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【咲-Saki-SS】菫相談室 第09話 『大人』

<あらすじ>
尭深
 「場末の一個人部屋から始まり、
  着々と活動の場を広げてきた菫相談室。
  やがてその人気はトップアイドルの目に留まり、
  ついに夢の共演が果たされる」

はやり
 「菫相談室、ネット番組分室…会室です☆」

菫「おいちょっと待て何も聞いてないぞ!?」


<バックナンバー>
量が多すぎるので以下にまとめてありますが、
<症状>をおさえておけばこの話単体でも
お読みいただけると思います。

【設定紹介】本ブログで出てくる人たちとか用語とか【咲SS風味】
※上記記事の末尾をご覧ください。

<登場人物>
弘世菫,瑞原はやり,戒能良子,三尋木咏,針生えり,野依理沙,村吉みさき,小鍛治健夜,福与恒子,宮永照,大星淡,渋谷尭深,亦野誠子

<症状>
※照がヤンデレ。菫が好き(今回あんまり出てこない)。
※淡が軽いヤンデレ。菫と照が好き(今回あんまり出てこない)。
※宥がきついヤンデレ。菫が好き(今回出てこない)。
※咲さんがきついヤンデレ。久が好き。
 よく相手を簀巻きにする(今回出てこない)。

<その他>
※ギャグです。


--------------------------------------------------------



瑞原はやり
 「視聴者の皆さんこんばんは☆
  『大人の』菫相談室の時間です」

はやり
 「本番組は、普段とは変わりまして
  牌のお姉さんこと瑞原はやりと」

菫(拘束)
 「……何も知らされず拉致されて
  状況を掴めていない弘世菫でお送りします」

菫(拘束)
 「って、これはどういう事ですか瑞原プロ!?」

はやり
 「菫ちゃん、最近人気すごいよね☆
  それで、本格的にアイドルとして
  スカウトしたらどうかって声が上がってるんだ」

はやり
 「でもいきなりテレビ番組とかは敷居が高いよね?
  だから、まずはネット番組で
  試験的に扱ってみましょうってことで!」

はやり
 「頑張って!ここで一定の評価を得られれば
  牌のお姉さまになれるから!」

菫(拘束)
 「牌のお姉さま!?今度は何の陰謀だ!」

はやり
 「菫ちゃんかっこいいから☆
  『お姉さん』よりあってると思うな」

戒能良子
 「ギルティ」

菫(拘束)
 「何が!?というか居たんですか戒能プロ」

良子
 「私も司会進行を仰せつかったので。
  今日はよろしくお願いします」

良子
 「仮にもお姉さま候補が
  初回登場から簀巻きというのはアリなのか、
  判断が非常にディフィカルトですが」

良子
 「まあ、はやりさんが言うなら応援しますよ。
  頑張ってくださいミズ弘世」

菫(拘束)
 「私はそんなものになる気はない!」

良子
 「……」

菫(拘束)
 「な、なんだそのジト目は。
  私は脅しなんかには屈しないぞ!」

良子
 「失礼な、脅迫なんてしませんよ。
  ただ、ミズ弘世。ちょっと耳を」

菫(拘束)
 「……なんだ」

良子
 『牌のお姉さんともなれば、
  執着するヤンデレの数も桁違い。
  でも、はやりさんはこうして無事で居る』ぼそっ

良子
 『その秘訣、知りたくないかい』ぼそっ

菫(拘束)
 『……っ!』

良子
 『もし貴女が、この茶番に付き合ってくれたなら。
  お礼として教えてあげようと思うがどうだろう』

菫(拘束)
 『……』

菫(拘束)
 「…わかりました。今回限りでよいのなら」

良子
 「ふむ、では商談成立で。拘束を解きましょう」

良子
 「でも、いいですね?
  生はやりんを前にしたからといって、
  欲望に任せて襲い掛かったりしないように」

