいて、罰ゲーム期間が終わった時に
回数に応じて相応のペナルティーを負ってもらうわ」
久「ま、期間の延長あたりが妥当かしらね?
あんまりミスが多かったら
がっつり延ばしちゃうから」
久「さらに、ミス10回につきボーナスとして
ごっつい追加ペナルティーも
ご用意してるわよ?」
咲「…うわぁ」
久「ふふ、少しでも楽に終わりたかったら、
私を同級生かなんかだと思い込む事ね」
咲「こ、これ…とんでもない罰ゲームだよぉ…」
--------------------------------------------------------
生徒A
「会長おはようございまーす」
久「はいおはよう」
生徒B
「宮永さんおはよ!」
咲「お、おはよう」
生徒C
「二人で登校とかするんだ。
やっぱり麻雀部って仲いいんですね」
久「……ふふふ」
咲(あ、すごい嫌な予感)
久「そりゃーもう、すっごい仲いいわよ。ね、さーき?」
咲(あうう…部長の視線が痛い…
これ、呼び捨てにしないと
絶対後で何かされちゃう奴だよ…)
咲「……っ」
咲「う、うん…そうだね…ひ、ひさ」
生徒A
「タメ口!?」
生徒B
「しかも呼び捨て!?」
咲「い、いつもじゃないよ!?これ、罰ゲ…わぷっ」
久「咲は恥ずかしがり屋だからねー。
いつもは『部長』としか呼んでくれないんだけど」
久「この一週間だけは、タメ口と呼び捨て
してくれる事になったの」
久「ねー、咲」
咲「もごっ」
生徒C
「か、会長と宮永さんってそういう関係だったんだ」
生徒A
「あ、でも私聞いた事ある。
確か会長って、対局の前にいつも
宮永さんに『可愛いチェック』
してもらってるんですよね」
生徒B
「何それ」
久「お、そんなところまで知れ渡っちゃってるかー」
生徒C
「あ、じゃあ事実なんですか?」
生徒B
「だから『可愛いチェック』って何ですか!?」
久「その日の調子が万全かどうか、
対局の前に咲に見てもらうのよ。
問題なければ、咲が
『可愛いです』って言ってくれるの」
咲「もごっ、もごご」
久「恥ずかしがらなくてもいいじゃない。
本当の事なんだから」
生徒A
「…えーと。この事って他の人に
話しちゃってもいいんですか?」
久「いいわよー?別に隠してるわけでもないし」
生徒A
「よっしゃ特ダネ特ダネ!!すいません、
お先に失礼します!!」
ダダダダッ……
久「あ、そういえばあの子新聞部だったわね」
咲「ぷはっ…!ちょ、ちょっと部長!
アレはいくら何でもまずいですよ!」
久「ミス2」
咲「あっ…もう!あれじゃ、私達、その…
付き合ってるみたいじゃない!」
久「だいじょぶだいじょぶ。後でちゃーんと
『お騒がせ久ちゃんの罰ゲームでした』って
宣言してあげるから」
咲「一週間でも針の筵だよ!?
もっと自分の人気考えてよ!!」
久「大丈夫だってば。咲に近寄る虫は
私が身を挺して追い払ってあげるから」
咲「余計火に油だよ!?」
久「あはは。そう思うんだったら、とりあえずここから
移動した方がいいんじゃないかしら」
久「さっきから私達…すっごい見られてるわよ?」
咲「っ…!ああもう、行くよ久!」
久「はい、どこまでもついていきますね咲さん!」
咲「だからこれ以上炎上させないで!」
--------------------------------------------------------
『清澄高校新聞部通信 竹井久特別号 NO.58
学生議会長に女の影!?
会長に呼び捨てを懇願されていた
一年生(麻雀部員)の存在が発覚!
○月◇日、仲良く登校する二人を
取材班が直撃取材した。
突然のインタビューにも竹井学生議会長は
一切動揺するそぶりも見せず、
「いつもは恥ずかしがって言ってくれないけど、
この一週間だけは呼び捨てと
タメ口をOKしてくれたの」
と心から嬉しそうに激白。
さらに最近もっぱらの噂になっていた
「可愛いチェック」も事実である事を認めた。
果たして竹井学生議会長と
この一年生(麻雀部員)はどのような関係なのか。
今後、竹井学生議会長と
S・M(麻雀部員)から目が離せない!
』
--------------------------------------------------------
咲「バレバレだよ!!」
久「あらら、大変な騒ぎになってきちゃったわねー」
咲「よく言うよ…!こうなる事くらい
絶対わかってたくせに!」
咲「おかげで教室に居られなくなって
屋上に逃げてきちゃったじゃない!」
久「別に私が追い払ってあげてもよかったけど?」
咲「…どうやって?」
久「『私と咲の時間を邪魔しないで!』」
咲「ガソリンにも程があるよ!?」
久「…ま、屋上も悪くないけどね?
結局は咲を独り占めできるわけだし」
咲「も、もう…ぶちょ…じゃなくて久は
どうしてそんなに私をからかってくるの?」
久「嫌だった?」
咲「い、嫌っていうか…こ、ここまでするのは
やり過ぎっていうか」
咲「その…ホントに…久が、私の事好きなのかもって…
あ、私じゃなくて、その、そうやって、
考えちゃう人もいるかもしれないよ?」
久「…んー」
久「実はね、ちょっとヤキモチ妬いてたのよ」
咲「ヤキモチ?」
久「うん。咲ってさ。私やまこには丁寧語だけど、
一年生ズとは普通にタメ口で話すじゃない」
久「それ、すっごいもやっとするのよね。
距離を置かれてるっていうか」
咲「そ、それを言ったら和ちゃんだって
そうじゃないですか」
久「ミス1」
咲「あう」
久「和のはまた違うでしょ?
