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【咲-Saki-SS:宮永照】 『私は麻雀、好きじゃないんです』ー後編ー【シリアス】

<あらすじ>
照「続きものだよ。前編は冒頭のリンクを辿ってね」

<登場人物>
宮永照,西田順子,弘世菫,宮永咲,大星淡,山口大介,埴渕久美子

<症状>
・シリアス
・心的外傷後ストレス障害
・自殺未遂

<その他>
欲しいものリクエストに対する作品です。
ご支援ありがとうございました!

※リクエスト内容が詳細で『ほぼほぼ全ネタバレ』になるので、
 本作品完結時の末尾に記載させていただきます。



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(『前編』はこちら)




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 最近毎日問い掛けている。

 私がしたかったのは、本当に『これ』だったのか?
麻雀関係の仕事につけたらそれで幸せ?
断じて違う、そもそも私は『麻雀が好きではない』のだから。

 私が求めたのは『贖罪』だった、
妹の人生を台無しにした分、せめて誰かを救いたかった。

 なのに――。


「私は、何のために記者になったんでしょう」


 飲み会の席で零してしまう。
お酒が入ったのもまずかったのか、珍しく愚痴を吐いていた。
今まで隠してきた思い。でもそれを、
『他人に吐けるようになった事』も、
きっと幸せな事なのだろう。


「おかげさまで、私の人生は順風満帆です。
 人には迷惑を掛けておいて、平気な顔で生きている」


 そう、私だけが幸せだ。咲を無残に壊しておいて、
自分だけ幸せを満喫している。なんて醜い女だろう、
私があの時目指したものは、こんな醜態だったのか?


「違う。私が目指した姿はこれじゃない」


 突然毒を吐き始めた私、飲み会の空気が冷えていく。
それでも優しい人達だ、私を慰めようとしてくれた。
その優しさが身に染みる。染みて、爛れて、酷く痛い。


「照ちゃんの言いたい事はわかるわ。確かに私が示した道と、
 今貴女が歩んでいる道は全然違う」

「でも、それって悪い事じゃないのよ?
 そもそも危機に見舞われてる人なんていない方がいいんだし」


 もちろんちゃんとわかってる。『不幸は探すものではない』のだ。
私が記者になって4年、不幸に触れる事はなかった。
喜ぶべき事だろう、私が救うべき人間などいなかったのだから。


「でも。だとしたら、結局振出しに戻りますよね。
 私は何のために麻雀記者になったんですか?
 救うべき人がいないなら、私がやる必要もないですよね?」


 脳内の咲が叫んでいる。咲から一人遠ざかり、
幸せを満喫している私を、毎日糾弾し続けている。


『なんでお姉ちゃん幸せになってるの?』
『自分の罪を忘れちゃった?』



『すごいね、もう私なんてどうでもいいんだ』


 退院してから4年が経つ。でも、
私は今も脳内に咲を飼ったままだ。
毎日膝を抱えて眠る、罪の意識は変わらなかった。


「その。まだ妹さんとは向き合えない?」

「どの顔を下げて会えますか? 
 『私は咲を不幸にしたけど、幸せで元気いっぱい働いてるよ』?
 ただの嫌がらせじゃないですか、合わせる顔がありません」


 いけない、当たりが強くなっている。
これではただの八つ当たりだ。
悪いのは全て私、逃げ続けている私が悪い。
なのに私は駄目過ぎて、支えてくれる人を傷つける。

 ああ、結局前と同じだ。私は何度も繰り返す。
あの日虎姫にしたように、周囲に迷惑を掛け続けるのだ。

 希死念慮がぶり返す、咲の声が甘く聞こえた。
『そうだよ、やっと思い出してくれたね。
 お姉ちゃんは死ぬべきなんだよ』

 衝動的に手首を握る。爪が肉に食い込んで、
不気味に鬱血し始める。西田さんが口を開いたのは、
丁度そんな時だった。


「わかったわ。じゃあ、もう一歩踏み出しましょう」

「踏み出す?」

「ええ、実は最近見つけちゃったのよ。
 ……貴女も、名前くらい聞いた事があるんじゃないかしら」


 西田さんは逡巡するも、結局はそれを口にした。
私の『転機』になり得る存在、あるいは『諸刃の剣』になる子。


「『あの宮永照の再来』、そう呼ばれてる子がいるわ。
 そして私もそう思う。もしこのまま行ったなら――」



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「あの子は、本当に『再来』になっちゃうでしょうね」




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 数日後。学校でのインタビューを取り付けた私は、
単身で『彼女』の取材に向かう事になった。


「……それでは取材に行ってきます」


 相当酷い顔だったのだろう、同僚みんなから心配される。
西田さんに至っては、こんな過保護を申し出てきた。


「本当に大丈夫? やっぱり私が変わろうか?」

「この仕事から外すなら、私はこの場で辞表を出します」


 西田さんが顔を引きつらせる。でもそこは流石に先輩なのだろう、
最後はゆっくり微笑むと、私の肩を優しく叩いた。


「初心を忘れちゃだめよ。昔の貴女を相手にしてると思いなさい」

「昔の私ですか、それはさぞかし最悪ですね」

 何しろ私は自分が嫌いだ、誰より一番憎んでいる。
どうか私と似ていませんように。居るはずもない神に縋りつつ、
私は事務所を飛び出した。



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「Weekly麻雀TODAYの宮永照です。本日は、
 インタビューを快諾くださってありがとうございます」

「……いえ、こちらこそ。お会いできてうれしいです」


 『あの宮永照の再来』。

 そんな『蔑称』で呼ばれる『彼女』は、
どれほど酷い存在なのか。勝手に戦々恐々するも、
会ってみたらそうでもなかった。

 というか普通に別人だ。外見はもちろん性格も、
ほとんど似ても似つかない。
高校1年生のあどけなさも相まって、
普通に無害な少女に見えた。


(一体みんなは何を見て、『彼女』に蔑称を付けたんだろう)


 もしかして、単純に『全国三連覇が狙える逸材』とか、
その程度の意味しかなかったのだろうか。
って、そんな馬鹿な。そんなくだらない理由なら、
西田さんがわざわざ私から隠すわけがない――。


(まあいいや、まずは取材を始めよう)


 インタビューの内容は、基本的なプロフィールにも触れている。
そこからわかる事も多いはずだ。


「初めての取材と言う事で、基本的な事から聞いていこうと思います。
 いくつか質問しますけど、気軽に答えてもらえたら嬉しいです」

「……はい、よろしくお願いします」


 穏やかな雰囲気で始まったインタビュー、
まずは一番の基本から。『麻雀を始めて何年か』、
後は『麻雀を始めた理由』に焦点を当てよう。
なんて事を思っていたら、いきなり『彼女』が闇を孕んだ。


「麻雀歴は確か6年くらいです、小学校の途中から始めました。
 麻雀を始めたきっかけは――」

「宮永照さん、貴女です」

「…………詳しく聞かせてもらってもいいですか?」


 『彼女』はニッコリ微笑んだ。でも、放つ気配は確かに『敵意』。
間違いない。理由はわからないけれど、『彼女』は私を『憎んでいる』。


「ごくごく平凡な理由ですよ、テレビで見て憧れたんです。
 『こんな風になりたいな』、そう思って牌を握り始めました。
 まさか、それから2年も経たず引退されるとは思いませんでしたが」

「……引退ではないですよ。普通に高校の部活動に参加して、
 卒業と同時にやめただけです」

「そんな言い訳が通用すると思いますか?」


 『彼女』が目を細めると、周囲の景色がぐにゃりと歪む。
明らかに『怒り』が混じり始めた。
わからない、何が『彼女』を駆り立てる?


