現在リクエスト消化中です。リクエスト状況はこちら。
【咲-Saki-SS:久咲】久「代わりの品は私になります♪」【ヤンデレ】【狂気】【共依存】
<あらすじ>
家庭環境に問題を抱えた久と咲。
その事実に気づいた久は、咲を猫可愛がりする。
やがて咲も久に懐いて、その姿はまるで姉妹のようで――
<登場人物>
竹井久,宮永咲,染谷まこ,片岡優希,原村和
<症状>
・ヤンデレ
・狂気
・共依存
・異常行動
<その他>
リハビリがてら、このブログ初期の雰囲気で
思いつくままに書きました。
自分の過去作品といくつかネタ被りしてると思いますが
最近筆が止まる理由No1が「自作とのネタ被り」なので
この際あまり気にしない事にします。
(咲だけで350作くらい一人で書いてればそりゃ被るよ……
地雷原タップダンス状態だよ……)
--------------------------------------------------------
久「ねえ、まこ。ちょっと言っておきたい事があるんだけど」
まこ
「なんじゃ、急にあらたまって」
久「最近入ってきた子いるじゃない?宮永さん」
まこ
「プラマイゼロ子がどうかしたんか?」
久「私ね、多分あの子の事猫っ可愛がりすると思うから。
そりゃあもう周りがドン引きするくらい」
まこ
「なしてじゃ」
久「だってさぁ、あの子いろいろアレじゃない?」
まこ
「アレってなんじゃ」
久「麻雀に負けたらおこづかいを巻き上げられる、
でも勝ったら怒られる、だからプラマイゼロにした」
久「賭け麻雀で子供からお小遣い巻き上げるの異常だし、
それで勝ったら怒るとかもう完全に病気でしょ。
絶対ろくな家庭環境じゃないわ!」
久「そもそもさ。そんな状況で麻雀が好きでもないとくれば、
普通は打つ事自体拒否するでしょ。
でも、あの子は打ち続けたのよね?
つまり、対局を強要されてたって事じゃないかしら!」
久「いやぁ酷い家庭よね!かわいそう過ぎて涙腺がゆるむわ!」
まこ
「……ゆるんどるのはほっぺたじゃろ。
何がそがぁに嬉しいんじゃ」
久「んー、嬉しいって言うか親近感?
やっと、自分と同じような子に出会えた、みたいな」
久「よーし可愛がるわよー可愛がりまくるわよー!」
まこ
「……ゼロ子が逃げ出さん範囲で頼むわ」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「よーしよしよーしよし!」
咲「ちょ、ちょっと部長、
ペットじゃないんですから……」
久「またまたー、そう言いながら
ほっぺたゆるみっぱなしじゃない!
可愛いからさらにハグ追加ね!」
咲「も、もう……っ」
咲「……」
咲(……でも)
咲(こんな風に、誰かに
抱きしめてもらえたのって久しぶりかも)
咲(お姉ちゃん……)
久「おっ、いいわねそのたどたどしい感じで
そっと背中に手を回してくるの!」
久「ちょっと予想外だったんだけど。
咲って意外と甘え慣れしてる?」
咲「あ。その、私、お姉ちゃんがいて……」
久「ありゃ、そうなんだ。やっぱりお姉さんも
咲の事こんな感じで可愛がりまくってるのかしら?」
咲「っ……」
久(ビンゴ。地雷踏んだわね)
久「咲?」
咲「その。実は私――」
--------------------------------------------------------
久「いやぁヤバいわねー」
まこ
「気色悪い笑み浮かべてどうしたんじゃ」
久「いやぁ、宣言通り咲を猫っ可愛がりしてたんだけどね?
さらにとんでもない情報が飛び出してきたわ」
まこ
「……これ以上闇が深ぅなるんか」
久「咲の家、両親が別居中なんだってさ。
割と離婚も見えてきてるらしいわ」
久「しかもその原因作ったのがどうも咲らしくってね。
そのせいで大好きだったお姉ちゃんとも
ギクシャクしちゃってるらしいのよ」
久「今回急に全国目指し始めたのも
東京にいるお姉ちゃんと麻雀で会話したいからだって!」
まこ
「なんじゃそりゃぁ……重過ぎてもう何も言えんわ」
久「いやー、なんというかきついわねー。
もう普通には口もきいてもらえないから
せめて昔やってた麻雀でとか!