良子
 『まだ生きていたいのなら』ぼそっ

菫(拘束)
 『…心配せずとも、私は瑞原プロに
  特別な感情など抱いてはいない』ぼそっ

良子
 『ほう、はやりさんには魅力がないと。
  後で徹底的にディフィートするね』ぼそっ

菫(拘束)
 『理不尽!!』



--------------------------------------------------------



はやり
 「というわけで、菫ちゃんも
  準備ができたみたいだし早速行ってみよう!」

はやり
 「あ、肝心の相談方法は対面で。
  ただ有名人が多いから、
  プライバシーの都合で
  シルエット&ボイスチェンジャーで
  登場してもらいます☆」

はやり
 「では栄えある第一号の相談者さん、どうぞ☆」


?『お邪魔するよん』


菫「……あー。これ、シルエットの意味ないのでは?」

?『あ、やっぱりバレるよねぃ。
  まー私自身は別に隠さなくてもいいって
  言ったんだけどさぁ』

?『私に暴露される側が被害被るから、
  せめて人違いの可能性は残せって言われてねぃ』

菫「おいちょっと待て。何話す気だお前」

?『ん?そりゃ相談に決まってんだろ?
  私にだって悩みの一つや二つくらいあるさ。
  スバッと明朗闊達に回答いただける事を期待してるぜぃ』

はやり
 「かしこまりました☆
  で、えーと、猫ちゃんって呼ぼっか。
  猫ちゃんは何が悩みなのかな?」

?『よっくぞ聞いてくれました!ほら、
  私見ての通りちっさいじゃん?今年測ってみたら
  145cmしかなかったんだけど』

?『でさ、え[アラサーダヨ!]ちゃん167cmで
  結構身長高いんだよねぃ。サイズがアンマッチで
  えっt[アラサーダヨ!]の時に攻めきれねーの。
  なんとかならないもんかねぃ?』

菫「……初回の相談者からいきなり放送禁止なんだが」

はやり
 「『大人の』相談室だからね……☆でもこの質問、
  はやりにはちょっと荷が重いぞ☆」

良子
 「ミズ弘世。貴女が囲ってる女性達も、
  確か160、156、155cmで身長差がありますよね。
  いつもどうしてるんですか?」

菫「は、はぁ!?私は女なんて囲ってないし、
  そもそも淫らな行為の経験もない!」

菫「ていうか誰のだよその細かい身長!?」

良子
 「ミズ宮[アラサーダヨ!]、ミズ大[アラサーダヨ!]
  ミズ松[アラサーダヨ!]の事ですが」

菫「あいつらとはそういう関係じゃない!!」

?『まー今がどうかは置いといてさ。
  アンタも身長高いじゃん?そーゆー関係になった時、
  どうしたらいいと思う?』

菫「……まあ、別に付き合うとかそういう話ではないが。
  身長差があるのも悪い事ばかりじゃないと思うぞ」

菫「これは友人が前言っていた話だが。
  『身長差があると、抱き締められた時
   包み込まれてる感じがしていい』だそうだ」

菫「私もよくお姫様抱っことか強要されて断ってるしな。
  いっそ、身長差を生かせる方法を考えたらどうだ?」

良子
 「ふむ。つまりミズ弘世の回答は
  『いっそネコになれ』と言う事ですか」

菫「どこをどう解釈してそうなった!?」

?『なるほどなるほどー。お前じゃタチは無理だから
  食われる方に回れってか。
  さっすがシャープシューター、
  考え方が根っからのタチだねぃ』

はやり
 「牌のお姉さまだからね……☆」

良子
 「流石シューターは一味違う。感服しましたよ」

菫「頼む、私にも一人くらい味方を用意してくれ!」


?『三尋[アラサーダヨ!]プロ、電話ですよ。至急取ってください』
?『三尋[アラサーダヨ!]プロ、電話ですよ。至急取ってください』
?『三尋[アラサーダヨ!]プロ、電話ですよ。至急取ってください』


