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【咲-Saki-SS:玄宥】玄宥「「ずっと、貴女の傍にいる」」【共依存】
<あらすじ>
冬。駄目人間っぷりに拍車がかかる
松実宥を更生させようと、
阿知賀女子の皆が奮起する。
でも、一番重要な玄は逆に
宥を甘やかして……
<登場人物>
松実玄,松実宥,高鴨穏乃,新子憧,鷺森灼,赤土晴絵
<症状>
・共依存(重度)
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・玄宥。お互い変な方向に病んでる感じで、
雰囲気はあまあまなお話
→ごめんなさい…途中から割とドロドロした感じに…!
--------------------------------------------------------
宥「玄ちゃ〜ん」
玄「なーに?おねーちゃん」
宥「おみかん〜」
玄「お任せあれ!はい、剥きました!」
宥「玄ちゃーん。お口まで運んで〜?」
玄「あはは、おねーちゃんは仕方ないなぁ。はい、あーん」
宥「あ〜ん♪……えへ、美味しい」
玄「次行くよー、あーん」
宥「あ〜ん…」
憧「……」
穏乃
「……」
灼「……」
憧「なんか最近、宥姉の駄目人間っぷりが酷くなってない?」
穏乃
「冬だからね!」
憧「まあそうだけど……」
灼「いやそんな『動物が冬眠するのは仕方ない』
みたいなノリで流さないでほし…」
憧「はっ、一瞬流されかけた…!
妹にみかんの皮剥かせて口に投入されるのを待つとか、
姉として流石にどうかと思うわ」
宥「食べたら眠くなってきちゃった〜」
玄「子守歌いる?」
宥「それよりポンポンしてほしいかな……」
玄「お任せあれ!よしよし!」
宥「あったか〜ぃ……」
憧「完全に寝に入った…
妹に添い寝されながら眠る姉ってどうなの」
穏乃
「冬だからね」
憧「まあそうだけど……」
灼「いやだから」
宥「んん…玄ちゃ〜ん……」
玄「はいはい、抱き枕だよね?」
宥「あったか〜い」
玄「抱き心地抜群の玄枕です!」
憧「姉妹で絡み合い始めた……」
穏乃
「冬だからね」
灼「いやだから…って、冬じゃなくても
年中くっついてると思…」
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憧「というわけで、最近の宥姉は目に余るので
何とかしようと思います」
灼「宥さんもだけど、無制限に甘やかす玄も重症だと思…
二人そろって改善すべき」
穏乃
「うーん。手遅れだと思うけどなぁ」
憧「いや正直私もそう思うけどさ。
流石にほっとくわけにもいかない事情があるのよね」
穏乃
「なに?」
憧「いやさ、宥姉3年生じゃん。受験は?
勉強してるところ見た覚えがないんだけど」
穏乃
「あー」
灼「受験の話題が一切出てこな……
願書出したかどうかも怪し……」
穏乃
「別にいいんじゃないの?松実館継ぐなら
受験自体必要ないだろうし」
憧「いやいや、経営を学ぶために経済学部を受験するって
春くらいに言ってたけど?」
穏乃
「麻雀推薦で勉強しなくてよくなったとか?」
灼「その手の話が来てればハルちゃんが話題にすると思…」
憧「……」
穏乃
「……」
灼「……」
憧「…ほら、結構危機的状況でしょ?」
灼「早急な対策が必要…」
穏乃
「うーむ。致し方なしか」
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憧「というわけで、ゲストに玄をお招きして
対策会議を続けたいと思います」
穏乃
「玄さん、宥さんって結局受験するんですか?」
玄「あー、うん。するんじゃないかな?
一応家では勉強してるよ?」
玄「1日15分だけど」
憧「すくなっ!」
穏乃
「まさか私より少ないとは…!やりますね」
灼「張り合うところじゃないと思…
それ、判定的には大丈夫なの?」
玄「D判定かな」
憧「駄目な奴じゃん」
穏乃
「20%もあるんでしょ?大丈夫大丈夫」
憧「麻雀脳はやめなって。20%は普通に絶望的だから」
灼「玄も甘やかし過ぎ…今D判定ならそれこそ
死に物狂いで勉強しなくちゃいけな……」
玄「う、うーん。わかってはいるんだけどね……
ほら、冬場のおねーちゃんって可愛いでしょ?」
憧「真っ先に出てくる言い訳がそれ?」
玄「だ、だって……寒そうにプルプル震えて、
おこたに入ると心底ほっとして
ほおを緩めるおねーちゃんだよ?」
玄「とても『戻って勉強しなさい!』なんて言えないよ!