自分は麻雀嫌いだったくせにねー。
どんだけ人生ハードモードなんだか!」
まこ
「人の不幸を喜ぶのはやめんか」
久「別に喜んではいないわよ?共感できるってだけ。
なんならお姉さんと仲直りできるよう
手助けしてもいいとすら思ってるわ」
久「でも。もし咲が、お姉ちゃんと仲直りできなかったら――」
--------------------------------------------------------
久「別に、私がもらっちゃってもいいわよね?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「祝、地区予選優勝!これで咲の夢も一歩前進ね!」
咲「……そうでしょうか」
久「ありゃ?なんか地区予選始まる前より落ち込んでない?」
咲「テレビ見てたらお姉ちゃんが映ってて。
インタビュー受けてたんですけど」
久「ふんふん」
咲「長野でも『宮永』姓の子が勝ち上がってきて、
もしかして姉妹なのでは?
って記者の人が質問したんですよ」
久「……それで?」
咲「お姉ちゃん。『私に妹はいません』って……」
久「……」
咲「その。今から考えるのは早過ぎるかもですけど。
正直何言ってるんだって自分でも思いますけど」
咲「もし、お姉ちゃんと全部駄目になっちゃったら。
うちの家が完全に駄目になっちゃったら。その時は――」
咲「部長の事、『お姉ちゃん』と思ってもいいですか?」
久「……」
咲「な、なんて駄目ですよね。なんで
こんな気持ち悪い事言っちゃったんだろ。
ごめんなさい、その、忘れてくださ「いいわよ?」
咲「え?」
久「いいわよ?でも、その代わり」
--------------------------------------------------------
久「本当に駄目になった時だけだから、ね」
--------------------------------------------------------
久「咲が保険掛けてきたわ!『お姉ちゃんが駄目だったら
代わりになってください』だって!」
久「いやーダメダメねー。駄目になる前から保険掛けてくるって、
それもう『私がいれば駄目になってもいっか』って
考えてるのと同義よね!」
久「ていうか咲危なくない?こっち来てから
どんどん不安定になってきてるし、
ヤバ目の発言もかなり増えてる」
久「このままじゃお姉さんに会う前に壊れちゃうかもねー。
ていうか、むしろ会わない方がいいんじゃない?」
まこ
「じゃけえ、わしらが何とか舵取りするんじゃろうが」
久「わかってるって。でも、まこが考えるほど
家庭の問題って甘くないのよ?
それに、私達がどんだけ助けたげても、
結局最後は咲の問題でしょ?」
久「咲が、『お姉さん』を諦めて
『久お姉ちゃん』で妥協するなら……私悪くないわよね?
咲が勝手に私を選んだだけだもの」
久「いやー久お姉ちゃんかー、むふふー」
まこ
(……駄目じゃ、もう久もおかしくなっとる。
頼みの綱は咲のお姉さんだけか)
まこ
(じゃが――)
テレビ
『私に妹は居ません』
まこ
(どうしても暗い未来しか描けん)
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「よーし決勝戦に出陣しますかね!って咲、どうしたの?
ずいぶんふさぎ込んでるみたいだけど」
咲「……やっぱりわかっちゃいますか。
さっき、廊下でお姉ちゃんと会ったんです」
久「あらま」
咲「お姉ちゃん、やっぱり何も話してくれなかった。
無視して素通りされちゃいました」
久「そっか」
咲「部長、あの」
久「駄目よ?」
咲「え」
久「当たって砕けるなら全力で砕け散りなさい。そもそも
『口を利いてもらえないから麻雀で』、って
話だったんでしょ?
無視されるなんて最初からわかってた事じゃない」
久「状況は特に変わってない。
ようやくスタートラインに立てたってだけ。
なのにこんなところで諦めてどうするのよ。
代替品で妥協するには早過ぎるわよ」
久「成長したんでしょ?
麻雀で勝つ楽しみを理解できたんでしょ?」
久「貴女の麻雀を見せてあげなさい!」
咲「……!」
咲「そうですよね!白糸台の大将を叩き潰せば、
お姉ちゃんも私をみてくれるはずですよね!」
久「……」
久「私はお姉さんじゃないから保証はできないけど。
やれるだけの事はやってきなさい?」
咲「はい!!!」
--------------------------------------------------------
まこ
「……なあ部長、ちょっとええか」
久「何かしら?」
まこ
「もし、咲が言う通り、咲が白糸台の大将を叩き潰したとして……
そがあな事されて、咲の姉は本当に振り向くと思うか?」
久「さぁ」
まこ
「さぁ、ってお前さん……!」
久「いやいやわかるわけないじゃない。
私は宮永家の事情なんて知らないんだもの。
そもそもそれ言いだしたら、
『麻雀で語る』の時点ですでに意味不明でしょ?