あの子は誰に対しても丁寧語だし」
久「なんて言うのかしら。
状況に応じて使い分けられてて、
しかも自分が疎遠側っていうのがすごい嫌」
咲「…そ、そう言われても。
先輩に丁寧語使うのは普通じゃない」
久「うん、もちろんわかってるわ。むしろ
丁寧語使わないと怒る人の方が多いでしょうね」
久「でも、私個人としては、仲のいい人とは
タメ口で話したいわけよ」
久「ね?罰ゲーム期間だけでいいから、付き合って?」
咲「…ど、努力する…けど」
久「ふふ、ありがと。でも心配はいらないわ」
久「努力なんてしなくても…むしろ、
罰ゲーム期間が終わっても
うっかりタメ口で話しちゃうくらい。
完璧に違和感を消し去ってあげるから」
咲「っ……ち、近いです、部長」
久「ミス2」
咲「っ……ひ、ひさ、離れて」
久「そうね。もっと名前を
呼んでくれたらいいわよ?」
咲「ひ、ひさ」
久「さき」
咲「…ひさ」
久「…さき」
咲「ひさ」
久「さき」
……
……
……
咲「ひさ…」
久「さき…」
久「ん……そうね、もうちょっとこうしてたいけど、
そろそろ時間切れかしら」
久「5限開始まで後2分だし」
咲「ふえっ?あ、ホントだ!!」
久「この状態で二人して遅刻しちゃったら、
面白い事になりそうね」
咲「シャレになってないよ!?下手したら
風紀委員会に呼ばれちゃうレベルだよ!」
久「あはは。不純同性交友で停学、とかかもね」
咲「笑ってないで走って!?」
久「ねえ、さーき?」
咲「なに、久!」
久「ふふ、なんでもなーい」
--------------------------------------------------------
咲「はあ…すっごい疲れた…」
和「ご、ご愁傷様です…」
優希
「部長と咲ちゃん、すっごい話題になってたじょ」
まこ
「こっちもじゃ。今日だけで
何回同じ質問されたかわからん」
京太郎
「『あの二人ってどういう関係なの』
って奴ですよね。
俺も軽く二桁は聞かれましたよ」
久「私は答える気満々だったのに、
咲が喋らせてくれなかったんだけど」
咲「そりゃそうだよ…久に喋らせたら
何言われるかわかんないもん」
久「嘘を言うつもりはないわよ?」
咲「邪推できるような事実だけ
意味深な感じで言うんでしょ?」
久「咲が私の事わかってきてくれたみたいで嬉しいわ」
咲「褒めてないからね?」
キーンコーンカーンコーン…
久「あ、そろそろいい時間ね。咲、帰りましょっか」
咲「うぅ…お父さんにまで変な事言わないでよ?」
久「事実だけを意味深に伝えるわ」
咲「それをやめてって言ってるの!」
和「え、もしかして部長、これから咲さんの家に
お邪魔する気なんですか?」
久「咲から許可はもらってるわよ?」
咲「許可っていうより脅迫だったよね」
久「ふーん、そういう事言っちゃうんだ?
またここで『アレ』やっちゃってもいいのよ?」
久「いいの?またとろーんってなっちゃうわよ?」
咲「わわっ、『アレ』は駄目!」
久「わかればいいのよ。ほら行きましょ?」
咲「もう…わかったよ」
久「というわけで私達はお先に失礼するわ」
咲「失礼します」
ガララララッ……
『ねえねえ咲』
『何?』
『スーパー寄っていい?今日は
私が手料理を振る舞ってあげるわ』
『久って料理できるんだ?』
『できるできる。咲の胃袋
がっつり掴んであげる』
『なんで私がお婿さんポジションなの?
そこは久がお婿さんでしょ』
優希
「……」
和「……」
まこ
「……」
京太郎
「……」
優希
「…一日しか経ってないのに、
すごく自然なタメ口になってたじょ」
和「きっと、相当部長に指導されたんでしょうね…」
まこ
「帰る時も普通に手ぇ繋いで帰っとったしな…」
京太郎
「ていうか『アレ』ってなんだよ」
優希
「一日でこれとか…罰ゲーム終わる頃には
咲ちゃん部長に食べられてそうだじぇ」
和「た、食べるとかっ…」
まこ
「割と現実味があり過ぎて笑えんわ」
--------------------------------------------------------
…次の日。
--------------------------------------------------------
ジリリリリッ、ジリリリリッ
咲「ちょっ…久っ…いい加減起きてっ、遅刻しちゃう…!」
久「んんっ…やー」
咲「やー、じゃなくてっ…」
久「んみゅー…」
咲「あ、ああ…全然抜け出せない…!
もう間に合わないよぉ…」
久「んー…さきー……」
咲「……っ」
久「さきー……」
咲「……」
久「…もういいや…全部久のせいにしちゃおう…」
久「ね…さき…ぎゅってしてー……」
咲「……」
咲「…ホント、この人ズルい……」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
『えー、今日宮永さんは体調不良でお休みです』
優希
「部長何したんだじょ!?」
和
「も、もしかして本当に
食べられてしまったんじゃ…!」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
咲「…はあ」
和「あ、咲さん今日は一人なんですね」
咲「うん。久が学生議会だからって」
京太郎
「さすがに議会にまで
連れてかれたりはしなかったんだな」
咲「久は来てほしそうだったけどね」
優希
(…本人居ないのに普通に
呼び捨てになってるじょ)
咲「…はあ」
和「…どうかしたんですか?