そんな鬼の所業、憧ちゃんにはできる!?」
憧「いや別にこたつに入って勉強…って、宥姉じゃ無理か」
玄「無理だよね」
穏乃
「万策尽きた!」
灼「諦めるの早過ぎだと思…!?
というか、宥さんの部屋だって
エアコンガンガンにかけてるんじゃないの…?」
玄「難しいんだよね。あったかいと気持ちよくて寝ちゃうし、
寒いと冬眠モードで頭が働かなくなるから」
玄「だからおねーちゃんの部屋はエアコンが弱めなんだけど
我慢できずに出てきちゃうんだ」
灼「それで、出てきたらこたつで寝る、と……」
憧「何その駄目人間ループ。玄はそれでいいの?」
玄「うーん、まあ正直、受験が駄目でも松実館に就職すればいいしね。
受験でつらい思いするくらいならそれでもいいかなって」
穏乃
「就職できちゃうと思うとやる気も出ませんよね」
玄「うん。まあそんなだから、できるだけ
優しくしてあげて欲しいんだ」
玄「おねーちゃんからしたら、冬に起きてるってだけで
すごい頑張りなんだから」
憧「はぁ…ま、今日はここでお開きにしよっか」
憧(思った以上に玄も駄目だったわ…
こりゃ、宥姉に直談判しないとね)
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玄「ふぅ。みんなの心配もわかるんだけどね。
でも、そもそもおねーちゃんを
普通の人の枠に当てはめるのが間違ってるよ」
玄「ただ生きてるだけで頑張ってるんだもん。
一緒にしちゃかわいそうだよ」
玄「ね、おねーちゃん」
宥「そ、そうだね」
玄「おねーちゃんは頑張らなくていいからね?
行きたい大学って東京でしょ?
おねーちゃんが一人で東京とか、
そもそも生きていけないよ」
玄「受験だってしなくていいよ?
おねーちゃんは松実館に居るのが一番幸せなんだから」
玄「ずっと、ずっと私が守ってあげるからね」
玄「ずっと、ずーっと」
宥「……」
宥「うん」
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憧「…というわけで、今度は宥姉の方に来てもらいました。
宥姉は、今のままでいいと思ってるの?」
宥「え、ええっとぉ……」
灼「宥さんの体質の事もあるから強くは言わないけど…
それでも最近、ちょっとずぼら過ぎると思…」
憧「玄に改善してもらおうと思ったけど、
玄もあまっちょろいから
全然駄目っぽかったのよね」
宥「え、えぇ!?先に玄ちゃんに話しちゃったの!?」
憧「ふぇ!?だ、だって宥姉に直接言うより
玄に管理してもらった方が効き目ありそうだし」
宥「だ、だから玄ちゃん、悪化しちゃったんだ」
灼「……悪化?」
宥「うん……その、率直に聞いていいかな。
玄ちゃんと私、どっちが駄目そうに見える?」
灼・憧「両方」
宥「あう」
穏乃
「……玄さん、ですよね」
宥「穏乃ちゃん、正解」
憧「!?ちょ、どういう事よ!?」
宥「え、えっとね……今、その、玄ちゃんは……」
宥「ちょっと、不安定なんだぁ」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥『あのね、玄ちゃん。私、東京の大学受けようと思うんだ』
玄『!?なんで!?松実館を継ぐんじゃなかったの!?』
宥『う、うん。そのためにね?経済学を学ぼうと思って』
玄『無理だよ!おねーちゃんが一人で東京なんて!
きっと寒いし、助けてくれる人もいないんだよ!?
おねーちゃん死んじゃうよ!!』
宥『あ、あのね、聞いて玄ちゃん。
私、そうやって今までずっと、
玄ちゃんに守ってもらってた』
宥『そろそろ独り立ちしなくちゃいけないと思うんだ』
玄『しなくていいよ!!!』
宥『く、くろちゃ』
玄『いいの!おねーちゃんは私が守ってあげるから!
ずっと、一生守ってあげるんだから!』
玄『ずっと二人だったんだよ!?お母さんが居なくなった時も!
ずっと、ずっと二人で一緒だったんだよ!?
今更離れられるわけないよ!』
玄『ね?考えなおそ?ね!?』
宥『で、でも』
玄『――!!』
玄『――!!』
玄『――!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
宥「玄ちゃんと私は、ずっと二人で生きてきた」
宥「お母さんが逝っちゃった後も。
憧ちゃんや穏乃ちゃんが居なくなった後も、
私だけは玄ちゃんから離れなかった」
宥「玄ちゃんね。別れるのが人一倍怖い子なんだ。
だから、麻雀教室が無くなった後も、
ずっと一人で教室を掃除して」
宥「時々堪えきれずに泣いてた。
そのたびに、『おねーちゃんはいなくならないよね?』って
泣きながら私にすがってきたんだ」
宥「そんな玄ちゃんを、私はやっぱり拒めない」
宥「いけない関係だっていうのはわかってるんだよ?
