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【咲-Saki-SS:簀巻き】 久「誕生日、咲と美穂子がやってきた」【誕生日SS】
<お知らせ>
11月13日から竹井久誕生日習慣という事で
5日連続でSSを公開します。
<あらすじ>
久「誕生日くらい平和に過ごさせて!後簀巻きも禁止!!」
咲「……わかりました」
美穂子
「喧嘩は止めて、二人でかいがいしくお世話するわ!」
<登場人物>
竹井久,宮永咲,福路美穂子,その他大勢
<症状>
・ヤンデレ(あまあま)
・共依存(あまあま)
<その他>
・竹井久誕生日SSです。Twitterでいただいたお題
『竹井さん家に咲さんとキャプテンがやってきた』より。
・誕生日SSなのでIF展開です。
今後の簀巻き咲に本SSの設定は引き継がれません。
--------------------------------------------------------
『11月12日 3時49分』
--------------------------------------------------------
咲「ただいまー。夜の定期巡回だよ。
うん。部長はぐっすり寝てるね」(小声)
久「……」すやすや
咲「明日は部長の誕生日なんだけど……
平和だなぁ。一人くらい
前日拉致を試みるかと思ったのに」(小声)
咲「やる事なくなっちゃった。部長の寝顔でも
見ながら一晩過ごそうかな……ん?」(小声)
咲「机の上に、手紙?」(小声)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『希望する誕生日プレゼント:
平和
ひさ』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
久「……」
咲「ヤンデレホイホイの癖に、
なんて我儘な要望をするんだろ」(小声)
久「……」
咲「明日一日、ずっと平和(ピンフ)で
和了り続けてあげようかな。
泣き崩れて悦んでくれそう」(小声)
久「……」ブンブン
咲「……とはいえ、彼女が恥を忍んで
プレゼントを名指しで要求してきたんだから
叶えてあげたいよn」(小声)
『カシャンッ』
美穂子
「……あら?罠張ってないから居ないと思ったのに」(小声)
咲「毎回窓ガラス割るのやめてくださいよ。
隙間風で部長が風邪を引くじゃないですか」(小声)
美穂子
「それは大変ね!風邪を引く前に、
私の家に連れて行くわ!」(小声)
咲「部長はまだ荒川病院に行く程
壊れてはいませんよ?」(小声)
美穂子
「私だって壊れてはいないわよ?
壊れているのは、
私達を祝福しない世界の方」(小声)
咲(110万ボルトスタンガン)
「狂人はこれだから困るよ。
もう一回壊したら逆に
一周回ってよくならないかな」(小声)
久「……手紙」ボソッ
咲「……」
咲「……はぁ。福路さん。
本来であればいつものように感電させた後
簀巻きにして川に流すところですけど…
今回はちょっと相談があります」(小声)
美穂子
「何かしら?」(小声)
咲「平和(ピンフ)……好きですか?」(小声)
久「そっちじゃないって言ってるでしょう!?」
咲「一度も言ってませんけど」
--------------------------------------------------------
『11月13日 0時00分』
--------------------------------------------------------
咲「宣誓!我々ヤンデレ一同は!」
美穂子
「今日一日に限り博愛の精神にのっとり!」
優希
「ぶちょーを独り占めしようと争う事無く!」
和「部長の命を狙う事無く」
春「悪い黒糖も封印して」
明華
「風を悪事に使う事無く」
はじめ
「マジックも使わず」
ゆみ
「他のヤンデレ騒動に巻き込ませもせず」
まこ
「正々堂々と」
藤田
「平和に」
咲「部長を愛することを誓います!」
咲「誕生日おめでとうございます。
これでいいんですよね?」
久「ああ、うん。期待した通りではあるけど。
できれば一日じゃなくて恒久的にお願いしたいなって」