随分疲れてるみたいですけど」
京太郎
「いや、そりゃ疲れるだろ」
咲「うん…久がね?すごい勢いで
くっついてくるんだよ」
和「…え」
咲「学校だとまだ自重してるけど、
家で二人っきりだともう
四六時中抱き締めてくるし」
咲「お風呂とか隅の隅まで指で洗ってくるし」
咲「寝る時もベッドに潜り込んでくるし」
咲「でね?恋人にするみたいにぎゅって抱き寄せて、
耳元で囁いてくるんだよ…」
咲「『ね…さき…名前呼んで?』とか言って、
すっごいあまい声で囁いてきて…」
咲「名前呼ぶと、嬉しそうにニコって笑って、
何度も何度もせがんでくるの」
咲「…で、そんな事続けられたら、
もう頭働かなくなっちゃうでしょ?」
咲「そうしてるうちに、いつの間にか
罰ゲームの間、久の家に泊まる約束させられて…」
咲「今日、私久の家にお持ち帰りだよ……!」
京太郎
「…うわぁ」
和「そ、それは…今からでも拒否した方がいいのでは?」
咲「拒めるわけないよ…!和ちゃんは
久に耳元で囁かれた事ないから
そんな簡単に言えるんだよ…!」
優希
「そりゃあるわけないじょ?」
咲「久、すっごい可愛いんだよ!?
あの目でじーっと見つめられて、
熱っぽい声を直接耳に流し込まれて!」
咲「とどめに耳を『かぷっ』て噛まれるんだよ!?
ズル過ぎだよ!わかる!?」
和「あ、はい。わかりませんけどごめんなさい」
優希
「もう完全にプレイの領域だじょ」
京太郎
「なんか俺聞いてちゃいけないレベルの話な気がするから
ちょっと買い出し行ってくるわ」
咲「はあ…どうしよう…久可愛い……」
まこ
「…そがぁな話を聞かされたこっちが
『どうしよう』なんじゃが……」
--------------------------------------------------------
…罰ゲーム最終日。
--------------------------------------------------------
和「今日、例の罰ゲーム最終日ですね」
優希
「ようやくあまあま砂吐きの日々から
解放されるじぇ」
和「……」
優希
「ん?のどちゃんどうしたんだじぇ?」
和「あ、いえ。ちょっと気になったので」
優希
「何がだじょ?」
和「…土日挟んだ後の咲さん、ちょっと、その…
口にするのが憚られる感じだったじゃないですか」
優希
「ああー、確かに。完全に
とろっとろになってたじょ」
和「あの状態から、罰ゲームが終わったからと
いきなり元の関係に戻れるものなんでしょうか」
優希
「…正直、これを機に付き合い始めましたとか
言われる方がよっぽどしっくりくるじょ」
和「ですよね……」
ガラララッ
『朝のホームルームを始めます』
『あ、今日宮永さんは体調不良でお休みです』
優希
「あっ、これ多分駄目な奴だじょ」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
咲「…普通に学校サボっちゃった」
久「一日くらいどって事ないってば。
それよりも罰ゲーム最終日の方が大切でしょ?」
咲「…まあ、そうだけど」
久「……」
久「ねえ、咲。私達、罰ゲームが終わったら
どうなるのかしら?」
咲「どうって…そりゃ、先輩と後輩の関係に
戻るんじゃないの?」
久「戻れるの?」
咲「…わかんない」
久「じゃ、ほら。昔みたいに丁寧語使ってみて?」
咲「そ、そんな急に言われても無理だよ」
久「あはは、まだタメ口始めてから
一週間しか経ってないのに」
久「じゃ、呼び方はどう?ほら、
部長って言ってみて」
咲「…部長」
咲「……っ」
久「どう?」
咲「……なんかもやもやする。
距離ができたみたいでやだ」
久「でしょ?今貴女が感じてる違和感、
罰ゲーム始める前は私が感じてたのよ?」
久「今なら、すっごい嫌ってわかるでしょ」
咲「うん」
久「さて!そんなところで、咲さんに
発表しなければいけない事があります!」
咲「……なに?」
久「ペナルティーの発表。ほら、
最初の頃に言ってたでしょ?」
咲「あー、そう言えば。でも、
本当に最初の二日くらいだけだったよね」
久「まあね。だから意外と回数は少なかったりするわ」
久「そんなわけで結果発表ー。罰ゲーム期間を通した
咲さんのミス回数は、なんと50回でした!」
咲「…お、思ったより多かったよ」
久「これに対するペナルティーは…そうね、
やっぱり、期間の延長が妥当なところよね」
久「ミス1回につき、1年の期間延長でどうかしら?」
咲「……やだ」
久「あ、やっぱり長すぎた?」
咲「…その…逆、で。えと、ちょっと…」
咲「短いんじゃ…ないかなって」
久「…あはは、奇遇ね?実は私もそう思ってたのよ」
久「…じゃ、1回につき2年でどうかしら。
ただ、そうなっちゃうと咲は一生
私にタメ口続けないといけなくなるけど」
咲「う、うん。仕方ないよね。
罰ゲームの上にペナルティーだもん。
そのくらい重たくないと駄目だよ」
久「うん、仕方ないわね。ペナルティーだもんね」
久「あ、追加のボーナスペナルティーも発表するわ」
咲「…そういえばそんな事も言ってたね。
その、何にするの?」
久「そうねえ、じゃ、私の前で目を閉じて、
何をされても逃げちゃ駄目って
ペナルティーはどうかしら」
咲「……」
咲「……」