「プロ行き志望を宣言して、半ば内定してましたよね?
 違約金の有無が論じられる状況だったはずです。
 それのどこが『高校の部活動止まり』なんですか?
 これ以上失望させるのはやめてください」

「どうか聞かせてもらえませんか?
 あれほど才能に満ち満ちていた貴女が、
 唐突に『麻雀界から逃げた』理由を」

「……これは貴女のインタビューだよ。
 私を詰問する取り調べじゃない」


 糾弾を続ける『彼女』を前に、つい丁寧語が剥がれ落ちる。
と言うか普通に失礼だ。誰が初対面の『赤の他人』に、
そんなプライベートを赤裸々に話す?

 私の顔に『軽蔑』が滲み始めた事に、
『彼女』は気づかなかったらしい。
一人ヒートアップして、自分勝手な主張を繰り返している。


「いいえ、絶対やめません。言ったでしょう?
 私は貴女に憧れて雀士を志したんです。
 その憧れの雀士が『逃げて』、なぜか記者に収まっている。
 まるで納得できません、貴女に何があったんですか」

「残念ながらインタビューは無理そうだね。
 後日、別の人に来てもらうとしよう」

「ここでもまた逃げるんですか?
 念のため言っておきますが、もし貴女が逃げるなら、
 私は今後『Weekly麻雀TODAY』からの取材を拒否します」

「……そう来るか」


 酷く単純で雑な脅迫、でも非常に有効だった。
何しろ『宮永照の再来』だ。『彼女』に締め出される事は、
麻雀雑誌の出版社としては普通に死活問題だった。
私が折れるしかないだろう。

 だが、それはあくまで『社会人としての選択』だった。
今この瞬間、私の中で『彼女』の評価は地に落ちる。
何が『私の再来』だ、私未満の畜生じゃないか。


「『会社を人質に取る』なら仕方ないね。
 わかった、貴女に話してあげる。
 でも、この秘密は菫――チームメイトの親友にすら、
 隠し続けてきた『傷』なんだ」

「人には誰しも傷がある、触れられたくない心の傷が。
 貴女はそこに土足で踏み入ろうとしてきてる。
 『赤の他人に過ぎない貴女』が、酷く卑怯な手を使ってね」

「宣言するよ。この方法で私の秘密を暴くなら、
 私の中で貴女の評価は『最低最悪の屑』で固定される。
 さらにもう一つ。貴女が私を社会的に脅迫して、
 『一般人の秘密を無理矢理暴いた』事も記事に乗せるね」


「それでもいいなら話すけど――本当に貴女はそれでいいの?」


 今度は『彼女』が脅迫される番だった。
当たり前の事だろう。人を脅迫する以上、
やり返される覚悟を持つべきだ。

 確かに私は社会人、会社の利益は優先すべき。
でも同時に、『彼女』を調子に乗せるわけにもいかなかった。
安易に『前例』を作ってはいけない。
そんな事になってしまえば、こいつは今後、
全方位に脅迫を始めるだろう。


「っ……!」


 ここまで手酷く反撃を食らうとは思っていなかったのだろう。
『彼女』は視線を泳がせて、戸惑いに唇をもごつかせる。
でもやがては項垂れて、肩を落として口を開いた。


「……わかりました。その『秘密』は聞きません。
 ただ一つだけ、貴女が過去に
 インタビューした内容について教えて下さい」

「内容によるかな」


 『彼女』は力なく立ち上がり、よろめきながら本棚に向かう。
でも迷う事なく一冊の雑誌を取り出して、
折り目のついたページを的確に指し示した。


「ここです、貴女が麻雀を続ける理由。
 高校二年生の夏、貴女はこう応えています」


 眉を顰めて視線を落とす、そこにはこう書かれていた。
まだ『一縷の望みに縋っていた頃』だ。


『私にとって麻雀は「人との縁を繋ぐもの」です。麻雀を通して、
 大切な人と繋がる事ができたらいいなと思っています』


 『彼女』の目から涙がこぼれた。


「わかっています。私はただの一ファンです、
 貴女が私を知るはずがない。貴女が語る『大切な人』の中に、
 当然含まれてはいないでしょう」

「でも、私はこの言葉に感銘を受けたんです。
 だから貴女に憧れた、『麻雀で縁を繋ぎたいと思った』」

「なのに当の貴女自身は、何も言わずにやめてしまった!!
 縁をぶった切ったんです! その理由を聞きたがるのは、
 そこまで罪深い事ですか!?」

「私、貴女に人生を狂わされたんですよ!?」


 涙ながらの糾弾は、私の心を鋭く抉った。
ああ。まさかこんなところに、『私の被害者』が居るなんて。

 『彼女』にとっての私は『菫』だ、安易に道を示してしまった。
理由はよくわからない。でも、確かに『彼女』は救いを覚え、
私に憧れ縁を繋いだ。

 なのに私は断ち切った。菫のように寄り添うでもなく、
酷くあっさり一方的に。『彼女』が悲しむのもまた道理だろう。

 もちろん知った事ではない、縁を繋ぐにも限度がある。
名前も知らないファンの縁まで、いちいち気にしてたらきりがない。
あまりに理不尽な要求だ、そう思う気持ちは確かにあった。

 でも、もう切り捨てる事はできなかった。
涙でぼやける『彼女』の瞳、そこに『過去の自分』を見つけてしまう。
菫から提示された微かな『希望』、それに縋りついたかつての自分を。

 自然と口を突いて出た、酷く曖昧で奇妙な質問。
それでもなぜだか確信していた。確かに『彼女』は『再来』だ。
そしてもし、『彼女』が私の『再来』なら――。


「……私からも聞かせて欲しい。
 貴女が本当に縁を繋ぎたい相手は、『私』?」


 『彼女』が全身を震わせた。それを見て私に恐怖が走る。
ああ、ああ。やっぱりだ。正直もう聞きたくない、
それでも聞かないわけにはいかなかった。

 相手が私なら問題ないはずなのだ。
麻雀をやめて消えた私と、見事に縁を繋いで見せた。
なのに『彼女』は憤る、『人生を狂わされた』と嘆く。
つまり、『彼女は目的を達成できてない』って事だ。

 どうか予想が外れて欲しい、そう願いつつ天に祈るも、
やはり神などいなかった。やがて『彼女』は目を伏せて、
ぽつりと小さくこう吐き出す――。



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「……縁を繋ぎたいのは、『妹』です」




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 そう言って、『彼女』は一人顔を覆った。




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 仕切り直して数分後、私は『彼女』に全てを話した。
『そうする必要がある』と思ったからだ。

