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【咲-Saki-SS:菫照】照「おかし調教」【ヤンデレ】【ギャグ】
<あらすじ>
ひょんな事から、営業スマイルを
自然な笑顔に改善する事になった照。
菫が考案した特訓を受け続けた照は、
一か月後、果たしてどんな笑顔を見せるのか。
あ、濃厚ゆるふわギャグです。
<登場人物>
宮永照,弘世菫,大星淡,亦野誠子,渋谷尭深
<症状>
・ヤンデレ(かわいい)
・依存(かわいい)
・あまあま
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・濃厚な照菫
・濃厚なギャグ照菫
※まとめちゃうかも
--------------------------------------------------------
―― きっかけは、菫先輩の一言だった ――
菫「あ、そういえば照」
照「なに?」
菫「お前の気持ち悪い営業スマイルなんだがな。
あれ、直す必要がありそうだ」
照「いきなり失礼過ぎるでしょ。
あれは私の気持ちを
全力で表現した思いの結晶だってば」
誠子
「何か問題なんですか?」
菫「ああ。この前弘世家のお茶の間で、
私達のインタビューが流れてな……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫母
『ねえ菫、この子の笑顔、
仮面みたいで怖いんだけど』
菫『否定はしません』
菫母
『一見笑顔だけど、裏では
《こんな相手じゃ調整にもならない》
とか思ってそうだわ』
菫『否定はしません』
菫母
『こういう子ほど、裏では無表情で
そっけなかったりするのよね』
菫『否定はしません』
菫母
『ああ怖い。やっぱり
チャンピオンになるような子って
どこか普通じゃないのかしらね』
菫『否定はしません』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫「と、こんな感じでな。
お母様が怖がっている」
誠子
「少しは否定してあげましょうよ」
菫「全て真実だったからな…
ともかくこのままでは、弘世家での
印象が著しく悪くなるだろう」
照「そ、それは困る…!!」
淡「へ、どうして?別に菫先輩の親に
どう思われようと関係なくない?」
照「…淡は危機管理能力が足りない。
菫の家は、虎姫ルームにおける
おかし供給ルートの最大手なんだよ」
照「その弘世家の心証が悪くなると言う事は…」
照「お菓子が、減る……!!」
淡「っ!?一大事じゃん!!」
誠子
(そうかなあ)
尭深
(…最近太り始めてるし、減るなら減るで別に…)
照「ど、どうしよう菫。どうすればいい?」
菫「さっきも言ったが、営業スマイルを
直すしかないだろう」
菫「特訓だ。しばらくは私の家で
缶詰になってもらうぞ」
照「お菓子出る?」
菫「お前がそれで乗り気になるなら。
パティシエもいるからご褒美には
事欠かないだろう」
菫「一流のパティシエだ。
缶詰とは言ったが、普通に暮らすよりも
よっぽど豊かなお菓子生活を
満喫できるかもしれないな」
照「やろう。今すぐやろう」
淡「えー!だったら私も缶詰やりたい!」
菫「お前はスイーツが食べたいだけだろう」
照「というわけでこれから末永く
お世話になります」
菫「嫁入りか!まあ、その調子で従順に
頑張ってもらえると助かる」
菫「じゃあ行くぞ。…気が変わらないうちに」
照「パティシエのスイーツ楽しみ」
淡「ずっこい!テルだけずっこい!!」
--------------------------------------------------------
こうして、テルと菫先輩の特訓が始まった。
二人は家に籠り切り、学校に出てくる事もなく。
そのまま、一週間が過ぎ去った。
私の頭に疑念が生まれる。
こんなに長い期間必要だろうか。だとしても、
学校まで休む必要があるのだろうか。
二人が姿を消してから一ヶ月。
疑念が確信に変わってしまった。
菫先輩は…テルを監禁してるんじゃないかって。
--------------------------------------------------------
淡「ねえ、これ絶対おかしいよ!