咲「過ぎた欲望は身を滅ぼしますよ?」
久「平和を求める事が罪!?」
美穂子
「というわけで今日一日は仲良くするから、
久は安心して眠っていいわ」
優希
「私達全員で仲良く警備するじょ!」
全員
「「「「「おまかせあれ!!」」」」」
久「いやいや、こんな大人数に凝視されて眠れるわけないでしょ。
安眠妨害は平和侵害扱いとするわ」
咲「我儘だなぁ…まぁでも誕生日特権で許してあげますよ」
和「大丈夫ですよ咲さん。高精度ビデオカメラをセットしましたから。
だらしなく垂らしたよだれまでクッキリ記録できます」
久「あ、盗撮および盗聴器具も平和侵害扱いね。
即刻撤去して頂戴」
咲「……私の部長メモリーに穴が空くんだけど」
美穂子
「宮永さん。今日一日は平和をプレゼントするんでしょ?」
咲「……そうですね。今日一日『だけ』は許してあげます。
今日一日『だけ』は」
咲「……明日以降覚えておくといいよ」
久「どうしよう、早くも明日が怖い」
--------------------------------------------------------
『11月13日 7時20分』
--------------------------------------------------------
『ピピピピ、ピピピピ』
久「ふぁ、あっ。もう朝かぁ。
タイマーで目が覚めるなんて久しぶりだわ。
一人で寝るとこんなに熟睡できるのね」
『コンコン』
咲「部長、おはようございます。朝ごはんできてますよ」
久「はーい。って、家宅侵入も平和侵害……
まあそのくらいはよしとするかぁ」
久「で、今日の朝ご飯はなに?」
美穂子(割烹着)
「はい、まずはアミューズ(突き出し)に
フォアグラのテリーヌを。
後は一般的なオードブル(前菜)にポタージュと続いて、
フルコース11品を用意しているわ!」
久「重い!朝から愛が重い!!」
美穂子(割烹着)
「あ、あら……でも、健康の側面では
朝食を一番しっかり摂る方がいいのよ?」
久「や、それは知ってるけど。
私の食生活的には無理だわ」
美穂子(割烹着)
「そんな……」
咲「だから言ったじゃないですか。
部長はいつも朝軽めだって。
バナナとリンゴ酢を与えておけばいいんですよ」
久「何そのペット扱い……まあでも、咲の言う通りね」
久「というか、フランス料理のフルコースって
2時間コースじゃない?」
美穂子(割烹着)
「ゆったり味わってもらうために
2時間半コースにしてるわ!
普段食べない人でも大丈夫!」
久「普通に学校間に合わないんだけど」
咲「ああ、そこは大丈夫ですよ。
部長は今日休みだって報告済みですから」
久「ちょ!?せっかくの誕生日なのに!?」
咲「平和に過ごしたいんですよね?
誕生日に学校なんて行ったら、
間違いなく戦争が勃発するじゃないですか」
久「それを防ぐための宣誓じゃなかったの?」
美穂子(割烹着)
「宣誓したのは特に久に近しい人だけでしょう?
久を狙ってる人なんて、在野の狂人を
カウントしたら100はくだらないわ」
咲「今頃は水面下で闘争が繰り広げられてるでしょうね」
久「……どうしよう、明日から学校行くの怖くなってきた」
咲「別に行かなくていいですよ?
私がずっとこの家で守ってあげます」
久「自宅で軟禁エンドじゃない!!」
--------------------------------------------------------
『11月13日 10時30分』
--------------------------------------------------------
咲「……」ぽかぽか
美穂子
「……」ぽかぽか
久「……まさかこの三人で日向ぼっこ
する事になるとは思わなかったわ」ぽかぽか
咲「そうですね。あ、部長。
せっかくだから膝枕とかどうですか?」
久「お願いするわ」
美穂子
「なら私は背中を優しくさするわね」
久「ん、お願い」
久「あー、極楽極楽。ホント、いっつも
こうしてくれてれば問題ないのに。
貴女達、やろうと思えば仲良くできるんじゃない」
咲「今日一日だけですよ。明日からは
血で血を洗う人生の再開です」
美穂子
「久の純潔は一人分しかないものね。
あ、久喉乾いたでしょう?