 私は『彼女』をよく知らない。今『彼女』とその妹が、
どんな状況にあるのかはわからない。
でも、もし『彼女』がまだ『間に合う』のなら。
どうか、私を反面教師にして欲しい。


「――というわけで。
 私が麻雀を打っていたのは貴女と同じ、
 妹と縁を繋ぐため」

「でも、私は最後に失敗した。
 麻雀は私達の縁を繋いではくれなかったんだ」

「それ以来私は精神病を発症して、
 牌を握る事すらできなくなった。
 別に止めたかったわけじゃない。
 でも、もう打つ事はできなかったんだ」

「ううん、この際言い訳はやめちゃおうか。
 私はもう、麻雀を打つ事に価値を見出せなかったんだと思う」


 私の独白を聞く間、『彼女』は終始泣きじゃくっていた。
どうか、その涙が『憐憫』であって欲しいと切に願う。
でも残念、現実はどこまでも残酷だ。
『彼女』の涙は『共感』で、未来に怯える『恐怖』だった。


「私も、ほとんど似たような状況です」


 涙の痕をつけたまま、『彼女』はぽつりと語り始める。
今から6年前の夏、『二人』は揃って麻雀を始めた。
理由を作ったのは私。『麻雀で大切な人との縁を繋ぐ』、
その言葉が琴線をつま弾いたらしい。

 そこには暗い理由があった。両親の仲は冷めきっており、
すでに離婚が見えている。いずれ『二人』は引き離されて、
そのまま別れてしまうだろう。


「だから麻雀を選んだんです。いつか離れてしまっても、
 また再び出会えるように」


 だがここで問題が生じる。
『姉』は才能に恵まれていた、だが『妹』に才能はなく。
『二人』の実力はどんどん離れ、もはや天と地まで開いてしまった。

 そして離別が訪れる。一人ぼっちの『彼女』に残されたのは、
『縁を繋ぐための麻雀』だけ。あまりにか細い蜘蛛の糸、
それでも『彼女』は縋るしかない。


「もう、居場所もわからないんです。
 離婚した後住居を引き払ったので、
 どっちも住所が変わってます」

「妹側の新居は教えてもらえませんでした。
 だから――私には麻雀しかないんです」


 『彼女』の声は震えていた。それも仕方のない事だろう。
縁を繋ぐための麻雀、でも本当に繋げているのか?
『妹』は今も麻雀に興味を持っているのだろうか?
まるで才能がない麻雀に?

 私は独り唇を噛む。ああ、本当に『再来』だ。
咲の泣き顔が思い浮かぶ。負けてはお小遣いを巻き上げられ、
勝っては周りに怒られて、結局ずっと泣いていた。
あの頃咲は口癖のように言っていた、『麻雀全然楽しくない』と。
ああ、そんなところまで似せなくてもいいだろうに。


「宮永さん。貴女から見て、『私はまだ間に合います』か?」


 縋る瞳に捉えられ、思わず顔を背けそうになった。
私に聞かれても困る、そもそも私は失敗したのだ。
そんな脱落者の意見など、聞く事に何の価値がある?
それでも言わないわけにもいかない。口をつぐみ続ける事は、
死刑宣告を告げるのと同じだから。


「ごめん、私にはわからない。
 でも、貴女が逃げたら全てが終わるよ。
 実際、私がそうだったから」


 我ながら酷い言い草だ、『彼女』は再び泣き崩れた。
『もう諦めて楽になろう』、そう声を掛ける事もできたはずだ。
多分その方が『彼女』にとっても楽だったろう。

 なのに私は道を示した、より険しい茨の道を。
一寸先はまるで見えない、前途多難で危うい道を。

 それは私の単なる我儘。例え一縷の望みでも、
まだ救われる可能性があるのなら、その光に懸けて欲しかったのだ。
だって『彼女』が救われないなら――。



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 私はもう、生きていられる自信がないから。




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 苦悩を共有する事で、『彼女』と私は仲良くなった。
毎日のように相談を受け、私も小まめに『彼女』を訪ねる。
最初の敵意が嘘のように、『彼女』は私にべったり懐いた。

 だからと言って、現状維持では意味がない。
結局のところ、これは単なる『現実逃避』だ。
『妹』に会えない寂しさを、代替品で満たしているだけ。

 『彼女』を本当に救うには、『妹』を探す必要があるだろう。
そしてそれこそが、私が麻雀記者を志した本懐でもあった。

 『妹』の足跡を調べ始める。
かつて西田さんが私にしたように、かつての小学校を起点にして。
周囲の人間に聞き込みをしたり、SNSを洗ったり。
まるで探偵さながらの、酷く地道な調査が続く。


 周囲からは煙たがられた。頻繁に出入りを繰り返すうち、
学校からは出入り禁止を食らってしまった。
それもまた道理だろう。私がしている事は完全に野次馬、
他人の家庭に土足で踏み入る行為なのだから。
さらには『彼女』の父を直撃し、こんな言葉を投げ掛けられる。


『今は大切な時期なんです、余計な事はしないでください』


 殺意で気が狂いそうになった。

 ああ、まったくもってその通りだ。
『大切な時期』だからこそ、今動かなければ全てが終わる。

 それとも何か? お前はまさか、
『彼女が妹との縁を取り戻す事』よりも、
『彼女がインターハイで活躍する事』を
『大切』だとでも言いたいのか?
お前達の愚かな行為で、二人を引き裂いておきながら?

 だが、彼らの考えも全くの間違いではないのだろう。
事実私が動き始めた事で、『彼女』の様子が変わり始める。

 おそらくは親や学校からの圧力を受けたのだろう。
『彼女』は日に日に狂っていく。言動に歪さが混じり、
本当に『私みたいに』なってきた。

「毎日が不安で仕方ないんです、本当にこれでいいのかと」

「脳内の妹が語り掛けてくるんです。
 『いつまで無駄な事してるの。
  私はもう、麻雀なんかに興味はないよ?』って」

 全身を戦慄が襲った。

 私が『彼女』と親交を深めるたび、『彼女』のために動くたび。
『彼女』はどんどん私に近づき、その精神を歪ませていく。

 不安が脳裏を犯し始めた。
私のやっている事は正しいのだろうか。
他人の領域に勝手に踏み込み、結果失敗したらどうなる?
私が今している事は、本当に『彼女』のためになっているのか?

 そもそも私にできるのか?
自分の妹とすら満足に和解できない私が、
他人の面倒を見ている余裕なんてある?
成功体験を持たない者が、本当に『彼女』を導けるの?