なんで営業スマイル直すだけで
一か月も学校休むのさ!」
尭深
「…確かに長いとは思うけど…
そもそもお二人はもう自由登校で、
登校義務自体ないわけだし…」
誠子
「むしろ弘世先輩の家が快適過ぎて、
宮永先輩が居座ってるんじゃないか?」
尭深
「…私も、そっちの方がありそうだと思う」
淡「その油断が命取りなんだよ!菫先輩の事だから、
きっとテルを監禁してテゴメにしてる!!」
誠子
「お前の中で弘世先輩は
どんな鬼畜になってるんだ」
淡「ともかく一度見に行こうよ!
問題なければそれでよし!
その時はパティシエのスイーツ食べて
帰ってこればいいんだから!」
誠子
「それ、絶対スイーツの方がメインだろ」
--------------------------------------------------------
ついに私は痺れをきらした。
面倒がる二人の薄情な先輩と共に、
菫先輩の家に突撃する。
--------------------------------------------------------
もっとも……もう、手遅れだったけど。
--------------------------------------------------------
そこのいたのはテル…ううん、
テルだったものだった
まるで麻薬でも打ったように
だらしない表情を浮かべ、
しまりのない笑顔で私たちを出迎えた
--------------------------------------------------------
淡「て…テル……!?」
照「ふふ…こんにちは、淡……」
誠子
「誰だこの人」
菫「いや、見ての通り照本人だが」
菫「どうだ?営業スマイル、
完璧に直っただろう?」
尭深
「…随分と蕩けきった笑顔ですけど…
一体どんな調教をしたら
こんな風になっちゃうんですか?」
菫「いいだろう、教えてやる。
ほら照、お前の口から話すんだ」
照「…うん」
--------------------------------------------------------
そしてテルは語り出す。
おそるべき調教の全貌を――
--------------------------------------------------------
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
−− 待ち受けたるは、恐るべき調教だった
みやなが てる −−
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
照『お願い、ここから出して』
菫『駄目だ。まずはお前を極限まで追い込む』
菫『お菓子は抜き。3時のおやつとして
砂糖水は与えてやろう』
照『し、死ぬ…死んでしまう……!!』
菫『まあその時はその時だ』
− 数時間後 −
菫『具合はどうだ?』
照『お願い、菫…おかしを…おかしを頂戴……!』
菫『まだ駄目だな…その無表情が崩れるまでは
お菓子は、お前の視界にすら入らないものと思え』
菫『代わりと言っちゃなんだが、ほら。
美味しい美味しい担々麺だぞ?』
照『……っ!』
照(も、もしかして……)
照(菫は…私の事が嫌いなの……?)
− さらに数時間後 −
菫『…だいぶ辛そうになってきたな』
照『……お願い、おかしちょうだい。気が狂いそう』
照『くれるなら何でもするから。
足だって舐めてあげるから』
菫『たかが半日お菓子抜いただけでこの体たらくか…
逆にお前の食生活が心配になってきたな』
照『おねがい、おかし』
菫『まだ駄目だ。もっとなりふり構わず、
頭がぐちゃぐちゃになるまではな』
照『そんな…っ私は、もう、もうっ…!』
照(とっくに、限界なのに……!)
− 1日経過 −
照『おねがい、おねがいします、おかしください』
照『なんでもするよ、するから、おねがい』
菫『ふふ、涙で顔がぐしょぐしょじゃないか。
それだけ感情が剥き出しになれば、
お母様も怖がらないだろうな』
菫『まあ、逆の意味で見せられたものじゃないが』
菫『……頃合いだろう。よく頑張ったな。
今持ってきてやるから待ってろ』
……
照(あ、あまいにおい、おかし、おかし、おかし、おかし)
菫『ほら、一流のパティシエが作った
最高級スイーツだ。存分に味わうといい』
照『お、おかし。すいーつ、おかしっ!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガブッ……!!
