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【咲-Saki-SS:菫照】菫「特別」【小ネタ】

<あらすじ>
菫照初夜。

<登場人物>
宮永照,弘世菫


<症状>
注意。特に病んでいません。

<その他>
「菫照よこすから久咲をよこせ」という交換条件で書いた小ネタ。
ようやく復帰できるしリハビリがてら即興ライティングです。


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初夜。

それは一生に一度しかない大切な夜。
だからこそ、特別な日に特別な場所で、
特別な相手と契るものだと思っていた。

星降る夜に、誰も居ない丘の下で。
ずっと想い続けたあの人と。
なんて、多少は夢見ていたものだ。
乙女ならそれが普通だろう?

条件は一つしか満たされなかった。
特別な相手。そう、そこだけは何とか守り切った。
だがそれ以外は論外。場所とシチュエーションに問題があり過ぎる。

「176cmもある癖に、何可愛い事言ってるの」
「うるさい!身長は関係ないだろう!!」

白糸台の寮の自室、勉強していたら押し倒された。
少し暖房が強い部屋、わずかに汗ばみ汚れた私。

最低だ。

「菫は私としたくないの?」
「そうは言ってない!だが、ムードってものがあるだろう!?」
「私とするのにムードが必要?盛り上げないと欲情できない?」
「そ、れはっ……!」

まるで非難するように目を座らせて睨む照。
どうして私が詰められるのか。
極々普通の事しか言っていないのに。

「というか」

ぐい。馬乗りになっていた照が、目と鼻の先に顔を寄せる。
僅かに汗の匂いが鼻腔をくすぐった。
それはまるで媚薬のように、私の脳をガツンと揺らす。

「3年も猶予があった。お膳立てする時間なら十分あげたでしょ。
 それをしなかったのは菫の怠慢。もうタイムオーバーだよ」

「これ以上は待てない。後数日もすれば、私達は卒業しちゃうんだから」

にこり、照が笑顔を見せる。ぎこちない笑みだった。
その笑顔を見てようやく気づく。
私の上にまたがる照が、僅かに震えている事に。

自嘲する。

白糸台の寮が特別じゃない?
馬鹿め。当然のように照と過ごせるこの空間を、
いつから『平凡』だと錯覚していた?

今この時が特別じゃない?
馬鹿め。この状況をずっと維持できるとでも?

今この時こそ特別なのだ。
当たり前に照がいて、照と話せる今現在。
そんな『特別』はもうすぐ終わる。
卒業すれば全て終わりだ。私達を繋ぐ絆は断ち切られ、
いともたやすくバラバラになる。

照はそれがわかっているから、今こうして勇気を振り絞っているのだ。
自己主張に乏しいこの女が、新たな『特別』を得るために。
緊張に身体を震わせながら、必死に私と交わろうとしている。

なら、私が怖気づくわけにはいかないだろう?

「後からやめてって言っても止めないからな」
「そう言って保険を掛けるんだね。
 本当に親切なんだから。ううん、それとも臆病なのかな」
「……っ」

いきなり出ばなをくじかれた。
照魔鏡でも使われたのか?否、そんな無粋な真似はしないだろう。
単に見抜かれただけだ。「ちゃんと事前に確認は取った」
そう逃げ道を用意して、責任を軽くしようとしていると。
どうやら、まだ覚悟が足りないらしい。

「わかった、潔く明言しよう。
 お前が今から何と言おうと、私はもう止まらない」

「お前を穢す。傷物にする。その代わり、責任だけは取ってやる」
「だから黙って犯されろ」

照は満足するように頷くと、ごろん、と私の横に転がった。
そのまま私の身体を引き寄せ、自分の身体に私を乗せる。

「よくできました。……前言撤回はしないでね?」
「……もちろんだ」

そして私は口を紡ぐと、照の顔に唇を寄せて――


………
……


数時間後。私達は互いに汗ばむ身体を抱き寄せ、
ピロートークに興じていた。

「菫の中指は長すぎる。奥まで来過ぎて痛かった」
「傷物にするには丁度いいだろ」
「ここまでしろとは言ってない」

数時間前には考えられなかった、色を含む生々しい会話。
これも関係が変化した表れだろう。
静かに噛みしめていると、照が私を覗き込む。

「……ねぇ。これで、私は菫の『特別』になれたかな」

思わず笑みが零れだす。頭をくしゃりと撫でながら、
呟くように私は言った。

「ったく、何言ってるんだか」
「今も昔もこれからも。お前はずっと『特別』だ」

そう、それはいつの間にか忘れていた事。
しかと心に刻んでおこう。

照は、照と過ごせるこの時間は、
いつだってとびっきりの『特別』なのだと。
油断すれば砕け散る。そんな危うい薄氷なのだと。
この状態を維持するためには、並々ならぬ努力が必要となる。
それでも私は、照を『特別』に置き続けたい。

「よかった」

問う必要もない愚問。なのに、照は珍しく破顔した。
少しだけ期待する。なあ照。
私も、お前の『特別』になれているか?

「当たり前だよ。菫だって。出会った時から今までずっと。
 いつだって私の『特別』だった」

そう言って照は笑った後。私の肩を、そっと噛んだ。

(完)
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posted by ぷちどろっぷ at 2019年03月05日 | Comment(3) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
何気ない日常が特別というのは日常に生きると実感が少ないのね……。
そしてお互いを特別だと言えるのがすき。
Posted by at 2019年03月05日 21:47
ご復帰おめでとうございます!
誘い受けテルー良いですね……
Posted by at 2019年03月06日 18:21
小説が投稿されて嬉しかったです。
2人の甘々の雰囲気がいいですね。
リハビリ無理のない範囲でご自愛下さい。
Posted by at 2019年03月06日 21:40
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