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【咲-Saki-SS:照栞】栞「そのお菓子に、ほんのひとつまみの愛情を添えて」【あまあま】【依存】

<あらすじ>
なし。リクエストがそのままあらすじです。

<登場人物>
宇野沢栞,宮永照,弘世菫

<症状>
・あまあま
・依存(軽度)
・中毒(軽度)

<その他>
以下のリクエストに対する作品です。
・栞ちゃん先輩が自分を見出だしてくれた照に対して特別な感情を抱き、
 パンケーキやらなんやらで落とそうとする感じの話



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栞「宮永さんの事が好きです」

菫「出会い頭になんですか」

栞「いやほら、ね?弘世さんっていつも
  宮永さんと一緒に居るから。
  もしかして付き合ってるのかなって」

菫「いえ、私もあいつとは出会ってまだ間もないですし、
  恋愛的な情は特に抱いていませんが」

栞「よかったあ。ここで『はい、照は私の女です』って
  言われたらどうしようかと思ったよ」

菫「私の事なんだと思ってるんですか。
  で、宇野沢先輩はあいつの事を
  恋愛的な意味で好きなんですね?」

栞「うん。私にとって、
  あの子は救世主みたいなものなの」

菫「救世主、ですか」

栞「私は白糸台に入ってからずっと、
  どれだけ打っても鳴かず飛ばずで、
  ランキングの下の方に定住してた」

栞「麻雀に対する愛はそれなりにあったと思う。
  でも、全然結果がついてこなくて」

栞「ああ、私は『この程度』なんだなって。
  天井が見えちゃった気がして、
  正直、心のどこかで諦め始めてたの」

栞「そんな私を救ってくれたのは、
  間違いなく宮永さんで。
  私自身が気づかない特性を見抜いてくれた」

栞「そのせいなのかな。自分でもびっくりするくらい、
  一気に好きになっちゃった」

菫「それで、思い立ったらすぐ行動ですか。
  随分と勇気がありますね」

栞「配牌から積極的に動いていけって、
  宮永さんのアドバイスがあったからね!
  というわけで、一番近くにいる友達として、
  何かアドバイスとかないかな?」

菫「ふむ。そういう点で言えば、
  宇野沢先輩はこのままでいいと思いますよ」

菫「照にとって一番の関心事は、
  パンケーキをはじめとした15時のおやつタイムです。
  ここを牛耳ったものが照を制する」

栞「えーと、でもそれって好きになった
  と言うよりは餌付けなんじゃ」

菫「餌付けで結構。よく言うじゃないですか。
  結婚相手を落とすにはまず胃袋を掴めと。
  照を落とすにはまずおかしです」

栞「……弘世さん、本当に
  宮永さんと付き合ってないんだよね?」

菫「二言はありません。ただ、我々の関係が
  そう見えるまでに至ったのも、
  おかしによるところが大きいです」

菫「まずは騙されたと思って、
  一週間だけ、少し豪勢な
  おかしタイムを提供してください」

栞「うん。弘世先生の言う通りやってみる」



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栞「はい、宇野沢特製パンケーキです」

照「……」モックモック

照「美味しい」

栞「よかった、まだまだ一杯あるからおかわりしてもいいよ」

照「ではお言葉に甘えて」

菫「……」もきゅ

菫(確かに美味しいな。
  心なしか照の目も輝いているように見える)