照『っっっ!?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
照(味が、味がわからないっ)
照(ただ、ただ幸せが身体中を駆け巡って、
頭が真っ白になってっ)
照(あっ、あっ、あっ、あっ)
照(脳が、とろとろに甘く痺れてっ)
照(融ける、とろける、流れるっ、とけるっっ)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
照『あぁああぁっっ………!!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『…喜んでいただけたようで何よりだ』
菫『これからは、これを繰り返す』
菫『何度も何度も繰り返す』
菫『お前が、駄目になってしまうまでな』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
来る日も来る日も調教は続いた
菫は、私が本当に限界を迎えるまで一切
おかしの摂取を禁止して
私が壊れる絶妙なタイミングで、
最上級のおかしを私に与えた
それは私にとって何よりも危険な麻薬
ただ口いっぱいにほおばるだけで
頬は弛緩し、目は緩み、胸の動悸は激しくなって、
脳が深刻なレベルで蕩けていく
そんな調教を、菫は毎日繰り返した
菫の責め苦が染み込んでいくにつれ
心を牛耳られていく
菫の機嫌を伺って、一刻も早く
おかしをもらう事だけが頭を埋め尽くしていく
一週間も経つ頃には、全ての感覚が鋭敏になり
私は、菫が部屋にやってくる事を
靴音と匂いだけで嗅ぎ取れるようになっていた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
照『おいしい、おいしい』
菫『喜んでもらえて何よりだ。今日のは、
少し出来が悪かったかもしれないが』
照『そんなことない。すごくおいしかった』
照『もっとたべたい』
菫『悪いがこれでおしまいだ。…あ、
私の指に、クリームが少しついてしまっているな』
菫『…舐めるか?』
照『…うん』
ぴちゃっ、れるっ……
照『おいしっ…すみれのゆび、おいしいっ……』
菫『はは、そんなに美味しいか。
もうすっかりジャンキーだな』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
調教はひたすら繰り返される
やがて私は何も考えられなくなり、
ただ菫が来てくれる事を待ち続ける犬と化す
でもそれも仕方ない
あんな、あんな美味しいスイーツ
一流のパティシエが創造する最高級スイーツ
そんな、普段の生活ですら食べられない極上の品を
極限の飢餓状態で与えるのだ
耐えられるはずがない
誰だって耐えられない
私の意志が弱いんじゃない
そう、こんなの誰だって……!
そう心に言い訳を繰り返しながら
私は、あまんじて菫の犬に
成り下がって行った
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そう考える事自体、菫の罠であるとも知らず
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『なあ、照。そのお菓子は美味しいか?』
照『うん、うん』
菫『ふふ、すっかり夢中になって…
少しは誘惑に打ち勝とうとは思わないのか?』
照『むり、こんなおいしいのを前に、無理』
菫『はは。まあ一流パティシエのスイーツだ。
抗えるはずもないよな』
照『うん、むり。私はもうかんぜんに、
このぱてぃしえさんのとりこ』
菫『はは…そうかそうか。まあ確かに、
お前にとっては滅多に
食べられるものでもないからな』
菫『……もしそれが本当に、一流の
パティシエのものだったなら』
照『……どういう事?』
菫『…今、お前が笑顔で頬張っているスイーツ。
一流パティシエがお前のためだけに
作り上げた至高の一品』
菫『もし、その逸品が…』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『単なる、私の手作りだとしたら…?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ピキッ
心に亀裂が入る
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『一流パティシエのスイーツ。
それがいつのまにか、
私のお菓子と刷り変わっていたら…?』
照『う、うそ。うそ、うそ、うそ』
照(そんな事を認めてしまったら、私は……)
照(菫から、離れられなくなってしまう)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『信じられないか?なら、この手を嗅いでみろ』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫がその細くて長い指を私の口先に運ぶ
理性が激しく警鐘を鳴らした
照(だめ、この匂いを嗅いじゃ駄目っっ……)
脳の警告とは裏腹に、私の鼻は吸い寄せられるように
従順にその指に近づいていく
すんすんと鼻を鳴らすと、微かに香る
バニラビーンズの芳香が私の頭を破壊して――
菫『おいおい、私はお菓子じゃないぞ』
――無我夢中で、その指を舐めしゃぶっていた
香りが真実を突き付ける
作り手にしか染み付かない程の、
本当に、本当に僅かな芳香
間違いない、菫から漂う香り、
それはあのスイーツと同じものだ
つまり、私が今まで食べていたのは、
パティシエのスィーツでもなんでもなく……
照(菫の、手作り……!!)