咲「…し、仕方ないよね。ぺ、ペナルティーだもん」
久「うん。ルールはルールだから、
心を鬼にして受けてもらわないとね」
咲「う、うん」
久「…じゃ、目を閉じて?咲」
咲「…うん」
久「……」
咲「……」
――
久「…えへ」
咲「…えへへ」
久「じゃ、ここからは恋人という事でよろしくね?」
咲「うん」
久「好きよ、咲」
咲「えへ…私も、久の事…」
――だいすき。
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
…翌々日。
--------------------------------------------------------
和「結局、咲さん昨日も学校に来ませんでしたね…」
優希
「不安にも程があるじょ…あ、あそこにいるの
咲ちゃんじゃないか?」
和「…部長も一緒ですね…あっ」
久「…咲ちゃん、部長の腕にべったりくっついてるじょ……」
和「幸せそうにすりすりしてますね」
優希
「…どうやら、これからも砂を
吐き続ける事になりそうだじょ……」
和「そうですね…って」
和
「っ、ゆーき!二人を止めますよ!!」
優希
「?急にどうしたんだじょ…
って、あの二人何してるんだじぇ!?」
和「あ、『アレ』は駄目です!止めないと
本気で先生に捕まりかねません!」
優希
「あーもう!バカップルにも程があるじょ!!」
優希
「……っもう、こんな事になるんだったらっ…」
優希
「あんな罰ゲーム…入れるんじゃなかったじぇ〜!!」
(完)
罰ゲームで部長に一週間タメ口で
話さないといけなくなった咲。
面白がった部長がやたら咲に話をふるせいで、
咲も少しずつそれに慣れてきて、
二人の距離が一気に縮まっていく。
<登場人物>
竹井久,宮永咲
<症状>
・あまあま砂吐き
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・ただただ楽しくかわいい久咲
※白久白咲です。病み成分なしなのでご注意を。
--------------------------------------------------------
久「はい、というわけで今日の罰ゲームは
見事オーラスでまくられた咲です!」
咲「うぅ…まさかあそこで部長に
槍槓されるとは思わなかったよ…!」
久「やー、ゆみのアレを見てから
一度やってみたいなーって
ずっと思ってたのよねー」
久「はい、という事でお題ボックス!
中から一枚引いて書かれたお題を
完璧に遂行してもらいます!」
優希
「何気に咲ちゃんが引くのって珍しいじょ」
和「咲さんはブレなく強いですからね」
咲「変なのが当たりませんように、
変なのが当たりませんように……」
咲「えいっ」
咲「え、えぇ……」
優希
「お、苦虫潰したみたいな顔。
どんなの引いたんだじょ?」
----------------------------------------------
『罰ゲーム!!
普段丁寧語で話してる人(誰か一人)に
一週間タメ口だじょ!! 』
----------------------------------------------
優希
「あ、私が入れた罰ゲームだじぇ」
咲「優希ちゃぁぁああんっ!!
なんでこんな酷いの入れちゃったのぉぉ!?」
優希
「ついノリで☆」
和「しかも、ゆーきならそんなに痛くない罰ゲームですね。
よく考えられた陰湿な罰ゲームだと思います」
優希
「何気にのどちゃんが酷いじょ」
久「はい、はいはい!!その罰ゲーム、
私がターゲットでお願い!」
咲「よりによって部長ですか!?」
優希
「ものすごい食い付き方だじょ」
まこ
「ま、こん中じゃ久かわししかおらんけえ、
久でええんじゃないか?」
久「だって咲が私にタメ口聞いてくるのよ?
考えただけでも笑え…いや、可愛いじゃない!」
咲「笑わないで下さいよ!?」
久「じゃあ可愛い可愛い」
咲「もっ…頭撫でないでくださいっ…」
久「……違うでしょ?」
咲「へ?」
久「タメ口」
咲「え、もう、始めるんですか!?」
久「むしろまだ始めないの?
こっちは待ちくたびれてるんだけど?」
咲「もう!?え、えーと…わ、わかりまし、
じゃなくて、わ、わかったよ」
久「あはは、咲が私にタメ口聞いてる!」ピッ
久「さ、もっと喋り掛けて?」
優希
「すごい自然な手つきで
ボイスレコーダーアプリを起動してるじょ」
咲「なんでそんなの持ってるの!?」
久「学生議会長だもの。会議とかの議事録作る時に
普通に使うのよ」
久「ねえねえ咲。ほら、せっかくだから名前呼んで?」
咲「え、ぶ、部長?」
久「…違うでしょ?そこは愛情たっぷりに
『ひさ』って呼ぶところだってば」
咲「そこまでやるんですか!?」
久「もち!むしろタメ口聞いてるのに
呼ぶときはいつも通り『部長』とか、
片手落ちもいいところじゃない」
久「ほらほら。早く名前を呼んで?」
咲「ちょ、そんなにくっつかないでくだ…
くっつかないでよ」
久「呼んでくれないといつまでも
くっつき続けるわよー?
さらに密着度合いも上がっていっちゃう」
久「ほらほら、いいの?もう
息が掛かっちゃうくらい密着してるけど」
咲「わ、わわっ」
久「ありゃ、意外に逃げないわね。満更でもない?