?『あっ、ヤベ見つかった。じゃあ今夜は
  お仕置きがてら食われてみるよん。
  結果は次回の相談室で!』

?『じゃぁにぃー』

菫「この番組に次回などない…ていうか、
  パートナーに知らせてなかったのか!?」

はやり
 「まぁ猫ちゃんとあの人の関係なんて、
  割と周知の事実だからいいんじゃないかな☆」

良子
 「よくキスマークつけてきてますよね」

菫「麻雀業界爛れ過ぎだろ!」



--------------------------------------------------------



はやり
 「初回から大人な相談だったねー。
  はやりいきなり置いてけぼりだったぞ☆」

菫「その手の相談に答えられない癖に
  なんで司会を請け負ったんだ…!」

良子
 「大人組が対象というだけで、
  相談が色を帯びるかは相談者の問題です。
  はやりさんに責はありませんよ」

良子
 「では、次の子羊を呼びましょうか」


?『出番!!』プンスコ


菫「……ゲストが無駄に豪華なんだが」

はやり
 「道端でプンスコしてたから拾ってきたよ!」

良子
 「出演の報酬は明太子おにぎりがいいそうです」

菫「それでいいのかトッププロ……。
  で、何か悩みでもあるんですか?」


明太子
 『喋れない!』


菫「あー」

はやり
 「理沙ちゃん、2単語以上を連続で話せないんだよね」

菫(なんでそんな奴に解説なんてやらせたんだ)

菫(というか)

菫「名前出してもいいんですか?」

はやり
 「まあこの内容ならいいんじゃないかな☆
  誰か困る話でもないし」

良子
 「もともと口下手だったそうですが。
  訛りがきついのとTVの緊張もあって、
  今の喋り方で固まってしまったそうで」

はやり
 「大所帯の部長として、なんかいい手思いつかないかな?
  ほら、シャイな部員に喋ってもらいたい時とか」


理沙
 『頼んだ!』


菫「確かに、部員の中にも時々いますね。
  私も外見的に話しやすい方ではないので、
  緊張されて沈黙される事も多い」

はやり
 「そんな時はどうしてるのかな?」

菫「思いついた単語を、ノータイムで
  吐き出してもらうようにしています。
  話していいかとか検討もさせず、
  言葉として繋ぎ合わせる事も考えさせない。
  まずは口を割らせるんです」

菫「そして、後からその単語が持つ意味を
  ゆっくり説明してもらう。
  話してるうちに自分の中でまとまってくるみたいで、
  最後には饒舌になるケースも多いですよ」