コーヒーを淹れてくるわ」
咲「コーヒーの適温は84℃で砂糖は4gです」
美穂子
「もちろんわかってるわ。
フレッシュ代わりに牛乳を使って
10ml注ぐのよね?」
咲「はい。お茶請けは
ヨックモックのシガールでお願いします」
久「ホント息あってるわ……あってるんだけど、
あい過ぎてなんか怖い」
--------------------------------------------------------
『11月13日 16時00分』
--------------------------------------------------------
菫「ふーん。それでヤンデレ二凶が
一堂に会しているわけか」
照「こんな光景、一生見る事ないと思ってた」
久(マッサージ中)
「ええ。しかも炊事洗濯掃除に買い出し、
全部やってくれて至れり尽くせりなのよ」
久(マッサージ中)
「どれもこれも私がやるよりよっぽど完璧だしねー。
ホント、いつもこうだったらいいのに」
久(マッサージ中)
「あっ、咲。そこ凝ってるからもうちょっと強く」
咲「はい」
美穂子
「足の方の強さはどうかしら?」
久(マッサージ中)
「んっ……ちょうどいい感じっ…そのままっ、続けてっ?」
美穂子
「はい♪」
菫「ええと、その……大丈夫なのか?
完全に骨抜きにされてるようにしか見えないが。
この状態で襲われたりしたら」
久(マッサージ中)
「あはは、大丈夫よ。今日は平和な日なんだから」
久(マッサージ中)
「んーっ……でも、怖いわね…
こんな生活、慣れちゃったら……
ダメ人間になりそっ……!」
菫「もう手遅れレベルで駄目になってるように見えるが」
菫(というかこれマッサージなのか?
妙に声が上擦ってるし目もトロンとしてるし…
情事に耽ってる顔にしか見えないんだが)
照(手つきもどこからどう見ても愛撫)
咲「これからマッサージのレベルを一段階上げるので、
菫さん達は先にパーティー会場の方に行ってください」
菫「え、これ以上アレな事になるのか!?
それこそ誕生パーティー出られないんじゃ」
美穂子
「後3時間あるから大丈夫ですよ」
咲「後30分弄って、2時間半寝かせれば」
久(愛撫中)
「だいじょーぶだいじょーぶ」
菫「……まあ久がいいなら何も言わないが」
菫(尽くす系ヤンデレって怖いな……
私も堕ちないように気を付けよう)
照(なるほど甘やかし系堕落。
そういう手もあるのか。今度菫にやってみよう)
菫「お前には無理だ」
照「心の声を読まないで」
--------------------------------------------------------
――3時間後。
--------------------------------------------------------
咲『皆さん、本日は竹井久誕生パーティーにお集まりくださって
誠にありがとうございます。』
美穂子
『定刻になりましたが、現在主賓の竹井久が
人前に出られる状況ではないので
今しばらくご歓談してお待ちください』
菫「だから言わんこっちゃない!!」
--------------------------------------------------------
『11月13日 23時50分』
--------------------------------------------------------
咲「部長、部長。起きてください。
もうすぐ誕生日終わっちゃいますよ?」
久「ん……ああ、寝ちゃってたのね。
美穂子の膝枕が気持ち良すぎて」
美穂子
「ふふ。寝かせておいてあげようかと思ったけど。
寝てる間に誕生日が終わるのもかわいそうだから」
久「ありがと。ま、十分堪能したし、
このまま眠っても全然問題なかったけどねー」
咲「その場合、部長は私達ヤンデレ二人の前で
無防備な姿を晒したまま『平和の次の日』
スタートする事になりますけど」
久「んー……」
久「それなんだけどね?明日以降も、
今の状態を継続できないのかしら」
久「貴女達。私が思ってた以上に息がぴったりなんだけど」
咲「まあ、それは…同じ部長を病的に愛してるわけですし」
美穂子