しかも、あの子麻雀嫌いだったんだし」
まこ
「そりゃそうじゃが」
久「あの子が『それで行ける』と思ってる以上、
事情を知らない私達に止める事はできないわよ。
見守るしかないわ」
まこ
「……そうか」
久(ただ、まあ。普通の感覚で考えたら――)
--------------------------------------------------------
久(仲直りどころか、絶縁レベルで喧嘩売る行為だけどね?)
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
咲「……」
久「こんなところにいたのね」
久(綺麗な目してるわね。新月みたいに真っ暗)
咲「部長」
久「今までお疲れ様」
咲「部長。私、頑張りました。
言われた通り全部出し切って、
ちゃんと全員叩き潰してきました。
……ちゃんと、当たって砕け散りました」
咲「だから。もういいですよね」
咲「ここまでして駄目だったんだから……
私の、お姉ちゃんになってくれませんか?」
久「うーん。ねえ咲。それって本当に私じゃないと駄目?」
咲「え」
久「そんな風に、簡単に乗り換えられちゃうならさ。
別に私じゃなくてもいいんじゃないの?」
久「自分よりちょっと年上で、頼りがいあって
優しくしてくれる人なら誰でもいいんじゃない?」
咲「そ、そんな事ありません!!
わた、私は、部長だから……っ!!」
久「うーん。でも今まさに
乗り換えの現場を見せられる私としては、
ちょぉーっと信憑性に欠けるわねー」
--------------------------------------------------------
久「はい。というわけで証明して?
貴女が私に向ける愛が、半端じゃないって証明を」
--------------------------------------------------------
久「そしたら貴女を愛してあげるわ。そして一生離さない」
--------------------------------------------------------
久(貴女が離れたいと願っても、ね?)
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
優希
「さ、咲ちゃん。『それ』何だじぇ?」
咲「え?見ての通り首輪だけど」
和「そ、その。それで個人戦に出るつもりですか?」
咲「うん。それが、久お姉ちゃんが
私を妹にしてくれる条件だって」
優希
「そ、そんな事したら……
全国放送でさらし者だじょ?」
咲「うん。それが久お姉ちゃんの狙いなんじゃないかな」
咲「そんなので久お姉ちゃんが
お姉ちゃんになってくれるなら安いもんだよ」
和「あの……そもそも、先ほどから言ってる、
『お姉ちゃん』って何なんですか?」
咲「もう本物のお姉ちゃんと仲直りするのは無理だから、
久お姉ちゃんの妹にしてもらおうって」
和「そんな……」
優希
「さ、咲ちゃん……狂っちゃってるじょ……」
咲「あはは、わかってるよ。私がおかしい事くらい」
咲「というか――」
--------------------------------------------------------
まこ
「部長。お前さん、咲に首輪つけろって命令したんか?」
久「命令はしてないわよ?
咲の愛が本物か、証明してってお願いしただけ」
まこ
「なしてそがあな事言ったんじゃ……」
久「考えたの。もし別れちゃった時、
一番ダメージがでかい方法って何かなーって。
離婚とか案外余裕なのよね。
案外みんなドライだし、他人の色恋なんて興味ないもの」
久「……子供は、一生消えない傷を負ったまま
生きていかないといけないのに、ね?」
久「でもね?思ったの。全国区で晒し者になったらどうかしら?
『あの子は異常だ』ってレッテルを張られてたらどうかしら?」
久「その上で離婚とかしたら、多分再起不能よねー。
一生後ろ指さされるんじゃないかしら?」
まこ
「意味がわからん。そもそも咲は姉を求めとるんじゃろ。
なしてそがあな脅迫をする必要があるんじゃ」
久「姉でも恋人でも一緒でしょ?
一度私を求めたなら、離れていく事は許さないわ。
こっちはもう完全にその気なんだから」
久「本当は身体に名前でも彫ってほしかったんだけどねー。
流石にそれやっちゃうと出場停止よね?
ま。それは全部終わってからにするわ」
まこ
「部長、あんた……狂っちょるわ……」
久「あはは、今更何言ってるの。
私がおかしい事なんて最初からわかってた事でしょう?」
久「そもそも――」
--------------------------------------------------------
咲「自分の命より大切だった人と、
一生離れ離れになるって言われて。
それでも平気で生きていけるなら」
久「その方が『狂ってる』と思わない?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「さ、ここが新しい私達のハウスよ!」
咲「こじんまりしてるけどいい雰囲気だね」
久「小さいくらいがちょうどいいのよ。
手を広げ過ぎると何もかもが疎かになるから」
久「咲とくっついて寝るだけなら、
本当なら六畳一間もあれば十分。
それとも自分の部屋欲しかった?」
咲「ううん。むしろ、お部屋別れてたら
どうしようって考えた」
久「でしょでしょ。さ、入りましょ!」
久「と、この部屋で二人暮らしを始める上で。
二つ言っておかないといけない事があります」
咲「なに?」
久「一つ目。これは懺悔なんだけどね?