良子
 「ふむ。なかなか面白い方法ですね」

菫「というわけで、どうでしょう野依プロ。
  内容を整理しなくていい、言葉を無理に繋げなくてもいい。
  まずは思いつく単語をざーっと羅列してみてください」

理沙
 『単語…単語……!』プンスコ

理沙
 『……!』


理沙
 『みさき!』


菫「みさき……?」


理沙
 『大好き!!!』


菫「……」

はやり
 「……」

良子
 「……」


菫「……これ、編集でカットとかは?」

はやり
 「……生放送です☆」


理沙
 『みさき!大好き!好き!みさき!!』


菫「す、ストップ!ストップだ野依プロ!ストーップ!!」

理沙
 『大好き!みさき大好き!みさき好き!大好き!!』

菫「おい、アレはどうした!あのアラサーの奴!
  これ明らかに放送事故だろ!!」

良子
 「もう手遅れだから諦めたそうです」

菫「おいぃいぃ!!!」

理沙
 『大好き!みさき!みさき!みさき!!』

菫「ていうかそれしか思いつく単語ないのか!?
  こいつ実はヤンデレだろ!!」

理沙
 『食べたい!みさき!!みさき!食べたい!!』

良子
 「よかったですね。新しいワードが
  飛び出してきましたよ」

菫「いいからもう黙らせろ!!」



--------------------------------------------------------




……数分後。




--------------------------------------------------------



はやり
 「理沙ちゃんは壊れかけのラジオみたいになっちゃったので
  保護者に引き取ってもらいました☆」

良子
 「やってしまいましたね、ミズ弘世」

菫「これ私が悪いのか!?まさか
  あんな爆弾抱えてるなんて思わないだろ!」

はやり
 「あ、でも保護者の方はご満悦だったよ。
  今度お礼に伺います、だって☆」

菫「あれで喜ぶとか保護者としてどうなんだ」

良子
 「ちなみに保護者の苗字は村[アラサーダヨ!]です」

菫「なんだ、両方ヤンデレなのか。というか
  進行が率先して放送事故起こすなよ」

はやり
 「うんうん、菫ちゃんも大分
  普段の調子になってきたね☆
  この調子で後半戦行こうか。
  あと二人くらいはいけるよね!」

はやり
 「というわけで、次の方どうぞ!」


?『なんであの時の声録音したの!?
  しかも使うなんて話聞いてないよ!?』

?『はやりちゃんだってアラサーでしょ!!
  むしろ私より年上じゃない!!』


菫「……」

はやり
 「……」

良子
 「……」

菫「……今回集めたメンバーで
  ドリームマッチでもやった方がよかったのでは?」

はやり
 「今回は息抜きなので☆」


?『まーまーすこやん落ち着いて。
  血圧が大変なことになっちゃうから』

?『血圧心配される年じゃないってば!!』

?『…老いってね、そういうもんなんだよ。
  本人の自覚がないうちにいつの間にかにじり寄ってる。
  別に恥ずかしいことじゃないよ?』

?『なんか本気っぽく言うのやめて!!』


菫「……あの、ここは漫才会場じゃないんだが」


?『わかってるよ!?ちゃんと悩みがあって来てるんだよ!!』

?『というかまさにこれだよ!この扱いだよ!!
  この弄られポジションを何とかしたいの!
  弘世さんならわかってくれるよね!』


はやり
 「菫ちゃん、わかる?」

菫「……不本意ながら。
  私も名乗った覚えがないシャープシューターネタで
  散々いじられてますし」

?『でしょ!?』

菫「ただ、わかるだけに解決策も提示できない」

?『……あー……』

?『あはは、なんとかできるなら
  自分の境遇を改善してるよね!』


良子
 「そもそも、正直理解できない悩みですしね」

?『え?』


良子
 「発端は間違いなく貴女の横にいるアナウンサーでしょう。
  そんなに嫌なら、チェンジしてもらえばよいのでは?」

良子
 「この世界の王者たる小鍛治プロなら、
  新米アナウンサーごとき
  ワンボイスキル可能でしょうに」

はやり
 (わわ、そこつっこんじゃうんだ)


?『そ、それは、その……えっと』


良子
 「なんですか?この際はっきり言ってはどうですか」

はやり
 (んん、なんか良子ちゃんのあたりがきつい。
  思うところがあるのかな)