心が、壊れる
壊れた隙間を菫が繋ぐ
もう無理、菫を取り除けない
菫がいなければ、私は、私は――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
――こうして私は、菫に、墜ちた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
--------------------------------------------------------
照「こうして私は調教された。もう、
菫のお菓子しか食べられない体にされてしまった」
照「菫のお菓子をみただけで、
脳がトロけるように作り替えられてしまった」
照「だから、もう、私は…菫から離れられない」
淡「お、恐ろしい…!
なんてひどい調教を…!」
淡「鬼畜だよ、鬼畜!鬼スミレだよ!!」
尭深
(……そうかなぁ)
誠子
(今の話要約すると、
『弘世先輩のおかし凄い美味しかった』
で終わりだよね)
淡「じゃ、じゃあ…このみんなで
食べようと思ってたお菓子は!?
テルの大好きなバタークッキーもあるのに!」
照「……っ、私はいらない」
菫「おい照、今一瞬反応したな?」
照「っ、違う、私はあんなの興味ない!」
菫「お仕置きだ。今日のお手製クッキーの枚数を
50枚から49枚に減らす」
照「そんな…!菫は私に死ねって言うの…!?」
誠子
(死なんて)
尭深
(…というか49枚でも多すぎでしょう)
菫「さらには、食後のチョコレートパフェも
ただのソフトクリームに変更だ」
照「っ、お願い、許して!
なんでも言う通りにするから!!」
菫「はは、冗談だ。
久しぶりに見たお菓子を前に
欲しがらなかった事を、
素直に褒めてやろうじゃないか」
菫「ほら、お手製クッキーだ。
特別に今食べさせてやる」
照「っ、菫のクッキー……!」
かぷっ、かぷっ、ぴちゃっ
照「おいしい、おいしい……」
尭深
(うわ…手までぺろぺろ舐めてる…
本当に犬みたい)
菫「よしよし。美味しかったか?
でも、次は一瞬でも反応したら
お仕置きだからな?」
照「わかってる…もう、
菫のおかし以外には絶対反応しない」
淡「恐ろしい、恐ろし過ぎる調教だよ…!
菫先輩、なんでそんな
怖い人になっちゃったの…!?」
誠子
(…確かに、見方が変わったな)
尭深
(…3人ともポンコツ)
誠子
「…ま、でもいいんじゃないですか?
調教は大成功みたいだし、
これでインタビューでも
自然な笑みが見せられますよね?」
菫「は?何を言ってるんだ亦野」
誠子
「え?で、でもそれが当初の目的でしたよね?」
菫「こんな愛らしくて無防備な笑顔、
お茶の間に流せるか」
菫「見ろ、この全てを私に委ねきった愛おしい表情を。
こんなの流したら照のファンが激増する」
誠子
「確かに『この顔』は流石に
放送禁止だと思いますけど…」
尭深
「…さっき出てきた時のだらしない顔を、ちょっと
引き締めてもらえばいいんじゃないですか?」
菫「だそうだが…照、できるか?」
照「無理。私もう、菫と居るだけでとろけちゃうよ?」
照「菫の体から仄かに香る、
おかしの甘い香りが私を狂わせるんだ」
菫「……」
照「……」
誠子
「……」
尭深
「……」
淡「駄目じゃん!トロけ損じゃん!!」
菫「……よし、照。今度は
営業スマイルの練習するぞ」
照「うん」
菫「…というわけで、私達はまた
しばらく不在になるがよろしく頼む」
淡「……」
誠子
「……」
尭深
「……」
菫「…ん?どうした3人とも」
淡・誠子・尭深
「「「もう好きにして(ください)!!!」」」
(完)
ひょんな事から、営業スマイルを
自然な笑顔に改善する事になった照。
菫が考案した特訓を受け続けた照は、
一か月後、果たしてどんな笑顔を見せるのか。
あ、濃厚ゆるふわギャグです。