もしかしてこのままキスしても
受け入れちゃったり?」
咲「だ、駄目に決まってるよ!?」
久「だったらほら、呼んで?私の名前」
咲「うぅ……ひ」
久「ひ?」
咲「ひ…ひさ……」
久「っ……!」
久「…も、もう一回」
咲「……ひさ」
久「うっわ…っ!ヤッバいこれ…
脳からなんか出ちゃいそうっ…!」
久「もっと、もっと呼んで?咲」
咲「く、くっつき過ぎだよ…離れて、久」
久「やだ、無理」
咲「はーなーれーてー」
久「むーりーでーすーー」
イチャイチャイチャイチャ
京太郎
「…えーと。これ、一週間も続けるのか?」
優希
「もうこの時点で既に砂を吐きそうだじょ」
和「部長が変なスイッチ入ってますし…
どんどんエスカレートしていきそうですね…」
まこ
「ご愁傷様、としか言えんな」
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…次の日。
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咲「いってきまーす」
ガチャッ
久「遅い!」
咲「えぇ!?なんで部長が居るんですか!」
久「はいミス2」
咲「えぇっ!?何ですかそのカウント!?」
久「はいミス1」
咲「あっ…!」
咲「と、とりあえず、おはよう…ひ、ひさ」
久「はい、おはよう」
咲「で、その……何で、ここに居るの?」
久「罰ゲームの期間はたった一週間しかないのよ?
目いっぱい楽しまないと損じゃない」
久「と言うわけで、罰ゲーム期間中は
できるだけ咲に密着する事にしたの」
咲「か、勘弁してください!」
久「ミス1」
咲「だからさっきからそのカウント何!?」
久「タメ口および呼び捨てしなかったミス回数。
数えておいて、罰ゲーム期間が終わった時に
回数に応じて相応のペナルティーを負ってもらうわ」
久「ま、期間の延長あたりが妥当かしらね?
あんまりミスが多かったら
がっつり延ばしちゃうから」
久「さらに、ミス10回につきボーナスとして
ごっつい追加ペナルティーも
ご用意してるわよ?」
咲「…うわぁ」
久「ふふ、少しでも楽に終わりたかったら、
私を同級生かなんかだと思い込む事ね」
咲「こ、これ…とんでもない罰ゲームだよぉ…」
--------------------------------------------------------
生徒A
「会長おはようございまーす」
久「はいおはよう」
生徒B
「宮永さんおはよ!」
咲「お、おはよう」
生徒C
「二人で登校とかするんだ。
やっぱり麻雀部って仲いいんですね」
久「……ふふふ」
咲(あ、すごい嫌な予感)
久「そりゃーもう、すっごい仲いいわよ。ね、さーき?」
咲(あうう…部長の視線が痛い…
これ、呼び捨てにしないと
絶対後で何かされちゃう奴だよ…)
咲「……っ」
咲「う、うん…そうだね…ひ、ひさ」
生徒A
「タメ口!?」
生徒B
「しかも呼び捨て!?」
咲「い、いつもじゃないよ!?これ、罰ゲ…わぷっ」
久「咲は恥ずかしがり屋だからねー。
いつもは『部長』としか呼んでくれないんだけど」
久「この一週間だけは、タメ口と呼び捨て
してくれる事になったの」
久「ねー、咲」
咲「もごっ」
生徒C
「か、会長と宮永さんってそういう関係だったんだ」
生徒A
「あ、でも私聞いた事ある。
確か会長って、対局の前にいつも
宮永さんに『可愛いチェック』
してもらってるんですよね」
生徒B
「何それ」
久「お、そんなところまで知れ渡っちゃってるかー」
生徒C
「あ、じゃあ事実なんですか?」
生徒B
「だから『可愛いチェック』って何ですか!?」
久「その日の調子が万全かどうか、
対局の前に咲に見てもらうのよ。
問題なければ、咲が
『可愛いです』って言ってくれるの」
咲「もごっ、もごご」
久「恥ずかしがらなくてもいいじゃない。
本当の事なんだから」
生徒A
「…えーと。この事って他の人に
話しちゃってもいいんですか?」
久「いいわよー?別に隠してるわけでもないし」
生徒A
「よっしゃ特ダネ特ダネ!!すいません、
お先に失礼します!!」
ダダダダッ……
久「あ、そういえばあの子新聞部だったわね」
咲「ぷはっ…!ちょ、ちょっと部長!
アレはいくら何でもまずいですよ!」
久「ミス2」
咲「あっ…もう!あれじゃ、私達、その…
付き合ってるみたいじゃない!」
久「だいじょぶだいじょぶ。後でちゃーんと
『お騒がせ久ちゃんの罰ゲームでした』って
宣言してあげるから」
咲「一週間でも針の筵だよ!?
もっと自分の人気考えてよ!!」
久「大丈夫だってば。咲に近寄る虫は
私が身を挺して追い払ってあげるから」
咲「余計火に油だよ!?」
久「あはは。そう思うんだったら、とりあえずここから
移動した方がいいんじゃないかしら」
久「さっきから私達…すっごい見られてるわよ?」
咲「っ…!ああもう、行くよ久!」
久「はい、どこまでもついていきますね咲さん!」
咲「だからこれ以上炎上させないで!」
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『清澄高校新聞部通信 竹井久特別号 NO.58
学生議会長に女の影!?
会長に呼び捨てを懇願されていた
一年生(麻雀部員)の存在が発覚!