照「これ、市販のホットケーキミックスより美味しいけど。
  どうやって作ってるの?」

栞「うちはホットケーキミックス使わないんだ。
  ひと手間掛かるけど、
  そっちの方が好みの味に変えられるから」

栞「毎日同じ味のパンケーキだと飽きるしね。
  分量を変えたり、混ぜる隠し味を変えたりしてるかな」

菫「隠し味があるんですか」

栞「うん。いろいろあるけど、
  今日のはマヨネーズを使ってる」

菫「マヨネーズ!?」

照「それは盲点だった」

栞「マヨネーズを入れると、小麦粉が固まり過ぎないから
  生地が膨らみやすくなるの。
  ふんわりしたパンケーキにしたい場合はお薦めかな」

照「パンケーキ道も奥が深いね」

菫「ああ。まあ、私達には宇野沢先輩が居るから
  あえてマスターしなくてもいいのが幸いだ」

栞「明日は今日と違って
  もちもちした感じにしてみるから
  楽しみにしててね」

照「期待してる」



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照「……」そわそわ

菫「どうした照。随分気が散ってるようだが」

照「後10分でおやつタイム。
  すでに宇野沢さんは調理に
  取り掛かってるはず。
  今から唾液が止まらない」

菫「お前はパブロフの犬か」

照「家でもホットケーキミックス無しでやってみたけど、
  宇野沢さんのホットケーキには遠く及ばなかった」

照「調合するとこ見せてもらおうと思ったら、
  時短の関係で粉は家で調合したのを
  持ってきてるらしいし」

照「どうやればあの味になるのかわからない」

菫(……これはチャンスかもしれないな)

菫「そんなに気になるなら、
  宇野沢先輩に直接作り方を
  教えてもらったらどうだ?」

照「流石に迷惑じゃないかな。
  それに、レシピってある種極秘情報だし」

菫「聞くだけ聞いてみればいいだろ。
  割とあっさり教えてくれる気がするぞ?」

照「ふむ」



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栞「弘世さんありがとう!
  おかげで照ちゃんとデートできたよ!」

菫「おお、上手くいったなら何よりです。
  随分進展したようですけど
  何があったんですか?」

栞「照ちゃんが実際にパンケーキを作るところを
  一から見てみたいって言うから、
  なら寮で一緒に作ろうって話になったの」

栞「で、実際に一緒に作ってみたけど、
  やっぱり私の味にはならなくて。
  そしたらね、照ちゃんが
  『もう先輩に毎日作ってもらうしかない』
  とか言い出して」

栞「これってプロポーズだよね?
  毎日味噌汁作ってくれと同義だよね!」

菫(毎日パンケーキ食わせてたら糖尿で死にそうだが)

菫「ま、まあプロポーズかどうかは別として、
  餌付けは順調に進んでると思いますよ」

菫「あの味が宇野沢先輩にしか出せないと
  理解したのは大きいです。
  照が宇野沢先輩にべったりになる日も
  そう遠くないと思います」

栞「頑張る!」



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照「……」モックモック

菫「あれ?照、今日はパンケーキじゃないのか?」

照「宇野沢さんがパンケーキに飽きたらしくって。
  今日のおやつはクッキーらしい」モックモック

菫「クッキーなんて部室で作れるのか?」

照「オーブンがないから無理って言ってた。
  だから寮で作って来たらしいよ」モックモック

照「あ、これ菫の分」モックモック

菫「やけに少なくないか?」

照「どうせ菫の事だから
  そんなにいらないだろうと思って
  こっちで間引いておいた」モックモック

菫(2枚……)

菫「まあ別に構わないが、お前は何枚もらったんだ?
  さっきからずっとモクモクしてるが」

照「自分用に50枚と菫の間引き分で8枚」モック

照「……そして今無くなった」モキュ

照「またもらってこよう」

菫「いやいや50枚も貰っといて
  おかわりは流石にやり過ぎだろ」

照「足りなかったらおかわりしていいって言ってた」

菫(宇野沢先輩……照を飼うんだったら
  健康管理もお願いします……!!)



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菫「さて、部員の牌譜分析をするか。
  って、あれ?宇野沢先輩の牌譜だけ見当たらないな」