<登場人物>
宮永照,弘世菫,大星淡,亦野誠子,渋谷尭深
<症状>
・ヤンデレ(かわいい)
・依存(かわいい)
・あまあま
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・濃厚な照菫
・濃厚なギャグ照菫
※まとめちゃうかも
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―― きっかけは、菫先輩の一言だった ――
菫「あ、そういえば照」
照「なに?」
菫「お前の気持ち悪い営業スマイルなんだがな。
あれ、直す必要がありそうだ」
照「いきなり失礼過ぎるでしょ。
あれは私の気持ちを
全力で表現した思いの結晶だってば」
誠子
「何か問題なんですか?」
菫「ああ。この前弘世家のお茶の間で、
私達のインタビューが流れてな……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫母
『ねえ菫、この子の笑顔、
仮面みたいで怖いんだけど』
菫『否定はしません』
菫母
『一見笑顔だけど、裏では
《こんな相手じゃ調整にもならない》
とか思ってそうだわ』
菫『否定はしません』
菫母
『こういう子ほど、裏では無表情で
そっけなかったりするのよね』
菫『否定はしません』
菫母
『ああ怖い。やっぱり
チャンピオンになるような子って
どこか普通じゃないのかしらね』
菫『否定はしません』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫「と、こんな感じでな。
お母様が怖がっている」
誠子
「少しは否定してあげましょうよ」
菫「全て真実だったからな…
ともかくこのままでは、弘世家での
印象が著しく悪くなるだろう」
照「そ、それは困る…!!」
淡「へ、どうして?別に菫先輩の親に
どう思われようと関係なくない?」
照「…淡は危機管理能力が足りない。
菫の家は、虎姫ルームにおける
おかし供給ルートの最大手なんだよ」
照「その弘世家の心証が悪くなると言う事は…」
照「お菓子が、減る……!!」
淡「っ!?一大事じゃん!!」
誠子
(そうかなあ)
尭深
(…最近太り始めてるし、減るなら減るで別に…)
照「ど、どうしよう菫。どうすればいい?」
菫「さっきも言ったが、営業スマイルを
直すしかないだろう」
菫「特訓だ。しばらくは私の家で
缶詰になってもらうぞ」
照「お菓子出る?」
菫「お前がそれで乗り気になるなら。
パティシエもいるからご褒美には
事欠かないだろう」
菫「一流のパティシエだ。
缶詰とは言ったが、普通に暮らすよりも
よっぽど豊かなお菓子生活を
満喫できるかもしれないな」
照「やろう。今すぐやろう」
淡「えー!だったら私も缶詰やりたい!」
菫「お前はスイーツが食べたいだけだろう」
照「というわけでこれから末永く
お世話になります」
菫「嫁入りか!まあ、その調子で従順に
頑張ってもらえると助かる」
菫「じゃあ行くぞ。…気が変わらないうちに」
照「パティシエのスイーツ楽しみ」
淡「ずっこい!テルだけずっこい!!」
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こうして、テルと菫先輩の特訓が始まった。
二人は家に籠り切り、学校に出てくる事もなく。
そのまま、一週間が過ぎ去った。
私の頭に疑念が生まれる。
こんなに長い期間必要だろうか。だとしても、
学校まで休む必要があるのだろうか。
二人が姿を消してから一ヶ月。
疑念が確信に変わってしまった。
菫先輩は…テルを監禁してるんじゃないかって。
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淡「ねえ、これ絶対おかしいよ!