だから、これが最後のチャンスだと思った」
宥「私が高校を卒業するタイミング。それが、
健全な姉妹に戻る最後のチャンス」
宥「可能性はあるかなって思ってた。
夏の大会で、玄ちゃんも少しふっきれたみたいだったし」
宥「……でも」
宥「今の玄ちゃんを見てると無理だと思う。
とても、私が居なくなった後耐えられるとは思えない」
宥「今の玄ちゃんは私が勉強しようとすると邪魔してくる。
自立しようとすると率先して堕落させようとする」
宥「自分が必要とされなくなるのが怖いんだよ」
宥「だから、私は駄目な姉じゃないといけないの」
宥「玄ちゃんが、必要とされてるって思えるように」
憧「……」
穏乃
「……」
灼「……」
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--------------------------------------------------------
憧「…思ったよりヘヴィーな内容だったわ」
穏乃
「憧は意外とそういうの鈍いよね」
憧「私としてはアンタが気づいてたことに
ビックリなんだけど」
穏乃
(…はぁ。憧は本当に鈍いなぁ。
そんなだから阿太中に行っちゃうんだよ)
穏乃
(気づいてないんだろね。周りが病人ばっかりだって)
穏乃
「ま、私は玄さんを応援してるよ。
玄さんが望んでて、宥さんも受け入れてるなら
今のままでいいんじゃないかな」
憧「んー、勉強しないは百歩譲るとしても、
今のまま宥姉を放置したら
ニートまっしぐらな気がするけど」
穏乃
「玄さんがそれを望んでるなら問題ないでしょ」
憧「……歪んでるって思わないわけ?」
穏乃
「でも誰も困ってないじゃん」
憧「まあそうなんだけどさぁ」
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宥「…というわけで、受験に失敗しちゃいました。
ふがいなくてごめんなさい」
晴絵
「こればっかりは仕方ないね。
まあ、松実館があるんだし問題ないか」
宥「はい。玄ちゃんも支えてくれますし」
晴絵
「あのさ。一つ聞いてもいいかな?」
宥「なんですか?」
晴絵
「試験…ちゃんと、解答した?」
宥「……」
晴絵
「やっぱりか。ま、人の心の弱さに
私が意見する資格はないけどね。
玄を再起不能にする気なら、
最後までちゃんと面倒見なよ?」
宥「止めないんですね」
晴絵
「……」
晴絵
「正論が、いつも正解とは限らないさ」
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--------------------------------------------------------
宥(……赤土さんはすごいなぁ。
やっぱり気づかれちゃってたんだ)
宥(…解答用紙を渡されて。私は名前だけ書いて。
それ以外は全部白紙で出した)
宥(万が一でも合格したら大変だもん)
宥(……)
宥「玄ちゃん。これで、これからも一緒だよ」
宥「『あの時』から、これからも、ずっと」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
玄『お母さん、逝っちゃったね』
宥『うん』
玄『もう、会えないんだね』
宥『うん』
玄『っ……』
宥『……』
宥『ねえ、くろちゃん。ぎゅっとして?』
玄『うんっ……!』
宥『くろちゃんは、行かないでね』
玄(おねーちゃん、震えてる……!)
玄(守らなきゃ…お母さんの代わりに……!)