私、こうなる事が全国に行く前から大体予想できてたの」
咲「えぇ!?どうして!?」
久「だって咲、保険掛けてきたでしょう?
『お姉ちゃんと仲直りできなかったら』ってさ。
『あ、この子もう心変わりし始めてるなー』って思ったの」
久「その上『白糸台の大将の子を叩き潰せば』でしょ?
まともな神経持ってる人なら、
振り向いてくれるはずないわ」
久「だから、貴女が宮永照と離れるのは必然だったのよ」
咲「でも、じゃあ、どうすればよかったの?」
久「どうしようもなかったんじゃない?
根っこが腐ってるんだもの。
貴女みたいな子は相手側も狂ってないと無理よ。
具体的には私みたいに」
咲「えぇー……だったら、
全国行く前にそう言ってくれればいいじゃん。
そしたら余計な事しなくてすんだのに」
久「ダメダメ、こーゆーのは
実際砕けてみないと理解できないのよ。
無理矢理途中でやめさせて、
『やっぱりあの時ああしてれば……』なんて
未練を引っ張られたくないしね」
咲「うぅ、それを言われると確かに……
ずっと気にしちゃったかも」
久「でしょ。じゃあ二つ目の話。咲、私は誰?」
咲「へ?久お姉ちゃんだよね?」
久「ぶっぶー。正解は『お姉ちゃん』でしたー」
久「貴女のお姉ちゃんは、もう一人しかいないでしょう?
なのに、貴女を捨てた女が『お姉ちゃん』で、
貴女とずっと一緒にいる私が
『久お姉ちゃん』っておかしくない?」
咲「っ……それは」
久「はい、というわけで。
この機会に貴女の脳内を書き換えて?
私が『お姉ちゃん』。
私以外にお姉ちゃんはいない。おーけー?」
咲「っ……お、ねえ……ちゃん」
久「なーに?」
咲「お姉ちゃん!お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!」
咲「お姉ちゃあああん!!!」
久「……はいはい、好きなだけ泣きなさい。
今までよく頑張ったわね。
でも、もう無理する必要はないの――」
--------------------------------------------------------
久「貴女を捨てちゃった人なんて、
貴女もポイッて捨てちゃいなさい?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
リポーター
『竹井咲選手、プロ入り初勝利おめでとうございます』
咲『ありがとうございます』
リポーター
『中堅の竹井久選手が稼いだ貯金を見事に守り切りましたね。
清澄高校時代を彷彿とさせる試合展開でした』
咲『わぁ、ありがとうございます!
私もそのつもりで打ってたのですごく嬉しいです!』
リポーター
『次の相手は横浜ロードスターズです。
横浜の大将と言えば、言わずと知れた宮永選手。
姉妹対決となるわけですが、
意気込みを聞かせていただけますか?』
咲『へ?何の事ですか?』
リポーター
『え、いえ、次の対戦相手がおそらく
お姉さんの宮永照選手になると思われるので、
コメントをいただければと』
咲『ええと……その、失礼ですけど。
誰か別の方と勘違いしてないですか?』
--------------------------------------------------------
咲『横浜に私のお姉ちゃんはいませんよ?
お姉ちゃんは同じチームだし』
咲『だよね?お姉ちゃん』
久『そうね♪』
(完)
家庭環境に問題を抱えた久と咲。
その事実に気づいた久は、咲を猫可愛がりする。
やがて咲も久に懐いて、その姿はまるで姉妹のようで――
<登場人物>
竹井久,宮永咲,染谷まこ,片岡優希,原村和
<症状>
・ヤンデレ
・狂気
・共依存
・異常行動
<その他>
リハビリがてら、このブログ初期の雰囲気で
思いつくままに書きました。
自分の過去作品といくつかネタ被りしてると思いますが
最近筆が止まる理由No1が「自作とのネタ被り」なので
この際あまり気にしない事にします。
(咲だけで350作くらい一人で書いてればそりゃ被るよ……
地雷原タップダンス状態だよ……)
--------------------------------------------------------
久「ねえ、まこ。ちょっと言っておきたい事があるんだけど」
まこ
「なんじゃ、急にあらたまって」
久「最近入ってきた子いるじゃない?宮永さん」
まこ
「プラマイゼロ子がどうかしたんか?」
久「私ね、多分あの子の事猫っ可愛がりすると思うから。
そりゃあもう周りがドン引きするくらい」
まこ
「なしてじゃ」
久「だってさぁ、あの子いろいろアレじゃない?」
まこ
「アレってなんじゃ」
久「麻雀に負けたらおこづかいを巻き上げられる、
でも勝ったら怒られる、だからプラマイゼロにした」
久「賭け麻雀で子供からお小遣い巻き上げるの異常だし、
それで勝ったら怒るとかもう完全に病気でしょ。
絶対ろくな家庭環境じゃないわ!」
久「そもそもさ。そんな状況で麻雀が好きでもないとくれば、
普通は打つ事自体拒否するでしょ。
でも、あの子は打ち続けたのよね?