「相容れるかは別として、想いの強さと
久に対する理解の深さは信用してるものね」
久「だったら。貴女達が手を取り合ってくれれば、
それだけで私の心労は大幅に軽減されるんだけど?」
咲「……ええと」
美穂子
「……少し作戦会議させてください」
美穂子
『どうしましょう?貴女は、
久をシェアする事はできる?』ボソッ
咲『貴女が部長を傷つけないのなら』ボソッ
美穂子
『久を一番苛んでるのは貴女だと思うのだけど』ボソッ
咲『私は無理矢理純潔を奪おうとはしませんし』ボソッ
美穂子
『そう。なら、純潔も三人で分け合うとしたら?』ボソッ
咲『振り向いてもらえないからって妥協ですか?』ボソッ
美穂子
『違うわ。ただ、いい加減気づいてしまっただけ。
貴女を排除して迫っても、久は私を愛してくれない』ボソッ
美穂子
『久に愛してもらうには、貴女も愛さないといけない事に気づいたわ。
今日一日一緒に居て、それはできそうだったから』ボソッ
咲『……まあ、そういう事なら』ボソッ
咲「そうですね。条件ありで受け入れます」
美穂子
「咲ちゃんと私に対して、この家の居住権を与えてくれるなら、
二人で仲良く尽くす事にするわ」
久「え、そんな事でいいの!?」
美穂子
「そんな事って…結構な条件だと思うけれど」
久「や、だってどうせ咲は勝手に合鍵作ってるし、
貴女はいつも窓割って侵入してくるじゃない」
咲・美穂子
「確かに」
久「条件が破格過ぎて逆に怖いんだけど。
大丈夫?後から純潔も追加で寄越せとか言わない?」
咲「言いませんよ。無理矢理奪っても意味ないですし」
美穂子
「久が自分から捧げてくれるまで我慢するわ」
久「……ど、どうしよう。予想外にあっさり最大の問題が解決して
正直ちょっと混乱してる」
久「あ、とりあえず菫に自慢しよう。
『ヤンデレ問題解決したわ!』、っと……」
咲(……さて。これからどうしましょうか)
美穂子
(家事全般は任せて。久の自活能力を完全に奪って見せるわ)
咲(わかりました。じゃあ私は部長のボディーガードに徹します。
部長が私達以外と接触しないように)
美穂子
(後は毎晩念入りにマッサージしましょうか。
脳がトロけて何も考えられなくなるくらいに)
咲(やり過ぎは禁物ですよ?
私は人形が欲しいわけじゃないです)
美穂子
(そうね。かっこいいところは残さないと。
飴と鞭、適切に使い分けていきましょう)
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
……一年後。
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--------------------------------------------------------
咲「ねえ久さん。もうすぐ誕生日だけど、
何か欲しいものとかある?」
久「んー、正直何も思いつかないわ。
欲しいものは貴女達が何でもくれるし」
美穂子
「今年は平和を望まなくてもいいの?」
久「今も十分平和だしねー。
怖いヤンデレは貴女達が追っ払ってくれるもの」
咲「……『外、出たい』とかは?
もう半年はお外出てないよね?」
久「別に軟禁されてるわけじゃないしなぁ。
出たいって言ったら出してくれるんでしょ?」
久「そうね。強いて言うなら…
今年もこうして一緒に居て欲しい、ってくらいかしらね?」
咲「あはは、それじゃプレゼントにならないよ」
美穂子
「ええ。私達はもう一生貴女を手放すつもりがないもの」
--------------------------------------------------------
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菫「……誕生パーティーの招待状来ないな」
照「完全に堕ちちゃったみたいだしね。
三匹で仲良く過ごすんじゃない?」
淡「ずっこい!私達はまだバトルしてるのに!!」
尭深
「……まあ、これも一つの解決方法なのかもしれませんね」
菫「『自分も堕ちて愛に溺れる』か……
絶対に真似したくない手段だな」
誠子
「ある意味洗脳エンドですよね」
照「まあ、久が幸せならいいんじゃない?
