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【咲-Saki-SS:久咲】 咲「二人だけの、秘密」【共依存】【支援者に先行公開中】

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<あらすじ>
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 全国大会が過熱する最中、宮永咲は竹井久の『秘密』を知る。
『秘密』を知られた久は恥じらい、でも嬉しそうに微笑んだ。
『二人だけの秘密にしましょ?』

 それは他愛のない約束。でも確かに、二人を結ぶ強固な絆。
そして二人はそれからも、『秘密』という名の鎖でもって、
互いを縛りつけていく――。

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<登場人物>
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<竹井久>
清澄高校の3年生で学生議会長と麻雀部部長を兼務する才女。
164cmのスリム体型で飄々としている食わせ者だが、
実はプレッシャーに弱い側面がある。
家庭に複雑な事情があり、旧姓は『上埜』だった。

<宮永咲>
清澄高校の1年生で麻雀部のエース。
155cmの慎ましい体型で基本は大人しい文学少女だが、
精神的に危うく時折暴力的な発想を見せる。
家庭に複雑な事情があり、母や姉とは別居している。

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<症状>
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・共依存

<その他>
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 https://www.pixiv.net/fanbox/creator/11757661/post/891596

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 初めて秘密ができたのは、全国大会の2回戦。
部長が一人塞ぎこみ、言えない不安を抱えたままで、
孤独に会場へと乗り込んだ日の事でした。

『なんだか部長……おかしな感じだったよ……』

 私が感じた微かな異変。
その事を夜に伝えたら、部長は目を見開いて。
恥ずかしそうに。でも、どこか嬉しそうに破顔したのです。

『そっか、咲には見抜かれちゃってたか―』

『は、はい……打ち筋も明らかに違いましたし』

『うわっちゃー恥ずかしい! まあでもいっそ清々しいか!
 今度からは出陣前に、咲に様子を見てもらう事にするわ!
 様子がおかしかったら教えてくれる?』

『は、はい……頑張ります』

『あ、でも恥ずかしいから皆には内緒ね?
 これは咲と私、二人だけの秘密にしましょ!』

『……はいっ!』

 悪戯っぽく片目を閉じて、唇に手をあて囁く部長は、
酷く艶やかに見えました。
『二人だけの秘密』、言葉の響きがとても甘美で。
部長との距離が近くなった気がして、
胸がぽかぽか温もりました。

 実際この日を皮切りに、部長の態度は一変します。
例えば会場に向かう前。部長は私の前に立ち、
くるりと回って見せたのです。

『どう?』

『あっ、かわいいですっ』

『お、かわいいか――』

『はい、とても』

『やった』

 行為の意味を知る者は、部長と私二人だけ。
他の人達からしたら、部長が突然
踊り出したとしか思えなかったでしょう。。
私だけが知っている。奇妙な優越感に襲われて、
頬が上気していくのを感じていました。