なんで営業スマイル直すだけで
一か月も学校休むのさ!」
尭深
「…確かに長いとは思うけど…
そもそもお二人はもう自由登校で、
登校義務自体ないわけだし…」
誠子
「むしろ弘世先輩の家が快適過ぎて、
宮永先輩が居座ってるんじゃないか?」
尭深
「…私も、そっちの方がありそうだと思う」
淡「その油断が命取りなんだよ!菫先輩の事だから、
きっとテルを監禁してテゴメにしてる!!」
誠子
「お前の中で弘世先輩は
どんな鬼畜になってるんだ」
淡「ともかく一度見に行こうよ!
問題なければそれでよし!
その時はパティシエのスイーツ食べて
帰ってこればいいんだから!」
誠子
「それ、絶対スイーツの方がメインだろ」
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ついに私は痺れをきらした。
面倒がる二人の薄情な先輩と共に、
菫先輩の家に突撃する。
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もっとも……もう、手遅れだったけど。
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そこのいたのはテル…ううん、
テルだったものだった
まるで麻薬でも打ったように
だらしない表情を浮かべ、
しまりのない笑顔で私たちを出迎えた
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淡「て…テル……!?」
照「ふふ…こんにちは、淡……」
誠子
「誰だこの人」
菫「いや、見ての通り照本人だが」
菫「どうだ?営業スマイル、
完璧に直っただろう?」
尭深
「…随分と蕩けきった笑顔ですけど…
一体どんな調教をしたら
こんな風になっちゃうんですか?」
菫「いいだろう、教えてやる。
ほら照、お前の口から話すんだ」
照「…うん」
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そしてテルは語り出す。
おそるべき調教の全貌を――
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−− 待ち受けたるは、恐るべき調教だった
みやなが てる −−
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
照『お願い、ここから出して』
菫『駄目だ。まずはお前を極限まで追い込む』
菫『お菓子は抜き。3時のおやつとして
砂糖水は与えてやろう』
照『し、死ぬ…死んでしまう……!!』
菫『まあその時はその時だ』
− 数時間後 −
菫『具合はどうだ?』
照『お願い、菫…おかしを…おかしを頂戴……!』
菫『まだ駄目だな…その無表情が崩れるまでは
お菓子は、お前の視界にすら入らないものと思え』
菫『代わりと言っちゃなんだが、ほら。
美味しい美味しい担々麺だぞ?』
照『……っ!』
照(も、もしかして……)
照(菫は…私の事が嫌いなの……?)
− さらに数時間後 −
菫『…だいぶ辛そうになってきたな』
照『……お願い、おかしちょうだい。気が狂いそう』
照『くれるなら何でもするから。
足だって舐めてあげるから』
菫『たかが半日お菓子抜いただけでこの体たらくか…
逆にお前の食生活が心配になってきたな』
照『おねがい、おかし』
菫『まだ駄目だ。もっとなりふり構わず、
頭がぐちゃぐちゃになるまではな』
照『そんな…っ私は、もう、もうっ…!』
照(とっくに、限界なのに……!)
− 1日経過 −
照『おねがい、おねがいします、おかしください』
照『なんでもするよ、するから、おねがい』
菫『ふふ、涙で顔がぐしょぐしょじゃないか。
それだけ感情が剥き出しになれば、
お母様も怖がらないだろうな』
菫『まあ、逆の意味で見せられたものじゃないが』
菫『……頃合いだろう。よく頑張ったな。
今持ってきてやるから待ってろ』
……
照(あ、あまいにおい、おかし、おかし、おかし、おかし)
菫『ほら、一流のパティシエが作った
最高級スイーツだ。存分に味わうといい』
照『お、おかし。すいーつ、おかしっ!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガブッ……!!