菫「提出漏れか?まあ、本人に確認するか」

……

『コンコン』

菫「すいません、弘世ですが」

『ガチャ』

照「何の用?」

菫「なんでお前が出てくるんだよ!?」

照「宇野沢さんにお菓子作ってもらってた。
  今調理中だから私が対応する」

菫「そ、そうか。じゃあ、
  先輩の牌譜が提出されてないっぽいから
  心当たりないか聞いてくれ」

照「ふむ。まあお菓子時だしとりあえず入るといいよ」

菫「失礼する」

栞「照ちゃん、誰だった?って、弘世さんかあ。
  あ、弘世さんもおかし食べてく?」

菫「いえ、分析用の牌譜がない事に気づいて
  受け取りに来ただけなので。
  しかし照、お前もしかして毎日
  宇野沢先輩にたかってるのか?」

照「宇野沢さんのお菓子が美味し過ぎて
  他のお菓子じゃ満足できなくなった。
  宇野沢さんは責任取るべき」

栞「仕方ないので責任取ってます!」

菫「……まあ、両者が合意の上なら何も言いませんが。
  照。せめて材料費ぐらいは負担しとけよ」

照「もちろん。というより私のお小遣いは全額
  宇野沢さんに渡してる」

菫「どんだけ作ってもらってるんだよ!?」

照「1日2回。材料費だけでも明らかに足りてないから
  今度お母さんに増額をお願いする」

菫「え。お、お前確かお菓子代で
  2万円くらい貰ってたよな?」

照「材料費だけでも明らかに足りてない」

菫「……先輩。照を飼うのはいいですが、
  飼うなら飼うで責任もって
  しつけもちゃんとお願いします」

栞「あ、あはは。モックモック食べる
  照ちゃんが可愛くてつい」

菫(この二人、野放しにしておいて大丈夫か?)

菫(というか、後数か月で
  宇野沢先輩卒業するんだが……)

菫(先輩が卒業した後はどうするつもりなんだろうか)



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栞「照ちゃん遅いなぁ。
  いつもならもう来てる頃なのに」

照「ごめんなさい、ちょっと
  野暮用があって遅れちゃった」

栞「何かあったの?」

照「実は、知り合いに告白されちゃって」

栞「!?そ、それでなんて答えたの?」

照「女性同士の恋愛は考えた事もなかったから、
  思ったままそう素直に答えた」

栞「っ……!」

栞「そ、そっか。照ちゃん的には、興味もない感じ?」

照「興味がないと言うか……
  自分が同性愛の対象になるって思ってなかったですし。
  今もそういう目で見る事はできないです」

栞「そっか、そうだよね。
  女子高だから女の子を好きになる子も多いけど、
  照ちゃんの方が普通の感覚だと思うよ」

栞(……)



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数か月後。




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菫「ご卒業おめでとうございます」

栞「ありがとう!弘世さんには
  ホントいっぱい世話になったね」

菫「いや、私よりも照の方が
  世話になってると思いますが……
  そういえば照の事はどうするんですか?
  これから告白とか」

栞「ううん。告白はしないでおこうと思う」

菫「……いいんですか?」

栞「うん」

栞「照ちゃんは、麻雀が強い事を除けば
  ごくごく普通の女の子だった。
  女の子同士の恋愛なんて眼中にない、
  至ってノーマルな女の子」

栞「だったら、あえて仲のいい先輩後輩の
  関係を崩す必要もないかなって」

菫「勝ちの目が見えないから諦めるって事ですか?」

栞「……うん」

菫「失礼ながら。私からすれば、
  貴女は諦め切れていないと思います」

菫「進路。調理師専門学校ですよね?
  しかもお菓子専門の。
  パティシエの道を志すのは、
  照と無関係と言えますか?」

栞「……」

菫「前に一度言ったはずです。
  照を飼うと言うのなら、責任もって面倒見ろと」

菫「貴女は、卒業するというだけで、
  その責任を放棄するつもりなんですか?」

栞「……」

菫「……」

栞「……すごく、酷い事言ってもいいかな」

菫「何でしょうか」

栞「私は。パンケーキから始まって、
  お菓子で照ちゃんを餌付けしたけど」

栞「それって、私じゃないと駄目なのかな。
  例えば、本職のパティシエールさんが出てきたら。
  私より美味しいお菓子を作れる人が出てきたら」

栞「私は今の立ち位置のままで居られるの?」

菫「……それ、は」

栞「一時期すごい噂になってたから
  弘世さんも知ってると思うけど。
  照ちゃんは女性同士の恋愛は対象外なの。
  だとしたら。私って結局、
  美味しいお菓子をくれる仲のいい先輩
  どまりなんじゃないかな」