つまり、対局を強要されてたって事じゃないかしら!」
久「いやぁ酷い家庭よね!かわいそう過ぎて涙腺がゆるむわ!」
まこ
「……ゆるんどるのはほっぺたじゃろ。
何がそがぁに嬉しいんじゃ」
久「んー、嬉しいって言うか親近感?
やっと、自分と同じような子に出会えた、みたいな」
久「よーし可愛がるわよー可愛がりまくるわよー!」
まこ
「……ゼロ子が逃げ出さん範囲で頼むわ」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「よーしよしよーしよし!」
咲「ちょ、ちょっと部長、
ペットじゃないんですから……」
久「またまたー、そう言いながら
ほっぺたゆるみっぱなしじゃない!
可愛いからさらにハグ追加ね!」
咲「も、もう……っ」
咲「……」
咲(……でも)
咲(こんな風に、誰かに
抱きしめてもらえたのって久しぶりかも)
咲(お姉ちゃん……)
久「おっ、いいわねそのたどたどしい感じで
そっと背中に手を回してくるの!」
久「ちょっと予想外だったんだけど。
咲って意外と甘え慣れしてる?」
咲「あ。その、私、お姉ちゃんがいて……」
久「ありゃ、そうなんだ。やっぱりお姉さんも
咲の事こんな感じで可愛がりまくってるのかしら?」
咲「っ……」
久(ビンゴ。地雷踏んだわね)
久「咲?」
咲「その。実は私――」
--------------------------------------------------------
久「いやぁヤバいわねー」
まこ
「気色悪い笑み浮かべてどうしたんじゃ」
久「いやぁ、宣言通り咲を猫っ可愛がりしてたんだけどね?
さらにとんでもない情報が飛び出してきたわ」
まこ
「……これ以上闇が深ぅなるんか」
久「咲の家、両親が別居中なんだってさ。
割と離婚も見えてきてるらしいわ」
久「しかもその原因作ったのがどうも咲らしくってね。
そのせいで大好きだったお姉ちゃんとも
ギクシャクしちゃってるらしいのよ」
久「今回急に全国目指し始めたのも
東京にいるお姉ちゃんと麻雀で会話したいからだって!」
まこ
「なんじゃそりゃぁ……重過ぎてもう何も言えんわ」
久「いやー、なんというかきついわねー。
もう普通には口もきいてもらえないから
せめて昔やってた麻雀でとか!
自分は麻雀嫌いだったくせにねー。
どんだけ人生ハードモードなんだか!」
まこ
「人の不幸を喜ぶのはやめんか」
久「別に喜んではいないわよ?共感できるってだけ。
なんならお姉さんと仲直りできるよう
手助けしてもいいとすら思ってるわ」
久「でも。もし咲が、お姉ちゃんと仲直りできなかったら――」
--------------------------------------------------------
久「別に、私がもらっちゃってもいいわよね?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「祝、地区予選優勝!これで咲の夢も一歩前進ね!」
咲「……そうでしょうか」
久「ありゃ?なんか地区予選始まる前より落ち込んでない?」
咲「テレビ見てたらお姉ちゃんが映ってて。
インタビュー受けてたんですけど」
久「ふんふん」
咲「長野でも『宮永』姓の子が勝ち上がってきて、
もしかして姉妹なのでは?