……ところで」
宥「来年の菫ちゃんの誕生日プレゼント、
私達で考えてみたんだけど」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『提案する誕生日プレゼント:
平和
てる あわい ゆう』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
淡「というわけで、一日平和を満喫するって
言うのはどうかな!」
菫「しない」
(完)
11月13日から竹井久誕生日習慣という事で
5日連続でSSを公開します。
<あらすじ>
久「誕生日くらい平和に過ごさせて!後簀巻きも禁止!!」
咲「……わかりました」
美穂子
「喧嘩は止めて、二人でかいがいしくお世話するわ!」
<登場人物>
竹井久,宮永咲,福路美穂子,その他大勢
<症状>
・ヤンデレ(あまあま)
・共依存(あまあま)
<その他>
・竹井久誕生日SSです。Twitterでいただいたお題
『竹井さん家に咲さんとキャプテンがやってきた』より。
・誕生日SSなのでIF展開です。
今後の簀巻き咲に本SSの設定は引き継がれません。
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『11月12日 3時49分』
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咲「ただいまー。夜の定期巡回だよ。
うん。部長はぐっすり寝てるね」(小声)
久「……」すやすや
咲「明日は部長の誕生日なんだけど……
平和だなぁ。一人くらい
前日拉致を試みるかと思ったのに」(小声)
咲「やる事なくなっちゃった。部長の寝顔でも
見ながら一晩過ごそうかな……ん?」(小声)
咲「机の上に、手紙?」(小声)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『希望する誕生日プレゼント:
平和
ひさ』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
久「……」
咲「ヤンデレホイホイの癖に、
なんて我儘な要望をするんだろ」(小声)
久「……」
咲「明日一日、ずっと平和(ピンフ)で
和了り続けてあげようかな。
泣き崩れて悦んでくれそう」(小声)
久「……」ブンブン
咲「……とはいえ、彼女が恥を忍んで
プレゼントを名指しで要求してきたんだから
叶えてあげたいよn」(小声)
『カシャンッ』
美穂子
「……あら?罠張ってないから居ないと思ったのに」(小声)
咲「毎回窓ガラス割るのやめてくださいよ。
隙間風で部長が風邪を引くじゃないですか」(小声)
美穂子
「それは大変ね!風邪を引く前に、
私の家に連れて行くわ!」(小声)
咲「部長はまだ荒川病院に行く程
壊れてはいませんよ?」(小声)
美穂子
「私だって壊れてはいないわよ?
壊れているのは、
私達を祝福しない世界の方」(小声)
咲(110万ボルトスタンガン)
「狂人はこれだから困るよ。
もう一回壊したら逆に
一周回ってよくならないかな」(小声)
久「……手紙」ボソッ
咲「……」
咲「……はぁ。福路さん。
本来であればいつものように感電させた後
簀巻きにして川に流すところですけど…
今回はちょっと相談があります」(小声)
美穂子
「何かしら?」(小声)
咲「平和(ピンフ)……好きですか?」(小声)
久「そっちじゃないって言ってるでしょう!?」
咲「一度も言ってませんけど」
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『11月13日 0時00分』
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咲「宣誓!我々ヤンデレ一同は!」
美穂子
「今日一日に限り博愛の精神にのっとり!」
優希
「ぶちょーを独り占めしようと争う事無く!」
和「部長の命を狙う事無く」
春「悪い黒糖も封印して」
明華
「風を悪事に使う事無く」
はじめ
「マジックも使わず」
ゆみ
「他のヤンデレ騒動に巻き込ませもせず」
まこ
「正々堂々と」
藤田
「平和に」
咲「部長を愛することを誓います!」
咲「誕生日おめでとうございます。
これでいいんですよね?」