○月◇日、仲良く登校する二人を
取材班が直撃取材した。
突然のインタビューにも竹井学生議会長は
一切動揺するそぶりも見せず、
「いつもは恥ずかしがって言ってくれないけど、
この一週間だけは呼び捨てと
タメ口をOKしてくれたの」
と心から嬉しそうに激白。
さらに最近もっぱらの噂になっていた
「可愛いチェック」も事実である事を認めた。
果たして竹井学生議会長と
この一年生(麻雀部員)はどのような関係なのか。
今後、竹井学生議会長と
S・M(麻雀部員)から目が離せない!
』
--------------------------------------------------------
咲「バレバレだよ!!」
久「あらら、大変な騒ぎになってきちゃったわねー」
咲「よく言うよ…!こうなる事くらい
絶対わかってたくせに!」
咲「おかげで教室に居られなくなって
屋上に逃げてきちゃったじゃない!」
久「別に私が追い払ってあげてもよかったけど?」
咲「…どうやって?」
久「『私と咲の時間を邪魔しないで!』」
咲「ガソリンにも程があるよ!?」
久「…ま、屋上も悪くないけどね?
結局は咲を独り占めできるわけだし」
咲「も、もう…ぶちょ…じゃなくて久は
どうしてそんなに私をからかってくるの?」
久「嫌だった?」
咲「い、嫌っていうか…こ、ここまでするのは
やり過ぎっていうか」
咲「その…ホントに…久が、私の事好きなのかもって…
あ、私じゃなくて、その、そうやって、
考えちゃう人もいるかもしれないよ?」
久「…んー」
久「実はね、ちょっとヤキモチ妬いてたのよ」
咲「ヤキモチ?」
久「うん。咲ってさ。私やまこには丁寧語だけど、
一年生ズとは普通にタメ口で話すじゃない」
久「それ、すっごいもやっとするのよね。
距離を置かれてるっていうか」
咲「そ、それを言ったら和ちゃんだって
そうじゃないですか」
久「ミス1」
咲「あう」
久「和のはまた違うでしょ?
あの子は誰に対しても丁寧語だし」
久「なんて言うのかしら。
状況に応じて使い分けられてて、
しかも自分が疎遠側っていうのがすごい嫌」
咲「…そ、そう言われても。
先輩に丁寧語使うのは普通じゃない」
久「うん、もちろんわかってるわ。むしろ
丁寧語使わないと怒る人の方が多いでしょうね」
久「でも、私個人としては、仲のいい人とは
タメ口で話したいわけよ」
久「ね?罰ゲーム期間だけでいいから、付き合って?」
咲「…ど、努力する…けど」
久「ふふ、ありがと。でも心配はいらないわ」
久「努力なんてしなくても…むしろ、
罰ゲーム期間が終わっても
うっかりタメ口で話しちゃうくらい。
完璧に違和感を消し去ってあげるから」
咲「っ……ち、近いです、部長」
久「ミス2」
咲「っ……ひ、ひさ、離れて」
久「そうね。もっと名前を
呼んでくれたらいいわよ?」
咲「ひ、ひさ」
久「さき」
咲「…ひさ」
久「…さき」
咲「ひさ」
久「さき」
……
……
……
咲「ひさ…」
久「さき…」
久「ん……そうね、もうちょっとこうしてたいけど、
そろそろ時間切れかしら」
久「5限開始まで後2分だし」
咲「ふえっ?あ、ホントだ!!」
久「この状態で二人して遅刻しちゃったら、
面白い事になりそうね」
咲「シャレになってないよ!?下手したら
風紀委員会に呼ばれちゃうレベルだよ!」
久「あはは。不純同性交友で停学、とかかもね」
咲「笑ってないで走って!?」
久「ねえ、さーき?」
咲「なに、久!」
久「ふふ、なんでもなーい」
--------------------------------------------------------
咲「はあ…すっごい疲れた…」
和「ご、ご愁傷様です…」
優希
「部長と咲ちゃん、すっごい話題になってたじょ」
まこ
「こっちもじゃ。今日だけで
何回同じ質問されたかわからん」
京太郎
「『あの二人ってどういう関係なの』
って奴ですよね。
俺も軽く二桁は聞かれましたよ」
久「私は答える気満々だったのに、
咲が喋らせてくれなかったんだけど」
咲「そりゃそうだよ…久に喋らせたら
何言われるかわかんないもん」
久「嘘を言うつもりはないわよ?」
咲「邪推できるような事実だけ
意味深な感じで言うんでしょ?」
久「咲が私の事わかってきてくれたみたいで嬉しいわ」
咲「褒めてないからね?」
キーンコーンカーンコーン…
久「あ、そろそろいい時間ね。咲、帰りましょっか」
咲「うぅ…お父さんにまで変な事言わないでよ?」
久「事実だけを意味深に伝えるわ」
咲「それをやめてって言ってるの!」
和「え、もしかして部長、これから咲さんの家に
お邪魔する気なんですか?」
久「咲から許可はもらってるわよ?」
咲「許可っていうより脅迫だったよね」
久「ふーん、そういう事言っちゃうんだ?
またここで『アレ』やっちゃってもいいのよ?」
久「いいの?またとろーんってなっちゃうわよ?」
咲「わわっ、『アレ』は駄目!」
久「わかればいいのよ。ほら行きましょ?」
咲「もう…わかったよ」
久「というわけで私達はお先に失礼するわ」
咲「失礼します」
ガララララッ……
『ねえねえ咲』
『何?』
『スーパー寄っていい?今日は
私が手料理を振る舞ってあげるわ』
『久って料理できるんだ?』
『できるできる。咲の胃袋
がっつり掴んであげる』
『なんで私がお婿さんポジションなの?