栞「もっと言っちゃえばさ。
  照ちゃんが欲しがってたのは、
  あくまで『美味しいお菓子』であって、
  『宇野沢栞』じゃないんじゃないかなって」

栞「そう考えたら、なんか。
  ポキッて心が折れちゃったの」

菫「……」

栞「だから、これ。弘世さんに受け取って欲しい」

菫「これは……」

栞「私が今まで作ってきたお菓子のレシピ。
  弘世さんなら料理もできるし、
  これがあれば、私の味を再現できると思う」

菫「本当に、それでいいんですか?」

栞「……いつか。本職のパティシエールになって、
  誰にも負けないって思えるようになったら、
  もう一度照ちゃんの前に立つよ」

栞「恋人にはなれないけど、それでも。
  照ちゃんの唯一無二にはなれるから」

菫「宇野沢先輩……」



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菫「照。今日のおやつだ」

照「……ありがと」

菫「宇野沢先輩に教えてもらった通りに作った。
  本人のお墨付きだ。味は保証する」

照「……」モック、モック

照「ありがとう。美味しいよ」

菫「だったら少しは嬉しそうな顔をしろ。
  見てるこっちが滅入ってくる」

照「……別に嘘は言ってないよ。
  本当に美味しい。宇野沢さんの味にかなり近いし」

照「……」モック、モック

菫「なら、なんでお前はそんなに
  浮かない顔をしてるんだ」

照「……」ゴクン

照「宇野沢さんね、私にお菓子を差し出す時、
  いつもすごく緊張してるんだ」

菫「……?」

照「私に気に入ってもらえるかな?
  美味しいって言ってくれるかな?
  そんな感じで、両手を握って
  私の顔をじっと見てるんだよ」

照「それで、私が一言『美味しい』って言うと、
  一気に顔がふにゃってして。
  すごく嬉しそうに
  『よかったぁ』って呟くんだよ」

照「私のおやつタイムは、
  お菓子と宇野沢さんの笑顔でワンセット。
  ただ、お菓子があればいいってわけじゃない」

照「その事実に、宇野沢さんが
  居なくなってから気づかされた」

菫「……本人には言わなかったがな。お前、どうせ
  先輩の気持ちには気づいてたんだろ?」

菫「臆病で人の顔色を伺うお前の事だ。
  どうせ、鏡で何度か覗いたんじゃないか?」

照「……うん」

照「宇野沢さんが私の事を好きなのは知ってた。
  そして、私が同性愛を考慮してないのも事実だった」

照「だから。宇野沢さんが言わずに
  気持ちを飲み込んで卒業して行った時。
  私は正直ほっとしたんだ」

照「関係が壊れるのが怖かった。
  正直同性愛とかいう以前に
  恋愛とかよくわからないし、
  仲のいい先輩後輩で終わりたかった」

照「でも、私は。自分の事は
  よくわかってなかったみたい」

菫「まったくだ。お前はむしろ
  自分に鏡を使うべきだな」

菫「ほら、これ」

照「これは……?」

菫「パティシエ調理師専門学校。
  宇野沢先輩が通っている学校だ。
  直接会って言ってこい」

菫「『私、先輩の事が好きみたいです』ってな」

照「……行ってくる。で、言ってくる」

菫「ああ。ついでに一言伝言を頼む。
  『私では、貴女のお菓子は作れなかった』ってな」



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講師
 「では宇野沢さん、食品衛生法の目的について答えてください」