玄『行かないよっ…ずっと、おねーちゃんのそばにいる…』
宥『うん…うん……!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥(……)
宥(お母さんが逝っちゃって、玄ちゃんはおかしくなった。
玄ちゃんを元に戻す方法、私にはこれしか思いつかなかった)
宥(私にべったり依存させて、私を守らせることでしか)
宥(……でも)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥『早かったね、玄ちゃん』
玄『うん…麻雀クラブ無くなっちゃったから』
宥『…そっかぁ』
玄『みんな、バラバラになっちゃうんだ』
玄『穏乃ちゃんと憧ちゃんも、
あんなに仲が良かったのに離れちゃった』
玄『和ちゃんも転校してそれっきり』
玄『一生懸命頑張っても、結局はみんな離れてバラバラ』
玄『バラバラ、バラバラ』
玄『あはは』
玄『あはは……』
玄『っ……』
宥『……』
宥『ねえ、くろちゃん。ぎゅっとして?』
玄『…うん』
宥『私は、いるよ』
宥『私だけは、玄ちゃんのそばに、ずっといる』
宥『私には、玄ちゃんしかいないから』
宥『ね?』
玄『うん…うん……!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥(気づいたら、私もおかしくなってた)
宥(保険をかけるみたいに、人との繋がりを増やそうとする
玄ちゃんを見るたびに)
宥(私は一人、どんどん不安定になっていった)
宥(そしてその繋がりを断ち切られて、
余計に壊れちゃう玄ちゃんを見て狂いそうになった)
宥(ああ、玄ちゃんはこんなに頑張ってるのに、
皆は平気で玄ちゃんを捨てちゃうんだって)
宥(やっぱり、信じられるのは姉妹だけなんだって)
宥(……なのに)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
穏乃
『阿知賀女子の麻雀部を復活させるんです』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥(……嬉しかった。幸せだった)
宥(戻ってきてくれるんだって。頑張ってれば、
努力はいつか報われるんだって)
宥(……)
宥(でも、だとしたら。玄ちゃんはいつか、
私なしでも生きていけるようになるんだね)
宥(そして私は、一人ぼっち)
宥(……)
宥(……だから)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥『あのね、玄ちゃん。私、東京の大学受けようと思うんだ』
玄『考えなおそ?ね!?』
宥『で、でも』
玄『言わないで!!』
玄『おねーちゃん言ったよ!?ずっと、ずっと離れないって!』
玄『おねーちゃんだけは、ずっとそばに居てくれるって!』
玄『嘘だったの!?おねーちゃん「も」私を捨てちゃうの!?』
宥『……』
宥『捨てないよ。私は玄ちゃんを捨てたりしない』
玄『なら!!』
宥『玄ちゃんこそ、いいの?私、
これからもずっと足を引っ張るよ?』
宥『ずっと守らなきゃいけないんだよ?
でもね?玄ちゃんは、私を捨ててもいいの』
宥『私が居なければ、玄ちゃんはずっと楽に生きていける』
宥『これが、最後のチャンスなんだよ。私を捨てる事ができ
玄『そんなチャンスいらないよ!!!』
玄『足ならいくらでも引っ張って!
ずっと、おねーちゃんを守らせて!!』
玄『だから、だから…一緒に…一緒に……!』
宥『……うん』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥(だから、私は、わざわざ、玄ちゃんを、揺さぶって)
宥(怖がらせて、不安にして、狂わせて、壊して)
--------------------------------------------------------
宥「もう、玄ちゃんは私から離れられない」
--------------------------------------------------------
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玄「というわけで、新生麻雀部始動です!」
憧「ぱちぱちー」
穏乃
「ぱちぱち!」
灼「ぱちぱち…」
宥「ぱちぱち〜」
宥「……玄ちゃ〜ん、ストーブ……」
玄「まあ4月ならありかな…はい、おねーちゃん」
宥「玄ちゃ〜ん、あったまるまでくっついていい〜?」
玄「玄たんぽです!」
宥「玄ちゃ〜ん」
玄「お任せあれ!!」
憧「って、コレいつもの光景じゃん!!
全然新生って感じしないんだけど!?
ていうか宥姉なんで居るの!?」
穏乃
「まーまーいいじゃん。しばらくはこのままでさ」
灼「同感…いずれ離れなくちゃいけないなら、
一緒に居られる間くらい甘やかしてもいいと思…」
灼「……ハルちゃん」
憧「あーもう!辛気臭いのやめ!練習するわよ!練習!!
ほら灼!その負のオーラ、全部麻雀にぶつけなよ!」
灼「わかった……」
穏乃
「……」
宥「……」
宥(次は、穏乃ちゃんかな)
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宥「今日も楽しかったね」
玄「うん!赤土先生はいなくなっちゃったけど、
おねーちゃんは残ってくれたからね!」
宥「ふふ。ねえ、玄ちゃん?」
玄「なーに?」
宥「ぎゅっとして?」
玄「…お任せあれ!」
宥「……ねえ玄ちゃん。今日はいつも通りだったけど。
そのうち、新入部員さんが入ってくるよ」
宥「私はもう大会には出られないから。
どうしても、皆との繋がりが弱くなっちゃう」
宥「それでも、玄ちゃんだけは。私を捨てないでくれるかな」
玄「もちろんだよ!」
玄「私は、私だけはずっとおねーちゃんのそばにいる!!」
玄「だから、おねーちゃんも私を捨てないでね?」
玄「これからも、ずーっと一生」
宥「…うん」
宥「これからも、ずっと玄ちゃんのそばにいる」
(完)
冬。駄目人間っぷりに拍車がかかる
松実宥を更生させようと、
阿知賀女子の皆が奮起する。
でも、一番重要な玄は逆に
宥を甘やかして……
<登場人物>
松実玄,松実宥,高鴨穏乃,新子憧,鷺森灼,赤土晴絵
<症状>
・共依存(重度)
<その他>
次のリクエストに対する作品です。
・玄宥。お互い変な方向に病んでる感じで、
雰囲気はあまあまなお話
→ごめんなさい…途中から割とドロドロした感じに…!