久「ああ、うん。期待した通りではあるけど。
できれば一日じゃなくて恒久的にお願いしたいなって」
咲「過ぎた欲望は身を滅ぼしますよ?」
久「平和を求める事が罪!?」
美穂子
「というわけで今日一日は仲良くするから、
久は安心して眠っていいわ」
優希
「私達全員で仲良く警備するじょ!」
全員
「「「「「おまかせあれ!!」」」」」
久「いやいや、こんな大人数に凝視されて眠れるわけないでしょ。
安眠妨害は平和侵害扱いとするわ」
咲「我儘だなぁ…まぁでも誕生日特権で許してあげますよ」
和「大丈夫ですよ咲さん。高精度ビデオカメラをセットしましたから。
だらしなく垂らしたよだれまでクッキリ記録できます」
久「あ、盗撮および盗聴器具も平和侵害扱いね。
即刻撤去して頂戴」
咲「……私の部長メモリーに穴が空くんだけど」
美穂子
「宮永さん。今日一日は平和をプレゼントするんでしょ?」
咲「……そうですね。今日一日『だけ』は許してあげます。
今日一日『だけ』は」
咲「……明日以降覚えておくといいよ」
久「どうしよう、早くも明日が怖い」
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『11月13日 7時20分』
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『ピピピピ、ピピピピ』
久「ふぁ、あっ。もう朝かぁ。
タイマーで目が覚めるなんて久しぶりだわ。
一人で寝るとこんなに熟睡できるのね」
『コンコン』
咲「部長、おはようございます。朝ごはんできてますよ」
久「はーい。って、家宅侵入も平和侵害……
まあそのくらいはよしとするかぁ」
久「で、今日の朝ご飯はなに?」
美穂子(割烹着)
「はい、まずはアミューズ(突き出し)に
フォアグラのテリーヌを。
後は一般的なオードブル(前菜)にポタージュと続いて、
フルコース11品を用意しているわ!」
久「重い!朝から愛が重い!!」
美穂子(割烹着)
「あ、あら……でも、健康の側面では
朝食を一番しっかり摂る方がいいのよ?」
久「や、それは知ってるけど。
私の食生活的には無理だわ」
美穂子(割烹着)
「そんな……」
咲「だから言ったじゃないですか。
部長はいつも朝軽めだって。
バナナとリンゴ酢を与えておけばいいんですよ」
久「何そのペット扱い……まあでも、咲の言う通りね」
久「というか、フランス料理のフルコースって
2時間コースじゃない?」
美穂子(割烹着)
「ゆったり味わってもらうために
2時間半コースにしてるわ!
普段食べない人でも大丈夫!」
久「普通に学校間に合わないんだけど」
咲「ああ、そこは大丈夫ですよ。
部長は今日休みだって報告済みですから」
久「ちょ!?せっかくの誕生日なのに!?」
咲「平和に過ごしたいんですよね?
誕生日に学校なんて行ったら、
間違いなく戦争が勃発するじゃないですか」
久「それを防ぐための宣誓じゃなかったの?」
美穂子(割烹着)
「宣誓したのは特に久に近しい人だけでしょう?
久を狙ってる人なんて、在野の狂人を
カウントしたら100はくだらないわ」
咲「今頃は水面下で闘争が繰り広げられてるでしょうね」
久「……どうしよう、明日から学校行くの怖くなってきた」
咲「別に行かなくていいですよ?
私がずっとこの家で守ってあげます」
久「自宅で軟禁エンドじゃない!!」
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『11月13日 10時30分』
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咲「……」ぽかぽか
美穂子
「……」ぽかぽか
久「……まさかこの三人で日向ぼっこ
する事になるとは思わなかったわ」ぽかぽか
咲「そうですね。あ、部長。
せっかくだから膝枕とかどうですか?」
久「お願いするわ」
美穂子
「なら私は背中を優しくさするわね」
久「ん、お願い」
久「あー、極楽極楽。ホント、いっつも
こうしてくれてれば問題ないのに。
貴女達、やろうと思えば仲良くできるんじゃない」
咲「今日一日だけですよ。明日からは
血で血を洗う人生の再開です」
美穂子
「久の純潔は一人分しかないものね。
あ、久喉乾いたでしょう?