栞「え、えっと、食品の安全性を確保する事で
  飲食を原因とする食中毒などの健康被害を防止して、
  国民の健康を図る事です」

講師
 「正解です。では次に、食に関する
  事業者に課される義務の三項目は……」

……

『キーンコーンカーンコーン』

講師
 「では、本日の衛生法規の授業を終了します。
  お疲れ様でした」

「「「お疲れ様でした!」」」

栞「ふう。当たり前と言えば当たり前だけど、
  パティシエってお菓子ばっかり作ってるわけじゃないんだ」

栞「衛生法規、食品学、公衆衛生、栄養学、果てはフランス語とか…
  勉強する事はいろいろある」

栞「そうだよね。いくら美味しくても不健康じゃ駄目だもん。
  私、照ちゃんの健康について配慮できてなかったな」

栞「頑張らないと……ん?」

生徒
 『え、あれ、麻雀の宮永照じゃない?』

生徒
 『本当だ!え、もしかして
  うちの学校となんかタイアップするとか?』

生徒
 『確かお菓子好きなんだよね。
  サイン貰っちゃおうかな!』

照「……」

栞「て、照ちゃん!?どうしてここに……!」

照「……!」

テクテクテク

照「宇野沢さん」

栞「照ちゃん……お久しぶり、って言う程でもないか。
  どうしたの?」

照「菫のお菓子じゃ満足できなかったので
  催促に来た」

栞「……えっと。レシピはちゃんと渡したし、
  味も確認したはずなんだけど」

照「どうしても足りないものが一つある。
  菫には絶対提供できないものが」

照「それは、宇野沢さんにしか作り出せないもの」

栞「ええと……それって、何かな」

照「食べた後の、宇野沢さんの笑顔」

栞「っ……!」

照「お菓子があればいいわけじゃなかった。
  作ってくれる人が誰なのか。
  そこが一番大切だった。
  宇野沢さんが居なくなって、
  初めてそこに気づかされた」

照「これはもう、栞に毎日作ってもらうしかない」

栞「っ!……そっか。そっかぁ……」

栞「わだしじゃないと……だめな゛んだあ゛……っ」



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栞(ずっと、心にとげが刺さってた)

栞(照ちゃんが求めてるのはお菓子そのもので、
  別にそれを提供するのは、
  私じゃなくたっていい)

栞(たとえ私が卒業しても、
  お菓子さえ提供されれば問題なくて。
  私なんて、その程度の存在だと思ってた)

栞(でも、違ったんだ)

栞(照ちゃんは、ちゃんと私を含めて
  考えていてくれて)

栞(私じゃないと駄目、そう言い切ってくれた)

栞(だったら私は……)



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栞(責任取って、毎日お菓子を作らないとね!)



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淡「あーわあわあわあーわあわー」

淡「大星淡、ただいま参上!!」

照「……」モックモック

栞「どうかな?今日のは隠し味に
  ヨーグルトとみりんを入れてみたんだけど」

照「とても美味しい。ホットケーキらしからぬ分厚さと
  ふんわり感が素晴らしい」

栞「よかったぁ〜!」

淡「へ、あの人誰?」

菫「白糸台のOGで、照専属のパティシエールだ」

淡「専属!?チャンピオンになると
  パティシエつけてもらえるの!?」

菫「いや、白糸台の制度じゃない。
  あれは照個人の繋がりだな」

淡「余計に意味がわからないんだけど」

菫「言うな。私にもよくわからない」



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菫(宇野沢先輩は、専門学校に通うかたわら、
  照の専属パティシエールを始めた)

菫(OGとはいえ部外者が学校に入り浸る事、
  学校はそれをよしとはしなかったが)

菫(ここで照が猛反発。宇野沢先輩のお菓子がないと
  本来の力が発揮できないと主張)

菫(結局最終的には学校側が折れて、
  宇野沢先輩はなかば白糸台に雇われる形となった)

菫(最近照は週3で外泊申請を出している。
  行き先はもちろん宇野沢先輩の下宿先)

菫(おやつ時だけでなく、夜も練習がてら
  お菓子をふるまってもらっているのだとか)

菫(しかし、いくら愛しているとはいえ。
  毎日学校を抜け出してお菓子を作るとか、
  普通そこまでするものだろうか)

菫(宇野沢先輩の照に対する執着は、
  少し病的なものを感じる。
  もしかしたら、宇野沢先輩は
  照に依存しているのかもしれない)