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宥「玄ちゃ〜ん」
玄「なーに?おねーちゃん」
宥「おみかん〜」
玄「お任せあれ!はい、剥きました!」
宥「玄ちゃーん。お口まで運んで〜?」
玄「あはは、おねーちゃんは仕方ないなぁ。はい、あーん」
宥「あ〜ん♪……えへ、美味しい」
玄「次行くよー、あーん」
宥「あ〜ん…」
憧「……」
穏乃
「……」
灼「……」
憧「なんか最近、宥姉の駄目人間っぷりが酷くなってない?」
穏乃
「冬だからね!」
憧「まあそうだけど……」
灼「いやそんな『動物が冬眠するのは仕方ない』
みたいなノリで流さないでほし…」
憧「はっ、一瞬流されかけた…!
妹にみかんの皮剥かせて口に投入されるのを待つとか、
姉として流石にどうかと思うわ」
宥「食べたら眠くなってきちゃった〜」
玄「子守歌いる?」
宥「それよりポンポンしてほしいかな……」
玄「お任せあれ!よしよし!」
宥「あったか〜ぃ……」
憧「完全に寝に入った…
妹に添い寝されながら眠る姉ってどうなの」
穏乃
「冬だからね」
憧「まあそうだけど……」
灼「いやだから」
宥「んん…玄ちゃ〜ん……」
玄「はいはい、抱き枕だよね?」
宥「あったか〜い」
玄「抱き心地抜群の玄枕です!」
憧「姉妹で絡み合い始めた……」
穏乃
「冬だからね」
灼「いやだから…って、冬じゃなくても
年中くっついてると思…」
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憧「というわけで、最近の宥姉は目に余るので
何とかしようと思います」
灼「宥さんもだけど、無制限に甘やかす玄も重症だと思…
二人そろって改善すべき」
穏乃
「うーん。手遅れだと思うけどなぁ」
憧「いや正直私もそう思うけどさ。
流石にほっとくわけにもいかない事情があるのよね」
穏乃
「なに?」
憧「いやさ、宥姉3年生じゃん。受験は?
勉強してるところ見た覚えがないんだけど」
穏乃
「あー」
灼「受験の話題が一切出てこな……
願書出したかどうかも怪し……」
穏乃
「別にいいんじゃないの?松実館継ぐなら
受験自体必要ないだろうし」
憧「いやいや、経営を学ぶために経済学部を受験するって
春くらいに言ってたけど?」
穏乃
「麻雀推薦で勉強しなくてよくなったとか?」
灼「その手の話が来てればハルちゃんが話題にすると思…」
憧「……」
穏乃
「……」
灼「……」
憧「…ほら、結構危機的状況でしょ?」
灼「早急な対策が必要…」
穏乃
「うーむ。致し方なしか」
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憧「というわけで、ゲストに玄をお招きして
対策会議を続けたいと思います」
穏乃
「玄さん、宥さんって結局受験するんですか?」
玄「あー、うん。するんじゃないかな?
一応家では勉強してるよ?」
玄「1日15分だけど」
憧「すくなっ!」
穏乃
「まさか私より少ないとは…!やりますね」
灼「張り合うところじゃないと思…
それ、判定的には大丈夫なの?」
玄「D判定かな」
憧「駄目な奴じゃん」
穏乃
「20%もあるんでしょ?大丈夫大丈夫」
憧「麻雀脳はやめなって。20%は普通に絶望的だから」
灼「玄も甘やかし過ぎ…今D判定ならそれこそ
死に物狂いで勉強しなくちゃいけな……」
玄「う、うーん。わかってはいるんだけどね……
ほら、冬場のおねーちゃんって可愛いでしょ?」
憧「真っ先に出てくる言い訳がそれ?」
玄「だ、だって……寒そうにプルプル震えて、
おこたに入ると心底ほっとして
ほおを緩めるおねーちゃんだよ?」
玄「とても『戻って勉強しなさい!』なんて言えないよ!
そんな鬼の所業、憧ちゃんにはできる!?」
憧「いや別にこたつに入って勉強…って、宥姉じゃ無理か」
玄「無理だよね」
穏乃
「万策尽きた!」
灼「諦めるの早過ぎだと思…!?