『本気でできると思ってる? できるわけないよ。
 できるって言うのなら、まずは「私」を救ってよ』

『ねえ。お姉ちゃんは何のために、
 こんな「無駄な事」をしてきたの?』


 脳内の咲が囁いた。それが『とどめ』だったのだろう、
視界が一気に暗転し、私はその場に倒れこんだ――。



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 次に目を覚ました時、舞台は病院へと移動していた。

 って、前にもこんな事があったな。
あれは確か、初めてPTSDで倒れた時だった。
つまり、私はあの頃に逆戻りしてしまったわけか。

 だが違う事もある。病室で私を出迎えたのは、
医者ではなく西田さんだった。


「よかったわ、目が覚めたみたいね」

「……私は?」

「過労で倒れちゃったのよ、いくらなんでも働き過ぎ。
 2〜3日はここで休養ね」

「そんなにも時間を浪費できません。
 私はもう大丈夫です、今すぐ退院させてください」

「ないない。自分の状況もわかってない人に、
 『大丈夫』とか言われても説得力ゼロだから。
 これは上司命令よ、休みなさい。
 じゃないと会社が責任を問われるわ」


 反論できず黙り込む。そうだ、私はもう子供じゃない。
会社に属する社会人。私が倒れた責任は、会社が負う事になる。

 そう言われてしまっては、俯かざるを得なかった。
意気消沈して沈黙する私に、西田さんが苦笑する。


「そう言うところは変わらないわね」

「……そうですね。私は結局何も変わってない」


 勝手に自己完結して、周りを好き勝手に振り回して。
それでいて事態を悪化させ、最後は全てをぶち壊す。


「私のしていた事は、間違いだったんでしょうか」


 口に出したその言葉は、半ば敗北宣言だった。
思えばいつも最後はこうだ。
『お姉ちゃんは何のために麻雀を打ってたの?』
『お姉ちゃんは何のために、こんな無駄な事をしてきたの?』
咲の問いに答えられない、だって全てが無意味だから。

 涙が頬を伝っていく。静かに壊れていく私に、
でも、西田さんは『待った』を掛けた。


「照ちゃん。何が正解で何が間違いかなんて、
 終わってみないとわからないわ。
 よく考えて。今回の件はもう終わったの?」

「……わかりません」

「だったら、間違ってるなんて言えないじゃない」


 そう言って西田さんは笑う。
でもごめんなさい、詭弁としか思えなかった。
正解と間違いは確実に存在する。終わらなければわからない、
それは単なる思考の放棄だ。
周囲をまるで顧みず、崖にアクセスをふかして突っ込むのか?


「現状私の行動は、全て悪い方向に向かっています。
 『彼女』は私に依存して、どんどん私に近づいている。
 このままいけば、『彼女』は『再来』になるでしょう」

「西田さんは、それでも私の背中を押せますか?」


 『彼女』の顔を覗き込む。きっと私は酷い顔をしていただろう。
『彼女』は一瞬たじろいで、でも、それでも私を見つめ返した。


「押せるわ。だって『彼女』の気持ちをわかるのは、
 貴女以外にいないでしょうから」

「いい結果の保証はできないわ、動かない方がいいかもね。
 でも、悪い結果の場合は私が責任を取る。
 上司になるってそう言う事よ」

「ねえ。照ちゃん、思い出して? 
 貴女は今から4年前、私にどうして欲しかった?」


 決まってる。酷く他人任せでずるいけど、
『咲との仲を取り持って、背中を押して欲してくれたなら』。
そんな図々しい事を願ってた。全てが終わった今だからこそ、
気づいた思いではあるけれど。


「もう一歩、強引に動いて欲しかったと思ってます」

「でしょ? だったら答えは出てるじゃない。
 私もあの時の行動を『間違い』だとは思ってないわよ?
 ただ『間に合わなかった』だけ」

「間違いがあったとしたら――『動くのが遅過ぎた』事よ」


 ほとんど反射で起き上がる。
そんな私を無理矢理寝かせ、
西田さんは呆れたように肩をすくめた。


「ちょっとこんがらがって来たし、話を最初に戻しましょっか。
 照ちゃんが変わってない駄目なところはね、
 『何でも一人で解決しようとする』ところ」

「記者は基本チーム戦、もっと仲間を頼りなさいよ。
 情報を足で稼ぎたいなら、照ちゃんより適役がいるでしょう?」

「ほら、貴女の目の前に」


 ああ、そうだ、その通りだ。

 また自分の殻に閉じこもっていた。
『彼女』は私の再来だから、自分の手で片を付けないといけない。
そう勝手に思い込み、まるで周囲が見えてなかった。
大切なのは『私が満足できるかどうか』じゃない、
『彼女を救えるかどうか』なのに。

 誰が解決してもいい。最終的に、
『彼女』が救われればそれでいいのだ。
そんな単純な事ですら、私は見えなくなっていた。
それこそ私があの頃に、助けを求めていた癖に。


「すぐに回復して復帰します。それまで、
 いくつかお願いしてもいいですか?」

「もちろん! どーんと先輩に任せなさい!」


 西田さんが薄い胸を張る。そしてドスンと胸を叩いて、
その後ケホケホせき込んだ。
 さらには山口さん、埴渕さん、そして私の後輩が、
雪崩のように押し掛けてくる。


「話は聞かせてもらったよ。俺も一口乗せてもらおう」

「私も! というか照ちゃん水臭いよ!
 一人で抱え込まないで、少しは私達の事も頼って?」

「そうですよ! 私達『チーム』じゃないですか!」


 ああ、私は本当に愚かだった。こんなに頼りになる人達を、
無視して一人であがくだなんて。

 きっとそれは今に始まった事じゃなくて、
虎姫時代もそうだったのだろう。
菫も、淡も、尭深も、亦野も。もっとみんなに寄りかかれれば、
結果は変わっていたに違いない。


「ありがとうございます。申し訳ないですけど、
 全力で寄りかからせてもらいます」


 遅過ぎるかもしれないけれど、
今からでも頼ってみよう。私が持てる人脈をフルに頼って、
なんとしてでも『彼女』を救う。
こうして私は数年ぶりに、『虎姫』の皆に電話を掛けた。



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 突破口は意外なところから見つかった。

 虎姫の皆に連絡し、事態を相談してみたところ、
なんと菫からこんな情報が飛び出してきたのだ。


『その「妹」、会った事があるかもしれない』


 菫曰く、過去に『少女』が大学まで訪ねて来たらしい。
宮永照に憧れて、『姉』と二人で麻雀を始めた。
でも家庭の事情で二人は離別、もう居場所もわからない。
それでも『姉』は天才だから、きっとインターハイに出てくるはずだ。
そう、あの宮永照のように。


『その時に、自分もインターハイに出たい。
 そのための力を身につけたかったそうだ。
 本当はお前に直接会いたかったが、お前の居場所はわからない。
 で、お前に一番近かった私の方に来たそうだ』

「そ、その後は?」

『残念ながら、短期では開花させてやれなかった。
 だから長期戦を覚悟して、白糸台を受験するように勧めたよ。
 そしたら私もOGとして、定期的に指導できるしな』

「じゃあ、今、『彼女』はどこに?」

『詳細まではわからないが、確か日ヶ窪に住んでると言ってたぞ。
 少なくとも白糸台には通える範囲って事だ』

「ありがとう、菫。本当にありがとう……!!」


 そこまでわかれば後少しだ。日ヶ窪周辺にある中学校、
しらみつぶしに回ればいい。足で探せば何とかなる。


「というわけで皆さん、日ヶ窪周辺にある中学校への
 聞き込みをお願いしてもいいですか?」

「妹さんの方は多分旧姓に変わっているので、
 こっちの名字になるはずです。もし麻雀部に所属してれば、
 記者の取材って事で行けると思います」


 同僚は快く引き受けてくれた。
と言うより、私が動くよりもよっぽど効率的だったろう。
『チームWeekly麻雀TODAY』はその経験を存分に活かし、
私が入院していた3日の間に、『妹』の所在を突き止めてしまった。