照『っっっ!?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
照(味が、味がわからないっ)
照(ただ、ただ幸せが身体中を駆け巡って、
頭が真っ白になってっ)
照(あっ、あっ、あっ、あっ)
照(脳が、とろとろに甘く痺れてっ)
照(融ける、とろける、流れるっ、とけるっっ)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
照『あぁああぁっっ………!!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『…喜んでいただけたようで何よりだ』
菫『これからは、これを繰り返す』
菫『何度も何度も繰り返す』
菫『お前が、駄目になってしまうまでな』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
来る日も来る日も調教は続いた
菫は、私が本当に限界を迎えるまで一切
おかしの摂取を禁止して
私が壊れる絶妙なタイミングで、
最上級のおかしを私に与えた
それは私にとって何よりも危険な麻薬
ただ口いっぱいにほおばるだけで
頬は弛緩し、目は緩み、胸の動悸は激しくなって、
脳が深刻なレベルで蕩けていく
そんな調教を、菫は毎日繰り返した
菫の責め苦が染み込んでいくにつれ
心を牛耳られていく
菫の機嫌を伺って、一刻も早く
おかしをもらう事だけが頭を埋め尽くしていく
一週間も経つ頃には、全ての感覚が鋭敏になり
私は、菫が部屋にやってくる事を
靴音と匂いだけで嗅ぎ取れるようになっていた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
照『おいしい、おいしい』
菫『喜んでもらえて何よりだ。今日のは、
少し出来が悪かったかもしれないが』
照『そんなことない。すごくおいしかった』
照『もっとたべたい』
菫『悪いがこれでおしまいだ。…あ、
私の指に、クリームが少しついてしまっているな』
菫『…舐めるか?』
照『…うん』
ぴちゃっ、れるっ……
照『おいしっ…すみれのゆび、おいしいっ……』
菫『はは、そんなに美味しいか。
もうすっかりジャンキーだな』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
調教はひたすら繰り返される
やがて私は何も考えられなくなり、
ただ菫が来てくれる事を待ち続ける犬と化す
でもそれも仕方ない
あんな、あんな美味しいスイーツ
一流のパティシエが創造する最高級スイーツ
そんな、普段の生活ですら食べられない極上の品を
極限の飢餓状態で与えるのだ
耐えられるはずがない
誰だって耐えられない
私の意志が弱いんじゃない
そう、こんなの誰だって……!
そう心に言い訳を繰り返しながら
私は、あまんじて菫の犬に
成り下がって行った
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そう考える事自体、菫の罠であるとも知らず
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『なあ、照。そのお菓子は美味しいか?』
照『うん、うん』
菫『ふふ、すっかり夢中になって…
少しは誘惑に打ち勝とうとは思わないのか?』
照『むり、こんなおいしいのを前に、無理』
菫『はは。まあ一流パティシエのスイーツだ。
抗えるはずもないよな』
照『うん、むり。私はもうかんぜんに、
このぱてぃしえさんのとりこ』
菫『はは…そうかそうか。まあ確かに、
お前にとっては滅多に
食べられるものでもないからな』
菫『……もしそれが本当に、一流の
パティシエのものだったなら』
照『……どういう事?』
菫『…今、お前が笑顔で頬張っているスイーツ。
一流パティシエがお前のためだけに
作り上げた至高の一品』
菫『もし、その逸品が…』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『単なる、私の手作りだとしたら…?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ピキッ
心に亀裂が入る
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『一流パティシエのスイーツ。
それがいつのまにか、
私のお菓子と刷り変わっていたら…?』
照『う、うそ。うそ、うそ、うそ』
照(そんな事を認めてしまったら、私は……)
照(菫から、離れられなくなってしまう)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫『信じられないか?なら、この手を嗅いでみろ』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
菫がその細くて長い指を私の口先に運ぶ
理性が激しく警鐘を鳴らした
照(だめ、この匂いを嗅いじゃ駄目っっ……)
脳の警告とは裏腹に、私の鼻は吸い寄せられるように
従順にその指に近づいていく
すんすんと鼻を鳴らすと、微かに香る
バニラビーンズの芳香が私の頭を破壊して――
菫『おいおい、私はお菓子じゃないぞ』
――無我夢中で、その指を舐めしゃぶっていた
香りが真実を突き付ける
作り手にしか染み付かない程の、
本当に、本当に僅かな芳香
間違いない、菫から漂う香り、
それはあのスイーツと同じものだ
つまり、私が今まで食べていたのは、
パティシエのスィーツでもなんでもなく……
照(菫の、手作り……!!)