って記者の人が質問したんですよ」
久「……それで?」
咲「お姉ちゃん。『私に妹はいません』って……」
久「……」
咲「その。今から考えるのは早過ぎるかもですけど。
正直何言ってるんだって自分でも思いますけど」
咲「もし、お姉ちゃんと全部駄目になっちゃったら。
うちの家が完全に駄目になっちゃったら。その時は――」
咲「部長の事、『お姉ちゃん』と思ってもいいですか?」
久「……」
咲「な、なんて駄目ですよね。なんで
こんな気持ち悪い事言っちゃったんだろ。
ごめんなさい、その、忘れてくださ「いいわよ?」
咲「え?」
久「いいわよ?でも、その代わり」
--------------------------------------------------------
久「本当に駄目になった時だけだから、ね」
--------------------------------------------------------
久「咲が保険掛けてきたわ!『お姉ちゃんが駄目だったら
代わりになってください』だって!」
久「いやーダメダメねー。駄目になる前から保険掛けてくるって、
それもう『私がいれば駄目になってもいっか』って
考えてるのと同義よね!」
久「ていうか咲危なくない?こっち来てから
どんどん不安定になってきてるし、
ヤバ目の発言もかなり増えてる」
久「このままじゃお姉さんに会う前に壊れちゃうかもねー。
ていうか、むしろ会わない方がいいんじゃない?」
まこ
「じゃけえ、わしらが何とか舵取りするんじゃろうが」
久「わかってるって。でも、まこが考えるほど
家庭の問題って甘くないのよ?
それに、私達がどんだけ助けたげても、
結局最後は咲の問題でしょ?」
久「咲が、『お姉さん』を諦めて
『久お姉ちゃん』で妥協するなら……私悪くないわよね?
咲が勝手に私を選んだだけだもの」
久「いやー久お姉ちゃんかー、むふふー」
まこ
(……駄目じゃ、もう久もおかしくなっとる。
頼みの綱は咲のお姉さんだけか)
まこ
(じゃが――)
テレビ
『私に妹は居ません』
まこ
(どうしても暗い未来しか描けん)
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「よーし決勝戦に出陣しますかね!って咲、どうしたの?
ずいぶんふさぎ込んでるみたいだけど」
咲「……やっぱりわかっちゃいますか。
さっき、廊下でお姉ちゃんと会ったんです」
久「あらま」
咲「お姉ちゃん、やっぱり何も話してくれなかった。
無視して素通りされちゃいました」
久「そっか」
咲「部長、あの」
久「駄目よ?」
咲「え」
久「当たって砕けるなら全力で砕け散りなさい。そもそも
『口を利いてもらえないから麻雀で』、って
話だったんでしょ?
無視されるなんて最初からわかってた事じゃない」
久「状況は特に変わってない。
ようやくスタートラインに立てたってだけ。
なのにこんなところで諦めてどうするのよ。
代替品で妥協するには早過ぎるわよ」
久「成長したんでしょ?
麻雀で勝つ楽しみを理解できたんでしょ?」
久「貴女の麻雀を見せてあげなさい!」
咲「……!」
咲「そうですよね!白糸台の大将を叩き潰せば、
お姉ちゃんも私をみてくれるはずですよね!」
久「……」
久「私はお姉さんじゃないから保証はできないけど。
やれるだけの事はやってきなさい?」
咲「はい!!!」
--------------------------------------------------------
まこ
「……なあ部長、ちょっとええか」
久「何かしら?」
まこ
「もし、咲が言う通り、咲が白糸台の大将を叩き潰したとして……
そがあな事されて、咲の姉は本当に振り向くと思うか?」
久「さぁ」
まこ
「さぁ、ってお前さん……!」
久「いやいやわかるわけないじゃない。
私は宮永家の事情なんて知らないんだもの。
そもそもそれ言いだしたら、
『麻雀で語る』の時点ですでに意味不明でしょ?
しかも、あの子麻雀嫌いだったんだし」
まこ
「そりゃそうじゃが」
久「あの子が『それで行ける』と思ってる以上、
事情を知らない私達に止める事はできないわよ。
見守るしかないわ」
まこ
「……そうか」
久(ただ、まあ。普通の感覚で考えたら――)
--------------------------------------------------------
久(仲直りどころか、絶縁レベルで喧嘩売る行為だけどね?)
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
咲「……」
久「こんなところにいたのね」
久(綺麗な目してるわね。新月みたいに真っ暗)
咲「部長」
久「今までお疲れ様」
咲「部長。私、頑張りました。
言われた通り全部出し切って、
ちゃんと全員叩き潰してきました。
……ちゃんと、当たって砕け散りました」
咲「だから。もういいですよね」
咲「ここまでして駄目だったんだから……
私の、お姉ちゃんになってくれませんか?」
久「うーん。ねえ咲。それって本当に私じゃないと駄目?」
咲「え」
久「そんな風に、簡単に乗り換えられちゃうならさ。
別に私じゃなくてもいいんじゃないの?」
久「自分よりちょっと年上で、頼りがいあって
優しくしてくれる人なら誰でもいいんじゃない?」
咲「そ、そんな事ありません!!