 『彼女』の住処は南日ヶ窪。なんとその登校先は、
かつて淡が通った古巣――南日ヶ窪中学だった。



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 病院を退院した私は、すぐさま『彼女』に連絡を取る。
家は出禁を食らっているから、近くのカフェで落ち合った。

 放課後の部活を終えた夕方、『彼女』がカフェにやってくる。
入手した情報を公開して見せた。
『彼女』は頬を綻ばせ――でも、次に緊張で強張らせる。


「ありがとうございます。でも……あの子は私の事なんて、
 今更会いたいと思うでしょうか」


 予想外の反応だった。ついに妹の所在が判明したのだ。
てっきり、大喜びで飛び出していくかと思ったのに。
少し遅過ぎたのだろう、『彼女』は『宮永照』に近づき過ぎた。
離別の期間が心をくじき、『彼女』の勇気をへし折っている。


「脳内の妹が囁くんです。
 『今更会ってどうするの? 落ちこぼれの私を見て笑うつもり?
  ほら、私はこんなに強くなったよ?
  今は宮永照の再来って呼ばれてる。
  貴女はどう? そう見せびらかして嘲笑うの?』
 そう言って私を拒絶する」


 ああ、やっぱり『彼女』は『写し鏡』だ。
それは私の内面と、ほぼ完全に一致していた。
勇気が出せない気持ちもわかる、あと一歩を踏み出せない心境も。

 でも、今回私は『赤の他人』。だからこそ、
無責任に言葉を吐く事ができる。自らの臆病さを棚上げし、
『彼女』を勇気づけられる。


「一つ聞いてもいいかな」

「何でしょうか」

「貴女はここ最近、ずっと『脳内の妹』に苦しめられてるよね」

「…………はい」

「でも、もう一度よく思い返してみて。
 貴女が愛した妹さんは、本当にそんな事を言う子なの?
 貴女を苦しめて嗤うような子だった?」

「っ……!? それ、は……」

「それって本当に妹さん? 妹さんの皮をかぶせた、
 『貴方の弱い心』じゃないかな」


 そうだ、『彼女の妹』がそんな事を言うはずがない。
だって『妹』は努力していた。
わざわざ菫のもとに赴き、指導を賜ろうとしていた位だ。

 『彼女』はまだ中学生に過ぎない。
そんな子供が、一大学生の所在を突き止めて直撃する。
相当な熱意と労力が必要だったはずだ、
『彼女』が語る『脳内の妹』とはまるで一致しない。


「もう舞台は整った。貴女が打った麻雀は、
 確かに縁を繋いだんだよ。
 今の貴女に必要なのは『勇気』だけ」

「飾った言葉は必要ない、麻雀すらもう必要ない。
 ただ『会いたかった』、そう言って抱き締めて来ればいい」

「今なら多分まだ『間に合う』。行こう。
 …………『手遅れになっちゃう』前に」


 『私みたいに』、自嘲の言葉は飲み込んだ。
『彼女』はスクリと立ち上がり、伝票を掴み飛び出そうとする。
その手を慌てて押しとどめた。


「待って。南日ヶ窪中の場所知ってるの?」

「携帯で調べればどうにでもなります!」

「無駄が多過ぎるよ。そもそも今から行ったところで、
 学校に居るとは思えない」

「今度の土曜、私と一緒に行こう。
 南日ヶ窪中ならOGの知り合いがいるし、
 その方がすんなり通してもらえると思うから」


 逸る『彼女』を無理矢理抑え、何とか首を縦に振らせた。
そんな『彼女』を見ながら思う。

 『彼女』はもう『再来』じゃない。
きっと――『私とは違う未来』をつかみ取ってくれるだろう。



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 そして迎えた決戦の週末。私達は淡の案内を受け、
南日ヶ窪中の校舎を歩いていた。


「いやー、まさかこんな形で母校を訪れるとはねー」

「ありがとね、正直私達だけだと辿り着けなかった」

「存分に感謝してくれたまえ! ていうか、
 やっぱりそっちの『再来ちゃん』も方向音痴なの?」

「わ、私は普通にナビがあれば来れましたよ」

「意気込み過ぎて携帯忘れて来た人に言われても」


 3人で事務室の受付に向かう。事前に話は通しておいた、
『来賓』の名札を胸につけ、麻雀部の部室に向かう。

 歩みを進めていくたびに、『彼女』の歩調が狭まっていく。
足が小刻みに震えていた。その震えが示すは恐怖、
痛いくらいによくわかった。痛過ぎて、思わず胸を押さえる程に。

 二人して沈み込む。暗く落ち込み始めた雰囲気、でも淡が一蹴した。
なんて事のないように、満面の笑みを見せながら。


「いやいや緊張し過ぎだって、ていうか意味わかんない!
 生き別れになった二人の、感動のご対面でしょ?
 『会いたかったよハニー!』って抱きつけばいいだけじゃん」

「大丈夫! 向こうも絶対会いたがってるから!!」


 それは根拠のない激励。でも、だからこそ意味があった。
そうだ。私はあれこれ考え過ぎて、結果愚かに自滅した。
今必要なのは熟慮じゃない、感情のままに動く事だ。


「はいここ、対局室B! 心の準備はいい?
 1,2,3で開けちゃうよ?」


 淡はそのままのテンションで、
お気軽にドアの取っ手に手を掛ける。
そしてすぐさまカウントダウン。
3カウント後、淡はその扉を開いて――。



--------------------------------------------------------



 結論から言ってしまえば、『二人』は無事和解を遂げた。

 と言うか『和解』も何もない。
そもそも『二人』を引き裂いたのは両親であり、
『彼女達』は互いに想いあっていたのだから。


 『妹』は『姉』と別れてからも、一人でずっと打ち続けていた。
どんなに才能がなかろうと、前を行く『姉』に追いつくために。


「ずっと夢見ていたんです。宮永照さんと宮永咲さんが、
 インターハイの決勝戦で再会したように。
 私が諦めなければ、きっとあそこで出会えると」


 『姉』に抱き寄せられた『妹』が、涙ながらに想いを告げる。
それはあまりに痛烈な皮肉、でも私は許せてしまった。

 そう、本当は『こうなる』はずだったんだ。
私も途中までは上手くいっていた。
菫に促されて始めた麻雀は、ちゃんと私達を繋いでくれた。
『こうならなかった』のは、私に勇気がなかっただけ。
たった一言すら呟けなかった、臆病な私が悪いんだ。