心が、壊れる
壊れた隙間を菫が繋ぐ
もう無理、菫を取り除けない
菫がいなければ、私は、私は――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
――こうして私は、菫に、墜ちた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
--------------------------------------------------------
照「こうして私は調教された。もう、
菫のお菓子しか食べられない体にされてしまった」
照「菫のお菓子をみただけで、
脳がトロけるように作り替えられてしまった」
照「だから、もう、私は…菫から離れられない」
淡「お、恐ろしい…!
なんてひどい調教を…!」
淡「鬼畜だよ、鬼畜!鬼スミレだよ!!」
尭深
(……そうかなぁ)
誠子
(今の話要約すると、
『弘世先輩のおかし凄い美味しかった』
で終わりだよね)
淡「じゃ、じゃあ…このみんなで
食べようと思ってたお菓子は!?
テルの大好きなバタークッキーもあるのに!」
照「……っ、私はいらない」
菫「おい照、今一瞬反応したな?」
照「っ、違う、私はあんなの興味ない!」
菫「お仕置きだ。今日のお手製クッキーの枚数を
50枚から49枚に減らす」
照「そんな…!菫は私に死ねって言うの…!?」
誠子
(死なんて)
尭深
(…というか49枚でも多すぎでしょう)
菫「さらには、食後のチョコレートパフェも
ただのソフトクリームに変更だ」
照「っ、お願い、許して!
なんでも言う通りにするから!!」
菫「はは、冗談だ。
久しぶりに見たお菓子を前に
欲しがらなかった事を、
素直に褒めてやろうじゃないか」
菫「ほら、お手製クッキーだ。
特別に今食べさせてやる」
照「っ、菫のクッキー……!」
かぷっ、かぷっ、ぴちゃっ
照「おいしい、おいしい……」
尭深
(うわ…手までぺろぺろ舐めてる…
本当に犬みたい)
菫「よしよし。美味しかったか?
でも、次は一瞬でも反応したら
お仕置きだからな?」
照「わかってる…もう、
菫のおかし以外には絶対反応しない」
淡「恐ろしい、恐ろし過ぎる調教だよ…!
菫先輩、なんでそんな
怖い人になっちゃったの…!?」
誠子
(…確かに、見方が変わったな)
尭深
(…3人ともポンコツ)
誠子
「…ま、でもいいんじゃないですか?
調教は大成功みたいだし、
これでインタビューでも
自然な笑みが見せられますよね?」
菫「は?何を言ってるんだ亦野」
誠子
「え?で、でもそれが当初の目的でしたよね?」
菫「こんな愛らしくて無防備な笑顔、
お茶の間に流せるか」
菫「見ろ、この全てを私に委ねきった愛おしい表情を。
こんなの流したら照のファンが激増する」
誠子
「確かに『この顔』は流石に
放送禁止だと思いますけど…」
尭深
「…さっき出てきた時のだらしない顔を、ちょっと
引き締めてもらえばいいんじゃないですか?」
菫「だそうだが…照、できるか?」
照「無理。私もう、菫と居るだけでとろけちゃうよ?」
照「菫の体から仄かに香る、
おかしの甘い香りが私を狂わせるんだ」
菫「……」
照「……」
誠子
「……」
尭深
「……」
淡「駄目じゃん!トロけ損じゃん!!」
菫「……よし、照。今度は
営業スマイルの練習するぞ」
照「うん」
菫「…というわけで、私達はまた
しばらく不在になるがよろしく頼む」
淡「……」
誠子
「……」
尭深
「……」
菫「…ん?どうした3人とも」
淡・誠子・尭深
「「「もう好きにして(ください)!!!」」」
(完)
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きっと照のほっぺに着いた食べかすを拭き拭きしたりしたんでしょうなぁ。まさか舐め取って『これは食べないのな?』とかはやりますまい。
アホなてるてるはやっぱかわいいw