?『……その……』


?『すこやんをいじめるな!!』


?『こーこちゃん!?』

?『すこやんは優しいから許してくれてるの!
  お子様の私が甘えても!
  大人の余裕で見逃してるだけ!』

?『……本当は、私のことをウザがってたとしても。
  優しいから受け入れちゃう。
  貴女みたいにドライな人間じゃないんだよ!』

?『私だって知ってるよ!本当はすこやん嫌がってるって――


?『違うよ!!!』


?『すこ、やん……?』

?『わ、私だって、誰でも受け入れるわけじゃないよ!?
  その、こーこちゃんだから受け入れてるの!』

?『ただ、その…あんまり賞味期限
  間近みたいに言わないでほしいんだよ…!
  その、こーこちゃんに言われると傷つくの!』

?『だ、って…そう言わないと
  すこやん誰かに取られちゃうじゃん』

?『……へ?』

?『敵を減らしたいんだよ!すこやんの魅力を減らしたいの!
  んでもってふくすこでイメージを固定したいの!
  他の奴らにすこやんは渡さない!』

?『こ、こーこちゃん……その、私も……っ』


菫「…あの。ここは結婚記者会見じゃないんだが」


?『はっ!?そういやこれネット番組だったよ!?
  え、これどこまで垂れ流されるの!?』

?『やだなぁすこやん、別にこの番組じゃなくても
  私が特別チャンネルで垂れ流すってば』

良子
 「ご結婚おめでとうございます」

はやり
 「末永くお幸せに☆」


?『あ゛あ゛ぁぁあ゛ぁぁあ゛ぁぁあ!!』



--------------------------------------------------------



はやり
 「いやー、まさか相談室初回でいきなり
  国内最強の恋が成就するとは思わなかったよ☆」

良子
 「実は前に福与アナから相談を受けた事がありまして。
  この際だからペネトレイトしてみようかと」

はやり
 「ああ、そういう事だったんだ☆
  良子ちゃんにしてはきついなって思ってたんだ」

菫「というか麻雀業界愛憎に塗れすぎだろ…
  ここまで全部恋愛関係ばっかりじゃないか――

菫「――おっと、そろそろいい時間ですが。
  まだ続行するんですか?」

はやり
 「……」

菫「…?瑞原プロ?」

はやり
 「あー、うん。一応後一人控えてたんだけどね」

菫「ドタキャンされたとか?」

はやり
 「ううん、そうじゃなくって……
  もう解決しちゃったっていうか。
  だから今日はこれでおしまいにしよう☆」

菫「主催がそう言うのなら私は構いませんが」

はやり
 「なんか最後締まらなくってごめんね☆
  というわけで『大人の』菫相談室、
  司会進行は瑞原はやりと」

良子
 「公私ともにはやりさんを支える戒能良子と」

菫「なし崩しに巻き込まれた弘世菫がお送りしました。
  って、これ何気に初めて言えたな」

はやり
 「次回があったらよろしくね☆」



--------------------------------------------------------


はやり
 「というわけでお疲れ様!いやー
  ハプニングだらけで大変だったね!」

菫「というか大丈夫なんですか?
  割と3人ともシャレにならないレベルの
  爆弾を投下していった気がしますが」

はやり
 「んー、幸せネタだし大丈夫じゃないかなぁ。
  相談者も満足してたわけだし」

良子
 「ところで一つ質問が。
  最後打ち切ったのはどうしてですか?
  打ち合わせでは、最後の相談者は
  はやりさんでしたよね?」

菫「瑞原プロが!?…いや、まぁ別に
  方向性的には問題じゃないのか」

菫「何か悩みを抱えているんですか?」

はやり
 「うん。抱えていた、というのが正解かな」

はやり
 「……ちょっとね。今後、
  どうしたらいいか迷ってたんだ」

はやり
 「今まで牌のお姉さんとしてやってきて。
  それはもちろん幸せな日々だった」

はやり
 「挫けそうな人に手を差し伸べたいって思った。
  希望をプレゼントしたいって思った」

はやり
 「私が、あの人にそうしてもらったように」

はやり
 「でも、そんな私も28歳。
  健夜ちゃんも言ってたけど、もういい歳なんだよね。
  本気で引退を考える時期だと思う」

はやり
 「このまま続けるべきなのかな。
  ううん、本当はもう半分以上答えが出てる。
  でも、今の状況を壊すのが怖かった」


はやり
 「もちろん、ここまで明け透けに話すつもりはなかったけど。
  そんな悩みを聞いてもらおうと思ってたんだ」


菫「……瑞原プロ」

菫(そうだよな。小鍛治プロみたいにネタにはされないが、
  それだけに揶揄する声も辛辣だったはずだ)

菫(心無い中傷を聞いた事がある。
  『いつまで「お姉さん」でいるつもりだ』と)

はやり
 「でも」

はやり
 「さっきの、ふくすこコンビの
  やり取り見て吹っ切れちゃったよ」

はやり
 「……だから、良子ちゃん」

良子
 「…はい」

はやり
 「この前のプロポーズの返事をします」


はやり
 「私を…戒能はやりにしてください!」


良子
 「……っ!?」

菫「……っ!?」

良子
 「いいんですか?一度受け入れたなら、
  私はもう二度と離しませんよ?」

はやり
 「うん。あの二人を見て『いいなぁ』って思っちゃった。
  だから、もうゴールしてもいいよね」


はやり
 「いいタイミングで後継者候補も見つかったし☆」

菫「おいちょっと待て。それ誰の事だ」


はやり
 「あはは。菫ちゃん、本気で向いてると思うよ?」

はやり
 「別に、私と同じ路線で行けとは言わない。
  でもきっと、貴女の存在に救われてる人がいるはず」


はやり
 「……貴女は、誰かの希望になれる。
  私の仕事、引き継いでくれないかな」


菫「……」

菫(ああ。この人は本当にアイドルだ。
  どこまでも純粋で、人を思って生きている)

菫(その生き方は気高い。酷く胸を打たれる程に。
  ならば私も、相応の心構えで答える必要があるだろう)