「……っ」


 抱き合う二人を見てられなくて、隠すようにこうべを垂れる。
俯いたのは大失敗、両目から悔恨の涙がボタボタ落ちた。
駄目だ、また心に闇が下りている。
ようやく幸せを掴んだ二人に、こんな姿を晒すわけにはいかない。

 気づかれないように席を外そう。
私はドアににじり寄り、後ろ手に部屋の扉を開ける。
そして消え去るその瞬間、『彼女』が私を制止した。


「待ってください宮永さん」

「気にしないで、トイレに行くだけだから。
 後は二人でお気遣いなく」

「後でそうさせてもらいます。
 でも、今は一つだけ聞かせてください」

「…………何?」


 『彼女』はわずかに視線を落とし、眼下の『妹』と見つめ合う。
そして意を決したように、大きく息を吸い込んだ。



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「宮永さんと妹さんの縁は、本当にもう切れたんですか?
 本当は――『まだ間に合う』んじゃないですか?」




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 頭の中が真っ白になった。




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 呆然とする私を前に、『彼女』は言葉を畳み掛ける。
疑念を抱かせる前に、勢いで押し切らんとばかりに。


「宮永さんは、私にたくさんのアドバイスをくれました。
 その言葉に従ったから、今私達はここに居ます」

「私は貴女に救われました。だから、今度は私が返す番です。
 今一度、私に掛けた言葉を思い出してみてください」

「宮永さんがまだ間に合うのか、正直私にはわかりません。
 でも。貴女は、もう本当に終わってますか?」


 脳内の咲が喚き散らした。


『惑わされないで、私達はもう終わってるよ。
 お姉ちゃんに救いはないの』

『あれから何年経ったと思ってるの?
 小学校で別れて以来、何年私を放置したの?』

『今更会ってどうするの? へらへら笑って伝えるの?
 「あの時は無視してごめんね」
 「咲の人生破壊してごめんね」って、
 ご立派な社会人の立場から、
 引きこもりの私に謝罪するつもり?』

『ないよ、そんなのあり得ない。
 この子達とは全然違うよ、お姉ちゃんは罪を犯したの。
 それはもう償えない。取り返しがつかないの』


『ね? 死のうよ、お姉ちゃんは救われちゃ駄目』


 希死念慮が襲い掛かる。暗い過去がフラッシュバック、
視界がぐらぐら揺れ始め、世界がボロボロ崩れ始める。
足がガクリとふらついて――。



--------------------------------------------------------




 でも、その足はすんでのところで踏みとどまる。
 答えはもうとっくに出てる、自然と口をついていた。




--------------------------------------------------------




『咲は。「本当の咲」はそんな事言わない』

『……え?』




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 そうだ、言うはずがない。愚かな姉を見捨てる事無く、
インターハイの決勝まで追いかけてきた健気な咲が、
そんな言葉を吐くはずがない。

 いいや、もしかしたら吐くかもしれない。
確かに事実を内包してる、私は罪を犯し続けた。
長きにわたる私の呪いが、咲を変質させてしまった可能性はある。

 でも、それは確かめないとわからない事だ。
今の咲がどうかすら、今の私は知りえない。
ただ一つ断言できる事。今喋っている『この咲』は、
『咲の皮をかぶせただけの、醜い私の弱い本心』。


『――消えて。これ以上、咲を侮辱する事は許さない』


 そうだ、これ以上罪を重ねるな。
勝手に咲を代弁者に仕立て上げ、咲の言葉としてしゃべらせるな。
それは私の本心で、私の言葉で語るもので、
私が乗り越えるべきものだ。

 私の強い拒絶を前に、偽物の咲が霧散する。
後に残るは開けた視界。『宮永照の再来』が、
心配そうに見守っていた。


「ありがとう。今、ようやく目が覚めた」


 『彼女』の言う通りだ。まだ私は終わってない。
ううん、『終わったかどうかを確かめてすらいない』。
『今回の件はもう終わったの?』、
それすらわかっていないんだ。


「淡。後は任せていいかな。ちょっと大切な用事ができた」


 淡はきょとんと首をかしげて、でもすぐに笑顔になった。
意図を理解したのだろう。たったこれだけで通じるなんて、
私は何も本当に見えてなかった。


「いってらっしゃい。思いっきり遅刻しまくってるから、
 せーしんせーい謝りなよ?」

「うん。平謝りしてくる」


 皆から勇気をたくさんもらった、今度は私が飛び出す番だ。
今も足は震えてるけど、もうこれ以上は止まれない。



--------------------------------------------------------




(行こう、長野へ。咲が待っていなくても――)




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 残念にも程がある状況だが、
私は今咲が住んでいる家に出向いた事がなかった。

 私達が住んでいた頃の家は、焼け落ちてもう存在しない。
引っ越し先は聞いてたけれど、訪れた事は一度もなかった。

 ゆえに玄関の前に立っても、『実家』の念はまるで浮かばず。
ただただ、『他人の家』を訪問する居心地の悪さに包まれていた。

 玄関の呼び鈴を鳴らす。本来は自宅にも関わらず、
『呼び鈴を鳴らす』という他人行儀な行為に打ちのめされる。
それは私の自業自得だ、過去逃げ続けたツケの結果。

 だから私は――心の準備もできずに『こうなる』。


『はーい』


 小さな声がかすかに響き、足音が徐々に近づいて来た。
ドクンと鼓動が跳ね上がる。明らかに父の声じゃない、
足音は小さくて軽かった。つまり、今近づいて来る人物は――。


『ガチャリ』


 咲が玄関の扉を開ける。そして私の姿を認め、
そのままのポーズで静止した。二人の時間が停止する。
まるで、あの『決勝前の廊下』のように。

 情けなくも膝が笑い、勇気がみるみる沈下していく。
何を話せばいいのだろうか、わからない、
なんにも、なんにも――。


(……違うでしょ?)


 そうだ、洒落た言葉なんて必要ない。咲の気持ちを慮る言葉も、
事態を収束させる起死回生の一言も。ただただ我儘に思いを伝えろ。


「いままでごめん。でも、ずっと咲の事を気にしてた」


 ぶちまける。とても玄関で開口一番話すような言葉じゃない。
でも、これが私の精一杯。後は野となれ山となれだ。

 残念ながら、私は『再来』のようにはいかない。
犯した罪が重過ぎて、何より時間を掛け過ぎた。
咲はその場で崩れ落ち、小さく肩を震わせる。
ただただ静かに嗚咽して、ようやくポツリとたった一言。



--------------------------------------------------------




「………………遅いよ」




--------------------------------------------------------




 私もその場にへたり込み、咲の身体を抱き締め泣いた。




--------------------------------------------------------



 私の予想は半分当たり、でも半分は間違っていた。

 咲は私から付けられた傷の深さに引きこもりとなり、
今も教育機関には通っていない。
高等学校卒業程度認定試験も受けていないらしく、
咲の最終学歴は『清澄高校中途退学』となる。

 だが。だから『咲の人生は終わってしまった』かと言うと、
案外そんな事もなかった。今は『小説作家』を目指しており、
日夜原稿執筆の真っ最中だとか。
ただの夢物語ではなくて、すでにコンテストにも応募済み。
何回かは『最終選考』まで進み、編集の知り合いもいるらしい。