というか、宥さんの部屋だって
エアコンガンガンにかけてるんじゃないの…?」
玄「難しいんだよね。あったかいと気持ちよくて寝ちゃうし、
寒いと冬眠モードで頭が働かなくなるから」
玄「だからおねーちゃんの部屋はエアコンが弱めなんだけど
我慢できずに出てきちゃうんだ」
灼「それで、出てきたらこたつで寝る、と……」
憧「何その駄目人間ループ。玄はそれでいいの?」
玄「うーん、まあ正直、受験が駄目でも松実館に就職すればいいしね。
受験でつらい思いするくらいならそれでもいいかなって」
穏乃
「就職できちゃうと思うとやる気も出ませんよね」
玄「うん。まあそんなだから、できるだけ
優しくしてあげて欲しいんだ」
玄「おねーちゃんからしたら、冬に起きてるってだけで
すごい頑張りなんだから」
憧「はぁ…ま、今日はここでお開きにしよっか」
憧(思った以上に玄も駄目だったわ…
こりゃ、宥姉に直談判しないとね)
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玄「ふぅ。みんなの心配もわかるんだけどね。
でも、そもそもおねーちゃんを
普通の人の枠に当てはめるのが間違ってるよ」
玄「ただ生きてるだけで頑張ってるんだもん。
一緒にしちゃかわいそうだよ」
玄「ね、おねーちゃん」
宥「そ、そうだね」
玄「おねーちゃんは頑張らなくていいからね?
行きたい大学って東京でしょ?
おねーちゃんが一人で東京とか、
そもそも生きていけないよ」
玄「受験だってしなくていいよ?
おねーちゃんは松実館に居るのが一番幸せなんだから」
玄「ずっと、ずっと私が守ってあげるからね」
玄「ずっと、ずーっと」
宥「……」
宥「うん」
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憧「…というわけで、今度は宥姉の方に来てもらいました。
宥姉は、今のままでいいと思ってるの?」
宥「え、ええっとぉ……」
灼「宥さんの体質の事もあるから強くは言わないけど…
それでも最近、ちょっとずぼら過ぎると思…」
憧「玄に改善してもらおうと思ったけど、
玄もあまっちょろいから
全然駄目っぽかったのよね」
宥「え、えぇ!?先に玄ちゃんに話しちゃったの!?」
憧「ふぇ!?だ、だって宥姉に直接言うより
玄に管理してもらった方が効き目ありそうだし」
宥「だ、だから玄ちゃん、悪化しちゃったんだ」
灼「……悪化?」
宥「うん……その、率直に聞いていいかな。
玄ちゃんと私、どっちが駄目そうに見える?」
灼・憧「両方」
宥「あう」
穏乃
「……玄さん、ですよね」
宥「穏乃ちゃん、正解」
憧「!?ちょ、どういう事よ!?」
宥「え、えっとね……今、その、玄ちゃんは……」
宥「ちょっと、不安定なんだぁ」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥『あのね、玄ちゃん。私、東京の大学受けようと思うんだ』
玄『!?なんで!?松実館を継ぐんじゃなかったの!?』
宥『う、うん。そのためにね?経済学を学ぼうと思って』
玄『無理だよ!おねーちゃんが一人で東京なんて!
きっと寒いし、助けてくれる人もいないんだよ!?
おねーちゃん死んじゃうよ!!』
宥『あ、あのね、聞いて玄ちゃん。
私、そうやって今までずっと、
玄ちゃんに守ってもらってた』
宥『そろそろ独り立ちしなくちゃいけないと思うんだ』
玄『しなくていいよ!!!』
宥『く、くろちゃ』
玄『いいの!おねーちゃんは私が守ってあげるから!
ずっと、一生守ってあげるんだから!』
玄『ずっと二人だったんだよ!?お母さんが居なくなった時も!
ずっと、ずっと二人で一緒だったんだよ!?
今更離れられるわけないよ!』
玄『ね?考えなおそ?ね!?』
宥『で、でも』
玄『――!!』
玄『――!!』
玄『――!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……
宥「玄ちゃんと私は、ずっと二人で生きてきた」
宥「お母さんが逝っちゃった後も。
憧ちゃんや穏乃ちゃんが居なくなった後も、
私だけは玄ちゃんから離れなかった」
宥「玄ちゃんね。別れるのが人一倍怖い子なんだ。
だから、麻雀教室が無くなった後も、
ずっと一人で教室を掃除して」
宥「時々堪えきれずに泣いてた。
そのたびに、『おねーちゃんはいなくならないよね?』って
泣きながら私にすがってきたんだ」
宥「そんな玄ちゃんを、私はやっぱり拒めない」
宥「いけない関係だっていうのはわかってるんだよ?