わた、私は、部長だから……っ!!」
久「うーん。でも今まさに
乗り換えの現場を見せられる私としては、
ちょぉーっと信憑性に欠けるわねー」
--------------------------------------------------------
久「はい。というわけで証明して?
貴女が私に向ける愛が、半端じゃないって証明を」
--------------------------------------------------------
久「そしたら貴女を愛してあげるわ。そして一生離さない」
--------------------------------------------------------
久(貴女が離れたいと願っても、ね?)
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
優希
「さ、咲ちゃん。『それ』何だじぇ?」
咲「え?見ての通り首輪だけど」
和「そ、その。それで個人戦に出るつもりですか?」
咲「うん。それが、久お姉ちゃんが
私を妹にしてくれる条件だって」
優希
「そ、そんな事したら……
全国放送でさらし者だじょ?」
咲「うん。それが久お姉ちゃんの狙いなんじゃないかな」
咲「そんなので久お姉ちゃんが
お姉ちゃんになってくれるなら安いもんだよ」
和「あの……そもそも、先ほどから言ってる、
『お姉ちゃん』って何なんですか?」
咲「もう本物のお姉ちゃんと仲直りするのは無理だから、
久お姉ちゃんの妹にしてもらおうって」
和「そんな……」
優希
「さ、咲ちゃん……狂っちゃってるじょ……」
咲「あはは、わかってるよ。私がおかしい事くらい」
咲「というか――」
--------------------------------------------------------
まこ
「部長。お前さん、咲に首輪つけろって命令したんか?」
久「命令はしてないわよ?
咲の愛が本物か、証明してってお願いしただけ」
まこ
「なしてそがあな事言ったんじゃ……」
久「考えたの。もし別れちゃった時、
一番ダメージがでかい方法って何かなーって。
離婚とか案外余裕なのよね。
案外みんなドライだし、他人の色恋なんて興味ないもの」
久「……子供は、一生消えない傷を負ったまま
生きていかないといけないのに、ね?」
久「でもね?思ったの。全国区で晒し者になったらどうかしら?
『あの子は異常だ』ってレッテルを張られてたらどうかしら?」
久「その上で離婚とかしたら、多分再起不能よねー。
一生後ろ指さされるんじゃないかしら?」
まこ
「意味がわからん。そもそも咲は姉を求めとるんじゃろ。
なしてそがあな脅迫をする必要があるんじゃ」
久「姉でも恋人でも一緒でしょ?
一度私を求めたなら、離れていく事は許さないわ。
こっちはもう完全にその気なんだから」
久「本当は身体に名前でも彫ってほしかったんだけどねー。
流石にそれやっちゃうと出場停止よね?
ま。それは全部終わってからにするわ」
まこ
「部長、あんた……狂っちょるわ……」
久「あはは、今更何言ってるの。
私がおかしい事なんて最初からわかってた事でしょう?」
久「そもそも――」
--------------------------------------------------------
咲「自分の命より大切だった人と、
一生離れ離れになるって言われて。
それでも平気で生きていけるなら」
久「その方が『狂ってる』と思わない?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
久「さ、ここが新しい私達のハウスよ!」
咲「こじんまりしてるけどいい雰囲気だね」
久「小さいくらいがちょうどいいのよ。
手を広げ過ぎると何もかもが疎かになるから」
久「咲とくっついて寝るだけなら、
本当なら六畳一間もあれば十分。
それとも自分の部屋欲しかった?」
咲「ううん。むしろ、お部屋別れてたら
どうしようって考えた」
久「でしょでしょ。さ、入りましょ!」
久「と、この部屋で二人暮らしを始める上で。
二つ言っておかないといけない事があります」
咲「なに?」
久「一つ目。これは懺悔なんだけどね?
私、こうなる事が全国に行く前から大体予想できてたの」
咲「えぇ!?どうして!?」
久「だって咲、保険掛けてきたでしょう?
『お姉ちゃんと仲直りできなかったら』ってさ。
『あ、この子もう心変わりし始めてるなー』って思ったの」
久「その上『白糸台の大将の子を叩き潰せば』でしょ?
まともな神経持ってる人なら、
振り向いてくれるはずないわ」
久「だから、貴女が宮永照と離れるのは必然だったのよ」
咲「でも、じゃあ、どうすればよかったの?」
久「どうしようもなかったんじゃない?