 咲は私がいなくても、ちゃんと自分の道を進んでいた。
その事実に安堵して、でも、僅かばかりの寂しさを覚える――。


「実はね、お姉ちゃんに勇気づけられてたんだ」


 沈み始めた私の気持ちを、咲のつぶやきが持ち上げた。
咲は遠くを眺めながら、思い出すようにつぶやき続ける。

 咲曰く、私はあのままプロ雀士になるものだと思っていたらしい。
あれだけ強くて実績もあるんだから、もうその道で確定だろうと。
でも私が選んだ道は違った、まさかの麻雀雑誌記者。
その生き方は酷く破天荒で、だからこそ咲に勇気を与えた。

 咲は高校を中退している。でも、
そもそも高校に通う明確な目的はなかった。
『なんとなくそういうものだから』、皆と同じ道を歩んで、
惰性で流されていただけの事。

 引きこもり、全てをリセットした咲は、
改めて考えてみたという。『自分が何がしたいのか』、
考えた時、出てきた答えは『本が好き』だった。
『進学』でも、『麻雀』でもなく、『作家』。
それが咲の素直な本心。


「正直すごく悩んだよ、レールからは外れちゃうしね。
 ちゃんと高認を受けて大学に入り直した方が安全。
 それは絶対間違いない」

「でもね、お姉ちゃんが道を示してくれた。
 人とは多少違っても、あんなに立派に生きていける。
 全然畑違いの方向に進んでも、ちゃんと生きられる可能性がある」

「お姉ちゃんが背中を押してくれたから。
 私は今、作家の道を目指せてるんだ」


 複雑な思いが込み上げた。
『違う、そんな立派なものじゃない』、
思わず口からこぼれそうになる。それを無理矢理飲み込んだのは、
くだらない姉のプライドだろう。

 生きる道を見失っていた。ただ死ぬ事だけ考えて、
運よく西田さんに拾われただけ。
それすら醜い現実逃避だ。咲と向き合う事を避け、
代わりに誰かを救う事で自分を誤魔化そうとした。

 でも。そんな私を見て、咲は『勇気づけられた』と笑う。
だとしたら。私が歩んできた足跡も、
まるで無意味ではなかったのだろう。


「今ね、ちょっと本気で賞を狙ってる話があるんだ」


 どうやら咲はアナログ派らしい。
昔懐かしい原稿用紙の束を取り出し、私の前に差し出した。
私は少し緊張しながら、紙面に視線を走らせる。

 それは小さな物語。幼い頃に別れた姉妹が、
互いに想いあいながら、でもすれ違いを繰り返す。
二人は何度も傷つき合って、何度も離別を繰り返し。
でもそのたびに再会を果たす。そして最後は――空白だった。


「ずっと今まで書けなかったんだ。
 でも、ようやく最後が書けると思う」


 咲は目に涙を滲ませて、でもニッコリと微笑んだ。
私も我慢できなくて、咲の肩をかき抱く。

 ああ、思えば随分遠回りした。私が臆病過ぎたせいで、
随分と長い事咲の筆を止めてしまった。

 でも、ようやく時は動き始める。
咲が綴る姉妹の結末は、きっとこんな感じで終わるだろう。



--------------------------------------------------------



『そうして、ついに二人は通じ合う。
 長い空白を取り戻すように、
 二人は寄り添い助け合うだろう。
 仲睦まじい姉妹として。』



--------------------------------------------------------



 数年後。私達の人生は、
またも大きく様変わりしていた。


「咲、そろそろ締め切りが洒落にならない。
 これ以上時間がかかるなら、
 地獄の缶詰コースに突入してもらう」

「えぇ!? 缶詰とかいつの時代!?
 何とかネタをひねり出すから、あと1時間だけ頂戴!」

「5分でネタを考えて」


 咲は見事夢を叶える。『あの時』見せてくれた姉妹の話が
選考を通り、無事作家の卵としてスタートを切った。
私は咲の夢に追従。今は駆け出し編集者として、咲と二人三脚だ。

 同じ出版系とは言えど、記者と編集者では正直内容が違い過ぎる。
そもそも編集者は基本的に新卒採用が大半で、
中途採用される場合も編集経験を持っている事が大前提だ。
つまり普通に考えれば、私が編集者に鞍替えするのは難しい。
ではどんなマジックを使ったか? まあ色々アレな事をした。

 咲が執筆した作品はフィクション。でも、
実際には私達の実体験が多分に含まれている。
それはある意味、ずっとベールに包まれていた
『宮永姉妹の真相』を暴く事を意味していた。

 謎に包まれた半生を、姉妹で執筆して編集する。
これだけで話題性は十分だ。私は自身のネームバリューを存分に生かし、
出版社にごり押した。結果として私達は
『姉妹で百合姉妹作品を出版する百合姉妹』
という汚名をいただくが、まあそんなのは些細な事だ。


「ねーねーお姉ちゃん、散歩しない?」

「行先は東横インでいい?」

「それ缶詰する気満々だよね!?
 ネタ出し! ネタ出しのための散策だから!」

「仕方ない。許可するけど、
 ネタが思い浮かばなかったらインするからね」

「うぅ、できるだけ頑張ります……」


 二人揃って玄関を出る。
あの日は呼び鈴を鳴らしたこの家も、今では鍵を持っている。
咲が出たのを確認し、私は玄関の鍵を閉めた――。



--------------------------------------------------------



 ……私が送った半生は、さぞ支離滅裂に見えるだろう。

 『あの小鍛治に届き得る逸材』などと持て囃され、
なのにプロ雀士になる事すらなく、短い雀士人生を終えた。

 それでいて完全に足を洗うでもなく、
麻雀雑誌の記者となり。散々周囲を荒らした後、
いきなり編集者へと鞍替えした。

 我ながら計画性がなさ過ぎる。
おかげでいろんな人に迷惑をかけた。
嘆く人もいただろう。『あの天才がどうしてこんな末路を』、
実際に面と向かって言われた事もある。

 でも今にして思えば、道は全部繋がっていた。
麻雀を始めた理由は、咲との縁を繋ぐため。
麻雀雑誌の記者になった理由は、
いつか咲と向き合うための勇気をもらうため。
そして編集者になった理由は、最後まで咲と寄り添うため。

 他の未来もあっただろう。もっとこれより効率的で、
最短ルートのハッピーエンドもあったのかもしれない。
でも、案外私はこの人生を気に入っている。

 今でも時々、あの言葉を思い出す。
病室で絶望に打ちひしがれたあの日、
西田さんからもらった言葉。

『何が正解で何が間違いかなんて、
 終わってみないとわからないわ』

 それは今でもそうなのだろう。
私の人生はまだ終わらない、咲の人生もまだこれからだ。
むしろこれから影が差し、闇に埋もれていくかもしれない。

 ある意味これは『呪詛』だろう。
でも、私はこの言葉があるから頑張れるのだ。
例え光が陰っても、そう簡単に終わりは来ない。
諦めるのは、本当に終わってしまった時でいい。