菫「……私は」

はやり
 「ああ、答えは今じゃなくていいよ?
  どうせ断られちゃうだろうし」

はやり
 「いつか、菫ちゃんは私達と同じ舞台に立つ。
  スポットライトを浴びて、人から注目される存在になる」

はやり
 「そうなった時、もしよかったら。
  あなたの役割に、もう一つ加えてくれると嬉しいな」

菫「……」


菫「考えておきます」



--------------------------------------------------------



はやり
 「今日は本当にお疲れ様!
  私ちょっと着替えてくるね!
  戻ったら三人で打ち上げしよう!」

良子
 「ではここで待ってますね」

はやり
 「あれ?珍しいね。良子ちゃん一緒に来ないんだ?」

良子
 「ちょっと今回の件でミズ弘世に
  話しておきたい事があるので」

はやり
 「そっか。じゃ、ちゃちゃっと行ってくるね」

良子
 「行ってらっしゃい」

菫「行ってらっしゃい」


トタタタタ……


菫「…で、話とはなんだ」

良子
 「ああ、大した話じゃないよ。
  なぜはやりさんが無事でいられるか。
  報酬として話す予定だったろう?」

菫「そういえばそうだったな。
  刮目して聞かせてもらおうじゃないか」

良子
 「答えはシンプル。誰か一人、
  強力なヤンデレを飼えばいい」

菫「……は?」

良子
 「後はその子が勝手に敵を排除してくれる。
  私が、はやりさんに対してしたように」

菫「お前も簀巻きタイプかよ!?」

良子
 「ちなみに今日この番組を開いたのは私の提案。
  はやりさんは貴女を気に掛けていたようだったからね。
  もし色目を使ってくるようならエリミネイトするつもりだった」

菫「怖っ!?さっきも言ったが、
  私は瑞原プロに特別な感情は持ってないからな!?」

良子
 「オーケーオーケー、わかってるよ。
  こっちもさっき言ったけど、
  その件については改めて罪を償ってもらう」

菫「だから理不尽すぎるだろ!!!」



--------------------------------------------------------




……数日後。




--------------------------------------------------------



淡「戒能プロ強かったねー!」

照「うん。でも、前より私への対応が
  柔らかくなってた気がする」

尭深
 「…代わりというか、弘世先輩が
  ものすごい狙い撃ちされてましたね」

誠子
 「というかなんで急に戒能プロが?
  まあ、練習相手になってくれるのは
  ありがたかったですけど」

菫「いろいろあってな……いろいろ……。
  とりあえず当分三途の河原は見たくない」

照「どうせ自業自得でしょ。瑞原プロに
  ちょっかい出したんじゃない?」

菫「天地神明に誓って言うが、私には何の責もない!」

淡「それにしても、はやりんお姉さん辞めちゃうんだ。
  後継者争いで揉めそうだねー」

照「オーディション形式にするのか、
  はやりんが直接指名するのか。
  喧々諤々みたいだよ」

菫「……ま。今の私達には関係のない事さ」

尭深
 『ニヒルな声でそう語り、やがてコーヒーを啜る弘世菫。
  無論彼女は気づいていた。自身が渦中に居る事を』

尭深
 『人に希望を与える道。彼女はもうその道を歩き始めている。
  今回瑞原プロが与えた気づきは、
  彼女にどんな影響を与えるだろうか』

尭深
 『次回、菫相談室「牌のお姉さま、誕生」』

淡「お楽しみに!!」

菫「いくらなんでもそれはない!!!」



(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2017年08月26日 | Comment(5) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
久しぶりに好きなシリーズを読むことができて幸せー
ゆったりペースで続いていって欲しいです!
Posted by at 2017年08月27日 02:11
大笑いしました。
Posted by at 2017年08月27日 16:46
涙なしには読めない甘口な良い話でした
そしていつも通りというか案の定というか徹頭徹尾理不尽のコークスクリューに揉み倒される菫さんかわいい
最近攻め側が多かったしこの辺でバランス取らないとね(テキト-)
Posted by at 2017年08月27日 21:39
菫相談室の続編を書いていただきありがとうございます。
またいずれ簀巻き咲さんも登場してほしいと願っています。
相談室の続編でも一向にかまいません。
Posted by at 2017年09月10日 02:06
コメントありがとうございます!

ゆったりペースで続いていって欲しい>
淡「ダルダルペースなのに
  読んでくれてありがとう!」
照「ネタ自体はいろいろあるし頑張る」

大笑いしました>
菫「笑うところなんてあったか!?」
照「端から見てる分には片腹大激痛だったよ」

涙なしには読めない甘口な良い話>
菫「泣けるところなんてあったか?」
良子「ギルティ」
恒子「これはギルティだね!」

簀巻き咲>
咲「求められたら仕方ないですね」
久「休んでていいのよ?」
久(簀巻き)
 「休んでていいのに」
Posted by ぷちどろっぷ@管理人 at 2017年09月21日 23:21
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