そこは久がお婿さんでしょ』
優希
「……」
和「……」
まこ
「……」
京太郎
「……」
優希
「…一日しか経ってないのに、
すごく自然なタメ口になってたじょ」
和「きっと、相当部長に指導されたんでしょうね…」
まこ
「帰る時も普通に手ぇ繋いで帰っとったしな…」
京太郎
「ていうか『アレ』ってなんだよ」
優希
「一日でこれとか…罰ゲーム終わる頃には
咲ちゃん部長に食べられてそうだじぇ」
和「た、食べるとかっ…」
まこ
「割と現実味があり過ぎて笑えんわ」
--------------------------------------------------------
…次の日。
--------------------------------------------------------
ジリリリリッ、ジリリリリッ
咲「ちょっ…久っ…いい加減起きてっ、遅刻しちゃう…!」
久「んんっ…やー」
咲「やー、じゃなくてっ…」
久「んみゅー…」
咲「あ、ああ…全然抜け出せない…!
もう間に合わないよぉ…」
久「んー…さきー……」
咲「……っ」
久「さきー……」
咲「……」
久「…もういいや…全部久のせいにしちゃおう…」
久「ね…さき…ぎゅってしてー……」
咲「……」
咲「…ホント、この人ズルい……」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
『えー、今日宮永さんは体調不良でお休みです』
優希
「部長何したんだじょ!?」
和
「も、もしかして本当に
食べられてしまったんじゃ…!」
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--------------------------------------------------------
咲「…はあ」
和「あ、咲さん今日は一人なんですね」
咲「うん。久が学生議会だからって」
京太郎
「さすがに議会にまで
連れてかれたりはしなかったんだな」
咲「久は来てほしそうだったけどね」
優希
(…本人居ないのに普通に
呼び捨てになってるじょ)
咲「…はあ」
和「…どうかしたんですか?
随分疲れてるみたいですけど」
京太郎
「いや、そりゃ疲れるだろ」
咲「うん…久がね?すごい勢いで
くっついてくるんだよ」
和「…え」
咲「学校だとまだ自重してるけど、
家で二人っきりだともう
四六時中抱き締めてくるし」
咲「お風呂とか隅の隅まで指で洗ってくるし」
咲「寝る時もベッドに潜り込んでくるし」
咲「でね?恋人にするみたいにぎゅって抱き寄せて、
耳元で囁いてくるんだよ…」
咲「『ね…さき…名前呼んで?』とか言って、
すっごいあまい声で囁いてきて…」
咲「名前呼ぶと、嬉しそうにニコって笑って、
何度も何度もせがんでくるの」
咲「…で、そんな事続けられたら、
もう頭働かなくなっちゃうでしょ?」
咲「そうしてるうちに、いつの間にか
罰ゲームの間、久の家に泊まる約束させられて…」
咲「今日、私久の家にお持ち帰りだよ……!」
京太郎
「…うわぁ」
和「そ、それは…今からでも拒否した方がいいのでは?」
咲「拒めるわけないよ…!和ちゃんは
久に耳元で囁かれた事ないから
そんな簡単に言えるんだよ…!」
優希
「そりゃあるわけないじょ?」
咲「久、すっごい可愛いんだよ!?
あの目でじーっと見つめられて、
熱っぽい声を直接耳に流し込まれて!」
咲「とどめに耳を『かぷっ』て噛まれるんだよ!?
ズル過ぎだよ!わかる!?」
和「あ、はい。わかりませんけどごめんなさい」
優希
「もう完全にプレイの領域だじょ」
京太郎
「なんか俺聞いてちゃいけないレベルの話な気がするから
ちょっと買い出し行ってくるわ」
咲「はあ…どうしよう…久可愛い……」
まこ
「…そがぁな話を聞かされたこっちが
『どうしよう』なんじゃが……」
--------------------------------------------------------
…罰ゲーム最終日。
--------------------------------------------------------
和「今日、例の罰ゲーム最終日ですね」
優希
「ようやくあまあま砂吐きの日々から
解放されるじぇ」
和「……」
優希
「ん?のどちゃんどうしたんだじぇ?」
和「あ、いえ。ちょっと気になったので」
優希
「何がだじょ?」
和「…土日挟んだ後の咲さん、ちょっと、その…
口にするのが憚られる感じだったじゃないですか」
優希
「ああー、確かに。完全に
とろっとろになってたじょ」
和「あの状態から、罰ゲームが終わったからと
いきなり元の関係に戻れるものなんでしょうか」
優希
「…正直、これを機に付き合い始めましたとか
言われる方がよっぽどしっくりくるじょ」
和「ですよね……」
ガラララッ
『朝のホームルームを始めます』
『あ、今日宮永さんは体調不良でお休みです』
優希
「あっ、これ多分駄目な奴だじょ」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
咲「…普通に学校サボっちゃった」
久「一日くらいどって事ないってば。
それよりも罰ゲーム最終日の方が大切でしょ?」
咲「…まあ、そうだけど」
久「……」
久「ねえ、咲。私達、罰ゲームが終わったら
どうなるのかしら?」
咲「どうって…そりゃ、先輩と後輩の関係に