コーヒーを淹れてくるわ」
咲「コーヒーの適温は84℃で砂糖は4gです」
美穂子
「もちろんわかってるわ。
フレッシュ代わりに牛乳を使って
10ml注ぐのよね?」
咲「はい。お茶請けは
ヨックモックのシガールでお願いします」
久「ホント息あってるわ……あってるんだけど、
あい過ぎてなんか怖い」
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『11月13日 16時00分』
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菫「ふーん。それでヤンデレ二凶が
一堂に会しているわけか」
照「こんな光景、一生見る事ないと思ってた」
久(マッサージ中)
「ええ。しかも炊事洗濯掃除に買い出し、
全部やってくれて至れり尽くせりなのよ」
久(マッサージ中)
「どれもこれも私がやるよりよっぽど完璧だしねー。
ホント、いつもこうだったらいいのに」
久(マッサージ中)
「あっ、咲。そこ凝ってるからもうちょっと強く」
咲「はい」
美穂子
「足の方の強さはどうかしら?」
久(マッサージ中)
「んっ……ちょうどいい感じっ…そのままっ、続けてっ?」
美穂子
「はい♪」
菫「ええと、その……大丈夫なのか?
完全に骨抜きにされてるようにしか見えないが。
この状態で襲われたりしたら」
久(マッサージ中)
「あはは、大丈夫よ。今日は平和な日なんだから」
久(マッサージ中)
「んーっ……でも、怖いわね…
こんな生活、慣れちゃったら……
ダメ人間になりそっ……!」
菫「もう手遅れレベルで駄目になってるように見えるが」
菫(というかこれマッサージなのか?
妙に声が上擦ってるし目もトロンとしてるし…
情事に耽ってる顔にしか見えないんだが)
照(手つきもどこからどう見ても愛撫)
咲「これからマッサージのレベルを一段階上げるので、
菫さん達は先にパーティー会場の方に行ってください」
菫「え、これ以上アレな事になるのか!?
それこそ誕生パーティー出られないんじゃ」
美穂子
「後3時間あるから大丈夫ですよ」
咲「後30分弄って、2時間半寝かせれば」
久(愛撫中)
「だいじょーぶだいじょーぶ」
菫「……まあ久がいいなら何も言わないが」
菫(尽くす系ヤンデレって怖いな……
私も堕ちないように気を付けよう)
照(なるほど甘やかし系堕落。
そういう手もあるのか。今度菫にやってみよう)
菫「お前には無理だ」
照「心の声を読まないで」
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――3時間後。
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咲『皆さん、本日は竹井久誕生パーティーにお集まりくださって
誠にありがとうございます。』
美穂子
『定刻になりましたが、現在主賓の竹井久が
人前に出られる状況ではないので
今しばらくご歓談してお待ちください』
菫「だから言わんこっちゃない!!」
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『11月13日 23時50分』
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咲「部長、部長。起きてください。
もうすぐ誕生日終わっちゃいますよ?」
久「ん……ああ、寝ちゃってたのね。
美穂子の膝枕が気持ち良すぎて」
美穂子
「ふふ。寝かせておいてあげようかと思ったけど。
寝てる間に誕生日が終わるのもかわいそうだから」
久「ありがと。ま、十分堪能したし、
このまま眠っても全然問題なかったけどねー」
咲「その場合、部長は私達ヤンデレ二人の前で
無防備な姿を晒したまま『平和の次の日』
スタートする事になりますけど」
久「んー……」
久「それなんだけどね?明日以降も、
今の状態を継続できないのかしら」
久「貴女達。私が思ってた以上に息がぴったりなんだけど」
咲「まあ、それは…同じ部長を病的に愛してるわけですし」
美穂子
「相容れるかは別として、想いの強さと
久に対する理解の深さは信用してるものね」
久「だったら。貴女達が手を取り合ってくれれば、
それだけで私の心労は大幅に軽減されるんだけど?」
咲「……ええと」
美穂子
「……少し作戦会議させてください」
美穂子
『どうしましょう?貴女は、
久をシェアする事はできる?』ボソッ
咲『貴女が部長を傷つけないのなら』ボソッ
美穂子