根っこが腐ってるんだもの。
貴女みたいな子は相手側も狂ってないと無理よ。
具体的には私みたいに」
咲「えぇー……だったら、
全国行く前にそう言ってくれればいいじゃん。
そしたら余計な事しなくてすんだのに」
久「ダメダメ、こーゆーのは
実際砕けてみないと理解できないのよ。
無理矢理途中でやめさせて、
『やっぱりあの時ああしてれば……』なんて
未練を引っ張られたくないしね」
咲「うぅ、それを言われると確かに……
ずっと気にしちゃったかも」
久「でしょ。じゃあ二つ目の話。咲、私は誰?」
咲「へ?久お姉ちゃんだよね?」
久「ぶっぶー。正解は『お姉ちゃん』でしたー」
久「貴女のお姉ちゃんは、もう一人しかいないでしょう?
なのに、貴女を捨てた女が『お姉ちゃん』で、
貴女とずっと一緒にいる私が
『久お姉ちゃん』っておかしくない?」
咲「っ……それは」
久「はい、というわけで。
この機会に貴女の脳内を書き換えて?
私が『お姉ちゃん』。
私以外にお姉ちゃんはいない。おーけー?」
咲「っ……お、ねえ……ちゃん」
久「なーに?」
咲「お姉ちゃん!お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!」
咲「お姉ちゃあああん!!!」
久「……はいはい、好きなだけ泣きなさい。
今までよく頑張ったわね。
でも、もう無理する必要はないの――」
--------------------------------------------------------
久「貴女を捨てちゃった人なんて、
貴女もポイッて捨てちゃいなさい?」
--------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------
リポーター
『竹井咲選手、プロ入り初勝利おめでとうございます』
咲『ありがとうございます』
リポーター
『中堅の竹井久選手が稼いだ貯金を見事に守り切りましたね。
清澄高校時代を彷彿とさせる試合展開でした』
咲『わぁ、ありがとうございます!
私もそのつもりで打ってたのですごく嬉しいです!』
リポーター
『次の相手は横浜ロードスターズです。
横浜の大将と言えば、言わずと知れた宮永選手。
姉妹対決となるわけですが、
意気込みを聞かせていただけますか?』
咲『へ?何の事ですか?』
リポーター
『え、いえ、次の対戦相手がおそらく
お姉さんの宮永照選手になると思われるので、
コメントをいただければと』
咲『ええと……その、失礼ですけど。
誰か別の方と勘違いしてないですか?』
--------------------------------------------------------
咲『横浜に私のお姉ちゃんはいませんよ?
お姉ちゃんは同じチームだし』
咲『だよね?お姉ちゃん』
久『そうね♪』
(完)
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/186201653
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/186201653
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
たくさん執筆されただけに新たな問題が…
でもその分ぷちどろっぷさんのSSをたくさん読めるので読む側としては嬉しいですね
今後の作品も楽しみにしていますが無理はなさらず体調にはお気をつけください。
ネタ被りでも私は気にしませんよ
咲だけで350以上ってすごいですね……もう何年ぷちさんの作品を読ませていただいているのやら
あと、珍しく黒久がリードする奴
ひっささき!ひっささき!
咲「特に久咲なんかは90本近く
書いてるはずなので厳しいんですよね」
久「てか90って。改めて数えてみると狂気ね!」
意味もなく叩き潰された淡>
咲「ま、まあ競技である以上
理由が何であれ全力でぶつかる事は
同じですし」
久「そりゃまぁそうだけども
理不尽感はぬぐえないわね」
久しぶりの久咲うれしい>
咲「久しぶり過ぎて
久咲ブログとして申し訳ないです。
楽しんでいただけたら幸いです」
久「いつの間にそんなブログになったの!?」
やっぱり咲さんには首輪>
久「従順なのもそうなのだけど、
嬉しそうに喜んでつけそうな歪さがね」
咲「誰かに所有されるのって幸せだと思うよ?」
珍しく黒久がリードする奴>
久「組み合わせ的には私が謀略しそうなんだけど
最近原作で咲の黒さが際立ってるからねー」
咲「お姉ちゃんもきっとこれから黒くなるよ」
こういう作品が好きな作者がこういう作品を書いてそれを好きな読者がそれを読む。
似てるから筆を止めるなんてまったく理由にならないよ?だって似たような作品だから読んでるんだから。
なのでネタ被りなんてどうでもいいので更新お願いします!こっちだって似たような作品だから読んでるんだからさ!?
マント羽織って出場してるゆーきは、全国で晒し者とか言えない気が…