 これが『秘密』の始まりです。
まだこの頃の私達は、健全だったと言えるでしょう。


◆ ◇ ◆


 二人だけの『暗号』が、徐々に増えていきました。

 示し合わせたわけではありません。ただ、部長と私は本の虫。
だから知識も似通っていて、自然と通じ合う事が多いのです。

 例えばとある晴れた日の事、部長がお花を持ってきました。
笑顔で花瓶に生ける部長に、染谷先輩が問い掛けます。

「どうしたんじゃ? いきなり花なんぞ持ってきよって」

「いやー、この花可愛くない? 昨日散歩してたんだけどさ、
 この子達がコンクリの隙間で無造作に咲いてたのよ。
 せっかくだから摘んできちゃった!」

「確かに綺麗だじょ。路上に咲いてたとは思えないじぇ」

 みんなは花を愛でた後、各々の作業に戻ります。
そう、部長の真意に気づく事なく。

 私だけが知っていました。部長が誇る部室の図書館、
その本棚の一冊に、この花が登場する事を。

 栽培が非常に難しい花。道路で自生できる花ではありません。
花言葉は『ありがとう』、つまりこれはメッセージです。
照れ屋さんの部長が贈る、感謝の気持ちなのでした。

 気づいた私は口を開き、でも、またすぐに閉じました。
どうして? それは浅ましい独占欲。
私は部長の感謝の気持ちを、独り占めしたくなったのです。

 鼻歌を歌いご機嫌で、一人花を愛でる部長。
その横にそっと寄り添って、小さな声で囁きました。

『こちらこそ、ありがとうございます』

 そしたら部長は目を見開いて、満面の笑みを見せました。
『やっぱり咲にはわかっちゃうのね』、なんて嬉しそうに笑いながら。

『種明かしはしないんですか?』

『しないわよ。気づかれないならそれでもいいの。
 私が贈りたいから贈る。これはただの自己満足だから』

『そうですか。じゃあ、私が独り占めしちゃいますね?』

『あはは、また秘密ができちゃったわね』

 小声で囁き合う二人。みんなもいる部室の中で、
こっそり心を通わせている。
優越感。そしてどこか妖しい背徳を覚え、
ぶるりと身をよじらせます。

 部長も同じなのでしょう。私にだけ向けられた視線は、
明らかにより親密で。『ただの後輩』に向けるには、
熱が籠り過ぎていました。

 秘密を共有するたびに、部長との距離が縮んでいく。
距離が縮んでいくたびに、互いに熱を帯びていく。

 やがて熱が私を狂わせ、恋の病に侵されていき。
二人の距離はゼロになる。そして私はそれからますます――。


◆ ◇ ◆


 『秘密』の毒に、溺れていくのでした。


◆ ◇ ◆


 いつの頃からだったでしょう、正確には覚えていません。
私が抱える『二人の秘密』は、色を纏うようになっていました。

 寒さが心に染み入る2月、部室に集まる私達。
私物を整理する部長を見ながら、優希ちゃんが言いました。

「そうだじょ。たまには皆でどっか食べにいかないか?」

「お、いいな。もうすぐ竹井先輩も卒業だし、
 壮行会も兼ねて一つ」

 意図を正確に汲み取ったのでしょう、
すかさず京ちゃんが相槌を打ちます。
確定事項と言わんばかりに、今度は染谷先輩が続きました。

「お前さん、何か食べたいもんでもあるか?」

「うーん、そうねえ」

 部長はなぜか私を見ると、小さく舌を舐めずりました。
そして僅かに目を細め、視線は私に向けたまま、
こんな事を言うのです。

「あ、なんか咲を見てたらお刺身食べたくなってきたわ」

「咲さんのどこがお刺身なんですか?」

「あはは、正直私にもわからないわ!
 こーゆーのってインスピレーションだから」

「刺身なぁ……少し変わって寿司でもええんか?」

「あっ、お寿司食べたいじょ!!」

 みんなは真意に気づかないまま、
会話をどんどん進めていきます。私だけが胸を高鳴らせ、
跳ねる心臓を押さえていました。

 また『二人だけの』暗号です。
『お刺身』は娼婦が使う隠語の一つで、
主に『口づけ』を意味します。滑った唇の感触が、
お刺身に近い事が理由だったと記憶しています。

 つまり部長の発言は、
『私を見ていたらキスしたくなっちゃった』となるわけです。
勘違いではないのでしょう。事実部長は私を見つめ、
今も妖艶に笑っています。

 ほんの少し前までは、『秘密』は些細なものでした。
別に知られても構わない。でも、
『何となく面白いから』秘密にしておく。
そのくらいの意味でした。

 でも今回は違います。部長が送った暗号は、
確かに『秘密にすべき』もの。
混じりっけなしの『秘め事』でした。

 『秘密』の価値が増せば増すほど、人はより強く結びつくものです。
気づけば私は虜になって、秘密に縛り付けられていきました。

 一人秘密を抱えつつ、どんどん部長に溺れていきます。
注ぎ込まれる部長の秘密。それは甘い猛毒でした。
摂取すればするほどに、部長以外が見えなくなって。
他が希薄になって行く。

 気づいた時には手遅れでした。

 私はもう、部長なしでは生きられない。
何より酷く皮肉な事に、その事実が発覚したのは――。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

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ブログによる全文公開はそのうち検討します。
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◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
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posted by ぷちどろっぷ at 2020年03月14日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 咲-Saki-
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