『久を一番苛んでるのは貴女だと思うのだけど』ボソッ
咲『私は無理矢理純潔を奪おうとはしませんし』ボソッ
美穂子
『そう。なら、純潔も三人で分け合うとしたら?』ボソッ
咲『振り向いてもらえないからって妥協ですか?』ボソッ
美穂子
『違うわ。ただ、いい加減気づいてしまっただけ。
貴女を排除して迫っても、久は私を愛してくれない』ボソッ
美穂子
『久に愛してもらうには、貴女も愛さないといけない事に気づいたわ。
今日一日一緒に居て、それはできそうだったから』ボソッ
咲『……まあ、そういう事なら』ボソッ
咲「そうですね。条件ありで受け入れます」
美穂子
「咲ちゃんと私に対して、この家の居住権を与えてくれるなら、
二人で仲良く尽くす事にするわ」
久「え、そんな事でいいの!?」
美穂子
「そんな事って…結構な条件だと思うけれど」
久「や、だってどうせ咲は勝手に合鍵作ってるし、
貴女はいつも窓割って侵入してくるじゃない」
咲・美穂子
「確かに」
久「条件が破格過ぎて逆に怖いんだけど。
大丈夫?後から純潔も追加で寄越せとか言わない?」
咲「言いませんよ。無理矢理奪っても意味ないですし」
美穂子
「久が自分から捧げてくれるまで我慢するわ」
久「……ど、どうしよう。予想外にあっさり最大の問題が解決して
正直ちょっと混乱してる」
久「あ、とりあえず菫に自慢しよう。
『ヤンデレ問題解決したわ!』、っと……」
咲(……さて。これからどうしましょうか)
美穂子
(家事全般は任せて。久の自活能力を完全に奪って見せるわ)
咲(わかりました。じゃあ私は部長のボディーガードに徹します。
部長が私達以外と接触しないように)
美穂子
(後は毎晩念入りにマッサージしましょうか。
脳がトロけて何も考えられなくなるくらいに)
咲(やり過ぎは禁物ですよ?
私は人形が欲しいわけじゃないです)
美穂子
(そうね。かっこいいところは残さないと。
飴と鞭、適切に使い分けていきましょう)
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……一年後。
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咲「ねえ久さん。もうすぐ誕生日だけど、
何か欲しいものとかある?」
久「んー、正直何も思いつかないわ。
欲しいものは貴女達が何でもくれるし」
美穂子
「今年は平和を望まなくてもいいの?」
久「今も十分平和だしねー。
怖いヤンデレは貴女達が追っ払ってくれるもの」
咲「……『外、出たい』とかは?
もう半年はお外出てないよね?」
久「別に軟禁されてるわけじゃないしなぁ。
出たいって言ったら出してくれるんでしょ?」
久「そうね。強いて言うなら…
今年もこうして一緒に居て欲しい、ってくらいかしらね?」
咲「あはは、それじゃプレゼントにならないよ」
美穂子
「ええ。私達はもう一生貴女を手放すつもりがないもの」
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菫「……誕生パーティーの招待状来ないな」
照「完全に堕ちちゃったみたいだしね。
三匹で仲良く過ごすんじゃない?」
淡「ずっこい!私達はまだバトルしてるのに!!」
尭深
「……まあ、これも一つの解決方法なのかもしれませんね」
菫「『自分も堕ちて愛に溺れる』か……
絶対に真似したくない手段だな」
誠子
「ある意味洗脳エンドですよね」
照「まあ、久が幸せならいいんじゃない?
……ところで」
宥「来年の菫ちゃんの誕生日プレゼント、
私達で考えてみたんだけど」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『提案する誕生日プレゼント:
平和
てる あわい ゆう』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
淡「というわけで、一日平和を満喫するって
言うのはどうかな!」
菫「しない」
(完)
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危機感がなくなるんだから……
とりあえず久さんかわいい
平和って恐ろしいね>
菫「ヤンデレをそばにおいて緊張感を
覚えなくなったらおしまいだな」
久「いつも緊張してる方が大変じゃない」
ハッピーエンドすぎる>
誠子
「洗脳エンドなのですがそれは」
咲「本人が幸せならいいんですよ」
菫「結局いつもの
メリーバッドエンドじゃないか!」