だから、これが最後のチャンスだと思った」
宥「私が高校を卒業するタイミング。それが、
健全な姉妹に戻る最後のチャンス」
宥「可能性はあるかなって思ってた。
夏の大会で、玄ちゃんも少しふっきれたみたいだったし」
宥「……でも」
宥「今の玄ちゃんを見てると無理だと思う。
とても、私が居なくなった後耐えられるとは思えない」
宥「今の玄ちゃんは私が勉強しようとすると邪魔してくる。
自立しようとすると率先して堕落させようとする」
宥「自分が必要とされなくなるのが怖いんだよ」
宥「だから、私は駄目な姉じゃないといけないの」
宥「玄ちゃんが、必要とされてるって思えるように」
憧「……」
穏乃
「……」
灼「……」
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憧「…思ったよりヘヴィーな内容だったわ」
穏乃
「憧は意外とそういうの鈍いよね」
憧「私としてはアンタが気づいてたことに
ビックリなんだけど」
穏乃
(…はぁ。憧は本当に鈍いなぁ。
そんなだから阿太中に行っちゃうんだよ)
穏乃
(気づいてないんだろね。周りが病人ばっかりだって)
穏乃
「ま、私は玄さんを応援してるよ。
玄さんが望んでて、宥さんも受け入れてるなら
今のままでいいんじゃないかな」
憧「んー、勉強しないは百歩譲るとしても、
今のまま宥姉を放置したら
ニートまっしぐらな気がするけど」
穏乃
「玄さんがそれを望んでるなら問題ないでしょ」
憧「……歪んでるって思わないわけ?」
穏乃
「でも誰も困ってないじゃん」
憧「まあそうなんだけどさぁ」
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宥「…というわけで、受験に失敗しちゃいました。
ふがいなくてごめんなさい」
晴絵
「こればっかりは仕方ないね。
まあ、松実館があるんだし問題ないか」
宥「はい。玄ちゃんも支えてくれますし」
晴絵
「あのさ。一つ聞いてもいいかな?」
宥「なんですか?」
晴絵
「試験…ちゃんと、解答した?」
宥「……」
晴絵
「やっぱりか。ま、人の心の弱さに
私が意見する資格はないけどね。
玄を再起不能にする気なら、
最後までちゃんと面倒見なよ?」
宥「止めないんですね」
晴絵
「……」
晴絵
「正論が、いつも正解とは限らないさ」
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宥(……赤土さんはすごいなぁ。
やっぱり気づかれちゃってたんだ)
宥(…解答用紙を渡されて。私は名前だけ書いて。
それ以外は全部白紙で出した)
宥(万が一でも合格したら大変だもん)
宥(……)
宥「玄ちゃん。これで、これからも一緒だよ」
宥「『あの時』から、これからも、ずっと」
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
玄『お母さん、逝っちゃったね』
宥『うん』
玄『もう、会えないんだね』
宥『うん』
玄『っ……』
宥『……』
宥『ねえ、くろちゃん。ぎゅっとして?』
玄『うんっ……!』
宥『くろちゃんは、行かないでね』
玄(おねーちゃん、震えてる……!)
玄(守らなきゃ…お母さんの代わりに……!)
玄『行かないよっ…ずっと、おねーちゃんのそばにいる…』
宥『うん…うん……!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥(……)
宥(お母さんが逝っちゃって、玄ちゃんはおかしくなった。
玄ちゃんを元に戻す方法、私にはこれしか思いつかなかった)
宥(私にべったり依存させて、私を守らせることでしか)
宥(……でも)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥『早かったね、玄ちゃん』
玄『うん…麻雀クラブ無くなっちゃったから』
宥『…そっかぁ』
玄『みんな、バラバラになっちゃうんだ』
玄『穏乃ちゃんと憧ちゃんも、
あんなに仲が良かったのに離れちゃった』
玄『和ちゃんも転校してそれっきり』
玄『一生懸命頑張っても、結局はみんな離れてバラバラ』
玄『バラバラ、バラバラ』
玄『あはは』
玄『あはは……』
玄『っ……』
宥『……』
宥『ねえ、くろちゃん。ぎゅっとして?』
玄『…うん』
宥『私は、いるよ』
宥『私だけは、玄ちゃんのそばに、ずっといる』
宥『私には、玄ちゃんしかいないから』
宥『ね?』
玄『うん…うん……!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥(気づいたら、私もおかしくなってた)
宥(保険をかけるみたいに、人との繋がりを増やそうとする
玄ちゃんを見るたびに)
宥(私は一人、どんどん不安定になっていった)
宥(そしてその繋がりを断ち切られて、
余計に壊れちゃう玄ちゃんを見て狂いそうになった)
宥(ああ、玄ちゃんはこんなに頑張ってるのに、
皆は平気で玄ちゃんを捨てちゃうんだって)
宥(やっぱり、信じられるのは姉妹だけなんだって)
宥(……なのに)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
穏乃
『阿知賀女子の麻雀部を復活させるんです』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥(……嬉しかった。幸せだった)
宥(戻ってきてくれるんだって。頑張ってれば、
努力はいつか報われるんだって)
宥(……)
宥(でも、だとしたら。玄ちゃんはいつか、
私なしでも生きていけるようになるんだね)
宥(そして私は、一人ぼっち)
宥(……)
宥(……だから)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥『あのね、玄ちゃん。私、東京の大学受けようと思うんだ』
玄『考えなおそ?ね!?』
宥『で、でも』
玄『言わないで!!』
玄『おねーちゃん言ったよ!?ずっと、ずっと離れないって!』
玄『おねーちゃんだけは、ずっとそばに居てくれるって!』
玄『嘘だったの!?おねーちゃん「も」私を捨てちゃうの!?』
宥『……』
宥『捨てないよ。私は玄ちゃんを捨てたりしない』
玄『なら!!』
宥『玄ちゃんこそ、いいの?私、
これからもずっと足を引っ張るよ?』
宥『ずっと守らなきゃいけないんだよ?