戻るんじゃないの?」
久「戻れるの?」
咲「…わかんない」
久「じゃ、ほら。昔みたいに丁寧語使ってみて?」
咲「そ、そんな急に言われても無理だよ」
久「あはは、まだタメ口始めてから
一週間しか経ってないのに」
久「じゃ、呼び方はどう?ほら、
部長って言ってみて」
咲「…部長」
咲「……っ」
久「どう?」
咲「……なんかもやもやする。
距離ができたみたいでやだ」
久「でしょ?今貴女が感じてる違和感、
罰ゲーム始める前は私が感じてたのよ?」
久「今なら、すっごい嫌ってわかるでしょ」
咲「うん」
久「さて!そんなところで、咲さんに
発表しなければいけない事があります!」
咲「……なに?」
久「ペナルティーの発表。ほら、
最初の頃に言ってたでしょ?」
咲「あー、そう言えば。でも、
本当に最初の二日くらいだけだったよね」
久「まあね。だから意外と回数は少なかったりするわ」
久「そんなわけで結果発表ー。罰ゲーム期間を通した
咲さんのミス回数は、なんと50回でした!」
咲「…お、思ったより多かったよ」
久「これに対するペナルティーは…そうね、
やっぱり、期間の延長が妥当なところよね」
久「ミス1回につき、1年の期間延長でどうかしら?」
咲「……やだ」
久「あ、やっぱり長すぎた?」
咲「…その…逆、で。えと、ちょっと…」
咲「短いんじゃ…ないかなって」
久「…あはは、奇遇ね?実は私もそう思ってたのよ」
久「…じゃ、1回につき2年でどうかしら。
ただ、そうなっちゃうと咲は一生
私にタメ口続けないといけなくなるけど」
咲「う、うん。仕方ないよね。
罰ゲームの上にペナルティーだもん。
そのくらい重たくないと駄目だよ」
久「うん、仕方ないわね。ペナルティーだもんね」
久「あ、追加のボーナスペナルティーも発表するわ」
咲「…そういえばそんな事も言ってたね。
その、何にするの?」
久「そうねえ、じゃ、私の前で目を閉じて、
何をされても逃げちゃ駄目って
ペナルティーはどうかしら」
咲「……」
咲「……」
咲「…し、仕方ないよね。ぺ、ペナルティーだもん」
久「うん。ルールはルールだから、
心を鬼にして受けてもらわないとね」
咲「う、うん」
久「…じゃ、目を閉じて?咲」
咲「…うん」
久「……」
咲「……」
――
久「…えへ」
咲「…えへへ」
久「じゃ、ここからは恋人という事でよろしくね?」
咲「うん」
久「好きよ、咲」
咲「えへ…私も、久の事…」
――だいすき。
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
…翌々日。
--------------------------------------------------------
和「結局、咲さん昨日も学校に来ませんでしたね…」
優希
「不安にも程があるじょ…あ、あそこにいるの
咲ちゃんじゃないか?」
和「…部長も一緒ですね…あっ」
久「…咲ちゃん、部長の腕にべったりくっついてるじょ……」
和「幸せそうにすりすりしてますね」
優希
「…どうやら、これからも砂を
吐き続ける事になりそうだじょ……」
和「そうですね…って」
和
「っ、ゆーき!二人を止めますよ!!」
優希
「?急にどうしたんだじょ…
って、あの二人何してるんだじぇ!?」
和「あ、『アレ』は駄目です!止めないと
本気で先生に捕まりかねません!」
優希
「あーもう!バカップルにも程があるじょ!!」
優希
「……っもう、こんな事になるんだったらっ…」
優希
「あんな罰ゲーム…入れるんじゃなかったじぇ〜!!」
(完)
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それにしても咲さんはチョロ過ぎるんじゃないでしょうか(褒め言葉)
これからもちょくちょく甘々を書いてください!
乙です
面白かったです
最高でした。
ただただ甘い久咲は本当にいいものですね
まだまだ見てみたいなぁ…なんて♪
もちろんヤンデレも大好物なのですが
重いものを書いたお口直しに
たまには書いていただけたら喜びます〜ω
最高でした
咲さんはチョロ過ぎる>
久「割と咲ってチョロと思うわよ?
嫌がってた麻雀でもあっさり
部活勧誘されちゃうし」
咲「自分がたらしなことも考慮してよ」
糖尿病になりそうなくらい甘かった>
優希
「あそこまで甘いと十分病気だじょ」
和「私達も糖の取り過ぎに気を付けないと…」
向かいの人に変な目で見られました>
久「にこにこ笑ってればいいのよ。
笑顔は人を幸せにするわ」
咲「いやこれにやにや笑いだと思うよ」
高度なイチャイチャは>
優希
「けっこう病んでると思うじょ。
普通に学校休んでるしな!」
和「人前でアレしちゃってますしね…」
灰色久さんですかね>
咲「本人はただ楽しんでるだけだから
無自覚白久かな…
私にとっては真っ黒だけど」
久「咲がチョロいだけだってば」
咲さんかわいい!>
久「咲さんかわいい!」
咲「やめてよ!また変な噂になるから!」
重いものを書いたお口直しに>
咲「リクエストありがとうございました!
白いのも割と前は書いてたよね」
久「需要ないのかなーと思ってたけど
ちょちょい挟んでくことにするわ」
ペナルティだからね、仕方ないね>
優希
「ペナルティ100年とかどんな処刑だじょ」
和「そこまでいったらもう素直に
好きですでいいと思いますけど」
久「だから二人は甘さが足りないのよ」
一年分の糖分を摂取させて頂きました(ノ´∀`*)