(それでも、今はこの幸せを噛みしめよう)


 ある意味でこれは一つの『ゴール』だ。
咲と私が紡いだ軌跡、苦渋の旅は一度終わった。
二人の道は再び交わり、私達は今寄り添っている。


「咲。そろそろ東横インが見えて来たけど大丈夫?」

「大丈夫じゃないよ!? もう一回、
 もう一回だけ同じコースを回らせて!」

「流石に無理。咲が原稿落としたら
 二人して路頭に迷うから頑張って」

「うー、その時はプロ雀士になるからいいもん!」


 そうか、そういう道もあるか、
どうやら私は、まだまだ視野狭窄らしい。

 未来は無限に広がっている。
今から雀士を志し、姉妹で世界を席巻する事だって可能なのだ。
もし本当に咲が『落として』、
食い扶持がなくなったら試してみよう。

 最終的に、咲が笑顔ならそれでいい。


「まあ、とりあえずそれは置いといて。
 まずは現状で頑張ってみようか」


 私は笑顔で背中を押して、咲を東横インに導いた。
数日後。咲はなんとか原稿を仕上げ、
くたくたになりながら東横インを後にする。

 どうやらまだ当分は、今の関係が続きそうだ。
『よく頑張ったね、咲』。私は穏やかに微笑みながら、
愛しい妹の頭を撫でた。


(完)


--------------------------------------------------------



<元ネタとなったリクエストの内容>

※ただし『』で囲った部分は作者の原作解釈的に
無理なく組み込むことが難しいと判断しカットしました。
申し訳ありません。

※このリクエストには一切問題ないのですが、
 正直今回執筆がめちゃくちゃ大変だったので、
 今後のリクエストでは
 『二次創作において、作品に深く関わるオリジナルキャラはNG』
 とさせてください。
 (具体的には名前がないと不自然なレベルで話に関わってくる人物)

-------
 宮永照は全国高校生麻雀大会で咲と麻雀を通じて和解出来ると思い
 頑張って来たけど和解出来ず咲は引きこもりになる
 照はそのショックで心的外傷後ストレス障害を発症して
 牌を握れなくなる
 そして麻雀の世界から逃げるように身を引く

 しかし才能があるのに麻雀やらない事に
 メディアがネットが学校が親が後ろ指を指し責める
 虎姫のみんなは励ますも照には届かず
 照は麻雀に絶望して社会生活が送れなくなる

 過去に宮永姉妹の取材して照状況を良く知っている西田記者は
 この状況に見ていられなくなり
 照にマスメディアに身を置く者とし1人の大人として
 照に謝罪して麻雀に絶望するのはわかる
 『でも少しでも未練があるなら』うちに来て欲しいと言う

 訝しむ照
 でも『元々麻雀は好きで未練が残っていて』
 『一縷の望みで』西田記者の提案を受け入れる
 駆け出しの頃は右も左も分からず苦戦したり
 現場で他社の同業者から突っ掛けられたり嫌味言われたりするけど
 西田記者や山口カメラマンや埴渕記者の支えのおかげで
 今は西田記者の右腕として取材や編集したり
 後輩の育成や指導や相談を受けたり
 自身の苦労から取材相手を思いやり後輩に慕われる記者になる

 飲み会で西田記者や山口カメラマンや
 埴渕記者や後輩記者の親睦を深めたりして
 職場に恵まれて
 やりがいに溢れる事の幸せを噛み締めている一方で
 咲との関係が益々疎遠になり解決しないまま
 時間が過ぎる事に自己嫌悪する

 ある日宮永照の再来と呼ばれる女子高校生の取材に行く
 西田記者や山口カメラマンや埴渕記者に照の後輩記者から
 心配されるも進んで取材に行く

 その高校生から『麻雀の才能あるのに』逃げた事を露骨に責められ
 照は『憔悴してつい』過去の出来事を『自嘲して』話す

 高校生は驚く
 照と同じく自身も妹がいて絶縁状態だったから
 その後その高校生は『次第に』心を開いてくれて
 麻雀のアドバイスや妹の和解の相談を受ける

 しかしその高校生の親や学校からは大事な時期だから
 何もするなと抗議や圧力をかけられ
 自身は逃げた身なのに関わっていいのか葛藤するも
 西田記者や大介カメラマンや埴渕記者と後輩記者の励ましと助けと
 虎姫の協力があり無事姉妹は和解する
 和解する姿を見て勇気をもらった照は咲に会い和解する

 咲は小説作家を目指しており照は咲を支えるべく編集者の道を目指す
 そして咲は小説作家の卵に照は駆け出し編集者となり
 姉妹仲良く会話して
 ハッピーエンドで終わるSSを執筆して欲しいです

 麻雀が出来なくても人生終わりではなく
 咲ちゃんとの関係修復や自身の生きがい幸せを求めて悩み模索する
 宮永照ちゃんの姿を見てみたいと思いこのようなリクエストになりました
 できましたら前編後編で
 Yahoo!ブックマーク
posted by ぷちどろっぷ at 2019年12月13日 | Comment(5) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
この記事へのコメント
リクエストした者です、今回のSS前編後編全てとても良かったです。
それと、ぷちどろっぷさんに無理をさせてしまい本当にすみませんでした。
照ちゃんが悩みながらも模索して西田さん達と虎姫の協力で解決して姉妹仲良くなる姿は読んでいてとても嬉しかったです。
今後も影ながら応援させていただきます、本当にありがとうございました
Posted by at 2019年12月13日 21:30
まずは執筆お疲れ様でした。

入院中は積極的に後ろ向きだった照に「闇は連鎖する」と忠告した西田さんのファインプレー。葛藤を抱えながらも前向きに生きる意味を見出した照は直接救われ、照が歩んだ道は咲を始め多くの人を救うという光の連鎖を生む幸せな話だったと思います。
西田さん、アンタ神様やで。
Posted by at 2019年12月14日 09:41
感想ありがとうございます!!

ぷちどろっぷさんに無理を>
単純にぷちの実力不足でリクエスト側の問題では
全然ないので気にしないでくださいごめんなさい!

照「成長物語だったよね」
咲「麻雀記者が繋いだ二人の絆だよ」
照「咲を待たせ過ぎて申し訳ない」
淡「ていうか原作でも照がビビリしてなかったら
  数秒で終わる話だしねー」

闇は連鎖する>
照「西田さんだけは『私』の心情ではなく
  『過去の経験』から
  事実を伝えてるんだよね。
  記者だからこそ私を引き留められた」
順子
 「正直割とポンコツ扱いだったけど、
  決めるところは決められた気がするわ!」

Posted by ぷちどろっぷ(管理人) at 2019年12月19日 18:49
オリジナルのキャラクターがキーマンとして描かれていて新鮮でした。
また、照の半生私独白のような体裁で書かれていたので、とても移入できました。
Posted by at 2019年12月20日 10:47
東横インの下りが個人的につぼでした。
「あわてるすみれ」や「菫相談室」などのギャグもまた書いていただけると嬉しいです!
Posted by at 2019年12月23日 14:35
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