でもね?玄ちゃんは、私を捨ててもいいの』
宥『私が居なければ、玄ちゃんはずっと楽に生きていける』
宥『これが、最後のチャンスなんだよ。私を捨てる事ができ
玄『そんなチャンスいらないよ!!!』
玄『足ならいくらでも引っ張って!
ずっと、おねーちゃんを守らせて!!』
玄『だから、だから…一緒に…一緒に……!』
宥『……うん』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宥(だから、私は、わざわざ、玄ちゃんを、揺さぶって)
宥(怖がらせて、不安にして、狂わせて、壊して)
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宥「もう、玄ちゃんは私から離れられない」
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玄「というわけで、新生麻雀部始動です!」
憧「ぱちぱちー」
穏乃
「ぱちぱち!」
灼「ぱちぱち…」
宥「ぱちぱち〜」
宥「……玄ちゃ〜ん、ストーブ……」
玄「まあ4月ならありかな…はい、おねーちゃん」
宥「玄ちゃ〜ん、あったまるまでくっついていい〜?」
玄「玄たんぽです!」
宥「玄ちゃ〜ん」
玄「お任せあれ!!」
憧「って、コレいつもの光景じゃん!!
全然新生って感じしないんだけど!?
ていうか宥姉なんで居るの!?」
穏乃
「まーまーいいじゃん。しばらくはこのままでさ」
灼「同感…いずれ離れなくちゃいけないなら、
一緒に居られる間くらい甘やかしてもいいと思…」
灼「……ハルちゃん」
憧「あーもう!辛気臭いのやめ!練習するわよ!練習!!
ほら灼!その負のオーラ、全部麻雀にぶつけなよ!」
灼「わかった……」
穏乃
「……」
宥「……」
宥(次は、穏乃ちゃんかな)
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宥「今日も楽しかったね」
玄「うん!赤土先生はいなくなっちゃったけど、
おねーちゃんは残ってくれたからね!」
宥「ふふ。ねえ、玄ちゃん?」
玄「なーに?」
宥「ぎゅっとして?」
玄「…お任せあれ!」
宥「……ねえ玄ちゃん。今日はいつも通りだったけど。
そのうち、新入部員さんが入ってくるよ」
宥「私はもう大会には出られないから。
どうしても、皆との繋がりが弱くなっちゃう」
宥「それでも、玄ちゃんだけは。私を捨てないでくれるかな」
玄「もちろんだよ!」
玄「私は、私だけはずっとおねーちゃんのそばにいる!!」
玄「だから、おねーちゃんも私を捨てないでね?」
玄「これからも、ずーっと一生」
宥「…うん」
宥「これからも、ずっと玄ちゃんのそばにいる」
(完)
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共依存と行ったらぷちさんということで間違いないですね。
あと、穏乃がカッコよすぎました。惚れました。
宥姉阿知賀の麻雀部員では一番背が高いのに小動物が凄い。
甘々(?)な展開ありがとうございます!最初読んでいくと宥姉と玄ちゃん仲良いなぁ…と思っていたら、まさか玄ちゃんが宥姉に依存しているとは…!
静乃ちゃんも自分にも似た思いをしたことがあるから気づけたんでしょうね。
松実姉妹の共依存系は大好きですっ
是非これからも書いていただきたいm(*_ _)m
お疲れ様です。
興奮して一物がもげたぜよ…
この阿知賀は裏が相当ドロドロしてそうで怖い。