菫(……まあ、照も宇野沢先輩にべったりだし、
  誰も困ってないからいいのかもしれないが)

菫(見ていて、少しだけ不安になるな)



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照「今日のもすごく美味しい。
  もう一回おかわり」

栞「あ、これ以上はカロリーオーバーなので終了です」

照「むむむ。栞、前より厳しくなってない?」

栞「パティシエールを志してるから。
  健康面にも配慮しないとね。
  照ちゃんには末永く私のお菓子を食べて欲しいから」

照「む、そう言われたら仕方ないね。
  ここは大人しく引き下がるよ」

栞「ありがとう……ねえ、照ちゃん」

照「なに?」

栞「前から、『毎日お菓子を作ってほしい』って
  言われてるけど。
  これって期間はいつまでなのかな」

照「……」

照「期間なんて、ないよ」

栞「でも。いつかは照ちゃんも
  男の人と結婚して家庭を持つよ。
  そこに、よくわからないパティシエールが
  毎日家にやってくるって、変じゃないかな」

照「だったら栞が私と結婚すればいいじゃない」

栞「……っ!?で、でも、照ちゃん、
  女の子との恋愛は考慮外だって」

照「考慮外とは言った。
  でも、考えてなかっただけ」

照「今は違う。私は、栞のお菓子を、
  栞を含めて愛しているから」

照「だから、改めて言う。
  私のために毎日お菓子を作ってほしい」

照「私のそばで、一生かけて」

栞「……」

栞「こ、こちら゛こそ、よろしくお願いしま゛す……っ」



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栞(こうして、照ちゃんは私の事を受け入れてくれた)

栞(本当の事を言えば今でも怖い。
  照ちゃんが私の事を必要としてくれるのは間違いないけど、
  私が照ちゃんに抱く愛情と、照ちゃんのそれが
  一致してるか自信が持てなくて)

栞(いつか、照ちゃんがおばあちゃんになった時。
  今みたいにお菓子が満足に食べられなくなった時。
  それでも照ちゃんは、私の事を愛してくれるだろうか。
  正直ちょっと、自信がない)

栞(でも、今はそれでいいんだ。
  いつか。お菓子がなかったとしても、
  私だけでも愛してくれるようにしてみせるから)

栞(だから私は今日もまた、照ちゃんのためにお菓子を作る)

栞(そのお菓子に、ほんのひとつまみの愛情を添えて)

栞(私の愛が照ちゃんに浸透して、
  私無しでは居られなくなるように)


(おしまい!)
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posted by ぷちどろっぷ at 2018年07月13日 | Comment(6) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
甘い……甘すぎる……!!!
この甘みは砂糖すらを凌ぐッ……!!!
そして砂糖水でも敵わないべったり共依存……!!!
最高だ……(テンション壊れた)
Posted by at 2018年07月13日 21:37
スクランブにも使ってたマヨネーズさん。マヨって色んなものに使えるんですね。料理に疎いので驚きです

パブロフの犬……久咲…うっ、アタマガ…
Posted by at 2018年07月14日 00:28
失って気付く照ちゃん…素敵です…。
Posted by at 2018年07月14日 02:12
宇野沢さんの可愛さがこれでもか!と詰まってるお話でした!
先輩組には原作でもまた登場してほしいですね〜
Posted by at 2018年07月14日 12:23
甘い…砂糖のように甘いです…
栞先輩が主人公の回ってほとんど初めてじゃないですかね?記憶違いじゃなければですが。ちょっと新鮮で素敵でした。

ニヤニヤしながら読んでましたがお菓子となるとどうしても血液だの魂ちぎる話だのがチラつく私はもうダメかもしれない
Posted by at 2018年07月15日 08:02
甘い、涎が出るくらい甘い
いやもう本当にありがとうございましたご馳走さまでした
栞先輩のパンケーキに溺れる照が見られて幸せです

菫さんは矢印に自分が入ってないと高確率でキューピッドになってる気がする
そんなところもシャープシューター菫
Posted by at 2018年07月16日 01:42
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